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欧州統計改善とドル安で軒並み上昇
  • MRA商品市場レポート

2021年3月29日 第1932号商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「欧州統計改善とドル安で軒並み上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて堅調な推移となった。為替動向を睨みながらの神経質な推移が続いているが、週末は独IFO景況感指数が市場予想を大幅に上回る内容だったこともあって、緩やかながらもドル安が進行、政治的なイベントリスクへの警戒が強い中、週末を控えた買い戻しが価格を押し上げた。

なお、スエズ運河は閉鎖された状態が続き、場合によると1週間程度このままの可能性が出てきた。

スエズ運河はホルムズ海峡とは異なり、迂回ルートが存在する。そのため、仮にスエズ運河が運行可能になったとしても、価格に与える影響は一時的なものに止まる。

しかし、輸送に遅れが出ることは確実であり、かつ、迂回ルート(喜望峰周り)を選択した場合にはコストの増加と納入の遅延が発生するため、末端価格には上昇圧力が掛ることになるだろう。場合によると生産に遅れが出ることも十分、想定される。

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【本日の見通し】

週明け月曜日は、目立った手がかり材料に乏しい中、四半期末を意識した売りと、週末のIFO指数などを受けたユーロの買い戻しによるドル安進行がせめぎ合う形で、方向感に欠ける展開が予想される。

ただ、週末に発表された中国の工業生産の数値が余りに強い数字だったこともあり工業金属には再び上昇圧力が掛りそうだ。

なお、昨年の水準はほぼ参考にならないので、2019年の水準で比較すると2019前年比+57.3%とそれでも顕著な上昇になっている。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は上昇した。独IFO景況感指数が市場予想を上回り、ユーロ高・ドル安となったことや欧州の景況感悪化への懸念が後退したこと、スエズ運河の閉鎖が長引きそうだとの報道を受けて、恐らく実需筋が一旦買い戻しを入れたためと考えられる。

なお、繰り返し主張しているように、ロジに問題が発生したところで反射的に買い戻しが入るが、完全にブロックされてしまうホルムズ海峡と異なり、迂回ルートが存在するため、時間は掛かるとしても最終的には輸送され、そのタイミングで売りヘッジが再度入ることから、長期の影響は中立である。

石炭価格(豪州炭)は小幅に下落。豪州東部の洪水の影響で輸出が滞っていたが、ニュースベースではメルボルン-オーストラリア鉄道整備会社(ARTC)が、ニューキャッスルへのハンターバレー石炭鉄道が完全に復旧したと発表している。これにより、輸送のリスクが軽減されることとなった。

バルチック海運指数は昨日はこの輸送再開報道もあってか、小幅に上昇している。

極東のスポット天然ガス価格の指標であるJKMは小幅に上昇。スエズ運河関連報道で欧州の天然ガス価格が上昇し、それに連れる形となった。米天然ガスはもみ合い。

週明け月曜日は手がかり材料に乏しく、方向感に欠ける展開が続くと考える。スエズ運河による買い戻しは繰り返し主張している用に長く続くものではないため、週末の上げ幅が大きかったことから月曜日は調整売りから入ると考える。

石炭価格は豪州の輸送再開で戻り売りに押され、JKMも海上輸送石炭価格の下落で軟調推移を予想。

欧州天然ガスはスエズ運河の封鎖で現物の遅着が見込まれることから堅調、米天然ガスは気温低下予想を受けて堅調推移を予想。

◆非鉄金属

LME非鉄金属は上昇した。LME指定倉庫在庫の減少継続と、独IFO景況感指数が予想を上回る改善となったことで域内需要の回復期待が強まった他、ユーロ高・ドル安となったことが買い戻しを誘った形。

スエズ運河の閉鎖も現物の地着懸念を強め、週末を控えてショート筋の買い戻し材料にされた感がある(ただしエネルギーのところで書いているように、価格への影響は長期的には中立)。

週明け月曜日は材料に乏しく、週末の価格上昇を受けた反動で一旦下落すると考える。もうすぐ四半期末だが、「新しい四半期に入ったタイミングでの利益確定スタートダッシュ」も有り得るため、しばらく非鉄金属は神経質な推移が続く見込み。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は小幅高、大連原料炭先物は小幅高、上海鉄鋼製品先物価は上昇した。

