CONTENTSコンテンツ

ECBの緩和観測を受けたドル高進行で軟調
  • MRA商品市場レポート

2020年10月30日 第1847号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ECBの緩和観測を受けたドル高進行で軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、ECBラガルド総裁の12月追加緩和実施発言を受けてユーロ安・ドル高が進行、ドル建て資産価格を広く押し下げることになった。

結果、一昨日と同様に自国通貨建ての商品価格が上昇しやすい地合となり、景気に循環しにくい畜産などが物色される形となったが、下落した商品の方が圧倒的に多かった。

結局、コロナ感染による景気減速を回避するために行った対策が財源的に限界に来ており、この間、ワクチンや治療薬の開発ができなかったため(これは高い確率で想定されていたこと)、冬場の景気減速が不可避、との見方が強まっていることが、特に景気循環系商品価格を下押ししている。

また、大統領選挙や英国とEUのFTA交渉についても不確定要素であり、市場参加者のリスク回避姿勢は強まっている。

この中で急速に上げ幅を拡大しているのがビットコイン。正直、コインという名前が付いていることに引き続き違和感を感じるのだが、ペイパルが暗号通貨を決済に用いることが可能になったことがきっかけ。

しかし、ビットコインはどこの国の景気にも連動せず、本源的価値を有する商品ではなく、ほとんどの商品と無相関であるため物色されている可能性の方が高い。

※商品市場分析入門のお求めはこちらから
https://www.amazon.co.jp/dp/447810445X/

※原材料価格のリスクマネジメントのお求めはこちらから
https://www.amazon.co.jp/dp/4478104468/

【本日の見通し】

本日の商品価格は、ECBが追加緩和の方針を示していることからドル高地合となりやすく、ドル建て商品である商品価格には下押し圧力が掛る展開が予想される。

予定されている経済統計、イベントで注目は米個人所得・支出、景気先行指標であるシカゴPMIに注目している。先行指標であるシカゴPMIは急減速が予想されており景気循環銘柄価格を下押ししよう。

個人所得 前月比+0.4%(前月▲2.7%)、支出 +1.0%(+1.0%)シカゴPMI 58.0(62.4~

ユーロ圏やドイツのGDPも発表される。通常GDPは商品価格に対する説明力が高く、発表前後に価格が動くのだが、3ヵ月前の指標であること、この3ヵ月に情勢が大きく変化すること、さらにいえば経済対策の影響で前期比では回復するものの、前年比では大幅マイナスの状態が続くことが確実であること、からそれほど材料視されないのではないか。

市場予想は以下の通り。

独GDP 前期比+7.3%(前期▲9.7%)、前年比▲5.5%(▲11.3%)ユーロ圏GDP 前期比+9.6%(▲11.8%)、前年比▲7.0%(▲14.7%)

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

昨日の原油価格は大幅に続落した。ECBラガルド総裁が12月に行動を起こすことは疑いがない、といった趣旨の発言をするなどユーロ安・ドル高が進行したことで投機的な売り圧力が強まったため。

リビアの増産などで需給ファンダメンタルズが悪化(需給緩和)する中、以前から指摘していた通り三角持ち合いを下抜けしたことで下げが加速した形。

石炭価格は横ばい。冬場の需要増加観測を受けて堅調地合が続いている。

本日はこの2日間の下落幅が大きいためいったん買い戻しが入るとみるが、ECBの緩和方針でドルに引き続き上昇圧力が掛ると予想され、軟調推移になると予想。

◆非鉄金属

LME非鉄金属は総じて下落した。ECBラガルド総裁が追加緩和を示唆したことでユーロ安・ドル高が進行したことが材料となった。また中国の最大貿易相手経済圏の景気失速観測も、投機の売り圧力を強めた模様。

なお、鉛が大幅に上昇しているが、コロナの感染再拡大に伴うスクラップ回収への懸念や、冬場の気温低下に備えた季節的なものとみられる。

下落幅が比較的大きな金属も多く、いったん買い戻しが入るが、ECBの緩和方針を受けたドル高が継続すると見られ、軟調地合を予想する。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向海上輸送鉄鉱石スワップは小幅高、原料炭スワップ先物は上昇、鉄鋼製品先物価は上昇した。

