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期待一巡、ドル高進行で総じて軟調
  • MRA商品市場レポート

2021年1月18日 第1887号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「期待一巡、ドル高進行で総じて軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は自国通貨建ての商品が上昇したが、その他の商品は総じて軟調な推移となった。一昨日と異なり、ドル高が進行したことが材料視された。

現在、商品市場を巡る需給バランスは、非鉄金属がやや緩和方向(中国の需要の増加ペースの鈍化)、エネルギーがややタイト化方向(サウジアラビアの追加減産はそれなりに影響)、穀物は中国の買いと異常気象でややタイト、という状態であるが、それ以上にドル指数動向が影響しているようだ。

弊社が算出している商品相関マップでも、正の相関となっている商品が多く、特に共通の材料であるドル指数動向には、「金融相場の局面」では影響を受けやすい。

米国では追加財政政策期待が材料として一巡(株安誘発でドル高に)、コロナの感染拡大と欧州の移動規制強化などでドル高が進行しやすい状況。

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【本日の見通し】

週明け月曜日は米国がキング牧師の生誕祭で主要市場が休場のため、動意薄くドル高基調が重石となって緩やかに調整する商品が増えると予想している。

予定されている材料としては、中国の重要統計。これまでコロナ禍で景気を牽引してきたのは(感情的には微妙であるが)中国であり、中国の経済活動はマクロ動向を占う上では重要になる。

ただ、貿易統計などの内訳を製品ごとに見てみると、過剰な製造業の活動加速ややや鈍化していることから、予想比では弱めの統計となる可能性はある。

Q420中国GDP 前年比+6.2%(前期+4.9%)、年初来+2.1%(+0.7%)鉱工業生産 前年比+6.9%(前月+7.0%)、年初来+2.7%(+2.3%)固定資産投資 年初来+3.2%(+2.6%)小売売上高 前年比+5.5%(+5.0%)、年初来▲3.9%(▲4.8%)不動産投資 年初来+7.2%(+6.8%)調査失業率 5.2%(前月5.2%)

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は下落した。欧州情勢の悪化(感染拡大や行動規制の強化)を受けてユーロ安が進行、ドル高基調となっていることや、米財政政策などの効果が「材料出尽くし」と判断されたことが売り材料となった。

石炭価格(豪州炭)は小幅安も高値維持。北半球全体が極渦の影響で気温低下となる、との見通しとLNG市場の需給悪化が石炭需要を高めている状況。

極東の天然ガス指標であるJKM続落。目先の調達にいったん目処がたったと考えられることが背景。今後、さらに上昇があるかどうかは気温次第だが、スポットカーゴの到着まで数ヶ月かかることを考えると、冬場の調達には目処がたった可能性がある。

欧州ガス価格も上昇していたが、JKM価格の下落を受けて昨日も下落。米天然ガスは西部の気温低下予報や極東・欧州の需要増加による輸出増加観測が未だ、価格を支えている状況。

週明け月曜日は米国主要市場がキング牧師の生誕祭で休場であり、積極的な売買が控えられる中、ドル高基調を受けて軟調な推移になると予想する。

石炭に関しては投機的な売買余地があまりないため、足下の需給ファンダメンタルズが価格を決定するが、北半球の気温低下予想を受けて堅調推移を予想。

スポットLNG価格は第一弾の調達に目処が立ったとみられ、いったん下落すると考えるが、状況に大きな変化はなく高値圏を維持。

◆非鉄金属

LME非鉄金属は下落した。これまで価格上昇要因となってきたドル安基調が、バイデン候補の経済対策発表で「目先の材料出尽くし」となり、株価の下落と共にドル高が進行したことが売り材料となった。

週明け月曜日は、ドル高基調が維持される見通しであり軟調地合を予想。しかし、中国の重要統計が発表される予定であり、いずれも改善見通しであること、LME指定倉庫在庫の減少継続もあり、下落余地も限定されると考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭先物は上昇、鉄鋼製品先物価は直近限月・中心限月ともに上昇した。

鉄鉱石はブラジルでコロナの変異種が見つかったとされる報道を受けて、英国が渡航や輸送制限を行ったなどから供給面が再度意識されて、価格は高値を維持している。鉄鋼製品は需要は季節的に減速しているが、価格下落で値頃感からヘッジの買いが入ったと見られる。

週明け月曜日も、中国の製鉄業の稼働が徐々に通常状態に戻り始めているものの(これは逆に価格の下落要因)、南米からの鉱石供給懸念が期待需給をタイト化させるため、引き続き高値圏を維持の見込み。