市場では鉄鋼製品先物価格が上昇し、鉄鉱石も連れ高となった。中国のミルは仕入・製造販売で先物を使ったヘッジを行っているため、両者は連動しやすい。

なお、中国の東地区では現物の鉄鋼製品価格の上昇がストップしたが、鉄鋼製品先物は上昇した。

週明け月曜日も、鉄鉱石全体では需給がタイトな状態が変わらないため高値圏を維持の公算。

◆貴金属

金価格は実質金利は若干低下したがほぼ横ばいで、ドル指数が独IFO指数の大幅改善を受けて下落したことで、為替が影響するリスク・プレミアム部分が上昇したため。

銀はもみ合った結果前日比変わらず。PGMは金価格の上昇と株価の上昇もあって水準を切り上げた。

週明け月曜日も為替動向が価格を左右するが、予定されているイベントがほとんどないため方向感が出難く、基本的には現状水準でもみ合う展開を予想する。

◆穀物

穀物価格は軟調なまちまち。トウモロコシは週間輸出統計で輸出が大幅に増加したことが材料となり、大豆は減少したこと、作付け意向面積が増加見通しであることが売り材料となった。小麦はもみ合った結果小幅高。

2021年3月18日時点米週間主要穀物成約高トウモロコシ 4,626.40千トン(前週比+3,399.6千トン)大豆 166.80千トン(▲35.6千トン)小麦 414.10千トン(▲115千トン)

今週発表予定の作付け意向面積は以下の通り。トウモロコシの作付け、

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,313万エーカー(市場予想 9,699万エーカー)大豆 9,010万エーカー(8,351万エーカー)小麦 4,495万エーカー(4,466万エーカー)綿花 1,215万エーカー(1,370万エーカー)

週明け月曜日は固有材料に乏しく、もみ合うものと予想。当面、サポートラインを巡る攻防が続くことになるだろう(トウモロコシ・大豆は50日移動平均線、小麦は200日移動平均線)。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は上昇した。独IFO景況感指数が市場予想を上回り、ユーロ高・ドル安となったことや欧州の景況感悪化への懸念が後退したこと、スエズ運河の閉鎖が長引きそうだとの報道を受けて、恐らく実需筋が一旦買い戻しを入れたためと考えられる。

なお、繰り返し主張しているように、ロジに問題が発生したところで反射的に買い戻しが入るが、完全にブロックされてしまうホルムズ海峡と異なり、迂回ルートが存在するため、時間は掛かるとしても最終的には輸送され、そのタイミングで売りヘッジが再度入ることから、長期の影響は中立である。

石炭価格(豪州炭)は小幅に下落。豪州東部の洪水の影響で輸出が滞っていたが、ニュースベースではメルボルン-オーストラリア鉄道整備会社(ARTC)が、ニューキャッスルへのハンターバレー石炭鉄道が完全に復旧したと発表している。これにより、輸送のリスクが軽減されることとなった。

バルチック海運指数は昨日はこの輸送再開報道もあってか、小幅に上昇している。

極東のスポット天然ガス価格の指標であるJKMは小幅に上昇。スエズ運河関連報道で欧州の天然ガス価格が上昇し、それに連れる形となった。米天然ガスはもみ合い。

週明け月曜日は手がかり材料に乏しく、方向感に欠ける展開が続くと考える。スエズ運河による買い戻しは繰り返し主張している用に長く続くものではないため、週末の上げ幅が大きかったことから月曜日は調整売りから入ると考える。

石炭価格は豪州の輸送再開で戻り売りに押され、JKMも海上輸送石炭価格の下落で軟調推移を予想。

欧州天然ガスはスエズ運河の封鎖で現物の遅着が見込まれることから堅調、米天然ガスは気温低下予想を受けて堅調推移を予想。

◆非鉄金属

LME非鉄金属は上昇した。LME指定倉庫在庫の減少継続と、独IFO景況感指数が予想を上回る改善となったことで域内需要の回復期待が強まった他、ユーロ高・ドル安となったことが買い戻しを誘った形。

スエズ運河の閉鎖も現物の地着懸念を強め、週末を控えてショート筋の買い戻し材料にされた感がある(ただしエネルギーのところで書いているように、価格への影響は長期的には中立)。

週明け月曜日は材料に乏しく、週末の価格上昇を受けた反動で一旦下落すると考える。もうすぐ四半期末だが、「新しい四半期に入ったタイミングでの利益確定スタートダッシュ」も有り得るため、しばらく非鉄金属は神経質な推移が続く見込み。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は小幅高、大連原料炭先物は小幅高、上海鉄鋼製品先物価は上昇した。

市場では鉄鋼製品先物価格が上昇し、鉄鉱石も連れ高となった。中国のミルは仕入・製造販売で先物を使ったヘッジを行っているため、両者は連動しやすい。

なお、中国の東地区では現物の鉄鋼製品価格の上昇がストップしたが、鉄鋼製品先物は上昇した。

週明け月曜日も、鉄鉱石全体では需給がタイトな状態が変わらないため高値圏を維持の公算。

◆貴金属

金価格は実質金利は若干低下したがほぼ横ばいで、ドル指数が独IFO指数の大幅改善を受けて下落したことで、為替が影響するリスク・プレミアム部分が上昇したため。

銀はもみ合った結果前日比変わらず。PGMは金価格の上昇と株価の上昇もあって水準を切り上げた。

週明け月曜日も為替動向が価格を左右するが、予定されているイベントがほとんどないため方向感が出難く、基本的には現状水準でもみ合う展開を予想する。

◆穀物

穀物価格は軟調なまちまち。トウモロコシは週間輸出統計で輸出が大幅に増加したことが材料となり、大豆は減少したこと、作付け意向面積が増加見通しであることが売り材料となった。小麦はもみ合った結果小幅高。