様子見気分強く、同水準での推移が続いている。五中全会が閉幕したが詳細の発表はなく、事前予想以上のものが出てこなかったこともあり特段材料視はされなかった。

本日は、五中全会で目立った新しい材料が出てこなかったこともあり現状水準での推移になると予想。

◆貴金属

金価格は下落した。株が戻りを試す中で米長期金利が上昇し、実質金利が上昇したことやECBラガルド総裁の追加緩和発言を受けてユーロ安・ドル高が進行したことが要因。

銀は金価格の下落を受けて金銀レシオを上昇させつつ下落。プラチナ・パラジウムは大幅な下落となった。

本日はドル高の流れを受けて総じて軟調推移を予想。ただし、プラチナ・パラジウムは昨日の下げ幅が大きく、株価が戻りを試したことを受けて上昇すると予想。

◆穀物

シカゴ穀物市場はECBラガルド総裁の追加緩和発言を受けたドル高進行で、水準を切り下げる展開となった。

生産減少や中国の輸入増加観測はあり、下げすぎもあっていったん上昇するが、ECBの追加緩和観測を受けたドル高圧力で軟調推移を予想。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日、中国の五中全会が閉幕した。今後5年の経済計画の概略が示された。2035年までに1人あたりGDPを中等先進国波にするとの目標を掲げ、コア技術(おそらくハイテク分野)において重大なブレークスルーを実現するとした。

第14次5ヵ年計画では双循環(国内と海外の循環をつなげる)を標榜、特に国内重視の姿勢を打ち出した。これは米中関係が悪化していることにより外需の取り込みが困難になりつつあることが背景にある。

結果、人口動態の変化に伴い投資社会から消費社会に移っていることは事実であるが、十分に中間所得者層が育っているとは言いがたく、従来の人口ボーナス理論にたてば2010年の人口動態のピーク時以上に所得を増加させることは容易ではない。

また、「中国の特色ある大国外交を推進」とあるが、アフリカの新興国に資金をバラ撒いて国際期間への影響力を増し、周辺諸国の領土を実効支配する戦略を今後も続ける、ということである。

米国の反発は必至であり、各地で親米・親中諸国の対立が強まることが予想される。日本は安全保障上米国側に付くことは自明だが、地政学的に中国の影響を無視できない。経済的にも無視できる国でないことも事実である。

先日、中国のガソリン車撤廃方針を受けてトヨタ自動車がHV技術を供給することを決定した。最大の自動車市場規模を有する市場であり、ビジネス的には当然正しい選択となるが、米国の対中政策強化の流れでこの動きに規制が掛る可能性はある。

こうした戦略的な政治判断が企業活動に大きな抑制を強いるシナリオは、意識しておくべきリスクといえる。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・欧州の政治混乱(トルコと欧州の関係悪化、ハードブレグジットなど)によるリスク回避の動きの強まり。

・米大統領選挙前後の混乱が想定以上に長引く場合。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

・次の最大の成長ドライバーとして期待される、インド経済が期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速。

・米国の財政状況悪化、緩和規模拡大によるドル水準の低下リスク(ドル減価により、名目ドル建て資産価格の上昇要因に)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は軟調な推移になると予想する。欧州の追加緩和観測が強まっており、ドル高が進行しやすいこと、欧州の新型コロナの感染再拡大を受けてロックダウンの動きが見られること、大統領選後はおそらくどちらが勝っても混乱が予想されること、OPECプラスに含まれないリビアの増産、といった材料はいずれも価格の下押しリスクを高めるものであるため。

目先のテーマは大統領選挙の行方と、英国ブレグジットを巡る混乱などの政治要因だが、英ジョンソン首相は無秩序離脱に向けて準備せよと発言しており、リスク資産にとってはいずれも売り材料となる。

