CONTENTSコンテンツ

不安心理のなか迎える年末・年初
  • MRA外国為替レポート

2018年12月24日号

◆先週の市場総括


先週は米国株を中心にグローバルに株価が大幅安。リスク回避心理が蔓延するなか週末にかけて円高が進んだ。

前週末の弱い中国の経済指標を受け株価は軟調に始まった。その後は米国の経済指標にも一部弱い数字が散見。

注目のFOMCは日本時間木曜日の未明に結果が公表された。予想通り0.25%の利上げが実施され、FF金利の誘導水準は2.25%~2.50%に。メンバーの予想は、景気・物価見通しが若干下方修正され、利上げは2019年が9月時点の3回から2回に、2020年は1回のまま据え置きとなった。

景気減速見通しにもかかわらず、なお利上げを継続する姿勢を嫌気して、米国株は大幅安。米長期金利は2.8%割れに低下した。

週末にかけてはトランプ大統領が暫定予算に署名せず政府機関の閉鎖リスクが高まったことも嫌気された。日経平均は米国株の大幅下落・ドル安円高につれ週末にかけて下げ足を速め20,000円ちょうどに迫った。

ドル円相場は113円50銭で始まりFOMCを前に112円台半ばでもみ合い。発表直後はさほど反応しなかったが、米国株が大幅安、米長期金利が低下すると、リスク回避からドル安円高に。金曜日にかけて111円を割り込んだ。

週末NYの引けはやや戻して111円20銭近辺。また週末にかけてはユーロが対ドル、対円で軟調。ユーロ円相場で大きく円高が進み126円40銭近辺で週末の取引を終えた。

月曜日の東京市場のドル円相場は113円30銭で始まり小じっかり。113円50銭近辺でもみ合い推移となった。

日経平均は21,400円近辺で寄り付き、21,500円近辺でもみ合い引け。しかし海外市場では米国株が大幅安。

発表されたNY連銀製造業景況指数(12月)が10.9と予想20.0を大きく下回り前月の23.3から急速に悪化。1年7か月ぶりの低水準となったことが前週末の弱い中国の経済指標とともに嫌気された。

原油価格WTIは50ドル割れ。米長期金利は低下し、2年債利回りは2.69%、10年債利回りは2.85%に。ドルが下落するとともにリスク回避による円高も進み、ドル円相場は112円70銭に下落。引けは80銭。ユーロ円相場も128円60銭から128円ちょうどへと下落した

火曜日の東京市場のドル円相場は112円80銭で始まり軟調。112円50銭~60銭で推移した。ユーロ円相場も128円ちょうど近辺から127円70銭近辺に下落。

日経平均は米国株大幅安とドル安円高を嫌気して21,200円で安寄り。後場には21,200円を割りもみ合い引けた。

海外市場に入るとドル円相場は112円20銭台に下落したが、その後は50銭~60銭に戻してもみ合い50銭近辺で引け。ユーロ円相場は127円80銭~128円ちょうどでもみ合い。

米国株は前日の大幅安の後だけに反発したが引けにかけて軟調。米長期金利はさらに低下して2年債利回りは2.66%、10年債利回りは2.82%。この日、FOMCの初日が開催され、FRBが慎重なスタンスをとるのではないかとの思惑が高まった。

水曜日の東京市場のドル円相場は112円50銭で始まり、その後は30銭~40銭でもみ合い小動き。FOMCの結果待ち。

日経平均は寄付き後に20,900円に下落し、その後は21,100円~21,000円で推移。ソフトバンク株が上場となったが初値が公募価格を大幅に割り込み地合いを悪化させた。

海外市場のドル円相場は112円30銭~40銭でもみ合いの後、20銭近辺で推移。FOMCの結果待ち。結果は日本時間木曜日の未明4時に発表となった。

金融政策は予想通り0.25%の利上げを決定。FF金利誘導水準は2.00%~2.25%から2.25%~2.50%に引き上げ。

一方、同時に公表されたメンバーによる予測では景気物価見通しは若干下方修正。利上げ予想は2019年が9月会合時の年3回から2回に下方修正。2020年は1回で据え置き。2021年はゼロ回。FF金利は2019年に2.75%~3.00%に、2020年に3.00%~3.25%まで引き上げられ打ち止めとの予想。

声明文では、リスクは概ね均衡も世界情勢を注視する、としたうえで、幾度かの漸進的利上げが適切と判断される、とした。米国株は上昇していたが、FOMCの結果を受けて、景気減速見通しにもかかわらず利上げ継続、とのスタンスを嫌気して大幅安。

米長期金利はやや上昇したものの、株価急落を受けて低下。2年債利回りは2.65%、10年債利回りは2.78%に。ドル円相場は比較的底固く112円30銭~40銭での推移となった。ユーロドル相場は1.1430から1.1370へとユーロ安ドル高。