2021年3月18日時点米週間主要穀物成約高トウモロコシ 4,626.40千トン(前週比+3,399.6千トン)大豆 166.80千トン(▲35.6千トン)小麦 414.10千トン(▲115千トン)

今週発表予定の作付け意向面積は以下の通り。トウモロコシの作付け、

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,313万エーカー(市場予想 9,699万エーカー)大豆 9,010万エーカー(8,351万エーカー)小麦 4,495万エーカー(4,466万エーカー)綿花 1,215万エーカー(1,370万エーカー)

週明け月曜日は固有材料に乏しく、もみ合うものと予想。当面、サポートラインを巡る攻防が続くことになるだろう(トウモロコシ・大豆は50日移動平均線、小麦は200日移動平均線)。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米大統領選挙前後の国内融和にバイデン次期大統領が失敗する場合(今のところ成功している模様)。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならないが、足下、どの中央銀行・政府も景気過熱は意識しているものの沈静化させるタイミングと判断していないため、しばらくは顕著な価格上昇リスクとなる見込み。

常識的に考えると今年の年末頃からテーパリング開始の見通しとなるが、来年の米中間選挙を控えて米政権がテーパリング実施にクギを刺す可能性がある。この場合、2022年にかけて、さらにリスク資産価格が上昇する可能性も。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は四半期末とドル高進行を意識した手仕舞い売りが顕在化しているが、高値圏を維持すると予想する。

短期的にはスエズ運河の閉鎖により、売りヘッジを行っている買い手がショートの巻き戻しを入れるため(恐らく解消済み)価格の上昇要因となるが、開通、ないしは迂回を決定した段階でまた売りヘッジが入るため、長期的には影響は中立、と見るべき。

なお、原油価格の高騰で、3月末・4月1日に開催されるJMMC、OPECプラスでは増産が決議されるとみられていたが、足下の価格下落を受けて減産継続の可能性が出てきたこと、各国の経済対策や金融緩和の継続が確認されていることが背景。

ただし、同時にインフレ期待も高まっていることや、それに伴う長期金利上昇、株安がドル高を誘発する可能性があること、融緩和は継続するものの、「強いドルを望む」発言が米高官から出ていることから、ドル高進行がファイナンシャルな面で価格を下押しするため、上値も重いと考える。

原油価格の上昇要因となっていた米シェールオイルの生産減少が回復する見通しであることや、OPECプラスの減産解除観測も、上昇余地を制限しよう。

なお、常識的に考えれば経済活動の再開で2022年頃からテーパリングが始まり、過去の例を考えると長期金利の上昇などを通じてリスク資産価格には一時的に調整圧力が強まる可能性は高い。そのため、2022年には一旦調整局面があり、その後、持続可能な上昇になると予想する。

【見通しの固有リスク】

・ワクチン接種の進捗が想定よりも早まり、人の移動制限が解除され需要増加に供給が間に合わず、価格が急騰するリスク(供給の時間差リスク)。

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラスのプログラムの対象となっていない中東諸国の増産(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権がシェールオイルのフラッキングやパイプライン敷設を制限/禁止する場合、供給減少で価格上昇要因に。

また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に。ただし、米国内の反イラン感情の高まりで、直ちに制裁が緩和される可能性は低い。

・イランの反米感情が高まり、中東の不安定さが増す場合(価格上昇要因)。

イランでは6月に大統領選挙が予定されており、国内保守派に配慮してロウハニ大統領はタカ派的な発言をする可能性があるが、制裁解除に向けた融和的なコメントも欧米向けに発信せざるを得ず、ロウハニ大統領の発言で価格は左右される見込み。

・米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解し、巨大なイスラム教圏が誕生した場合(地域安定で原油生産増加、短期的には価格の下落要因に。ただし相当発生の可能性が低いリスクシナリオ)。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は高値を維持すると考える。バルチック海運指数の上昇を見るに値動きは旺盛であることが背景。

しかし、春が近づいていること、豪州で発生した洪水の影響が緩和したことで一時的に調整圧力が強まる展開が予想される。

中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、経済活動の回復に供給が十分ではない。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていること、春先に掛けては季節的に需要が減少することから海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

2月の中国の石炭輸入は気温低下の影響で前月から大幅に増加。前年水準の14倍、前月から3倍強となる3,907万5,000トン(前月1,176万トン)と顕著に増加した。

