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パウエル発言を受けてさらにリスク資産価格上昇
  • MRA商品市場レポート

2021年2月25日 第1911号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「パウエル発言を受けてさらにリスク資産価格上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、自国通貨建ての商品や金、木材などの一部の商品は下落したがほとんどの商品が価格水準を切り上げる展開となった。

特段「新規」材料にならないとみていたパウエル議長の議会証言で、ほぼ前日と同じ発言を繰返し、かつ、物価上昇や景気過熱の懸念を否定したことでリスクテイク意欲が高まることとなった。

正直、経済のファンダメンタルズや、個別商品の需給ファンダメンタルズ以上に、金融・財政政策動向が価格に与える影響の方が大きくなっており、明らかに金融相場である。

ただし同時に長期金利の上昇観測も強まっており、金融面でのサポートが無ければそろそろ持続的な価格上昇は難しくなる、と見ている。しかし、それを打ち消すかのように追加財政の議論も持ち上がっているため、当面リスク資産価格は「下落時のリスクを拡大させつつ」高値を維持しそうだ。

【本日の見通し】

本日は昨日のパウエル議長のハト派的な発言を材料に、再びリスク資産が物色される流れになると考える。

足下、政策相場的な色彩が強まっているため、米連銀総裁(ニューヨーク、アトランタ、セントルイス)の発言には注目したい。

なお、FRBクオールズ副議長が講演の予定だが、銀行のストレステストに関してのコメントであり、恐らく相場への影響は限定されるだろう。

本日発表予定の統計では、米週間新規失業保険申請者数に注目している。米政権の対策によって先行きの楽観が強まっているが、足下のコロナの感染拡大は収束している訳ではなく、この間、破綻、ないしは事業縮小に追い込まれている企業は多いはずで、足下の景況感を判断する上での参考としたい。

市場予想は82万5,000件(前週86万1,000件)が予想されている。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は大幅に上昇した。景気への期待から長期金利が上昇していたが、パウエル議長の発言を受けて長期金利が低下、ドル安が進行したことが材料となった。

米石油統計は大寒波の影響で評価が難しく、影響は中立、と見るのが適当だろう。

昨日発表の米石油統計は原油・ガソリンが弱気、ディスティレートが強気な内容だった。大寒波の影響で生産・出荷に影響があった。

原油は生産が減少(▲1.1MBD)、輸入も減少(▲1.3MBD)、稼働率も低下(▲14.5%)、在庫は+1.3MBの大幅な増加となった。

在庫日数は+6.5日の36.7日と、稼働率の低下によって過去5年レンジを上抜けた。なお、製油所の稼働率の水準はコロナショック発生時とほぼ同じ低水準であった。

原油価格に影響が大きいクッシング在庫は▲3,028KB(▲658KB)と大幅に減少。厳冬の影響で域内シェールオイルの生産に影響がでているため、と見られる。在庫スペースの稼働率は60.0%(56.0%)と先週から大幅に上昇している。しかし、稼働率は昨年春に発生した大幅な価格下落が発生した時よりは低く、同様の価格急落が発生する可能性は低い。

石油製品は主に在庫水準よりも出荷動向に注目している。米ガソリン出荷は前年比▲11.7%の7.81MBD(前週▲9.2%の7.97MBD)と減速、コロナの影響がなかった2019年と比較すると▲13.4%(▲11.8%)と依然として低水準である。

一方、ディスティレートは前年比+7.9%の4.22MBD(+5.8%の4.32MBD)と増加。主に灯油需要の増加と見られる。2019年比でも+0.7%(+0.2%)とプラスに転じている。気温低下による灯油需要の増加はあるだろうが、商業ベース、企業向け、ないしは自宅配送などの必須需要は回復しているとみるべきだろう。

製品全体では▲3.9%の19.52MBD(▲2.4%の19.771MBD)と減速。気温低下で外出が減ったことが影響したと見られる。2019年比でも▲6.2%(▲4.3%)と同様に減速した。

輸出は▲13.2%の4.85MBD(▲12.5%の4.96MBD)、2019年比では▲2.3%(▲1.4%)と減速、出荷+輸出では▲5.9%の24.37MBD’(▲4.6%の24.72MBD、2019年比▲5.5%(▲4.9%))と大寒波の影響は小さく無かった。

ビジネス向け需要を中心に米国の需要は回復しており、今後、ワクチン接種拡大によって個人ベースでの需要も回復が期待され、大寒波の影響は緩和することが見込まれることから、需要面で原油価格は底堅くなるだろう。特にウイルスの影響が季節的に緩和する、春以降に需要回復が鮮明になると予想される。

