CONTENTSコンテンツ

米大統領コロナ感染で総じて軟調
  • MRA商品市場レポート

2020年10月5日 第1832号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米大統領コロナ感染で総じて軟調」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:大幅下落。トランプ大統領のコロナ感染拡大報道とブレグジットを巡る混乱で経済活動が鈍化するとの見方が強まり、テクニカルな売りも重なったため。

一旦買戻しが入ると考える。しかし、大統領選を巡る不透明感や、この数日の下落でテクニカルに下値を試しやすい地合いにあり、軟調推移を予想。

◆非鉄金属:下落後大幅に上昇。米大統領のコロナ感染拡大報道を受けて大幅に下落していたが、LME指定倉庫在庫の減少を受け、この2日間の下げ幅が大きかったことからの買戻しが入ったため。

米大統領選を巡る混乱による投機筋の手仕舞いの動きと、割安感からの買戻しでもみ合い。但し、最大の買い手である中国勢が不在のため、総じて軟調に推移すると予想。

◆鉄鋼・鉄鋼原料:鉄鉱石価格は下落、原料炭価格は上昇、鉄鋼製品は中国市場が休場。

中国勢が長期連休で買い手不在の中、軟調な推移を予想。

◆貴金属:上昇後下落し前日比マイナス。トランプ大統領のコロナ感染報道を受けて上昇も、米統計などを材料に米長期金利・実質金利が上昇したため。

米大統領選を巡る混乱や欧州情勢不安を受けて上昇も、ドル高が進行しやすいこともありもみあい推移か。

◆穀物:トウモロコシ・大豆は下落、小麦は上昇。前日から引き続き、ポジション調整主体の取引となった。

今週発表の需給報告を控えて方向感出難くく、もみ合いを予想。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて軟調な推移となった。アジア時間に米トランプ大統領がツイッターで「コロナウイルスに感染した」と発言したことを受けて、米大統領選がさらに混乱するとの見方が広がり、「影響がよくわからない」ことから市場参加者の手仕舞いの動きが相次いだため。

また、同時に、欧州のブレグジットを巡る交渉が難航していることも市場参加者のリスク回避姿勢を強める結果となった。

但し、そもそも需給ファンダメンタルズがタイトな非鉄金属だけは、この下落を好機ととらえた市場参加者の安値拾いの買いが入り、総じて前日比プラスで引けることとなった。昨日の価格上昇の上位はほとんどがLME非鉄金属で占められている。

※商品市場分析入門のお求めはこちらから
https://www.amazon.co.jp/dp/447810445X/

※原材料価格のリスクマネジメントのお求めはこちらから
https://www.amazon.co.jp/dp/4478104468/

【本日の見通し総括】

週明け月曜日も引き続き、政治的な動きに左右される展開が予想されるが、同時に重要な指標の発表も予定されているため、非常に神経質な推移となると予想される。

ただ、非鉄金属を除けば大幅に下落しているため、まずは一旦買戻しが入ると予想される。

製造業は政府の経済対策の効果で回復しているが、サービス業に減速感が出てきているのは否めない。より景気への先行性が高い米ISM製造業指数は減速しているが、ISM非製造業指数も56.2(前月56.9)と減速見込みである。

米サプライズ指数は減速を始めており市場予想を下回る可能性も低くなく、景気循環系商品には最終的に下押し圧力が掛かるだろう。

【昨日のトピックス】

昨日発表された雇用統計は非農業部門雇用者数が+66.1万人(市場予想+85.9万人、前月+148.9万人)と市場予想、前月ともに下回り雇用環境の改善ペースが鈍化していることを確認する内容だった。

米国経済は改善しているものの、コロナによる景気減速を回避するために実施された政策の効果が一巡し、改善ペースが鈍化していることを示唆している。通常、景気刺激策で景気が回復し自律回復に至るというパスを経るが、今回のコロナの影響による生活様式の変化から、従来の自律回復軌道に戻るわけではなさそうだ。

