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米中貿易交渉妥決期待で軒並み上昇
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年1月21日 第1467号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米中貿易交渉妥決期待で軒並み上昇」

週末昨日の商品市場は貴金属や債券などのいわゆる安全資産が下落し、その他の商品は軒並み水準を切り上げる展開となった。

中国が今後6年間で対米黒字をゼロにする方針であるとの関係者のコメントが伝わったことが最大の材料。また、足元の米国の経済統計がやや強めのものが多いこと、FOMCもトランプ大統領の牽制発言と株価の下落を受けて追加利上げに慎重な見方を示し始めていることも価格を押し上げた。

ただ、米中貿易交渉は妥結したわけではない。昨年の米中協議の内容をおさらいすると以下の通りだ。

1.米国は中国に対する追加関税(2,000億ドル分)の引き上げを90日間猶予

2.米中は知的財産保護、技術移転の強要、サイバー攻撃、非関税障壁、サービスと農業市場の開放の5分野において協議開始

3.90日間で合意できなければ、米国は2,000億ドルを対象に関税を25%引上げ

4.中国は対米貿易黒字を減らすために、米国産の農産品やエネルギー、工業金属などを購入

5.ハイテク分野の政策見直しや産業補助金の撤廃などは協議対象に盛り込まず

今回の話は4.に該当するものであり、確かにこれが回避されれば2,000億ドル分の引き上げは行われないことになる。つまり今までの関税引き上げ分に関しては見直されない、ということだ。

ムニューシン財務長官が早速関税引き下げを...と主張したようだがライトハイザー通商代表はこれを否定しており、完全解決とはならない。恐らく一時的に妥協しても今後この問題が蒸し返される可能性は高いと考える。

また、2.の知的財産保護や技術移転の共用、サイバー攻撃問題などについて解決するとは考え難く、よくよく見てみるとハイテク分野の政策見直しに関しては今回の「ディール」には含まれておらず、ファーウェイへの追及強化は、今回のディールとは関係なく継続すると考えるべきだろう。

結果、ハイテク分野への影響は小さくなく、工作機械などの受注にも大きな影響が出ると予想される。「景気が下り坂にある時の二大大国のケンカ」であることを忘れてはならない、ということだろう。

週明け月曜日は米国市場がキング牧師の誕生記念日で休場であるため、方向感が出難い展開が予想されるが、英メイ首相がEU離脱の代替案を提示する期限であることからリスク回避の動きが強まる展開が予想される。

また、商品需要動向を占う上で重要なIMF経済見通しが発表の予定であるが、恐らく見通しは下方修正されることになるだろう。このことも景気循環系商品価格を押し下げると予想する。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

昨日の原油価格は大幅に上昇した。昨年秋以降の最大の懸念の1つである米中の貿易交渉に進展がみられるとの期待が高まったことや、足元の米統計が改善していることにより、景気への過剰な懸念が後退したこと小幅に下落した。テクニカルに50日移動平均線のサポートを試す動きとなったが、米フィラデルフィア連銀指数が予想以上の改善になったことなどで引けにかけて上昇、50日移動平均を維持して引けた。

昨日の下落でも50日移動平均線のサポートライン、WTI(52ドル)・Brent(61ドル)を固める形となった。この水準を維持できると各々10ドル程度価格レンジが切り上がることになるが、今のところこの水準を大きく上抜ける/下抜けるような材料がなく、当面このラインを攻防戦としてもみ合い推移することが予想される。

原油価格は一旦上昇余地を探る動きになると考える。昨年からの下落は循環的な景気の減速に、米中対立による景気への懸念が加わり、株価の急落などもあって11月末、12月末を意識したファンドの売りが嵩んだことでオーバーセルの状態になっている。

またここにきて、米中の貿易交渉が進展する可能性が報じられ、米国利上げも慎重姿勢に舵が切られた感があり、さらには足元発表されている米経済統計もやや強めのものが目立つ。つまり、昨年から売り材料視されていたものがすべて今、買い材料に転じているのだ。

とはいえ、米中貿易戦争は長期化がやはり前提であり、北米の増産がQ119も緩やかに増加すると予想されること、年後半にかけて米国の減税効果が剥落することから上値も重く、本格的に上昇に転じるのは2020年以降のインドの人口ボーナス期入り以降となるのではないか。

足元の景気循環銘柄価格下落の主因の1つである米中貿易戦争であるが、足元、緩和の期待が高まっている。しかし、恐らく米国は「中国が西側の仕組みに組み入れられることを承諾します」というまで継続すると予想する。

そして、それほど短期決戦にはならないと考えられるため、比較的長い間景気にマイナスに作用すると予想されることから、原油を始めとする景気循環系商品価格の下押し要因となるだろう。

短期的には投機筋動向が価格に影響を与えやすいが、12月18日付のWTIの投機筋ポジションは、ロングが前週比▲1,869枚の502,715枚、ショートが▲1,971枚の193,107枚、Brentは12月18日付でロングが▲967枚の260,466枚、ショートは▲13,370枚の108,466枚となっている。

なお、政府閉鎖の影響で12月18日以降、データは更新されていない。

中長期的には中国の人口ボーナス期が2030年頃まで続く事、2020年頃からはインドも人口ボーナス期に入り需要の増加が見込まれることから構造的に需要増加が見込めるため強気である。

なお、EVが普及して原油需要は2035年~2040年頃にピークを迎えるとの見方が市場のコンセンサスとなりつつあるが、財政的なサポートが必要なEVは、市場の期待するようなペースで拡大するとは見ていない。

また、EV化が進むにつれて同時に発生する、軽量化目的の樹脂利用(化学製品向け需要の増加)も期待できること、液体燃料は保存や輸送の観点からみて依然割安であり、アフリカなどの新興国では引き続き利用されると予想されることから、2035年に「需要の伸びは鈍化」するものの、減少に転じると判断するのは早計と見る。

