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コロナ感染拡大と株調整を受けたドル高で軟調
  • MRA商品市場レポート

2021年1月25日 第1892号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「コロナ感染拡大と株調整を受けたドル高で軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて軟調な推移となった。米国の財政政策やワクチン接種進捗を先取りした期待先行の相場が一巡、ここに来て米追加経済対策が議会を通過するのは難しいのではないか、とか、新型コロナの変異種の感染拡大が広がっていることが、ある意味都合の良い売り材料になったという方が正解だろうか。

このコラムでは、ドル高進行を切っ掛けに割高となったドル建て商品に下押し圧力が掛る展開を予想していたが、余り好ましくない形で手仕舞い売り圧力が強まる形となった。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大ペースは、欧州や米国で減速の兆しが見えるが(新規感染者数は引き続き多い)、気になるのは日本・中国を含めたアジア圏での感染拡大ペースが加速しているように見える点である。

【本日の見通し】

週明け月曜日は目立った材料にとぼしい中、これまでの期待先行の相場が一巡、新型コロナの変異種の感染拡大が各地で報告される中、再び経済活動の鈍化、特に中国でも感染が拡大していることから、調整圧力が強まる展開が予想される。

バイデン大統領は就任直後に大統領令17本に署名をしており、「脱トランプ」が始まったが、ほぼ想定内であり目先の波乱要因にはならないだろう。

政策が成功すれば良いが、国内の賛同を得られなかった場合、親トランプ派の抵抗が強まることも予想され、今後の政策運営には注目したい。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は軟調。バイデン大統領誕生のご祝儀効果が週末を控えていったん剥落、欧州のコロナ新型種感染拡大を受けたリスクテイク意欲の後退でドル高となったことが売り材料となった。また、米石油統計で原油在庫が予想外の減少となったことも売り材料となった。

昨日発表の米石油統計は原油ベア、石油製品ブルな内容だった。原油は生産が横ばい、輸入が増加(+0.1MBD)、稼働率は上昇(+0.5%)、在庫は+4.4MBの増加となった。

原油価格に影響が大きいクッシング在庫は▲4,727KB(▲1,975KB)と減少、在庫スペースの稼働率は66.0%(73.0%)と先週から大幅に低下した。昨年春のような極端な価格下落リスクは低下している。

石油製品は主に在庫水準よりも出荷動向に注目している。米ガソリン出荷は前年比▲10.7%の7.8MBDと依然水準は低い。2019年比でも▲2.3%とまだ低い。一方、ディスティレートは前年比+1.0%の3.5MBDと前年水準を回復したが、2019年比では▲5.9%と回復していない。

製品全体では▲5.3%の18.9MBDと先週からは前年比マイナス幅を縮小させているが、2019年比では▲6.9(前週▲6.8%)とマイナス幅を拡大しており、まだ完全に回復したわけではない。

輸出は+0.1%の5.3MBD(2019年比では+5.9%)、出荷+輸出では▲4.2%の24.2MBD(2019年比▲4.4%)と緩やかな回復が持続している。

しかし、新型コロナウイルスの変異種が拡大しており、再び移動制限が強まる可能性はある。しかし、ディーゼルなどの工業用途(輸送など)に用いられる燃料出荷はコロナ禍でも回復しており、その影響は限定されるだろう。

石炭価格(豪州炭)は小幅上昇。まだ気温低下と中国の需要増加に伴う物色が続いていると見られる。

極東の天然ガス指標であるJKMは小幅に上昇。目先の調達に目処が立ったものの、北アジアの気温低下は続いており調達圧力が高いことが背景。

欧州は極渦による気温上昇期待で下落していたが、再び気温低下が意識される中で上昇。影響が懸念されていたが、気温上昇予想で軟調。米天然ガスは続落。米天然ガス在庫が予想よりも強気な内容だったものの、予報よりも気温が高い傾向が強く、ドル高が進行する中で水準を切り下げた。

週明け月曜日は目立った材料がなく、新型コロナの変異種への警戒が強まっていること、企業決算発表待ちで株価が調整するとみられドル高バイアスが掛かると予想されることから、軟調な推移を予想。

石炭はアジア地区の気温低下が需要を押し上げるが、目先の天然ガス調達に目処が立ちつつある中、上値も重い。

極東の天然ガスは目先の調達に目処が立ったと見られるが、まだ気温低下が続くため石炭同様高値を維持する公算。

◆非鉄金属

LME非鉄金属はまちまちとなったが総じて軟調。LME指定倉庫在庫の減少はあったが、新型コロナの変異種が中国でも拡大していると見られ、その警戒からドル高が進行したことが材料となった。