木曜日の東京市場のドル円相場は112円50銭で始まり下落。日経平均は20,800円で安寄りし20,600円に下落。後場にはさらに大きく下落して20,300円。引けは20,400円近辺となったが600円近い大幅安となった。

ドル円相場は夕刻には112円を割り込み111円80銭台へ。

海外市場に入ると米国株が大幅続落。S&P500指数は1年3ヶ月ぶりの安値。前日のFOMCの結果に加え、この日はトランプ大統領が上院を通過した暫定予算案に署名せず政府機関閉鎖のリスクが高まったことが嫌気された。

為替市場ではリスク回避で円高が進んだ。ドル円相場は大幅続落。一時111円を割り込んだ。引けは戻して111円30銭近辺。ユーロドル相場は乱高下。1.1380から1.1480へとユーロ高ドル安となった後、1.14へ下落、1.1480へ上昇、その後は1.1450近辺で引け。

米長期金利は政府機関閉鎖のリスクを受けて小幅上昇。10年債利回りは2.81%。

この日発表されたフィラデルフィア連銀製造業景況指数(12月)は9.4と予想15.0、前月12.9から大きく悪化。2016年8月以来の水準に低下。原油価格WTIは45.90ドルに下落。ドル安を受けて金は上昇。

この日、マティス国防長官が2月で退任することが明らかになった。また米政府機関に対するサイバー攻撃の容疑者として中国人ハッカー2名を起訴。米中関係の悪化懸念が広がった。

金曜日の東京市場のドル円相場は111円30銭~20銭でもみ合いとなった後、40銭近辺に上昇。

日経平均は20,300円で寄り付いた後、下落して20,000円ちょうどに迫った。後場は下げ止まり引けは20,170円。

海外市場では米国株が大幅続落。S&P500は1年5か月ぶりの安値。米長期金利10年債利回りは2.79%に小幅低下。リスク回避のなか円高が進んだがドルもしっかり。ドル円相場は111円20銭近辺で上下した後は111円ちょうど、111円40銭へ上昇した後111円20銭近辺で週末の取引を終えた。

一方、ユーロは対ドルで1.1450から1.1360~70へと大幅安。市場全体がリスク回避のなか取引を終えた。

中国はこの日、中央経済工作会議を終了。2019年に大規模な減税と手数料削減を実施する、とし、金融政策の緩和も示唆。景気下支え姿勢を明確とした。

◆今週の3つの注目ポイント


火曜日の欧米市場はクリスマス休暇で休場。イギリス・ロンドン市場は水曜日も休場。

1.米国株の動向、クリスマス休暇・年末取引の動向

米国株は1年半ぶりの安値で週末の取引を終えた。週間では記録的な大幅安。クリスマス休暇前にリスクポジションを落とす動きが市場の弱気心理を増幅した。

クリスマス休暇から年末にかけては、そうしたポジション整理が一服するか。年末の残高調整が株価買戻しとなるか、年末にかけてさらなる株売りとなるか。

米国株が底打ちするかどうかが市場全体の心理を大きく左右するだけに最終週の値動きが注目される。

2.米国の経済指標

パウエル議長、NY連銀総裁はじめ、FRB当局者の発言からは、今後の政策には何ら既定路線はなく、景気動向・数字次第で柔軟に対応していこうというスタンスが明確になりつつある。

月曜日 シカゴ連銀全米活動指数(11月、予想0.20、前月0.24)水曜日 リッチモンド連銀製造業指数(12月、予想15、前月14)木曜日 新築住宅販売(11月、季節調整済み年率換算、予想567千戸、前月544千戸)、消費者信頼感指数(12月、予想133.6、前月135.7)金曜日 シカゴ購買部協会景気指数(12月、予想60.3、前月66.4)

3.日本の経済指標

日本では金曜日に11月の主要経済指標、有効求人倍率、失業率、鉱工業生産、小売売上高、および12月の東京都区部・消費者物価指数が発表される。

米国株が主導するかたちで日本株も大きく下落しているが、日本経済・企業業績はさほど悪くはなく、割安感が増している。

経済指標が引き続き良好となり、株価の下値を支えるか。少なくとも国内市場の悲観的なムードの緩和に寄与するか。

◆今週のMRA's Eye


不安心理のなか迎える年末・年初

クリスマス休暇を前に、米国株は激しい調整局面を迎えている。FOMCにおいて景気物価見通しが若干下方修正され、減速見通しが一段と明確に示されたなか、利上げ継続スタンスがさほど見直されなかったことが嫌気された。

