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株式市場の混乱一服で買い戻し
  • MRA商品市場レポート

2021年2月2日 第1897号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「株式市場の混乱一服で買い戻し」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて堅調な推移となった。ラディット・ロビンフッド問題を受けた株価の急落で市場が混乱していたが、取りあえず収束しつつあることで「現状に大きな影響はなかった」として割安感からの買い戻しが優勢となったため。

今回の問題は、SNSと市場の関係について一石を投じる形となったが、当局者の発言を見るに「規制するというよりは静観する方が正しい」という選択をしたようだ。結局、個人投資家の買いがプロの投資家を駆逐するといった展開は今後も続くことになると予想される。

しかし、このことはETFなどを通じて取引が可能な、その他の商品市場でも同様の展開が発生する可能性を示唆する。

因みにETFのデータベースサイトでコモディティ関連ETFの上位を見ると、かなり広範にわたってカバーされており、多くの商品が投資可能な状態になっている。この状態だと、1つの商品が割高な水準まで物色されると、過剰流動性が供給されている状態では割安銘柄が物色される可能性が出てくる。

この場合、実態経済に確実に影響を及ぼすため、要注意だ。
https://etfdb.com/etfdb-categories/

【本日の見通し】

本日は、株式市場の狂乱が一服したことで広くリスク資産価格に買い戻しが入ると予想される。しかし同時に長期金利上昇とドル高が発生しており、どれだけテクニカルな買い戻しを抑制するかに焦点が当たる。

ただ、米当局は個人投資にかかわる規制を行う方針ではないことから、銀やプラチナ、原油など、比較的に個人になじみが深くなっている商品に個人の投機買いが入って上昇する可能性があることも事実であり、当面不安定な推移になるだろう。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は上昇した。株式市場の混乱が落着いたことを受けたリスク資産の買い戻しの動きが強まったこと、北米の気温急低下で暖房向け需要が増加するとの見方が広がったことが材料。

石炭価格(豪州炭)は小幅に下落。気温低下と中国の需要増加に伴う物色が続いているが、目先のLNG調達に目処が立ったと見られLNG価格が小幅に下落した影響を受けた。

極東の天然ガス指標であるJKMは小幅に下落。欧米の延年ガス価格も下落した。

本日は株式市場の混乱が一服したこと、北米の気温低下などで上昇余地を探る動きになると考える。しかし、本日は企業決算発表が多数予定されており、引き続き株価に左右される展開が続くため大きな値動きにはならないと考える。

石炭は・天然ガスは気温に左右される形で神経質な推移となるが、基本、北半球の気温低下が続いていることから高値圏を維持する公算。

◆非鉄金属

LME非鉄金属はまちまちとなった。中国のバブル警戒と株価の急落で大幅に調整していたが、LME指定倉庫在庫の減少が継続していることや、株価の戻りを受けて水準を切り上げた。

しかし、米長期金利の上昇、期待インフレ率の低下でドル高が進行したことで上昇余地が限定された。

なお、今のところ影響が不透明だが中国に対する錫精鉱供給シェアの大きいミャンマーでクーデターが発生したことは錫供給への懸念を強め、価格の上昇要因となった。

本日は株式市場の安定を受けて総じて堅調な推移になると考える。しかし、企業決算が多数発表され株価の先行きはまだ不透明であること、ドルが上昇していることなどから上値も重いと考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭先物は下落、鉄鋼製品先物価は直近限月・中心限月ともに下落した。

※弊社レポートの前日比が低いのは、直近限月の価格水準を単純に比較しているため、限月交代のタイミングで期間構造がバックの場合には大幅な下落、コンタンゴの場合には上昇となります。

中国鉄鋼メーカーの生産活動が正常化する中で、調達需要が鈍化していることが価格水準低下の要因となっている。

日曜日に発表された中国の鉄鋼業PMIは44.3(前月45.8)と大幅に減速した。生産指数は48.7(47.7)と小幅に上昇しているが、新規受注は35.0(42.0)と急減速。これに対して輸出新規受注は55.2(54.4)と改善している。

このことは、中国経済並びに世界経済がワクチン開発・接種の進捗に伴い正常化に向かう動きになりつつあり、商業ベースではエッセンシャルな需要が回復、中国も輸出増加のバイアスが掛かり始めているためと考えられる。