週明け月曜日は特段目立った材料にとぼしい中、コロナの変異種感染拡大への警戒による、中国需要増加への過剰な期待が剥落することと、ドル高進行で軟調な推移になると予想する。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭先物は下落、鉄鋼製品先物価は直近限月・中心限月ともに上昇した。

目立った新規手がかり材料はないが、鉄鋼製品の在庫積み増しの時期に当たること、鉄鉱石在庫日数の低さなどが引き続き材料となり高値圏を維持している。

週明け月曜日も目立った新規材料に乏しく、足下の需給タイト化で高値圏を維持の公算も、中国の新型コロナウイルス感染再拡大報道もあり、上値も重い。

◆貴金属

金価格は下落した。米新政権の経済対策が議会を通過しないのでは、との懸念が期待インフレ率の低下で実質金利が上昇、ドル高も進行したことが材料となった。銀は金価格の下落を受けて下落。プラチナも銀価格の下落を受けて大きく水準を切り下げた。

パラジウムの下落は小幅に止まったが、同じ自動車向けの触媒に用いられ、先物で売買されないロジウムが大幅に下落していることを考えると、自動車向けの触媒需給が緩和している可能性は高い。

週明け月曜日も新型コロナウイルスの感染拡大による株価調整・ドル高進行の可能性や、米経済対策が議会を通らないのでは、との懸念が価格を押し下げると考える。

◆穀物

シカゴ穀物市場は大幅に下落。新型コロナウイルスの変異種の感染拡大や、材料一巡で米株が調整する中、ドル高が進行したことが材料となった。米石油統計でのエタノール在庫動向には余り反応しなかった。

なお、米国の主要穀物輸出は堅調。2021年1月14日時点の成約高は以下の通り。

トウモロコシ 1,484.00千トン(前週比+46.3千トン)大豆 2,648.70千トン(+1414.7千トン)小麦 329.60千トン(+97.6千トン)

週明け月曜日も調整売りに押される展開を予想。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日発表された欧米のPMIは市場予想比較で強弱まちまちだったが、欧州に関しては先月から状況が悪化、米国はマインドが大幅に改善していることが確認された。

偏に、コロナワクチンの開発と接種が進んでいる米国は、早期に平常状態に戻るのではとの期待が高まっている一方、変異種の感染拡大が確認され、ロックダウンが厳格になっている欧州とで差が出たようだ。

具体的な数値は、ユーロ圏製造業PMIが54.7(前月改定 55.2)、ドイツが57.0(58.3)、米国が59.1(57.1)である。

この結果、期待景況感の格差拡大からドルが上昇しやすく、ユーロが売られやすい。これに加えて、コロナの変異種の感染拡大は欧州に止まらず、米国やアジアにも広がると予想されることから、リスクテイクのドル安と株高の流れに水を差すことになるだろう。

「下がる下がる」と言っていればいつかは下がるが、これまでの過剰な期待が形成する相場が逆転するかもしれない。今後、フォワードルッキングな指標であるPMIやISM製造業指数などに、より注目する必要があるだろう。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米大統領選挙前後の国内融和にバイデン次期大統領が失敗する場合。

米上院選挙の結果を受けて米議会に親トランプ派が乱入、議会がロックダウンされるという事件も起きており、分断された米国の融和は容易ではない。

・「トリプルブルー」になったことで財政出動が加速、景気回復期待を受けた長期金利の上昇がドル高を誘発し、投機が商品価格押し上げの一翼を担ってきたことから、ドル高進行が価格をファイナンシャルな視点で押し下げる可能性。

このシナリオの可能性が高まるのは、Q121の米企業決算が発表され、「それほど悪くない」と言うことが確認される可能性がある4月以降か。

場合によるとワクチン開発と摂取進捗もあり、2020年決算と2021年事業見通しが発表される1月中下旬以降、ドル高進行開始の可能性も否定せず。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は低くなくなった。

・次の最大の成長ドライバーとして期待される、インド経済が期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・米国の財政状況悪化、緩和規模拡大によるドル水準の低下リスク(ドル減価により、名目ドル建て資産価格の上昇要因に)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は高値圏を維持すると考える。景気の緩やかな回復に加え、米政権の景気刺激作への期待、企業決算が悪くないことを背景に株高・ドル安の流れが再び強まっていることから。

しかし、これまでの株価上昇は期待先行の部分は否めず、実態との乖離が意識され株価が調整する局面、あるいは景気回復期待が高まって長期金利が上昇する中ではドル高となりやすく、中期的に下落するという見通しは堅持したい。

価格が持続的に上昇するには需給ファンダメンタルズの変化が必要で、ロックダウンが加速しやすく、ワクチン接種もまだ本格化していないことから価格上昇が肯定されるのは、引き続き3~4月頃になるとみている。