実際に減少に転じるのは世界的に人口伸びの鈍化が実感される頃(2050年頃)になるのではないか。

この見通しの上昇リスクを現物の需要・供給に分けてみてみると、需要面は原発事故などの突発事象で他のエネルギーを原油で代替せざるを得なくなった時がこれに当たるが、これはなかなか想定し難い。

供給面は、以下のようなものが上昇リスクと考えられる。

1.中東情勢の悪化

2.上流部門投資低迷の影響

1.の中東情勢はより混迷を極めている。年初は、「米国+イスラエル+サウジ」vs「イラン+ロシア」という構図だったが、米国の大使館移転や、サウジアラビア ムハンマド皇太子のジャーナリスト殺害疑惑などで、米国・サウジアラビアの関係がギクシャクしてきている。

OPECもカタールが脱退、反サウジアラビアの姿勢を強め、イランもOPECの継続についてやや懐疑的な見方を示すなど、「景気後退局面・需要減速局面での産油国のエゴ」がむき出しになりつつある。

通常であれば増産攻勢が強まり、価格の下落要因となりそうだが、軍事的な衝突やサウジ対する制裁やそれに対する報復としての原油輸出停止も、ムハンマド皇太子が今のポジションにいる以上ない話ではない。

仮に、イランやサウジが軍事的に衝突した場合や、米国のイランに対する制裁が貫徹され、本当にイランが原油輸出できなくなるような場合には、ホルムズ海峡封鎖の可能性が高まるため、原油価格が100ドルを超えても何ら不思議はない。ただ、カショギ氏殺害疑惑を契機にムハンマド皇太子の動きが若干鎮静化していることは、日本を始めとする消費国にとっては朗報、といえるだろう。

金融面・政策面では、以下の要因が上昇リスクとなる。

1.米金融規制緩和

2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

4.米中貿易戦争が終結する場合

1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼゼロになった。

2.は足元の統計減速で、来年の利上げペースが鈍化する可能性が出高まっている。FOMCメンバーもハト派的な論調が増えてきており、2019年以降の利上げペースは当初予想よりも減速すると予想される。

4.は短期的に貿易分野で米中が合意することはあるかもしれないが、長期的な覇権を競う争いであるためそう簡単に終息するとは思えない。

下落リスクは需要面は何かしらの信用リスクが顕在化することが材料となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.米国の中国制裁強化による中国の財政状況悪化ないしは地方政府のデフォルト

3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けたリスク回避の動きの強まり

5.株価の調整

6.トランプ政権の保護主義政策推進

7.新興国の財政状況悪化ないしはデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、足元は米国の制裁強化の影響でむしろこちらにブレーキを踏む動きになっている。

2.は構造的な中国の経済成長減速に、米国の制裁強化が重なっているためデフォルトまでは行かなくとも地方政府の財政状況が悪化し、地域経済に影響を与える可能性は低くなくなっている。

3.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、Brexitがハードなものになる可能性は2019年以降の重要なリスクの1つである。

中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続がリスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。

5.は既に顕在化した。株価下落のきっかけは7月のFOMCでの利上げ以降の金利上昇で、米2年-5年金利が逆転したのを「景気後退」と株式市場参加者が判断、過剰に反応し、ファンドの閉鎖も伴いながらポジション解消が進んでいる。ただし売り一巡で足元は逆に価格の押し上げ要因になっているようだ。

6.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探る動きになりつつある。しかし大統領選挙まで「戦う大統領」のポーズを示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しない。

7.は米国の利上げ継続などで新興国からの資金流出が継続すると、現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

供給面は、以下の要因が主な下落リスクシナリオだ。

1.北米の増産加速

2.OPECの結束の揺らぎ

1.は米国のパイプラインのキャパシティ問題もあり、増産ペースは鈍化している。原油価格が採算ラインに乗ってから増産が始まるまでの時間差や新しいパイプラインの稼働時期を考えると、今年から再び増産ペースが加速すると予想される。

2.は、12月のOPEC総会の結果を見てもわかるように、出口を模索する状態にはない。

ムハンマド皇太子の強硬姿勢に嫌気が指し、財政状況も厳しくなったカタールがOPEC脱退を決定するなど、結束にはほころびが出始めている。イランの減産分をサウジが肩代わりするなど、対立国の利害関係が対立しており、イランの脱退で生産調整が機能しなくなる可能性もある

石炭価格はじりじりと水準を切り下げる展開となっている。北朝鮮への制裁強化や中国の環境を意識した減産の影響で需給がタイト化し、価格水準が大きく切り上がったが、現在の供給環境を所与のものとしたとき、価格動向を左右するのはやはり景況感、すなわち需要動向である。

最大消費国である中国の景況感は悪化しており、製造業PMIは50の閾値を下回った。このような需要鈍化局面では石炭価格には下押し圧力が掛かりやすい。また、北東アジアが暖冬であることも価格下落圧力となっている。当面、100ドルを上値に意識される展開が続くことになるだろう。

なお、米国と北朝鮮の交渉が進捗し、制裁が緩和された場合にはさらに価格は下押しされることになると予想される。しかし、北朝鮮が核開発を継続している可能性が高い中、制裁緩和の可能性は高くない。

それよりは、米中貿易戦争の激化で中国が米国に従わない、親北傾向を強める韓国が非合法に北朝鮮に対する制裁を緩和する、という展開はあり得るだろう。2019年のびっくり予想ではないが、韓国と北朝鮮が統合し、朝鮮半島が一気に親中国に傾く、というシナリオもなくはない。

ただし、環境規制強化の世界的な流れを受けて、上流部門投資が抑制される見通しであることに伴う供給制限から下値余地も限定されると考える。この場合、石炭先物の期先の価格が目安として参考になるが、85ドル程度が下値の目途になるのではないか。

---≪LME非鉄金属≫---

LME非鉄金属価格は総じて堅調な推移となった。中国が今後6年で対米貿易黒字をゼロにするとの関係者のコメントが伝わったことで、同国の需要の減速懸念が後退したことが背景。