1-2月の累計では前年比▲46.0%の2,423万9,951トンと大幅に減少している。国内生産の水準が出ていないが、国内供給が増えたか、需要が減少したか、あるいはその両方かだろう。

燃料炭の港湾在庫の水準を見るに、需要減速・国内生産が同時に起きていると予想される。よって、石炭価格にも徐々に下押し圧力が掛りやすくなることが予想される。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は石炭価格が調整すること、から、調整圧力が強まる展開を予想する。石炭価格次第ではあるものの、恐らく過去5年平均程度(現時点では5.5ドル程度)までの調整はあると考えている。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・最大供給国であるロシアの増産。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【投機筋のポジション動向】・WTIは投機の買いが増加、ショートも増加したがネット買越し幅は拡大。Brentは高値圏にあることからショートが増加し、ネット買越し幅は縮小している。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが683,015枚(前週比 +2,507枚)ショートが159,960枚(+4,894枚)ネットロングは523,055枚(▲2,387枚)

Brentはロングが375,828枚(前週比▲36,650枚)ショートが92,898枚(+14,823枚)ネットロングは282,930枚(▲51,473枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は短期的には調整圧力が強まる展開になると予想する。欧州のコロナ拡大を材料にしたユーロ安・ドル高圧力が強まっていることが、価格をファイナンシャルな面で下押しすると考えられるため。

ただし、各国の財政出動並びに金融緩和スタンスは継続される見込みであり、中国のみならず、米民主党政権は1.9兆ドルの経済対策に加え、4年で2兆ドル規模の経済対策(クリーン・インフラ投資)を検討、中国も7月の共産党結党100周年記念までは少なくとも景気刺激を続けると見られる。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

また、中期的には調整圧力が強まる展開になるとの予想は、現時点では変更する必要はないと考えている。中国政府が国内バブルを警戒する姿勢を強めていること、米経済統計回復に伴うドル高進行、早ければ2021年末頃から始まる可能性がある、米テーパリング開始の可能性、生産国の生産が回復する可能性が高いことが材料。

なお、現在の価格上昇は実際に中国の需要の増加による需給タイト化によるものであり、環境規制強化が牽引する価格上昇ではない。しかし、一時の過熱感はややトーンダウンしている。

2月の中国製造業PMIは50.6(前月51.3)と小幅に減速。生産や輸出向けの受注が減速(50.2→48.8)、新規受注も全体で51.5(52.3)と減速している。恐らく国内向けの新規受注も小幅に減速したとみられる。鉄鋼業PMIは輸出向けの受注が回復したが、工業製品全体ではやや足踏みしているようだ。

ただ、非鉄金属価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは、完成品が1.063→1.073、原材料が1.067→1.080といずれも小幅に上昇しており、先月までの需給緩和圧力が弱まった、と言えるだろう。

しかし、同レシオと比較した場合の非鉄金属価格の上昇幅は顕著であり、やや上げすぎの感は否めない。

このほか、環境重視型社会への急速なシフト観測も、投機買いを加速させている感は否めない。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高いと言える。

足下は期待選好で、総じて中長期的には物色されやすい地合が続くとみる。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を行う場合(上昇リスク)。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク)。

コロナの影響もあって、2020年12月1日時点の鉱山生産への影響は全体で184万1,000トン、コロナの影響によるものは112万3,000トン。

精錬品生産で影響を受ける規模が、全体で141万6,000トン、コロナによるものが62万8,000トン。

・中国の環境規制強化やコロナの影響再発に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

【投機筋のポジション動向】・先週、投機筋は銅・亜鉛・アルミのロングが増加、その他は減少している。しかし、全体ではネットロングが減少しており、投機は手仕舞いに動いているとみられる。

・LME投機筋買い越し金額 前週比▲2.2%の261億ドル(前週 267億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比▲1.9%の5,760.9千トン(前週 5,874.3千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国の景気先行指標をみるに堅調な推移を続けると考える。中国の顕在需要が増加していることが背景。

今後も、中国政府のインフラ投資を柱とする経済対策が今年7月の中国共産党結党100周年記念まで続くと予想されること、全人代では財政赤字幅を市場予想よりも拡大する見通しが示され、さらなる景気刺激が見込まれること、これに加えて米国も、バイデン大統領の公約である4年2兆ドルのクリーン・インフラ投資を行う見通しであること、中国国内の鉄鋼原料在庫日数の水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高く、基本は底堅い推移となる。

ただし、中国政府は景気刺激と同時に住宅セクターのバブルを懸念し始めており、住宅取得規制の動きも見せている。しかし、同時に自動車取得を促す政策も発表(ナンバープレート取得条件緩和、新エネルギー車購入に補助金、自動車ローンの頭金引き下げ)しており、やや一貫性に欠ける。バブルは警戒しているが、直ちに規制を強めることはなさそうだ。

