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中国消費シェアの高い商品は堅調
  • MRA商品市場レポート

2020年12月10日 第1869号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「中国消費シェアの高い商品は堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、農産品と非鉄金属が総じて堅調な推移となった。特段材料はなかったが、中国の経済活動回復がドライバーとなっており、同国の輸入需要が旺盛な商品が物色される流れが続いている。

今朝の日経新聞ではバルチック海運指数の低下による、中国向けの鉄鉱石輸出の鈍化観測が指摘されていた。確かに中国の鉄鉱石の港湾在庫は積み上がっており、そろそろ減速してもおかしくない。

しかし、鉄鉱石在庫を粗鋼生産で割った日数ベースは低く、「中国政府の経済政策に因る人工的な需要に牽引される、需要の増加」が続く以上、価格は高止まりしそうだ。

下落に転じるとすれば7月の共産党結党100周年記念までの経済活動の目処が立つまで。となると、来年の4月頃からいったん減速すると見るのが妥当だろうか。ある意味コロナからの正常化、ともいえる。

その後は欧米の経済活動回復で、通常通りならば輸出の回復で中国の経済活動が正常化し、緩やかに水準を再び切り上げるという展開になると予想される。

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【本日の見通し】

本日はECB会合の動向に注目している。数ヵ月前から表明されているように、本日のECB会合で何らかの追加策が示される可能性がある。

今回のECB会合での話題は以下の通り。いずれにしても緩和はせざるを得ない状況に自らを追い込んで来たため、ユーロ安・ドル高がドル建て資産価格を下押ししよう。

今回のECBで議論されるとみられているのが以下の通り。

1.パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の拡大・延長の有無2.貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の強化有無(適用範囲の拡大など)3.ECBが通常の資産買い入れプログラム(APP)を緩和手段として検討するか4.ユーロ高に対する考えと対応5.物価見通し

なお、コロナウイルスの感染状況を更新したが、米国・中国・日本の感染は拡大しているが、欧州の感染拡大がややピークアウトしている。やはりロックダウンは感染拡大防止に寄与する、といえるのではないか。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は下洛した。米石油統計が非常にベアな内容となり、コロナ下で需要の回復が足踏みしていることが確認されたこと、米長期金利の上昇によるドル高進行が下落要因となった。

しかし、後場に掛けて価格は上昇しており、経済対策やワクチン投薬進捗による経済活動回復期待が根強いことを伺わせた。

昨日発表の米石油統計はベアな内容だった。原油は生産が横ばい、輸入が増加(+1.1MBD)、稼働率は上昇(+1.7%)したが、在庫は+15.2MBの大幅な増加となった。

原油価格に影響が大きいクッシング在庫は▲1.4MBと減少、在庫スペースの稼働率も先週の75.6%から73.8%に低下しており、極端な価格下落リスクは後退している。

石油製品は主に在庫水準よりも出荷動向に注目している。ガソリン出荷は過去5年の最低水準を下回っており、ディスティレートの出荷も過去5年平均を再び下回った。

なお、米国の灯油の最大消費地区であるPADD1の灯油在庫の水準は3.0MBと、同じ時期の過去最低水準である3.9MBを下回っており、冬場に灯油需要が牽引する形で特にBrentが上昇刷る可能性はある。ただ現状、米国の気温は例年よりも高い。

製品全体の出荷は前年比▲7.5%の18.9MBD(前週▲9.0%の19.3MBD)と前年比でやや回復しているが依然として低迷。輸出を含めた出荷も▲7.7%の23.8MBD(▲8.4%の24.3MBD)とやや回復したが絶対水準は低いまま。欧米のロックダウンがつづいているため、ワクチン報道はあるが、少なくとも冬場の需要環境は大きく変化しないだろう。

石炭価格は上昇。中国の国内景況感改善と冬場の気温低下に伴う電力向け需要増加と、対豪制裁による輸入低下で国内の在庫が減少し、在庫積み増しの動きが強まっていることが背景。

本日はECB会合で何らかの緩和策が示されるとみられ、春先以降の金融相場・リスクテイクで下落してきたドルが反発する可能性があり、ファイナンシャルに下落する可能性が高いとみる。

石炭に関しては投機の余地があまりなく(期待で価格が動かない)、中国の需要が堅調であることから引き続き高い水準での推移を予想。

◆非鉄金属

LME非鉄金属は上昇。LME指定倉庫在庫の減少が続いていること、中国の実需が堅調であることを背景とした買い継続で。投機の買越し幅はまた拡大している。

本日はECB会合で何らかの緩和策が示されるとみられ、春先以降の金融相場・リスクテイクで下落してきたドルが反発する可能性があり、投機の買いが記録的な水準まで積み上がっていることから、手仕舞い圧力が強まり、下落すると予想。