供給面では、需要減速、価格下落局面でよく見られることであるが、OPECの抜け駆けが続き、結束が揺らぐリスクである。この場合、原油価格は大きく下落することになる。

10月15日・19日のOPECプラス会合では特段目立った発言はなく11月・12月の定例会合に下駄が預けられた。目下の懸念は減産に参加していないリビアの生産再開。これを受けて追加減産に舵を切れるのかどうかであるが、サウジアラビアの予算レートが80ドル台(弊社推定)であることを考えると、追加減産ないしは減産期間の延長は、現時点ではメインシナリオ。

原油価格が低水準で推移した場合、米シェールオイルの生産者のコストは平均で40ドル近辺(32ドル~60ドル程度)、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度であることから、時間経過とともに減産が進捗すると予想される。

【見通しの固有リスク】

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラス以外の中東諸国(リビアなど)の増産(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合、1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる、2.中東以外の産油国の生産者の破綻、3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合、などが価格上昇要因に。

・バイデン政権誕生で、シェールオイルのフラッキングが制限/禁止される場合、供給減少で価格上昇要因に(今のところ国有地でのフラッキング禁止にトーンダウンしている)。

・ワクチン・治療薬が想定以上に早く準備でき、移動制限が急速に解除される場合(価格上昇要因)。

【石炭価格見通し】

石炭価格は再び低水準での推移になると考える。中国の石炭港湾在庫の水準は高くないものの、国内生産にシフトしており、更にコロナや華為技術問題で対立する豪州からの輸入を手控える可能性があること、天然ガスへのシフト、この数年定番となった冬場の石炭輸入の減少の流れを受けて。

しかしそうはいっても冬場のピークシーズン需要は増加するため、底堅い推移になると予想する。

9月の中国の石炭輸入は前月から減少。前年水準を▲38.3%下回る1,867万6,000トン(前月▲37.3%の2,066万トン)と過去5年平均水準も下回った。

中国は国内の石炭産業の強化と政治的に対立する豪州からの輸入制限で、国内生産を増加させる方向性に舵を切っているが、国内の需給はタイトと見られ、国内炭と海外炭の値動きには乖離。

バルチック海運指数の低下は過去5年平均でサポートされたが、輸入の動きは鈍化。しかし一方で中国の港湾在庫は減少しており、足元、過去5年平均を下回っている。国内の需給はタイト化しているとみられる。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが664,697枚(前週比 +14,764枚)ショートが174,349枚(▲2,787枚)ネットロングは490,348枚(+17,551枚)

Brentはロングが240,937枚(前週比+15,070枚)ショートが100,807枚(▲4,952枚)ネットロングは140,130枚(+20,022枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は軟調地合に転じるが、下値余地も限定されると考えている。

最大消費国である中国の最大貿易相手経済圏である欧州でロックダウンの動きが再び見られることから、輸出需要が鈍化すると予想されるため。

これまで積み上がっている投機の買いポジションには、利益確定の売りが発生しやすいが、本格化するのはタイミングはおそらく大統領選挙(の郵便以外の投開票)が終わり、ファンド決算が意識される11月以降になるのではないか。

また、Q420は政治的なイベント(並びにリスク)が多く、リスク回避姿勢も根強いこと、南半球も夏場に入って鉱山生産の回復が期待されることも価格を下押ししよう。

ただし、中国の内需は堅調であること、南半球生産者の生産動向が不安定であること(Q420は銅生産者の労使交渉が多い)が価格を高値に維持すると予想する。

世界的に環境重視型社会へのシフトが進む見込みだが、環境重視型社会への移行は主に「省エネに用いる金属」の価格を押し上げる。中長期的に鉱物資源価格には強気の見通しは今のところメインシナリオ(当然生産時には温室効果ガスが発生するのだが)。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

【見通しの固有リスク】

・高水準の投機筋買い越しポジションが急速に解消されたときの下落リスク。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(コロナの影響もあって、2020年の鉱山生産は全体で184万1,000トン、コロナの影響で115万1,000トン減少する見込み)。

