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長期金利低下による株高で堅調もドル高で非景気循環銘柄軟調
  • MRA商品市場レポート

2021年1月14日 第1885号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「長期金利低下による株高で堅調もドル高で非景気循環銘柄軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて堅調な推移となった。目立った経済統計の発表はなかったが、米長期金利がFOMCメンバーの発言を受けて低下、株価の上昇などもあってリスク資産が物色される流れとなった。

しかし、同時にドル高が進行し、価格の下押し要因となった。結果的に、景気循環銘柄に上昇圧力が掛っているが、ドル高の進行は少なくとも投機の手仕舞い売りの切っ掛けとなり得るため、いったん調整があると考えるのが妥当だろう。

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【本日の見通し】

本日は、景気の実態を占う上で中国の貿易統計に注目しているが、市場予想では減速が予想されており、ドル高観測もあって総じて軟調な推移になると予想する。しかし同時に景気への楽観も強まっていることから、下落余地も限定されるだろう。

中国の貿易統計の市場予想は以下の通り。先月から減速の見込み。ここで注目しているのは、コロナの影響で物流が停滞し、輸送に必要な「コンテナ」が不足していること。

一部の情報ではコンテナはリース会社が保有しており、リース料をつり上げるためにコンテナを出し渋っていると報じている。これが中国の貿易活動に影響をどの程度与えているか。追加情報を待ちたいところ。

輸出 市場予想 前年比+15.0%(前月+21.1%)輸入 前年比 +5.7%(+4.5%)

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は下落した。米石油統計は原油ブルな内容だったものの、ドルが長期金利の低下にもかかわらず上昇したことで、年明け以降の上昇幅が大きかったこともありいったん利益確定の動きが強まったためと考えられる。

昨日発表の米石油統計は原油ブル、石油製品ベアな内容だった。原油は生産が横ばい、輸入が増加(+0.9MBD)、稼働率は上昇(+1.3%)、在庫は▲3.2MBの減少となった。

原油価格に影響が大きいクッシング在庫は▲1,975KB(+792KB)と増加、在庫スペースの稼働率は73.0%(75.0%)と先週から低下し、昨年春のような極端な価格下落リスクは低下している。

石油製品は主に在庫水準よりも出荷動向に注目している。米ガソリン出荷は前年比▲13.1%の7.8MBDと依然水準は低い。2019年比でも▲13.4%とまだ低い。ディスティレートも前年比▲3.0%の3.6MBDと回復しているが、2019年比では▲6.3%と回復仕切っていない。

製品全体でも▲5.8%の18.8MBDと回復(2019年比では▲5.8%)、輸出については▲0.1%の5.3MBD(2019年比では+2.5%)、出荷+輸出では▲4.6%の24.1MBDと、先週の24.0MBDからも回復している。

まだ2019年水準を回復している訳ではないが、米国の製品需要は緩やかな回復基調を維持していると考えられる。ただ、主要製品であるガソリンの需要が回復するまでは、本格回復とはいえない。ガソリンはパーソナルユースであり、ここの回復がなければ、新車販売などの回復も緩慢なものになるだろう。

石炭価格(豪州炭)は上昇。北半球全体が極渦の影響で気温低下となる、との見通しと中国の景気回復を受けて高値圏での推移が続いている。

極東の天然ガス指標であるJKMは下落した。気温急低下に伴う需要増加が価格を支えていたが、代替の石炭や重油などへのシフト、ヘッジ売りなどで上値が重くなったようだ。

アジア向けのLNGスポットカーゴが39ドルで取引された、とも言われているが「顕著な上昇」はそろそろ一回目の峠を越えたようだ。ただし2月に掛けて極渦の影響でさらに気温が低下する可能性もあり、まだ高値警戒は継続すると予想する。

前回、2014年、2018年の極渦発生による気温低下時は、北米の天然ガス上昇は3ヵ月続いた。これを参考にすればやはりQ121の間はJKM価格は高止まりする、と見ておくべきだろう。

本日もドル指数動向が価格を左右すると考える。昨日は金利低下にもかかわらずドル高が進行しており、ドルのトレンドが転換した可能性があるため、本日も軟調推移を予想。ただし、石油製品出荷の回復傾向が持続していること、サウジの減産効果もあり、下落余地も限定。

石炭に関しては投機的な売買余地があまりないため、足下の需給ファンダメンタルズが価格を決定するが、北半球の気温低下予想を受けて堅調推移を予想。

スポットLNG価格は第一弾の調達に目処が立ったとみられ、いったん下落すると考えるが、状況に大きな変化はなく高値圏を維持。

◆非鉄金属

LME非鉄金属は上昇後下落した。LME指定倉庫在庫の減少が継続しており、統計上の需給は引き続きタイトなことが価格を押し上げたが、ドルが米金利低下にもかかわらず上昇したため、投機的な手仕舞い売り圧力が強まったため。