ただし、中国の需要回復に伴い需給ファンダメンタルズはタイトであり、下洛余地も限定されると考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭先物は小幅に下洛、鉄鋼製品先物価は直近限月が変わらず、中心限月が上昇した。

中国の鉄鋼需要・鉄鋼向け原料需要は旺盛と見られ、堅調推移を持続。本日の日経新聞に中国向けの鉄鉱石輸出の低迷でバルチック海運指数が低下している、と指摘があったが、「在庫水準は高いものの、需要が旺盛であるため在庫日数は低く、価格高止まり」という状態が続いている。

本日も中国の需要が堅調に推移していることに伴い、需給バランスがタイトな状態が継続すると見られることから高値圏での推移を予想。

◆貴金属

金価格は下落。実質金利は低下したものの、ドル指数が長期金利の上昇をきっかけに反発したことで、為替要因で水準を切り下げる形となった。リスク・プレミアム部分は前日比▲24ドル。銀価格も金価格の下落で水準を切り下げ。

PGMも金銀価格の下落と株価の下落を受けて大幅に水準を切り下げた。

本日の貴金属価格は軟調な推移になると考える。恐らくECBは追加緩和を行うとみられドルが買い戻されると考えられることから。

ただし、テクニカルに金は200日移動平均線となる1,810ドルが目処となるため、それほど大きな下落にはならないだろう。

◆穀物

シカゴ穀物市場は上昇。ドル高進行はあったが、中国向けの輸出が好調と見られ輸出需要に牽引された。ただし、今晩発表の米需給報告を控えて様子見気分は強い。

本日は需給報告の発表を控えて様子見気分強い展開を予想。ただし、期末在庫の減少見通しとなっており、予想通りであれば価格は上昇へ。

12月米需給報告在庫見通し予想(市場予想/前月)トウモロコシ 16億9,100万Bu(17億200万Bu)大豆 1億6,912万Bu(1億9,000万Bu)小麦 8億7,652万Bu(8億7,700万Bu)

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日発表された中国の消費者物価指数は市場予想が±0.0%であるのに対し、▲0.5%(前月+0.5%)と減速した。主に、豚熱の影響で供給が減少していた豚肉価格が供給増加で前年比ベースで低下したことが影響した。

ただし、豚肉の供給は十分とはいえず、価格の絶対水準は十分高い。前年比で比較した場合の統計のマジックといえる。これもあり、生産者物価指数も▲1.5%(市場予想▲1.8%、▲2.1%)と低下した。

このほか、同じ中国の指標では鉱工業生産の先行指標の1つであるマネーサプライ(M1)の伸びが前年比+10.0%(市場予想+9.4%、前月+9.1%)と加速、人民元建て新規融資も1兆4,300億元(1兆4,500億元、6,898億元)と市場予想には届かなかったが加速している。

公共投資に先導される形での製造業の事業活動回復が寄与しているとみられるが、想定以上に中国の景気回復は順調のようだ。

こうした背景で日本の10月の機械受注は前月比+17.1%(市場予想+2.5%、前月▲4.4%)と大幅な回復となった。この伸び率は統計開始以来の最高水準であり、受注額はコロナ前の今年3月の水準を回復している。国内受注の幅広い回復が寄与した形。

また、11月の日本の工作機械受注は前年比+8.0%の882億2,200万円と26ヵ月ぶりに前年水準を上回った。受注を牽引したのが外需(+22.5%の616億3,100万円)であり、中国向けと米国向けの回復、国内でも対人非接触化のための自動化・省力化投資が見られた。

冬場に入ると投資活動はコロナの影響で鈍化するとみているが、来年以降の回復には期待が持てる状況となってきている。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米大統領選挙前後の国内融和にバイデン次期大統領が失敗する場合。

・欧州の政治混乱(トルコと欧州の関係悪化、ハードブレグジットなど)によるリスク回避の動きの強まり。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は低くなくなった。

・次の最大の成長ドライバーとして期待される、インド経済が期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速。

・米国の財政状況悪化、緩和規模拡大によるドル水準の低下リスク(ドル減価により、名目ドル建て資産価格の上昇要因に)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は短期的には調整圧力が強まる展開を予想する。ファイザーのワクチン報道とOPECプラスの減産期間延長報道を受けて水準を切り上げてきたが、実際に需給環境が変わっている訳ではなく、期待先行の部分は否めないため年末年始を控えた利益確定の圧力が強まると予想されることから。

