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休み明けの中国勢の買いとドル安で堅調
  • MRA商品市場レポート

2020年10月12日 第1836号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「休み明けの中国勢の買いとドル安で堅調」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:もみ合った結果前日比マイナス。ノルウェーの油田労働者のストライキが回避されたことが材料となったが、レンジワークの結果前日比マイナスだった、という印象。

米国主要市場が休場のため動意薄く、レンジワークを継続する見込み。

◆非鉄金属:大幅に上昇。LME指定倉庫在庫の減少や米国の追加経済対策期待を背景に、休み明けの中国勢が買いを入れたためと考えられる。

前日の上げ幅が大きかったことで下落からスタートすると考えられるが、中国勢の買いが継続すると見られることから下値も堅いと予想。

◆鉄鋼・鉄鋼原料:鉄鉱石先物価格は上昇、原料炭価格は下落、鉄鋼製品は上昇した。休み明けの中国勢の買いがはいり、総じて大幅な上昇となった。

休み明けの中国勢の在庫積み圧力は継続するとみられ、上昇の見込み。

◆貴金属:上昇。ドル安の継続と、休み明けの中国勢の鉱物資源買いの流れを受けて。PGMも株高を受けて上昇。

足元、説明力が上昇している為替動向に左右される展開。米追加経済対策期待によるリスクオンのドル安が進行していることから堅調な推移を予想。

◆穀物:米需給報告を受けてトウモロコシと大豆は上昇、小麦は小幅安。

米大豆の需給タイト感が示されたこと、ドル安基調を受けて上昇余地を探る展開に。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はエネルギーやその他農産品を除いて総じて上昇した。中国勢が大型連休明けで市場に復帰、人民銀行が人民元を若干高めに設定したことで買いが加速したためと考えられる。

製造業の回復が顕著で、かつ、公共投資を実施していることから鉱物資源セクターの需要は旺盛であり、特に貴金属セクターの上昇は顕著で、次いで非鉄金属セクターの上昇が大きかった。

貴金属価格は実質金利の説明力が高いが、足元、為替の影響が増している(詳しくは本日のMRA's Eyeをご参照下さい)。

またエネルギーセクターの下落はノルウェーのストが回避されたことで、供給懸念が後退したことが材料ではあるが、OPECの大幅減産でどうにかバランスしている状況であるため、ロックダウン再開の可能性が高まる中では上昇し難い。

※ニュース解説は、不定期ですがFBでも行っていますので、ご興味のある方はフォローをお願いします。https://www.facebook.com/Market.Risk.Advisory/

【本日の見通し総括】

週明け月曜日は米国の主要市場がコロンブスデーの休場のため、動意薄い展開を予想。しかし、米国の大統領選挙を控えたトランプ大統領の「なりふり構わない景気刺激策」に振り回される形となるが、リスクオン相場となりドル安が進行するため、広くドル建て資産価格には上昇圧力が掛かりやすい。

但し、週末の上げが大きかった鉱物資源セクターは一旦売られると予想する。とはいっても中国勢が市場に復帰しているため、鉱物資源価格は底堅い推移になると予想。

【昨日のトピックス】

世界的に低成長状態が続く中でも米中の対立が続いており、先日、中国政府は米国とその同盟国を対象に、新たな制裁を科すことを決定した。

具体的には管理貿易に踏み出すということで、国家の安全維持に関わる貨物・技術・サービスを対象に、管理品目リストを作成し、対象物に関して中国企業は輸出の際に顧客企業の用途に関する証明書を提出し、輸出の可否を中国当局が管理する、というもの。

主に米国を対象にした制裁であるが、安全保障上、米国追従以外の選択肢がない日本はこの制裁の影響を受ける可能性は高い。

中国は大量にいろいろな物品を輸入しているが、同時に輸出も行っており、特にハイテク製品向けの必須原料であるレアアースに代表される資源の重要な生産・輸出国である。

そのため、ハイテク製品向けの部材調達が滞り、日本の製造業への影響は小さくないと予想される(詳しくは日経新聞の記事を参照)。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64852880Z01C20A0MM8000/

ここで注目すべきは、日本は中国のみならず、米国の管理貿易対象にもなりかねないということだ。場合によると、米国の製品や技術が組み込まれている製品の中国への輸出が制限される可能性が在り、実質的に米国からも輸出品について管理されるというシナリオも十分想定される。

これによりブロック経済圏的なものが誕生し、今まで国際分業して行われていた製品調達を、自陣営の中に保有する必要が出てくることになる。結果、国内や同盟国内での設備投資は増えるだろうが、コストがかさみ生産性は低下することが予想される。

トランプ・バイデン、どちらが勝利しようとも米中の対立は継続することが予想されるため、上記のシナリオは発生の可能性が低くないリスクシナリオとみている。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標は回復基調にあるものの、米中以外はまだ低迷した状態。

製造業・サービス業とも経済活動が回復しているが、コロナ以降の生活様式の変化でロックダウン解除や政策を織り込んだ回復はそろそろ限界。今後、感染ピークになる可能性がある冬場に向けて一時的に調整する可能性。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(▲3.0%→▲4.9%)ている。2021年に関しても+5.8%→+5.4%と下方修正した。

結局、コロナウイルスの影響が2021年意向も残存することが前提となっている。ただ、この冬場の再ロックダウン時の経済への影響は、2020年初に見られたほどの過激なものにはならず、半分程度にとどまるケースをメインシナリオとしている。