ただ、FRBが注目している雇用環境に関して言うと失業率が8.4%から7.9%に低下しており、一連の政策の効果が雇用情勢の改善に寄与していることを伺わせる内容。

しかし、一時解雇者数が減少しているものの、解雇者数は増加している。解雇者数が400万人を超えたのは昨日のこのコラムでコメントしたが、リーマンショック以来であり、この時は400万人を下回るまで6年近くを要した。米国の産業構造が変化していく可能性が有ることを示唆している。

おそらく米景気の回復は市場が事前に予想していたよりも長くかかるのではないか。

雇用関係とは異なるが、トランプ大統領がコロナウイルスに感染したことが分かった。これにより少なくとも2週間は隔離されることになるため、大統領候補同士の討論会は少なくとも2回目は実施されないだろう。

この問題で有権者は改めて、「高齢な大統領に万一のことがあった場合」を強く意識させられることになる。つまり、年齢的にも若い副大統領候補がどのような人物であり、将来米国を任されられる人物かどうか、ということが急速に選挙の装填になる可能性が有る、ということである。

ペンスは真面目で敬虔な保守のクリスチャン、ハリスはこれと正反対の情熱的な人物だ。トランプとバイデンが攻と守であれば、ペンスとハリスはこの逆で守と攻である。

想定していなかった事態で、大統領選挙の行方が大きく変わることになるかもしれない。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標は回復基調にあるものの、米中以外はまだ低迷した状態。

製造業・サービス業とも経済活動が回復しているが、コロナ以降の生活様式の変化でロックダウン解除や政策を織り込んだ回復はそろそろ限界。今後、感染ピークになる可能性がある冬場に向けて一時的に調整する可能性。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(▲3.0%→▲4.9%)ている。2021年に関しても+5.8%→+5.4%と下方修正した。

結局、コロナウイルスの影響が2021年意向も残存することが前提となっている。ただ、この冬場の再ロックダウン時の経済への影響は、2020年初に見られたほどの過激なものにはならず、半分程度にとどまるケースをメインシナリオとしている。

・各国中央銀行、特に先進国の中央銀行はコロナ対策で政策金利をほぼゼロ近傍まで引き下げており量的緩和規模も拡大、これ以上打てる手がなくなった状態。

もちろん、量的緩和規模の拡大や投資対象の拡大などの追加手段は考えられるが、経済への直接的な影響は、先行事例である日本や欧州を見るにそれほど大きくない。

クライシスが再び発生した場合のリスクはより高まっていると考えるべき。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・コロナウイルスが冬場に再拡大し、北半球の冬場に再度感染拡大→経済活動自粛、という流れになるリスク。

同時にワクチン開発が進捗して経済活動の回復が加速することも、景気循環系商品にとってはアップサイドのリスクに。

・米中の対立激化による新冷戦構造の発現。

米国が中国と共生体制になっていのは経済的なメリットがあったからだが、リーマンショック、コロナショックを通じて中国よりもデメリットが大きい(人民元安誘導など)ことがわかったため、米国が中国からのデカップリングを進める可能性は高い(むしろもうメインシナリオと考えるべきか)。

・米大統領選挙を巡る混乱。

反中に転じたバイデン氏が今のところ有利に選挙戦を進めているとみられるが、バイデン勝利の場合、より他国と連携して中国包囲網を強めるとみられるため、貿易量の減少を通じて景気循環系商品価格の下落要因に。

また、バイデン勝利の場合増税への懸念が強まるため株価にはマイナスと判断されており、この場合、株下落に伴う逆資産効果で商品価格の下押し要因となる可能性。

・生産拠点を自国に回帰させる動きや、リモートの定着による成長鈍化が、新興国(資源国の多くも新興国)の財政状況を悪化させ、自国を含む域内景気への悪影響を及ぼす懸念(価格の乱高下要因)。