長期的には、報道通りのペースでワクチンが普及し、深刻な副反応が確認されなければ経済活動の回復とともに原油価格がわかりやすく上昇を始めるのは2021年後半になってから、と考えられる。

【見通しの固有リスク】

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラスのプログラムの対象となっていない中東諸国の増産(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合、

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる2.中東以外の産油国の生産者の破綻3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権誕生で、シェールオイルのフラッキングが制限/禁止される場合、供給減少で価格上昇要因に(今のところ生産量の1割程度となる、国有地でのフラッキング禁止にトーンダウンしている)。

また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に。ただし、米国内の反イラン感情の高まりで、直ちに制裁が緩和される可能性は低い。

・イランの反米感情が高まり、中東の不安定さが増す場合(価格上昇要因)。

イランの核科学者であるファクリザデ氏が(恐らく)イスラエルによって殺害されたが、これによりイラン国内でイスラエルの背後にあると解釈されやすい米国に対する反米気運が高まっている。

これはイラン国内での反米感情を高め、米国を核協議に復帰させないための策略と考えられる。

・米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解し、巨大なイスラム教圏が誕生した場合(地域安定で原油生産増加、短期的には価格の下落要因に)。

・ワクチン・治療薬が想定以上に早く準備でき、移動制限が急速に解除される場合(価格上昇要因)。

【石炭価格見通し】

石炭価格は堅調な推移になると考える。中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、冬場で炭鉱が稼働し難いこと、港湾在庫の水準の低さに反映されるように、供給が十分ではないことが材料。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化のの中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていること、春先に掛けては季節的に需要が減少することから徐々に海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

12月の中国の石炭輸入は気温低下の影響で前月から大幅に増加。前年水準の14倍、前月から3倍強となる3,907万5,000トン(前月1,176万トン)と顕著に増加した。

中国は国内の石炭産業の強化と政治的に対立する豪州からの輸入制限で、国内生産を増加させる方向性に舵を切っているが、足下の気温急低下を受けてそうも言っていられなくなったようだ。

バルチック海運指数も過去5年のレンジを大幅に上抜けしており、中国の石炭輸入需要が旺盛であることを示唆している。

ただ、足下は若干低下傾向となっており目先の燃料調達に目処が立った可能性がある。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格はしばらく高値圏での推移になると考える。ラニーニャ現象の影響もあり、気温がアジア・欧州で低下しているため。

極東の天然ガス指標であるJKM価格も、火力発電所が代替燃料として重油を用いるなどの動きを見せていることから今のところ下押し圧力が強まっている。

欧州の気温低下と、昨夏以降の在庫減少で域内需給がタイト化、LNGカーゴの需給もタイト化が予想されるため、高止まりと考える。しかし春先に掛けては季節的な需要の減少で価格は軟調になると予想する。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるためじり高の展開だが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・最大供給国であるロシアの増産。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが664,833枚(前週比 ▲27,482枚)ショートが156,249枚(▲8,349枚)ネットロングは508,584枚(▲19,133枚)

Brentはロングが367,270枚(前週比▲3,642枚)ショートが53,097枚(▲507枚)ネットロングは314,173枚(▲3,135枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は中国の景気先行指数を見るに中国の需要が今後数ヵ月は堅調さを維持するとみられること、景気の緩やかな回復に加え、米政権の景気刺激作への期待、企業決算が悪くないことを背景に株高・ドル安の流れが再び強まっていることから、高値を維持するとみている。

しかし、12月の中国の貿易統計を見ると、非鉄金属のベンチマークである銅に関して、精錬品の輸入が減速して過去5年レンジに戻ったことが確認されている。このことは中国の過剰な経済対策による需要創出が一巡した可能性があることを示唆しており、今後、非鉄金属価格には下押し圧力が強まることになるだろう。

また、これまでの株価上昇は期待先行の部分は否めず、実態との乖離が意識され株価が調整する局面、あるいは景気回復期待が高まって長期金利が上昇する中ではドル高となりやすく、中期的に下落するという見通しは堅持したい。

なお、現在の価格上昇は実際に中国の需要の増加による需給タイト化によるものであり、環境規制強化が牽引する価格上昇ではない。

例えば、中国の超高圧送電線網整備額は当初予定比+61%の1,811億人民元とする方針が今年の4月に示されており、電線向けの需要が銅、並びにアルミの需要を押し上げている。アルミは配電には利用されないが、超高圧電線には使用される。

このほか、バイデン政権の政策推進による環境重視の姿勢の強まりが、いわゆる「バイデン・トレード(化石燃料売り・省エネ金属買い、ただし金属生産の際には二酸化炭素が出ることは変わらない)」を加速させ、投機的な買い圧力を強めている。

