米政府・中央銀行の政策期待で総じて堅調
- MRA商品市場レポート
2021年1月15日 第1886号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米政府・中央銀行の政策期待で総じて堅調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は自国通貨建ての商品が下落したが、その他の商品は堅調な推移となった。FRBパウエル議長のハト派的な発言や、FOMCメンバーもハト派的な発言を繰返していること、バイデン次期大統領が1.9兆ドルの経済対策を発表する見通しであることから、「長期金利上昇抑制、しかし景気刺激で期待インフレ率は上昇、実質金利低下、ドル安進行」と解釈されたことが背景。
極渦の発生による気温低下観測で急速に価格を上昇させていた欧米の天然ガス価格は、JKMの上昇が一服したため水準を大幅に切り下げた。
市場は経済対策・金融政策を積極的に買い材料としており、それほど強い材料がなかったとしても、割安な銘柄が物色される流れが続いている。昨日も、パウエル議長は「パンデミック前に想定因りも早く復帰した場合」と、強気の発言をしているがそれでも緩和は当分続ける、ということでありしばらくこの状況は続くだろう。
状況に変化が見られるとすれば、バイデン政権が誕生し、実際に政策を執行し始めてからになると考えられる。
なお、コロナウイルスの地域別の感染状況を見てみると、欧米の感染者数の増加ペースは減速しているが、アジア地域(日本や中国)の感染ペースは加速している。
コロナ問題はワクチン開発の進捗などで、2021年の収束が期待されていたが、各地で新型種の発見も相次いでおり、想定よりも影響が長引く可能性は意識にいれ始めた方が良いかもしれない。やや市場は楽観的過ぎるように見える。
【本日の見通し】
本日は、週末を控えて広く益出し売りに押される展開を予想する。しかし、昨日のパウエル議長の緩和継続発言、バイデン次期大統領の1.9兆ドルの経済対策実施指示報道など、景気刺激への過剰な期待がさらに高まっていることも事実であり、さほど下落しないと予想される。
本格的に事態が動くとすれば米大統領就任で、国際的な情勢に変化が見られる場合や、今月後半から本格化する企業決算並びに2021年の営業計画見通しが示されてからではないだろうか。
本日発表の統計で注目は、米国小売売上高とニューヨーク連銀製造業景況指数。
米小売売上高は前月比±0.0%(前月▲1.1%)、除く自動車が▲0.2%(▲0.9%)、除く自動車・ガソリンが▲0.3%(▲0.8%)、除く自動車・建材が+0.1%(▲0.5%)とマイナス幅を縮小する見込みだが、良い結果ではなさそうだ。
しかし市場は統計が悪ければ「経済対策追加で実施!」と判断して意に介さない状態であり、良くても悪くても価格はプラスに反応しやすいことは注意したいところ。
ニューヨーク連銀製造業景況指数は6.0(4.9)と改善見込み、自動車やガソリンを除くと前月比マイナス
【セクター別動向と見通し】
◆エネルギー
原油価格は上昇した。OPEC月報が発表され需給見通しがタイト化方向に修正されたこと、パウエル議長発言などを受けたドル安の進行が材料となった。
石炭価格(豪州炭)は小幅安も高値維持。北半球全体が極渦の影響で気温低下となる、との見通しと中国の景気回復を受けて高値圏での推移が続いている。
極東の天然ガス指標であるJKMは前日比変わらず。国内ではJパワーが石炭火力で重油を炊くなどの代替を求める動きが見られるが、アジア全域の気温低下のためスポットLNGカーゴの需要は旺盛とみられ、極東の指標価格は高止まりしている。
欧州ガス価格も上昇していたが、JKM価格の下落を受けて、いったん調整するかたちとなった。なお、一時は「マイナス価格も」と言われていた欧州の天然ガスだが、在庫水準は過去5年平均を下回り、需給はタイト化している。
極渦の影響も取り沙汰されているため、2014年、2018年の極渦発生による気温低下時を参考にすると、Q121の間はJKM価格は高止まりする、と見ておくべきだろう。
本日は週末を控えていったん手仕舞い売りに押されると考える。しかし、経済対策期待とそれを受けたドル安、サウジアラビアの追加減産が需給を想定以上にタイト化させていることから「テーマ」があるため、投機の物色も続き、下落余地も限定されると予想。
石炭に関しては投機的な売買余地があまりないため、足下の需給ファンダメンタルズが価格を決定するが、北半球の気温低下予想を受けて堅調推移を予想。
スポットLNG価格は第一弾の調達に目処が立ったとみられ、いったん下落すると考えるが、状況に大きな変化はなく高値圏を維持。
◆非鉄金属
LME非鉄金属は下落後上昇し、前日比プラスとなった金属が目立った。中国貿易統計は、統計自体は市場予想よりも強い内容だったが非鉄金属に関してはそれほど強い内容ではなく、下落した。
しかし、LME指定倉庫在庫の減少と、今後もLME指定倉庫からの払い出しが続く見込みであること、パウエル発言やFOMCメンバーのハト派的な発言を受けた景気への期待が強まる中で期待インフレ率が上昇、ドル安が進行したことで水準を切り上げた。
LME指定倉庫在庫は減少を続けている。また、改めてオフワラント率(今後倉庫から払い出される予定の在庫の比率)は銅が39.2%、亜鉛が14.6%、鉛が42.9%、アルミが8.2%、ニッケルが25.3%、錫が56.0%となっており、ほとんどが払い出される見通し。
ブラジルなどの南米でのコロナ感染第2波の影響で、供給が減少する非鉄金属も増加するとみられ、しばらく価格は高止まりしそうだ。
昨日発表の中国貿易統計では、顕著に増加していた精錬銅の輸入が急減速し、過去5年レンジに復帰した。
一方、銅精鉱の輸入は堅調で、こちらは前月から増加している。しかし過去5年レンジを維持しており、比較的「通常運転」といえる。
後日発表される中国の国内生産動向にもよるのだが、中国の主要用途である電線向けの投資は12月がピークであり、コロナ禍からの復帰を企図した政府の経済対策も一巡したものと予想される。
今後、非鉄金属のベンチマークである銅価格には下押し圧力が強まるものと予想される。