本日は、ドルが上昇基調にあること、中国の貿易統計の前年比伸びが鈍化する見通しであることから軟調推移を予想。ただしLME指定倉庫在庫の減少は継続しており、統計上も需給はタイトであるため下落余地も限定。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭先物は下落、鉄鋼製品先物価は直近限月・中心限月とも下落した。

気温低下に伴う中国の建築向けの需要が減少する見通しと、鉄鉱石価格の上昇に伴うレーショニングが発生しているものと考えられる。

新規材料に乏しく、需給ファンダメンタルズの状況に大きな変化がないことから高値圏を維持の見込み。

◆貴金属

金価格は下落した。米10年債利回りが低下、実質金利が低下したもののドル指数が上昇したことがこれを相殺して上回ったため。

銀価格は金価格の下落もあって水準を切り下げ。投機的な買いが主導しているため、下落時は金以上に下落するケースが多い。金銀レシオは上昇。

PGMはプラチナが上昇、パラジウムが下落。プラチナは割安感からの買いで上昇したとみられる。

ドルが再び上昇していることもあり、総じて軟調な推移に。PGMは景気への期待から底堅い。

◆穀物

シカゴ穀物市場はまちまち。総じてドル高が価格を下押ししたが、トウモロコシは需給タイト化観測が価格を押し上げた。

昨日発表された米主要穀物の週間輸出検証高は以下の通り。2021年1月7日時点検証高トウモロコシ 1,130.74千トン(前週比+41.30千トン)大豆 1,778.58千トン(+17.61千トン)小麦 279.39千トン(▲196.13千トン)

本日は再びドル高基調に転じたことから軟調な推移を予想するが、米農務省の需給報告では需給タイト化見通しが示されているため、下落余地も限定と予想。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

今年の重要なテーマとして、米長期金利動向と、それを受けたドル指数動向が上げられる。昨日は長期金利の低下があったにもかかわらずドル指数が上昇した。

長期金利の低下は一昨日の米国債入札が好調だったことが切っ掛けだが、予想通りとはいえ、FOMCメンバーがハト派的な発言をしたことも影響している。通常であれば金利低下のため、ドル安が進行してもおかしくない。

昨日の市場動向はなかなか理解し難いが、ドル指数の上昇は米景気の回復を期待したもの、長期金利の低下はFOMCメンバーの発言によるもので、米経済対策+金融政策の効果で想定以上に米国の景気が回復する、との整理になったのではないか。低金利政策の継続が景気回復期待を高める、という形である。

今後も長期金利・ドル指数動向には注目したいが、持続的にドル高が進行し、かつ、経済活動の回復がこれについて行かない場合、すなわち、金融相場から業績相場への以降の過程では、いったんドル建て資産価格に下押し圧力が掛りやすくなる、と言うことである。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米大統領選挙前後の国内融和にバイデン次期大統領が失敗する場合。

米上院選挙の結果を受けて米議会に親トランプ派が乱入、議会がロックダウンされるという事件も起きており、分断された米国の融和は容易ではない。

・「トリプルブルー」になったことで財政出動が加速、景気回復期待を受けた長期金利の上昇がドル高を誘発し、投機が商品価格押し上げの一翼を担ってきたことから、ドル高進行が価格をファイナンシャルな視点で押し下げる可能性。

このシナリオの可能性が高まるのは、Q121の米企業決算が発表され、「それほど悪くない」と言うことが確認される可能性がある4月以降か。

場合によるとワクチン開発と摂取進捗もあり、2020年決算と2021年事業見通しが発表される1月中下旬以降、ドル高進行開始の可能性も否定せず。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は低くなくなった。

・次の最大の成長ドライバーとして期待される、インド経済が期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速。

・米国の財政状況悪化、緩和規模拡大によるドル水準の低下リスク(ドル減価により、名目ドル建て資産価格の上昇要因に)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は短期的に上昇圧力が強まる展開が予想される。OPECプラスは1月から50万バレルの増産を開始したが、サウジアラビアが▲100万バレルの追加自主減産を始めたため、合計で▲40万バレル(ロシアとカザフスタンの7万5,000バレルの増産を考慮)の追加減産となること、各国でコロナウイルスのワクチン接種が進んでおり、緩やかながら経済活動が回復基調にあることが背景。