ただし、中国共産党は2021年から始まる新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。目先の景気刺激が終了し、景気の巡航速度への回復が確認されるタイミングで景気刺激と鉄鋼増産は回避される可能性が高く、年後半に掛けては価格は下落すると予想する。

2月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は48.6(前月44.3)と大幅に回復した。生産指数が54.7(48.7)と改善したこと、輸出向け新規受注が61.4(55.2)と回復した影響が大きかった。なお、新規受注は全体では43.3(35.0)と50を下回っているため、国内向けの需要が減速している可能性が高いことを示唆している。

中国は国内の過剰な経済対策を鈍化させ、輸出主導の回復に徐々にシフトしていくと考えられる。在庫水準は原材料の水準が上昇しているが、完成品在庫の減少が確認されている。新規受注在庫レシオは完成品が大幅に上昇(0.72→1.14)、原材料も上昇(0.83→0.93)。

しばらくは海外向けの需要回復とそれに伴う在庫積み増しで、鉄鋼製品の在庫積み増し需要に牽引される形で鉄鋼セクターの動きは底堅く推移しよう。

ただし、規模的に国内需要よりも小さい外需の取り込みであるため、回復ペースは鈍化すると予想され、原料調達圧力も弱まることから価格の上昇ペースも鈍化することになると予想される。

中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、2月は前年比+6.9%の108万トン(前月131万トン)と減少傾向を持続し、過去5年レンジの上限まで減速した。

12月の国内生産は季節性もあるが9,125万トン(前月8,766万トン、10月 9,220万トン、9月 9,256万トン)と回復した。

その一方、2月の鉄鋼製品輸出は490万トン(前月524万トン)と低迷、過去5年レンジの下限(780万トン)を下回った。このことは海外市場の回復が低迷していることを示唆する一方、国内需要はそれなりに堅調であることをうかがわせる。

弊社はこの鉄鋼製品の輸出入動向に注目しているが、輸出/輸入とも過去5年レンジに復帰しており、徐々に過剰な国内依存(政策依存)の需要環境から、輸出に牽引される形での鉄鋼業の操業状態(通常状態)に戻っていると考えている。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが在庫水準は前週比▲89万8,000トンの2,068万トン(過去5年平均 1,685万4,000トン)と、例年よりも在庫水準は高いが、既に在庫の取り崩し時期に突入している。

これまで需給はタイト化しているとみられたが、中国政府が過度な住宅セクーの過熱を警戒しているせいか、やや緩和方向にシフトしている可能性がある。

実際、2月の中国の建設業PMIが閾値の50は上回っているものの、前月の60.0から54.7とコロナ禍で減速した昨年2月以来の低水準に減速している。

原料である鉄鉱石の2月の輸入は前年比+3.8%の9,050万トン(前月▲4.5%の9,675万トン(前月+1.7%の9,100万トン)。昨年と春節の時期が異なるため一概に比較はできないが、1-2月で合計すると前年比+2.7%の1億8,151万トンと、過去5年の最高水準である1億8,461万トンには及ばないが、過去5年平均である1億7,338万トンは大きく上回っている。中国の鉄鋼セクターの活動は旺盛、と言えるだろう。

鉄鉱石港湾在庫は前週比▲20万トンの1億3,365万トン(過去5年平均1億3,146万6,000トン)、在庫日数は29.7日(過去5年平均 35.7日)と例年と比較して在庫日数の水準は低く、輸入需要は持続するものと思料。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比▲27万トンの211万トンと過去5年の最高水準である193万トンを上回っている。

在庫日数は前週比▲1.0日の8.1日と、過去5年の最高水準である10.2日を下回った。再び原料炭需給はタイト化の方向にある。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は軟調な推移になると考える。長期金利上昇、景気回復期待でのドル高進行が米雇用統計を受けて加速していることから。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,550ドルに低下。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は179ドルと昨日から+5ドル上昇。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、69.1倍。過去1年を基準にすると83倍、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

金は高値を維持する見通しだがバイデン大統領誕生により、太陽光発電向けに用いられる「バイデン銘柄」であることもあって、需要構造の変化が価格を下支え(金銀レシオは低下)するものと予想。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。これまで、各国の自動車セクターの回復期待と、主要生産国である南アフリカの供給不安が価格を押し上げている。

ただし米長期金利上昇に伴う、ベンチマークの金価格の調整は下押し圧力を強めることになるだろう。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは景気正常化期待による金価格調整→経済正常化による需要増加、ロシア生産者からの供給減少観測を受けて高値を維持すると考える。

コロナショック後、パラジウム価格は基本的にETF価格との連動性が高まった(自動車向けの需要減少で余剰が発生したため)が、足下、ETFの残高の変動以上に価格が上昇している状況。