本日は週末を控えたポジション整理の売りが価格を下押しするとみる。しかし、米金融当局の緩和観測を受けた景気への期待と、実質金利低下に伴うドル安の進行で下落余地も限定されると予想。
◆鉄鋼・鉄鋼原料
中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭先物は下落、鉄鋼製品先物価は直近限月が小幅高、中心限月は下落した。
鉄鉱石はブラジルでコロナの変異種が見つかったとされる報道を受けて、英国が渡航や輸送制限を行ったことで、供給面が再度意識されて価格が押し上げられた。鉄鋼製品は気温低下による建設向け需要減少観測が強まり、小幅に下落。
昨日発表された中国の貿易統計では、鉄鋼製品の12月の輸入は137万5,000トン(前月185万トン)と減少傾向を持続し、過去5年レンジに戻った。
一方、輸出は485万トン(前月440万トン)と増加し、こちらも過去5年レンジの下限を回復している。
原料である鉄鉱石の12月の輸入は前年比▲4.5%の9,675万トン(前月+8.3%の9,815万トン)と高い水準を維持しているが減速、やはり過去5年レンジに復帰した。
以上から、中国の鉄鋼生産者の生産動向は徐々に通常状態に戻りつつあり、今後、鉄鉱石の輸入ペースは鈍化、鉄鉱石価格にも下押し圧力が掛るのではないか。
なお、石炭輸入は3,908万トンと前月の減少から一転、3倍以上増加している。ただ、鉄鋼原料向けの需要ではなく、気温低下による燃料炭需要増加によるものだろう。
本日は、中国の製鉄業の稼働が徐々に通常状態に戻り始めているものの、南米からの鉱石供給懸念が期待需給をタイト化させるため、引き続き高値圏を維持の見込み。
◆貴金属
金価格は上昇した。朝方、ドル高進行で売られたもののパウエル議長の発言や、バイデン次期大統領の発言を受けた期待インフレ率の上昇で実質金利が低下したことが背景。
銀価格は金価格の上昇と、バイデン政権の1.9兆ドル経済対策報道を受けた太陽光パネル向け需要増加観測で、金銀レシオを低下させながら金以上に上昇した。
自動車向けの需要が欧米とも回復する(製造業活動の回復)との見方が強まっていることから、相対的な割安感のあるプラチナは大幅な上昇、パラジウムも上昇した。
FRBが緩和政策の持続とテーパリングの見送りを改めて表明していることで実質金利の低下余地が拡大する可能性が意識されていることから、高値圏を維持。
◆穀物
シカゴ穀物市場は上昇。ドル高だったがパウエル発言を受けたドル安進行と、週半ばに発表された米農務省の需給統計を受けた、需給タイト化観測が価格を押し上げている状況。
本日はFRB議長のハト派発言を受けたドル安が進行しそうな地合だが、週末ということもあっていったん手仕舞い売りに押される展開を予想。
※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。
【昨日のトピックス】
昨日発表された中国の貿易統計は輸出・輸入とも好調で市場予想を上回った。コロナの感染防止が奏功している中国の輸入が増加していることに加え、ワクチン接種進捗や、「エッセンシャルな需要」が製造業を中心に回復していることが背景にあると考えられる。
特に、国別で見た場合の輸入は、あれだけ為政者通しが対立していた米国とは、輸出が年初来累計で+7.9%、輸入が+9.8%と増加しており、この傾向はほかの国・地域でも同様である。
この流れを受けて、弊社が注目している鉄鋼製品の輸出入は、輸出が増加し、輸入が減少、銅に関しても同じだった。これは中国の経済活動が「通常の状態」言葉を換えると「政府の対策なしの状態」に向かいつつあることを示している。
逆に言えば、政策で支援されていた鉱業セクターの価格上昇が、そろそろ一服する可能性がある、と言うことだ。
今後、この傾向が継続するかどうかはまずは米国が中国に対してどのような対応をするかに注目が集まることになる。バイデン政権は恐らく中国に対して融和的な政策(中国は歓迎)を採用すると予想され、交易の回復は加速することが予想される。
恐らく、世界経済が通常状態に戻った時に改めて親米か、親中か、と言うことが問われることになるだろう。
【マクロ見通しのリスクシナリオ】
・米大統領選挙前後の国内融和にバイデン次期大統領が失敗する場合。
米上院選挙の結果を受けて米議会に親トランプ派が乱入、議会がロックダウンされるという事件も起きており、分断された米国の融和は容易ではない。
・「トリプルブルー」になったことで財政出動が加速、景気回復期待を受けた長期金利の上昇がドル高を誘発し、投機が商品価格押し上げの一翼を担ってきたことから、ドル高進行が価格をファイナンシャルな視点で押し下げる可能性。
このシナリオの可能性が高まるのは、Q121の米企業決算が発表され、「それほど悪くない」と言うことが確認される可能性がある4月以降か。
場合によるとワクチン開発と摂取進捗もあり、2020年決算と2021年事業見通しが発表される1月中下旬以降、ドル高進行開始の可能性も否定せず。
・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。
・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。
・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。
「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は低くなくなった。
・次の最大の成長ドライバーとして期待される、インド経済が期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。
2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。
・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速。
・米国の財政状況悪化、緩和規模拡大によるドル水準の低下リスク(ドル減価により、名目ドル建て資産価格の上昇要因に)。
◆昨日の商品市場(個別)の総括
---≪エネルギー≫---
【原油価格見通し】