また、今回のOPEC・OPECプラス会合の段階的減産解除でももめたように、価格下落・価格上昇ともに生産国の抜け駆け増産を助長するため、そのことも価格を下押しすると予想する。

結局、OPEC諸国の足並みが混乱なく揃うのは、景気が回復して需要が順調な時のみ、といえる。結局辞任は見送ったが、サウジアラビアは一時、OPECプラスの議長ポストを辞任する意向を示しており、今後もOPECプラスの結束を維持することがいかに困難であるかをうかがわせる。

価格が上昇するには需給ファンダメンタルズの変化が必要で、ロックダウンが加速しやすく、ワクチン接種もまだ本格化していないことから価格上昇が肯定されるのは、恐らく3~4月以降になるのではないか。

中長期的には、報道通りのペースでワクチンが普及し、深刻な副作用が確認されなければ経済活動の回復とともに原油価格がわかりやすく上昇を始めるのは2021年後半になってから、と考えられる。

【見通しの固有リスク】

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラスのプログラムの対象となっていない中東諸国の増産(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合、

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる2.中東以外の産油国の生産者の破綻3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権誕生で、シェールオイルのフラッキングが制限/禁止される場合、供給減少で価格上昇要因に(今のところ生産量の1割程度となる、国有地でのフラッキング禁止にトーンダウンしている)。

また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に(ただし、米国内の反イラン感情の高まりで、直ちに制裁が緩和される可能性は低い)。

・ワクチン・治療薬が想定以上に早く準備でき、移動制限が急速に解除される場合(価格上昇要因)。

【石炭価格見通し】

石炭価格は堅調な推移になると考える。中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、冬場で炭鉱が稼働し難いこと、港湾在庫の水準の低さに反映されるように、供給が十分ではないことが材料。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化のの中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていることから徐々に海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

なお、気温低下の影響で主要3国(豪州・インドネシア・ロシア)の輸出は、過去5年平均を回復している。

11月の中国の石炭輸入は前月から大幅に減少。前年水準を▲43.8%下回る1,167万1,000トン(前月▲46.6%の1,372万6,000トン)と減速傾向を持続した。

中国は国内の石炭産業の強化と政治的に対立する豪州からの輸入制限で、国内生産を増加させる方向性に舵を切っており、それが影響しているとみられる。

バルチック海運指数も過去5年平均程度で低迷しており、輸入の動きは鈍化。しかし一方で中国の港湾在庫は減少しているため、ピークシーズンということもあって堅調な推移となろう。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが677,347枚(前週比 +4,190枚)ショートが160,182枚(+9,664枚)ネットロングは517,165枚(▲5,474枚)

Brentはロングが310,291枚(前週比+5,785枚)ショートが64,427枚(▲22,489枚)ネットロングは245,864枚(+28,274枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は中国の景気先行指数を見るに数ヵ月は強含みやすいとみているが、さすがに投機の期末を控えた売り圧力の強まりで調整すると考える。

現在の価格上昇は実際に中国の需要の増加による需給タイト化によるものであり、環境規制強化が牽引する価格上昇ではない。

例えば、中国の超高圧送電線網整備額は当初予定比+61%の1,811億人民元とする方針が今年の4月に示されており、電線向けの需要が銅、並びにアルミの需要を押し上げている。アルミは配電には利用されないが、超高圧電線には使用される。

このほか、バイデン政権の政策推進による環境重視の姿勢の強まりが、いわゆる「バイデン・トレード(化石燃料売り・省エネ金属買い、ただし金属生産の際には二酸化炭素が出ることは変わらない)」を加速させ、投機的な買い圧力を強めている。

バイデン・トレードは短期的には顕在化する需要ではないが、省エネ金属の需要増加は「今後10年の大きなテーマ」となる可能性があるため、足下は期待選好で、総じて中長期的には物色されやすい地合が続くとみる。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

中国が豪州の銅鉱石輸入を禁止する方針を打ち出したことで、精錬銅の需要が増加し、ベンチマークの銅価格が堅調に推移していることも地合を強くしよう。

しかし、中国の最大貿易相手経済圏である欧州でロックダウンの動きが再び見られること、季節的に南半球の供給が再開される可能性が高いこと、11月・12月のファンド決算を意識した売り圧力の強まりが価格を押し下げるため上値も重いと考える。

【見通しの固有リスク】

・高水準の投機筋買い越しポジションが急速に解消されたときの下落リスク。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(コロナの影響もあって、2020年の鉱山生産は全体で184万1,000トン、コロナの影響で115万1,000トン減少する見込み)。