また、米上院で民主党が過半数を確保したことから、当面は財政出動を材料にリスク資産が物色される流れになると予想されることも、原油価格を押し上げ要因に。

ただし、米国債の利回りが上昇を始めており、これを契機にドル高に転じる可能性がある。その場合、今後利益確定の手仕舞い売り圧力が強まり上値は重くなるだろう。

価格が持続的に上昇するには需給ファンダメンタルズの変化が必要で、ロックダウンが加速しやすく、ワクチン接種もまだ本格化していないことから価格上昇が肯定されるのは、引き続き3~4月頃になるとみている。

長期的には、報道通りのペースでワクチンが普及し、深刻な副反応が確認されなければ経済活動の回復とともに原油価格がわかりやすく上昇を始めるのは2021年後半になってから、と考えられる。

【見通しの固有リスク】

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラスのプログラムの対象となっていない中東諸国の増産(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合、

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる2.中東以外の産油国の生産者の破綻3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権誕生で、シェールオイルのフラッキングが制限/禁止される場合、供給減少で価格上昇要因に(今のところ生産量の1割程度となる、国有地でのフラッキング禁止にトーンダウンしている)。

また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に。ただし、米国内の反イラン感情の高まりで、直ちに制裁が緩和される可能性は低い。

・イランの反米感情が高まり、中東の不安定さが増す場合(価格上昇要因)。

イランの核科学者であるファクリザデ氏が(恐らく)イスラエルによって殺害されたが、これによりイラン国内でイスラエルの背後にあると解釈されやすい米国に対する反米気運が高まっている。

これはイラン国内での反米感情を高め、米国を核協議に復帰させないための策略と考えられる。

・ワクチン・治療薬が想定以上に早く準備でき、移動制限が急速に解除される場合(価格上昇要因)。

【石炭価格見通し】

石炭価格は堅調な推移になると考える。中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、冬場で炭鉱が稼働し難いこと、港湾在庫の水準の低さに反映されるように、供給が十分ではないことが材料。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化のの中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていることから徐々に海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

なお、気温低下の影響で主要3国(豪州・インドネシア・ロシア)の輸出は、過去5年平均を回復している。

11月の中国の石炭輸入は前月から大幅に減少。前年水準を▲43.8%下回る1,167万1,000トン(前月▲46.6%の1,372万6,000トン)と減速傾向を持続した。

中国は国内の石炭産業の強化と政治的に対立する豪州からの輸入制限で、国内生産を増加させる方向性に舵を切っており、それが影響しているとみられる。

バルチック海運指数も過去5年平均程度で低迷しており、輸入の動きは鈍化。しかし一方で中国の港湾在庫は減少しているため、ピークシーズンということもあって堅調な推移となろう。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【投機筋のポジション動向】

・WTIはロング・ショートとも減少しているが、Brentはロングが増加、ショートが減少している。欧州の感染者数がピークアウトしている可能性があることやOPEC増産幅が小幅に収まったことが材料となった可能性が高い。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが684,132枚(前週比 +28,438枚)ショートが165,483枚(+21,520枚)ネットロングは518,649枚(+6,918枚)

Brentはロングが352,416枚(前週比+25,928枚)ショートが60,097枚(+13,907枚)ネットロングは292,319枚(+12,021枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は中国の景気先行指数を見るに中国の需要が今後数ヵ月は堅調さを維持するとみられること、米上院選挙の結果を受けて米国の財政出動が加速し、リスク資産価格全体が強含みやすい地合にあることから、高値を維持するとみている。

しかし、ここに来て米経済対策期待を受けたドル高圧力が強まっており、徐々に利益確定の売りに押され、一時的に価格は調整すると考える。

なお、現在の価格上昇は実際に中国の需要の増加による需給タイト化によるものであり、環境規制強化が牽引する価格上昇ではない。

例えば、中国の超高圧送電線網整備額は当初予定比+61%の1,811億人民元とする方針が今年の4月に示されており、電線向けの需要が銅、並びにアルミの需要を押し上げている。アルミは配電には利用されないが、超高圧電線には使用される。

このほか、バイデン政権の政策推進による環境重視の姿勢の強まりが、いわゆる「バイデン・トレード(化石燃料売り・省エネ金属買い、ただし金属生産の際には二酸化炭素が出ることは変わらない)」を加速させ、投機的な買い圧力を強めている。

バイデン・トレードは短期的には顕在化する需要ではないが、省エネ金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性があるため、足下は期待選好で、総じて中長期的には物色されやすい地合が続くとみる。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

中国が豪州の銅鉱石輸入を禁止していることで、精錬銅の需要が増加し、ベンチマークの銅価格が堅調に推移していることも地合を強くしよう。

しかし、中国の最大貿易相手経済圏である欧州でロックダウンの動きが再び見られること、季節的に南半球の供給が再開される可能性が高いこと、12月のファンド決算を意識した売り圧力の強まりが価格を押し下げるため上値も重いと考える。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合。