・各国中央銀行、特に先進国の中央銀行はコロナ対策で政策金利をほぼゼロ近傍まで引き下げており量的緩和規模も拡大、これ以上打てる手がなくなった状態。

もちろん、量的緩和規模の拡大や投資対象の拡大などの追加手段は考えられるが、経済への直接的な影響は、先行事例である日本や欧州を見るにそれほど大きくない。

クライシスが再び発生した場合のリスクはより高まっていると考えるべき。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・コロナウイルスが冬場に再拡大し、北半球の冬場に再度感染拡大→経済活動自粛、という流れになるリスク。

同時にワクチン開発が進捗して経済活動の回復が加速することも、景気循環系商品にとってはアップサイドのリスクに。

・米中の対立激化による新冷戦構造の発現。

米国が中国と共生体制になっていのは経済的なメリットがあったからだが、リーマンショック、コロナショックを通じて中国よりもデメリットが大きい(人民元安誘導など)ことがわかったため、米国が中国からのデカップリングを進める可能性は高い(むしろもうメインシナリオと考えるべきか)。

・米大統領選挙を巡る混乱。

反中に転じたバイデン氏が今のところ有利に選挙戦を進めているとみられるが、バイデン勝利の場合、より他国と連携して中国包囲網を強めるとみられるため、貿易量の減少を通じて景気循環系商品価格の下落要因に。

また、バイデン勝利の場合増税への懸念が強まるため株価にはマイナスと判断されており、この場合、株下落に伴う逆資産効果で商品価格の下押し要因となる可能性。

・生産拠点を自国に回帰させる動きや、リモートの定着による成長鈍化が、新興国(資源国の多くも新興国)の財政状況を悪化させ、自国を含む域内景気への悪影響を及ぼす懸念(価格の乱高下要因)。

・欧州の政治混乱(トルコと欧州の関係悪化、ハードブレグジットなど)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・年後半に再度ロックダウンが始まり、投機の買いで上昇したリスク資産価格(特に株)が下落するリスク。

・コロナウイルスのワクチンが年内に開発完了、欧米が集団免疫を獲得しコロナ禍が想定よりも早く収束した場合(多くの景気循環銘柄価格の上昇要因に)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は下落した。50日移動平均線のサポートを巡る攻防となったが、ノルウェーの油田労働者のストライキが回避されたことで供給不安が後退したことが売り材料となった。しかし、基本的にはレンジワークを脱していない。

【原油価格見通し】

原油価格はもみ合うものと考える。トランプ大統領の経済対策検討指示がリスクテイク意欲を回復させているが、欧州不安や大統領選挙動向の不透明感、OPECプラスが抱える膨大な余剰生産能力や、各国の高い在庫水準が、価格上昇を抑制させるため。

しばらくは、チャートを用いたテクニカルな取引が価格動向を左右すると考えられる。

目先のテーマは大統領選挙の先行きがトランプ大統領のコロナ感染の影響で、で不透明になってきたこと、英国ブレグジットを巡る混乱などの政治要因だが、これらはどのように転ぶかわからないため、明らかになるまでは基本的には「リスクオフ」の材料とされやすい。

やや懸念すべきは、需要減速、価格下落局面でよく見られることであるが、OPECの抜け駆けが続き、結束が揺らぐリスクである。この場合、原油価格は大きく下落することになる。今月15日と29日に予定されているOPECプラスには注目したい。

米中対立やそれに伴う経済活動への悪影響、実は世界のコロナ感染者数の増加ペースが加速していることを考えると、このタイミングでコロナ以前の水準に経済活動が戻るとは考え難く、上昇リスクよりは、価格急落への備え(場合によってはプットオプションの活用など)を検討すべきだろう。

なお、DOEは2019年の水準に需要が回復するのは2022年頃になると予想している。

原油価格が低水準で推移した場合、米シェールオイルの生産者のコストは平均で40ドル近辺(32ドル~60ドル程度)、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度であることから、時間経過とともに減産が進捗すると予想される。

場合によると経営破綻、という形で減産が進む可能性もあるが、価格下落リスクヘッジをしている生産者もファイナンスが困難になっているため、資金繰りが意識される3、6、9、12月末のリスクは高まるだろう。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後(ワクチン・治療薬の開発完了後)の供給」である。今のところ夏頃から経済活動が再開されるとみられるが、この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

現在すべての産油国が追加減産を実施しているが、減産後の稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

足元の価格上昇を受けてOPEC諸国が増産に転じれば、逆にその体制崩壊のリスク→価格上昇のリスクを高めることになる。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は高値圏を維持。季節的に中国の輸入需用が増える時期にあるため水準が切り上がっている。

石炭輸入の指標であるバルチック海運指数は急騰していたが、ここにきて下落に転じている。同指標は中国の石炭輸入の目安であるため、この数値が低下していることは中国の輸入活動が鈍化している可能性を示唆するもの。

【石炭価格見通し】

石炭価格は海上輸送価格が上昇すると考える。最大消費国である中国の景況感回復を受けた国内炭価格の上昇と、ピークシーズンを控えた在庫積み増しの動きを受けて、割安な海上輸送炭価格に上昇圧力が掛かると予想されるため。ほぼ予想通りの展開。

また、欧州の在庫減少に伴う天然ガス価格の上昇も価格押し上げに寄与すると予想される。

8月の中国の石炭輸入は前月から減少。前年水準を▲37.3%の2,066万トン(前月▲20.6%の2,610万トン)と大きく下回っている。中国は国内の石炭産業の強化を目的に国内生産を増加させる方向性に舵を切っているが、足元は冬場に向けた在庫積み増しの動きが見られていると考えられる。