・ニューカレドニアのGoroプロジェクトはAntfagasutaが買収相手として急浮上しており、過剰な供給不足への懸念が後退していることは価格の下落要因に。ただし楽観はできず。

なお、同プロジェクトのニッケル生産は6万トン/年(シェア2.4%)。

・中国の環境規制強化やコロナの影響再発に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・1月の米上院決定投票で民主党が過半数を確保し、「トリプルブルーリスク」が顕在化、脱炭素の動きが加速していわゆる省エネ金属の需要が増加する場合。

【投機筋のポジション動向】

・LME投機筋買い越し金額 前週比+6.5%の295億ドル(前週 277億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+2.6%の6,699.6千トン(前週 6,532.9千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国の景気先行指標をみるに堅調な推移を続けると考える。貿易統計で確認できるように鉄鋼製品輸入が増加し、輸出が減少。中国の顕在需要が増加していることを示唆している。鉄鉱石在庫は積み上がっているが日数ベースでは在庫水準は低く、需給はタイトとみられるため。

11月の中国の鉄鋼業PMIを見ると、閾値の50は下回っているものの、新規受注の改善(44.9→47.2)、輸出向け新規受注の悪化(52.0→45.9)を考えると、明らかに「国内向けの新規受注」が増加していることを示唆する内容。

今後も中国政府のインフラ投資を柱とする経済対策が、来年7月の中国共産党結党100周年記念まで続くと予想されること、中国国内の鉄鋼原料在庫水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高く、基本は底堅い推移となる。

ただし価格上昇が需要の減少を引き起こすレーショニングが意識されるほか、南米生産者の増産見通しを考えると上値も重いと考える。

中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、11月は185万トン(前月193万トン)と減少傾向を持続した。10月の国内生産も9,220万トン(前月9,256万トン)と過去最高水準を記録した8月からは減速している。

その一方、鉄鋼製品輸出440万トン(前月404万トン)と増加している。このことは中国の鉄鋼製品の国内需要が減速し、顕在需要が減少を始めている可能性があることを示唆するものだ。

弊社はこの鉄鋼製品の輸出入動向に注目しているが、このまま輸入の減少・輸出の増加が続くようであれば、国内の景況感が悪化している可能性があるため要注意である。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが在庫水準は前週比▲44万8,000トンの984万1,000万トン(過去5年平均 836万3,000トン)と、例年よりも在庫水準は高い。

しかし、国内の鉄鋼製品在庫の減少ペースは例年を上回っており、鉄鋼製品輸出も減少、輸入が増加している状況で、中国の鉄鋼製品需給はまだタイトな状態といえる。しばらくは鉄鋼製品の需要が鉄鉱石需要を牽引する状態が続くと見られる。

原料である鉄鉱石の11月の輸入は前年比+8.3%の9,815万トンと高い水準を維持している。しかし10月の前年比+14.9%の1億674万トン、9月の+9.2%の1億855万トンからは減速傾向となっており、中国の国内需要が減速している可能性を示唆する内容。それでも、前年比大幅なプラスであり、中国の国内需要の絶対水準は高い。

鉄鉱石港湾在庫は前週比▲160万トンの1億2,870万トン(過去5年平均1億2,170万4,000トン)、在庫日数は+0.5日の25.8日(過去5年平均 31.5日)と例年と比較して在庫日数の水準は低く、輸入需要は持続するものと思料。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

一方、中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は急速に増加しているが、依然として過去5年の最低水準であることから価格の下支え要因となる。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・カシミール地方を巡る中国との領有権争いが激化した場合、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

【投機筋のポジション動向】

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値を維持すると考える。金融緩和の継続と、株価の上昇に伴う長期金利上昇圧力がせめぎ合う形で実質金利を現状水準に維持すると考えられることから。

なお、リスクオンはドル安で価格上昇、リスクオフで価格下落となる(詳しくは2020年10月12日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は長期金利の上昇で1,650ドルと、長期金利の低下による実質金利の低下が水準を押し上げている。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は192ドルと前日比▲24ドル下洛した。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、76.8倍。過去1年を基準にすると95倍程度、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当だが、足元、80倍程度で落ち着いている。

金は高値を維持する見通しだがバイデン大統領誕生見通しであり、太陽光発電向けに用いられる「バイデン銘柄」であることもあって、需要構造の変化が価格を下支え(金銀レシオは低下)するものと予想。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。足下は、各国の自動車セクターの回復期待が強まっており、工業需要回復「期待」が価格を押し上げている状況。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。