非鉄金属価格は米中の景気刺激策と、昨年後半の売られすぎからの反動で上昇すると見ている。夏頃までは原油減産や米長期金利の上昇一服から実質金利に低下圧力が掛かりやすいことも価格を押し上げるだろう。2020年以降はインドの人口ボーナス期入りによる構造的需要増加で上昇すると考えている。

中国人民銀行は1月中の1.0%の預金準備率引き下げを発表したほか、中国国営の中国鉄路総公司が2019年の鉄道網整備を6,800キロ(1,250億ドル)とし、2018年の4,683キロから45.2%増加させると発表した。

しかし、米中貿易戦争がそう簡単に解決しないとみられることや、欧州の政情混乱(ドイツやイタリアの政治混乱、ハードBrexitなど)、秋口にかけては米減税効果が一巡することから、春・秋に一時下値余地を探る動きになるのではないか。

また、米中貿易戦争は一時的な緩和はあるものの今後も継続する見込みであることから、特に上期中は下振れは小さくないと考える。

足元の景気循環銘柄価格下落の主因の1つである米中貿易戦争であるが、足元、緩和の期待が高まっている。しかし、恐らく米国は「中国が西側の仕組みに組み入れられることを承諾します」というまで継続すると予想する。

そして、それほど短期決戦にはならないと考えられるため、比較的長い間景気にマイナスに作用することになるため、非鉄金属を始めとする景気循環系商品価格の下押し要因となるだろう。

そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益は、年初来ベースで前年+11.8%の6兆1,169億円(1-10月期+13.6%の5兆5,212億元)、11月は▲1.8%の5,948億円(前月+3.6%の5,480億元)と減速が鮮明となっている。

12月の中国の不動産統計でも、12月の中国主要70都市の新築住宅価格は前月比+0.77%(前月+0.98%)と伸びが鈍化したものの前月比プラスを維持、前年比で+9.7%(+9.3%)と中国政府による不動産規制にも関わらず、住宅セクターがまだ堅調であることが確認された。

また、中国人民銀行の集計では2018年の新規不動産融資は6兆4,500億元で、新規融資全体の39.9%(前年41.1%)からやや低下した。このことは中国の住宅ブームが徐々に鎮静化に向かっていることを示唆している。構造的・循環的な景気減速に加え、米国の制裁の影響が顕在化していることは間違いなさそうだ。

日本の歴史を見てもわかるように、人口動態のピークアウトは住宅セクターの鎮静化につながりやすく、今後はこれまで作ってきたバブルをいかに混乱なく潰せるかどうかである。

なお、構造的に工業金属需要が増加し、価格が上昇するのはおそらく次の需要のけん引役となるインドが人口ボーナス期入りする2020年以降になるとみており長期的には強気の見通しである。

短期的には投機筋の動向が重要になるが、1月11日付のLMEポジションには跛行性がみられたが、リスクテイクの動きが回復している。

銅はロング・ショートともポジションを減らし、ロングの解消(需要見通しの下方修正の影響が大きいと見る)圧力のほうが強かったため、ネットロングは大幅な減少となった。

その他はロング・ショートの跛行性はあるものの、いずれもネット買いポジションを増加させており、ポジション解消が一巡、米中貿易戦争や景気自体への過剰な懸念が後退したことを印象付けるポジション動向だった。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は1月11日時点で104.4億ドル(前週94.4億ドル)と回復した。まで買い越し額を縮小させた(前週比▲10.6%)。買い越し枚数もトン数換算ベースで3,574千トン(3,105千トン)に回復している。ポジション調整が一巡し、ファンドが動きやすい環境にあったことが影響しているようだ。

中長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期は2030年頃まで続く事、2020年頃からインドが人口ボーナス期に入ることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気のスタンスを崩していない。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているのは明らかである。

恐らく、市場が期待していたほどのペースで一帯一路政策が進行することはないだろう。そんな中、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなどを前提に、一帯一路構想への協力を約束した。

中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。軍事衝突を回避しつつ、中国をたたく戦略を採用している米国がこれを看過するかは疑問である。

この見通しの上昇リスクは需要面では、

1.中国の景気刺激策の実施

2.環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台が使われる)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

3.トランプ政権のインフラ投資計画実施

4.米中貿易戦争が終結する場合

などが考えられる。

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すには内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セクターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。

ただ、既に預金準備率の引き下げは実施されているが地方政府財政も逼迫していることから支出の拡大となる公共投資の規模拡大は限定されると予想される。

2.の環境規制強化の流れの中でのEVブームは、若干鎮静化している。EV普及のためには補助金負担は必須であり、景気が減速する中ではなかなか積極的にEV政策を推し進められないことが背景にある。よって、市場が期待しているほどのペースで普及するとは見ていない。

3.はそもそも大きな政府を目指している民主党の理解が得られやすいため、メキシコとの壁は作らないと思うが一部実施される可能性は高まった。

4.は短期的に貿易分野で米中が合意することはあるかもしれないが、長期的な覇権を競う争いであるためそう簡単に終息するとは思えない。

供給面は個別性が強いが、以下が上昇リスク要因として挙げられる。

1.大規模鉱山の減少に伴う安価な資源確保環境の悪化(コストを掛ければ採掘できる。リサイクルの充実は必須)

2.中国の環境規制強化に伴う減産の継続

3.石炭価格上昇による生産コスト(電力コスト)の高止まり

金融面・政策面では、以下が主な上昇リスク要因だ。

1.米金融規制緩和

2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼゼロになった。

2.は足元の統計減速で、来年の利上げペースが鈍化する可能性が出てきた。FRBパウエル議長を含むFOMCメンバーもハト派に傾きつつある。

下落リスクは多く、以下があげられるが主に信用リスクの拡大が要因の軸となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

3.株価の調整

4.米輸入規制強化並びにそれに対する報復

5.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、足元は米国の制裁強化の影響でむしろこちらにブレーキを踏む動きになっている。

