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休暇シーズン、リスクポジション調整のリスク
  • MRA外国為替レポート

2020年11月23日号

◆先週の市場総括


先週は週初こそ株価は堅調に始まったが後半にかけて上昇一服、調整局面となった。為替市場では週前半に円高が進んだが後半は円高に歯止めがかかった。

週初は、ワクチン開発に関し、ファイザー社に続いてモデルナ社も数週間以内に緊急使用の許可を申請、との報道で、さらに期待が高まりリスク選好が強まった。

株価は大きく上昇。米国株はNYダウ、S&P500指数が史上最高値を更新。NYダウは30,000ドルに迫った。日経平均も26,000円台に上昇した。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)署名による自由貿易推進期待も後押し。

ただ欧米での感染拡大は止まらず。行動規制の強化が広がり、株価は高値圏から利食い売りに押された。

為替市場では週央に向けて円が堅調。ドルはリスク選好が維持されるなか軟調。ただ週央から週末にかけては株価上昇・リスク選好が一服するなかドル安は一服。ドル円相場は103円台後半でもみ合いとなった。ユーロ円相場も123円近辺で下げ止まり。

月曜日の東京市場では日経平均が大幅高。前週末に米国株が大きく上昇したことを受けて25,700円近辺で大幅高寄り、その後も続伸。アジア時間の米国株先物が堅調に推移するなか25,900円台で高値引けとなった。

発表された日本のGDP(7-9月期・速報)は前期比年率+21.4%と前期▲28.1%から大きく回復。前期比は+5.0%と▲7.9%から改善した。個人消費は前期比+4.7%としっかり。

また中国の主要経済指標(10月)も良好な結果となった。小売売上高は前年同月比+4.3%と前月+3.3%から加速。鉱工業生産は同+6.9%で前月並みを維持。固定資産投資は同+1.8%と+0.8%から加速した。失業率は5.4%から5.3%に低下。中国株は堅調に推移した。

為替市場ではドル安・円高が進んだ。ドル円相場は104円70銭で始まりじり安。夕刻から欧州市場にかけて104円40銭に下落した。ユーロドル相場は1.1840で始まり1.1860台にユーロ高ドル安が進んだ。ユーロ円相場は123円90銭で始まり70銭に下落した。

欧州市場から米国市場にかけてドルが上昇、円が反落。米国株が上昇する傍らで米10年債利回りが0.9%台に乗せてさらに上昇基調となりドルを押し上げた。

ドル円相場は105円10銭に上昇、ユーロドル相場は1.1810に下落。ユーロ円相場は124円40銭に上昇した。

米国株は大きく上昇。モデルナ社がワクチン臨床試験で有効性を確認。数週間以内に緊急使用許可を申請すると発表した。米国株は旅行関連株など景気敏感株が大幅高。NYダウは前週末比+470ドル高の29,950ドルと30,000ドル大台目前に上昇。S&P500とともに史上最高値を更新した。

米10年債利回りは引けにかけてやや低下して0.906%。ドルは反落。ドル円相場は反落して104円50銭~60銭でもみ合い。ユーロドル相場は1.1850へ上昇した。ユーロ円相場は123円70銭~124円ちょうどで上下して124円ちょうどで引けた。

発表されたNY連銀製造業景気指数(11月)は6.3と前月10.5から大きく低下。2ヵ月連続の低下。

火曜日の東京市場の日経平均は米国株高を受けて26,000円近辺で高寄り。その後売りに押されて900円近辺に下落したが底固く、引けは前日比+108円高の26,014円とこの間の反発局面で初めて26,000円の大台で引けた。

ドル円相場は104円60銭で始まり50銭近辺でもみ合い。夕刻にかけては104円30銭に下落した。ユーロドル相場は1.1850~60で推移。ユーロ円相場は124円近辺でもみ合い。

欧米市場では株価が反落。欧州では感染拡大による規制強化が広がり不安視された。米国では発表された小売売上高(10月)が前月比+0.3%と前月の+1.8%から伸びが急減速。感染拡大の影響、経済対策遅延による支援縮小・所得減による影響が懸念された。

一方、鉱工業生産は前月比+1.1%と前月▲0.4%からプラスに転じ、設備稼働率は前月72.0%から72.8%へ持ち直した。

米国株はNYダウが大台目前に利益確定売りに押され反落。前日比▲167ドル安の29,783ドル。ナスダックは▲25ドル安の11,899ドル。米10年債利回りは0.86%に低下。