原油価格は短期的に上昇圧力が強まる展開が予想される。OPECプラスは1月から50万バレルの増産を開始したが、サウジアラビアが▲100万バレルの追加自主減産を始めたため、合計で▲40万バレル(ロシアとカザフスタンの7万5,000バレルの増産を考慮)の追加減産となること、各国でコロナウイルスのワクチン接種が進んでおり、緩やかながら経済活動が回復基調にあることが背景。
また、米上院で民主党が過半数を確保したことから、当面は財政出動を材料にリスク資産が物色される流れになると予想されることも、原油価格を押し上げ要因に。
ただし、米国債の利回りが上昇を始めており、これを契機にドル高に転じる可能性がある。その場合、今後利益確定の手仕舞い売り圧力が強まり上値は重くなるだろう。
価格が持続的に上昇するには需給ファンダメンタルズの変化が必要で、ロックダウンが加速しやすく、ワクチン接種もまだ本格化していないことから価格上昇が肯定されるのは、引き続き3~4月頃になるとみている。
長期的には、報道通りのペースでワクチンが普及し、深刻な副反応が確認されなければ経済活動の回復とともに原油価格がわかりやすく上昇を始めるのは2021年後半になってから、と考えられる。
【見通しの固有リスク】
・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。
・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラスのプログラムの対象となっていない中東諸国の増産(価格下落要因)。
景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。
・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合、
1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる2.中東以外の産油国の生産者の破綻3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)
などが価格上昇要因に。
・バイデン政権誕生で、シェールオイルのフラッキングが制限/禁止される場合、供給減少で価格上昇要因に(今のところ生産量の1割程度となる、国有地でのフラッキング禁止にトーンダウンしている)。
また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に。ただし、米国内の反イラン感情の高まりで、直ちに制裁が緩和される可能性は低い。
・イランの反米感情が高まり、中東の不安定さが増す場合(価格上昇要因)。
イランの核科学者であるファクリザデ氏が(恐らく)イスラエルによって殺害されたが、これによりイラン国内でイスラエルの背後にあると解釈されやすい米国に対する反米気運が高まっている。
これはイラン国内での反米感情を高め、米国を核協議に復帰させないための策略と考えられる。
・ワクチン・治療薬が想定以上に早く準備でき、移動制限が急速に解除される場合(価格上昇要因)。
【石炭価格見通し】
石炭価格は堅調な推移になると考える。中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、冬場で炭鉱が稼働し難いこと、港湾在庫の水準の低さに反映されるように、供給が十分ではないことが材料。
ただし、豪州との対立や、環境規制強化のの中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていることから徐々に海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。
12月の中国の石炭輸入は気温低下の影響で前月から大幅に増加。前年水準の14倍、前月から3倍強となる3,907万5,000トン(前月1,176万トン)と顕著に増加した。
中国は国内の石炭産業の強化と政治的に対立する豪州からの輸入制限で、国内生産を増加させる方向性に舵を切っているが、足下の気温急低下を受けてそうも言っていられなくなったようだ。
バルチック海運指数も過去5年のレンジを大幅に上抜けしており、中国の石炭輸入需要が旺盛であることを示唆している。
【見通しの固有リスク】
・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。
・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。
・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。
【天然ガス・LNG】
天然ガス価格はしばらく高値圏での推移になると考える。ラニーニャ現象の影響もあり、気温がアジア・欧州で低下しているため。
極東の天然ガス指標であるJKM価格も、火力発電所が代替燃料として重油を用いるなどの動きを見せていることから今のところ上昇は一服している。
しかし、欧州の気温低下と、昨夏以降の在庫減少で域内需給がタイト化、LNGカーゴの需給もタイト化が予想されるため、高止まりと考える。
なお、欧州では極渦の影響も取り沙汰されているため、2014年、2018年の極渦発生による気温低下時を参考にすると、Q121の間はJKM価格は高止まりする、と見ておくべきだろう。
長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるためじり高の展開だが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。
【見通しの固有リスク】
・最大供給国であるロシアの増産。
・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。
・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。
【投機筋のポジション動向】
・直近の投機筋のポジションは以下の通り。
WTIはロングが684,132枚(前週比 +28,438枚)ショートが165,483枚(+21,520枚)ネットロングは518,649枚(+6,918枚)