・欧州の政治混乱(トルコと欧州の関係悪化、ハードブレグジットなど)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・年後半に再度ロックダウンが始まり、投機の買いで上昇したリスク資産価格(特に株)が下落するリスク。

・コロナウイルスのワクチンが年内に開発完了、欧米が集団免疫を獲得しコロナ禍が想定よりも早く収束した場合(多くの景気循環銘柄価格の上昇要因に)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は大幅に下落した。アジア時間にトランプ大統領がコロナウイルスに感染したと自身のツイッターに投稿したことをきっかけに、米大統領選挙を巡る不透明感が高まったことで、リスク回避の動きが強まったことが背景。

米雇用統計で雇用者数の増加が市場予想を下回ったものの改善が続いていること、失業率の低下などを背景に若干の買戻しが入ったが影響は限定された。

今回の下落で原油は重要なサポートラインを下回っており、月曜日以降も下落が続くようであればしばらく弱気相場入りする可能性が出てきた。

【原油価格見通し】

原油価格は軟調な推移になると考える。週末の下落でチャートのサポートラインを下回ったことで、テクニカルな売り圧力が強まるため。

目先のテーマは大統領選挙の先行きがトランプ大統領のコロナ感染で不透明になってきたこと、英国ブレグジットを巡る混乱などの政治要因だが、これらはどのように転ぶかわからないため、明らかになるまでは基本的には「リスクオフ」の材料とされやすい。

但し金融緩和は継続し、大きく下落する局面ではOPECプラスも追加減産をためらわないとみられること、減速しつつも景気は中期的に回復基調にあることから下落余地も限定されると考える。

やや懸念すべきは、需要減速、価格下落局面でよく見られることであるが、OPECの抜け駆けが続き、結束が揺らぐリスクである。この場合、原油価格は大きく下落することになる。10月に予定されているOPECプラスには注目したい。

米中対立やそれに伴う経済活動への悪影響、実は世界のコロナ感染者数の増加ペースが加速していることを考えると、このタイミングでコロナ以前の水準に経済活動が戻るとは考え難く、上昇リスクよりは、価格急落への備え(場合によってはプットオプションの活用など)を検討すべきだろう。

なお、DOEは2019年の水準に需要が回復するのは2022年頃になると予想している。

原油価格が低水準で推移した場合、米シェールオイルの生産者のコストは平均で40ドル近辺(32ドル~60ドル程度)、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度であることから、時間経過とともに減産が進捗すると予想される。

場合によると経営破綻、という形で減産が進む可能性もあるが、価格下落リスクヘッジをしている生産者もファイナンスが困難になっているため、資金繰りが意識される3、6、9、12月末のリスクは高まるだろう。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後(ワクチン・治療薬の開発完了後)の供給」である。今のところ夏頃から経済活動が再開されるとみられるが、この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

現在すべての産油国が追加減産を実施しているが、減産後の稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

足元の価格上昇を受けてOPEC諸国が増産に転じれば、逆にその体制崩壊のリスク→価格上昇のリスクを高めることになる。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落したが、高値圏を維持した。季節的に中国の輸入需用が増える時期にあるため水準が切り上がっている。

石炭輸入の指標であるバルチック海運指数が上昇していたこと、中国国内炭価格の上昇があったことで海外炭との価格差が拡大していたことが背景。

【石炭価格見通し】

石炭価格は海上輸送価格が上昇すると考える。最大消費国である中国の景況感回復を受けた国内炭価格の上昇と、ピークシーズンを控えた在庫積み増しの動きを受けて、割安な海上輸送炭価格に上昇圧力が掛かると予想されるため。ほぼ予想通りの展開。

また、欧州の在庫減少に伴う天然ガス価格の上昇も価格押し上げに寄与すると予想される。

8月の中国の石炭輸入は前月から減少。前年水準を▲37.3%の2,066万トン(前月▲20.6%の2,610万トン)と大きく下回っている。中国は国内の石炭産業の強化を目的に国内生産を増加させる方向性に舵を切っているが、足元は冬場に向けた在庫積み増しの動きが見られていると考えられる。

