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続く米長期金利上昇、ドルの株価離れ・独歩高
  • MRA外国為替レポート

2021年3月8日号

◆先週の市場総括


先週は米長期金利の上昇が止まらず、週末にかけて株式市場は金利上昇を受けて高PER銘柄・ハイテク株の大幅調整が続いた。

一方景気敏感株は金利上昇が嫌気されつつも、景気回復期待が強まっていることを支えに上下動した。ナスダックは高値から10%を超える下落となった。

上昇を続ける米長期金利については、一部FRB当局者からは無秩序な上昇を警戒する発言がみられたが、他の当局者からは景気回復を受けた市場の信認を示すものとして現状水準は容認する姿勢がみられた。

週末の雇用統計が予想より強かったことから米10年債利回りは一時1.6%台に上昇。週末の引けは1.57%。米国株は金利上昇のなかでも反発して引けた。

日経平均は調整下落が続き週末には28,300円に迫った。ただ米国株の持ち直しや黒田総裁が10年国債利回りの変動許容幅を変更するつもりはない、と述べた安心感から持ち直し28,864円で引け。

為替市場では米10年債利回り上昇を受けてドルは一段と堅調さを明確にし、対円、対ユーロ、ともに上昇。ドル円相場は週末に108円60銭をつけて引けは108円40銭近辺。ユーロドル相場は1.20割れとなり週末は1.1920近辺。

月曜日の東京市場では日経平均が反発。米長期金利上昇が一服したこと、週末の大幅下落の後を受けて寄付きから押し目買いが入り、前週末比+600円超高い29,600円近辺で始まった。ただその後はもみ合い、横ばい。結局+697円高の29,663円で引けた。

ドル円相場は106円60銭で始まり40銭~70銭で上下。ただドル堅調は続き夕刻から欧州市場にかけては106円70銭中心のもみ合いとなった。

ユーロドル相場は1.2070で始まり、朝方は1.21ちょうど近辺に上昇し、その後は軟調となり1.2080台~90で上下。欧州時間に入ると大きくユーロ安ドル高に振れて1.2030に下落し、その後は1.2040~50中心に1.2030~60の幅をもって上下した。

フランス中銀総裁が、ユーロ圏の長期金利上昇は正当化できない部分がありECBは対応すべき、と発言したことがユーロ下落につながった。

ユーロ円相場は128円60銭で始まり90銭に上昇したがその後は60銭~80銭台で上下。さらに欧州時間には128円40銭に下落し、50銭~60銭でもみ合った。

米国株は大幅反発。発表されたISM製造業景気指数(2月)は強い数字だったが、米10年債利回りの上昇が限定的。週末に下院で1.9兆ドルの経済対策が承認されたこと、J&J社のワクチンに緊急使用許可が下りたこと、を好感して景気敏感株が上昇。金利上昇一服でハイテク株も堅調となった。

NYダウは前週末比+603ドル高の31,535ドル、ナスダックは同+396ドル高の13,588ドル。VIX指数は▲4.6ポイント低下して23.3ポイント。

米10年債利回りは1.43%。ドル円相場はやや下落して106円60銭近辺でのもみ合いから一時90銭近辺に上昇。引けは106円80銭近辺。ユーロドル相場は1.2040台。

ユーロ円相場は128円20銭近辺に下落した後、株高・リスク選好の回復で128円70銭に上昇。ドル円相場を押し上げる要因となった。引けは128円60銭近辺。

ISM製造業景気指数(2月)は前月58.7から60.8に改善して予想58.8を大きく上回り3年ぶりの高水準。雇用指数も52.6から54.4へ、新規受注指数も61.1から64.8へ改善した。

火曜日の東京市場では日経平均が軟調。前日の米国株が堅調だったことから29,900円近辺で高寄りし一時30,000円の大台を付けたがすぐに軟調に。中国株・上海総合指数が大幅安となり、米国株先物が軟調となったことから反落。後場は29,400円近辺でもみ合い小動きとなりそのまま引けた。前日比▲255円安の29,408円。

