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トリプルブルー・インパクト~テーマは金融から財政へ
  • MRA外国為替レポート

2021年1月11日号

◆先週の市場総括


年末にかけては経済対策・景気刺激策・金融緩和継続への期待と感染拡大への懸念が交錯するなかでもリスク選好が維持されて株価が堅調。米国株は史上最高値近辺で取引を終えた。

NYダウは30,600ドル台、ナスダックは12,900ドル近辺、S&P500は3,750ドル台で年末の取引を終えた。日経平均も30日の大納会はバブル後最高値近辺、27,400円台で引け。

ドル円相場は104円手前まで上昇する場面もあったが、リスク選好・株高・ドル安の流れのなかで一時103円割れ。ユーロドル相場は1.23に上昇した。ただ年末はドル高、ユーロ安となりユーロドル相場は1.22近辺、ドル円相場は103円30銭で引けた。急騰を続けるビットコインは3万ドルの大台目前に迫った。

新年の市場は感染拡大への懸念からリスク選好が後退してのスタートとなった。

日本では大晦日から正月3日までに感染が急拡大。緊急事態宣言の発出を検討との報が嫌気されて株価は下落。米国株も感染拡大とジョージア州上院選挙への結果を懸念して一時700ドル安となった。

しかしその後はISM景気指数が予想外にしっかり。加えてジョージア州上院選挙を受けて上院・下院とも民主党が主導権を握ることとなり、バイデン政権の政策が推進しやすくなったとの見方から財政拡大による景気浮揚期待が強まった。

米国株は急騰し史上最高値を更新。日経平均も週末にかけて急速に上昇して28,000円の大台を回復した。

ドル円相場は一時102円台半ばに下落したが、その後は財政拡大見通しを受けた米長期金利上昇を受けて株高のなかでもドルが堅調。ドル円相場は104円ちょうど近辺で引け。

ユーロドル相場は1.23台で上値重く反落。一時1.22を割り込んだ。週末の雇用統計は弱い数字だったが景気支援策・景気浮揚への期待は根強く米国株は堅調のまま引けた。

2020年12月28日月曜日の東京市場で日経平均は上昇。取引開始前に米国の追加経済対策にトランプ大統領が署名と伝えられ、同時に2021年度予算も成立して政府機関の一部閉鎖も回避されることが明らかになった。

これを好感して26,700円近辺で寄り付いた後は引けにかけて終始堅調に推移。前週末比+197円高の26,854円で引けた。

ドル円相場は103円50銭台で始まり40銭台にやや軟化してもみ合い。ユーロ円相場は126円20銭で始まり10銭~40銭で上下した後、40銭~50銭で底固くもみ合い。ユーロドル相場は1.2190で始まり1.2210に小じっかり。ユーロは欧州市場にかけてさらに上昇し、ユーロドル相場は1.2250、ユーロ円相場は126円70銭をつけた。

クリスマス休暇明けの米国株は全面高。経済対策署名成立、予算成立を好感。景気敏感株、ハイテク株ともに上昇。NYダウは前週木曜日引値比+204ドル高。終値で史上最高値を更新。ナスダックは同+95ドル高の12,899ドル。

ユーロは上下動。円は軟調。ユーロドル相場は1.22割れに下落した後、1.2240に反発したが引けは1.22ちょうど~1.2210。ユーロ円相場は126円40銭に下落した後、90銭台に持ち直し引けは70銭~80銭。ドル円相場は上昇。103円80銭~90銭で推移して引けは103円80銭。

29日火曜日の東京市場では日経平均が大幅高。前日に米国株が史上最高値を更新したことを受けて26,900円で高寄りした後は終始堅調。昼頃には27,300円近辺。後場は一段高となり、前日比+714円高の27,568円とバブル後最高値を更新した。

ドル円相場は103円70銭~80銭で上下した後、やや下落して60銭~70銭で上下。ユーロ円相場は126円70銭で始まり127円ちょうど近辺に上昇。ユーロドル相場も1.2210から1.2250へ上昇した。

株高・リスク選好が強まるなかユーロが堅調、ドルと円が軟調。一方、米国株は反落。前日に史上最高値を更新した反動で利益確定売りが優勢となった。

追加経済対策が成立したものの現金給付増額(1日600ドルから2,000ドルへ)は共和党の反対で採決に至らず。感染拡大も止まらず、景気回復期待に水を差した。NYダウは前日比▲68ドル安の30,335ドル。ナスダックは▲49ドル安の12,850ドル。