しかし、市場規模としては圧倒的に中国の国内市場規模の方が大きいため、徐々に鉄鋼セクターには減速圧力が掛ることになるだろう。

実際、新規受注は減速し、それと同時に完成品在庫(33.5→48.7)、原材料在庫(32.1→42.3)と急増しており、新規受注在庫レシオは大幅に低下している。このことは鉄鋼製品並びに鉄鋼原料価格を下押しすることになるだろう。

本日も中国政府のバブル警戒方針を受けて、鉄鋼原料価格には下押し圧力が掛る展開が予想される。しかし同時に、中国正月前の在庫積み増し需要で結局高値を維持へ。

◆貴金属

金価格は上昇した。実質金利は上昇し、ドル高が進行したが銀価格の暴騰を受けて「逆に割安感」が出たことで循環物色されたと見られる。

銀は暴騰。ラディットで始まった「銀祭り」でロビンフッドを経由した個人の買いが入ったためと考えられる。その中で一部、機関投資家がスクイーズされたとみられる(ただし投機のショートポジションは少ない)。

プラチナも大幅に上昇。このコラムで指摘している用に、投機を除く需給は大幅に緩和しているため銀と同様、投機の動きが価格を左右しやすいが、銀が「祭り」状態になる中で割安感が強まり、大幅な上昇となった。

パラジウムは株価の上昇を受けて水準を切り上げ。

本日は株価が回復していることもあり、個人投資家の買いが銀・プラチナに入るとみられることからセクター全体は強気の相場展開を継続するとみられる。

しかし、ドル高が進行していることや個人投資家の買いは規模的にも相場を支え「続ける」要因にはならない(実需がついて来ている訳ではないため)ことから、早晩下落に転じると考えている。

やや懸念しているのは銀のNY先物価格が銀現物価格を大きく上回ったこと(現在は解消)。これによりNYに現物が集中した場合、去年3月に見られたようなロックダウンがあれば、再び価格が急騰する可能性も有り得る点。

◆穀物

シカゴ穀物市場はトウモロコシが上昇、大豆と小麦は下落した。トウモロコシは輸出需要の増加とガソリン価格の上昇によるエタノール向け需要増加観測が価格を押し上げた。

大豆はドル高の進行が価格を下押し、小麦も同様だった。

2021年1月28日時点の米主要穀物の輸出検証高は以下の通り。トウモロコシ 1,104.72千トン(前週比 ▲298.34千トン)大豆 1,792.37千トン(▲310.61千トン)小麦 396.87千トン(▲174.81千トン)

株価が戻り基調となるなか、再びドル安が進行する見込みであり価格は高値を維持。ただし投機の利益確定の動きがこれを抑制するため結局もみ合い。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

日曜日に発表された中国の製造業PMIは市場予想を下回り、51.3(市場予想51.6、前月51.9)と減速した。しかしまだ閾値の50を上回っており、中国の経済活動が減速を始めたという感じではなく、改善ペースが鈍化した、という整理になるだろう。

ただし、全体として過剰な官需に頼った回復から、正常化に向かう過程と整理するのが妥当である。

指数の内訳を見ると生産指数(54.2→53.5)、新規受注(53.6→52.3)、輸出新規受注(51.3→50.2)となっており、内外需の伸び減速がうかがえるが、国内向けの新規受注減速が顕著だ。

これに伴い完成品在庫指数も49.0(46.2)、原材料在庫指数も49.0(48.6)と上昇。

結果、新規受注在庫レシオは低下、需給が製品・原料共に緩和していることがうかがえる。特に鉱物資源セクターの減速要因となり、鉱物資源価格をファンダメンタルズ面で下押しすることになると見ている。

ただし、まだ在庫指数は50の閾値を上回っていないため、若干需給はタイトさを維持しているとみられ、下値余地も限定されると考える。

詳細は鉄鋼セクターのところで解説しているが、この傾向(正常化が進んでいるが需給はまだタイト)は鉄鋼セクターでも確認されている。

また、そもそも回復ペースが製造業に比して緩慢だった非製造業PMIは52.4(前月55.7)と大幅に減速、輸出向けの受注は回復(54.3→54.5)しているが、新規受注は48.7(51.9)と減速している。このことは、内需の減速が顕著であることを示唆している。

最終消費が回復し、経済が正常化するにはまだ時間がかかることになると予想される。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米大統領選挙前後の国内融和にバイデン次期大統領が失敗する場合。

米上院選挙の結果を受けて米議会に親トランプ派が乱入、議会がロックダウンされるという事件も起きており、分断された米国の融和は容易ではない。

・「トリプルブルー」になったことで財政出動が加速、景気回復期待を受けた長期金利の上昇がドル高を誘発し、投機が商品価格押し上げの一翼を担ってきたことから、ドル高進行が価格をファイナンシャルな視点で押し下げる可能性。