今のところそこまで豪州炭価格が上昇していないのは、中国の制裁による影響が大きいため。

なお、大きく水準を切り下げていた中国の港湾在庫は再び減少しており、足元、過去5年平均を下回っている。国内の需給は徐々にタイト化しているとみられる。

低い水準で安定していた石炭のボラティリティは40%を上回った。VaRの概念では、現在の価格を60ドル程度とすれば、7割の確率で1年後の価格が±24ドル変動する状態であり、価格の変動リスクは増している。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲15%程度の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-8月の中国工業生産は前年比+0.4%(1-7月期▲0.4%)、月次ベースでは前年比+5.6%(前月+4.8%)と回復が加速した(フロー需要の回復=価格の上昇要因)。

回復ペースは市場予想を上回っており、企業活動が加速していることをうかがわせる内容。

・1-8月の中国小売売上高は前年比▲8.6%の23兆8,029億元(1-7月期▲9.9%の20兆4,459億元)、月次ベースでは前年比+0.5%の3兆3,571億元(前月▲1.1%の3兆2,203億元)とプラスに転じた。

中国の個人消費が回復基調にあるのは事実だが、まだ年初来の累計はマイナスであり、欧州で再度ロックダウンの懸念が強まっているため輸出需要が減速する可能性があることは価格の下落要因となる可能性(フロー需要の回復鈍化=価格の上昇を抑制)

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・UAEとイスラエルが国交正常化に向けて舵を切り、バーレーンもこれに続いた。中東の力学に変化が起きる可能性がある。

今後、オマーンやサウジアラビアなどがこれに追随するかどうかはまた不透明であり、メディアが取り上げる「イラン包囲網」が広がる可能性は高いとは言えない。

しかし、この動きが加速すれば、同地域での親イラン国との対立を強める可能性。地政学的な不安定さは、巡り巡って供給懸念を引き起こし、価格の押し上げ要因に。

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化、コロナ問題を背景に米・欧軍が中東から撤退、それを受けたISの伸長が域内情勢を不安定化させ、原油生産・供給に悪影響を与える場合(価格の上昇要因)。

また、域内で武力衝突が発生し、難民が欧州に流入した場合欧州域内の政情が混乱するため景気を下押しし、原油価格の下落要因に。

・原油価格下落を受けてOPECプラスの結束が揺らぐ場合。抜け駆け増産の加速で大幅な下落となるリスクも。

<<投機・投資要因>>・WTIは先週から転じてロングが増加、ショートが減少した。経済対策期待で強気のポジション取りに。

一方、Brentはロングが減少、ショートが増加。コロナウイルスの感染再拡大に伴う景気への懸念に加え、OPECプラスの増産観測(減産未遵守)が意識されたと考えられる。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが657,787枚(前週比 +9,165枚)ショートが186,251枚(▲460枚)ネットロングは471,536枚(+9,625枚)

Brentはロングが216,334枚(前週比▲8,061枚)ショートが133,757枚(+6,584枚)ネットロングは82,577枚(▲14,645枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属は大幅に上昇した。LME指定倉庫在庫の減少やドル安の進行、トランプ大統領の大規模追加経済対策実施指示などが材料となったが、それ以上に休み明けの中国勢が積極的に買いに入ったため、と考えられる。

昨日の上昇で多くの非鉄金属が上昇したが、特にニッケル、亜鉛、アルミの上昇が顕著。

ニッケルは特段材料がない中での上昇だったが、50日移動平均線のレジスタンスを上抜けして寄り付き、恐らくテクニカルな買いで上昇したと見られる。

亜鉛は逆に50日移動平均線のレジスタンスを上抜けできなかった。寄り付きからの上昇であり、やはり休み明けの中国勢の買いとみられる。

アルミは中国の国内石炭価格との分析で相当割安に放置されていたため、割安感から買われたと見られる。現在の石炭価格だと、1,860ドル程度までの上昇があってもおかしくない。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格はもみ合うものと考える。中国勢が休み明けで市場に復帰し、追加経済対策の実施期待による買戻しがはいると考えられる一方、投機筋の手仕舞い圧力も大統領選挙に向けて強まると予想されるため。

Q420は政治的なイベント(並びにリスク)が多く、リスク回避姿勢も根強いこと、南半球も夏場に入って鉱山生産の回復が期待されることから、価格のリスクは下向きとみている。

北半球の夏場の大規模ロックダウンは回避され、中国の公的需要に支えられた需要増加(今回の公共投資は5G分野やEVステーション設置などを予算を確保して行うため、規模はさておき「堅い」需要)が価格を支えるとしてきたが、すでに北半球は秋であり、南半球はコロナの影響が緩和すると期待される春だ。

なお、中国南部での大規模洪水は気象庁の異常気象モニターなどでは再び南部で多雨が観測されている。https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/monitor/weekly/

現地のニュースを確認するとまだ洪水は続いている、とされておりなんとも言えない。洪水は中国の建設活動の停滞を通じて需要を下押しするが、洪水終息後は復興需要が見込めるため、価格の上昇要因になると整理できる。

なお、米中対立は選挙結果によらず、悪化すると予想される。トランプ大統領は米中デカップリングを公言してはばからず、野党民主党も手段の違いはあれどベクトルは同じだ。米中デカップリングは政権が変わろうとも、メインシナリオと考えるべきである。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・9月の中国製造業PMIは51.5(前月51.0)と改善した。生産が回復し、新規受注も国内外ともに回復(新規受注 52.0→52.8、輸出新規受注 49.1→50.8)し、製造業を巡る環境が改善していることを伺わせる内容だった。