・高水準の投機筋買い越しポジションが急速に解消されたときの下落リスク。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(コロナの影響もあって、2020年の鉱山生産は全体で184万1,000トン、コロナの影響で115万1,000トン減少する見込み)。

・ニューカレドニアのGoroプロジェクトはAntfagasutaが買収相手として急浮上しており、過剰な供給不足への懸念が後退していることは価格の下落要因に。ただし楽観はできず。

なお、同プロジェクトのニッケル生産は6万トン/年(シェア2.4%)。

・GlencoreはZhairemプロジェクトの開発を決定しているが、ペルーのIscaycruz鉱山の閉鎖、カナダのMatagami鉱山、Kidd鉱山の鉱山年齢終了に伴う減産を見込んでおり、2021年の亜鉛生産は125万トン(従来見通し140万トン)と下方修正。

・中国の環境規制強化やコロナの影響再発に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・1月の米上院決定投票で民主党が過半数を確保し、「トリプルブルーリスク」が顕在化、脱炭素の動きが加速していわゆる省エネ金属の需要が増加する場合。

【投機筋のポジション動向】・利益確定の動きが見られていた非鉄金属に、再び投機の買いが入っている。市場はまだ、現状の景気先行きを楽観しているようだ。

・LME投機筋買い越し金額 前週比+20.9%の298億ドル(前週 246億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+23.4%の6,606.1千トン(前週 5,354.5千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国の景気先行指標をみるに堅調な推移を続けると考える。貿易統計で確認できるように鉄鋼製品輸入が増加し、輸出が減少。中国の顕在需要が増加していることを示唆している。鉄鉱石在庫は積み上がっているが日数ベースでは在庫水準は低く、需給はタイトとみられるため。

豪州に対する制裁で、最大輸入相手国からの調達に障害が出ていることも、中国着の鉄鉱石価格の押し上げ要因になっていると考えられる。

また、米国で民主党政権が上下院とも制したため、財政出動に伴うインフラ投資が米国でも実施されるのは都の期待が強まっていることも、鉄鋼原料価格を先物主導で下支えするとみる。

12月の中国の鉄鋼業PMIを見ると、総合指数が49.3から45.8に急減速した。変動性が大きいためなんともいえないが、生産が47.7(前月53.3)と減速、新規受注が42.0(47.2)と大幅に減速したことによる。

しかし、輸出向け新規受註は54.4(45.9)と大幅に回復、完成品在庫が増加(32.2→33.5)して原材料在庫が減少(38.0→32.1)している。このことは、外需の回復を受けて中国政府が国内の経済対策に伴う発注を減少させている可能性がある。

海外の需要が回復したことによる過度な景気刺激が不要になった、と判断したことによるものである可能性がある。しかしながら単月の動きであり、鉄鋼業PMIは製造業PMIに比して変動性が高いため、来月以降の内容を見極める必要があろう。

なお、新規受注完成品在庫レシオは低下し、若干完成品の需給が緩和、一方で新規受注原材料在庫レシオは上昇しており、原材料需給がタイト化していることを示唆している。総じてまだ鉄鋼製品市場の需給はタイトである、とみるべきだろう。

今後も中国政府のインフラ投資を柱とする経済対策が、今年7月の中国共産党結党100周年記念まで続くと予想されること、中国国内の鉄鋼原料在庫水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高く、基本は底堅い推移となる。

ただし価格上昇が需要の減少を引き起こすレーショニングが意識されるほか、南米生産者の増産見通しを考えると上値も重いと考える。

中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、11月は185万トン(前月193万トン)と減少傾向を持続した。11月の国内生産は季節性もあるが8,766万トン(10月 9,220万トン、9月 9,256万トン)と過去最高水準を記録した8月からは減速している。それでも水準は過去5年レンジを遙かに上回り、高い。

その一方、11月の鉄鋼製品輸出は440万トン(前月404万トン)と増加している。このことは中国の鉄鋼製品の国内需要が減速し、顕在需要が減少を始めている可能性があることを示唆するものだ。

弊社はこの鉄鋼製品の輸出入動向に注目しているが、このまま輸入の減少・輸出の増加が続くようであれば、国内の景況感が悪化している可能性があるため要注意である。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが在庫水準は前週比+50万8,000トンの899万トン(過去5年平均 902万7,000トン)と、例年よりも在庫水準は高い。

しかし、国内の鉄鋼製品在庫の減少ペースは例年を上回っており、鉄鋼製品輸出も減少、輸入が増加している状況で、中国の鉄鋼製品需給はまだタイトな状態といえる。しばらくは鉄鋼製品の需要が鉄鉱石需要を牽引する状態が続くと見られる。