◆貴金属

金価格は下落した。欧州情勢の悪化や株価の調整を受けてドル高が進行したことが材料となった。長期金利の低下で実質金利が低下したものの影響は限定された。銀価格はこのような局面では金以上に下落するため、大幅に下落。

プラチナも銀に連れ高となっていたこと、株高に連れる形になっていたことから株安も価格を大きく押し下げた。

パラジウムも下落しているが、中国の自動車販売の回復などで下落余地は比較的限定された。

週明け月曜日は米国主要市場が休場のため様子見気分が強いが、ドル高基調に転じているように見えるため、軟調な推移を予想。

◆穀物

シカゴ穀物市場は高安まちまち。トウモロコシはドル高進行が重石となり下落、大豆は米国の12月大豆圧搾高が市場予想を下回ったことが材料。

小麦は上昇。ロシアの輸出関税引き上げが2月~6月に実施されるため、輸出市場の需給タイト化が意識された形。

週明け月曜日は、ドル高基調を背景に投機筋の手仕舞い売りの動きで軟調な推移を予想。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日の商品市場は総じて軟調な推移となった。ドル高が背景にあるのは動かしがたい事実。

昨年の商品市場はコロナ禍以降、顕著に上昇した。これは12兆ドルに及ぶ各国の財政出動による景気回復期待はあるが、冷静に考えると2019年を水準を超えるほどの回復になるわけではなく(中国だけは前年比プラスに)、あくまで景気の下支え効果に止まる。

その意味で、価格面ではドル安が大きな価格の支援材料となった。ここでの為替動向の特徴は、各国の金利差がなくなる中で、景気への期待がドライバーとなっていた点である。

結果、長期金利動向にかかわらず、株高がドル安のドライバーとなった。そのため株が調整する局面ではドル高が進行しやすい。

週明けから企業の決算発表がそろそろ始まるが、期待通りに景気がよい、という話になれば株高・ドル安の組み合わせとなりそうだが、やや期待が先行しすぎた部分も否めず、決算が期待外れとなれば、株安・ドル高となり、商品価格にも広く下押し圧力が強まることになるだろう。

※為替の見通しの詳細は、深谷の執筆する「MRAZ外国為替レポート」をご参照ください。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米大統領選挙前後の国内融和にバイデン次期大統領が失敗する場合。

米上院選挙の結果を受けて米議会に親トランプ派が乱入、議会がロックダウンされるという事件も起きており、分断された米国の融和は容易ではない。

・「トリプルブルー」になったことで財政出動が加速、景気回復期待を受けた長期金利の上昇がドル高を誘発し、投機が商品価格押し上げの一翼を担ってきたことから、ドル高進行が価格をファイナンシャルな視点で押し下げる可能性。

このシナリオの可能性が高まるのは、Q121の米企業決算が発表され、「それほど悪くない」と言うことが確認される可能性がある4月以降か。

場合によるとワクチン開発と摂取進捗もあり、2020年決算と2021年事業見通しが発表される1月中下旬以降、ドル高進行開始の可能性も否定せず。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は低くなくなった。

・次の最大の成長ドライバーとして期待される、インド経済が期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・米国の財政状況悪化、緩和規模拡大によるドル水準の低下リスク(ドル減価により、名目ドル建て資産価格の上昇要因に)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は短期的に調整圧力が強まる展開が予想される。米財政出動期待、OPECプラスの増産+サウジのサプライズ減産は取りあえず材料としては価格に織り込み済みであり、今後はむしろドル指数動向が価格を左右しやすいが、期待先行の剥落で株に調整圧力が強まり、ドル高となる可能性があることから。

価格が持続的に上昇するには需給ファンダメンタルズの変化が必要で、ロックダウンが加速しやすく、ワクチン接種もまだ本格化していないことから価格上昇が肯定されるのは、引き続き3~4月頃になるとみている。

長期的には、報道通りのペースでワクチンが普及し、深刻な副反応が確認されなければ経済活動の回復とともに原油価格がわかりやすく上昇を始めるのは2021年後半になってから、と考えられる。

【見通しの固有リスク】

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラスのプログラムの対象となっていない中東諸国の増産(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合、

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる2.中東以外の産油国の生産者の破綻3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権誕生で、シェールオイルのフラッキングが制限/禁止される場合、供給減少で価格上昇要因に(今のところ生産量の1割程度となる、国有地でのフラッキング禁止にトーンダウンしている)。