・ニューカレドニアのGoroプロジェクトのニッケル精錬所を2021年に閉山すると発表。同プロジェクトのニッケル生産は6万トン/年(シェア2.4%)、その他の生産下方修正リスクは25万3,000トン(9.4%)に及ぶリスクがあり、価格の上昇要因に。

・中国の環境規制強化やコロナの影響再発に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

【投機筋のポジション動向】

・LME投機筋買い越し金額 前週比+13.1%の3,086億ドル(前週 3,046億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+8.7%の4,951千トン(前週 4,554千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の経済統計の改善を受けて高値圏で推移しつつも、水準を切り下げる展開を予想する。

貿易統計で確認できるように鉄鉱石輸入は堅調であり、在庫の絶対水準が増加していること、南米生産者の増産見通し、価格上昇でレーショニングが発生して、鉄鋼製品需要がやや鈍化すると見られていることが背景。

一方で、中国政府のインフラ投資が今後も継続する見込みであり、中国国内の鉄鋼原料在庫水準が低いことから在庫積み増し需要も継続する可能性が高く、基本は底堅い推移となる。

中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、9月は288万5,000トン(前月224万トン)と記録的な水準に加速した。国内生産も8月時点で9,485万トン(前月9,336万トン)と過去最高水準。

中国の国内需要が旺盛であることを示しているが、中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲56.1万トンの1,459.7万トン(過去5年平均 994.5万トン)と、例年よりも在庫水準は高く、早晩鉄鋼製品には下押し圧力がかかる見込み。

一方、原料である鉄鉱石の鉄鉱石港湾在庫は前週比+330万トンの1億2,780万トン(過去5年平均1億2,069万トン)、在庫日数は+0.7日の25.5日(過去5年平均29.6日)と例年と比較して在庫水準が低いが、この数週間、急速に水準を切り上げている。鉄鉱石の需給ファンダメンタルズは緩和方向にあるとみられる。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

実際、中国政府は政治的な対立もあって豪州炭の輸入を停止するとの報道もあり、今後、海上輸送原料炭価格には下押し圧力が掛かりやすくなってきた。

ただ、中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は急速に減少しており、過去5年の最低水準を下回っていることから価格の下支え要因となる。ただ、輸入自体が減少している可能性も否定できないため、この数字のみをもって需給がタイトと判断するのは難しいかもしれない。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

【投機筋のポジション動向】

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金銀は軟調な推移になると考える。足下、価格に対する説明力が高いドル指数が、欧州のコロナウイルスの感染再拡大や、米国の大統領選挙を睨んだ政治要因を受けてややリスク回避的にドル高が進んでいるため。

ただしコロナを除けば政治要因は日替わりで、ドル高材料にも、ドル安材料にもなるため、不安定な推移が続くことになるだろう。

なお、リスクオンはドル安で価格上昇、リスクオフで価格下落となる(詳しくは2020年10月12日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

ただ、実質金利の説明力がなくなった訳ではなく、足下、米長期金利に上昇圧力が掛っており、実質金利の上昇が金基準価格を切り下げる可能性が出てきた。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,620ドル程度に低下。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は249ドルと前日から▲19ドル低下している。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、80.3倍。過去1年を基準にすると95倍程度、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当だが、足元、80倍程度で落ち着いている。

金が高値を維持する可能性が高いため、再びバブル的に銀が物色される可能性は否定できない。しかしその場合でも、常に急落リスクは意識せざるを得ないだろう。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。当面は工業需要が牽引する形にはなりにくく、株の影響を受けつつも金銀につれる形の推移になることを予想。

バイデン候補の優勢が伝えられる中では、燃料電池車への普及観測を強めるため、銀価格とのパフォーマンス格差を埋める形で価格が上昇することを予想。

パラジウムは価格は景気の先行きが明確に悪いこと、自動車セクターの回復は緩やかなものにとどまる見通しであることから実需面は価格を下押ししやすい。

しかし、ETF残高とパラジウム価格の連動性が高まっており(管理在庫増加→価格上昇)、一時の、ETF管理在庫減少→価格上昇、のメカニズムから変化してきている。

在庫取り崩し→価格上昇は実際に需給がタイトで、現物確保のためにETFを取り崩さなければならなかったからだが、現在はこれと逆のことが発生している訳で、足元、パラジウムの需給は緩和していると見られる。今後はETFの動向に注目。