ドルは堅調、ユーロが軟調。株価軟調を受けてクロス円相場が円高基調となった。ドル円相場は106円80銭~90銭で上下。夕刻は106円90銭近辺。

ユーロドル相場は1.2050で始まり下落して夕刻は一時1.20割れ。1.20ちょうど~1.2010でもみ合い。ユーロ円相場は128円60銭で始まり昼頃には128円30銭に下落。その後40銭~50銭でもみ合いとなったが夕刻には20銭に下落した。

ユーロは引き続きECB当局者の金利上昇警戒発言が重石。またドイツ小売売上高(1月)は前月比▲4.5%と前月▲9.1%に続き2か月連続で減少した。

ただその後ユーロは反発。1ユーロドル相場は1.2040へ上昇、ユーロ円相場は128円60銭近辺でのもみ合い。さらに米国時間には上昇ペースを速め1.2090、129円ちょうど近辺で取引を終えた。

ドル円相場は106円90銭近辺でのもみ合いからやや低下し、106円70銭~80銭でもみ合い引けた。米国株は主要3指数いずれも下落。重要な経済指標を前に様子見姿勢が強く利益確定売りが優勢。

小売大手の決算は予想を上回り、J&J社のワクチン生産をメルク社が支援と報じられたが株価の反応は鈍かった。NYダウは前日比▲144ドル安の31,391ドル。一部大手ハイテク株が金利上昇警戒感で下げが大きくナスダックは大幅安。前日比▲230ドル安の13,358ドル。

NY市では変異株の感染が拡大しているが、アレルギー感染研究所のファウチ所長は変異種にはワクチンの有効性が劣ると述べた。

FRBブレーナード理事は、経済の現状はFRBの目標に程遠く現在の金融緩和継続に辛抱強さが必要、長期金利の急上昇が目に付き無秩序な状況や持続的な金融環境タイト化は懸念、と述べた。米10年債利回りはやや低下して1.41%。

木曜日の東京市場では日経平均が小幅高。29,500円で寄付き400円に下落したものの、引けにかけてじり高。前日比+150円高の29,559円で引けた。

ワクチンの普及への期待や米国の長期金利上昇が一服したことで下げ止まり。為替市場は小動きのなかドルが底固く円が軟調。ドル円相場は106円70銭台で始まり、やや上昇して80銭台でのもみ合い。

ユーロ円相場は129円ちょうどで始まり10銭~20銭でのもみ合いへ。ユーロドル相場は1.2090で始まり2080へ軟化。ユーロは欧州時間に入る夕方には振れ幅を大きくしながら反発。ユーロドル相場は1.2110へ、ユーロ円相場は129円40銭に上昇した。

米国株は下落。バイデン大統領が米国民に対するワクチン接種を5月末までに完了する、としたことは景気敏感株の支えとなったが、金利上昇懸念で高PER銘柄・ハイテク株が大幅安となった。

ダウは一時前日比プラスで推移したものの引けにかけて下落して前日比▲121ドル安の31,270ドル。ナスダックは同▲361ドルの大幅安で12,997ドルと大台を割り込んだ。VIX指数は2.57ポイント上昇して26.67。

米10年債利回りは一時1.5%近くまで上昇し、引けは1.48%近辺。金相場は米債利回りが上昇するなか軟調が続き1715.8ドルと次第に1,700ドルに近づいている。WTI原油価格は減産合意延長の可能性との報道で上昇し61.3ドル。

ドル円相場は欧州時間に入り107円ちょうどとつけた。その後106円80銭に押されたが、107円10銭台に上昇。再度80銭台に下落したが底固く、じり高となり引けは107円ちょうど近辺。

ユーロドル相場は欧州時間に1.2050に下落してもみ合い。米国市場では1.2070~80に戻してもみ合いとなったが上値重く、引けは1.2060近辺。ユーロ円相場は128円70銭台に下落した後は反発して129円10銭~20銭でもみ合い引けは129円10銭。