原料である鉄鉱石の11月の輸入は前年比+8.3%の9,815万トンと高い水準を維持している。しかし10月の前年比+14.9%の1億674万トン、9月の+9.2%の1億855万トンからは減速傾向となっており、中国の国内需要が減速している可能性を示唆する内容。それでも、前年比大幅なプラスであり、中国の国内需要の絶対水準は高い。

鉄鉱石港湾在庫は前週比▲250万トンの1億2,425万トン(過去5年平均1億2,649万6,000トン)、在庫日数は26.2日(過去5年平均 32.8日)と例年と比較して在庫日数の水準は低く、輸入需要は持続するものと思料。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

一方、中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は、依然として過去5年の最低水準であることから価格の下支え要因となる。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・カシミール地方を巡る中国との領有権争いが激化した場合、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

【投機筋のポジション動向】

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値を維持すると考える。金融緩和の継続と、株価の上昇に伴う長期金利上昇圧力がせめぎ合う形で実質金利を現状水準に維持すると考えられることから。

なお、リスクオンはドル安で価格上昇、リスクオフで価格下落となる(詳しくは2020年10月12日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,630ドルに低下。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は199ドルと前日比▲19ドル下落した。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、73.2倍。過去1年を基準にすると95倍程度、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当だが、足元、70~75倍での推移となっている。

金銀レシオのチャートを見ると、70倍を切るとテクニカルに65倍が視野に入る。金価格が変わらなかったとしても、70倍から65倍に低下しただけで、+7.7%の銀価格上昇となるため、消費者は要注意だ。

金は高値を維持する見通しだがバイデン大統領誕生により、太陽光発電向けに用いられる「バイデン銘柄」であることもあって、需要構造の変化が価格を下支え(金銀レシオは低下)するものと予想。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。足下は、各国の自動車セクターの回復期待が強まっており、工業需要回復期待が価格を押し上げている状況。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは価格は景気の先行き楽観が強まっているが、足下のコロナの感染拡大がこれを相殺するため、現状水準でのもみ合いを予想。

ETF残高とパラジウム価格の連動性が高まっており(管理在庫増加→価格上昇)、一時の、ETF管理在庫減少→価格上昇、のメカニズムから変化してきている。

在庫取り崩し→価格上昇は実際に需給がタイトで、現物確保のためにETFを取り崩さなければならなかったからだが、現在はこれと逆のことが発生している訳で、足元、パラジウムの需給は緩和していると見られる。今後はETFの動向に注目。

12月の米自動車販売は年率1,627万台(市場予想1,580万台、前月1,555万台)と減速した。

中国の11月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+12.7%の276万9,666台(前月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と回復を継続している。

自動車販売は回復しているが、不要不急の消費であるため中国を除いては本格的な回復にはまだ時間がかかる見込み。

【見通しの固有リスク】

・世界的な成長力の低下に伴い、各国の財政状況が悪化、地政学的リスクが顕在化する場合(中東・北アフリカのリスク顕在化の可能性は低くない)。リスク・プレミアム上昇を通じて貴金属価格の上昇要因に。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが349,946枚(前週比 +8,134枚)、ショートが70,628枚(▲2,312枚)、ネットロングは279,318枚(+10,446枚)、銀が90,777枚(+1,909枚)、ショートが35,226枚(+1,137枚)、ネットロングは55,551枚(+772枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが37,312枚(前週比 +2,084枚)ショートが9,690枚(+291枚)、ネットロングは27,622枚(+1,793枚)

パラジウムが5,919枚(+946枚)、ショートが2,180枚(▲79枚)ネットロングは3,739枚(+1,025枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシ・大豆は中国の需要が想像以上に堅調であり、しばらく高値圏で推移すると考える。しかし、ドルが反転上昇の傾向を強めていることから、高水準な投機の買いポジションに解消売り圧力が強まると予想されるため、上値は重く、いったん調整売りに押されると予想される。

なお、中国の豚肉価格は下落する一方、豚肉の輸入量も減少している。このことは中国の畜豚数の増加(大豆ミール需要の増加)=大豆需要の増加、を示唆している。当面、中国向けの輸出が中国側の事情で増加すると見られることが価格を下支えすると予想。

小麦はさほど投機の買いポジションが積み上がっている訳ではないが、各地で生産見通しが引き上げられており、ドル高進行もあってやや軟調に推移か。

バッタ被害はLocust Watchでは、エチオピア、イエメン、ケニア、サウジアラビアの一部で深刻な状態が続いている。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/DL507map_pg1e.jpg