今のところそこまで豪州炭価格が上昇していないのは、中国の制裁による影響が大きいため。

なお、大きく水準を切り下げていた中国の港湾在庫は再び減少しており、足元、過去5年平均を下回っている。国内の需給は徐々にタイト化しているとみられる。

低い水準で安定していた石炭のボラティリティは40%を上回った。VaRの概念では、現在の価格を60ドル程度とすれば、7割の確率で1年後の価格が±24ドル変動する状態であり、価格の変動リスクは増している。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲15%内外の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-8月の中国工業生産は前年比+0.4%(1-7月期▲0.4%)、月次ベースでは前年比+5.6%(前月+4.8%)と回復が加速した(フロー需要の回復=価格の上昇要因)。

回復ペースは市場予想を上回っており、企業活動が加速していることをうかがわせる内容。

・1-8月の中国小売売上高は前年比▲8.6%の23兆8,029億元(1-7月期▲9.9%の20兆4,459億元)、月次ベースでは前年比+0.5%の3兆3,571億元(前月▲1.1%の3兆2,203億元)とプラスに転じた。

中国の個人消費が回復基調にあるのは事実だが、まだ年初来の累計はマイナスであり、欧州で再度ロックダウンの懸念が強まっているため輸出需要が減速する可能性があることは価格の下落要因となる可能性(フロー需要の回復鈍化=価格の上昇を抑制)

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・UAEとイスラエルが国交正常化に向けて舵を切り、バーレーンもこれに続いた。中東の力学に変化が起きる可能性がある。

今後、オマーンやサウジアラビアなどがこれに追随するかどうかはまた不透明であり、メディアが取り上げる「イラン包囲網」が広がる可能性は高いとは言えない。

しかし、この動きが加速すれば、同地域での親イラン国との対立を強める可能性。地政学的な不安定さは、巡り巡って供給懸念を引き起こし、価格の押し上げ要因に。

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化、コロナ問題を背景に米・欧軍が中東から撤退、それを受けたISの伸長が域内情勢を不安定化させ、原油生産・供給に悪影響を与える場合(価格の上昇要因)。

また、域内で武力衝突が発生し、難民が欧州に流入した場合欧州域内の政情が混乱するため景気を下押しし、原油価格の下落要因に。

・原油価格下落を受けてOPECプラスの結束が揺らぐ場合。抜け駆け増産の加速で大幅な下落となるリスクも。

<<投機・投資要因>>・WTIは先週から転じてロング・ショートとも増加したがショートの増加のほうが顕著。Brentはロング・ショートとも減少したが、ロングの減少が顕著。

WTIは供給の増加、欧州は景気の減速が意識されているためと考えられる。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが648,622枚(前週比 +688枚)ショートが186,711枚(+11,546枚)ネットロングは461,911枚(▲10,858枚)

Brentはロングが224,395枚(前週比▲7,296枚)ショートが127,173枚(▲322枚)ネットロングは97,222枚(▲6,974枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属は大幅に下落後上昇。米大統領のコロナ感染拡大を受けて大幅に下落していたが、この2日間の下げ幅が大きかったことや、米大統領選を巡る混乱はあるものの、最大消費国である中国の国内需要に関しては然程影響がなく、LME指定倉庫在庫の減少も継続していることから、買戻しが入った。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は米大統領選を巡る混乱や欧州のコロナウイルス感染再拡大、中国勢不在の中、投機の売り圧力に押されて軟調な推移になると考える。

しかし、まだLME指定倉庫在庫の減少が続き、引き続き各国の経済対策期待や、最大消費国である中国の公共投資に主導された回復が続くと予想されるため、下落余地も限定されると予想する。