バイデン・トレードは短期的には顕在化する需要ではないが、省エネ金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性があるため、足下は期待選好で、総じて中長期的には物色されやすい地合が続くとみる。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

中国が豪州の銅鉱石輸入を禁止していることで、精錬銅の需要が増加し、ベンチマークの銅価格が堅調に推移していることも地合を強くしよう。

しかし、中国の最大貿易相手経済圏である欧州でロックダウンの動きが再び見られること、季節的に南半球の供給が再開される可能性が高いこと、12月のファンド決算を意識した売り圧力の強まりが価格を押し下げるため上値も重いと考える。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合。

・高水準の投機筋買い越しポジションが急速に解消されたときの下落リスク。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(コロナの影響もあって、2020年の鉱山生産は全体で184万1,000トン、コロナの影響で115万1,000トン減少する見込み)。

・ニューカレドニアのGoroプロジェクトはAntfagasutaが買収相手として急浮上しており、過剰な供給不足への懸念が後退していることは価格の下落要因に。ただし楽観はできず。

なお、同プロジェクトのニッケル生産は6万トン/年(シェア2.4%)。

・GlencoreはZhairemプロジェクトの開発を決定しているが、ペルーのIscaycruz鉱山の閉鎖、カナダのMatagami鉱山、Kidd鉱山の鉱山年齢終了に伴う減産を見込んでおり、2021年の亜鉛生産は125万トン(従来見通し140万トン)と下方修正。

・中国の環境規制強化やコロナの影響再発に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・1月の米上院決定投票で民主党が過半数を確保し、「トリプルブルー」となり、脱炭素の動きが加速していわゆる省エネ金属の需要が増加する場合。

【投機筋のポジション動向】

・LME投機筋買い越し金額 前週比▲2.0%の292億ドル(前週 298億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比▲1.8%の6,486.1千トン(前週 6,606.1千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国の景気先行指標をみるに堅調な推移を続けると考える。貿易統計で確認できるように鉄鋼製品輸入が増加し、輸出が減少。中国の顕在需要が増加していることを示唆している。鉄鉱石在庫は積み上がっているが日数ベースでは在庫水準は低く、需給はタイトとみられるため。

豪州に対する制裁で、最大輸入相手国からの調達に障害が出ていることも、中国着の鉄鉱石価格の押し上げ要因になっていると考えられる。

12月の中国の鉄鋼業PMIを見ると、総合指数が49.3から45.8に急減速した。変動性が大きいためなんともいえないが、生産が47.7(前月53.3)と減速、新規受注が42.0(47.2)と大幅に減速したことによる。

しかし、輸出向け新規受註は54.4(45.9)と大幅に回復、完成品在庫が増加(32.2→33.5)して原材料在庫が減少(38.0→32.1)している。このことは、外需の回復を受けて中国政府が国内の経済対策に伴う発注を減少させている可能性がある。

海外の需要が回復したことによる過度な景気刺激が不要になった、と判断したことによるものである可能性がある。しかしながら単月の動きであり、鉄鋼業PMIは製造業PMIに比して変動性が高いため、来月以降の内容を見極める必要があろう。

なお、新規受注完成品在庫レシオは低下し、若干完成品の需給が緩和、一方で新規受注原材料在庫レシオは上昇しており、原材料需給がタイト化していることを示唆している。総じてまだ鉄鋼製品市場の需給はタイトである、とみるべきだろう。

今後も中国政府のインフラ投資を柱とする経済対策が、今年7月の中国共産党結党100周年記念まで続くと予想されること、中国国内の鉄鋼原料在庫水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高く、基本は底堅い推移となる。

ただし価格上昇が需要の減少を引き起こすレーショニングが意識されるほか、南米生産者の増産見通しを考えると上値も重いと考える。

中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、12月は137万5,000トン(前月185万トン)と減少傾向を持続し、過去5年レンジに戻った。12月の国内生産は季節性もあるが9,125万トン(前月8,766万トン、10月 9,220万トン、9月 9,256万トン)と回復した。

その一方、12月の鉄鋼製品輸出は485万トン(前月440万トン)と増加し、過去5年レンジの下限を回復した。このことは中国の鉄鋼製品の国内需要が減速し、顕在需要が減少を始めている可能性があることを示唆している。

弊社はこの鉄鋼製品の輸出入動向に注目しているが、輸出/輸入とも過去5年レンジに復帰の過程にあり、徐々に過剰な国内依存の需要環境から、輸出に牽引される形での鉄鋼業の操業状態(通常状態)に戻ると予想している。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが在庫水準は前週比+58万4,000トンの995万4,000トン(過去5年平均 963万6,000トン)と、例年よりも在庫水準は高い。