また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に。ただし、米国内の反イラン感情の高まりで、直ちに制裁が緩和される可能性は低い。

・イランの反米感情が高まり、中東の不安定さが増す場合(価格上昇要因)。

イランの核科学者であるファクリザデ氏が(恐らく)イスラエルによって殺害されたが、これによりイラン国内でイスラエルの背後にあると解釈されやすい米国に対する反米気運が高まっている。

これはイラン国内での反米感情を高め、米国を核協議に復帰させないための策略と考えられる。

・ワクチン・治療薬が想定以上に早く準備でき、移動制限が急速に解除される場合(価格上昇要因)。

【石炭価格見通し】

石炭価格は堅調な推移になると考える。中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、冬場で炭鉱が稼働し難いこと、港湾在庫の水準の低さに反映されるように、供給が十分ではないことが材料。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化のの中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていることから徐々に海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

12月の中国の石炭輸入は気温低下の影響で前月から大幅に増加。前年水準の14倍、前月から3倍強となる3,907万5,000トン(前月1,176万トン)と顕著に増加した。

中国は国内の石炭産業の強化と政治的に対立する豪州からの輸入制限で、国内生産を増加させる方向性に舵を切っているが、足下の気温急低下を受けてそうも言っていられなくなったようだ。

バルチック海運指数も過去5年のレンジを大幅に上抜けしており、中国の石炭輸入需要が旺盛であることを示唆している。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格はしばらく高値圏での推移になると考える。ラニーニャ現象の影響もあり、気温がアジア・欧州で低下しているため。

極東の天然ガス指標であるJKM価格も、火力発電所が代替燃料として重油を用いるなどの動きを見せていることから今のところ上昇は一服している。

しかし、欧州の気温低下と、昨夏以降の在庫減少で域内需給がタイト化、LNGカーゴの需給もタイト化が予想されるため、高止まりと考える。

なお、欧州では極渦の影響も取り沙汰されているため、2014年、2018年の極渦発生による気温低下時を参考にすると、Q121の間はJKM価格は高止まりする、と見ておくべきだろう。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるためじり高の展開だが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・最大供給国であるロシアの増産。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが692,315枚(前週比 +8,183枚)ショートが164,598枚(▲885枚)ネットロングは527,717枚(+9,068枚)

Brentはロングが370,912枚(前週比+18,496枚)ショートが53,604枚(▲6,493枚)ネットロングは317,308枚(+24,989枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は中国の景気先行指数を見るに中国の需要が今後数ヵ月は堅調さを維持するとみられること、米上院選挙の結果を受けて米国の財政出動が加速し、リスク資産価格全体が強含みやすい地合にあることから、高値を維持するとみている。

また、12月の中国の貿易統計を見ると、非鉄金属のベンチマークである銅に関して、精錬品の輸入が減速して過去5年レンジに戻ったことが確認されている。このことは中国の過剰な経済対策による需要創出が一巡した可能性があることを示唆しており、今後、非鉄金属価格には下押し圧力が強まることになるだろう。

また、米経済対策期待を受けたドル高圧力が強まっており、徐々に利益確定の売りに押され、ファイナンシャルな観点からも価格の調整圧力は強まると予想される。

なお、現在の価格上昇は実際に中国の需要の増加による需給タイト化によるものであり、環境規制強化が牽引する価格上昇ではない。

例えば、中国の超高圧送電線網整備額は当初予定比+61%の1,811億人民元とする方針が今年の4月に示されており、電線向けの需要が銅、並びにアルミの需要を押し上げている。アルミは配電には利用されないが、超高圧電線には使用される。

このほか、バイデン政権の政策推進による環境重視の姿勢の強まりが、いわゆる「バイデン・トレード(化石燃料売り・省エネ金属買い、ただし金属生産の際には二酸化炭素が出ることは変わらない)」を加速させ、投機的な買い圧力を強めている。

バイデン・トレードは短期的には顕在化する需要ではないが、省エネ金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性があるため、足下は期待選好で、総じて中長期的には物色されやすい地合が続くとみる。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

中国が豪州の銅鉱石輸入を禁止していることで、精錬銅の需要が増加し、ベンチマークの銅価格が堅調に推移していることも地合を強くしよう。

しかし、中国の最大貿易相手経済圏である欧州でロックダウンの動きが再び見られること、季節的に南半球の供給が再開される可能性が高いこと、12月のファンド決算を意識した売り圧力の強まりが価格を押し下げるため上値も重いと考える。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合。