Brentはロングが352,416枚(前週比+25,928枚)ショートが60,097枚(+13,907枚)ネットロングは292,319枚(+12,021枚)
---≪LME非鉄金属≫---
【非鉄金属価格見通し】
非鉄金属価格は中国の景気先行指数を見るに中国の需要が今後数ヵ月は堅調さを維持するとみられること、米上院選挙の結果を受けて米国の財政出動が加速し、リスク資産価格全体が強含みやすい地合にあることから、高値を維持するとみている。
また、12月の中国の貿易統計を見ると、非鉄金属のベンチマークである銅に関して、精錬品の輸入が減速して過去5年レンジに戻ったことが確認されている。このことは中国の過剰な経済対策による需要創出が一巡した可能性があることを示唆しており、今後、非鉄金属価格には下押し圧力が強まることになるだろう。
また、米経済対策期待を受けたドル高圧力が強まっており、徐々に利益確定の売りに押され、ファイナンシャルな観点からも価格の調整圧力は強まると予想される。
なお、現在の価格上昇は実際に中国の需要の増加による需給タイト化によるものであり、環境規制強化が牽引する価格上昇ではない。
例えば、中国の超高圧送電線網整備額は当初予定比+61%の1,811億人民元とする方針が今年の4月に示されており、電線向けの需要が銅、並びにアルミの需要を押し上げている。アルミは配電には利用されないが、超高圧電線には使用される。
このほか、バイデン政権の政策推進による環境重視の姿勢の強まりが、いわゆる「バイデン・トレード(化石燃料売り・省エネ金属買い、ただし金属生産の際には二酸化炭素が出ることは変わらない)」を加速させ、投機的な買い圧力を強めている。
バイデン・トレードは短期的には顕在化する需要ではないが、省エネ金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性があるため、足下は期待選好で、総じて中長期的には物色されやすい地合が続くとみる。
具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。
中国が豪州の銅鉱石輸入を禁止していることで、精錬銅の需要が増加し、ベンチマークの銅価格が堅調に推移していることも地合を強くしよう。
しかし、中国の最大貿易相手経済圏である欧州でロックダウンの動きが再び見られること、季節的に南半球の供給が再開される可能性が高いこと、12月のファンド決算を意識した売り圧力の強まりが価格を押し下げるため上値も重いと考える。
【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】
・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合。
・高水準の投機筋買い越しポジションが急速に解消されたときの下落リスク。
・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(コロナの影響もあって、2020年の鉱山生産は全体で184万1,000トン、コロナの影響で115万1,000トン減少する見込み)。
・ニューカレドニアのGoroプロジェクトはAntfagasutaが買収相手として急浮上しており、過剰な供給不足への懸念が後退していることは価格の下落要因に。ただし楽観はできず。
なお、同プロジェクトのニッケル生産は6万トン/年(シェア2.4%)。
・GlencoreはZhairemプロジェクトの開発を決定しているが、ペルーのIscaycruz鉱山の閉鎖、カナダのMatagami鉱山、Kidd鉱山の鉱山年齢終了に伴う減産を見込んでおり、2021年の亜鉛生産は125万トン(従来見通し140万トン)と下方修正。
・中国の環境規制強化やコロナの影響再発に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。
・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。
・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。
また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。
・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。
・1月の米上院決定投票で民主党が過半数を確保し、「トリプルブルーリスク」が顕在化、脱炭素の動きが加速していわゆる省エネ金属の需要が増加する場合。
【投機筋のポジション動向】・利益確定の動きが見られていた非鉄金属に、再び投機の買いが入っている。市場はまだ、現状の景気先行きを楽観しているようだ。
・LME投機筋買い越し金額 前週比+20.9%の298億ドル(前週 246億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+23.4%の6,606.1千トン(前週 5,354.5千トン)
---≪鉄鋼原料≫---
【鉄鋼原料価格見通し】
鉄鉱石価格は、中国の景気先行指標をみるに堅調な推移を続けると考える。貿易統計で確認できるように鉄鋼製品輸入が増加し、輸出が減少。中国の顕在需要が増加していることを示唆している。鉄鉱石在庫は積み上がっているが日数ベースでは在庫水準は低く、需給はタイトとみられるため。
豪州に対する制裁で、最大輸入相手国からの調達に障害が出ていることも、中国着の鉄鉱石価格の押し上げ要因になっていると考えられる。
また、米国で民主党政権が上下院とも制したため、財政出動に伴うインフラ投資が米国でも実施されるのは都の期待が強まっていることも、鉄鋼原料価格を先物主導で下支えするとみる。
12月の中国の鉄鋼業PMIを見ると、総合指数が49.3から45.8に急減速した。変動性が大きいためなんともいえないが、生産が47.7(前月53.3)と減速、新規受注が42.0(47.2)と大幅に減速したことによる。
しかし、輸出向け新規受註は54.4(45.9)と大幅に回復、完成品在庫が増加(32.2→33.5)して原材料在庫が減少(38.0→32.1)している。このことは、外需の回復を受けて中国政府が国内の経済対策に伴う発注を減少させている可能性がある。