2.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、Brexitがハードなものになる可能性は2019年以降の重要なリスクの1つである。

中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続がリスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。

3.は既に顕在化した。株価下落のきっかけは7月のFOMCでの利上げ以降の金利上昇で、米2年-5年金利が逆転したのを「景気後退」と株式市場参加者が判断、過剰に反応し、ファンドの閉鎖も伴いながらポジション解消が進んでいる。今や最大の下落要因となっている。

ただし足元は売り一巡でむしろ株価には上昇圧力が掛かっており、逆に買い材料に転じている。

4.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探る動きになりつつある。しかし大統領選挙まで「戦う大統領」のポーズを示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しないだろう。

5.は米国の利上げ継続などで新興国からの資金流出が継続すると、現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

---≪鉄鋼原料≫---

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は小幅上昇、原料炭スワップ先物は上昇、鉄鋼製品価格も上昇した。

唐山市が環境規制強化で週末にかけて、生産能力の3割を完全に停止する方針と一部メディアが報じたことで鉄鋼製品価格が上昇、鉄鉱石価格の上昇要因となった。

Rio Tintoは2019年の鉄鉱石出荷を前年比+3.5%の3億3,800万トン~3億5,000万トン程度に増加させることを計画している。中国の需要が鈍化する中では売り材料となる。

鉄鉱石価格は現状水準で推移すると考える。

中国政府が景気刺激のために金融緩和や公共投資を積みます計画であること、冬場の鉄鋼生産抑制継続による鉄鋼製品価格の高止まりが、投機的な観点での鉄鉱石買いを誘うと考えられること、季節的に輸入鉱石の需要期に当たること、環境面を意識した高品位鉱選好の動きの継続が価格を押し上げると見る。

主要生産地である唐山市の直近の鉄鋼生産者稼働率は75.5%と例年の82.3%を下回っている。今回の報道ではこの稼働率は70%程度にさらに落ちることになる。

中国人民銀行は1月中の1.0%の預金準備率引き下げを発表したほか、中国国営の中国鉄路総公司は2019年の鉄道網整備を6,800キロ(1,250億ドル)とし、2018年の4,683キロから45.2%増加させると発表した。

一方で、中期的には鉄鋼製品生産の減速で鉄鋼向け鉄鉱石需要の減速が予想されることが、価格の上値を押さえると考えられる。

ただし、中国の鉄鋼業の景況感は悪化している。12月の中国鉄鋼業PMIは44.2(前月45.2)と低迷。特に生産削減方針を受けて生産の減少(47.6→39.1)が顕著だ。

新規受注は国内向けがやや回復(35.4→39.5)したものの、輸出新規受注が大幅に減速(43.2→35.8)しており、地合いは弱い。

実際、中国の2018年の鉄鉱石輸入は10億6,000万トンと8年ぶりの前年割れとなっている。

その一方で、完成品在庫(58.8→45.9)、原材料在庫(54.8→47.7)と在庫水準が低下していることが、鉄鋼製品・鉄鋼原料価格を下支えしよう。

こうした国内外の減速による景況感の悪化、とくに中小企業の景況感悪化を回避するために中国政府は減税や公共投資実施などの対策を行う方針を、中央経済工作会議で示した。

ただし、同時に地方政府の財政状況も厳しく、公共投資の規模大幅拡大も困難であるため、恐らく金融緩和程度に止まり、鉄鋼製品、鉄鉱石価格の下支え要因にはなるが、価格を大きく押し上げるほどの効果はないと見る。

なお、米中貿易戦争がどのように決着するか、現時点で誰も見通すことはできないが、恐らく米国は「中国が西側の仕組みに組み入れられることを承諾します」というまで継続すると予想する。

そして、それほど短期決戦にはならない(長期的な解決には時間がかかる)と考えられるため、比較的長い間景気にマイナスに作用することになるため、非鉄金属を始めとする景気循環系商品価格の下押し要因となるだろう。

そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益は、年初来ベースで前年+11.8%の6兆1,169億円(1-10月期+13.6%の5兆5,212億元)、11月は▲1.8%の5,948億円(前月+3.6%の5,480億元)と減速が鮮明となっている。構造的・循環的な景気減速に加え、米国の制裁の影響が顕在化していることは間違いなさそうだ。

結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども継続する見込みであるため、工業金属需要にとってマイナスに作用することは避けえない。

鉄鋼製品在庫は前週比+43.3万トンの916.9万トン(過去5年平均1,052.1万トン)であり例年よりも在庫水準は低く、鉄鋼製品価格は例年よりも高い水準を維持しそうだ。このことは鉄鉱石価格の下支え要因となる。

直近の統計では、鉄鉱石在庫が前週比+30万トンの1億4,090万トン、(過去5年平均1億1,966万トン)、在庫日数は変わらずの33.5日(過去5年平均31.1日)と例年の水準を上回っている。粗鋼生産が駆け込み需要が剥落したためと考えられ、鉄鉱石価格を下押し要因となる。

長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期は2030年頃まで続く事、2020年からインドが人口ボーナス期に入る見込みであることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気である。

なお、アジア開発銀行は2016年~2030年のアジアのインフラ投資規模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算している。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているのは明らかである。

恐らく、市場が期待していたほどのペースで一帯一路政策が進行することはないだろう。そんな中、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなどを前提に、一帯一路構想への協力を約束した。

中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。軍事衝突を回避しつつ、中国をたたく戦略を採用している米国がこれを看過するかは疑問である。

上昇リスクについては、以下のようなものが考えられる。

1.中国の景気刺激策の実施

2.一帯一路構想が市場予想を上回るペースで実施される場合

3.米国のインフラ投資計画が実際に実施される場合

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すには内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セクターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。