パラジウムは価格は景気の先行き楽観が強まっているが、足下のコロナの感染拡大がこれを相殺するため、現状水準でのもみ合いを予想。

ETF残高とパラジウム価格の連動性が高まっており(管理在庫増加→価格上昇)、一時の、ETF管理在庫減少→価格上昇、のメカニズムから変化してきている。

在庫取り崩し→価格上昇は実際に需給がタイトで、現物確保のためにETFを取り崩さなければならなかったからだが、現在はこれと逆のことが発生している訳で、足元、パラジウムの需給は緩和していると見られる。今後はETFの動向に注目。

11月の米自動車販売は年率1,555万台(市場予想 1,610万台、前月 1,621万台)と減速した。長期金利の上昇が影響したと見られる。

中国の10月の自動車販売は中国自動車工業協会の速報で前年比+12.6%の257万3,000台(前月+13.0%の256万5,201台)。

自動車販売は回復しているが、不要不急の消費であるため中国を除いては本格的な回復にはまだ時間がかかる見込み。

【見通しの固有リスク】

・世界的な成長力の低下に伴い、各国の財政状況が悪化、地政学的リスクが顕在化する場合(中東・北アフリカのリスク顕在化の可能性は低くない)。リスク・プレミアム上昇を通じて貴金属価格の上昇要因に。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが324,344枚(前週比 +4,020枚)、ショートが64,030枚(▲12,392枚)、ネットロングは260,314枚(+16,412枚)、銀が77,023枚(+2,252枚)、ショートが29,131枚(+40枚)、ネットロングは47,892枚(+2,212枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが33,053枚(前週比 +3,017枚)ショートが11,027枚(▲244枚)、ネットロングは22,026枚(+3,261枚)

パラジウムが5,614枚(▲104枚)、ショートが2,590枚(▲101枚)ネットロングは3,024枚(▲3枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシ・大豆は期末を控えた売りでいったん調整すると考える。

しかし、中国の大豆在庫水準の低さと大豆油価格の上昇を受けた大豆輸入需要は旺盛であり、当面、需要面が価格を支えると考える。

なお、中国の豚肉価格は下落する一方、豚肉の輸入量も減少している。このことは中国の畜豚数の増加(大豆ミール需要の増加)=大豆需要の増加、を示唆している。当面、中国向けの輸出が中国側の事情で増加すると見られることが価格を下支えすると予想。

小麦はさほど投機の買いポジションが積み上がっている訳ではないが、各地で生産見通しが引き上げられており、やや軟調に推移。

バッタ被害はLocust Watchでは、エチオピア、イエメン、ケニア、サウジアラビアの一部で深刻な状態が続いている。

西部に広がっていたバッタの固体(群棲相を形成していない)はチャドとモーリタニアで拡大しており、影響拡大への懸念がやや強まっている。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/201101forecast.jpg

やや懸念されるのが、サイクロン「Geti」がソマリアを通過すること。これにより水分が土壌に供給され、植物も生長することから越冬するバッタが増加するとみられる。来年のリスクは小さくなくなっている。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/20112306gati.jpg

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象の発生による穀物供給減少リスクの顕在化。害虫の発生、生産地の土壌破壊など(すでに一部顕在化)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・11月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 175.8Bu/エーカー(177.87、178.4)大豆 50.7(51.6、51.9)小麦 49.7Bu/エーカー(前月 49.7)

・11月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 145億700万Bu(146億7,607万Bu、147億2,200万Bu)大豆 41億7,000万Bu(42億4,822万Bu、42億6,800万Bu)小麦 18億2,600万Bu(前月18億2,600万Bu)

・11月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 26億5,000万Bu(23億2,500万Bu)大豆 22億Bu(22億Bu)小麦 9億7,500万Bu(9億7,500万Bu)

・11月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 17億200万Bu(20億4,696万Bu、21億6,700万Bu)大豆 1億9,000万Bu(2億4,389万Bu、2億9,000万Bu)小麦 8億7,700万Bu(8億8,244万Bu、8億8,300万Bu)

・9月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 19億億9,500万Bu(22億6,554万Bu、52億2,400万Bu)大豆 5億2,300万Bu(5億7,838万Bu、13億8,600万Bu)小麦 21億5,900万Bu(22億4,035万Bu、10億4,400万Bu)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが561,243枚(前週比 ▲12,403枚)、ショートが126,291枚(+3,984枚)ネットロングは434,952枚(▲16,387枚)

大豆はロングが316,553枚(▲6,557枚)、ショートが44,224枚(+2,844枚)ネットロングは272,329枚(▲9,401枚)

小麦はロングが116,443枚(▲11,617枚)、ショートが104,512枚(+7,844枚)ネットロングは11,931枚(▲19,461枚)

◆本日のMRA's Eye


「銅相場を見る視点」

景気の先読み指標としての知名度が上がった銅の価格が急騰している。バイデン候補が勝利したことで脱炭素が進み、電化が進むことで投機の買いが入って上昇しているとの解説も増えてきた.