海外の需要が回復したことによる過度な景気刺激が不要になった、と判断したことによるものである可能性がある。しかしながら単月の動きであり、鉄鋼業PMIは製造業PMIに比して変動性が高いため、来月以降の内容を見極める必要があろう。
なお、新規受注完成品在庫レシオは低下し、若干完成品の需給が緩和、一方で新規受注原材料在庫レシオは上昇しており、原材料需給がタイト化していることを示唆している。総じてまだ鉄鋼製品市場の需給はタイトである、とみるべきだろう。
今後も中国政府のインフラ投資を柱とする経済対策が、今年7月の中国共産党結党100周年記念まで続くと予想されること、中国国内の鉄鋼原料在庫水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高く、基本は底堅い推移となる。
ただし価格上昇が需要の減少を引き起こすレーショニングが意識されるほか、南米生産者の増産見通しを考えると上値も重いと考える。
中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、12月は137万5,000トン(前月185万トン)と減少傾向を持続し、過去5年レンジに戻った。11月の国内生産は季節性もあるが8,766万トン(10月 9,220万トン、9月 9,256万トン)と過去最高水準を記録した8月からは減速傾向を持続している。
その一方、12月の鉄鋼製品輸出は485万トン(前月440万トン)と増加し、過去5年レンジの下限を回復した。このことは中国の鉄鋼製品の国内需要が減速し、顕在需要が減少を始めている可能性があることを示唆している。
弊社はこの鉄鋼製品の輸出入動向に注目しているが、輸出/輸入とも過去5年レンジに復帰の過程にあり、徐々に過剰な国内依存の需要環境から、輸出に牽引される形での鉄鋼業の操業状態(通常状態)に戻ると予想している。
なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが在庫水準は前週比+50万8,000トンの899万トン(過去5年平均 902万7,000トン)と、例年よりも在庫水準は高い。
しかし、国内の鉄鋼製品在庫の減少ペースは例年を上回っており、鉄鋼製品輸出も減少、輸入が増加している状況で、中国の鉄鋼製品需給はまだタイトな状態といえる。しばらくは鉄鋼製品の需要が鉄鉱石需要を牽引する状態が続くと見られる。
原料である鉄鉱石の12月の輸入は前年比▲4.5%の9,675万トン(前月+8.3%の9,815万トン)と高い水準を維持しているが減速、過去5年レンジに復帰した。このことは中国の国内需要が減速している可能性を示唆している。前年水準を下回ったことで、中国の国内需要は減速傾向にあると判断される。
鉄鉱石港湾在庫は前週比▲250万トンの1億2,425万トン(過去5年平均1億2,649万6,000トン)、在庫日数は26.2日(過去5年平均 32.8日)と例年と比較して在庫日数の水準は低く、輸入需要は持続するものと思料。
原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。
一方、中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は、依然として過去5年の最低水準であることから価格の下支え要因となる。
【見通しの固有リスク】
・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。
・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。
・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。
・カシミール地方を巡る中国との領有権争いが激化した場合、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。
【投機筋のポジション動向】
---≪貴金属≫---
【貴金属価格見通し】
<<金>>
金は高値を維持すると考える。金融緩和の継続と、株価の上昇に伴う長期金利上昇圧力がせめぎ合う形で実質金利を現状水準に維持すると考えられることから。
なお、リスクオンはドル安で価格上昇、リスクオフで価格下落となる(詳しくは2020年10月12日付のMRA's Eyeをご参照ください)。
現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,645ドルに上昇。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は202ドルと前日比+3ドル上昇した。
なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。
※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。
<<銀>>
銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、72.4倍。過去1年を基準にすると95倍程度、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当だが、足元、70~75倍での推移となっている。
金銀レシオのチャートを見ると、70倍を切るとテクニカルに65倍が視野に入る。金価格が変わらなかったとしても、70倍から65倍に低下しただけで、+7.7%の銀価格上昇となるため、消費者は要注意だ。
金は高値を維持する見通しだがバイデン大統領誕生により、太陽光発電向けに用いられる「バイデン銘柄」であることもあって、需要構造の変化が価格を下支え(金銀レシオは低下)するものと予想。
なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。
(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%