・高水準の投機筋買い越しポジションが急速に解消されたときの下落リスク。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(コロナの影響もあって、2020年の鉱山生産は全体で184万1,000トン、コロナの影響で115万1,000トン減少する見込み)。

・ニューカレドニアのGoroプロジェクトはAntfagasutaが買収相手として急浮上しており、過剰な供給不足への懸念が後退していることは価格の下落要因に。ただし楽観はできず。

なお、同プロジェクトのニッケル生産は6万トン/年(シェア2.4%)。

・GlencoreはZhairemプロジェクトの開発を決定しているが、ペルーのIscaycruz鉱山の閉鎖、カナダのMatagami鉱山、Kidd鉱山の鉱山年齢終了に伴う減産を見込んでおり、2021年の亜鉛生産は125万トン(従来見通し140万トン)と下方修正。

・中国の環境規制強化やコロナの影響再発に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・1月の米上院決定投票で民主党が過半数を確保し、「トリプルブルーリスク」が顕在化、脱炭素の動きが加速していわゆる省エネ金属の需要が増加する場合。

【投機筋のポジション動向】・利益確定の動きが見られていた非鉄金属に、再び投機の買いが入っている。市場はまだ、現状の景気先行きを楽観しているようだ。

・LME投機筋買い越し金額 前週比+20.9%の298億ドル(前週 246億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+23.4%の6,606.1千トン(前週 5,354.5千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国の景気先行指標をみるに堅調な推移を続けると考える。貿易統計で確認できるように鉄鋼製品輸入が増加し、輸出が減少。中国の顕在需要が増加していることを示唆している。鉄鉱石在庫は積み上がっているが日数ベースでは在庫水準は低く、需給はタイトとみられるため。

豪州に対する制裁で、最大輸入相手国からの調達に障害が出ていることも、中国着の鉄鉱石価格の押し上げ要因になっていると考えられる。

また、米国で民主党政権が上下院とも制したため、財政出動に伴うインフラ投資が米国でも実施されるのは都の期待が強まっていることも、鉄鋼原料価格を先物主導で下支えするとみる。

12月の中国の鉄鋼業PMIを見ると、総合指数が49.3から45.8に急減速した。変動性が大きいためなんともいえないが、生産が47.7(前月53.3)と減速、新規受注が42.0(47.2)と大幅に減速したことによる。

しかし、輸出向け新規受註は54.4(45.9)と大幅に回復、完成品在庫が増加(32.2→33.5)して原材料在庫が減少(38.0→32.1)している。このことは、外需の回復を受けて中国政府が国内の経済対策に伴う発注を減少させている可能性がある。

海外の需要が回復したことによる過度な景気刺激が不要になった、と判断したことによるものである可能性がある。しかしながら単月の動きであり、鉄鋼業PMIは製造業PMIに比して変動性が高いため、来月以降の内容を見極める必要があろう。

なお、新規受注完成品在庫レシオは低下し、若干完成品の需給が緩和、一方で新規受注原材料在庫レシオは上昇しており、原材料需給がタイト化していることを示唆している。総じてまだ鉄鋼製品市場の需給はタイトである、とみるべきだろう。

今後も中国政府のインフラ投資を柱とする経済対策が、今年7月の中国共産党結党100周年記念まで続くと予想されること、中国国内の鉄鋼原料在庫水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高く、基本は底堅い推移となる。

ただし価格上昇が需要の減少を引き起こすレーショニングが意識されるほか、南米生産者の増産見通しを考えると上値も重いと考える。

中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、12月は137万5,000トン(前月185万トン)と減少傾向を持続し、過去5年レンジに戻った。11月の国内生産は季節性もあるが8,766万トン(10月 9,220万トン、9月 9,256万トン)と過去最高水準を記録した8月からは減速傾向を持続している。

その一方、12月の鉄鋼製品輸出は485万トン(前月440万トン)と増加し、過去5年レンジの下限を回復した。このことは中国の鉄鋼製品の国内需要が減速し、顕在需要が減少を始めている可能性があることを示唆している。

弊社はこの鉄鋼製品の輸出入動向に注目しているが、輸出/輸入とも過去5年レンジに復帰の過程にあり、徐々に過剰な国内依存の需要環境から、輸出に牽引される形での鉄鋼業の操業状態(通常状態)に戻ると予想している。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが在庫水準は前週比+37万9,000トンの936万9,000トン(過去5年平均 963万6,000トン)と、例年よりも在庫水準は低くなった。