しかし、足下の価格上昇は現物の需給バランスが実際にタイト化していることを背景とするもので、バイデン・トレードによる投機の買いはこれに相乗りして起きていると考えられ、現在の価格の上昇のドライバーは足下の需給バランスのタイト化に因るものと見るのが妥当だろう。

弊社は非鉄金属を含む工業金属の価格動向を占う際に、製造業PMIの内数である「新規受注指数」を「完成品・原材料在庫指数」で割った、「新規受注・(完成品・原材料)在庫レシオ」を参考にしている。

この指数は新規受注(需要)が上昇する、ないしは在庫指数が低下すると上昇し、新規受注が減少する、ないしは在庫指数が上昇すると低下し、非鉄金属価格に対する説明力が高い。

グラフは過去5年の推移だが銅価格にやや先行しながら同指標が推移していることが分かる。現在の銅価格の上昇はこの工業品の需給ファンダメンタルズがタイトであることを反映したものだ(注:この指標は銅のみを対象にしたものではなく、完成品と最終製品製造に用いる原材料を対象としたものであり、工業品全体を対象にしたもの)。足下、中国では工業製品の完成品の在庫水準が相対的に低く、需給がタイト化しており、銅やアルミニウムといった加工前の原材料在庫は完成品在庫と比較すればやや余剰感があるということになる。

早晩、最終製品需要に牽引される形で原材料在庫も減少が予想され、非鉄金属を初めとする工業金属価格には再び上昇圧力が掛ることが予想される。

来年7月23日は中国共産党の結党100周年記念であることを考えると、中国政府は景気の減速を是が非でも回避すると考えられるため、新規受注は国内中心に旺盛とみられることから、やはりしばらく非鉄金属価格は堅調な推移になると予想される。

ただし、需給ファンダメンタルズがタイトであることを背景に、投機の買いが積極的に入って価格を押し上げていることもまた事実。

基本、投機筋は現物を必要としないため、どこかのタイミングで必ずポジションを手仕舞う。12月のファンドの四半期決算や、1月の新年度入りしてから利益確定の動きが強まる可能性があり、短期的には下振れリスクを意識した方が良い。

このように、実際の需給バランスがタイトであることが価格を押し上げているが、年初からの価格の推移を見てみてもそのことが分かる。

コロナショック発生でロックダウンが起きた時が最安値であり、その後ほぼ一貫して価格を切り上げているが、7月14日にバイデン候補が環境重視型の公約を発表した後も価格はほとんど反応していない。それよりは、11月9日のファイザー社のワクチン開発進捗報道後の方が価格上昇が顕著である。

このことは、環境基準強化よりは景気循環銘柄であるために、足下の経済活動が回復することを期待した買いが入ったが大きく影響していると考える。

しかし、少し長い視点で銅市場を俯瞰した場合、環境規制強化の流れを受けた電化が進むこともまた確実とみられるため、長期的に銅価格には「構造的な価格上昇圧力」が掛る可能性は高いと考えられる。

このように、短期的な視点と長期的な視点を持って市場を見ることは、特に政策動向に需要が左右されやすい商品市場動向分析においては重要である。

◆主要ニュース


・10月日本毎月勤労統計 現金給与総額 前年比▲0.8%(前月▲0.9%)
 実質賃金総額▲0.2%(▲1.1%)

・10月日本家計支出 前年比+1.9%(前月▲10.2%)

・Q320日本実質GDP確定 前期比+5.3%(改定比+0.3%、前期確定▲8.2%)、前期比年率+22.9%(+1.5%、▲28.8%)
 GDPデフレータ 前年比+1.2%(+0.1%、+1.4%)
 民間消費支出 前期比+5.1%(+0.4%、▲8.1%)
 民間住宅▲5.8%(+2.1%、▲0.5%)
 民間企業設備投資▲2.4%(+1.0%、▲4.5%)
 公的固定資本形成(政府公共投資) +0.5%(+0.1%、+1.2%)

・10月日本経常収支(季節調整済) 1兆9,833億円の黒字(1兆3,455億円の黒字)
(調整前)2兆1,447億円の黒字(1兆6,602億円の黒字)
 貿易収支 9,711億円の黒字(9,184億円の黒字)
 輸出 5兆9,673億円(5兆8,333億円)
 輸入 5兆2,135億円(5兆560億円)
 サービス収支 ▲2,159億円の赤字(▲3,498億円の赤字)
 第一次所得収支 1兆6,849億円の黒字(1兆6,035億円の黒字)