自動車生産が回復すれば再びパラジウム供給不足が発生し、ETFの残高減少と価格上昇が同時に発生する可能性が高いとみている。

2月の米自動車販売は年率1,567万台(前月1,606万台、市場予想1,663万台)と減速した。

中国の1月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+371%の146万台(前月+30%の250万台、12月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と前年比の伸びが加速している。

ただし今月の加速は昨年のコロナからの反動で、2019前年比では▲1.8%とまだ回復していない。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・世界的な成長力の低下に伴い、各国の財政状況が悪化、地政学的リスクが顕在化する場合(中東・北アフリカのリスク顕在化の可能性は低くない)。リスク・プレミアム上昇を通じて貴金属価格の上昇要因に。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが262,774枚(前週比 +6,537枚)、ショートが88,707枚(+12,666枚)、ネットロングは174,067枚(▲6,129枚)、銀が70,257枚(▲401枚)、ショートが39,178枚(+2,129枚)、ネットロングは31,079枚(▲2,530枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが40,914枚(前週比 ▲1,771枚)ショートが10,688枚(▲554枚)、ネットロングは30,226枚(▲1,217枚)

パラジウムが5,204枚(+175枚)、ショートが2,840枚(▲627枚)ネットロングは2,364枚(+802枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

トウモロコシ・大豆は中国の需要が堅調であること、南米の洪水や北米の気象状況の悪化による供給懸念から、しばらく高値圏で推移すると考える。

しかし、米長期金利上昇によるドル高を受けて、投機的な視点で利益確定による売り圧力が強まると予想されるため、徐々に水準を切り下げる動きになると考える。

足下の価格上昇を受けて作付け面積の拡大が全ての穀物で見込まれており、価格の下押し要因となる。作付け意向面積は3月末に発表予定だが、予定されている材料としては目先、最も重要なものになるだろう。

市場予想は以下の通り。

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,313万エーカー(市場予想 9,699万エーカー)大豆 9,010万エーカー(8,351万エーカー)小麦 4,495万エーカー(4,466万エーカー)

しかし、寒波と降雪の影響で作付けに影響が出る可能性がある。冬場の降雪量が多かった場合、通常であれば春の土壌水分改善で播種が進み豊作に繋がると判断されるのだが、想定以上の雪解け水が発生した場合には逆に耕作が不可能になるため、価格の上昇リスクとなり得る。

Locust Watchではエチオピア、ケニアで群生相が発生していたが、ここにきて群生相が急速に減少した。継続した繁殖が見られなかったようで、降雨が見込まれる一部の地域を除けば、繁殖は制限される可能性が高まっている。

バッタによる食害リスクは以前よりは低下している、と考えられる。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210315HoAforecast.jpg

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象の発生による穀物供給減少リスクの顕在化。害虫の発生、生産地の土壌破壊など(すでに一部顕在化)。

春から夏にかけて発生する可能性が高まっているエルニーニョ現象の影響による不作。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・3月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 172.0Bu/エーカー(NA、172.0)大豆 50.2Bu/エーカー(NA、50.2)小麦 49.7Bu/エーカー(NA、49.7)

・3月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 141億8,200万Bu(NA、141億8,200万Bu)大豆 41億3,500万Bu(NA、41億3,500万Bu)小麦 18億2,600万Bu(NA、18億2,600万Bu)

・3月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 26億Bu(25億5,000万Bu)大豆 22億5,000万Bu(22億3,000万Bu)小麦 9億8,500万Bu(9億8,500万Bu)

・3月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 15億200万Bu(14億6,035万Bu、15億5,200万Bu)大豆 1億2,000万Bu(1億1,673万Bu、1億4,000万Bu)小麦 8億3,600万Bu(8億3,838万Bu、8億3,600万Bu)

・12月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 113億2,200万Bu(117億4,670万Bu、19億5,000万Bu)大豆 29億3,300万Bu(29億2,900万Bu、5億2,500万Bu)小麦 16億7,400万Bu(16億9,555万Bu、21億5,800万Bu)

・2月CONABブラジル作付け面積(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1,909万ha(1,946万ha、1,846万ha)大豆 3,827万ha(3,845万ha、3,819万ha)

・2月CONABブラジル生産量(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1億548万トン(1億853万トン、1億231万トン) 単収 5,525Kg/ha(5,576kg/ha、5,541kg/ha)大豆 1億3,382万トン(1億3,327万トン、1億3,369万トン) 単収 3,497Kg/ha(3,469kg/ha、3,500kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが616,101枚(前週比 +32,822枚)、ショートが77,401枚(+3,206枚)ネットロングは538,700枚(+29,616枚)

大豆はロングが270,745枚(+5,214枚)、ショートが43,081枚(▲919枚)ネットロングは227,664枚(+6,133枚)