在庫の減少ペースも過去5年平均を上回っていたが、直近ではこれを下回っている。徐々に中国の国内需要が減速しているないしは鉄鋼生産ペースが加速しているのいずれかである。今後も在庫の減少ペースは注目だ。

原料である鉄鉱石の12月の輸入は前年比▲4.5%の9,675万トン(前月+8.3%の9,815万トン)と高い水準を維持しているが減速、過去5年レンジに復帰した。このことは中国の国内需要が減速している可能性を示唆している。前年水準を下回ったことで、中国の国内需要は減速傾向にあると判断される。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+55万トンの1億2,800万トン(過去5年平均1億2,726万6,000トン)、在庫日数は26.3日(過去5年平均 33.1日)と例年と比較して在庫日数の水準は低く、輸入需要は持続するものと思料。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は急速に増加して、過去5年平均を回復した。目先の価格下押し要因となるだろう。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・カシミール地方を巡る中国との領有権争いが激化した場合、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

【投機筋のポジション動向】

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値を維持すると考える。金融緩和の継続と、株価の上昇に伴う長期金利上昇圧力がせめぎ合う形で実質金利を現状水準に維持すると考えられることから。

なお、リスクオンはドル安で価格上昇、リスクオフで価格下落となる(詳しくは2020年10月12日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,650ドル。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は170ドルと前日比▲32ドル低下した。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、73.8倍。過去1年を基準にすると95倍程度、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当だが、足元、70~75倍での推移となっている。

金銀レシオのチャートを見ると、70倍を切るとテクニカルに65倍が視野に入る。金価格が変わらなかったとしても、70倍から65倍に低下しただけで、+7.7%の銀価格上昇となるため、消費者は要注意だ。

金は高値を維持する見通しだがバイデン大統領誕生により、太陽光発電向けに用いられる「バイデン銘柄」であることもあって、需要構造の変化が価格を下支え(金銀レシオは低下)するものと予想。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。足下は、各国の自動車セクターの回復期待が強まっており、工業需要回復期待が価格を押し上げている状況。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは価格は景気の先行き楽観が強まっているが、足下のコロナの感染拡大がこれを相殺するため、現状水準でのもみ合いを予想。

ETF残高とパラジウム価格の連動性が高まっており(管理在庫増加→価格上昇)、一時の、ETF管理在庫減少→価格上昇、のメカニズムから変化してきている。

在庫取り崩し→価格上昇は実際に需給がタイトで、現物確保のためにETFを取り崩さなければならなかったからだが、現在はこれと逆のことが発生している訳で、足元、パラジウムの需給は緩和していると見られる。今後はETFの動向に注目。

12月の米自動車販売は年率1,627万台(市場予想1,580万台、前月1,555万台)と減速した。

中国の12月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+6.4%の283万台(前月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と回復を継続している。

自動車販売は回復しているが、不要不急の消費であるため中国を除いては本格的な回復にはまだ時間がかかる見込み。

【見通しの固有リスク】

・世界的な成長力の低下に伴い、各国の財政状況が悪化、地政学的リスクが顕在化する場合(中東・北アフリカのリスク顕在化の可能性は低くない)。リスク・プレミアム上昇を通じて貴金属価格の上昇要因に。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが313,217枚(前週比 ▲36,729枚)、ショートが66,990枚(▲3,638枚)、ネットロングは246,227枚(▲33,091枚)、銀が87,905枚(▲2,872枚)、ショートが35,113枚(▲113枚)、ネットロングは52,792枚(▲2,759枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが36,718枚(前週比 ▲594枚)ショートが9,259枚(▲431枚)、ネットロングは27,459枚(▲163枚)

パラジウムが5,314枚(▲605枚)、ショートが2,352枚(+172枚)ネットロングは2,962枚(▲777枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシ・大豆は中国の需要が想像以上に堅調であり、しばらく高値圏で推移すると考える。しかし、ドルが反転上昇の傾向を強めていることから、高水準な投機の買いポジションに解消売り圧力が強まると予想されるため、上昇余地も限定されると考える。

なお、中国の豚肉価格は下落する一方、豚肉の輸入量も減少している。このことは中国の畜豚数の増加(大豆ミール需要の増加)=大豆需要の増加、を示唆している。当面、中国向けの輸出が中国側の事情で増加すると見られることが価格を下支えすると予想。