石炭価格(豪州炭)は横ばい。冬場があと1ヵ月程度で終了する一方、足下の需要増加が価格を下支えしている。バルチック海運指数は小幅に続伸。

極東の天然ガス指標であるJKMは続落。冬場があと1ヵ月程度で終了することもあり、調達圧力が弱まっているため。欧州ガスは小幅に上昇、米天然ガスは気温上昇見通しで小幅続落した。

本日は、昨日のパウエル議長の議会証言の発言を受け、昨日同様上昇すると考える。足下、経済統計よりもこうした政策当局者の発言に価格が左右されやすい。

石炭・天然ガスはまだ気温が低いこともあり、スポット価格は高値圏での推移を続けるものと思料。

◆非鉄金属

LME非鉄金属は前営業日のパウエル議長発言を受けたドル安進行で上昇していたが、昨日もパウエル議長が緩和継続を強調したことでドル安が進行したことが材料となった。

LME指定倉庫在庫は銅やニッケル、錫などが増加したがほとんど材料視はされなかった。そもそも需給ファンダメンタルズはタイトだが、それを前提とした金融・財政政策動向が価格を大きく動かしている印象は否めない。

本日もパウエルFRB議長の議会証言を受けたドル安圧力を受けて水準を切り上げる展開を予想する。ただし、価格の絶対水準が高いことも事実であり一定の利益確定売り圧力がかかると予想され、上昇余地も限定されると考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅安、大連先物は小幅高、豪州原料炭スワップ先物は小幅上昇、大連原料炭先物は上昇した、上海鉄鋼製品先物価は直近限月が小幅上昇、中心限月が小幅下落。

目立った新規材料に乏しい中、中国の景気刺激策がまだ終了するわけではないこと、足下の鉄鋼原料需給のタイトさが価格を高値に維持している。

本日も高値圏での推移を予想する。中国政府は住宅セクターの過熱を懸念してはいるものの、急ブレーキを踏む意向は今のところないため。

◆貴金属

金価格はもみ合った結果小幅安。ドル指数が長期金利上昇や、パウエル議長の発言を受けて乱高下したため、下落後上昇し、前日比マイナスとなった。

足下、実質金利には上昇圧力が掛っており、金の基準価格は▲10ドル低下した。銀価格は逆に上昇。各国、特に米国の政策期待が高まる中で太陽光パネル設置期待も高まっていることが価格を上昇させている。

今回のラディットなどのSNSを通じた個人投資家の動きに関して、当局の規制が行われている訳ではないため、インフラ投資などへの期待が高まる局面では価格が上昇してもおかしくない。また、全員でSprott Physical Silver Trustを買おう、という煽りがSNS上を賑わしているのは事実だ。

それと同じ理由でプラチナも上昇している。水素社会、燃料電池車などの「テーマ」がある、ということだろう。パラジウムは経済対策期待による株高で大きく水準を切り上げた。

本日は、昨日のパウエル議長の発言を受けて実質金利が低下していることから、水準を切り上げる展開を予想する。敷かし、長期金利の上昇圧力も無視できず、「実質金利上昇による金基準価格の低下と、ドル安進行によるリスク・プレミアムの上昇」が同時に発生しており、下落時の下落幅が拡大している点には注意。

◆穀物

シカゴ穀物市場はパウエル議長発言を受けたドル安と、米石油統計を受けたガソリン価格の上昇(ガソリン在庫は予想に反して増加したが、原油・灯油価格の上昇に連れた)、厳冬によるユーラシアからの供給減少観測が価格を押し上げた。

本日もパウエルFRB議長の議会証言を受けたドル安進行と供給懸念から高値で推移すると考える。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日、バイデン大統領は重要部材のサプライチェーンの見直しに着手する、大統領令に署名した。半導体、電池、レアアース、医薬品などの重要な部材の供給網を100日以内に見直すという。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN24DIL0U1A220C2000000/

今回のコロナ禍では、サプライチェーンの寸断と、それが実際に起きた場合生産・供給能力を有する国・地域が経済活動に強い影響を与えることが明らかになった。

我々日本人は東日本大震災の時にこれと類似したサプライチェーンの寸断リスクに直面したが、今回は「政治的な意図」で供給が制限される可能性がある点3.11の際と大きく異なる。

そのため、供給途絶のリスクを回避するためには、まず政治的な努力が必要になってくる。特に脱炭素が進む中では「今まで使ってこなかった原材料」の使用量が増加、ないしは今まで使ってきた原材料の使用数量が劇的に増加、する可能性があるため、その供給国との関係は重要になる。