金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%
<<PGM>>
プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。足下は、各国の自動車セクターの回復期待が強まっており、工業需要回復期待が価格を押し上げている状況。
仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。
パラジウムは価格は景気の先行き楽観が強まっているが、足下のコロナの感染拡大がこれを相殺するため、現状水準でのもみ合いを予想。
ETF残高とパラジウム価格の連動性が高まっており(管理在庫増加→価格上昇)、一時の、ETF管理在庫減少→価格上昇、のメカニズムから変化してきている。
在庫取り崩し→価格上昇は実際に需給がタイトで、現物確保のためにETFを取り崩さなければならなかったからだが、現在はこれと逆のことが発生している訳で、足元、パラジウムの需給は緩和していると見られる。今後はETFの動向に注目。
12月の米自動車販売は年率1,627万台(市場予想1,580万台、前月1,555万台)と減速した。
中国の11月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+12.7%の276万9,666台(前月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と回復を継続している。
自動車販売は回復しているが、不要不急の消費であるため中国を除いては本格的な回復にはまだ時間がかかる見込み。
【見通しの固有リスク】
・世界的な成長力の低下に伴い、各国の財政状況が悪化、地政学的リスクが顕在化する場合(中東・北アフリカのリスク顕在化の可能性は低くない)。リスク・プレミアム上昇を通じて貴金属価格の上昇要因に。
・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。
・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。
・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。
・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。
環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。
・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。
【投機筋のポジション動向】
・直近の投機筋のポジションは、金はロングが349,946枚(前週比 +8,134枚)、ショートが70,628枚(▲2,312枚)、ネットロングは279,318枚(+10,446枚)、銀が90,777枚(+1,909枚)、ショートが35,226枚(+1,137枚)、ネットロングは55,551枚(+772枚)
・直近の投機筋のポジションは以下の通り。
プラチナはロングが37,312枚(前週比 +2,084枚)ショートが9,690枚(+291枚)、ネットロングは27,622枚(+1,793枚)
パラジウムが5,919枚(+946枚)、ショートが2,180枚(▲79枚)ネットロングは3,739枚(+1,025枚)
---≪農産品≫---
【穀物価格見通し】
穀物価格はトウモロコシ・大豆は中国の需要が想像以上に堅調であり、しばらく高値圏で推移すると考える。しかし、ドルが反転上昇の傾向を強めていることから、高水準な投機の買いポジションに解消売り圧力が強まると予想されるため、上昇余地も限定されると考える。
なお、中国の豚肉価格は下落する一方、豚肉の輸入量も減少している。このことは中国の畜豚数の増加(大豆ミール需要の増加)=大豆需要の増加、を示唆している。当面、中国向けの輸出が中国側の事情で増加すると見られることが価格を下支えすると予想。
小麦はさほど投機の買いポジションが積み上がっている訳ではないが、各地で生産見通しが引き上げられており、ドル高進行もあってやや軟調に推移か。
Locust Watchでは、サジアラビアで発生した個体の、北アフリカとインド・パキスタン・イランへの拡大懸念を指摘している。
昨年末も大型のサイクロンがアラビア半島~北アフリカを通過、豪雨が観測されている。このままだと来年も蝗害が起きる可能性は否定できない。http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75_en_070606DL.png
【見通しの固有リスク】
・ラニーニャ現象の発生による穀物供給減少リスクの顕在化。害虫の発生、生産地の土壌破壊など(すでに一部顕在化)。
・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。
・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。
【米農務省需給報告データ】
・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)
・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)
・1月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 172.0Bu/エーカー(175.13、175.8)大豆 50.2Bu/エーカー(50.52、50.7)小麦 49.7Bu/エーカー(NA、49.7)
・1月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 141億8,200万Bu(144億4,629万Bu、145億700万Bu)大豆 41億3,500万Bu(41億5,642万Bu、41億7,000万Bu)小麦 18億2,600万Bu(NA、18億2,600万Bu)