ユーロは上昇後反落。円はやや堅調。ユーロドル相場は1.2270に上昇した後、反落して1.2250で引け。ユーロ円相場は126円70銭から126円70銭に下落して引けは126円90銭。ドル円相場はやや円高に振れて103円50銭~60銭でもみ合い引けは103円60銭。

30日水曜日の東京市場は年内最終取引。日経平均は27,600円近辺で寄付き、すぐに利益確定売りに押され下落。その後は売り買い交錯。26,400円~500円でもみ合いそのまま年内最終日の取引を終えた。前日比▲124円安の27,444円だが年内最高値圏での引けとなった。

ドル円相場は103円60銭で始まり上値重く、昼には103円30銭近辺に下落して午後はそのままもみ合い。ユーロが堅調、ドルが軟調。ユーロ円相場は126円80銭から127円10銭に上昇。その後は126円90銭~127円ちょうどでもみ合い。

ユーロドル相場は1.2250で始まり1.2280~90へ上昇してもみ合い。その後欧州市場にかけてユーロは反落。ユーロドル相場は1.2260、ユーロ円相場は126円50銭~60銭に下落した。

米国株は小型株を中心に小幅反発。景気対策への期待と感染拡大への警戒感が交錯。NYダウは前日比+74ドル高の30,409ドル。ナスダックは同+20ドル高の12,870ドル。VIX指数は22.77ポイント。

原油価格、金相場は小じっかり。米10年債利回りは小幅低下して0.926%。ポジション調整から欧州市場から米国市場にかけては円高。ドル円相場は103円割れ、ユーロ円相場は126円50銭~60銭に下落した。

リスク選好が維持されるなかドルは軟調。ドル円相場は下げ止まったものの上値重く103円20銭~30銭で推移し引けは103円20銭。ユーロドル相場はじり高、ユーロ高ドル安が進み1.23ちょうど近辺で引け。ユーロ円相場は127円ちょうど近辺で取引を終えた。

31日金曜日は東京市場が休場。アジア時間のドル円相場は閑散のなか103円10銭~20銭で小動きもみ合い。ユーロドル相場は1.2290~1.2300で推移、ユーロ円相場は126円90銭でのもみ合いから126円80銭中心のもみ合いに。

中国で発表された12月のPMI景況感指数は、製造業が前月52.1から51.9へ、非製造業が56.4から55.7へ、総合指数が55.7から55.1へ、小幅悪化した。

欧米市場でも取引閑散。薄商いのなか米国株は上昇。NYダウは前日比+197ドル高の30,606ドル、ナスダックは同+18ドル高の12,888ドル、S&P500指数は同+24ドル高の3,756ドルで史上最高値を更新して年内の取引を終えた。

VIX指数は22.75ポイント、原油相場WTIは48ドル台、金相場は1,900ドル台に乗せて引けた。

ドルはしっかり、ユーロは下落。ユーロドル相場は1.2270~80から1.2210~20に下落して1.2210で引け。ユーロ円相場は126円50銭~60銭から126円10銭~20銭に下落して126円10銭で引け。

ドル円相場は103円ちょうど~10銭でもみ合いから103円20銭~30銭に堅調。103円30銭近辺で年内の取引を終えた。ビットコインは29,000ドル台に乗せるなど堅調なまま年末を迎えた。さらに土日となった2日、3日にも急騰して34,600ドル台をつけた。

新年4日月曜日の東京市場では日経平均が大きく下落して始まった。年末から正月にかけて発表された感染者数が急増。緊急事態宣言の発出を検討との報道を嫌気して、一時年末大納会引値から400円を超えて下落し27,000円ちょうどに接近した。

しかしその後は持ち直し27,250円~350円で上下し引けは昨年末比▲186円安の27,258円近辺。

アジア時間はドルが軟調。ドル円相場は103円10銭~20銭で始まり30銭に小高くなったもののその後は下落して103円割れ。103円中心に上下した。ユーロ円相場は126円30銭で始まり50銭をつけた後は反落して126円20銭を中心に推移した。ユーロドル相場は1.2240~50でもみ合い。

中国で発表された財新製造業PMI(12月)は53.0と前月54.9から悪化したが、中国株は堅調に推移し年末から続伸した。

欧州株は上昇。一方で米国株は感染拡大やジョージア州の上院選挙の不透明感を前に利益確定売りが先行して大きく下落して始まった。NYダウは年末比で一時▲700ドルを超える大幅安で29,900ドルに近づいた。