ただ、既に預金準備率の引き下げは実施されているが地方政府財政も逼迫していることから支出の拡大となる公共投資の規模拡大は限定されると予想される。

2.はそのプロジェクトの質(たち)の悪さから導入を見送る国が増えており、中国自体の資金繰りの問題もあって以前ほど高いリスクではない。

3.は民主党が選挙で下院の過半数を占めたことから実施の可能性が後退した。しかしそもそも民主党は大きい政府を標榜しているため、部分的な財政出動で合意する可能性はある。

下落リスクは信用リスク系のものが多いが以下が主なところだ。

1.中国の住宅バブル崩壊

2.中国のインフラ投資が財政悪化で規模が期待ほどにはならない場合

3.何らかの理由で北朝鮮に対する制裁が解除され、原料炭価格が下落する場合

4.地政学的リスクの顕在化

5.米輸入規制強化並びにそれに対する報復

6.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

2.に関しては地方財政が悪化していることは確かなようで、財政状況を悪化させるような財政追加出動よりは金融緩和に舵が切られる可能性が高く、その顕在化の可能性も高まっている。

4.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、Brexitがハードなものになる可能性は2019年以降の重要なリスクの1つである。

中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続がリスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。

5.は貿易戦争が開戦となったが、一時的に貿易分野で米中が妥協する可能性出てきた。しかし、今回の対立は覇権争いが目的であるためことがあります仮に妥協があってもそれは仮初の妥協と考えておくべきだろう。

6.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

---≪貴金属≫---

金銀価格は軟調な推移となった。米中貿易交渉に一定の進捗がみられるとの期待感から、リスク資産が物色される流れとなり長期金利が上昇、実質金利が上昇したことが価格を下押しした。

PGMは金銀価格の下落もあり、連れ安となった。特にパラジウムはここまでの価格上昇が大きかったこともあり利益確定売りに押されているものと考えられる。

金価格は高値圏での推移になると考える。英国のBrexitが無秩序なものになる可能性が出てきていること、米国の政府閉鎖の長期化が懸念されていること、米国の中国制裁は本気であり簡単に解除されない見込みであることが、安全資産需要を高めるため。

また、こうした一連の政策や循環的な景気の減速を受けて米国の利上げが想定よりも早く打ち止めになるのではないか、との見方が名目金利を押し下げる一方、原油がOPEC減産などの影響で上昇しており、期待インフレ率の上昇圧力となっていることから実質金利が低下する可能性が高いことも価格を下支えすると考える。

英Brexitはメイ政権の離脱案が否決されたことで先行きが全く分からなくなってきた(詳しくは1月16日付の総括を参照)。しかし一番現実的な解は、「とりあえずBrexitの期限を延期する」であろう。

しかしこの際も、「何を目的に離脱期限を延期するか」が明確でない限り、リスク資産の売り要因、安全資産の買い要因となる。なお、新たなEU離脱案をEU側は交渉する意向はない(他のEU離脱を企図する国が、「我々にも同様の措置を」となりEUが瓦解するリスクがあるため)。

金価格に対する実質金利の説明力が高いことは繰り返しこのコラムで解説している通りであるが、名目金利の決定要因は景気動向そのものや、株価動向などの影響を受けるが、基本的には中央銀行の金融政策動向が左右している。

(以降の分析の詳細は2019年1月17日付けMRA's Eyeを参照ください)過去の利上げと金価格の感応度を分析すると、仮に今年の米利上げが1回、2回だった場合各々金価格を▲100ドル、▲50ドル押し下げる。仮に景気刺激のサプライズ利下げがあれば、金価格は+50ドル押し上げられる。

同様に、期待インフレ率に対する原油価格の影響は大きく、仮にWTIが現在の50ドル近辺から40ドル程度まで下落した場合には、期待インフレ率は▲0.2%低下し、逆に何かしらの供給危機が顕在化して価格が70ドル程度まで上昇した場合には+0.4%上昇することが予想される(同様の感応度分析を行うと、金価格は各々▲65ドルの押し下げ、+130ドルの押し上げ要因に)。

以上を整理すると金価格が最も上昇する場合は、「利下げ実施(1回)、中東情勢不安顕在化」の場合で現在の価格から180ドル程度上昇し、1,480ドルを付けることになる。

最も下落する場合は、「利上げ2回実施、原油価格下落」で、1,135ドル程度までの下落があることになる。

これに地政学が加わると、最も上昇する場合が、「利下げ実施(1回)、中東情勢不安顕在化、米国債リスク顕在化」であり、1,800ドルまでの上昇、次が「「利下げ実施(1回)、中東情勢不安顕在化、軽度の信用不安顕在化」で、1,510ドルまでの上昇となる。

逆に、「利上げ2回実施、原油価格下落、イベントリスクの顕在化なし」の場合は985ドルまで下落となる。しかし現実的には「1回の利上げ、原油価格は緩やかな上昇、軽度のイベントリスク顕在化」で、1,250ドル程度でもみ合うことになるのではないだろうか。

銀は、Silver Instituteなどの分析では供給の減少と電気製品向けの需要増加で供給不足になっていると指摘されているが、それよりは金価格動向や貿易戦争の影響が強く意識され、対金で軟調な推移となっている。

今後についても金価格が軟調に推移することから水準を切り下げる動きになると考える。現在の金銀レシオは80に大きなチャートポイントが重なり、底堅い推移となりつつ過去最高水準を維持している。

足元、COMEXの金銀在庫レシオの金銀レシオに対する説明力が高いが、足元でも金銀在庫レシオは高い水準を維持している。記録的な水準まで積み上がった銀の取引所在庫の影響で、しばらくはこの80越えの水準を維持するだろう(詳しくは2018年10月19日付のMRA's Eyeをご参照下さい)。

銀価格は金銀在庫レシオの高止まりを受け、76倍~83倍程度での推移になると考える。最も上昇する場合は金価格が1,800ドルまで上昇する場合で23.7ドル、1,510ドルまで上昇した場合で19.9ドル、985ドルまで下落し、金銀レシオが83倍で推移した場合12ドル程度真での下落はある。