小麦はさほど投機の買いポジションが積み上がっている訳ではないが、各地で生産見通しが引き上げられており、ドル高進行もあってやや軟調に推移か。

Locust Watchでは、サジアラビアで発生した個体の、北アフリカとインド・パキスタン・イランへの拡大懸念を指摘している。

昨年末も大型のサイクロンがアラビア半島~北アフリカを通過、豪雨が観測されている。このままだと来年も蝗害が起きる可能性は否定できない。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75_en_070606DL.png

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象の発生による穀物供給減少リスクの顕在化。害虫の発生、生産地の土壌破壊など(すでに一部顕在化)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・1月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 172.0Bu/エーカー(175.13、175.8)大豆 50.2Bu/エーカー(50.52、50.7)小麦 49.7Bu/エーカー(NA、49.7)

・1月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 141億8,200万Bu(144億4,629万Bu、145億700万Bu)大豆 41億3,500万Bu(41億5,642万Bu、41億7,000万Bu)小麦 18億2,600万Bu(NA、18億2,600万Bu)

・1月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 25億5,000万Bu(26億5,000万Bu)大豆 22億3,000万Bu(22億Bu)小麦 9億8,500万Bu(9億8,500万Bu)

・1月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 15億5,200万Bu(15億9,191万Bu、17億200万Bu)大豆 1億4,000万Bu(1億3,861万Bu、1億7,500万Bu)小麦 8億3,600万Bu(8億5,922万Bu、8億6,200万Bu)

・12月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 113億2,200万Bu(117億4,670万Bu、19億5,000万Bu)大豆 29億3,300万Bu(29億2,900万Bu、5億2,500万Bu)小麦 16億7,400万Bu(16億9,555万Bu、21億5,800万Bu)

・12月CONABブラジル作付け面積(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1,844万ha(1,943万ha、1,844万ha)大豆 3,818万ha(3,845万ha、3,825万ha)

・12月CONABブラジル生産量(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1億259万トン(1億938万トン、1億489万トン) 単収 5,564Kg/ha(5,630kg/ha、5,688kg/ha)大豆 1億3,445万トン(1億3,325万トン、1億3,495万トン) 単収 3,522Kg/ha(3,468kg/ha、3,528kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが658,723枚(前週比 +14,132枚)、ショートが116,600枚(▲6,894枚)ネットロングは542,123枚(+21,026枚)

大豆はロングが276,834枚(▲8,250枚)、ショートが45,977枚(+2,461枚)ネットロングは230,857枚(▲10,711枚)

小麦はロングが137,150枚(+2,490枚)、ショートが106,326枚(+7,013枚)ネットロングは30,824枚(▲4,523枚)

◆本日のMRA's Eye


「期待インフレ率は低下圧力強まる展開か」

これまでのWTIと10年期待インフレ率の推移を見てみると両者の間には高い相関性が確認されるが、期待インフレ率が原油価格を上回って上昇しているケースが散見されている。

そのため、どの程度、WTIから期待インフレ率が乖離しているのか、何が原因で乖離しているのかを考えるのは、今後の金を含む貴金属価格動向を占う上では重要なポイントとなる。

現在の期待インフレ率は、その判断基準となるWTIの価格と比較してどの程度乖離しているのか。

このコラムで金と実質金利の関係分析の基準年としている2016年の期待インフレ率とWTIの価格データを元に、回帰分析を行って予想期待インフレ率を算出、実際の期待インフレ率と比較すると、実際の期待インフレ率が31bp、予想期待インフレ率よりも高かった(原稿執筆時点の水準)。これは2016年11月9日と同水準だ。

2016年11月9日は、トランプ候補が勝利を確実にした翌日である。このときトランプ候補は今後10年で1兆ドルのインフラ投資を実施することを公約にしてきた。そもそも米国のインフラは老朽化が進んでいるものも多いため、安全面からも公共投資実施はこのタイミングでは好意的に捉えられていた。

その後、トランプ大統領が相次いで閣僚を解任するなどの政権人事、共和党議会との調整が難航するなどの混乱が見られ1兆ドルインフラ投資は実施されず、2017年末にようやく税制改革法案を成立させるに止まった。

結果、期待インフレ率が低下することでこの過剰な乖離は解消する。つまり、時間は掛かったが、実態にそぐわない期待インフレ率の乖離がWTIで説明可能な水準まで調整した、と言うことだ。

もちろん、期待インフレ率はそのままで原油価格が上昇してこの差を埋めることはあり得るが、「政策のアドバルーン」で持ち上げられた期待は実現しなければ実態経済には影響が出ず、原油の価格も上昇しないと言うことだろう。