このシナリオの可能性が高まるのは、Q121の米企業決算が発表され、「それほど悪くない」と言うことが確認される可能性がある4月以降か。

場合によるとワクチン開発と摂取進捗もあり、2020年決算と2021年事業見通しが発表される1月中下旬以降、ドル高進行開始の可能性も否定せず。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は低くなくなった。

・次の最大の成長ドライバーとして期待される、インド経済が期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・米国の財政状況悪化、緩和規模拡大によるドル水準の低下リスク(ドル減価により、名目ドル建て資産価格の上昇要因に)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は中期的には調整圧力が強まる展開が予想される。コロナのロックダウン継続と、高値圏で推移していた株価が個人投資家を中心とした混乱が調整圧力を強めていること、それに伴うドル安基調のドル高基調への転換観測が強まっているため。

ただし、コロナワクチンの開発・接種の進捗を受けて徐々に経済活動が正常化する中で需要が回復、需給ファンダメンタルズがタイト化する方向に少しずつ傾いていくことから、下値が切り上がっていくという展開になるだろう。

価格が持続的に上昇するにはコロナの影響がワクチンの接種進捗や、季節的に弱まる3~4月頃になるとみている。

長期的には、報道通りのペースでワクチンが普及し、深刻な副反応が確認されなければ経済活動の回復とともに原油価格がわかりやすく上昇を始めるのは2021年後半になってからではないか。

ただし、1.OPECプラスの余剰生産能力、2.価格上昇を受けた米国の増産見通し、3.(急に起きるわけではないが)再生可能エネルギーへのシフトが需給タイト化を抑制するため、上昇ペースは緩やか、と見ている。

【見通しの固有リスク】

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラスのプログラムの対象となっていない中東諸国の増産(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合、

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる2.中東以外の産油国の生産者の破綻3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権誕生で、シェールオイルのフラッキングが制限/禁止される場合、供給減少で価格上昇要因に(今のところ生産量の1割程度となる、国有地でのフラッキング禁止にトーンダウンしている)。

また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に。ただし、米国内の反イラン感情の高まりで、直ちに制裁が緩和される可能性は低い。

・イランの反米感情が高まり、中東の不安定さが増す場合(価格上昇要因)。

イランの核科学者であるファクリザデ氏が(恐らく)イスラエルによって殺害されたが、これによりイラン国内でイスラエルの背後にあると解釈されやすい米国に対する反米気運が高まっている。

これはイラン国内での反米感情を高め、米国を核協議に復帰させないための策略と考えられる。

・米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解し、巨大なイスラム教圏が誕生した場合(地域安定で原油生産増加、短期的には価格の下落要因に。ただし相当発生の可能性が低いリスクシナリオ)。

・ワクチン・治療薬が想定以上に早く準備でき、移動制限が急速に解除される場合(価格上昇要因)。

【石炭価格見通し】

石炭価格は堅調な推移になると考える。中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、冬場で炭鉱が稼働し難いこと、港湾在庫の水準の低さに反映されるように、供給が十分ではないことが材料。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていること、春先に掛けては季節的に需要が減少することから徐々に海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

12月の中国の石炭輸入は気温低下の影響で前月から大幅に増加。前年水準の14倍、前月から3倍強となる3,907万5,000トン(前月1,176万トン)と顕著に増加した。

中国は国内の石炭産業の強化と政治的に対立する豪州からの輸入制限で、国内生産を増加させる方向性に舵を切っているが、足下の気温急低下を受けてそうも言っていられなくなったようだ。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格はしばらく高値圏での推移になると考える。ラニーニャ現象の影響もあり、気温がアジア・欧州で低下しているため。

極東の天然ガス指標であるJKM価格も、火力発電所が代替燃料として重油を用いるなどの動きを見せており、目先の調達に目処がたち価格の下押し圧力が強まっている。

欧州の気温低下と、昨夏以降の在庫減少で域内需給がタイト化、LNGカーゴの需給もタイト化が予想されるため、高止まりと考える。しかし春先に掛けては季節的な需要の減少で価格は軟調になると予想する。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるためじり高の展開だが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・最大供給国であるロシアの増産。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが676,393枚(前週比 +11,560枚)ショートが171,781枚(+15,532枚)ネットロングは504,612枚(▲3,972枚)