これらの動きは、1.供給網整備のための設備投資コストの増加、2.1.があっても供給源が制限されるため、今までよりも調達コストが上がる、3.今までと違うルートでの輸送となるためロジスティクスのコストが上昇する、といったコストプッシュ型のインフレをもたらすリスクがある。

日本はコロナの影響が他の国よりも限定されているが、逆にそれが対応の遅れに繋がっているため、景気の回復力はそれほど強くないと考えられる。この中でのコストの上昇は企業や個人にとって小さくないリスク、といえるだろう。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米大統領選挙前後の国内融和にバイデン次期大統領が失敗する場合。

・「トリプルブルー」になったことで財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならないが、足下、どの中央銀行・政府も景気過熱は意識しているものの沈静化させるタイミングと判断していないため、しばらくは顕著な価格上昇リスクとなる見込み。

ただし、ある意味「意図的にミニバブルを形成」している状態ともいえ、先々の下落リスクが大きくなっている点もリスクに。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は低くなくなった。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・米国の財政状況悪化、緩和規模拡大によるドル水準の低下リスク(ドル減価により、名目ドル建て資産価格の上昇要因に)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は調整圧力が強まる展開を予想する。

短期的に原油価格の上昇要因となっていた米シェールオイルの生産減少が、来週以降に回復する見通しであること、4月以降、サウジアラビアが自主減産を終了する見通しであること、ファイナンシャルな面では米景気回復期待で長期金利に上昇圧力がかかっていることが材料。

しかし、FRB議長が緩和解除は当面ない、との意向を繰り返し表明していることや、米イエレン財務長官が早くも次の財政出動を示唆する発言をしていることなどが、ファイナンシャルな面で価格を下支えすると考える。

長期的には、ワクチン接種の拡大による経済活動の正常化で価格は再び上昇基調を強めると予想。ただし、早ければ2022年頃からと見られる米国の金融緩和解除や、OPECの増産、シェールオイルの増産を受けて2022年には一旦調整局面があり、その後、持続可能な上昇になると予想する。

【見通しの固有リスク】

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラスのプログラムの対象となっていない中東諸国の増産(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権がシェールオイルのフラッキングを制限/禁止する場合、供給減少で価格上昇要因に。

また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に。ただし、米国内の反イラン感情の高まりで、直ちに制裁が緩和される可能性は低い。

・イランの反米感情が高まり、中東の不安定さが増す場合(価格上昇要因)。

イランでは6月に大統領選挙が予定されており、国内保守派に配慮してロウハニ大統領はタカ派的な発言をする可能性があるが、制裁解除に向けた融和的なコメントも欧米向けに発信せざるを得ず、ロウハニ大統領の発言で価格は左右される見込み。

・米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解し、巨大なイスラム教圏が誕生した場合(地域安定で原油生産増加、短期的には価格の下落要因に。ただし相当発生の可能性が低いリスクシナリオ)。

・ワクチン・治療薬が想定以上に早く準備でき、移動制限が急速に解除される場合(価格上昇要因)。

【石炭価格見通し】

石炭価格は高値を維持するが、春先に向けて水準を切り下げる展開になると考える。

高値維持の背景は、中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、冬場で炭鉱が稼働し難いこと、港湾在庫の水準の低さに反映されるように、供給が十分ではないことが材料。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていること、春先に掛けては季節的に需要が減少することから徐々に海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

12月の中国の石炭輸入は気温低下の影響で前月から大幅に増加。前年水準の14倍、前月から3倍強となる3,907万5,000トン(前月1,176万トン)と顕著に増加した。

中国は国内の石炭産業の強化と政治的に対立する豪州からの輸入制限で、国内生産を増加させる方向性に舵を切っているが、足下の気温急低下を受けてそうも言っていられなくなったようだ。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格はしばらく高値圏での推移になると考える。ラニーニャ現象の影響もあり、気温が北半球で低下しているため。

極東の天然ガス指標であるJKM価格も、火力発電所が代替燃料として重油を用いるなどの動きを見せており、目先の調達に目処がたち価格の下押し圧力が強まっている。

欧州の気温低下と、昨夏以降の在庫減少で域内需給がタイト化、LNGカーゴの需給もタイト化が予想されるため、高止まりと考える。しかし春先に掛けては季節的な需要の減少で価格は軟調になると予想する。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・最大供給国であるロシアの増産。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【投機筋のポジション動向】・WTIは投機の買いが増加、ショートも増加したがネット買越し幅は拡大。Brentは高値圏にあることからショートが増加し、ネット買越し幅は縮小している。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが697,095枚(前週比 +2,253枚)ショートが182,382枚(+1,798枚)ネットロングは514,713枚(+455枚)