この間の金価格は、大統領選挙後の長期金利の上昇が実質金利の上昇を上回ったため2016年末に掛けて下落、その後、長期金利の低下ペースが実質金利の低下ペースを上回ったため、緩やかに上昇したが、2016年11月~2017年末の範囲ではレンジワークだったといえる。

では今回はどうか。顕著な期待インフレ率の原油価格からの乖離が見られ始めたのが、トランプ政権がコロナ対策に失敗し、バイデン政権の誕生機運を高め、さらにバイデン候補が気候変動対策に4年間で2兆ドルを投資すると発言したあたりからだ。

公共投資が主導して期待インフレ率が上昇する流れは前回選挙の時とほとんど同じである。ただ、2016年はFRBによるテーパリングと利上げが行われている最中だったが、現在は米金融当局がけん制する動きをしているため、実質金利が顕著なマイナスの水準で推移している点が大きく異なる。そのため、金の絶対価格水準は2016年よりも現在の方が遙かに高い。

先行きについては、実際にバイデン政権が公約を達成できるかどうかにかかっている。仮に達成できれば景気も回復し、原油価格が期待インフレ率との乖離を埋めて上昇することが予想される。

しかしこの場合、現在の期待インフレ率の水準が維持されるとするとWTIは80ドルまで上昇しなければならなくなる。

弊社は年末に向けて原油価格が上昇すると見ているが、60ドルは強い抵抗線として意識されること、現在の需要の回復動向、OPECの生産動向を見るに80ドルまでWTIが上昇するのは難しいと見ている。

となると、やはり過剰に積み上がった米政権への政策期待が剥落する中で、期待インフレ率が低下すると考えるのが妥当だろう。

仮に現在の予想10年期待インフレ率からの乖離分である30bpが解消され、原油価格との乖離を埋めるとすれば、過去の価格感応度を見ると期待インフレ率±1bpの変化に対して、金価格は±2.6ドル変化するため、▲78ドル程度の下落要因になると予想される。

◆主要ニュース


・11月日本第3次産業活動指数 前月比▲0.7%(前月+1.6%)

・12月中国新築住宅価格 前月比+0.12%(前月+0.12%)

・12月インド貿易収支 ▲154億4,000万ドルの赤字(前月▲98億7,000万ドルの赤字)
 輸出 前年比 +0.1%(▲8.7%)
 輸入 +7.6(▲13.3%)

・11月ユーロ圏貿易収支(季節調整済) 251億ユーロの黒字(前月 252億ユーロの黒字)
 調整前 258億ユーロの黒字(300億ユーロの黒字)

・12月米生産者物価指数 前月比+0.3%(前月+0.1%)、前年比+0.8%(+0.8%)
 除く食品エネルギー 前月比+0.1%(+0.1%)、前年比+1.2%(+1.4%)
 除く食品エネルギー・貿易 前月比+0.4%(+0.1%)、前年比+1.1%(+0.9%)

・12月米小売売上高 前月比▲0.7%(前月▲1.4%)
 除く自動車▲1.4%(▲1.3%)
 除く自動車ガソリン▲2.1%(▲1.3%)
 除く自動車・建材▲1.9%(▲1.1%)

・12月米鉱工業生産 前月比+1.6%(前月+0.5%)
 設備稼働率 74.5%(73.4%)
 製造業生産 +0.9%(+0.8%)

・1月ニューヨーク連銀製造業景況感指数 3.5 (前月4.9)
 新規受注 6.6(3.4)
 受注残 ▲5.5(▲3.6)
 在庫水準 ▲0.7(▲4.3)
 雇用者数 11.2(14.2)
 6ヵ月先景況指数 31.9(36.3)

・1月米ミシガン大学消費者マインド指数速報 79.2(前月80.7)
 現況指数 87.7(90.0)
 先行指数 73.8(74.6)
 1年期待インフレ率 3.0%(2.5%)
 5年期待インフレ率 2.7%(2.5%)

・ミネアポリス連銀カシュカリ総裁(投票権なし・ハト派)、「ワクチンの接種開始が想定よりも遅れていること、ワクチンへの米国民の抵抗、集団免疫の達成基準が高くなる可能性があることを考えると、パンデミックは2021年いっぱい続くだろう。」

・ボストン連銀ローゼングレン総裁(投票権なし・タカ派)、「バイデン次期大統領の1.9兆ドルの政策は、巨額だが適切。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数287(前週比+12)
 ガスリグ 85(前週比+1)。