しかし実際には金1,250ドル、金銀レシオ80倍程度で15.6ドル程度が目安になるのではないか。

短期的な価格動向を占う上で参考になる投機筋の売買動向は、12月18日時点で金のロングが+12,568枚の182,168枚、ショートが▲2,893枚の106,208枚、銀のロングが+2,887枚の74,023枚、ショートが▲5,688枚の54,192枚となっている。

なお、政府閉鎖の影響で12月18日以降データは更新されていない。

PGM価格は金銀価格が上昇するため高値圏を維持するとみるが、実際に需給バランスがタイト化して上昇していたパラジウムは、足元の価格上昇が投機の買いによるものと考えられるため、一旦下値余地をさぐる動きになると考える。

中期的にも、世界景気の減速に伴う自動車販売の減速、それに伴う自動車向け排ガス触媒需要の減速が価格を下押しすると考える。

パラジウムはリースレートが20%を下回り、実際の需給面は緩和方向に向かいつつある。足元の上昇は恐らく、相場上昇のトレンドにBetした投機の買いによるものと考えられるが、そろそろピークだろう。

ただしCFTCデータが米政府機関閉鎖の影響で発表されておらず、実態は不明だ。

米国の12月の自動車販売は1,750万台(市場予想1,724万台、前月1,740万台)と小幅に回復している。しかし、世界的な景気の減速や関税の引き上げなどの影響で2019年の自動車販売は減速する、というのが市場のコンセンサスとなりつつある。

12月の米消費者信頼感は128.1と前月の136.4から大幅に減速した。6ヵ月以内に自動車を購入すると答えた人の比率も12.7と前月の13.8から減速している。これは今年の7月以来の低水準だ。

FRBの利上げも限定的ではあるが継続する見込みであり、自動車メーカーのディーラー向けのインセンティブ負担も重くなることが予想され、自動車関税引き上げが宣言通り実施されるのであれば、自動車販売は減速する可能性が高く、PGM価格を下押しすると予想される。

中国の11月の自動車販売(工場出荷台数)は前年比▲13.9%の254.8万台(10月▲11.7%の238万台、9月▲11.6%の239万4,100台、8月▲3.8%の210万3,400台、7月月▲4.0%の188万9,100台)と5ヵ月連続でマイナス成長となり、同国の耐久財需要が減少していることが伺える。

弊社は需給面の見通しに関しWPICの見通しを参考にしているが、直近の見通しでは2018年のプラチナの需給は50万5,000オンスの供給過剰と、前回発表の29万5,000オンスから供給過剰幅が引き上げられた。2019年についても45万5,000オンスの供給過剰が見込まれている。

2019年の自動車向けの触媒需要は前年比▲40万オンスとなる一方、供給は、南アフリカ(+5.5万オンス)、北米(+4.5万オンス)の増産がロシアの減産(▲2万オンス)を相殺、供給が+13万オンスとなることで需給の緩和感が強まる見込み。

この結果、地上在庫は312万オンス(2018年 266万5,000オンス))に増加する見込みで、在庫日数も146.8日(128.4日)と増加見込みであり、在庫の顕著な増加が価格上昇を抑制することになろう。

なお、南アフリカのPGM生産指数は9月時点で108.00(季節調整前)と過去5年平均を回復した。今の需要動向をみるとよりプラチナ需給が緩和し、パラジウムの供給は不十分で両者のスプレッドは、需給面からまた拡大する可能性が出ている。

12月18日現在、CFTCのプラチナポジションはロングが▲1,278枚の46,981枚、ショートが▲1,674枚の35,594枚、パラジウムはロングが▲181枚の17,596枚、ショートが+261枚の3,793枚となっている。

なお、政府閉鎖の影響で12月22日以降データは更新されていない。

---≪農産品≫---

シカゴ穀物市場は堅調な推移となった。中国が今後6年間で対米黒字をゼロにする方針である、と関係筋からの情報が伝わったことで、同国向けの穀物輸出が増加する、とみられたことがシカゴの期待需給をタイト化させたことが材料。

穀物価格は一時的に上昇圧力が強まる展開になると予想される。真偽のほどは定かではないが、米中貿易交渉が進展するとの期待が高まっていることが背景。

ただし、2018-2019年の米穀物生産は豊作が見込まれており、さらにエルニーニョの発生が北米生産にプラスに作用すると考えられることが上値を押さえよう。また、ブラジルの生産見通しが強気であることも価格を下押ししよう。

12月の米需給報告では、トウモロコシの在庫見通しが17億8,100万ブッシェル(市場予想17億4,400万ブッシェル、前月17億3,600万ブッシェル)、大豆が9億5,500万ブッシェル(9億4,400万ブッシェル、9億5,500万ブッシェル)、小麦が9億7,400万ブッシェル(9億6,500万ブッシェル、9億4,900万ブッシェル)と、総じて在庫は市場予想を上回っている。

なお、米政府閉鎖の影響で米需給報告は発表が当面見送られることとなった。毎月定期的に発表され、足元の国際需給環境を占う上での重要な指標である米農務省レポートが発表されないことは、より市場参加者の行動をリスク回避的にする。

通常、農産品はリスク回避時の安全資産に位置づけられるが、材料不足の中積極的に(特に投機筋が)物色し難くなるだろう。CFTCのポジション動向も発表されていないため、なおさらである。

CONAB発表の大豆作付面積は3,578万ha(市場予想3,600万ha、前月3,579万ha)、単収が3,322キロ/ha(3,281キロ/ha、3,354キロ/ha)、生産が1億1,880万トン(1億1,812万トン、1億2,007万トン)と、単収の改善で市場予想・前月予想も上回った。

トウモロコシは作付面積は1,665万ha(市場予想1,715万ha、前月1,667万ha)、単収が5,476キロ/ha(5,419キロ/ha、5,464キロ/ha)、生産が9億1,190万トン(9,304万トン、9,110万トン)と、こちらも単収の改善で市場予想・前月予想も上回った。