Brentはロングが412,560枚(前週比+7,591枚)ショートが65,028枚(+7,711枚)ネットロングは347,532枚(▲120枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は短期的には上昇余地を試す展開になると予想される。中国政府はバブルを警戒しつつも景気刺激を継続していること、コロナの影響で供給側に障害が生じていること、米民主党政権は1.9兆ドルの経済対策に加え、1兆ドル規模の経済対策(インフラ近代化投資)を検討していることから、期待需要が増加するため。

しかし、中期的には調整圧力が強まる展開になるとの予想は、現時点では変更する必要はないと考えている。中国政府が国内バブルを警戒する姿勢を強めていること、米経済統計回復に伴うドル高進行、早ければ2021年末頃から始まる可能性がある、米テーパリング開始の可能性、生産国の生産が回復する可能性が高いことが材料。

とはいえ、中国は7月に共産党結党100周年記念を控えており、それまで大幅な景気の減速は是が非でも回避するとみられること、世界経済は緩やかに回復していることから下落余地も限定されると考える。

なお、現在の価格上昇は実際に中国の需要の増加による需給タイト化によるものであり、環境規制強化が牽引する価格上昇ではない。

例えば、中国の超高圧送電線網整備額は当初予定比+61%の1,811億人民元とする方針が今年の4月に示されており、電線向けの需要が銅、並びにアルミの需要を押し上げている。アルミは配電には利用されないが、超高圧電線には使用される。

このほか、バイデン政権の政策推進による環境重視の姿勢の強まりが、いわゆる「バイデン・トレード(化石燃料売り・省エネ金属買い、ただし金属生産の際には二酸化炭素が出ることは変わらない)」を加速させ、投機的な買い圧力を強めている。

バイデン・トレードは短期的には顕在化する需要ではないが、省エネ金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性があるため、足下は期待選好で、総じて中長期的には物色されやすい地合が続くとみる。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

中国が豪州の銅鉱石輸入を禁止していることで、精錬銅の需要が増加し、ベンチマークの銅価格が堅調に推移していることも地合を強くしよう。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資を行う場合(上昇リスク)。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク。

コロナの影響もあって、2020年12月1日時点の鉱山生産への影響は全体で184万1,000トン、コロナの影響によるものは112万3,000トン。

精錬品生産で影響を受ける規模が、全体で141万6,000トン、コロナによるものが62万8,000トン。

・中国の環境規制強化やコロナの影響再発に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

【投機筋のポジション動向】・先週、投機筋の買いが再び加速。大幅な買越しとなっている。投機筋の比率を見ると最も高いのが亜鉛(46.1%)、アルミ(40.9%)、ニッケル(38.7%)、CME銅(35.6%)、銅(28.1%)、鉛(25.2%)、錫(3.0%)。

・LME投機筋買い越し金額 前週比+10.0%の336億ドル(前週 305億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+5.5%の6,839.8千トン(前週 6,483.0千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国の景気先行指標をみるに堅調な推移を続けると考える。中国の顕在需要が増加していることが背景。

今後も、中国政府のインフラ投資を柱とする経済対策が今年7月の中国共産党結党100周年記念まで続くと予想されること、これに加えて米国もインフラ近代化を目的とした公共投資を行う可能性が出てきたこと、中国国内の鉄鋼原料在庫日数の水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高く、基本は底堅い推移となる。

中国政府は住宅セクターバブルを懸念し始めており、偽装離婚による住宅取得を規制するなどの動きを見せている。しかし、同時に自動車取得を促す政策も発表(ナンバープレート取得条件緩和、新エネルギー車購入に補助金、自動車ローンの頭金引き下げ)しており、政策には一貫性がない。バブルは警戒しているが、直ちに規制を強めることはなさそうだ。

ただし、中国共産党は2021年から始まる新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。目先の景気刺激が終了し、景気の巡航速度への回復が確認されるタイミングで景気刺激と鉄鋼増産は回避される可能性が高く、年後半に掛けては価格は下落すると予想する。

1月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は44.3(前月45.8)と大幅に減速した。生産指数は48.7(47.7)と小幅に上昇しているが、新規受注は35.0(42.0)と急減速。これに対して輸出新規受注は55.2(54.4)と改善している。

このことは、中国経済並びに世界経済がワクチン開発・接種の進捗に伴い正常化に向かう動きになりつつあり、商業ベースではエッセンシャルな需要が回復、中国も輸出増加のバイアスが掛かり始めているためと考えられる。