Brentはロングが391,656枚(前週比+24,386枚)ショートが53,503枚(+406枚)ネットロングは338,153枚(+23,980枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は中期的には調整圧力が強まる展開が予想される。中国政府が国内バブルを警戒する姿勢を強め、マネー市場での資金吸収を始めていることコロナのロックダウン継続と、高値圏で推移していた株価が個人投資家を中心とした混乱が調整圧力を強めていること、それに伴うドル安基調のドル高基調への転換観測が強まっているため。

また、中国の貿易統計を見るに非鉄金属のベンチマークである銅に関して、精錬品の輸入が減速して過去5年レンジに戻ったことが確認されており、中国の過剰な経済対策による需要創出が一巡した可能性があることを示唆していることも、逆説的ではあるが、非鉄金属価格を下押しするだろう。

ただし、中国は7月に共産党結党100周年記念を控えており、それまで大幅な景気の減速は是が非でも回避するとみられること、緩やかではあるが世界経済は回復していることから下落余地も限定されると考える。

なお、現在の価格上昇は実際に中国の需要の増加による需給タイト化によるものであり、環境規制強化が牽引する価格上昇ではない。

例えば、中国の超高圧送電線網整備額は当初予定比+61%の1,811億人民元とする方針が今年の4月に示されており、電線向けの需要が銅、並びにアルミの需要を押し上げている。アルミは配電には利用されないが、超高圧電線には使用される。

このほか、バイデン政権の政策推進による環境重視の姿勢の強まりが、いわゆる「バイデン・トレード(化石燃料売り・省エネ金属買い、ただし金属生産の際には二酸化炭素が出ることは変わらない)」を加速させ、投機的な買い圧力を強めている。

バイデン・トレードは短期的には顕在化する需要ではないが、省エネ金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性があるため、足下は期待選好で、総じて中長期的には物色されやすい地合が続くとみる。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

中国が豪州の銅鉱石輸入を禁止していることで、精錬銅の需要が増加し、ベンチマークの銅価格が堅調に推移していることも地合を強くしよう。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合。

・高水準の投機筋買い越しポジションが急速に解消されたときの下落リスク。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(コロナの影響もあって、2020年の鉱山生産は全体で184万1,000トン、コロナの影響で115万1,000トン減少する見込み)。

・ニューカレドニアのGoroプロジェクトはAntfagasutaが買収相手として急浮上しており、過剰な供給不足への懸念が後退していることは価格の下落要因に。ただし楽観はできず。

なお、同プロジェクトのニッケル生産は6万トン/年(シェア2.4%)。

・GlencoreはZhairemプロジェクトの開発を決定しているが、ペルーのIscaycruz鉱山の閉鎖、カナダのMatagami鉱山、Kidd鉱山の鉱山年齢終了に伴う減産を見込んでおり、2021年の亜鉛生産は125万トン(従来見通し140万トン)と下方修正。

・中国の環境規制強化やコロナの影響再発に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・1月の米上院決定投票で民主党が過半数を確保し、「トリプルブルー」となり、脱炭素の動きが加速していわゆる省エネ金属の需要が増加する場合。

【投機筋のポジション動向】

・LME投機筋買い越し金額 前週比▲2.6%の284億ドル(前週 292億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比▲3.1%の6,282.4千トン(前週 6,486.1千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国の景気先行指標をみるに堅調な推移を続けると考える。貿易統計で確認できるように鉄鋼製品輸入が増加し、輸出が減少。中国の顕在需要が増加していることを示唆している。鉄鉱石在庫は積み上がっているが日数ベースでは在庫水準は低く、需給はタイトとみられるため。

今後も中国政府のインフラ投資を柱とする経済対策が、今年7月の中国共産党結党100周年記念まで続くと予想されること、中国国内の鉄鋼原料在庫水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高く、基本は底堅い推移となる。

しかし、中国政府は住宅セクターバブルを懸念し始めており、今後、鉄鋼向け需要が減速する可能性が高まっているため、徐々に水準を切り下げると考える。

中国共産党は2021年から始まる新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。目先の景気刺激が終了し、景気の巡航速度への回復が確認されるタイミングで景気刺激と鉄鋼増産は回避される可能性が高く、年後半に掛けては価格は下落すると予想する。

1月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は44.3(前月45.8)と大幅に減速した。生産指数は48.7(47.7)と小幅に上昇しているが、新規受注は35.0(42.0)と急減速。これに対して輸出新規受注は55.2(54.4)と改善している。

このことは、中国経済並びに世界経済がワクチン開発・接種の進捗に伴い正常化に向かう動きになりつつあり、商業ベースではエッセンシャルな需要が回復、中国も輸出増加のバイアスが掛かり始めているためと考えられる。