12月18日付のCFTC投機筋ポジションは、トウモロコシのロングが+16,559枚の420,949枚、ショートが▲14,859枚の217,821枚、大豆のロングが+348枚の145,157枚、ショートが▲8,252枚の130,626枚、小麦のロングが+8,490枚の145,960枚、ショートが▲7,444枚の128,366枚となっている。

なお、政府閉鎖の影響で12月18日以降データは更新されていない。

◆本日のMRA's Eye


「原油需給は結局需要次第か」

昨年秋から大きく水準を切下げてきた原油価格だが、1.米中貿易戦争の進捗期待、2.OPECの減産が始まったこと、3.米国の利上げペースの鈍化期待が材料である。逆に言えば、昨年秋以降の売り材料が反転、すべて買い材料に転じたことによる。

そして上昇の中でWTI・Brentとも目先の抵抗線であった50日移動平均線を上回り、テクニカルな取引が日々の値動きを左右しやすい環境にある中(リーマンショック後のボルカールール適用により、基本的にトレンドフォローの取引を行うファンドが主流に)、しばらくは上値余地を試してもおかしくない状況にある。

また、週末に発表されたOPEC月報では、ここしばらく発表されていなかったOPEC諸国の「減産割り当て」が公表されている。

DOEが月次で発表している需給見通しはバイオ燃料やその他の液体燃料も含むため、別途発表されている原油生産データを元に、月次の生産見通しの変化を乗じて原油の生産見通しを算出した(詳細は弊社のHPのまとめ表をご参照下さい)。

北米の生産が増加することにより今回のOPECの減産効果はほぼ相殺され、その結果、価格の下支え効果は限定されたものになると予想される。しかし、原油価格の下落を材料に需要が増加するのであれば需給がタイト化し、価格には上昇圧力が掛かる展開になると予想される。

しかし、需要動向は景気並びに経済のセンチメントに左右されやすい。日本ではイメージし難いが米国などの海外では株価動向が消費動向に大きな影響を及ぼすため、株価の調整があると消費に影響が及ぶ。

また、新興国の場合米国の利上げに伴う自国通貨の下落が自国通貨建ての価格を押し上げてそれも需要の下押し要因となる。1993年以降の14回のOPECの減産オペで、減産開始2ヵ月後の価格が減産開始時点よりも高い水準だったことは9回あり、5回は価格防衛に失敗している。

この5回はいずれも景気がクラッシュした場合だ(アジア危機、ドットコムバブル崩壊、リーマンショック、など)。つまり今回の減産では実質的に世界全体の大幅な生産減少につながる訳ではないため、足元の価格は上昇しているもののやはりリスクはむしろ下向きと考えられる。Brexitなどの不確定要素も多い。

また、今回のOPECの減産には、イランとリビア、ベネズエラが入っていない。イランは5月以降に米国の制裁が、リビアは内戦継続で生産が不安定、ベネズエラは深刻なインフレで民心が離れ、生産は減少する見込みであり、このシナリオ通りであれば原油価格の上昇要因となる。

特にイランに対する制裁が強硬なものになった場合、地政学的リスクの高まりが意識され大幅な上昇になる可能性も排除できない。

先週末に発表されたIEAの見通しでは需要見通しが上方修正されているが、これは「価格が低下したことによる需要喚起」を織り込んだものであり、上記のイランリスク顕在化シナリオの場合、需要が減速して「原油価格が急騰後に急落する」展開もあり得る。いずれにしてもこの半年程度は、下りのエスカレーターに乗りつつも、上下のリスクを伴う展開になる、ということである。

ただ、現状においては世界経済がクラッシュしている訳ではないため、チャート的にテクニカルな買いが入ってもおかしくない水準に原油価格があることを考えると、しばらくは上昇リスクに備え、その後の下落リスク顕在化時の対応を考える時期にあると考える。

◆主要ニュース


・11月日本鉱工業生産改定  前月比▲1.1%(速報比+0.1%、前月+2.9%)、前年比+1.5%(+0.1%、+4.2%)
 出荷▲1.2%(+0.2%、+3.5%)、+0.9%(+0.2%、+5.7%)
 在庫+0.1%(▲0.1%、▲1.3%)、▲0.3%(▲0.4%、▲1.4%)

・11月ユーロ圏経常収支季節調整済 203億ユーロの黒字(前月改定 268億ユーロの黒字)

・12月米鉱工業生産 前月比+0.3%(前月改定 +0.4%) 設備稼働率 78.7%(78.6%)

・1月米ミシガン大学消費者マインド指数速報  90.7 (前月98.3)
 現況指数 110.0(116.1)
 先行指数 78.3(87.0)
 1年期待インフレ率 2.7%(2.7%)
 5年期待インフレ率 2.6%(2.5%)

・韓国文化日報、「北朝鮮は米国に対して戦争の終結宣言を求める可能性。」

・トランプ大統領、2月末に米朝首脳会議を行うことで合意。

・米中交渉関係者、「中国政府は米国からのモノの輸入を年間で1兆ドル超引き上げ、対米貿易黒字の縮小を図る計画を示した。2024年までに対米黒字をゼロにすることを目指すもの。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数852(前週比▲21)、ガスリグ 198(前週比▲4)。

・IEA月報
 世界石油需要 Q119:99.5、Q219:100.4、Q319:101.3、Q419:101.4、2019:100.7
 非OPEC供給(含むNGLs) Q119:61.1、Q219:61.8、Q319:62.7、Q419:62.8、2019:62.1
 Call on OPEC Q119:31.4、Q219:31.6、Q319:31.6、Q419:31.6、2019:31.6

※世界経済の基調は明るくないが、価格下落による需要増加を北米の増産見通しが相殺。

・OPEC、2019年の生産目標を公式に発表。

・2018年のインドのLNG輸入は前年比+14%の2,300万トンに。50%がカタールの輸出。

・Mcquarie、「2019年のWTI価格予想を52ドル、Brentを61ドル。2020年はWTIを55ドル、Brentを64ドルに設定。供給過剰が価格を下押し。」