しかし、市場規模としては圧倒的に中国の国内市場規模の方が大きいため、徐々に鉄鋼セクターには減速圧力が掛ることになるだろう。

実際、新規受注は減速し、それと同時に完成品在庫(33.5→48.7)、原材料在庫(32.1→42.3)と急増しており、新規受注在庫レシオは大幅に低下している。このことは鉄鋼製品並びに鉄鋼原料価格を下押しすると予想される。

中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、12月は137万5,000トン(前月185万トン)と減少傾向を持続し、過去5年レンジに戻った。12月の国内生産は季節性もあるが9,125万トン(前月8,766万トン、10月 9,220万トン、9月 9,256万トン)と回復した。

その一方、12月の鉄鋼製品輸出は485万トン(前月440万トン)と増加し、過去5年レンジの下限を回復した。このことは中国の鉄鋼製品の国内需要が減速し、顕在需要が減少を始めている可能性があることを示唆している。

弊社はこの鉄鋼製品の輸出入動向に注目しているが、輸出/輸入とも過去5年レンジに復帰の過程にあり、徐々に過剰な国内依存の需要環境から、輸出に牽引される形での鉄鋼業の操業状態(通常状態)に戻ると予想している。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが在庫水準は前週比+386万7,000トンの1,782万6,000トン(過去5年平均 1,647万1,000トン)と、例年よりも在庫水準は高くなった。

これまで需給はタイト化しているとみられたが、中国政府が過度な住宅セクーの過熱を警戒しているせいか、やや緩和方向にシフトしている可能性がある。

原料である鉄鉱石の12月の輸入は前年比▲4.5%の9,675万トン(前月+8.3%の9,815万トン)と高い水準を維持しているが減速、過去5年レンジに復帰した。このことは中国の国内需要が減速している可能性を示唆している。前年水準を下回ったことで、中国の国内需要は減速傾向にあると判断される。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+275万トンの1億2,865万トン(過去5年平均1億3,0886万6,000トン)、在庫日数は23.5日(過去5年平均 30.5日)と例年と比較して在庫日数の水準は低く、輸入需要は持続するものと思料。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は過去5年平均を回復しているが、鉄鋼生産量の水準対比ではまだ在庫水準は低いといえる。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値圏でもみ合うものと考える。長期金利上昇、景気回復期待でのドル高進行が米雇用統計の結果を受けてややトーンダウン、結局景気刺激や低金利政策の方針に当面変更はないとの見方が強まっているため。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,590ドルと長期金利上昇に伴い低下している。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は217ドルと、一昨日から+13ドル上昇。

このことは、ドル高進行などの価格面でのマイナス材料が出た際に、価格の下落余地が拡大していることを示唆する。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、64.6倍。過去1年を基準にすると86倍、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

金は高値を維持する見通しだがバイデン大統領誕生により、太陽光発電向けに用いられる「バイデン銘柄」であることもあって、需要構造の変化が価格を下支え(金銀レシオは低下)するものと予想。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。足下は、各国の自動車セクターの回復期待と、主要生産国である南アフリカの供給不安が強まっており、価格を押し上げている状況。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは価格は景気の先行き楽観が強まっているが、貴金属セクターの投機筋物色が続いていることから、高値を維持する見込み。

コロナショック後、パラジウム価格は基本的にETF価格との連動性が高まった(自動車向けの需要減少で余剰が発生したため)が、足下、ETFの残高の変動以上に価格が上昇している状況。

自動車生産が回復すれば再びパラジウム供給不足が発生し、ETFの残高減少と価格上昇が同時に発生する可能性が高いとみている。

1月の米自動車販売は年率1,663万台(前月1,627万台、市場予想1,618万台)と減速した。

中国の1月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+30%の250万台)前月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と前年比の伸びが加速している。

自動車販売は回復しているが、不要不急の消費であるため中国を除いては本格的な回復にはまだ時間がかかる見込み。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・世界的な成長力の低下に伴い、各国の財政状況が悪化、地政学的リスクが顕在化する場合(中東・北アフリカのリスク顕在化の可能性は低くない)。リスク・プレミアム上昇を通じて貴金属価格の上昇要因に。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが303,583枚(前週比 ▲5,743枚)、ショートが68,614枚(+10,695枚)、ネットロングは234,969枚(▲16,438枚)、銀が81,648枚(+1,515枚)、ショートが31,824枚(+1,234枚)、ネットロングは49,824枚(+281枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが48,237枚(前週比 +707枚)ショートが11,660枚(+330枚)、ネットロングは36,577枚(+377枚)

パラジウムが4,430枚(+308枚)、ショートが3,409枚(+24枚)ネットロングは1,021枚(+284枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシ・大豆は中国の需要が想像以上に堅調であること、北米の降雪や気温低下の影響による供給懸念から、しばらく高値圏で推移すると考える。