・11月日本 銀行貸出動向 銀行計 前年比+6.0%(前月+5.9%)、含信金 +6.3%(+6.1%)

・11月日本景気ウォッチャー調査 現状判断DI 45.6(前月54.5)
 先行き判断DI 36.5(49.1)

・11月日本企業倒産 前年比▲21.73%(前月▲20.00%)

・11月日本マネーストックM2 前年比+9.1%(前月+9.0%)、M3 前年比+7.6%(+7.5%)

・10月日本機械受注総額 前月比 +9.7%の2兆3億円(前月▲4.4%の2兆972億円)、前年比▲0.6%(▲1.1%)
 船舶電力を除く民需 +17.1%の8,425億円(▲4.4%の9,258億円)、前年比+2.8%(▲11.5%)

・11月日本工作機械受注速報 前年比+8.0%の882億2,200万円(前月▲6.0%の822億1,100万円)
 外需+22.5%の616億3,100万円(▲1.3%の533億1,900万円)

・11月中国消費者物価指数 前年比▲0.5%(前月+0.5%)
 生産者物価指数 ▲1.5%(▲2.1%)

・11月中国人民元建て新規融資
 前年比+3.0%の14,300億元(前月+4.3%の6,898億元)

・11月中国マネーサプライ
 M2 前年比+10.7%の217兆2,000億元(前月+10.5%の214兆9,700億元)
 M1 +10.0%の61兆8,600億元(+9.1%の60兆9,200億元)
 ファイナンス規模 2兆1,300億元(1兆4,173億元)
 国内企業全体の総財務残高 283兆3,000億元(281兆3,000億元)

・12月ZEW独景況感調査期待指数 55.0(前月39.0)
 現況指数 ▲66.5(▲64.3)
 ユーロ圏期待指数 54.4(32.8)、現況指数 ▲75.7(▲76.4)

・Q320ユーロ圏実質GDP 前期比+12.5%(速報比▲0.1%、前期確定▲11.8%)
 前年比▲4.3%(+0.1%、▲14.8%)
 総固定資本 +13.4%(前期▲16.0%)、家計消費 +14.0%(▲12.4%)
 政府支出 +4.8%(▲2.2%)

・10月独経常収支 225億ユーロの黒字(前月252億ユーロの黒字)
 貿易収支194億ユーロの黒字(206億ユーロの黒字)
 輸出 前月+0.8%(+2.3%)、輸入+0.3%(+0.2%)

・Q320独人件費 前期比▲1.7%(前期+1.0%)、前年比+1.7%(+3.9%)

・10月米JOLT求人異動調査 6,652千人(前月改定 6,494千人)

・11月米NFIB中小企業楽観指数 101.4(前月 104.0)

・Q320米非農業部門労働生産性改定 前期比年率+4.6%(速報比▲0.3%、前期確定+10.6%)、単位当たり労働コスト▲6.6%(+2.3%、+8.5%)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 ▲1.2%(前週▲0.6%)
 購入指数▲5.0%(+9.0%)
 借換指数+1.8%(▲4.6%)
 固定金利30年 2.90%(2.92%)、15年 2.51%(2.53%)

・10月米卸売在庫 前月比+1.1%(前月+0.7%)
 卸売売上高 +1.8%(+0.4%)

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油+15.2MB(クッシング▲1.4MB)
 ガソリン+4.2MB
 ディスティレート+5.2MB
 稼働率+1.7

 原油・石油製品輸出 7,628KBD(前週比▲244KBD)
 原油輸出 2,717KBD(▲233KBD)
 ガソリン輸出 761KBD(+49KBD)
 ディスティレート輸出 917KBD(▲66KBD)
 レジデュアル輸出 131KBD(▲13KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,354KBD(+39KBD)
 その他石油製品輸出 1,658KBD(▲38KBD)

・DOE月報
 世界石油需要 Q121:94.5、Q221:96.9、Q321:98.8、Q421:99.5、2021:97.4
 非OPEC供給(含むNGLs) Q121:63.7、Q221:64.7、Q321:65.4、Q421:65.8、2021:64.9
 OPEC生産 Q121:30.7、Q221:32.2、Q321:33.4、Q421:33.7、2021:32.5