・Barclays、「ベネズエラの原油生産は2019年平均で35万バレル程度に止まる見込み。短期的には政治的なリスクがベネズエラの供給を途絶させるリスク。」

・JXTG大田社長、「国内需要の減速を受け、製油所の更なる統廃合は不可避。長期的には製油所が多いとの結論に至る可能性が高いが、短期的には新たな製油所の統廃合の計画発表は考え難い。」

【メタル】
・GS、「3ヵ月後アルミ価格予想、1,900ドル、6ヵ月後1,950ドル、12ヵ月後2,000ドル」

・JPMorgan、「短期的な供給不足からパラジウムはさらに価格上昇へ。」

・BNP Paribas、LMEのカテゴリー2メンバーを申請。

・Cochilico、「2019年の銅需給バランスは▲227千トンの供給不足(前年▲67千トンの供給不足)。世界の銅生産は+1.6%の2,090万トン、2020年は2,140万トン。チリの生産は+1.6%の594万トン、2020年は600万トン。需要2019年が2,400万トン、2020年が2,410万トン。2019年の中国の銅需要は1,256万トン(11月予想時点1,247万トン)と上方修正。アジア全体では+1.5%の1,275万トン。2019年の銅価格予想は6,720ドル、2020年は6,786ドルと見通しを維持。」

・Q418Rio Tinto
 鉄鉱石生産 前年比▲3%の87.4百万トン(前期▲3%の82.5百万トン)
 ボーキサイト▲14%の11,790千トン(▲1%12,700千トン)
 アルミ▲1%の874千トン(▲1%の880千トン)
 銅鉱山生産+20%の177.8千トン(+32%の159.7千トン)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.欧州排出権 ( 排出権 )/ +5.02%/ ▲0.16%
2.NYM WTI ( エネルギー )/ +3.32%/ +18.48%
3.DME Oman ( エネルギー )/ +2.88%/ +16.89%
4.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ +2.63%/ +13.37%
5.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ +2.49%/ +3.04%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲1.87%/ +1.18%
67.プラチナ ( 貴金属 )/ ▲1.56%/ +0.25%
66.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲1.29%/ +9.48%
65.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲1.25%/ +6.74%
64.銀 ( 貴金属 )/ ▲1.22%/ ▲1.01%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :24,706.35(+336.25)
S&P500 :2,670.71(+34.75)
日経平均株価 :20,666.07(+263.80)
ドル円 :109.78(+0.52)
ユーロ円 :124.74(+0.31)
米10年債利回り :2.78(+0.03)
独10年債利回り :0.26(+0.02)
日10年債利回り :0.02(+0.01)
中国10年債利回り :3.09(+0.02)
ビットコイン :3,612.39(▲12.42)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :22.61(▲0.25)
エネルギー :45.97(▲0.54)
ベースメタル :16.50(+0.88)
貴金属 :13.62(+0.04)
穀物 :14.93(▲0.15)
その他農畜産品 :21.08(▲0.73)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :52.26(+0.63)
Brent :53.30(+0.3)
米天然ガス :80.08(▲3.8)
米ガソリン :44.76(▲0.56)
ICEガスオイル :30.75(+0.22)
LME銅 :14.51(+0.86)
LMEアルミニウム :23.17(+2.43)
金 :15.44(+0.03)
プラチナ :16.29(+0.64)
トウモロコシ :15.25(▲0.28)
大豆 :15.44(+0.03)

【エネルギー】
WTI :53.80(+1.73)
Brent :62.70(+1.52)
Oman :62.55(+1.75)
米ガソリン :145.28(+2.28)
米灯油 :191.60(+3.17)
ICEガスオイル :574.25(+11.00)
米天然ガス :3.48(+0.07)
英天然ガス :61.79(▲1.18)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :62.70(+1.52)
SPO380cst :386.49(+14.73)
SPOケロシン :75.77(+1.08)
SPOガスオイル :74.45(+1.03)
ICE ガスオイル :77.08(+1.48)
NYMEX灯油 :190.52(+1.16)

【貴金属】
金 :1282.11(▲9.94)
銀 :15.34(▲0.19)
プラチナ :797.66(▲12.68)
パラジウム :1381.42(▲18.07)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,045(+80:23C)
亜鉛 :2,569(+76:8B)
鉛 :1,982(+20:10C)
アルミニウム :1,858(+30:7C)
ニッケル :11,640(+145:30C)
錫 :20,700(+75:200B)
コバルト :38,000(▲2,000)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6056.00(+60.50)
亜鉛 :2581.00(+43.00)
鉛 :1995.00(+24.50)
アルミニウム :1870.00(+18.00)
ニッケル :11810.00(+225.00)
錫 :20615.00(+45.00)
バルチック海運指数 :1,077.00(+22.00)
※C=Cash2M コンタンゴ、B=Cash2M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :72.74(+0.65)
SGX鉄鉱石 :75.15(+0.50)
NYMEX鉄鉱石 :75.15(+0.64)
NYMEX原料炭スワップ先物 :195(+1.50)
上海鉄筋直近限月 :3,679(+48)
上海鉄筋中心限月 :3,596(+45)
米鉄スクラップ :359(±0.0)

【農産物】
大豆 :916.75(+9.00)
シカゴ大豆ミール :315.10(+2.90)
シカゴ大豆油 :29.01(+0.24)
マレーシア パーム油 :2142.00(+21.00)
シカゴ とうもろこし :381.75(+1.75)
シカゴ小麦 :517.75(±0.0)
シンガポールゴム :159.40(+0.90)
上海ゴム :11530.00(±0.0)
砂糖 :13.03(+0.18)
アラビカ :104.95(+2.55)
ロブスタ :1525.00(+15.00)
綿花 :73.89(▲0.48)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :61.23(+0.38)
シカゴ生牛 :126.53(▲0.58)
シカゴ飼育牛 :141.45(+0.03)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。