ただその後は持ち直して引けは▲382ドル安の30,223ドル。ナスダックは▲190ドル安の12,698ドル。

米10年債利回りは低下して0.916%。ドルは欧州時間に下落。ドル円相場は102円70銭に下落。ユーロドル相場は1.23へユーロ高ドル安が進みもみ合い。ただその後米国時間にはドルは持ち直してドル円相場は103円10銭~20銭でもみ合い、ユーロドル相場は1.2240~50に反落して引け。

ユーロ円相場は126円80銭に上昇した後126円30銭で引け。株価下落でリスク選好が後退しドルと円が堅調となった。

火曜日の東京市場では日経平均が軟調。27,150円で小幅安寄りした後200円台に戻すも上値重く、引けにかけて軟化しもみ合い。前日比▲100円安の27,158円で引け。緊急事態宣言や感染拡大による活動制限への警戒感が下押し要因。

アジア時間のドルは軟調、ユーロが堅調。ドル円相場は103円10銭~20銭で始まりじり安となり夕刻は102円90銭。ユーロドル相場は1.2240~50からじり高となり1.2270近辺でもみ合い。

ユーロ円相場は126円30銭で始まり126円50銭に上昇した。欧州時間に入るとやや円高に振れてドル円相場は102円80銭~90銭、ユーロ円相場は126円10銭に下落。米国市場ではリスク選好が持ち直した。

発表されたISM製造業景気指数(12月)は前月の57.5から56.8への悪化予想に反して60.7に改善。

NYダウは下落から上昇に転じて前日比+168ドル高。ナスダックは同+120ドル高の12,819ドル。米10年債利回りは0.946%に上昇した。

この日はジョージア州で上院議員選挙が実施され民主党が優勢と伝えられ、財政拡大への思惑が強まった。

リスク選好の回復でドルは下落、ユーロが上昇。ドル円相場は一時102円60銭台に下落し、ユーロドル相場は1.23ちょうどに持ち直した。その後は米長期金利上昇がドル安に歯止めをかけた。ドル円相場は102円70銭で引け。ユーロ円相場は126円30銭に上昇した。

水曜日の東京市場では引き続き株価が軟調。感染拡大がなお続き、緊急事態宣言発出が直前となったことでなおも上値の重い展開となった。日経平均は27,100円台で上値重く、前日比▲103円安の27,056円で引けた。

ドル円相場は102円70銭台で始まり60銭に下落。その後は70銭~80銭で推移。ユーロ円相場は126円30銭中心に上下。その後夕刻から欧州市場にかけて対ドル、対円でユーロ高が進んだ。

ユーロドル相場は1.23ちょうどからやや下落していたが1.2330~40へ。ユーロ円相場は126円90銭に上昇。注目の米国ジョージア州上院議員選挙は民主党が2議席を確保し、政権・上院・下院ともに民主党が主導権を握るトリプルブルーとなる見込みとなった。

バイデン政権の政策が実現しやすくなるとの見方、財政拡大による景気浮揚期待から景気敏感株は大きく上昇。NYダウは前日比+438ドル高の30,829ドル。一方、ハイテク株は大手IT企業への規制懸念から軟調。ナスダックは同▲78ドル安の12,740ドル。米10年債利回りは大きく上昇して1.05%に。

為替市場ではドルが反発・上昇した。ユーロドル相場は1.2270に下落。ドル円相場は103円40銭に上昇。リスク選好のなかユーロ円相場も上昇して127円20銭。ただその後はドルが反落。

ユーロドル相場は1.2330。ドル円相場は103円ちょうど。ユーロ円相場は127円ちょうど近辺に反落した。

発表された米国の製造業新規受注(11月)は前月比+1.0%と前月+1.3%から鈍化したが予想よりは強め。一方、ADP雇用報告(12月)は雇用者数・前月比が▲123千人と前月の+304千人増加から予想外の減少に転じた。

木曜日の東京市場の日経平均は米国の財政拡大・景気浮揚期待、株高を受けて大きく反発した。国内での感染拡大、緊急事態宣言は影響せず。引けは前日比+434円高の27,490円。