ドルは下落した後落ち直し。円は株安とともにやや堅調、円高気味に推移した。ドル円相場は104円10銭に下落した後、104円20銭にじり高。ユーロドル相場は1.1890にユーロ高ドル安となった後、1.1860台に押し戻された。ユーロ円相場はじり安、123円60銭近辺でもみ合い引け。

水曜日の東京市場では日経平均は海外株安を受けて反落。25,900円割れで安寄りした後800円割れに下落。その後も25,800円台では上値重く引けにかけて下落し前日比▲286円安の25,728円で引けた。

為替市場ではリスク選好が後退するなか円高気味。ドルは軟調。ドル円相場は104円20銭で始まり夕刻には103円90銭に下落。ユーロ円相場は123円60銭で始まり50銭中心に推移。ユーロドル相場は1.1860台で始まり夕刻は1.1880~90に上昇。

米国市場では感染拡大を嫌気して株価は主要3指数ともに続落。NY市は公立学校の閉鎖を決定。NYダウは大台目前に利益確定売りが嵩み、引けにかけ下げが加速。前日比▲345ドル安の29,438ドルで引け。ナスダックは▲98ドル安の11,801ドル。

米10年債利回りは前日とほぼ同水準の0.87%。為替市場ではリスクオフのなか円高が進んだ。ドル円相場は103円90銭中心に上下した後60銭台に下落、その後は103円80銭台に戻してもみ合い。ユーロ円相場は123円ちょうど近辺に下落した。ユーロドル相場は1.1850~70で上下し1.1850で引け。

木曜日の東京市場では日経平均が海外株安を受けて続落。25,600円割れで寄付き25,500円に下落。引けにかけて戻し25,600円台を回復したが前日比▲94円安の25,634円で引けた。

為替市場ではドル高・ドル安に上下。ドル円相場は103円80銭で始まり104円ちょうどに上昇したが反落して80銭割れ。ユーロドル相場は1.1850で始まり1.1830~50で上下した。ユーロ円相場は123円ちょうどを中心に上下。

欧州株は下落。米国株も朝方は下落。NYダウは前日比▲200ドル安。感染拡大や行動制限の強化が嫌気された。米国では死者が累計25万人を超えた。

週次の新規失業保険申請件数は742千件と前週709千件から5週ぶりに増加。感染拡大の影響が顕在化し雇用・消費の改善が鈍化するとの懸念が高まった。

ただその後、上院民主党シューマー院内総務が、共和党マコネル院内総務と追加対策協議再開で合意した、と述べると株価は持ち直した。NYダウは前日比+44ドル高の29,483ドル。ナスダックは+103ドル高の11,904ドル。

米10年債利回りは小幅低下して0.857%。ダラス連銀総裁は景気二番底の懸念があると述べた。

ドル円相場は欧州時間に104円20銭に上昇したが、米国時間に入ると株価持ち直しのなかドル安。103円80銭近辺でもみ合い。

ユーロドル相場は1.1820~30中心に上下。その後は1.1880へユーロ高ドル安が進んだ。ユーロ円相場は123円20銭から123円ちょうどに下落したが、その後はユーロ高ドル安に支えられて123円30銭に上昇。ドル安とともに、株高のなか円もやや軟調となった。

金曜日の東京市場では日経平均が25,500円割れで安寄り、500円中心に上下。引けは前日比▲107円安の25,527円で3日続落。

為替市場は小動き。ドル円相場は終始103円80銭中心に小動き・横ばい・もみ合い。ユーロ円相場は123円30銭で始まり20銭~40銭で上下。ユーロドル相場は1.1880で始まり70~90で上下した。

米国株は主要3指数がそろって下落。感染拡大になお歯止めがかかる兆しがない。米財務省はFRBに緊急融資プログラムの年末失効、残額返済を要請したことも嫌気された。

NYダウは前日比▲220ドル安の29,263ドル、ナスダックは▲50ドル安の11,854ドル。米10年債利回りは0.82%に低下した。

ドル円相場は引き続き小動きで103円80銭台のまま引け。ユーロドル相場は1.1850~70で上下し引けは1.1860。ユーロ円相場は123円10銭~30銭で上下し、123円10銭近辺でもみ合いのまま引けた。