また、景況感を規模別に見てみても、悪化が続いていた中小企業の景況感が50を回復しており、想定以上に中国の製造業の状況は改善しているようだ。

ただし、完成品・原材料とも在庫が増加しており、新規受注/在庫レシオは低下しており中国国内の工業品需給は緩和し始めている可能性が高い。

・9月中国銅線生産者 98.7%(前月97.0%、過去4年平均 89.2%) 銅棒生産者 71.6%(72.7%、76.8%) 銅板生産者 69.4%(69.3%、72.5%) 銅管生産者 75.6%(77.9%、75.6%)

・8月中国銅精錬業者稼働状況 大規模事業者 90.9%(前月85.8%、過去5年平均 91.4%) 中規模事業者 85.2%(72.9%、74.8%) 小規模事業者 75.7%(72.0%、56.4%)

・1-8月の中国工業生産は前年比+0.4%(1-7月期▲0.4%)、月次ベースでは前年比+5.6%(前月+4.8%)と回復が加速した(フロー需要の回復=価格の上昇要因)。

回復ペースは市場予想を上回っており、企業活動が加速していることをうかがわせる内容。

・1-8月の中国固定資産投資には、年初来で前年比▲0.3%の37兆8,834億元(1-7月期▲1.6%の32兆9,214億元)と前年比プラスまでもう少しのところまできた。

すそ野の広い不動産開発も前年比+4.6%の8兆8,454億元(1-7月期+3.4%の7兆5,325億元)と回復基調が加速している(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

やや懸念すべきは、公的セクターの伸びが+3.2%(+3.8%)と伸びが減速、民間部門は回復しているが依然として▲2.8%(▲5.7%)と前年比マイナスである点。中国の需要の回復が公的需要にけん引されたものであることはほぼ間違いがないため、これまでの回復ペースにやや陰りが出た可能性がある。

・8月の中国の銅地金輸入は前年比+65.5%の66万8,486トン(+81.5%の76万2,211トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比▲12.6%の158万7,000トン(▲13.3%の179万5,000トン)と、地金輸入が大幅な増加、銅鉱石輸入は減少傾向を継続している。

銅精鉱のTCは9月4日段階で51.5ドルと2014年以降の最低水準になっており、鉱石市場の需給がタイト化、中国の消費者は精錬品を物色している。

ただ、上昇していた銅の現物プレミアムは再び低下しており、中国の国内需要が減少している可能性が高い。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・中国の大規模洪水の影響で中国の建設活動が大幅に停滞し、需要が減速する場合(価格下落要因)。しかし洪水終息後は復興需要が見込めるため、価格の上昇要因に。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・10月2日付のLME投機筋ポジションはまちまちだった。ベンチマークである銅はロング・ショートともに減少。ポジションクローズの動きが強まった。錫も同様。亜鉛もポジションクローズの動きが強まったが、ショートのクロージング圧力の方が強い。

逆にアルミとニッケルはロング・ショートとも増加しているが、ロングの積み幅の方が大きかった。いずれも期末期初を意識したポジション調整主体の取引だったと考えられる。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は140.8億ドル(前週153.6億ドル)と、買い越し幅を縮小した。買い越し幅の縮小幅は▲8.3%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで3,437千トン(3,520千トン)と買い越し幅を縮小した。買い越し枚数の縮小率は▲2.3%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向は海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は下落、鉄鋼製品先物価格は上昇した。

休み明けの中国勢の買いがはいり、大幅な上昇となった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は高値圏で推移しつつも、水準を切り下げる展開を予想する。

南米の生産見通しはネガティブであるが、南半球の夏場が近いこともあり生産回復への期待が強いこと、鉄鋼業PMIを見るに鉄鋼業セクターの国内の状況はその他の統計の改善ほど良い訳ではないことが背景。

一方で、中国政府のインフラ投資が今後も継続する見込みであり、中国国内の鉄鋼原料在庫水準が低いことから在庫積み増し需要もあり、下落余地は限定されると考える。

中国南部の増水は継続しているようで、鉄鋼製品需要を減じること(終息後は復興需要で価格上昇要因となるが)、急上昇していたバルチック海運指数は減速しており、鉄鉱石の調達が減速する可能性を示唆している。ブラジルは鉱山生産を再開の見通しであるため、中国の需要面の影響による可能性がある。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。但し、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから上値も重い。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は急速に減少しており、過去5年の最低水準で推移している。

原料炭の先物期間構造は全ゾーンバックワーデーションとなっている。需給はタイト化している可能性が高い。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・9月の中国鉄鋼業PMIは43.9と前月の47.0から大幅に減速した。ピークシーズンの終了や、原材料価格の高騰がレーショニングを引き起こしたようだ。

しかし、降雨の悪影響が薄らぎ、自動車販売や不動産投資も好調であり、中国政府の公共投資需要などへの期待も強く見通しは強気の企業が多いようだ。

しかし冬場の暖房期に入ると発電向け需要が増加するため環境面から鉄鋼製品の増産には下押し圧力が掛かりやすく、新規受注在庫レシオも低下しており、鉄鋼製品・鉄鋼原料需給は緩和していることから鉄鉱石価格も下押しされよう。

・中国河北省の高炉稼働率は9月25日時点で77.1%(前週77.8%、過去5年平均81.1%)と小幅に低下した。しかし、過去5年平均を下回った状態が続き、高炉の稼働率はやや低水準で安定している。