在庫は積み増し時期にあり増加しているが、過去5年平均を下回っている。引き続き中国の鉄鋼需給はタイトな状態が続いていると考えられる。

原料である鉄鉱石の12月の輸入は前年比▲4.5%の9,675万トン(前月+8.3%の9,815万トン)と高い水準を維持しているが減速、過去5年レンジに復帰した。このことは中国の国内需要が減速している可能性を示唆している。前年水準を下回ったことで、中国の国内需要は減速傾向にあると判断される。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+70万トンの1億2,550万トン(過去5年平均1億2,720万3,600トン)、在庫日数は26.4日(過去5年平均 33.0日)と例年と比較して在庫日数の水準は低く、輸入需要は持続するものと思料。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は急速に増加して、過去5年平均を回復した。目先の価格下押し要因となるだろう。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・カシミール地方を巡る中国との領有権争いが激化した場合、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

【投機筋のポジション動向】

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値を維持すると考える。金融緩和の継続と、株価の上昇に伴う長期金利上昇圧力がせめぎ合う形で実質金利を現状水準に維持すると考えられることから。

なお、リスクオンはドル安で価格上昇、リスクオフで価格下落となる(詳しくは2020年10月12日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,680ドルに上昇。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は201ドルと前日比+10ドル上昇した。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、72.8倍。過去1年を基準にすると95倍程度、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当だが、足元、70~75倍での推移となっている。

金銀レシオのチャートを見ると、70倍を切るとテクニカルに65倍が視野に入る。金価格が変わらなかったとしても、70倍から65倍に低下しただけで、+7.7%の銀価格上昇となるため、消費者は要注意だ。

金は高値を維持する見通しだがバイデン大統領誕生により、太陽光発電向けに用いられる「バイデン銘柄」であることもあって、需要構造の変化が価格を下支え(金銀レシオは低下)するものと予想。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。足下は、各国の自動車セクターの回復期待が強まっており、工業需要回復期待が価格を押し上げている状況。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは価格は景気の先行き楽観が強まっているが、足下のコロナの感染拡大がこれを相殺するため、現状水準でのもみ合いを予想。

ETF残高とパラジウム価格の連動性が高まっており(管理在庫増加→価格上昇)、一時の、ETF管理在庫減少→価格上昇、のメカニズムから変化してきている。

在庫取り崩し→価格上昇は実際に需給がタイトで、現物確保のためにETFを取り崩さなければならなかったからだが、現在はこれと逆のことが発生している訳で、足元、パラジウムの需給は緩和していると見られる。今後はETFの動向に注目。

12月の米自動車販売は年率1,627万台(市場予想1,580万台、前月1,555万台)と減速した。

中国の12月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+6.4%の283万台(前月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と回復を継続している。

自動車販売は回復しているが、不要不急の消費であるため中国を除いては本格的な回復にはまだ時間がかかる見込み。

【見通しの固有リスク】

・世界的な成長力の低下に伴い、各国の財政状況が悪化、地政学的リスクが顕在化する場合(中東・北アフリカのリスク顕在化の可能性は低くない)。リスク・プレミアム上昇を通じて貴金属価格の上昇要因に。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが307,507枚(前週比 ▲5,710枚)、ショートが60,869枚(▲6,121枚)、ネットロングは246,638枚(+411枚)、銀が84,009枚(▲3,896枚)、ショートが32,007枚(▲3,106枚)、ネットロングは52,002枚(▲790枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが35,835枚(前週比 ▲883枚)ショートが7,949枚(▲1,310枚)、ネットロングは27,886枚(+427枚)

パラジウムが4,978枚(▲336枚)、ショートが2,415枚(+63枚)ネットロングは2,563枚(▲399枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシ・大豆は中国の需要が想像以上に堅調であり、しばらく高値圏で推移すると考える。ドルが反転上昇するとみていたが、再び軟調な推移になっていることから、投機的な観点からもしばらく高値を維持すると予想する。

なお、中国の豚肉価格は下落する一方、豚肉の輸入量も減少している。このことは中国の畜豚数の増加(大豆ミール需要の増加)=大豆需要の増加、を示唆している。当面、中国向けの輸出が中国側の事情で増加すると見られることが価格を下支えすると予想。

ただし、生産地の生育環境の改善から供給懸念が後退し始めていること、当期の買いポジション解消の動きが強まると予想されることから、上値も重いと考える。なお、中期的にドルが上昇する見通しは変更していないため、中期的な価格見通しは引き続き下向き。