・1月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 25億5,000万Bu(26億5,000万Bu)大豆 22億3,000万Bu(22億Bu)小麦 9億8,500万Bu(9億8,500万Bu)
・1月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 15億5,200万Bu(15億9,191万Bu、17億200万Bu)大豆 1億4,000万Bu(1億3,861万Bu、1億7,500万Bu)小麦 8億3,600万Bu(8億5,922万Bu、8億6,200万Bu)
・12月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 113億2,200万Bu(117億4,670万Bu、19億5,000万Bu)大豆 29億3,300万Bu(29億2,900万Bu、5億2,500万Bu)小麦 16億7,400万Bu(16億9,555万Bu、21億5,800万Bu)
・12月CONABブラジル作付け面積(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1,844万ha(1,943万ha、1,844万ha)大豆 3,818万ha(3,845万ha、3,825万ha)
・12月CONABブラジル生産量(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1億259万トン(1億938万トン、1億489万トン) 単収 5,564Kg/ha(5,630kg/ha、5,688kg/ha)大豆 1億3,445万トン(1億3,325万トン、1億3,495万トン) 単収 3,522Kg/ha(3,468kg/ha、3,528kg/ha)
【投機筋のポジション動向】
・直近の投機筋のポジションは以下の通り。
トウモロコシはロングが644,591枚(前週比 +12,992枚)、ショートが123,494枚(+2,443枚)ネットロングは521,097枚(+10,549枚)
大豆はロングが285,084枚(▲15,591枚)、ショートが43,516枚(+3,289枚)ネットロングは241,568枚(▲18,880枚)
小麦はロングが134,660枚(+11,452枚)、ショートが99,313枚(+3,558枚)ネットロングは35,347枚(+7,894枚)
◆主要ニュース
・11月日本機械受注総額 前月比 ▲1.5%の2兆2,663億円(前月+9.7%の2兆3億円)、前年比▲0.2%(▲0.6%)
船舶電力を除く民需 ▲7.0%の8,548億円(+5.7%の8,425億円)、前年比▲16.7%(▲3.3%)
・12月日本国内企業物価指数 前月比+0.5%(前月▲0.1%)前年比▲2.0%(▲2.3%)
・12月東京都心オフィス空室率 4.49%(前月4.33%)
・12月中国貿易収支 781.7億ドルの黒字(前月754.0億ドルの黒字)
輸出総額 前年比 +18.1%(+21.1%)、輸入総額 +6.5%(+4.5%)
輸出年初来ベース
対米国 +7.9%(1-11月期+5.7%)
対欧州 +6.7%(+5.7%)
対日本 ▲0.4%(▲1.2%)
対アセアン諸国 +6.7%(+5.8%)
輸入
対米国 前年比 +9.8%(+6.1%)
対欧州 +2.3%(+0.2%)
対日本 +1.8%(+1.5%)
対アセアン諸国 +6.6%(+5.2%)
・米週間新規失業保険申請件数 965千件(前週784千件)
失業保険継続受給者数 5,271千人(5,072千人)
・12月米輸出物価指数 前月比+1.1%(+0.7%)、前年比+0.2%(▲1.1%)
輸入物価指数 +0.9%(+0.2%)、▲0.3%(▲1.0%)
除原油 前月比+0.4%(±0.0%)
・パウエルFRB議長(投票権あり・中間派)、「利上げのタイミングは全然近くない。債務負担は歴史的に見れば重くない。テーパリングについては十分事前に予告する。景気は早期にパンデミック前のピークを回復する可能性。」
・フィラデルフィア連銀ハーカー総裁(投票権なし・タカ派)、「テーパリングの議論の前に、インフレ率は2%を突破することを望む。」
・ECB議事要旨、「12月は追加緩和の必要性で全員一致。緩和規模拡大には異論。政策委員で為替の動きを懸念する声があった。」
・バイデン次期大統領、1.9兆ドルの経済対策を提示へ。
◆エネルギー・メタル関連ニュース
【エネルギー】
・DOE天然ガス稼働在庫 3,197BCF(前週比▲132BCF)
東部 726BCF(▲39BCF)
中西部 879BCF(▲44BCF)
山間部 188BCF(▲8BCF)
太平洋地区278BCF(▲4BCF)
南中央 1,126BCF(▲37BCF)
・12月中国原油輸入 3,847万トン、918万バレル/日(前月4,536万トン、1,119万バレル/日)
精製石油製品輸入 218万トン(204万トン)
輸出 590万トン(495万トン)
※原油1トン=7.4バレルとして算出。石油製品は種類の内訳が不明のためバレル換算していない。
・12月中国石炭輸入 3,097.5万トン(前月1,167.1万トン)
・OPEC月報
世界石油需要 Q121:94.2、Q221:95.7、Q321:96.4、Q421:97.4、2021:95.9
非OPEC供給(含むNGLs) Q121:62.3、Q221:62.7、Q321:63.9、Q421:65.2、2021:63.5
Call on OPEC Q121:31.9、Q221:33.0、Q321:32.5、Q421:32.2、2021:32.4
※2021年の需要見通しを上方修正、非OPECの生産見通し下方修正、Call On OPECは増加。サウジアラビアの減産もあり、需給バランスの調整は進む可能性。
【メタル】
・12月中国銅輸入 51万トン(前月56万トン)
銅鉱石・精鉱 189万トン(183万トン)
アルミ(未加工品含む) 輸出 46万トン(42万トン)
・12月中国鉄鉱石輸入 9,675万トン(前月9,815万トン)
鉄鋼製品輸入 138万トン(185万トン)
鉄鋼製品輸出 485万トン(440万トン)
・チリ Codelco、コロナウイルスの第2波を受けて現場の人員削減や在宅勤務の再開などの追加対策を打ち出す。