発表されたISM非製造業景気指数(2月)は55.3と前月58.7から大きく予想外に悪化して9ヵ月ぶりの低水準。雇用は55.2から52.7へ、新規受注は61.8から51.9へ悪化した。そうしたなか価格指数が64.2から71.8へ大きく上昇してインフレ懸念を強めた。

ADP雇用報告(2月)は雇用者数前月比が+117千人と前月+174千人から伸びが大幅に鈍化し予想+125千人を下回った。

一方、公表されたベージュブック(地区連銀経済報告)では、ほとんどの地区で経済活動は緩やかに拡大、雇用も同様に改善、ワクチン接種開始で企業は半年~1年先を楽観視している、とされた。

木曜日の東京市場では日経平均が大幅反落。1か月ぶりの安値をつけた。前日の米国株がハイテク株中心に下落。金利上昇懸念が燻り日本株もグロース株が下落した。

日中の米国株先物の下落、アジア株下落も重石に。日経平均は29,200円で安寄り軟調で前引けは29,000円近辺。後場には急落して一時前日比▲800円超下落し28,700円に迫った。引けはやや持ち直して前日比▲629円安の28,930円で引け。

為替市場ではドルが堅調、円が軟調。ドル円相場は107円ちょうど~10銭でもみ合い。ユーロ円相場は129円ちょうど~10銭でもみ合いの後に10銭~20銭。ユーロドル相場は1.2050~60でもみ合い。

欧州時間に入るとドル円相場は107円30銭台に上昇。ユーロ円相場は129円20銭~30銭。ユーロドル相場は1.2030~40に下落した。欧米市場ではドルが大幅高、ユーロと円は軟調。

パウエル議長が、現状の金融政策継続姿勢をあらためて確認し、足元の長期金利上昇についても目標達成に脅威となる無秩序な動きを懸念としたものの、具体的な金利上昇抑制策に触れず。

市場はツイストオペ(長期債買い・短期債売り)によるイールドカーブフラット化=長短金利差の縮小などを期待していたため失望が広がった。米10年債利回りは1.57%に上昇。

株価は大幅安。NYダウは一時前日比▲700ドル下落し30,550ドルまで下げたが、引けは▲346ドル安の30,294ドル。ナスダックは同▲274ドル安の12,723ドル。VIX指数は1.90ポイント上昇して28.57。

原油相場WTIはOPECプラスの減産合意が継続するとの思惑で続伸し63.83ドル。

ドル円相場は一貫して上昇し108円ちょうど。ユーロドル相場は1.20の大台を割って1.1970で引け。ユーロ円相場は129円60銭に上昇した後、10銭~30銭に下落した。

週次の新規失業保険新規申請件数は745千件と前週730千件からやや増加、継続受給者数は4,295千件に4,419千件から減少した。製造業新規受注(1月)は前月比+2.6%と前月+1.6%から加速した。

金曜日の東京市場では日経平均の調整がなお続いた。28,700円近辺で安寄りした後、午前中に28,300円近くまで前日比▲600円超の続落。その後は28,300円~400円でもみ合いに。

ただ後場に入ると米国株先物の下げ止まり、黒田総裁が長期金利の変動幅拡大は考えていない、と述べたことを受けて急速に値を戻し引けにかけて上昇。下げ幅を大きく縮めて前日比▲65円安の28,864円で引けた。

為替市場では引き続きドルが堅調、円は軟調。ドル円相場は108円ちょうど近辺で始まり107円80銭に下落したものの午後にかけて右肩上がりとなり108円20銭台。

ユーロ円相場は129円30銭で始まり128円90銭に下落したが夕刻には129円40銭台に上昇した。ユーロドル相場は1.1970で始まり上値の重い展開。1.1950~60でもみ合い。欧州市場に入ってもドル堅調が続いた。