昨年末も大型のサイクロンがアラビア半島~北アフリカを通過、豪雨が観測されている。このままだと来年も蝗害が起きる可能性は否定できない。

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象の発生による穀物供給減少リスクの顕在化。害虫の発生、生産地の土壌破壊など(すでに一部顕在化)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・1月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 172.0Bu/エーカー(175.13、175.8)大豆 50.2Bu/エーカー(50.52、50.7)小麦 49.7Bu/エーカー(NA、49.7)

・1月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 141億8,200万Bu(144億4,629万Bu、145億700万Bu)大豆 41億3,500万Bu(41億5,642万Bu、41億7,000万Bu)小麦 18億2,600万Bu(NA、18億2,600万Bu)

・1月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 25億5,000万Bu(26億5,000万Bu)大豆 22億3,000万Bu(22億Bu)小麦 9億8,500万Bu(9億8,500万Bu)

・1月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 15億5,200万Bu(15億9,191万Bu、17億200万Bu)大豆 1億4,000万Bu(1億3,861万Bu、1億7,500万Bu)小麦 8億3,600万Bu(8億5,922万Bu、8億6,200万Bu)

・12月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 113億2,200万Bu(117億4,670万Bu、19億5,000万Bu)大豆 29億3,300万Bu(29億2,900万Bu、5億2,500万Bu)小麦 16億7,400万Bu(16億9,555万Bu、21億5,800万Bu)

・12月CONABブラジル作付け面積(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1,844万ha(1,943万ha、1,844万ha)大豆 3,818万ha(3,845万ha、3,825万ha)

・12月CONABブラジル生産量(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1億259万トン(1億938万トン、1億489万トン) 単収 5,564Kg/ha(5,630kg/ha、5,688kg/ha)大豆 1億3,445万トン(1億3,325万トン、1億3,495万トン) 単収 3,522Kg/ha(3,468kg/ha、3,528kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが644,591枚(前週比 +12,992枚)、ショートが123,494枚(+2,443枚)ネットロングは521,097枚(+10,549枚)

大豆はロングが285,084枚(▲15,591枚)、ショートが43,516枚(+3,289枚)ネットロングは241,568枚(▲18,880枚)

小麦はロングが134,660枚(+11,452枚)、ショートが99,313枚(+3,558枚)ネットロングは35,347枚(+7,894枚)

◆本日のMRA's Eye


「投機的な視点でみるプラチナ価格」

昨年はコロナウイルスの感染拡大と、それを阻止するための政策的な対応に市場は左右された。そしてその状態はまだ継続しているため、恐らく2021年もコロナウイルス動向に価格が左右される展開が継続することになるだろう。

その中でやや期待先行で上昇していたプラチナ価格は、若干の調整はあるものの高値圏で底堅い推移になると予想される。

昨年、このコラムで指摘したように、この数年に渡るプラチナ価格の対金での水準低下は自動車の排ガス触媒向け需要が減少したことよりも、宝飾品向けの需要が減少したことの影響が大きかった。

そして、投機取引を含まない工業需要だけの需給バランスは構造的に供給過剰になっており、足下の価格動向は投機動向が左右していることを指摘した。今回のこのコラムでは投機動向に焦点を絞って2021年のプラチナ価格を考察した。

プラチナの投機筋動向を占う上で参考になるのが、米CFTCが発表している投機筋の先物市場におけるポジション動向だ。先物市場では現物売買を目的とする実需家と、転売目的の投機筋の2種類の市場参加者が存在する。

そして、現在のプラチナ市場では、実需筋がネット売り越し、投機筋がネット買越しとなっている。つまり、現物売買を目的とする実需家の売りに対して投機筋が買い向かうことで市場が成立している。なお、実需のネット売り越し枚数と投機の買越し枚数は必ず一致する。

商品によっては実需の買いに対して投機が売り向かうことで価格が成立している市場もあり、かつ、価格動向が実需筋のポジション動向に左右される商品ももちろん存在する。そのため、商品価格は必ずしも投機筋の動向が決定している訳ではないことは、十分に注意しておく必要がある。

改めて2019年1月以降のプラチナ価格動向と投機筋のネット買越しポジション動向を比較してみると、昨年のコロナショックがあるまでは、投機筋の売買動向にほぼ連動する形でプラチナ価格が変化していることが分かる。

コロナショック以降も投機筋の先物ネット買越しポジション動向が価格に影響を与えてはいるが、それ以上に価格が上昇している。しかし、上述の通りプラチナ市場の投機需要を除く需給バランスは大幅な供給過剰状態にあると考えられ、この価格上昇が実需に牽引された可能性は低い。