9月の米自動車販売は年率1,634万台(市場予想 1,570万台、前月 1,519万台)、中国の9月の自動車販売は中国自動車工業協会の速報で前年比+13.0%の256万6,000台(前月+11.7%の218万5,812台)。

自動車販売は回復しているが、不要不急の消費であるため本格的な回復にはまだ時間がかかる見込み。

【見通しの固有リスク】

・世界的な成長力の低下に伴い、各国の財政状況が悪化、地政学的リスクが顕在化する場合(中東・北アフリカのリスク顕在化の可能性は低くない)。リスク・プレミアム上昇を通じて貴金属価格の上昇要因に。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが340,206枚(前週比 +13,220枚)、ショートが90,602枚(+4,287枚)、ネットロングは249,604枚(+8,933枚)、銀が76,946枚(+26枚)、ショートが32,220枚(▲3,912枚)、ネットロングは44,726枚(+3,938枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが26,595枚(前週比 +476枚)ショートが18,770枚(+1,562枚)、ネットロングは7,825枚(▲1,086枚)

パラジウムが5,864枚(+243枚)、ショートが2,451枚(+221枚)ネットロングは3,413枚(+22枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシ・大豆に関していったん下落すると考えている。投機筋のロングポジションは記録的な水準にあり、ショートポジションも記録的に低い水準にある。リスク回避のドル高が進行しやすい地合にあることを考えると、投機的な観点で価格には下押し圧力が掛りやすいと考えられるため。

トウモロコシ価格は2020-2021年の在庫見通しが当初よりも低下したことや、ラニーニャ現象の影響とみられる各国の生産下振れ見通しを受けて下値余地も限定されると考える。

大豆価格も軟調推移を予想するが、米需給報告で米大豆在庫の減少見通しが示されたことや、ラニーニャ現象を背景とする気象状況の悪化が供給を減じること、中国が米国からの輸入を増加させる方針を継続していることから下値余地も限定されると予想。

小麦はさほど投機の買いポジションが積み上がっている訳ではないため、調整圧力は限定的か。

バッタ被害はLocust Watchでは、エチオピア、イエメン、ケニア、サウジアラビアの一部で深刻な状態が続いているが影響は低下している。今のところ大きな変化はない。

西部に広がっていたバッタの固体(群棲相を形成していない)はチャド程度で留まっており、今のところは被害が拡大する懸念は低下している。

コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家があったが、今度は収穫期にコロナウイルスの影響で人員が確保できず、収穫に影響が出る可能性がある。

近年、食品価格に対して影響が大きいラニーニャ現象が発生していることもあり、年末~年明けにかけての穀物価格の見通しは強気。

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象の発生による穀物供給減少リスクの顕在化。害虫の発生、生産地の土壌破壊など(すでに一部顕在化)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・10月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 147億2,200万Bu(148億2,261万Bu、149億Bu)大豆 42億6,800万Bu(42億8,789万Bu、43億1,300万Bu)小麦 18億2,600万Bu(前月18億3,800万Bu)

・10月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 21億6,700万Bu(21億2,004万Bu、25億300万Bu)大豆 2億9,000万Bu(3億6,293万Bu、4億6,000万Bu)小麦 8億8,300万Bu(8億9,041万Bu、9億2,500万Bu)

・10月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 178.4Bu/エーカー177.86Bu/エーカー、178.5Bu/エーカー)大豆 51.9Bu/エーカー(51.7Bu/エーカー、51.9Bu/エーカー)小麦 49.7Bu/エーカー(前月50.1Bu/エーカー)

・9月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 19億億9,500万Bu(22億6,554万Bu、52億2,400万Bu)大豆 5億2,300万Bu(5億7,838万Bu、13億8,600万Bu)小麦 21億5,900万Bu(22億4,035万Bu、10億4,400万Bu)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが470,393枚(前週比 +55,740枚)、ショートが140,485枚(▲14,181枚)ネットロングは329,908枚(+69,921枚)