しかし、市場規模としては圧倒的に中国の国内市場規模の方が大きいため、徐々に鉄鋼セクターには減速圧力が掛ることになるだろう。

実際、新規受注は減速し、それと同時に完成品在庫(33.5→48.7)、原材料在庫(32.1→42.3)と急増しており、新規受注在庫レシオは大幅に低下している。このことは鉄鋼製品並びに鉄鋼原料価格を下押しすると予想される。

中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、12月は137万5,000トン(前月185万トン)と減少傾向を持続し、過去5年レンジに戻った。12月の国内生産は季節性もあるが9,125万トン(前月8,766万トン、10月 9,220万トン、9月 9,256万トン)と回復した。

その一方、12月の鉄鋼製品輸出は485万トン(前月440万トン)と増加し、過去5年レンジの下限を回復した。このことは中国の鉄鋼製品の国内需要が減速し、顕在需要が減少を始めている可能性があることを示唆している。

弊社はこの鉄鋼製品の輸出入動向に注目しているが、輸出/輸入とも過去5年レンジに復帰の過程にあり、徐々に過剰な国内依存の需要環境から、輸出に牽引される形での鉄鋼業の操業状態(通常状態)に戻ると予想している。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが在庫水準は前週比+108万1,000トンの1,103万5,000トン(過去5年平均 963万6,000トン)と、例年よりも在庫水準は高い。

在庫は積み増し時期にあり増加しているが、過去5年平均を下回っている。引き続き中国の鉄鋼需給はタイトな状態が続いていると考えられる。

原料である鉄鉱石の12月の輸入は前年比▲4.5%の9,675万トン(前月+8.3%の9,815万トン)と高い水準を維持しているが減速、過去5年レンジに復帰した。このことは中国の国内需要が減速している可能性を示唆している。前年水準を下回ったことで、中国の国内需要は減速傾向にあると判断される。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+70万トンの1億2,620万トン(過去5年平均1億2,720万5,600トン)、在庫日数は25.5日(過去5年平均 29.9日)と例年と比較して在庫日数の水準は低く、輸入需要は持続するものと思料。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は過去5年平均を上回っていたが、再び下回った。目先の価格上昇要因となるだろう。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・カシミール地方を巡る中国との領有権争いが激化した場合、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

【投機筋のポジション動向】

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値を維持すると考える。金融緩和の継続と、株価の上昇に伴う長期金利上昇圧力がせめぎ合う形で実質金利を現状水準に維持すると考えられることから。

なお、リスクオンはドル安で価格上昇、リスクオフで価格下落となる(詳しくは2020年10月12日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,660ドル。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は200ドルと前日比+21ドル上昇した。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、64.0倍。過去1年を基準にすると95倍程度、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

金銀レシオのチャートを見ると、70倍を切るとテクニカルに65倍が視野に入る。ロビンフッダーと思われる市場参加者の買いで銀が暴騰し、70倍を下回っているため、短期的には価格上昇リスクを警戒すべきだろう。

金は高値を維持する見通しだがバイデン大統領誕生により、太陽光発電向けに用いられる「バイデン銘柄」であることもあって、需要構造の変化が価格を下支え(金銀レシオは低下)するものと予想。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。足下は、各国の自動車セクターの回復期待が強まっており、工業需要回復期待が価格を押し上げている状況。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは価格は景気の先行き楽観が強まっているが、足下のコロナの感染拡大がこれを相殺するため、現状水準でのもみ合いを予想。

ETF残高とパラジウム価格の連動性が高まっており(管理在庫増加→価格上昇)、一時の、ETF管理在庫減少→価格上昇、のメカニズムから変化してきている。

在庫取り崩し→価格上昇は実際に需給がタイトで、現物確保のためにETFを取り崩さなければならなかったからだが、現在はこれと逆のことが発生している訳で、足元、パラジウムの需給は緩和していると見られる。今後はETFの動向に注目。

12月の米自動車販売は年率1,627万台(市場予想1,580万台、前月1,555万台)と減速した。

中国の12月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+6.4%の283万台(前月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と回復を継続している。