そのため、もう1つの投機資金の代表的な流入経路であるETFが価格に影響したと考えるのが妥当だろう。

プラチナ先物の投機ポジションと同様2019年1月以降の推移を見ると、ETFの管理残高の方がプラチナに対する説明力が高い。相関係数を比較してみると投機筋の先物ネット買越しポジションの相関係数が0.45であるのに対して、ETFは0.60となっている。

いずれも相関係数は優位に高いとはいえないが、投機筋は先物よりもETFを用いてプラチナ売買を行っていた可能性が高いことを示唆している。

そしてETFは株式市場に上場されているため、ETFに流入している資金の多くは、株式市場に滞留している資金であると考えられる。そこでS&P500とプラチナ価格を比較してみると、両者の価格相関性は高いことが分かった。

株式市場に流入している資金は100%投機目的の資金であるため、投機目的の取引動向が価格を左右しやすい環境になっているプラチナ価格と株価の相関性が高くても何ら不思議はなく、株価が上昇する中ではプラチナ価格はさらに上値を試す展開が予想される。

プラチナ価格動向の影響度合いとすれば、1.金価格動向、2.株価動向、という形になるだろう。

では、どこまでプラチナ価格は上昇する可能性があるか。このとき、プラチナはほかの貴金属に比べて割安で推移していたことも、物色されてきた要因の1つである。そのため、貴金属セクターのベンチマークである金価格とのパフォーマンス(上昇率)の差が埋まるところが、目先の上値の目処になると考えられる。

基準日をいつにするかは1つ議論の余地があるが、仮に2019年1月1日を基準とした場合、金価格の上昇率は+44.0%(原稿執筆時点)、プラチナが+38.1%である。この上昇率の差が埋まるためには、プラチナ価格は2019年1月1日の796ドルからあと6%程度(約50ドル/トロイオンス)価格が上昇する必要がある。

株価、並びに金価格動向次第であるが、プラチナ価格の上昇余地はそろそろ限られるとみておくのが適当だろう。

ただし、ベンチマークである金価格がFRBの低金利政策継続に伴う長期金利の低位安定と(米景気回復と共に長期金利は上昇するが、緩和政策の継続により上昇ペースは緩やかに)、緩和と景気回復を期待を背景とした期待インフレ率の上昇を背景に高止まりするため、プラチナ価格も高値圏を維持すると予想される。

なお、燃料自動車向けの需要増加期待が市場で材料視されている、との見方もあるが実際に需給の構造変化によって価格が上昇するのは開発の進捗も含めた中長期的なテーマであり、起きるとしてもあと4~5年はかかるのではないだろうか。

◆主要ニュース


・12月日本企業倒産 前年比▲20.73%(前月▲21.73%)

・12月日本工作機械受注速報  前年比+8.7%の979億7,500万円(前月+8.6%の886億8,000万円)
 外需+27.3%の672億1,200万円(+22.5%の616億3,800万円)

・12月独卸売物価指数 前月比+0.6%(前月+0.1%)、前年比▲1.2%(▲1.7%)

・11月ユーロ鉱工業生産 前月比 +2.5%(前月+2.3%)
 前年比▲0.6%(▲3.5%)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 +16.7%(前週+1.7%)
 購入指数+8/0%(▲1.6%)
 借換指数+20.1%(+3.0%)
 固定金利30年 2.88%(2.86%)、15年 2.39%(2.40%)

・12月米消費者物価指数 前月比+0.4%(前月+0.2%)、前年比 +1.4%(+1.2%)
 コア 前月比+0.1%(+0.2%)、前年比+1.6%(+1.6%)

・12月米実質平均賃金 前年比+4.9%(前月+4.7%)
 実質平均時給+3.7%(+3.2%)

・12月米財政収支 ▲1,436億ドルの赤字(前月▲1,330億ドルの赤字)

・米ベージュブック、「大半の地区で経済活動が緩慢に回復。個人消費は強弱まちまち。製造業はほぼ全地区で引き続き回復。」

・ブレイナードFRB理事(投票権あり・中間派)、「FRBの債券購入はかなり長い期間必要に。」

・クラリダFRB副議長(投票権あり・中間派)、「年間2%のインフレ達成までは利上げを行わない。」

・セントルイス連銀ブラード総裁(投票権なし・ハト派)、「インフレ率が一定期間2%を上回るという当局の目標に対して我々は信用と信頼を回復したい。」

・米下院、トランプ大統領の弾劾訴追を可決。2回目。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油▲3.2MB(クッシング▲2.0MB)
 ガソリン+4.4MB
 ディスティレート+4.8MB
 稼働率+1.3