大豆はロングが317,412枚(+503枚)、ショートが57,540枚(▲4,616枚)ネットロングは259,872枚(+5,119枚)

小麦はロングが149,043枚(+13,140枚)、ショートが102,506枚(+9,401枚)ネットロングは46,537枚(+3,739枚)

◆主要ニュース


・9月日本百貨店スーパー販売額 前年比▲13.9%(前月▲3.2%)

・9月日本小売売上高 前年比▲8.7%(前月▲1.9%)、前月比▲0.1%(+4.6%)

・10月日本消費者態度指数 33.6(前月32.7)

・9月インド財政収支 ▲4,364億6,000万ルピーの赤字
(前月▲4,899億8,000万ルピーの赤字)

・10月独失業者数 前月比▲35.0千人(前月▲10.0千人)
 失業保険申請率 6.2%(6.3%)

・10月ユーロ圏景況感指数 90.9(90.9)
 鉱工業景況感 ▲9.6(▲11.4)
 サービス景況感 ▲11.8(▲11.2)
 消費者信頼感 ▲15.5(▲15.5)

・10月独消費者物価指数 前月比±0.0%(前月▲0.4%)、前年比▲0.5%(▲0.4%)

・米週間新規失業保険申請件数 751千件(前週791千件)
 失業保険継続受給者数 7,756千人(8,465千人)

・Q320米GDP速報 前期比年率 +33.1%(前期確定▲31.4%)
 個人消費+40.7%(▲33.2%)
 総民間国内投資+83.0%(▲46.6%)
 設備投資+20.3%(▲27.2%)
 輸出+59.7%(▲64.4%)
 輸入+91.1%(▲54.1%)
 政府支出▲4.5%(+2.5%)
 GDPデフレータ+3.6%(▲1.8%)、コアPCE +3.5%(▲0.8%)

・9月米中古住宅販売仮契約 前月比▲2.2%(前月+8.8%)、前年比+21.9%(+20.6%)

・ECB政策金利を±0.00%に据え置き。上限政策金利も0.25%に据え置き、下限政策金利は▲0.5%に据え置き。パンデミック緊急拡大プログラム(PEPP)を1.35兆ユーロで維持。

・日銀当座預金残高の預金金利 ▲0.1%(前回 ▲0.1%)、10年債金利の誘導目標 ±0.0%(±0.0%)

・ECBラガルド総裁、「回復の勢いは想定よりも早く失速している。インフレ率は2021年までマイナスが続く。ECBが12月に行動することはほぼ疑いがない。」

・フランス南部ニースでテロ、3人死亡。イスラム教徒によるテロ。

・中国五中全会が閉幕。具体的な成長目標に関しては触れず。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE天然ガス稼働在庫 3,956BCF(前週比+31BCF)
 東部 941BCF(+18BCF)
 中西部 1,118BCF(+13BCF)
 山間部 245BCF(変わらず)
 太平洋地区 323BCF(変わらず)
 南中央 1,329BCF(わらず)

【メタル】
・9月中国精錬銅生産 前年比+71千トンの909千トン(前月 894千トン

・9月中国精錬亜鉛生産 前年比+17千トンの565千トン(前月 539千トン)

・9月中国精錬鉛生産 前年比+21千トンの565千トン(前月 564千トン)

・9月中国プライマリアルミ生産 前年比+263千トンの3,163千トン(前月 3,171千トン)

・9月中国精錬ニッケル生産 前年比▲278千トンの13,494千トン(前月 10,214千トン)

・9月中国精錬錫生産 前年比+635トンの949トン(前月 348トン)

・9月中国銅製品生産 前年比+58千トンの1,814千トン(前月 1,949千トン)

・9月中国アルミ製品生産 前年比+0.64百万トンの5.06百万トン(前月 4.86百万トン)