小麦はさほど投機の買いポジションが積み上がっている訳ではないが、各地で生産見通しが引き上げられており軟調地合。ただし足下のドル安が価格を下支え。

Locust Watchではエチオピア、ケニアで群生が発生している。昨年末も大型のサイクロンがアラビア半島~北アフリカを通過、豪雨が観測されており、バッタの成育に良好な環境が提供されている可能性があり、このままだと今年も蝗害が起きる可能性は否定できない。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210118DLupdate.jpg

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象の発生による穀物供給減少リスクの顕在化。害虫の発生、生産地の土壌破壊など(すでに一部顕在化)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・1月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 172.0Bu/エーカー(175.13、175.8)大豆 50.2Bu/エーカー(50.52、50.7)小麦 49.7Bu/エーカー(NA、49.7)

・1月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 141億8,200万Bu(144億4,629万Bu、145億700万Bu)大豆 41億3,500万Bu(41億5,642万Bu、41億7,000万Bu)小麦 18億2,600万Bu(NA、18億2,600万Bu)

・1月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 25億5,000万Bu(26億5,000万Bu)大豆 22億3,000万Bu(22億Bu)小麦 9億8,500万Bu(9億8,500万Bu)

・1月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 15億5,200万Bu(15億9,191万Bu、17億200万Bu)大豆 1億4,000万Bu(1億3,861万Bu、1億7,500万Bu)小麦 8億3,600万Bu(8億5,922万Bu、8億6,200万Bu)

・12月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 113億2,200万Bu(117億4,670万Bu、19億5,000万Bu)大豆 29億3,300万Bu(29億2,900万Bu、5億2,500万Bu)小麦 16億7,400万Bu(16億9,555万Bu、21億5,800万Bu)

・1月CONABブラジル作付け面積(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1,846万ha(1,936万ha、1,844万ha)大豆 3,819万ha(3,848万ha、3,818万ha)

・1月CONABブラジル生産量(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1億231万トン(1億789万トン、1億259万トン) 単収 5,541Kg/ha(5,570kg/ha、5,564kg/ha)大豆 1億3,369万トン(1億3,272万トン、1億3,445万トン) 単収 3,500Kg/ha(3,452kg/ha、3,522kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが628,311枚(前週比 ▲30,412枚)、ショートが99,660枚(▲16,940枚)ネットロングは528,651枚(▲13,472枚)

大豆はロングが276,135枚(▲699枚)、ショートが49,448枚(+3,471枚)ネットロングは226,687枚(▲4,170枚)

小麦はロングが145,845枚(+8,695枚)、ショートが106,798枚(+472枚)ネットロングは39,047枚(+8,223枚)

◆本日のMRA's Eye


「原油価格は緩やかな上昇持続」

低迷を続けていた原油価格は強含み推移している。11月初旬のファイザーのワクチン開発進捗報道、並びに、米国の追加経済対策報道、英国のEUとの通商交渉妥結、サウジアラビアの予想外の自主追加減産などの価格にポジティブな材料が買い材料視されているため。

弊社は原油の過去の需給バランスの変化が価格に対する説明力が高いと考えているが、過去の需給バランス変化とBrent価格の上昇率をみると、前年比+30%~+50%の上昇となる。

2020年のBrent平均価格が43ドルであることを考えると、2021年の価格は56ドル~65ドル程度となる。しかし、余剰生産能力の大きさから恐らく上がったとしても予想の下限である56ドル程度になるのではないだろうか。

価格上昇が顕著になりそうなのは今年の4月以降であるが、恐らくこのタイミングでサウジアラビアを初めとするOPEC・OPECプラス諸国が増産に転じること、米シェールオイル生産者の増産(次スライド参照)の可能性があること、投機的に価格を押し上げていたドル安傾向がドル高に転じる可能性があることを考えると、緩やかな上昇に止まる可能性が高い。

では、今後増産の可能性がある米国のシェールオイルの動向はどうだろうか。基本的に生産コストを原油価格が上回れば利益が嘉穂できるために増産が行われる。

過去原油生産の減少が原油価格の上昇が続く中で米国の主要鉱区の平均生産コストを、WTIが上回るようになってきた。産油国の減産の影響もあるが、やはりワクチン開発の進捗や、「エッセンシャルな経済活動は継続」という世界的な方針を受けて、需要が回復基調にあることが影響シテイルとみられる。

また、恐らくボルカールール適用以降初めてとなるが、カネあまりを反映して「割安な商品を物色する動き」が見られていると考えられ、原油価格もドル安を背景に水準を切り上げる展開となった。

この結果、WTIの先物期間構造はCal2021で50ドルを上回っており(本稿執筆時点)、「先物市場ないしは金融機関を通じて売りヘッジを実施すれば」今年中の生産コストをカバーすることが可能となる。