とはいえ、この四半期は政治的なイベントリスクが多くリスクマインドも高く、南半球も夏場に入って鉱山生産の回復が期待されることから、リスクは下向きとみている。

北半球の夏場の大規模ロックダウンは回避され、中国の公的需要に支えられた需要増加(今回の公共投資は5G分野やEVステーション設置などを予算を確保して行うため、規模はさておき「堅い」需要)が価格を支えるとしてきたが、すでに北半球は秋であり、南半球はコロナの影響が緩和すると期待される春だ。

なお、中国南部での大規模洪水は気象庁の異常気象モニターなどでは沈静化したようだ。
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/monitor/weekly/

しかし現地のニュースを確認するとまだ洪水は続いている、とされておりなんとも言えない。洪水は中国の建設活動の停滞を通じて需要を下押しするが、洪水終息後は復興需要が見込めるため、価格の上昇要因になると整理できる。

なお、米中対立は選挙結果によらず、悪化すると予想される。トランプ大統領は米中デカップリングを公言してはばからず、野党民主党も手段の違いはあれどベクトルは同じだ。米中デカップリングは政権が変わろうとも、メインシナリオと考えるべきである。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・9月の中国製造業PMIは51.5(前月51.0)と改善した。生産が回復し、新規受注も国内外ともに回復(新規受注 52.0→52.8、輸出新規受注 49.1→50.8)し、製造業を巡る環境が改善していることを伺わせる内容だった。

また、景況感を規模別に見てみても、悪化が続いていた中小企業の景況感が50を回復しており、想定以上に中国の製造業の状況は改善しているようだ。

ただし、完成品・原材料とも在庫が増加しており、新規受注/在庫レシオは低下しており中国国内の工業品需給は緩和し始めている可能性が高い。

・9月中国銅線生産者 98.7%(前月97.0%、過去4年平均 89.2%) 銅棒生産者 71.6%(72.7%、76.8%) 銅板生産者 69.4%(69.3%、72.5%) 銅管生産者 75.6%(77.9%、75.6%)

・8月中国銅精錬業者稼働状況 大規模事業者 90.9%(前月85.8%、過去5年平均 91.4%) 中規模事業者 85.2%(72.9%、74.8%) 小規模事業者 75.7%(72.0%、56.4%)

・1-8月の中国工業生産は前年比+0.4%(1-7月期▲0.4%)、月次ベースでは前年比+5.6%(前月+4.8%)と回復が加速した(フロー需要の回復=価格の上昇要因)。

回復ペースは市場予想を上回っており、企業活動が加速していることをうかがわせる内容。

・1-8月の中国固定資産投資には、年初来で前年比▲0.3%の37兆8,834億元(1-7月期▲1.6%の32兆9,214億元)と前年比プラスまでもう少しのところまできた。

すそ野の広い不動産開発も前年比+4.6%の8兆8,454億元(1-7月期+3.4%の7兆5,325億元)と回復基調が加速している(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

やや懸念すべきは、公的セクターの伸びが+3.2%(+3.8%)と伸びが減速、民間部門は回復しているが依然として▲2.8%(▲5.7%)と前年比マイナスである点。中国の需要の回復が公的需要にけん引されたものであることはほぼ間違いがないため、これまでの回復ペースにやや陰りが出た可能性がある。

・8月の中国の銅地金輸入は前年比+65.5%の66万8,486トン(+81.5%の76万2,211トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比▲12.6%の158万7,000トン(▲13.3%の179万5,000トン)と、地金輸入が大幅な増加、銅鉱石輸入は減少傾向を継続している。

銅精鉱のTCは9月4日段階で51.5ドルと2014年以降の最低水準になっており、鉱石市場の需給がタイト化、中国の消費者は精錬品を物色している。

ただ、上昇していた銅の現物プレミアムは再び低下しており、中国の国内需要が減少している可能性が高い。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・中国の大規模洪水の影響で中国の建設活動が大幅に停滞し、需要が減速する場合(価格下落要因)。しかし洪水終息後は復興需要が見込めるため、価格の上昇要因に。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・9月25日付のLME投機筋ポジションは再びロングが増加するながれだったが、銅や鉛、アルミなどではショートの積み上がりも顕著だった。