※2021年の世界の需要見通し・生産見通しを下方修正。生産見通しはOPECの増産計画下方修正によるもの。

・12月 DOE2020年、2021年価格見通し(前月)
 WTI 38.96ドル(38.24)、45.78(44.24)
 Brent 41.43ドル(40.61)、48.53(46.59)
 ガソリン 2.17ドル(2.15)、2.27(2.22)
 ディーゼル 2.55ドル(2.53)、2.62(2.56)
 灯油 2.47ドル(2.43)、2.62ドル(2.56)
 天然ガス 10.51ドル(10.59)、10.65(10.90)
 電力 13.12セント(13.10)、13.24(13.22)

【メタル】
・Codelco、米国向け銅プレミアムを据え置き。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.NYB綿花 ( その他農産品 )/ +4.09%/ +5.79%
2.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ +4.03%/ +11.55%
3.CME木材 ( その他農産品 )/ +3.42%/ +85.05%
4.CBT小麦 ( 穀物 )/ +2.35%/ +3.27%
5.NYM RBOB ( エネルギー )/ +2.29%/ ▲24.33%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.銀 ( 貴金属 )/ ▲2.46%/ +34.15%
65.プラチナ ( 貴金属 )/ ▲2.43%/ +3.85%
64.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲2.01%/ +16.82%
63.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲1.88%/ ▲11.41%
62.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲1.81%/ +40.41%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :30,068.81(▲105.07)
S&P500 :3,672.82(▲29.43)
日経平均株価 :26,817.94(+350.86)
ドル円 :104.23(+0.07)
ユーロ円 :125.92(▲0.16)
米10年債 :0.94(+0.02)
中国10年債利回り :3.28(+0.01)
日本10年債利回り :0.02(+0.00)
独10年債利回り :▲0.61(+0.00)
ビットコイン :18,520.56(▲252.94)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :30.10(▲0.21)
エネルギー :36.08(▲0.27)
ベースメタル :17.66(+0.22)
貴金属 :25.03(▲1.23)
穀物 :18.30(▲1.73)
その他農畜産品 :38.96(+0.57)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :25.23(▲0.97)
Brent :23.63(+0.07)
米天然ガス :62.58(+0.31)
米ガソリン :30.14(▲1)
ICEガスオイル :29.31(▲0.02)
LME銅 :18.62(+0.04)
LMEアルミニウム :14.32(▲0.11)
金 :14.02(▲3.02)
プラチナ :30.62(+0.41)
トウモロコシ :18.25(▲4.01)
大豆 :14.02(▲3.02)

【エネルギー】
WTI :45.71(+0.11)
Brent :48.98(+0.14)
Oman :48.80(▲0.10)
米ガソリン :128.47(+2.88)
米灯油 :140.39(▲0.28)
ICEガスオイル :400.00(▲2.00)
米天然ガス :2.43(+0.03)
英天然ガス :42.34(+0.19)

【貴金属】
金 :1839.55(▲31.01)
銀 :23.95(▲0.60)
プラチナ :1003.75(▲25.02)
パラジウム :2272.96(▲46.73)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :7,724(+76:19C)
亜鉛 :2,845(+54:29C)
鉛 :2,104(+30:3.5C)
アルミニウム :2,028(+21:17.5C)
ニッケル :16,519(+65:44C)
錫 :19,363(+227:30B)
コバルト :31,592(▲6)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :7691.50(▲19.00)
亜鉛 :2852.50(+43.50)
鉛 :2093.00(▲2.00)
アルミニウム :2036.00(+37.00)
ニッケル :16685.00(+315.00)
錫 :19460.00(+265.00)
バルチック海運指数 :1,121.00(▲41.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :148.35(▲0.17)
SGX鉄鉱石 :147.84(+1.41)
NYMEX鉄鉱石 :146.28(+1.24)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :101.29(+1.29)
大連原料炭先物 :233.06(▲0.37)
上海鉄筋直近限月 :4,258(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,946(+18)
米鉄スクラップ :390(+7.00)

【農産物】
大豆 :1159.00(+13.25)
シカゴ大豆ミール :384.80(+3.10)
シカゴ大豆油 :38.76(+0.48)
マレーシア パーム油 :3636.00(▲15.00)
シカゴ とうもろこし :422.25(+5.25)
シカゴ小麦 :577.00(+13.25)
シンガポールゴム :233.50(▲4.30)
上海ゴム :14200.00(▲160.00)
砂糖 :14.97(+0.58)
アラビカ :114.90(▲2.20)
ロブスタ :1312.00(▲14.00)
綿花 :73.05(+2.87)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :65.18(+0.63)
シカゴ生牛 :107.45(▲0.40)
シカゴ飼育牛 :137.20(▲0.38)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。