◆今週の3つの注目ポイント


週末にかけては感謝祭。米国市場は木曜日休場、金曜日は半日取引で実質的には月曜日~水曜日の取引となる。

1.米国・欧州の経済指標

足元で感染拡大がさらに深刻化するなかすでに弱い経済指標が予想されているが市場の懸念・リスク回避をさらに強めるか。

月曜日 11月欧米PMI景況感指数(ユーロ圏、総合、予想45.8、前月50.0、米国、製造業、予想53.0、前月53.4、サービス業、予想55.3、前月56.9)シカゴ連銀製造業活動指数(10月)

火曜日 ドイツIFO景況感指数(11月、予想90.9、前月92.7)米消費者信頼感指数(11月、予想98.0、前月100.9)リッチモンド連銀製造業指数(11月)

水曜日 米GDP(7-9月期、改定値)、耐久財受注(10月、前月比、予想+1.0%、前月+1.9%)個人所得・消費支出(10月、前月比、予想+0.1%・+0.5%、前月+0.9%・+1.4%)新築住宅販売(10月、季節調整済み年率換算、予想968千戸、前月959千戸)

2.FOMC議事録、FRB当局者発言

水曜日、(日本時間・木曜日未明4:00)にFOMC議事録(11月4日・5日開催分)が公表される。 会合では政策は据え置き。追加緩和には消極的、次の対策は財政政策、追加経済対策に委ねる姿勢がパウエル議長の発言で明確となっていた。

景気認識とともに、いかなる議論がされているか。追加緩和期待が再燃するような議論が確認できるか。一方、地区連銀総裁の発言機会もある。足元の感染拡大に景気二番底を警戒する発言もみられたが、追加緩和に関して何らかのスタンス、前向きな発言はみられるか。あるいはなお政府の経済対策優先の姿勢が垣間見られるか。

3.感謝祭前の手仕舞い

米国では週末にかけて感謝祭の祝日となる。クリスマス商戦がスタートするとともに、市場では休暇シーズン入りとなる。多くのヘッジファンドは11月末に決算を迎える。

また様々な企業・投資家12月末が1年の期末決算。ここから最終着地に向けて動きが生じやすい。株価が史上最高値を更新した後上値が重いが、長い週末休場を前に、足元の感染拡大を懸念して、さらにリスクポジションの手仕舞いが入るか。為替市場ではドル買い戻しが生じるか、リスク回避の円高に振れるか。

◆今週のMRA's Eye


休暇シーズン、リスクポジション調整のリスク

今週末の感謝祭から本格的な休暇シーズン入りとなる。先週、米国株はNYダウ、S&P500指数は先週史上最高値を更新。

その後は上値の重い展開となった。ワクチンや治療薬開発を巡るポジティブな情報が景気回復期待を強め景気敏感株を押し上げた。

しかし足元では感染拡大が深刻化し、様々な行動規制が米国、あるいは欧州で導入されている。

一部経済指標には感染拡大の影響が垣間見られる。感謝祭のロングウィークエンド、さらにはクリスマス休暇や年末を前に、通常でも手仕舞い、リスクポジションの圧縮が生じやすい。

とくに今年の場合は、ここまで株式市場は春先からは金融相場で、ここ数週間は業績相場で、堅調となってきた。一方で実体経済の下振れリスク、不透明感は増しており、利益確定売りが生じやすい条件が例年よりも整っているようにみえる。

リスクポジションを維持する理由があるとすれば、来年へのポジティブな見通し、ないしは株価の割安感があれば下値リスクが少ないとみてポジション維持が可能だが、今年の場合はいずれの条件も欠いている。

株価調整・リスク回避が強まった場合、欧米の景気懸念・株価調整が深まるようなら、消去法的に円高に振れるリスクが強まる。

中国が感染抑制に成功しており、経済活動の正常化に近づいていることはグローバルにポジティブだが、日本を含むアジア全体にプラスとの評価になりやすい。

欧米経済が感染拡大で低迷するようなら全体としてはネガティブに振れやすいが、そうしたなかで消去法的にアジア・日本に資金が流入しやすいとの見方も成り立つ。

為替市場ではドルとユーロ双方に対して円高となる可能性がある。米国での感染のさらなる拡大、一方で経済対策・財政支出の進捗が遅延、となれば、米国株の下落が進み、米長期金利の低迷が長引く可能性がある。これはドル円相場の下押し材料となる。