・1-8月の中国工業生産は前年比+0.4%(1-7月期▲0.4%)、月次ベースでは前年比+5.6%(前月+4.8%)と回復が加速した(フロー需要の回復=価格の上昇要因)。

回復ペースは市場予想を上回っており、企業活動が加速していることをうかがわせる内容。

・1-8月の中国固定資産投資には、年初来で前年比▲0.3%の37兆8,834億元(1-7月期▲1.6%の32兆9,214億元)と前年比プラスまでもう少しのところまできた。

すそ野の広い不動産開発も前年比+4.6%の8兆8,454億元(1-7月期+3.4%の7兆5,325億元)と回復基調が加速している(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

やや懸念すべきは、公的セクターの伸びが+3.2%(+3.8%)と伸びが減速、民間部門は回復しているが依然として▲2.8%(▲5.7%)と前年比マイナスである点。中国の需要の回復が公的需要にけん引されたものであることはほぼ間違いがないため、これまでの回復ペースにやや陰りが出た可能性がある。

・中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、8月は224万トン(前月261万トン)と記録的な水準を維持している。国内生産も7月時点で9,336万トン(前月9,158万トン)と記録的な水準となっている。

このことは、中国の国内需要が旺盛であることを示唆している。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲38.6万トンの1,500.3万トン(過去5年平均1,042.5万トン)となった。例年よりも在庫水準は高い。

・8月の中国の鉄鉱石・精鉱輸入量は、1億36万トン(前月1億1,265万トン)と減速した。豪州からの輸出が中国の報復措置によって減少したことや、洪水の影響を受けて輸入が停滞したことが影響したためと考えられる。

ただし、中国の港湾在庫の水準は絶対水準が過去5年平均を下回り、在庫日数は過去5年の最低水準で推移しており、やはり国内のインフラ向け需要が旺盛であることを伺わせる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+235万トンの1億2,265万トン(過去5年平均1億1,841万トン)、在庫日数は+1.2日の23.9日(過去5年平均 28.1日)と例年と比較して在庫水準が低く、需給ファンダメンタルズはタイトな状態が継続している。

・8月の中国の石炭輸入は前月から減少。前年水準を▲37.3%の2,066万トン(前月▲20.6%の2,610万トン)と大きく下回った。中国は国内の石炭産業の強化を目的に国内生産を増加させる方向性に舵を切っており、輸入を抑制する可能性を否定していない。

原料炭の輸入は7月は前年比▲4.9%の737万トン(前月▲4.5%の626万トン)と前年比マイナスだが過去5年平均程度を上回り、再び輸入が加速した。

中国の主要な原料炭の輸入港である京唐の港湾在庫の水準は大幅に低下し、過去5年平均を下回っている。そのため輸入が回復したと考えられるが、国内生産の増加もあって前年比ではマイナスとなっているようだ。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は上昇した。トランプ政権が共和党・民主党の政策も上回る規模の経済対策実施を示唆したことでリスクテイク意欲が回復、実質金利が低下し、ドルが断続的に下落したことが材料となった。

長期的な視点では実質金利の金価格に対する説明力が高いが、短期的にはリスクオンオフを背景とする、ドル指数動向の価格に対する説明力が高まっている。

銀価格も金価格の上昇を受けて大幅に上昇、PGMも金価格の上昇と株高が価格を押し上げた。

【貴金属価格見通し】

金銀はもみ合うものと考える。足元、金利動向ではなく、欧州の政局、米国の大統領選挙を睨んだ政治要因で動かされている為替動向に貴金属価格左右されているが、その政治の方向性が不透明であるため。

足元、実質金利よりも為替の説明力が高まっているため、欧州情勢や米国の大統領選挙、米中対立といった政策要因の変化が貴金属価格を左右すると考えられる(リスクオンによるドル安で価格上昇、リスクオフで価格下落。詳しくは本日のMRA's Eyeをご参照下さい)。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスク・プレミアム)は285ドルと前日から+30ドル上昇している。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

ただ、米国の金融緩和が継続することは間違いがなく、名目金利が低い水準に抑制されることから金の「基準価格」は1,650ドル程度で推移し、金価格の発射台となる基準価格は切り上がっている。

FRBの政策が奏功すれば期待インフレ率の上昇が名目金利の上昇を上回ることになるため、実質金利低下を促し金価格にはプラスとなる。但しそれはまだ先になると考えられる。

金価格の実質金利に対する感応度は1bpあたり3.5ドル程度だったが、現在は6.4ドルに上昇している。名目金利に対する感応度は9.5ドルまで上昇していたが現在は1.8ドルと低下している。このことは、「期待インフレ率」の価格への影響が増していることを示唆している。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、76.6倍。過去1年を基準にすると95倍程度、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当だが、足元、80倍で落ち着いている。

銀価格の下落はいったん歯止めがかかった。再びバブル的に銀が物色される可能性は否定できない。しかしその場合でも、常に急落リスクは意識せざるを得ないだろう。

欧州危機・米国債格下げ危機があった2010年~2011年、銀価格は供給過剰にもかかわらずバブル状態となり、ハント兄弟事件以来の50ドルに迫った後、急速に価格を切り下げたときと程度は違うが展開が類似しているためである。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)している点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによるが、各国の準備金や市場取引の担保価値が認められている金のほどの安全資産としては認知されていないため、金価格に主導されつつも、準通貨の位置付けではない銀と性質が似ていることも無視できない要素の1つである。