・9月 中国送電網向け投資 前年比 ▲55億元の520億元(前月 326億元)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +10.18%/ +50.80%
2.CBTエタノール ( エネルギー )/ +4.08%/ +11.27%
3.欧州排出権 ( 排出権 )/ +2.78%/ ▲3.47%
4.ビットコイン ( その他 )/ +2.07%/ +88.41%
5.LME鉛 3M ( ベースメタル )/ +1.33%/ ▲4.63%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲7.90%/ +60.61%
65.DME Oman ( エネルギー )/ ▲4.63%/ ▲44.42%
64.SHF 銀 ( 貴金属 )/ ▲4.28%/ +13.36%
63.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲3.76%/ ▲42.95%
62.ICEガスオイル ( エネルギー )/ ▲3.42%/ ▲50.49%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,659.11(+139.16)
S&P500 :3,310.11(+39.08)
日経平均株価 :23,331.94(▲86.57)
ドル円 :104.61(+0.29)
ユーロ円 :122.12(▲0.41)
米10年債 :0.82(+0.05)
中国10年債利回り :3.18(±0.0)
日本10年債利回り :0.03(+0.01)
独10年債利回り :▲0.64(▲0.01)
ビットコイン :13,486.71(+273.23)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :27.82(+0.35)
エネルギー :40.61(+0.73)
ベースメタル :21.46(+0.59)
貴金属 :28.92(+0.04)
穀物 :21.79(▲0.21)
その他農畜産品 :26.42(+0.39)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :48.23(▲0.42)
Brent :44.88(+1.84)
米天然ガス :70.10(+5.09)
米ガソリン :46.12(▲1.11)
ICEガスオイル :42.95(▲0.42)
LME銅 :19.43(+0)
LMEアルミニウム :18.03(▲0.34)
金 :19.54(+0.15)
プラチナ :32.58(+0.95)
トウモロコシ :20.71(+0.14)
大豆 :19.54(+0.15)

【エネルギー】
WTI :36.17(▲1.22)
Brent :37.65(▲1.47)
Oman :37.47(▲1.82)
米ガソリン :105.15(▲2.99)
米灯油 :108.84(▲2.58)
ICEガスオイル :304.00(▲10.75)
米天然ガス :3.30(+0.31)
英天然ガス :40.91(▲0.57)

【貴金属】
金 :1867.59(▲9.60)
銀 :23.26(▲0.13)
プラチナ :848.98(▲21.72)
パラジウム :2201.20(▲47.22)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,708(▲6:16C)
亜鉛 :2,516(▲18:13C)
鉛 :1,814(+33:12.5C)
アルミニウム :1,796(▲20:9.5C)
ニッケル :15,435(▲414:42C)
錫 :17,700(▲261:7B)
コバルト :33,008(▲6)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6741.50(▲4.50)
亜鉛 :2546.50(+5.00)
鉛 :1834.00(+24.00)
アルミニウム :1804.00(▲7.50)
ニッケル :15555.00(▲175.00)
錫 :17895.00(▲135.00)
バルチック海運指数 :1,297.00(▲87.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :117.01(+0.18)
SGX鉄鉱石 :119.95(▲0.15)
NYMEX鉄鉱石 :120.28(▲0.17)
NYMEX原料炭スワップ先物 :122.07(+0.86)
上海鉄筋直近限月 :3,687(+30)
上海鉄筋中心限月 :3,662(+19)
米鉄スクラップ :302(▲2.00)

【農産物】
大豆 :1051.75(▲5.50)
シカゴ大豆ミール :376.90(+0.20)
シカゴ大豆油 :33.06(▲0.36)
マレーシア パーム油 :休場( - )
シカゴ とうもろこし :398.50(▲3.00)
シカゴ小麦 :603.75(▲5.00)
シンガポールゴム :267.10(▲22.90)
上海ゴム :14615.00(▲230.00)
砂糖 :14.40(▲0.49)
アラビカ :104.60(▲0.40)
ロブスタ :1316.00(▲11.00)
綿花 :69.82(▲0.35)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :65.63(▲0.75)
シカゴ生牛 :106.28(+0.43)
シカゴ飼育牛 :136.45(+1.28)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。