為替市場ではドルが堅調。ドル円相場は103円ちょうどで始まり夕刻には103円20銭に、さらに欧州市場に入って103円60銭に上昇して上下。ユーロドル相場は1.2330~40でもみ合い、その後はユーロ安ドル高基調。欧州市場では1.2250まで下落した。

ユーロは対円でも軟調となりユーロ円相場は127円ちょうど~20銭で推移した後、欧州市場では127円割れに下落した。

米国株は続伸。引き続き財政拡大への期待感から景気敏感株が堅調。また前日に規制強化懸念で下落していたハイテク株も持ち直した。NYダウは前日比+211ドル高の31,041ドルと史上最高値を更新。ナスダックは+326ドル高と大幅に上昇して13,067ドル。VIX指数は22.33ポイントまで低下した。

原油価格WTIは3日続伸して50ドル台に上昇。米10年債利回りは一段と上昇して1.076%。

ドル円相場は103円80銭~90銭でもみ合い引け。ユーロ円相場は127円40銭に上昇。ユーロドル相場は1.2270~80でもみ合い。

発表されたISM非製造業景気指数(12月)は前月55.9から57.2に改善。55.0への悪化予想に反して改善した。ただし雇用指数は48.2と50を割って悪化した。

金曜日の東京市場では日経平均が大幅高。バイデン政権の大型景気対策への期待、米国株高、NYダウが史上最高値を更新したことを受けて幅広い銘柄が買われた。

国内の感染拡大や緊急事態宣言発出には反応せず。ドルは午前から昼にかけて上下。ドル円相場は103円80銭台から104円ちょうど近くに上昇した後、80銭に押し戻された。

ユーロドル相場は1.2270から1.2240へ下落した後1.2260に反発。ユーロは対円でも127円40銭から20銭台に下落した後40銭台に戻した。その後欧州市場にかけて再びドル買いが強まりドル円相場は104円10銭近辺へ、ユーロドル相場は1.2210台へユーロ安ドル高。ユーロ円相場はユーロ安が強く127円ちょうど近辺に下落した。

米国市場にかけてはドル高一服。雇用統計待ち。ドル円相場は103円80銭~90銭でもみ合い。ユーロドル相場は1.2250へじり高。ユーロ円相場は127円30銭近辺。

注目の雇用統計(12月)は予想より弱い内容。非農業部門雇用者数・前月比は▲140千人減少と前月245千人増加から一転減少となり、予想150千人増加を大きく下回った。一方失業率は悪化せず、前月と同水準の6.7%。

これを受けて米長期金利はやや低下してドルも下落した。ドル円相場は103円60銭に下落、ユーロドル相場は1.2280に上昇。ただその後は株価堅調、米長期金利反発でドルは持ち直した。

米国株はハイテク株がしっかり。前日比+134ドル高の13,201ドル。NYダウは弱い雇用統計や利益確定売りで上値が重かったが景気支援策への期待が支えとなって小幅上昇。前日比+56ドル高の31,097ドル。

FRBクラリダ副議長は景気に楽観的な見通しを示し、資産購入ペースは現状を維持するとして追加緩和を示唆しなかった。

米10年債利回りは1.117%に上昇。ドル円相場は104ちょうど近辺でもみ合い引け。ユーロドル相場は1.22を割ってユーロ安ドル高が進んだが引けは1.2220。ユーロ円相場は127円ちょうど近辺で引けた。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標、ベージュブック(地区連銀経済報告)

先週は経済指標はまちまち。ISM景気指数は製造業・非製造業ともに悪化予想に反して改善。一方で雇用情勢はADP雇用報告や雇用統計が想定よりも悪化を示した。今週の数字がどちらにぶれるか。

水曜日 消費者物価指数(12月、前年同月比、予想+1.3%、前月+1.2%)

木曜日 輸入物価指数、週次新規失業保険申請件数・継続受給者数、小売売上高(12月、前月比、予想▲0.3%、前月▲1.1%)、生産者物価指数(12月)、NY連銀製造業景気指数(1月、予想3.8、前月4.9)、鉱工業生産(12月、前月比、予想+0.3%、前月+0.4%)、ミシガン大学消費者信頼感指数(1月、予想79.5、前月80.7)

水曜日にはベージュブックが公表され、現状の景気動向が示される。

2.パウエル議長発言

木曜日にパウエル議長が発言する。バイデン新政権が発足し、上院・下院双方で民主党が主導権を握り財政拡大・景気浮揚策への期待が高まっている。

足元の感染拡大や景気動向をどのように認識し、どのような基本スタンスを示すか。長期金利上昇が際立ってきたなかで、これを抑制しようとする意識はあるか。量的緩和の拡大に言及するか。