ドル円相場は108円50銭台に上昇。ユーロドル相場は1.1920割れに下落。

その後雇用統計発表前にはやや調整してドル円相場は108円20銭台、ユーロドル相場は1.1930~40中心のもみ合い。注目の雇用統計(2月)は予想より強い数字だった。

非農業部門雇用者数・前月比が+379千人と予想+180千人を大きく上回り増加。前月分も+49千人増から+166千人増に大幅に上方修正された。失業率は前月6.3%から6.2%に低下。

これを受けて米10年債利回りは1.63%近くに大きく上昇。ドル円相場は一時108円60銭に上昇した。しかしその後は長期金利低下とともに108円10銭に反落。ただ長期金利の上昇基調は変わらず10年債は1.57%で引け。ドル円相場もじり高となり108円40銭近辺で引けた。

ユーロドル相場は1.1910~20。ドルインデックスは92台に上昇。金相場は1.698ドルと大台1,700ドルを割り込んだ。ユーロ円相場は欧州時間に129円50銭に上昇していたが128円90銭に下落。その後は129円10銭に戻して引け。

米国株は強い雇用統計を受けて大幅反発。長期金利上昇が重石となったもののNYダウは前日比+572ドル高の31,496ドル、ナスダックは+197ドル高の12,920ドル。VIX指数は3.91ポイント低下して24.66。

FRB当局者からはこの日も長期金利上昇を静観するコメントがみられ、水準はパンデミック前に戻っただけ、ツイストオペ(長期債買い・短期債売り)をする必要はない、との発言があった。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標

重要な経済指標の発表が一巡した後、今週は発表が少ないが、物価指標に注目が集まる。インフレ期待を刺激し長期金利の上昇をさらに後押しするか、株価調整が継続する要因となるか。

水曜日 消費者物価指数(2月、前月比、予想+0.4%、前月+0.3%、前年同月比、予想+1.7%、前月+1.4%、コア指数、前年同月比、予想+1.3%、前月+1.4%)

木曜日 週次失業保険新規申請件数

金曜日 生産者物価指数(2月、前月比、予想+0.4%、前月+1.3%、前年同月比、予想+2.6%、前月+1.7%、コア指数、前年同月比、予想+2.5%、前月+2.0%)、ミシガン大学消費者信頼感指数(3月、予想77.2、前月76.8)

2.ECB理事会、ラガルド総裁会見

木曜日にECB理事会が開催されその後ラガルド総裁の定例会見が行われる。今回、政策は据え置きが予想されるが、どれほど緩和サイドに傾いたニュアンスとなるか。あるいは現状維持スタンスが強調されるか。

一部当局者からはユーロ高を警戒する発言がみられた。現状は一服しユーロ安ドル高にやや振れているが、何らかの議論はあるか。また長期金利が米国長期金利の上昇に連れて上昇していることへの警戒感もある。

何らかの手を打つべきとの発言もあったが、どのような議論となるか。結果、欧米間の金融政策スタンスの格差が確認され、さらなるユーロ安ドル高を後押しするか。

3.日本の経済指標

月曜日に国際収支(1月)が発表される。また証券投資収支とともに、需給面での円相場への圧力が円高・円安どちらに変化しているか。また景気先行指数(1月)、景気ウォッチャー調査(2月)が発表される。米国との景況感格差拡大がみられるか。

火曜日には家計消費支出、金曜日には法人企業景気予測調査(1-3月期)が発表される。日本の企業業績の回復が裏付けられ株価調整の一服に寄与できるか。

◆今週のMRA's Eye


続く米長期金利上昇、ドルの株価離れ・独歩高

先週も米長期金利の一段の上昇を支えにドルは続伸。対円、対ユーロ、双方に対して堅調に推移した。米国株は長期金利の上昇を嫌気し、高PER銘柄・ハイテク株の調整が続いた。