 原油・石油製品輸出 8,540KBD(前週比+478KBD)
 原油輸出 3,246KBD(+450KBD)
 ガソリン輸出 834KBD(▲5KBD)
 ディスティレート輸出 1,179KBD(+104KBD)
 レジデュアル輸出 92KBD(+5KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,392KBD(▲68KBD)
 その他石油製品輸出 1,730KBD(+9KBD)

・ドイツ銀行、「BrentはQ421に在庫の調整が終了し、65ドルに達する見込み。」

【メタル】
・Rio Tinto、ニュージーランドの精錬所の操業を2024年まで延長。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ビットコイン ( その他 )/ +7.41%/ +28.58%
2.CBTエタノール ( エネルギー )/ +7.24%/ +13.75%
3.原料炭スポット ( 鉄鋼原料 )/ +3.38%/ +8.48%
4.ICEガスオイル ( エネルギー )/ +3.25%/ +9.39%
5.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ +3.17%/ ▲2.34%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲15.85%/ +15.53%
65.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲2.92%/ +2.95%
64.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ ▲2.41%/ ▲4.87%
63.CBT大豆ミール ( 穀物 )/ ▲1.87%/ +6.45%
62.ブラジル・ボベスパ ( 株式 )/ ▲1.67%/ +2.45%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :31,060.47(▲8.22)
S&P500 :3,809.84(+8.65)
日経平均株価 :28,456.59(+292.25)
ドル円 :103.89(+0.13)
ユーロ円 :126.30(▲0.36)
米10年債 :1.08(▲0.05)
中国10年債利回り :3.13(▲0.02)
日本10年債利回り :0.04(▲0.00)
独10年債利回り :▲0.52(▲0.05)
ビットコイン :37,283.48(+2570.75)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :26.02(+0.17)
エネルギー :37.20(+0.34)
ベースメタル :21.52(+0.16)
貴金属 :28.86(▲0.16)
穀物 :21.53(+0.09)
その他農畜産品 :23.48(+0.21)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :27.31(+0.33)
Brent :26.67(+0.57)
米天然ガス :68.93(▲0.43)
米ガソリン :33.65(+0.24)
ICEガスオイル :27.03(+1.69)
LME銅 :19.53(+0.05)
LMEアルミニウム :19.34(+0.14)
金 :18.51(+1.12)
プラチナ :33.52(+0.57)
トウモロコシ :18.41(▲1.69)
大豆 :18.51(+1.12)

【エネルギー】
WTI :52.91(▲0.30)
Brent :56.06(▲0.52)
Oman :55.52(▲0.81)
米ガソリン :154.88(▲0.42)
米灯油 :159.89(+0.22)
ICEガスオイル :460.25(+14.50)
米天然ガス :2.73(▲0.03)
英天然ガス :65.16(▲12.27)

【貴金属】
金 :1845.51(▲9.26)
銀 :25.22(▲0.34)
プラチナ :1099.19(+21.89)
パラジウム :2393.94(▲7.91)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :7,971(▲21:10C)
亜鉛 :2,775(▲18:23C)
鉛 :2,034(+49:15.5C)
アルミニウム :2,009(▲17:1B)
ニッケル :17,731(+60:56C)
錫 :21,059(+139:359B)
コバルト :38,000(+1,000)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :7971.00(▲27.50)
亜鉛 :2771.00(▲13.50)
鉛 :2049.00(+19.00)
アルミニウム :2014.00(▲12.50)
ニッケル :17685.00(±0.0)
錫 :20920.00(▲85.00)
バルチック海運指数 :1,849.00(+88.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :170.92(+0.74)
SGX鉄鉱石 :168.73(▲0.66)
NYMEX鉄鉱石 :169.51(+0.18)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :110(+3.60)
大連原料炭先物 :240.02(▲7.45)
上海鉄筋直近限月 :4,163(▲15)
上海鉄筋中心限月 :4,292(▲12)
米鉄スクラップ :518(▲2.00)

【農産物】
大豆 :1411.00(▲11.00)
シカゴ大豆ミール :462.40(▲8.80)
シカゴ大豆油 :42.68(▲0.45)
マレーシア パーム油 :3889.00(+9.00)
シカゴ とうもろこし :524.50(+7.25)
シカゴ小麦 :660.50(▲4.50)
シンガポールゴム :232.90(+2.40)
上海ゴム :13985.00(+50.00)
砂糖 :15.84(+0.38)
アラビカ :125.25(+3.85)
ロブスタ :1324.00(+30.00)
綿花 :80.92(▲0.78)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :66.85(▲1.65)
シカゴ生牛 :112.25(▲0.23)
シカゴ飼育牛 :133.58(+0.35)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。