小麦はロングが122,189枚(+4,036枚)、ショートが106,933枚(+5,836枚)ネットロングは15,256枚(▲1,800枚)

◆本日のMRA's Eye


「物流のリスク~正常化の後 商品価格は下落か」

この数ヵ月ニュースベースでも「製造業が現物を確保できずにいる」ことが定常化しているようだ。

通常であれば景気が減速している局面では需要が減少し、現物のデリバリーに問題が生じることは少ないが、今回のコロナショックは循環的な景気の減速によって発生したものではなく、人為的に人やものの移動を制限したことによって発生したものである。

結局解決に1年以上かかっているが、「コロナ収束後は元の職場に戻れる」「自宅にデリバリーしてもらえば良い」といった楽観というか慣れというかそういったものが消費を支えたため、これまでのショックとはやや影響が異なった。

さらに、景気減速を回避するために過剰に行われた経済対策の影響で需要が想定以上に増加したことも物流面に影響を及ぼしたと言える。

この結果、ISM製造業指数の内数である仕入遅延指数は急上昇しており、原料や製品の輸送に障害が出ていることが統計上も明らかである。また、生産と需要(本稿では新規受注・受注残の平均を需要としている)のギャップも拡大、需要>生産となっており、輸送と生産能力両方の要因で供給が制限され、仕入価格の上昇に繋がっていると考えられる。

需要指数とほぼ連動して変化していた雇用指数はその伸びが鈍化している。恐らく製造業の中で人手の確保が十分できていない可能性が高い。

これにより企業の在庫はほぼ横ばいだが、企業の先の顧客在庫は減少している。このことは原料が輸送できず、在庫を取り崩しながら川下の企業が生産を行っている可能性が高いことを示しており、物流障害の改善がなければ、

1.価格が高騰する2.最終製品が生産できない3.その他のサプライチェーンに波及

といった事態が発生し、景気にマイナスとなる。既にこれらは一部顕在化しているが、これに北米の大寒波の影響に寄る生産減少(特に石油製品)が重なり、米国の置かれている供給環境はさほど良くない。

なお、仕入遅延指数は2000年以降の最高水準であり、この水準はオイルショックが発生して工場の稼働が止まり、輸送が制限された1973~1974年頃の水準。

この頃は偶数の日しかガソリンを入れてはいけない、といった供給制限も発生した。足下のコロナでは「感染拡大を防止するために、人為的に物理的な移動を制限」している状態だが、企業の実感としてはオイルショック時と同等の輸送制限が発生している状況。

しかし、Bloombergの商品価格指数の前年比上昇率を見ると、過去の例の場合、、輸送遅延が解消する中で前年比上昇率が低下しており、現在の輸送の遅れが人手不足によるものなのか、旅客機の使用ができない中で輸送能力が制限されたことによるものなのか、あるいはそれらの複合要因なのかは断定が難しいが、「ロジスティクスが正常化する中で」供給増加が起き、商品価格が下落する可能性は高いと考えている。

現時点ではインフレも懸念しなければならない状況ではあるが、冷静に考えると下落リスクが無視できない(特に今回の件については川下商品における価格下落)と見ている。

◆主要ニュース


・3月東京消費者物価指数 前年比▲0.2%(前月▲0.3%)
 除く生鮮▲0.1%(▲0.3%)、除く生鮮エネルギー+0.3%(+0.2%)

・3月独IFO企業景況感指数 96.6(前月92.7)
 期待指数 100.4(95.0)
 現状指数 93.0(90.6)

・1-2月期中国工業セクター利益 前年比+179%の1兆1,140億元(1-12月期 前年比+4.1%の6兆4,516億元)

・2月米前渡商品貿易収支 ▲867億ドルの赤字(▲846億ドルの赤字)

・2月米卸売在庫 前月比+0.5%(前月+1.4%)
 小売在庫 ±0.0%(▲0.3%) 

・2月米個人所得 前月比 ▲7.1%(前月+10.1%)
 個人支出▲1.0%(+3.4%)
 実質支出▲1.2%(+3.0%)
 PCEデフレータ 前月比+0.2%(+0.3%)、前年比+1.6%(+1.4%)
 コアデフレータ 前月比+0.1%(+0.2%)、前年比+1.4%(+1.5%)
 貯蓄率 13.6%(19.8%)

・3月米ミシガン大学消費者マインド指数改定 84.9(速報比+1.9、前月76.8)
 現況指数 93.0(+1.5、86.2)
 先行指数 79.7(+2.2、70.7)
 1年期待インフレ率 3.1%(±0.0%、3.3%)
 5年期待インフレ率 2.8%(+0.1%、2.7%)