パラジウムは価格は景気の先行きが明確に悪いこと、自動車セクターの回復は緩やかなものにとどまる見通しであることから実需面は価格を下押ししやすい。

しかし、ETF残高とパラジウム価格の連動性が高まっており(管理在庫増加→価格上昇)、一時の、ETF管理在庫減少→価格上昇、のメカニズムから変化してきている。

在庫取り崩し→価格上昇は実際に需給がタイトで、現物確保のためにETFを取り崩さなければならなかったからだが、現在はこれと逆のことが発生している訳で、足元、パラジウムの需給は緩和していると見られる。今後はETFの動向に注目する必要があろう。

9月の米自動車販売は年率1,634万台(市場予想 1,570万台、前月 1,519万台)と、市場予想を上回る回復となった。ただし、コロナ以前の水準に自動車販売が戻るには相当の時間がかかる見込みであり、PGM価格の押し上げ効果は限定的なものとなろう。

中国の8月の自動車販売は中国自動車工業協会の速報で前年比+11.3%の218万台になると予想されている。7月は前年比+16.8%の211万台(前月+11.6%の230万台)と前月比マイナスだったが、前年比では伸びが拡大した。

年初来の販売累計は▲12.6%の1,234万台(前月▲16.9%1,023万台)と前年比マイナスの状態は変わらず。

中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻ることは難しく、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

但し、自動車販売が政策のサポートもあって回復トレンドにあることは事実であり、PGM価格の上昇要因になると考える。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・各国とも政策金利をゼロ近傍に下げており、量的緩和規模も拡大。あとは更に規模を拡大するか、量的緩和時の投資対象を拡大するぐらいしかなくなってきた。

これで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはロシアでは銅・ニッケルの、南アフリカ・米国ではプラチナの副産物として生産されるため(副産物としての供給が8割)、急な増産が困難であり供給面の制限が価格を下支えする状況に変わりはない。

<<特殊要因>>

・コロナ対策で過剰な財政出動が行われており、終息後に各国の財政・信用不安が意識される場合(価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・生産拠点を自国に回帰させる動きやリモートの定着による成長鈍化が、新興国の財政状況を悪化させる場合(価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが320,922枚(前週比 +4,816枚)、ショートが72,335枚(▲112枚)、ネットロングは248,587枚(+4,928枚)、銀が75,358枚(+727枚)、ショートが34,101枚(+200枚)、ネットロングは41,257枚(+527枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが27,125枚(前週比 +71枚)ショートが18,530枚(+1,300枚)、ネットロングは8,595枚(▲1,229枚)

パラジウムが5,486枚(+582枚)、ショートが2,292枚(+26枚)ネットロングは3,194枚(+556枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場はまちまち。大豆は米需給報告で在庫見通しが前月から半分程度に大幅に下方修正されたことで、需給タイト感が強まり上昇、トウモロコシは市場予想程強気な内容ではなかったものの、大豆価格の上昇に連れる形となった。

小麦価格はトウモロコシ・大豆の上昇に連れる局面もあったが、米需給報告から得られる情報が少ないため、さほど大きな変化にはならなかった。

【穀物価格見通し】

トウモロコシ価格は想定よりも四半期末在庫水準が低かったことや、ドル安基調の回復で上昇余地を試す展開になると考える。ただし輸送燃料需要の回復は遅れており、エタノール向け需要の先行きは不透明であり、上値も重い。

大豆は米需給報告だで米大豆在庫の減少見通しが示されたことや、中国が米国からの輸入を増加させる方針を継続していること、ドル高の一服が価格を押し上げると予想。

小麦も在庫の水準低下、ユーロ安・ドル高基調の一服で上昇余地を探る動きに。

バッタ被害はLocust Watchでは、エチオピア、イエメン、ケニア、サウジアラビアの一部でで深刻な状態が続いているが影響は低下している。

西部に広がっていたバッタの固体(群棲相を形成していない)はチャド程度で留まっており、今のところは被害が拡大する懸念は低下している。

コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家があったが、今度は収穫期にコロナウイルスの影響で人員が確保できず、収穫に影響が出る可能性がある。

近年、食品価格に対して影響が大きいラニーニャ現象が発生していることもあり、年後半にかけての穀物価格の見通しは強気。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・10月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 147億2,200万Bu(148億2,261万Bu、149億Bu)大豆 42億6,800万Bu(42億8,789万Bu、43億1,300万Bu)小麦 18億2,600万Bu(前月18億3,800万Bu)

・10月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 21億6,700万Bu(21億2,004万Bu、25億300万Bu)大豆 2億9,000万Bu(3億6,293万Bu、4億6,000万Bu)小麦 8億8,300万Bu(8億9,041万Bu、9億2,500万Bu)

・10月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 178.4Bu/エーカー177.86Bu/エーカー、178.5Bu/エーカー)大豆 51.9Bu/エーカー(51.7Bu/エーカー、51.9Bu/エーカー)小麦 49.7Bu/エーカー(前月50.1Bu/エーカー)

・9月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 19億億9,500万Bu(22億6,554万Bu、52億2,400万Bu)大豆 5億2,300万Bu(5億7,838万Bu、13億8,600万Bu)小麦 21億5,900万Bu(22億4,035万Bu、10億4,400万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが394,070枚(前週比 +27,171枚)、ショートが168,396枚(▲16,611枚)ネットロングは225,674枚(+43,782枚)

大豆はロングが310,432枚(+11,984枚)、ショートが53,149枚(▲5,427枚)ネットロングは257,283枚(+17,411枚)

小麦はロングが132,563枚(+10,424枚)、ショートが95,292枚(▲489枚)ネットロングは37,271枚(+10,913枚)