しかしそれ以前の問題として、米中通商交渉に対する期待が後退したことが大きい。米国による中国企業幹部の逮捕や中国人ハッカーの起訴などによりますます先鋭化する気配をみせる両国の対立に対し懸念が強まった。

また中国の経済指標、工業生産や小売売上高の伸びが明確に鈍化し、中国企業の景況感とくに製造業の景況感が景況感の分かれ目まで悪化していることが不安感を高めている。

米国の企業活動・景況感も勢いを失い、地区連銀経済報告では関税を気に掛ける発言が多くみられた。

市場の期待は、トランプ政権が強硬な通商外交政策をとっている間は、FRBには慎重・緩和的な政策をとって欲しい、というところ。いわば株価下落は金融政策当局に対する催促相場のようになっている。

不透明要因や不安材料を挙げればきりがないが、株価の水準としては相応に調整。米国株の割高感も解消してきた。方向感と水準感でいえば、そろそろ水準感からリスク資産価格の調整に歯止めがかかってもよいところとなってきた。

とくに日経平均はもとより割安ともいえる水準であり、米国株と連れ安になる理由はない。

最悪のケースは、市場の過度な懸念が、過剰な株安や信用スプレッドの拡大をもたらし、主として企業の資金調達コストを想定外に上昇させることによって、実体経済に悪影響をもたらす点だ。そうなると、景気悪化と市場の反応との間に悪循環が生じてしまう。

市場と実体経済のスパイラル的な状況悪化に歯止めをかけられるか。その役割を担うのが政策であり、現局面では金融政策ではなく、トランプ政権の通商外交政策が、もっとも効果的だ。米中の通商交渉期限は2月末。そこで「手打ち」となるか。

年末・年初ななお不透明感、不安感に満ちたまま迎えそうだ。来年早々は季節要因やイベントによるリスク回避で円高が進むとの見方が多い。

しかし株価はすでに十分といえるほど下落し調整しており、ここからさらに大幅に株安が進む可能性は次第に少なくなっている。市場の見方は弱気に大きく傾いている。

弱気にせよ強気にせよ、コンセンサスに沿った相場の動きはゆっくりとなる。じりじりとした相場展開となるのが通常だ。為替市場においては、円高に動くとしてもゆっくりとなる可能性が相応に高い。

逆にコンセンサスにない米中通商交渉の合意、状況の好転があれば、良い意味で市場に対してサプライズ、ショックとなる。円安ドル高方向への戻りは速くなる可能性もある。

材料としてはなお円高リスクが大きいが、水準やコンセンサスの蔓延からすれば、そのリスクはやや割り引いて考える必要があるかもしれない。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :111.22(▲0.06)
ユーロ :126.48(▲0.92)
英ポンド :140.519(▲0.34)
豪ドル :78.325(▲0.78)
カナダドル :81.774(▲0.61)
スイスフラン :111.935(▲0.73)
ブラジルレアル :28.5114(▲0.44)
中国人民元 :16.107(▲0.11)
韓国ウォン(日本円=100) :9.851(▲0.06)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1372(▲0.007)
英ポンド :1.2645(▲0.001)
豪ドル :0.704(▲0.007)
カナダドル :1.3602(+0.009)
スイスフラン :0.9938(+0.006)
ブラジルレアル :3.8986(+0.054)
中国人民元 :6.9065(+0.022)
韓国ウォン :1122.9(▲4.78)

【主要国政策金利】
米国 :2.50
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :2.79(▲0.02)
米2年債 :2.64(▲0.03)
日本10年債利回り :0.05(+0.02)
日本2年債利回り :0.05(+0.01)
独10年債利回り :0.25(+0.02)
独2年債利回り :▲0.60(▲0.00)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :22,445.37(▲414.23)
NASDAQ  :6,333.00(▲195.41)
S&P500 :2,416.62(▲50.80)
日経平均株価 :20,166.19(▲226.39)
ドイツ DAX :10,633.82(+22.72)
インド センセックス :35,742.07(▲689.60)
中国上海総合 :2,516.25(▲20.02)
ブラジル ボベスパ :85,697.15(+427.86)
英国FT250 :17,442.98(▲3.96)
ビットコイン :3848.6(▲144.98)

【主要商品価格】
WTI :45.59(▲0.29)
Brent :53.82(▲0.53)
米ガソリン :131.83(▲0.41)
米灯油 :173.27(▲1.70)

金 :1256.94(▲2.92)
銀 :14.65(▲0.11)
プラチナ :787.16(▲8.02)
パラジウム :1232.18(▲29.36)
銅 :6005.00(▲30:18C)
アルミニウム :1912.00(▲12:8B)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セト
ル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :884.75(▲8.75)
シカゴ とうもろこし :378.50(+3.25)
シカゴ小麦 :514.00(▲9.50)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。

【MRA外国為替レポート】について