・サウジアラムコ、2月の調整金をアラビアンライトを+1.0ドル(1月+0.3ドル)、エキストラライトを+0.6ドル(+0.1ドル)と引き上げ。

・パレスチナ、7月に議長選を実施。

【メタル】
・米アルミ業界団体、バイデン次期大統領に対して代32条のアルミ関税の撤廃を要求。

・Trevali、カナダのCaribou亜鉛鉱山(7万5,000トン/年)を再稼働の予定。

・北欧とイタリアの2021年の亜鉛現物交渉は、現物プレミアムは115~120ドルに低下。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.SHF天然ゴム ( その他農産品 )/ +4.19%/ +7.02%
2.SHFニッケル ( ベースメタル )/ +3.03%/ +9.99%
3.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +2.66%/ +7.80%
4.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ +2.45%/ ▲3.34%
5.LIFFEココア ( その他農産品 )/ +2.30%/ ▲0.17%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.ビットコイン ( その他 )/ ▲6.46%/ +25.06%
65.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲6.02%/ +5.23%
64.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲5.32%/ ▲2.88%
63.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲5.09%/ ▲8.36%
62.プラチナ ( 貴金属 )/ ▲4.19%/ +0.29%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :30,814.26(▲177.26)
S&P500 :3,768.25(▲27.29)
日経平均株価 :28,519.18(▲179.08)
ドル円 :103.85(+0.05)
ユーロ円 :125.47(▲0.70)
米10年債 :1.08(▲0.05)
中国10年債利回り :3.14(+0.03)
日本10年債利回り :0.04(+0.00)
独10年債利回り :▲0.54(+0.01)
ビットコイン :36,261.52(▲2503.98)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :26.68(+0.69)
エネルギー :38.07(+0.95)
ベースメタル :21.79(+0.24)
貴金属 :29.41(+0.86)
穀物 :22.39(+1.18)
その他農畜産品 :24.13(+0.5)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :29.13(+1.85)
Brent :28.54(+1.91)
米天然ガス :69.59(+0.67)
米ガソリン :34.46(+0.78)
ICEガスオイル :27.36(+0.94)
LME銅 :19.62(+0.04)
LMEアルミニウム :18.70(▲0.25)
金 :20.23(+1.5)
プラチナ :37.64(+3.65)
トウモロコシ :19.41(+0.83)
大豆 :20.23(+1.5)

【エネルギー】
WTI :52.36(▲1.21)
Brent :55.10(▲1.32)
Oman :54.78(▲1.15)
米ガソリン :152.84(▲2.55)
米灯油 :159.29(▲2.65)
ICEガスオイル :452.00(▲7.50)
米天然ガス :2.74(+0.07)
英天然ガス :59.35(▲3.80)

【貴金属】
金 :1828.45(▲18.08)
銀 :24.77(▲0.75)
プラチナ :1075.24(▲46.97)
パラジウム :2389.84(▲21.36)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :7,990(▲27:10C)
亜鉛 :2,720(▲17:21.5C)
鉛 :1,999(▲54:18C)
アルミニウム :1,999(▲11:2B)
ニッケル :17,997(+11:27C)
錫 :21,075(+75:420B)
コバルト :37,500(▲495)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :7934.00(▲150.00)
亜鉛 :2686.00(▲68.50)
鉛 :1991.00(▲29.00)
アルミニウム :1982.00(▲26.00)
ニッケル :18050.00(▲265.00)
錫 :21125.00(+40.00)
バルチック海運指数 :1,792.00(▲64.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :170.96(+0.15)
SGX鉄鉱石 :170.15(+0.04)
NYMEX鉄鉱石 :169.97(+0.17)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :110.5(+0.10)
大連原料炭先物 :247.34(+10.49)
上海鉄筋直近限月 :4,206(+42)
上海鉄筋中心限月 :4,368(+87)
米鉄スクラップ :512(▲2.00)

【農産物】
大豆 :1416.75(▲19.75)
シカゴ大豆ミール :463.20(▲1.70)
シカゴ大豆油 :41.85(▲1.42)
マレーシア パーム油 :3815.00(+83.00)
シカゴ とうもろこし :531.50(▲2.75)
シカゴ小麦 :675.50(+5.50)
シンガポールゴム :240.70(+4.90)
上海ゴム :14550.00(+585.00)
砂糖 :16.45(▲0.22)
アラビカ :128.15(+0.80)
ロブスタ :1345.00(+21.00)
綿花 :80.70(▲0.45)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :67.93(+1.63)
シカゴ生牛 :112.78(+0.70)
シカゴ飼育牛 :134.58(+1.98)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。