あるいは追加緩和に振れず消極的なスタンスと理解されるか。発言内容を受けた長期金利の動向に留意を要する。

3.中国の経済指標

中国では欧米あるいは日本に比べて感染拡大が抑制され、景気回復が順調に進んできた。しかし年初に公表された企業景況感にはやや陰りもみられる。一部に感染が再拡大しているとの報道もあり気になるところ。

月曜日には生産者物価指数、消費者物価指数が、木曜日には貿易収支・輸出入動向が公表される(いずれも12月)。

◆今週のMRA's Eye


トリプルブルー・インパクト~テーマは金融から財政へ

年末・年初もリスク選好・株高の流れは変わらず。利益確定の動きは限定的だった。

感染拡大、実体経済が足元で悪化するなかでも、政策による景気浮揚期待がリスク選好を維持した。キャピタルゲイン狙いのマネーフローが資産価格を押し上げ、買うから上がる、上がるから買う、というかたちで価格上昇トレンドが強化されているようにみえる。

最たるものがビットコインの価格動向。10月から11月までの2か月で価格は2倍に。さらに年初にかけての1か月余りでさらに2倍。価格上昇が加速して4倍となった。

米国株はNYダウが史上最高値を更新。実体経済と株価の乖離はさらに拡大したようにみえる。日経平均も一時28,000円台を回復したが、非常事態宣言が発出される状況との乖離は著しい。国内経済や企業業績を反映したのではなく、単に米国株の上昇に連れた動きとみるべきだろう。

一方、その米国市場では、リスク選好を支える背景の政策期待には変化がみられる。

金融相場から業績相場への移行が引き続きリスク選好・株高を支える、というのがメインシナリオだった。確かに企業の景況感は大きく改善している。

ただ実体経済や雇用情勢はここにきての感染拡大で改善が停滞ないしやや後退している。そのなかで、バイデン政権の発足がようやく確定し、ジョージア州上院選挙で民主党が2議席を確保。上院・下院双方で民主党が主導権を握る「トリプルブルー」が確定した。

その結果、足元では財政拡大・景気支援策による景気浮揚期待が相場を支えはじめた。

リスク選好・株高の背景が金融緩和・低金利継続から財政拡大にシフトした。業績相場へのシフト、というより、財政相場へのシフトとでもいうべきか。

振り返れば4年前の大統領選挙でトランプ氏が当選した直後、米長期金利は大きく上昇しドルも急上昇した。当選確定直後の演説で、道路を造ろう、橋を造ろう、と公共投資を大きく拡大する趣旨の演説を行ったことがきっかけだ。

それまで、トランプ氏が当選すれば大変なことになる、株価は下落する、との見たてが大勢だった。為替市場でも当時下落基調にあり100円を目指していたドル円相場は95円、90円との予想が広がっていた。

米長期金利10年債利回りも2014年初に3%ちょうど近辺をピークに長期低下傾向。2016年夏には一時1.5%を割り11月初の大統領選挙直前1.8%近辺にあった。しかしトランプ発言で10年債利回りは12月下旬には2.5%まで急騰。

これに連れてドル円相場は103円近辺から反転し、一気に118円近辺まで急騰した。トランプ当選=ドル安との見方でドル先安感が定着していたところに、米10年債利回りが予想外に上昇し大きな反動が生じた。

今回のバイデン政権発足や上下両院の勢力確定にはトランプ大統領の抵抗で時間がかかり、ようやくここに至り「トリプルブルー」が確定した。

タイミングだけで論じるなら、トランプ当選時のインパクトが11月初の演説で生じたが、今回はバイデン勝利やトリプルブルーが確定したこのタイミング、1月初に生じつつあるということになる。

一方、政策の内容面、トリプルブルーはある程度想定された結果でもあり、4年前のトランプ当選演説直後から生じた「トランプラリー」と同様の衝撃はないかもしれない。

ただ財政拡大期待が盛り上がったことは共通している。

そして超低金利継続観測から大きく低下していた米10年債利回りが想定外に大きく上昇していることは、一定のインパクトを様々な市場で生じるのではないか。

昨年からのコロナ禍のもとでのトレンドは、政策期待とくに金融緩和・低金利継続、そのもとでの景気回復がシナリオの前提だった。そして年末年始にかけてリスク選好・株高トレンドが加速。株高・ドル安の相関は継続ないしドル安が加速する場面もみられた。