自動車販売は回復しているが、不要不急の消費であるため中国を除いては本格的な回復にはまだ時間がかかる見込み。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・世界的な成長力の低下に伴い、各国の財政状況が悪化、地政学的リスクが顕在化する場合(中東・北アフリカのリスク顕在化の可能性は低くない)。リスク・プレミアム上昇を通じて貴金属価格の上昇要因に。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが313,532枚(前週比 +6,025枚)、ショートが55,986枚(▲4,883枚)、ネットロングは257,546枚(+10,908枚)、銀が84,444枚(+435枚)、ショートが29,984枚(▲2,023枚)、ネットロングは54,460枚(+2,458枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが38,187枚(前週比 +2,352枚)ショートが8,649枚(+700枚)、ネットロングは29,538枚(+1,652枚)

パラジウムが4,996枚(+18枚)、ショートが2,855枚(+440枚)ネットロングは2,141枚(▲422枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシ・大豆は中国の需要が想像以上に堅調であり、しばらく高値圏で推移すると考える。ただし、足下株価の調整圧力が強まっているため、ドル高進行で投機的な手仕舞いの動きが強まる可能性は高まっている。

なお、中国の豚肉価格は下落する一方、豚肉の輸入量も減少している。このことは中国の畜豚数の増加(大豆ミール需要の増加)=大豆需要の増加、を示唆している。当面、中国向けの輸出が中国側の事情で増加すると見られることが価格を下支えすると予想。

ただし、生産地の生育環境の改善から供給懸念が後退し始めていること、当期の買いポジション解消の動きが強まると予想されることから、上値も重いと考える。なお、中期的にドルが上昇する見通しは変更していないため、中期的な価格見通しは引き続き下向き。

小麦はさほど投機の買いポジションが積み上がっている訳ではないが、各地で生産見通しが引き上げられており軟調地合。ただし足下のドル安が価格を下支え。

Locust Watchではエチオピア、ケニアで群生が発生している。昨年末も大型のサイクロンがアラビア半島~北アフリカを通過、豪雨が観測されており、バッタの成育に良好な環境が提供されている可能性があり、このままだと今年も蝗害が起きる可能性は否定できない。

http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210118DLupdate.jpg

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象の発生による穀物供給減少リスクの顕在化。害虫の発生、生産地の土壌破壊など(すでに一部顕在化)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・1月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 172.0Bu/エーカー(175.13、175.8)大豆 50.2Bu/エーカー(50.52、50.7)小麦 49.7Bu/エーカー(NA、49.7)

・1月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 141億8,200万Bu(144億4,629万Bu、145億700万Bu)大豆 41億3,500万Bu(41億5,642万Bu、41億7,000万Bu)小麦 18億2,600万Bu(NA、18億2,600万Bu)

・1月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 25億5,000万Bu(26億5,000万Bu)大豆 22億3,000万Bu(22億Bu)小麦 9億8,500万Bu(9億8,500万Bu)

・1月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 15億5,200万Bu(15億9,191万Bu、17億200万Bu)大豆 1億4,000万Bu(1億3,861万Bu、1億7,500万Bu)小麦 8億3,600万Bu(8億5,922万Bu、8億6,200万Bu)

・12月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 113億2,200万Bu(117億4,670万Bu、19億5,000万Bu)大豆 29億3,300万Bu(29億2,900万Bu、5億2,500万Bu)小麦 16億7,400万Bu(16億9,555万Bu、21億5,800万Bu)

・1月CONABブラジル作付け面積(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1,846万ha(1,936万ha、1,844万ha)大豆 3,819万ha(3,848万ha、3,818万ha)

・1月CONABブラジル生産量(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1億231万トン(1億789万トン、1億259万トン) 単収 5,541Kg/ha(5,570kg/ha、5,564kg/ha)大豆 1億3,369万トン(1億3,272万トン、1億3,445万トン) 単収 3,500Kg/ha(3,452kg/ha、3,522kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが627,272枚(前週比 ▲1,039枚)、ショートが79,595枚(▲20,065枚)ネットロングは547,677枚(+19,026枚)

大豆はロングが279,147枚(+3,012枚)、ショートが42,714枚(▲6,734枚)ネットロングは236,433枚(+9,746枚)

小麦はロングが139,986枚(▲5,859枚)、ショートが103,805枚(▲2,993枚)ネットロングは36,181枚(▲2,866枚)

◆本日のMRA's Eye


「ニッケル価格は高値維持」

ニッケルの価格は錫と同様に顕著に上昇している。ニッケル価格は昨年後半のValeによるGoroプロジェクトの閉山報道あたりから上昇ペースを加速させ、2014年以来の高値圏での推移となっている。

価格上昇の背景は、コロナウイルスの影響などもあって主要鉱山からの生産が減少していることといった供給面に加え、他の金属でも確認されているように最大消費国である中国が、景気刺激のための公共投資実施を受け、住宅セクターが好調であり、主要用途であるステンレス鋼向けの需要が増加していることが影響している。