小麦も投機のネット買越しポジションの水準が高いことから、投機的な視点で利益確定による売り圧力が強まる展開を予想。ただし、需要面・供給面はタイトな状態が続いており、価格は高値維持を予想。

足下の価格上昇を受けて作付け面積の拡大が全ての穀物で見込まれており、価格の下押し要因となる。

しかし、寒波と降雪の影響で作付けに影響がでる可能性がある。冬場の降雪量が多かった場合、通常であれば春の土壌水分改善で播種が進み豊作に繋がると判断されるのだが、想定以上の雪解け水が発生した場合には逆に耕作が不可能になるため、価格の上昇リスクとなり得る。

また今穀物年度は小麦を含む穀物の輸出制限の動きが生産国で強まっている。いずれも国内供給を確保することが目的だ。

ロシアは12月に穀物価格の高騰を受けて輸出制限の動きを加速、1月からひまわりの種・菜種に輸出税を課すことを決定、2月からは小麦に輸出税を賦課、大麦、トウモロコシも対象とすることとなった。

ウクライナも国内飼料供給確保の観点から輸出枠に制限を設定、アルゼンチンはトウモロコシの輸出禁止を決定(後に撤回)するなど、国内供給への警戒が強まっている。

Locust Watchではエチオピア、ケニアで群生が発生していたが、アラビア半島を北上し始めている。

昨年末も大型のサイクロンがアラビア半島~北アフリカを通過、豪雨が観測されており、バッタの成育に良好な環境が提供されている可能性があり、このままだと今年も蝗害が起きる可能性は否定できない。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210223DLupdate.jpg

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象の発生による穀物供給減少リスクの顕在化。害虫の発生、生産地の土壌破壊など(すでに一部顕在化)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・2月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 172.0Bu/エーカー(NA、172.0)大豆 50.2Bu/エーカー(NA、50.2)小麦 49.7Bu/エーカー(NA、49.7)

・2月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 141億8,200万Bu(NA、141億8,200万Bu)大豆 41億3,500万Bu(NA、41億3,500万Bu)小麦 18億2,600万Bu(NA、18億2,600万Bu)

・2月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 26億Bu(25億5,000万Bu)大豆 22億5,000万Bu(22億3,000万Bu)小麦 9億8,500万Bu(9億8,500万Bu)

・2月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 15億200万Bu(13億8,388万Bu、15億5,200万Bu)大豆 1億2,000万Bu(1億2,071万Bu、1億4,000万Bu)小麦 8億3,600万Bu(8億3,454万Bu、8億3,600万Bu)

・12月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 113億2,200万Bu(117億4,670万Bu、19億5,000万Bu)大豆 29億3,300万Bu(29億2,900万Bu、5億2,500万Bu)小麦 16億7,400万Bu(16億9,555万Bu、21億5,800万Bu)

・1月CONABブラジル作付け面積(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1,846万ha(1,936万ha、1,844万ha)大豆 3,819万ha(3,848万ha、3,818万ha)

・1月CONABブラジル生産量(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1億231万トン(1億789万トン、1億259万トン) 単収 5,541Kg/ha(5,570kg/ha、5,564kg/ha)大豆 1億3,369万トン(1億3,272万トン、1億3,445万トン) 単収 3,500Kg/ha(3,452kg/ha、3,522kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが602,210枚(前週比 ▲10,917枚)、ショートが87,751枚(▲2,944枚)ネットロングは514,459枚(▲7,973枚)

大豆はロングが273,814枚(▲12,399枚)、ショートが37,706枚(+668枚)ネットロングは236,108枚(▲13,067枚)

小麦はロングが132,289枚(+2,449枚)、ショートが100,467枚(▲1,601枚)ネットロングは31,822枚(+4,050枚)

◆本日のMRA's Eye


「金価格の下落リスク~実質金利動向に立ち返り」

リーマンショック後以降、10年実質金利と金価格の間に高い相関性が確認されるようになった。10年実質金利は10年物価連動債の利回りであり、金価格はインフレを通じてのその価格が変動する。

市場参加者の形態によって、インフレリスクを回避するために物価連動債を用いたり、金を用いたりする差はあるが、両者の間に相関性があっても何ら不思議ではない。

しかしここ来て、米実質金利の金価格に対する説明力がやや低下しており、実質金利は低水準を維持しているものの、金価格が下落するということが発生している。

通常、金価格は、「金価格=実質金利要因+リスク・プレミアム要因」の2要素に分解される。さらに細分化すると「金価格=(期待インフレ率要因+名目金利要因)+リスク・プレミアム要因」に細分化することができる。