ただ、4月のマイナス価格原油を経験しているため「販売先が確保」できていない状況だと積極的な増産は見送られると考えられ、これまでのような感応度で増産が起きるかどうかは不透明だ。

また、生産開始には時間差を伴う。通常、原油価格の上昇が生産開始に繋がるまで、過去のデータ分析によると4ヵ月程度の時間差がある(実際の増産までは、増産を決定してからオンストリームになるまで6ヵ月~7ヵ月程度かかるとされる)。

これらを考慮すると、増産決議から6ヵ月以降、増産が開始される可能性が高く、カレンダー通りであれば今年の夏以降に生産量が増加し、価格上昇を抑制することになるだろう。

現在、OPECプラス諸国も減産を続けているため、これらの増産が発生することを考えると、2021年後半に向けて原油価格は上昇するシナリオだが、やはり上昇余地は限定されると考えるのが妥当ではないか。

この見通しのリスクは、ワクチンが効かない、あるいは効き過ぎて、これまでの金融政策・財政政策の影響で過剰に価格が上昇する場合。今のところどちらの発生の可能性も高くないと考えているが、どちらかと言えば、後者となる可能性の方が高そうだ。

米大統領選挙結果を受けた中東でのパワーバランス変化の可能性が、供給不安を高める可能性も想定される。しかし、バイデン大統領は国内情勢の不安定さから極端に政策変更をできる状態ではなく、影響は限定される可能性が高い。

なお、2022年以降は前年比で若干の供給過剰幅の拡大となるため、価格上昇ペースは鈍化すると予想。過去の価格上昇実績を参考にして、2021年の価格上昇を前年比+30%、2022年を+10%程度の上昇となった場合、2022年の平均価格は62ドル程度になると予想される。

◆主要ニュース


・1月日本製造業PMI速報 49.7(前月改定 50.0)サービス業 45.7(前月改定47.7)、コンポジット 46.7(48.5)

・12月日本全国百貨店売上高 前年比▲13.7%の5,465億円(前月▲14.3%の4,179億円)
 東京都区部百貨店売上高 ▲15.9%の1,473億円(▲17.8%の1,169億円)

・1月ユーロ圏製造業PMI速報 54.7(前月改定 55.2)サービス業 45.0(46.4)、コンポジット 47.5(49.1)

・1月独製造業PMI速報 57.0(前月改定 58.3)サービス業 46.8(47.0)、コンポジット 50.8(52.0)

・1月米製造業PMI速報 59.1(前月改定 57.1)、サービス業 57.5(54.8)、コンポジット 58.0(55.5)

・12月米中古住宅販売 前月比+0.7%の676万戸(前月▲2.2%の671万戸)

・英ジョンソン首相、「新型コロナの変異種は、従来種よりも感染力が高く、死亡率の上昇と関係がある可能性がある。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油▲3.2MB(クッシング▲2.0MB)
 ガソリン+4.4MB
 ディスティレート+4.8MB
 稼働率+1.3

 原油・石油製品輸出 8,394KBD(前週比▲289KBD)
 原油輸出 3,130KBD(▲212KBD)
 ガソリン輸出 781KBD(▲6KBD)
 ディスティレート輸出 1,068KBD(▲22KBD)
 レジデュアル輸出 94KBD(+17KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,384KBD(▲5KBD)
 その他石油製品輸出 1,888KBD(▲54KBD)

・DOE天然ガス稼働在庫 3,197BCF(前週比▲132BCF)
 東部 726BCF(▲39BCF)
 中西部 879BCF(▲44BCF)
 山間部 188BCF(▲8BCF)
 太平洋地区278BCF(▲4BCF)
 南中央 1,126BCF(▲37BCF)

・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数287(前週比+12)
 ガスリグ 85(前週比+1)。

・経済産業省、2022年度から1,000キロワット以上の太陽光や地熱、中小水力の新規認定分に関して、買い取り価格を卸電力価格に一定の補助金を上乗せする仕組みに変更。

・住友商事、オマーンの油ガス田で水素製造に向けた事業化調査を開始。

【メタル】
・2020年国内粗鋼生産 前年比▲16.2%の8,319万トン。コロナの影響で自動車生産台数が減少したことなどが影響。

・東京製鐵、2021年3月期の単独税引き利益、前期比▲78%の30億円の見通し。スクラップ価格の上昇で。

・カナダ Capstone Mine(2020年のガイダンス 140百万~155百万ポンド キャッシュコスト3,855~4,186ドル、2021年は175百万~190百万ポンド、キャッシュコスト3,855~4,186ドル)、メキシコのZacatecasとアリゾナのPinto Valleyの生産を2022年までに40%増加させる計画。同時にコストも▲15%削減。