一方で景気敏感株は景気回復期待が一段と強まったことで、長期金利上昇による上値抑制がありながらも、続落は免れ上下動にとどまった。

一方、景気敏感株とされている日本株、日経平均は大幅に調整し週末にようやく下げ止まり。日経平均とNYダウのパフォーマンス格差が生じた。

当面は米国の長期金利がもう一段上昇するか。そうしたなかで米国株が「逆二極分化」つまりハイテク株安・景気敏感株堅調という昨年とは逆の構図で推移するか、金融相場から業績相場への移行局面のなかで長期金利上昇に揺さぶられながら景気敏感株が高値波乱・かろうじて大幅調整を回避できるか、が焦点。

そうしたなかでドルが昨年から年初にかけての株価との相関を離れ金利との相関を強めて独歩高を続けるか。

FRB当局者は引き続き長期金利の上昇をポジティブに受け止めているようだ。秩序ない上昇は注視する必要があるとの発言もみられたが、それは景気に悪影響を与えないかどうかがポイント。株価動向を気にしての発言ではない。

また長期金利上昇の要因は、市場のインフレ期待が強まった結果というよりも、景気回復に対する信認が強まった結果としてポジティブに受け止めているようだ。

足元の景気水準はFRBの目標とはほど遠いとはしつつも、ダウンサイドリスクがワクチン接種の開始や今後確実な財政支出の拡大によって明確に後退したことは認識。金融緩和は継続しつつ、市場動向を静観する余裕があるようにみえる。

パウエル議長は、かつて株価上昇についてバブルか否かを問われていたがとくに明確な判断はせず、逆に景気動向がポジティブななか、長期金利が上昇したことによって調整したところでも意に介さないだろう。

10年債利回りとFF金利の格差は、過去最大で3%台前半まで拡大した実績がある。また期待インフレ率が2%なら、10年債利回りが2%に上昇したところで、実質長期金利はゼロということになる。

経済は実質金利が引き締め気味か緩和気味かで影響が生じる。長期金利上昇の急速な上昇は金融環境の方向性としてはタイト化とはいえるが、絶対水準としては2%程度に上昇したところで実質長期金利はゼロであり、金融は緩和気味。

さらにFF金利がゼロにとどまっている限り実質FF金利は大幅にマイナスでかなり緩和気味ということになる。

ツイストオペ、すなわち短期債売り・長期債買いによって資金供給量への影響は中立に留めつつ、長期金利の上昇を抑制。長短金利差の拡大、イールドカーブのスティープ化を抑制するのではないか、との見方もあったが、そうした動きは当面なさそうだ。

となると、市場の常として、どの程度の長期金利上昇・水準が許容されるのか、試しにかかる可能性があるので、今後の米10年債利回りの上昇には引き続き留意を要する。

ドルインデックスは先週末に92ポイントに上昇した。一時は90割れまで下落していたが、底打ちを一段と明確にしている。

なおもドル安を予想する見方では、このドル反発を一時的として、株価調整が一巡すればドル安に回帰するとして、リスク選好=ドル安、リスク回避=ドル高、の昨年からの相関により予想する。

あるいはFRBがゼロ金利を継続する限りドルは下落すると主張する。米債を購入する際にドル売りの為替ヘッジをするコストがゼロなので、米長期金利の上昇がドル高につながらない、とする。

しかし株価とドルの相関関係はすでに崩れ、米長期金利との相関を強めているのが現実だ。

長期金利上昇とドル高が相関すれば、すでに為替ヘッジをして米国債を購入し保有している投資家にとっては、為替ヘッジを外す=ドルを買い戻すインセンティブが働く。

さもなければ長期金利上昇=債券価格下落による損失だけを被ることになるためだ。せめてドル高によるメリットは享受して債券価格下落によるデメリットを相殺する必要がある。

新規投資についてはドル買いが強まらない可能性がある。しかし、すでに様々な投資にともなって広がったドル売りヘッジ、ないし投機的なドル売りが巻き戻されドル高につながるリスクは否めない。