リスク・プレミアムを概念的には為替要因とその他の要因に分解することは可能だが、その他の要因の大半が「信用リスク発生リスク回避需要」であると考えられることから、それは「リスク回避のドル高」が発生したときに同時に変動するものだ。

つまり、リスク・プレミアム要因から為替要因とその他の要因を分離するのは簡単ではない。そのため今回のレポートでは無理のこの2つの要素を分解することは行わなかった。

ここで、リスク・プレミアムの金価格に対する相関を見ると、長期相関(期間1年)は0.46であるが、期間3ヵ月と短期の相関を分析すると0.84と相関性が高まっていることが分る。

金価格の値動きを見ていると、リスク・プレミアムが低下しながら金価格も下落している。すなわち、市場参加者のリスク選好が強まる中で、金が売られているということだ。株が急騰、コロナウイルスのワクチン接種が進んでいること、などが背景にあると考えられる。

現在のリスク・プレミアムは220ドル程度、この1年の平均が240ドル、3年が215ドル程度、期間5年になると150ドルであり、直近3年の平均に回帰している。一時、過去5年の均衡点である150ドルまで縮小する局面があったが、これが修正されている形。

ただし、ここに言うリスク・プレミアムは、比較的イベントリスクが顕在化しなかった2016年の金・実質金利動向を基準に算出しているため、マイナスになることも有り得るため注意が必要だ。

通常、ドルが上昇すれば、本源的価値の変化していないドル建て資産の名目価格には、下落リスクがかかることになるので、価格の相関性が低いといっても、米景気が回復して長期金利が上昇、実質金利以上にドル高となった場合など、リスク・プレミアムが低下するシナリオは想定すべきである。

しかしここでリスク・プレミアムの低下が、過去5年平均水準まで低下したため一巡しているという前提に立つと、やはり次は長期金利がどこまで上昇し、実質金利に上昇圧力が掛るかがポイントとなる。

同じように、実質金利を名目金利要因と期待インフレ要因に分解すると、現在の期待インフレ率は原油価格から相当上振れて推移していることが分る。

原油価格を基準にする回帰分析の結果は、40bp程度の期待インフレ率の下振れリスクがあることを示唆している。

期待インフレ率と金価格の感応度を分析すると直近1年で±2.2ドル/オンス・bpであり、価格に換算すると▲90ドル程度だ。ドル高が進行する可能性があること、期待インフレ率の調整の可能性があること、長期金利にも上昇圧力が掛り始めていることを考えると、米金融緩和政策が金価格を支えるものの、価格のリスクは下向きと考えられる。

◆主要ニュース


・Q420独実質GDP改定 前期比+0.3%(速報比+0.2%、前期改定+8.5%)
 労働日調整済前年比▲3.7%(+0.2%、▲4.0%)
 季節調整前 前年比▲2.7%(+0.2%、▲3.9%)

・Q420独個人消費 前期比▲3.3%(前期+10.8%)
 政府支出▲0.5%(+0.6%)、資本投資+1.0%(+3.9%)
 建設投資+1.8%(▲1.3%)、国内需要▲0.3%(+4.7%)
 輸出+4.5%(+18.1%)、輸入+3.7%(+9.0%)

・1月米新築住宅販売件数 前月比+4.3%の92.3万戸(前月+5.5%の88.5万戸)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 ▲11.4%(前週▲5.1%)
 購入指数▲11.6%(▲6.1%)
 借換指数▲11.3%(▲4.7%)
 固定金利30年 3.08%(2.98%)、15年 2.56%(2.47%)

・FRBパウエル議長、「我々の政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大の雇用達成からはほど遠い状況にあるためだ。一部で価格上昇が指摘されている資産があるのは確か。例えば自動車価格の上昇は半導体不足の影響でサプライチェーンの成約が影響シテイル。この状況は必ずしもインフレに繋がらない。というのは、毎年のように繰返された継続的に物価が上昇するプロセスのことを指すからだ。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油+1.3MB(クッシング+2.8MB)
 ガソリン+0.0MB
 ディスティレート▲5.0MB
 稼働率▲14.5

 原油・石油製品輸出 7,921KBD(前週比▲367KBD)
 原油輸出 3,069KBD(▲260KBD)
 ガソリン輸出 653KBD(▲71KBD)
 ディスティレート輸出 893KBD(▲27KBD)
 レジデュアル輸出 119KBD(+16KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,192KBD(+16KBD)
 その他石油製品輸出 1,879KBD(▲34KBD)