一方、いくつかの「トレンド転換」もみられた。

とくに米長期金利はすでに昨年秋から反転上昇に転じ、低下トレンドをブレークしている。値上がり益追求、トレンドフォローの投資・投機スタンスは継続しているが、そこに転機が生じる芽も散見される。

トレンドが転換するきっかけは、前提シナリオへのチャレンジやショック、それまで続いてトレンドを強化してきた他市場との相関の崩れ、ボラティリティ上昇によるリスクポジション評価の悪化、それと関係するが利益確定売り・ポジション手仕舞いの強まり、結果としてトレンドそのものがブレークされることによる相場観の変化、トレンドフォローによるキャピタルゲイン追及の不透明感、など。

これらが総合して生じれば大きなトレンド転換となる。

足元では、金融緩和中心のリスク選好、から、財政拡大中心のリスク選好へ、と前提シナリオに変化が生じている。

今後の程度を見極める必要があるが、米長期金利が想定外に上昇し、低金利継続という前提条件に変化が生じている。値動きやトレンド変化でもある。

そして米長期金利上昇に支えられてドルが堅調となったことで、従来の相関である株高・ドル安とならず、株高・ドル高となり相関に崩れが生じている。

少なくとも現時点では、金融緩和・低金利継続・株高・ドル安、から、財政拡大・株高・長期金利上昇・ドル高に変化した。

米金利上昇・株高・リスク選好ならドル円相場がもっとも上昇しやすい。リスク選好が崩れていなければユーロ円相場の下落は先送りとなる。ポジション調整によるユーロ売りがどの程度強まるか次第だ。

円が独歩安となるか、ユーロがドルの強烈な反騰に押されてどの程度下落するか次第。

ユーロ円相場は横ばいからやや軟調リスクがある程度か。ドル円相場は昨年春からドル安円高トレンドが継続しているが、104円台前半で安定的に底固く推移するだけでトレンドはブレークされる。

基本シナリオは緩やかなドル高円安への反転だが、ドルそのものの反発エネルギーとともに、想定外にドル高円安に振れる可能性・リスクもある。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :103.94(+0.13)
ユーロ :127.06(▲0.33)
英ポンド :141.006(+0.19)
豪ドル :80.737(+0.09)
カナダドル :81.738(▲0.05)
スイスフラン :117.397(+0.09)
ブラジルレアル :19.1865(▲0.01)
中国人民元 :16.058(+0.02)
韓国ウォン(日本円=100) :9.508(+0.02)

【対ドルレート】
ユーロ :1.2218(▲0.005)
英ポンド :1.3568(±0.0)
豪ドル :0.7757(▲0.001)
カナダドル :1.2702(+0.001)
スイスフラン :0.8855(+0.001)
ブラジルレアル :5.4205(+0.019)
中国人民元 :6.4746(▲0.004)
韓国ウォン :1089.84(+2.87)

【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :1.12(+0.04)
米2年債 :0.13(▲0.00)
日本10年債利回り :0.04(▲0.00)
日本2年債利回り :0.04(+0.01)
独10年債利回り :▲0.52(+0.00)
独2年債利回り :▲0.70(+0.00)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :31,097.97(+56.84)
NASDAQ :13,201.98(+134.50)
S&P500 :3,824.68(+20.89)
日経平均株価 :28,139.03(+648.90)
ドイツ DAX :14,049.53(+81.29)
インド センセックス :48,782.51(+689.19)
中国上海総合 :3,570.11(▲6.10)
ブラジル ボベスパ :125,076.60(+2,690.70)
英国FT250 :21,064.24(+54.38)
ビットコイン :40040.7(+307.70)

【主要商品価格】
WTI :52.24(+1.41)
Brent :55.99(+1.61)
米ガソリン :154.23(+5.96)
米灯油 :157.95(+4.14)

金 :1849.01(▲64.94)
銀 :25.42(▲1.72)
プラチナ :1069.27(▲50.28)
パラジウム :2376.88(▲52.13)
銅 :8160.00(+112:14C)
アルミニウム :2032.00(+12:2.5C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :1375.75(+15.25)
シカゴ とうもろこし :496.25(+2.25)
シカゴ小麦 :638.75(▲3.50)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。