◆主要商品騰落率
【上昇率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ +5.24%/ +7.62%
2.CME木材 ( その他農産品 )/ +4.07%/ ▲3.45%
3.ビットコイン ( その他 )/ +3.98%/ +33.69%
4.LMEニッケル 3M ( ベースメタル )/ +3.56%/ +10.53%
5.プラチナ ( 貴金属 )/ +2.09%/ +4.67%
【下落率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ ▲4.04%/ ▲4.09%
65.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.08%/ +11.97%
64.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲2.24%/ +5.00%
63.中国CSI300 ( 株式 )/ ▲1.93%/ +4.97%
62.TCM灯油 ( エネルギー )/ ▲1.73%/ +6.91%
※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
◆主要指標
【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :30,991.52(▲68.95)
S&P500 :3,795.54(▲14.30)
日経平均株価 :28,698.26(+241.67)
ドル円 :103.80(▲0.09)
ユーロ円 :126.17(▲0.13)
米10年債 :1.13(+0.05)
中国10年債利回り :3.11(▲0.02)
日本10年債利回り :0.04(+0.00)
独10年債利回り :▲0.55(▲0.03)
ビットコイン :38,765.5(+1482.02)
【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.98(▲0.04)
エネルギー :37.12(▲0.08)
ベースメタル :21.55(+0.03)
貴金属 :28.55(▲0.31)
穀物 :21.21(▲0.32)
その他農畜産品 :23.63(+0.15)
【主要商品ボラティリティ】
WTI :27.28(▲0.03)
Brent :26.63(▲0.04)
米天然ガス :68.92(▲0.01)
米ガソリン :33.68(+0.03)
ICEガスオイル :26.41(▲0.62)
LME銅 :19.58(+0.04)
LMEアルミニウム :18.95(▲0.39)
金 :18.73(+0.22)
プラチナ :34.00(+0.48)
トウモロコシ :18.58(+0.17)
大豆 :18.73(+0.22)
【エネルギー】
WTI :53.57(+0.66)
Brent :56.49(+0.43)
Oman :55.93(+0.41)
米ガソリン :155.39(+0.51)
米灯油 :161.94(+2.05)
ICEガスオイル :465.25(+5.00)
米天然ガス :2.67(▲0.06)
英天然ガス :63.15(▲2.01)
【貴金属】
金 :1846.53(+1.02)
銀 :25.52(+0.30)
プラチナ :1122.21(+23.02)
パラジウム :2411.20(+17.26)
※ニューヨーククローズ。
【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :8,016(+46:13.5C)
亜鉛 :2,737(▲38:21C)
鉛 :2,053(+20:13C)
アルミニウム :2,009(+1:1.5B)
ニッケル :17,986(+255:35C)
錫 :21,000(▲59:298B)
コバルト :37,995(▲5)
(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :8084.00(+113.00)
亜鉛 :2754.50(▲16.50)
鉛 :2020.00(▲29.00)
アルミニウム :2008.00(▲6.00)
ニッケル :18315.00(+630.00)
錫 :21085.00(+165.00)
バルチック海運指数 :1,856.00(+7.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック
【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :170.52(▲0.40)
SGX鉄鉱石 :170.11(+1.38)
NYMEX鉄鉱石 :169.8(+0.29)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :110.4(+0.40)
大連原料炭先物 :236.85(▲3.16)
上海鉄筋直近限月 :4,164(+1)
上海鉄筋中心限月 :4,281(▲11)
米鉄スクラップ :514(▲4.00)
【農産物】
大豆 :1436.50(+25.50)
シカゴ大豆ミール :464.90(+2.50)
シカゴ大豆油 :43.27(+0.59)
マレーシア パーム油 :3732.00(▲157.00)
シカゴ とうもろこし :534.25(+9.75)
シカゴ小麦 :670.50(+10.00)
シンガポールゴム :235.80(+2.90)
上海ゴム :13965.00(▲20.00)
砂糖 :16.67(+0.83)
アラビカ :127.35(+2.10)
ロブスタ :1324.00(±0.0)
綿花 :81.15(+0.23)
【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :66.43(▲0.43)
シカゴ生牛 :112.18(▲0.08)
シカゴ飼育牛 :132.55(▲1.03)
※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。