一方、リスクポジション全体の手仕舞いが進み、キャッシュ化が進むとなれば、海外投資家の日本株投資も活発化しない。日本株買い・円買いもリスクポジションを増すことになるためだ。そうした状況ではグローバルキャッシュであるドルへの資金回帰が活発化する。

どの程度のリスクポジション圧縮となるかは状況次第。

なおも来年への強気の見方が残り、リスクポジションを維持するとなれば、ドルへの資金回帰はそれほど強まらず、ドル高も限定的となる。

一方、感染拡大がさらに深刻化し経済指標に弱い数字が並べば、株安とドル高が強まる可能性がある。

さらに、例年、12月末にかけては米国企業の国内資金回帰もありドル高となりやすいが、それがどうなるか。なおも資金繰りに懸念が残るなかでは、本国回帰の動きが強まる可能性がある。

ここから年末にかけての休暇シーズンは、相場材料よりも、懐具合、既存ポジションの維持・手仕舞い、手元流動性・資金需要が、相場動向を左右しやすい。相場材料と整合的な相場動向が生じやすい点には留意が必要だろう。

感染動向あるいは景気回復・下振れ懸念の強弱からみればドル安・ユーロ安・円高となりやすいとしても、その通りに相場が動かない可能性が通常よりも強まる。

現状のポジションバイアス、これまでの流れが転換する可能性、などに留意して、値動きを見極めて推測する必要が生じる。

相場材料・ポジションからすれば、短期的に円高・ドル高双方のリスクが相応にあり、決め打ちはしにくいのが現状だ。

材料と市場の反応を照らし合わせ、市場参加者全体としての動きを推測し、短期的なリスクを察知することも必要となる。

一方、中長期的には、景気回復の芽が失われたわけではなく、市場のリスク選好に実体経済が追いついていく流れが頓挫したわけではない。

ここから一時的なリスク回避的環境を市場がどのように乗り切るか。米国で新政権の政策が定まり、また感染拡大が一服する可能性が高まる春先まで、リスク選好が不安定な状況が続くとみられる。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :103.86(+0.12)
ユーロ :123.16(▲0.03)
英ポンド :137.845(+0.24)
豪ドル :75.85(+0.27)
カナダドル :79.323(▲0.03)
スイスフラン :113.975(+0.07)
ブラジルレアル :19.3026(▲0.25)
中国人民元 :15.804(+0.02)
韓国ウォン(日本円=100) :9.314(+0.00)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1857(▲0.002)
英ポンド :1.3275(+0.001)
豪ドル :0.7302(+0.001)
カナダドル :1.3095(+0.002)
スイスフラン :0.9113(+0.000)
ブラジルレアル :5.3892(+0.080)
中国人民元 :6.563(▲0.021)
韓国ウォン :1114.17(▲1.02)

【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :0.82(▲0.00)
米2年債 :0.16(▲0.00)
日本10年債利回り :0.01(▲0.01)
日本2年債利回り :0.01(+0.01)
独10年債利回り :▲0.58(▲0.01)
独2年債利回り :▲0.75(▲0.02)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :29,263.48(▲219.75)
NASDAQ :11,854.97(▲49.74)
S&P500 :3,557.54(▲24.33)
日経平均株価 :25,527.37(▲106.97)
ドイツ DAX :13,137.25(+51.09)
インド センセックス :43,882.25(+282.29)
中国上海総合 :3,377.73(+14.64)
ブラジル ボベスパ :106,042.50(▲627.40)
英国FT250 :19,506.96(▲0.49)
ビットコイン :18589.49(+643.45)

【主要商品価格】
WTI :42.15(+0.41)
Brent :45.13(+0.93)
米ガソリン :117.52(+1.27)
米灯油 :128.63(+1.56)

金 :1870.99(+4.45)
銀 :24.18(+0.12)
プラチナ :950.40(▲2.34)
パラジウム :2329.28(+3.86)
銅 :7195.00(+149:16.5C)
アルミニウム :1995.50(+1:11.5C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :1181.00(+3.50)
シカゴ とうもろこし :423.25(+0.75)
シカゴ小麦 :593.25(+1.50)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。