シカゴ通貨先物のポジションをみると、さすがに売り買いネットポジションにおける円買い、ユーロ買いは減少している。

先週火曜日時点で円ロング(買い持ち)は19千枚、ユーロロング(買い持ち)は126千枚。円は1月初旬から下旬に推移した直近ピークの50千枚程度から半分以下に、ユーロは昨年夏の200千枚から140千枚程度に減少してから1月下旬にかけて160千枚に持ち直し、その後にあらためて減少傾向となっている。

おそらく足元ではさらにドル買い戻しが進んでいると推測される。

これらに示されるような、対円、対ユーロでのドル買いが、ドルインデックスの底打ちを主導していることがみてとれる。

ドル買い戻しがドル反発の要因で、未だその範囲内とすれば、積極的にドルのリスクをとる動きに転じた場合にはさらなるドル高となり、想定を上回るドル高リスクがある。

さしあたり、ECB理事会で長期金利上昇を容認するFRBのスタンス格差が明確となるか。ユーロ売りドル買いがさらに後押しされるかが着目される。さらに日銀のスタンスが日米格差を意識させるかどうか。

日本株と円相場の動きを振り返れば、日経平均が上昇した日の欧州市場ではドル安円高が進む動きが散見された。

日経平均とドル円相場についてみれば、すでに株高・円高、株安・円安という動きもみられた。

米国株が長期金利上昇主導で調整する場合は、日経平均下落の傍らでドル高円安が強めに進む可能性には留意が必要だ。

米金利上昇でも株価が高値波乱程度で反落せず、リスク選好がある程度維持された場合でもドル円相場は堅調だろう。

米国の経済指標に陰りがみえ、米長期金利の上昇が一服した場合にのみ、ドル安円高方向への本格的な反落が生じそうだが、それは足元の米国におけるワクチン接種の進展、行動規制の緩和、今後の財政拡大などを踏まえれば、当面は確度の低いリスクシナリオとなりそうだ。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :108.31(+0.33)
ユーロ :128.98(▲0.26)
英ポンド :149.921(▲0.11)
豪ドル :83.276(▲0.11)
カナダドル :85.566(+0.32)
スイスフラン :116.432(+0.17)
ブラジルレアル :19.0501(+0.00)
中国人民元 :16.645(+0.03)
韓国ウォン(日本円=100) :9.626(+0.08)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1915(▲0.005)
英ポンド :1.3841(▲0.005)
豪ドル :0.7686(▲0.004)
カナダドル :1.2659(▲0.001)
スイスフラン :0.9292(+0.001)
ブラジルレアル :5.6838(+0.015)
中国人民元 :6.497(+0.027)
韓国ウォン :1125.68(+0.48)

【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :1.57(+0.00)
米2年債 :0.14(▲0.01)
日本10年債利回り :0.10(▲0.04)
日本2年債利回り :0.10(+0.01)
独10年債利回り :▲0.30(+0.01)
独2年債利回り :▲0.69(▲0.01)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :31,496.30(+572.16)
NASDAQ :12,920.15(+196.68)
S&P500 :3,841.94(+73.47)
日経平均株価 :28,864.32(▲65.79)
ドイツ DAX :13,920.69(▲135.65)
インド センセックス :50,405.32(▲440.76)
中国上海総合 :3,501.99(▲1.51)
ブラジル ボベスパ :115,202.20(+2,512.00)
英国FT250 :20,961.31(▲334.92)
ビットコイン :49053.13(+1134.25)

【主要商品価格】
WTI :66.09(+2.26)
Brent :69.36(+2.62)
米ガソリン :206.47(+6.68)
米灯油 :194.40(+4.80)

金 :1700.64(+3.12)
銀 :25.25(▲0.11)
プラチナ :1132.78(+3.23)
パラジウム :2341.26(▲0.72)
銅 :8996.50(+240:25B)
アルミニウム :2176.00(▲2:9B)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :1434.25(+19.00)
シカゴ とうもろこし :562.00(+15.75)
シカゴ小麦 :654.00(+4.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。