・米グロッシ事務局長、「イランとの交渉の結果、核関連施設に設置しているカメラや測定器を撤去せず、イランと関係各国が政治的な合意に至れば、集めたデータを回収できる仕組みを作り上げている。イランが核査察を停止する中、これ以外に手段がない。3ヵ月の交渉期間の間に、イランを含めた関係国が合意に至らなければ、国際社会は新たな局面に直面することになる。」

・米バイデン大統領、イラク、カディミ首相と電話会談。クルド人自治区、アルビルにある米軍基地に対するロケット弾攻撃に関して、犯行グループに責任を取らせる方針で一致。

【メタル】
・特になし。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.パラジウム ( 貴金属 )/ +3.76%/ ▲0.25%
2.CBT大豆油 ( 穀物 )/ +3.74%/ +17.93%
3.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ +3.47%/ +27.25%
4.ICE Brent ( エネルギー )/ +2.88%/ +29.83%
5.NYM WTI ( エネルギー )/ +2.85%/ +30.73%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.中国CSI300 ( 株式 )/ ▲2.55%/ +4.34%
65.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ ▲2.00%/ +0.93%
64.SHFニッケル ( ベースメタル )/ ▲1.94%/ +14.93%
63.日経平均 ( 株式 )/ ▲1.61%/ +8.12%
62.SHF亜鉛 ( ベースメタル )/ ▲1.47%/ +3.00%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :31,961.86(+424.51)
S&P500 :3,925.43(+44.06)
日経平均株価 :29,671.70(▲484.33)
ドル円 :105.87(+0.62)
ユーロ円 :128.80(+0.92)
米10年債 :1.38(+0.03)
中国10年債利回り :3.26(+0.00)
日本10年債利回り :0.13(+0.00)
独10年債利回り :▲0.30(+0.01)
ビットコイン :48,758.52(+792.32)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.31(▲0.1)
エネルギー :25.30(+0.33)
ベースメタル :23.98(▲0.37)
貴金属 :32.17(+0.12)
穀物 :21.31(▲0.53)
その他農畜産品 :25.64(▲0.07)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :23.10(+0.39)
Brent :19.73(+0.59)
米天然ガス :55.10(+0.76)
米ガソリン :22.44(+0.31)
ICEガスオイル :19.76(+0.27)
LME銅 :18.79(▲0.68)
LMEアルミニウム :14.42(▲0.84)
金 :19.20(▲0.68)
プラチナ :37.79(▲2.21)
トウモロコシ :25.04(▲3.21)
大豆 :19.20(▲0.68)

【エネルギー】
WTI :63.43(+1.76)
Brent :67.25(+1.88)
Oman :65.15(+1.32)
米ガソリン :189.63(+3.77)
米灯油 :191.11(+4.31)
ICEガスオイル :544.75(+12.75)
米天然ガス :2.85(▲0.03)
英天然ガス :41.18(+0.52)

【貴金属】
金 :1805.06(▲0.67)
銀 :27.95(+0.28)
プラチナ :1269.84(+26.76)
パラジウム :2442.57(+88.48)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :9,261(+135:25.5B)
亜鉛 :2,835(▲42:12.5C)
鉛 :2,122(▲26:18.5C)
アルミニウム :2,158(+9:12C)
ニッケル :19,402(+148:50C)
錫 :26,565(▲410:1950B)
コバルト :51,953(+228)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :9497.50(+247.50)
亜鉛 :2868.00(+17.50)
鉛 :2139.00(+13.00)
アルミニウム :2203.00(+49.00)
ニッケル :19865.00(+480.00)
錫 :26915.00(+400.00)
バルチック海運指数 :1,727.00(+18.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :173.01(▲1.22)
SGX鉄鉱石 :165.24(▲0.06)
NYMEX鉄鉱石 :164.53(+0.37)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :147.5(+0.75)
大連原料炭先物 :244.54(+2.92)
上海鉄筋直近限月 :4,511(+12)
上海鉄筋中心限月 :4,571(▲10)
米鉄スクラップ :580(+5.00)

【農産物】
大豆 :1424.00(+18.00)
シカゴ大豆ミール :428.80(+2.30)
シカゴ大豆油 :51.10(+1.84)
マレーシア パーム油 :3927.00(▲80.00)
シカゴ とうもろこし :559.00(+5.25)
シカゴ小麦 :676.75(+11.00)
シンガポールゴム :244.50(▲2.50)
上海ゴム :15960.00(+100.00)
砂糖 :18.16(▲0.25)
アラビカ :135.65(▲1.20)
ロブスタ :1447.00(+3.00)
綿花 :92.33(+0.96)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :89.43(+3.00)
シカゴ生牛 :116.63(+1.00)
シカゴ飼育牛 :140.40(+1.83)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。