・米国と台湾、沿岸警備の協力強化に向け覚え書き締結。

・中国政府、国家主導で外国企業を対象に不買運動を実施。新疆ウイグル自治区問題を受けて。

・米バイデン大統領、英ジョンソン首相と中国の一帯一路に対抗する枠組みを提案。

・北朝鮮のミサイル、2.5トンの弾頭を搭載することが可能。

・米バイデン大統領、中国とロシアを気候変動サミットに招待。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数324(前週比+6)
 ガスリグ 92(前週比±0)。

・スエズ運河の閉鎖状態続く。関係者のコメントでは最低1週間は続く可能性も。

・関西電力、再生可能エネルギーに5年で3,400億円投資へ。

・商船三井、南アフリカのLNG発電プロジェクトに参画。

・イエメン フーシ派、サウジアラビアの石油施設を攻撃。停戦提案拒否の姿勢。

・イランと中国、今後25年にわたる協力協定を締結すると発表。

【メタル】
・特になし。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ +6.59%/ +4.44%
2.DME Oman ( エネルギー )/ +4.78%/ +24.17%
3.CBTエタノール ( エネルギー )/ +4.72%/ +31.54%
4.ICEガスオイル ( エネルギー )/ +4.66%/ +21.39%
5.ICE Brent ( エネルギー )/ +4.23%/ +24.65%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.CBT大豆油 ( 穀物 )/ ▲4.55%/ +21.12%
65.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ ▲3.25%/ +3.44%
64.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲2.11%/ +9.15%
63.SHF天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲1.10%/ +2.43%
62.CBT大豆 ( 穀物 )/ ▲0.97%/ +6.48%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :33,072.88(+453.40)
S&P500 :3,974.54(+65.02)
日経平均株価 :29,176.70(+446.82)
ドル円 :109.64(+0.45)
ユーロ円 :129.31(+0.86)
米10年債 :1.68(+0.04)
中国10年債利回り :3.20(+0.01)
日本10年債利回り :0.08(▲0.00)
独10年債利回り :▲0.35(+0.04)
ビットコイン :54,002.49(+2001.49)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :30.33(+0.21)
エネルギー :34.35(+1.34)
ベースメタル :38.13(▲0.97)
貴金属 :22.76(▲1.26)
穀物 :23.10(+0.7)
その他農畜産品 :30.24(+0.35)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :54.15(+1.11)
Brent :54.39(+2.31)
米天然ガス :31.08(+1.12)
米ガソリン :41.30(+0.65)
ICEガスオイル :37.71(+4.06)
LME銅 :27.29(▲3.56)
LMEアルミニウム :23.11(+1.28)
金 :16.05(+0.4)
プラチナ :28.18(+1.57)
トウモロコシ :24.47(+0.35)
大豆 :16.05(+0.4)

【エネルギー】
WTI :60.97(+2.41)
Brent :64.57(+2.62)
Oman :63.40(+2.89)
米ガソリン :196.73(+4.64)
米灯油 :181.00(+6.22)
ICEガスオイル :510.75(+22.75)
米天然ガス :2.56(▲0.01)
英天然ガス :48.39(+1.14)

【貴金属】
金 :1732.52(+5.59)
銀 :25.06(▲0.00)
プラチナ :1188.56(+36.36)
パラジウム :2679.10(+60.29)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :8,919(+138:10.5B)
亜鉛 :2,819(+47:11C)
鉛 :1,962(+30:23.5C)
アルミニウム :2,285(+50:24.5C)
ニッケル :16,312(+300:57C)
錫 :25,648(+338:3127B)
コバルト :51,819(▲500)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :8950.00(+151.00)
亜鉛 :2828.00(+48.00)
鉛 :1949.00(+12.00)
アルミニウム :2273.50(+17.50)
ニッケル :16410.00(+240.00)
錫 :25300.00(+155.00)
バルチック海運指数 :2,178.00(+6.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :159.88(▲3.14)
SGX鉄鉱石 :166.12(+0.30)
NYMEX鉄鉱石 :166.89(▲0.16)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :116.67(+0.17)
大連原料炭先物 :254.77(+0.20)
上海鉄筋直近限月 :4,770(+25)
上海鉄筋中心限月 :4,847(+45)
米鉄スクラップ :580(±0.0)

【農産物】
大豆 :1400.50(▲13.75)
シカゴ大豆ミール :404.00(▲0.60)
シカゴ大豆油 :52.48(▲2.50)
マレーシア パーム油 :4025.00(▲135.00)
シカゴ とうもろこし :552.50(+6.00)
シカゴ小麦 :613.25(+0.75)
シンガポールゴム :232.00(±0.0)
上海ゴム :13925.00(▲155.00)
砂糖 :15.19(+0.10)
アラビカ :128.50(+1.90)
ロブスタ :1399.00(+48.00)
綿花 :80.38(+1.94)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :100.80(+1.13)
シカゴ生牛 :120.10(+0.55)
シカゴ飼育牛 :145.13(+8.98)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。