◆本日のMRA's Eye


「為替の金価格への説明力増す」

調整圧力が強まっていた金価格であるが、中国勢が市場に復帰した影響もありほかの鉱物資源と同様、金曜日は大幅な上昇となった。

このコラムでくり返し説明しているように、金価格に対する説明力が最も高いのは実質金利動向であるが、短期的にこの説明力が低下しているように見える。

足元、実質金利動向ではなく、欧州の政局、米国の大統領選挙を睨んだ政治要因で動かされている、為替動向に貴金属価格左右されていると考えられる。

長期的には金価格は米実質金利の説明力が高く、期間1年の価格相関は▲0.98(マイナスなので逆相関。実質金利が低下すると金価格が上昇し、上昇すると下落する)。

一方、ドル指数と金価格の創刊係数は▲0.70と逆相関であることは同じだが、実質金利と比較するとかなり低い。

この数値を二乗した決定係数ベースでは、実質金利が95.4%であるのに対してドル指数は48.9%だ。これは金価格の51.1%が、為替レート以外の要素で決定していることを意味する。

しかし、この1ヵ月に限ると実質金利の決定係数が62.1%、ドル指数が83.2%となっており説明力が逆転している。

これは、「実質金利の構成要素である米10年国債利回りの低下幅が限定され、期待インフレ率も高止まりしていること」が要因だ。

金価格の名目金利に対する感応度は9.5ドルまで上昇していたが現在は1.8ドルと低下している。一方、実質金利への感応度は6.4ドルと高い。このことは、「期待インフレ率」の金価格への影響が増していることを示唆している。

もちろん、FRBがYCCに舵を切ったり、これまでのインフレ政策が奏功して期待インフレ率が上昇すれば金価格が実質金利要因で上昇する可能性は高い。

YCCの実施にFRBは否定的であるため、あるとすれば期待インフレ率への説明力が高い原油価格が上昇して、期待インフレ率が上昇する場合だろう。現在の原油価格の水準を考えると、期待インフレ率が急速に上昇する可能性は低い。

ただ、米国の金融緩和が継続することは間違いがなく、名目金利が低い水準に抑制されることから金の「基準価格」は1,650ドル程度で推移し、金価格の発射台となる基準価格は高い状態が続く。

中長期的に実質金利の金価格への説明力が高い状態は続くと考えているが、為替(ドル指数)の、「金利要因によらない」日々の値動きが金価格に与える影響は増すと考えられる。

なお、ドル指数が低下すると、名目のドル建て資産価格は上昇する。

金(に限った話ではないが)が本来持っている「本源的価値」は為替レートが変動したとしても変わらないが、ドルの価値が相対的に下落(ドル安)した場合、「今までと変わらない価値を有する金を、ドルで購入するには今までよりも多くのドルが必要になる」ため、ドル建て資産の価格は上昇することになる。

足元、リスクオンではドル安、リスクオフではドル高の傾向が強く、その引き金が政治の決定によるところが大きい。

金価格はリスク回避のときに物色される、というイメージが強いが、恐らくしばらくはリスク選好が高まると金価格が上昇し、回避姿勢が強まると金価格は下落すると予想される。

いずれにしてもこれまで然程意識されていなかった、為替の影響を注視する必要があるのではないか。

◆主要ニュース


・8月日本経常収支(季節調整済)1兆6,475億円の黒字(9,642億円の黒字)(調整前)2兆1,028億円の黒字(1兆4,683億円)
 貿易収支 5,412億円の黒字(557億円の黒字)
 輸出 5兆5,396億円(5兆906億円)
 輸入 4兆5,396億円(5兆349億円)
 サービス収支 ▲3,771億円の赤字(▲1,973億円の赤字)
 第一次所得収支 1兆6,967億円の黒字(1兆2,124億円の黒字)

・9月東京都心オフィス空室率 3.43%(前月 3.07%)

・9月日本景気ウォッチャー調査 現状判断DI 49.3(前月43.9)
 先行き判断DI 48.3(42.4)

・8月日本毎月勤労統計 現金給与総額 前年比▲1.3%(前月▲1.5%)
 実質賃金総額▲1.4%(▲1.8%)

・8月日本家計支出 前年比▲6.9%(前月▲7.6%)

・9月中国財新サービス業PMI 54.5(前月55.1)、コンポジット 54.8(54.0)

・8月独経常収支 165億ユーロの黒字(前月210億ユーロの黒字)
 貿易収支128億ユーロの黒字(192億ユーロの黒字)
 輸出 前月+2.4%(+4.7%)、輸入+5.8%(+1.1%)

・米週間新規失業保険申請件数 840千件(前週849千件)
 失業保険継続受給者数 10,976千人(11,979千人)

・8月米卸売在庫 前月比+0.4%(速報比▲0.1%、前月▲0.1%)
 卸売売上高 +1.4%(+4.8%)

・9月OECD景気先行指数
 OECD 98.8(前月 98.5)
 ユーロ圏 98.0(97.9)
 アジア 98.8(98.4)
 G7 98.7(98.4)
 日本 98.8(98.6)
 ドイツ 99.5(99.3)
 米国 98.6(98.2)
 中国 100.1(99.5)
 インド 96.8(96.7)
 ロシア 98.8(98.8)