・IAI 12月アルミ生産
 世界 5,670千トン(前月5,504千トン)
 日量 182.9千トン(183.5千トン)
 北米 338千トン(327千トン)
 南米 93千トン(86千トン)
 西欧州 281千トン(272千トン)
 東・中央欧州 352千トン(340千トン)
 中東湾岸諸国 495千トン(478千トン)
 アジア 363千トン(344千トン)
 中国 3,280千トン(3,207千トン) 
 オセアニア 163千トン(157千トン)
 アフリカ 135千トン(129千トン)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ビットコイン ( その他 )/ +6.74%/ +14.92%
2.CME木材 ( その他農産品 )/ +6.42%/ ▲8.83%
3.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +6.33%/ +6.65%
4.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ +2.68%/ ▲0.50%
5.CME生牛 ( 畜産品 )/ +2.30%/ +3.34%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.CBTトウモロコシ ( 穀物 )/ ▲4.53%/ +3.41%
65.CBT大豆 ( 穀物 )/ ▲4.27%/ ▲0.27%
64.CBT小麦 ( 穀物 )/ ▲3.97%/ ▲0.94%
63.CBT大豆ミール ( 穀物 )/ ▲3.79%/ ▲2.95%
62.CBT大豆油 ( 穀物 )/ ▲2.67%/ ▲2.45%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :30,996.98(▲179.03)
S&P500 :3,841.47(▲11.60)
日経平均株価 :28,631.45(▲125.41)
ドル円 :103.78(+0.28)
ユーロ円 :126.31(+0.41)
米10年債 :1.09(▲0.02)
中国10年債利回り :3.12(▲0.02)
日本10年債利回り :0.05(+0.01)
独10年債利回り :▲0.51(▲0.02)
ビットコイン :33,322.33(+2105.33)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :28.35(+1.07)
エネルギー :36.11(▲0.15)
ベースメタル :22.70(+1.04)
貴金属 :29.27(+0.47)
穀物 :27.57(+3.83)
その他農畜産品 :26.96(+0.69)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :26.52(+0.12)
Brent :25.82(▲0.01)
米天然ガス :70.32(+0.1)
米ガソリン :30.74(▲0.97)
ICEガスオイル :20.05(▲0.2)
LME銅 :19.48(+1.45)
LMEアルミニウム :18.98(▲0.07)
金 :28.87(+5.71)
プラチナ :37.87(+1.46)
トウモロコシ :29.25(+7.52)
大豆 :28.87(+5.71)

【エネルギー】
WTI :52.27(▲0.86)
Brent :55.41(▲0.69)
Oman :55.25(▲0.65)
米ガソリン :154.87(+0.08)
米灯油 :157.60(▲2.46)
ICEガスオイル :449.25(▲5.75)
米天然ガス :2.45(▲0.05)
英天然ガス :60.15(+3.58)

【貴金属】
金 :1855.61(▲14.41)
銀 :25.49(▲0.44)
プラチナ :1103.22(▲27.49)
パラジウム :2361.01(▲8.79)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :7,882(▲178:10C)
亜鉛 :2,673(▲59:21.5C)
鉛 :2,025(▲26:18C)
アルミニウム :1,976(▲19:0.5C)
ニッケル :17,938(▲484:32C)
錫 :21,725(▲390:275B)
コバルト :39,600(+1,100)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :7986.00(▲48.00)
亜鉛 :2708.50(±0.0)
鉛 :2046.00(+12.00)
アルミニウム :1994.50(▲5.50)
ニッケル :18205.00(▲180.00)
錫 :21970.00(▲130.00)
バルチック海運指数 :1,810.00(▲27.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :168.11(▲1.70)
SGX鉄鉱石 :169.34(▲0.49)
NYMEX鉄鉱石 :169.82(▲0.16)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :118.15(+1.05)
大連原料炭先物 :278.62(▲5.42)
上海鉄筋直近限月 :4,200(+8)
上海鉄筋中心限月 :4,332(+12)
米鉄スクラップ :505(+6.00)

【農産物】
大豆 :1311.75(▲58.50)
シカゴ大豆ミール :421.60(▲16.60)
シカゴ大豆油 :42.27(▲1.16)
マレーシア パーム油 :3583.00(+32.00)
シカゴ とうもろこし :500.50(▲23.75)
シカゴ小麦 :634.50(▲26.25)
シンガポールゴム :232.50(▲2.80)
上海ゴム :14435.00(▲280.00)
砂糖 :15.87(▲0.18)
アラビカ :124.05(▲2.40)
ロブスタ :1304.00(▲13.00)
綿花 :81.56(▲1.01)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :69.93(+1.83)
シカゴ生牛 :116.73(+2.63)
シカゴ飼育牛 :137.25(+1.38)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。