ただし、その他の金属ほどニッケルの現物プレミアムは上昇しておらず、さほど需要が盛り上がっているという感じではない。むしろ、非鉄金属セクターが物色される中で投機的な買いがさらに上げを加速している可能性が高いと考えられる。

市場では金余りを背景に「テーマ性」のある商品が物色されやすい地合にあるが、ニッケルは環境規制強化に伴うEV販売の加速、それによるバッテリー向けの需要増加観測が投機の買いを促している可能性がある。

しかしこれはあくまで「期待」であり、実際にバッテリー需要がニッケルの需給構造に変化をもたらすのは数年先(3~4年後か)になる可能性が高い。

逆に言えば、実需に裏打ちされた価格上昇といえる訳ではないことからこの価格上昇はやや実態から上方に乖離していると考えられる。

ニッケル価格は微妙ではあるが、中国の在庫積み増しの動きを受けて、春から夏にかけて季節的に価格がやや弱含み易い傾向がある。また、これも他の市場で指摘されているこだが、ドル高が進行する可能性が高まっていること、中国金融当局がバブルを警戒して短期市場から資金吸収を行っていることから、ファイナンシャルな面で利益確定の売り圧力が強まる展開が予想される。

恐らく、2月の中国正月、3月の上旬ぐらいまでは季節的な在庫の積み増しの動きが見られることから、調整が始まるのは早ければ中国正月明けの2月中旬ぐらいからになるのではないだろうか。

しかしいったん下落した後は、年末にかけては景気が回復する見通しであり、マクロ要因が価格を押し上げ再び上昇余地を探る動きになると予想される。

ただし、2月からAmbatovyプロジェクトからの増産(6万トン/年。コロナの影響で生産減少。2020年の生産は2万9,000トン、2021年は3万9,000トンを見込む)の見込みであること、緩やかではあるがVNCからの増産も見込めることから、2021年の後半に掛けては需給は緩和する見通しであり、上昇余地は限定されるのではないか。

◆主要ニュース


・1月日本製造業PMI改定 49.8(速報比+0.1、前月改定 50.0)

・1月日本国内自動車販売 前年比+6.8%(前月+7.4%)

・1月中国製造業PMI 51.3(前月51.9)、生産 53.5(54.2)
 新規受注 52.3(53.6)、輸出新規受注 50.2(51.3)
 受注残 47.3(47.1)、輸入 49.8(50.4)
 完成品在庫 49.0(46.2)、原材料在庫 49.0(48.6)

・1月中国鉄鋼業PMI 44.3(前月45.8)、生産 48.7(47.7)
 新規受注 35.0(42.0)、輸出新規受注 55.2(54.4)
 完成品在庫 48.7(33.5)、原材料在庫 42.3(32.1)

・1月中国非製造業PMI 52.4(前月55.7)、新規受注 48.7(51.9)
 新規輸出 54.5(54.3)、受注残 51.4(52.3)、在庫 47.4(47.0)
 雇用 47.8(48.7)

・1月中国財新製造業PMI 51.5(前月 53.0)

・1月インド製造業PMI 57.7(前月 56.4)

・12月独小売売上高 前月比 ▲9.6%(前月+1.1%)、前年比+1.5%(+5.0%)

・1月独製造業PMI改定 57.1(速報比+0.1、前月改定 58.3)

・1月ユーロ圏製造業PMI改定 54.8(速報比+0.1、前月改定 55.2)

・12月ユーロ圏失業率 8.3%(前月 8.3%)

・1月米製造業PMI改定 59.2(速報比+0.1、前月改定 57.1)

・12月米建設支出 前月比 +1.0%(前月改定+1.1%)

・1月米ISM製造業景況指数 58.7(前月60.5)、仕入れ価格 82.1(77.6)
 生産 60.7(64.7)、新規受注 61.1(67.5)、受注残 59.7(59.1)
 在庫 50.8(51.0)、顧客在庫 33.1(37.9)、雇用 52.6(51.7)
 輸出 54.9(57.5)、輸入 56.8(54.6)

・英国、TPP加盟を正式申請。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・特になし。

【メタル】
・Q420 Grupo Mexico

 銅生産 前年比+2.4%の289,938トン(前年283,022トン)、販売 +9.7%の291,841トン(266,135トン)

 モリブデン ▲4.2%の7,554トン(7,882トン)
 ▲6.4%の7,516トン(80,31トン)