・インド中銀、レポレートを4.00%で据置 、リバースレポレートを3.35%で据置、預金準備率を3.00%で据置。

・台湾蔡英文総統、中国のとの緊張の高まりで防衛力増強を主張。

・中国、国家の安全維持に関わる貨物・技術・サービスを対象に、管理品目リストを作成。中国の輸出企業は顧客企業と用途に関する証明書を提出し、輸出の可否を当局が判断するなど、管理貿易に。米国と同盟国を対象としたものである可能性が高い。

・ホワイトハウス側は新型コロナウイルスを巡る追加の経済対策を1.8兆ドルに増額して野党・民主党に再提出する準備をしていたが、トランプ大統領は「民主党や共和党の提案よりももっと大規模な経済対策を望む」と発言し、方針を180度転換。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE天然ガス稼働在庫 3,831BCF(前週比+75BCF)
 東部 893BCF(+21BCF)
 中西部 1,062BCF(+29BCF)
 山間部 236BCF(+5BCF)
 太平洋地区318BCF(+2BCF)
 南中央 1,322BCF(+18BCF)

・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数193(前週比+4)
 ガスリグ 73(前週比▲1)。

・ノルウェーの原油・ガス生産の8%の停止を余儀なくされていた油田労働者のストライキは調停の成功で終了。

【メタル】
・チリ Collahuasi鉱山(2019年生産量565,400トン)の労使交渉、早期に妥結。

・住友商事・住友金属鉱山、チリのSiera Gorda銅山の権益45%を売却を検討。2011年から事業に参画したが、2014年時点で清算効率が想定を下回るなど不振が続き、拡張工事の遅れなどもあったため、事業ポートフォリオの見直し対象となった。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.銀 ( 貴金属 )/ +5.52%/ +40.90%
2.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +4.34%/ +25.22%
3.LMEニッケル 3M ( ベースメタル )/ +3.58%/ +7.93%
4.SHF天然ゴム ( その他農産品 )/ +3.04%/ ▲4.48%
5.プラチナ ( 貴金属 )/ +2.95%/ ▲7.63%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲4.95%/ +37.50%
65.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲2.39%/ +4.85%
64.NYM RBOB ( エネルギー )/ ▲2.31%/ ▲29.13%
63.DME Oman ( エネルギー )/ ▲1.77%/ ▲37.39%
62.ICEココア ( その他農産品 )/ ▲1.66%/ ▲4.25%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :28,586.90(+161.39)
S&P500 :3,477.13(+30.30)
日経平均株価 :23,619.69(▲27.38)
ドル円 :105.62(▲0.41)
ユーロ円 :124.91(+0.23)
米10年債 :0.77(▲0.01)
中国10年債利回り :3.19(+0.05)
日本10年債利回り :0.04(▲0.00)
独10年債利回り :▲0.53(▲0.00)
ビットコイン :11,041.96(+143.91)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :35.42(+0.39)
エネルギー :55.61(+0.16)
ベースメタル :19.86(+0.46)
貴金属 :35.51(+2.16)
穀物 :25.88(▲0.51)
その他農畜産品 :36.07(+0.36)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :46.66(+0.5)
Brent :40.29(+0.23)
米天然ガス :138.64(▲0.51)
米ガソリン :48.40(+1.05)
ICEガスオイル :41.90(▲0.41)
LME銅 :20.19(+1.13)
LMEアルミニウム :17.51(+0.34)
金 :23.12(▲0.49)
プラチナ :40.22(+1.7)
トウモロコシ :23.75(▲0.09)
大豆 :23.12(▲0.49)

【エネルギー】
WTI :40.60(▲0.59)
Brent :42.85(▲0.49)
Oman :42.21(▲0.76)
米ガソリン :120.32(▲2.84)
米灯油 :119.33(+0.10)
ICEガスオイル :347.00(+3.50)
米天然ガス :2.74(+0.11)
英天然ガス :38.30(▲0.40)

【貴金属】
金 :1930.40(+36.58)
銀 :25.15(+1.32)
プラチナ :892.83(+25.60)
パラジウム :2440.91(+61.49)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,741(+119:0.5C)
亜鉛 :2,434(+61:18C)
鉛 :1,794(±0.0:14.5C)
アルミニウム :1,820(+18:14.5C)
ニッケル :15,028(+300:38C)
錫 :18,200(+25:10B)
コバルト :33,508(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6772.00(+102.50)
亜鉛 :2427.00(+43.00)
鉛 :1819.00(+26.50)
アルミニウム :1847.00(+48.00)
ニッケル :15175.00(+525.00)
錫 :18235.00(+100.00)
バルチック海運指数 :1,892.00(▲78.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :124.07(+1.27)
SGX鉄鉱石 :124.76(+2.64)
NYMEX鉄鉱石 :123.49(+1.03)
NYMEX原料炭スワップ先物 :136.71(▲0.22)
上海鉄筋直近限月 :3,637(+24)
上海鉄筋中心限月 :3,612(+59)
米鉄スクラップ :292(±0.0)

【農産物】
大豆 :1065.50(+15.50)
シカゴ大豆ミール :363.10(+3.90)
シカゴ大豆油 :34.15(+0.91)
マレーシア パーム油 :3020.00(+20.00)
シカゴ とうもろこし :395.00(+8.00)
シカゴ小麦 :593.75(▲1.50)
シンガポールゴム :199.80(+4.70)
上海ゴム :12045.00(+355.00)
砂糖 :14.23(+0.06)
アラビカ :111.55(+1.30)
ロブスタ :1260.00(+9.00)
綿花 :67.64(+1.45)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :78.13(+0.78)
シカゴ生牛 :109.88(+0.18)
シカゴ飼育牛 :138.25(+0.20)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。