 亜鉛 ▲17.7%の16,763トン(20,364トン)
 +0.7%の26,991トン(26,813トン)

 銀 +22.9%の3,826千オンス(3,113千オンス)
 +6.1%の5,708千オンス(5,380千オンス)

 金 +0.9%の10,820オンス(10,727オンス)
 ▲8.4%の10,197オンス(11,129オンス)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.原料炭スポット ( 鉄鋼原料 )/ +24.94%/ +49.95%
2.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +11.15%/ +12.25%
3.銀 ( 貴金属 )/ +7.65%/ +10.03%
4.SHF 銀 ( 貴金属 )/ +5.29%/ +0.95%
5.プラチナ ( 貴金属 )/ +5.06%/ +5.64%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲9.24%/ ▲14.47%
65.SGX鉄鉱石 ( 鉄鋼原料 )/ ▲8.02%/ ▲0.77%
64.ビットコイン ( その他 )/ ▲2.82%/ +16.10%
63.SHF錫 ( ベースメタル )/ ▲2.45%/ +12.05%
62.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ ▲2.26%/ ▲12.29%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :30,211.91(+229.29)
S&P500 :3,773.86(+59.62)
日経平均株価 :28,091.05(+427.66)
ドル円 :104.93(+0.25)
ユーロ円 :126.55(▲0.49)
米10年債 :1.08(+0.01)
中国10年債利回り :3.17(▲0.01)
日本10年債利回り :0.06(+0.01)
独10年債利回り :▲0.52(+0.00)
ビットコイン :33,664.81(▲976.28)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :27.05(▲0.25)
エネルギー :29.14(+0.33)
ベースメタル :22.40(▲1.73)
貴金属 :32.66(+1.81)
穀物 :27.45(+0.04)
その他農畜産品 :26.21(▲0.62)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :26.79(+1.13)
Brent :24.91(▲0.82)
米天然ガス :48.48(+0.11)
米ガソリン :28.86(▲0.09)
ICEガスオイル :19.71(▲0.03)
LME銅 :19.65(▲1.5)
LMEアルミニウム :18.94(▲1.1)
金 :29.29(▲0.03)
プラチナ :42.65(+3.73)
トウモロコシ :31.68(▲0.34)
大豆 :29.29(▲0.03)

【エネルギー】
WTI :53.55(+1.35)
Brent :56.35(+0.47)
Oman :55.82(+1.19)
米ガソリン :159.01(+1.76)
米灯油 :164.69(+4.65)
ICEガスオイル :454.25(+4.00)
米天然ガス :2.85(+0.29)
英天然ガス :48.24(▲4.91)

【貴金属】
金 :1860.78(+13.13)
銀 :29.05(+2.06)
プラチナ :1132.58(+54.56)
パラジウム :2253.77(+19.57)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :7,823(▲51:4B)
亜鉛 :2,574(▲13:25C)
鉛 :2,036(+9:11C)
アルミニウム :1,983(▲5:3B)
ニッケル :17,855(+94:48C)
錫 :22,984(▲156:1341B)
コバルト :41,240(▲4)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :7822.50(+9.00)
亜鉛 :2575.00(+4.00)
鉛 :2033.00(+9.00)
アルミニウム :1960.50(▲16.50)
ニッケル :17880.00(+210.00)
錫 :23070.00(+520.00)
バルチック海運指数 :1,452.00(▲18.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :158.54(+0.97)
SGX鉄鉱石 :154.64(▲13.49)
NYMEX鉄鉱石 :154.74(▲13.39)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :152.05(+30.35)
大連原料炭先物 :262.22(▲17.79)
上海鉄筋直近限月 :4,143(▲48)
上海鉄筋中心限月 :4,248(▲22)
米鉄スクラップ :496(+4.00)

【農産物】
大豆 :1365.25(▲4.75)
シカゴ大豆ミール :430.50(▲0.50)
シカゴ大豆油 :44.97(+0.35)
マレーシア パーム油 :休場( - )
シカゴ とうもろこし :549.25(+2.25)
シカゴ小麦 :651.00(▲12.00)
シンガポールゴム :224.10(+3.10)
上海ゴム :14555.00(+240.00)
砂糖 :16.15(+0.32)
アラビカ :125.35(+2.40)
ロブスタ :1320.00(+14.00)
綿花 :80.03(▲0.61)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :69.55(▲0.25)
シカゴ生牛 :114.88(▲0.18)
シカゴ飼育牛 :137.93(+0.20)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。