ここまでの価格上昇でショートがかなり買い戻され、ポジションが軽くなったことと、価格水準の高さが背景にあると考えられる。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は153.6億ドル(前週149.1億ドル)と、買い越し幅を拡大している。買い越し幅の増加率は+3.0%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで3,520千トン(3,420千トン)と買い越し幅を拡大した。買い越し枚数の増加率は+2.9%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向は海上輸送鉄鉱石スワップは下落、原料炭スワップ先物は上昇、鉄鋼製品先物価格は休場だった。

中国勢不在で買い手が減少する中、売り圧力に押された形。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は高値圏で推移しつつも、水準を切り下げる展開を予想する。

南米の生産見通しはネガティブであるが、夏場が近いこともあり生産回復への期待が強いこと、鉄鋼業PMIを見るに鉄鋼業セクターの国内の状況はその他の統計の改善ほど良い訳ではないことが背景。

一方で、中国政府のインフラ投資が今後も継続する見込みであり、中国国内の鉄鋼原料在庫水準が低いことから在庫積み増し需要もあり、下落余地は限定されると考える。

中国南部の増水は継続しているようで、鉄鋼製品需要を減じること(終息後は復興需要で価格上昇要因となるが)、急上昇していたバルチック海運指数は減速しており、鉄鉱石の調達が減速する可能性を示唆している。ブラジルは鉱山生産を再開の見通しであるため、中国の需要面の影響による可能性がある。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。但し、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから上値も重い。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫はハリケーンの影響か、急速に減少しており過去5年の最低水準で推移している。

原料炭の先物期間構造は全ゾーンバックワーデーションとなっている。需給はタイト化している可能性が高い。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・9月の中国鉄鋼業PMIは43.9と前月の47.0から大幅に減速した。ピークシーズンの終了や、原材料価格の高騰がレーショニングを引き起こしたようだ。

しかし、降雨の悪影響が薄らぎ、自動車販売や不動産投資も好調であり、中国政府の公共投資需要などへの期待も強く見通しは強気の企業が多いようだ。

しかし冬場の暖房期に入ると発電向け需要が増加するため環境面から鉄鋼製品の増産には下押し圧力が掛かりやすく、新規受注在庫レシオも低下しており、鉄鋼製品・鉄鋼原料需給は緩和していることから鉄鉱石価格も下押しされよう。

・中国河北省の高炉稼働率は9月25日時点で77.1%(前週77.8%、過去5年平均81.1%)と小幅に低下した。しかし、過去5年平均を下回った状態が続き、高炉の稼働率はやや低水準で安定している。

・1-8月の中国工業生産は前年比+0.4%(1-7月期▲0.4%)、月次ベースでは前年比+5.6%(前月+4.8%)と回復が加速した(フロー需要の回復=価格の上昇要因)。

回復ペースは市場予想を上回っており、企業活動が加速していることをうかがわせる内容。

・1-8月の中国固定資産投資には、年初来で前年比▲0.3%の37兆8,834億元(1-7月期▲1.6%の32兆9,214億元)と前年比プラスまでもう少しのところまできた。

すそ野の広い不動産開発も前年比+4.6%の8兆8,454億元(1-7月期+3.4%の7兆5,325億元)と回復基調が加速している(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

やや懸念すべきは、公的セクターの伸びが+3.2%(+3.8%)と伸びが減速、民間部門は回復しているが依然として▲2.8%(▲5.7%)と前年比マイナスである点。中国の需要の回復が公的需要にけん引されたものであることはほぼ間違いがないため、これまでの回復ペースにやや陰りが出た可能性がある。

・中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、8月は224万トン(前月261万トン)と記録的な水準を維持している。国内生産も7月時点で9,336万トン(前月9,158万トン)と記録的な水準となっている。

このことは、中国の国内需要が旺盛であることを示唆している。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲6.7万トンの1,553.5万トン(過去5年平均 1,037.5万トン)となった。例年よりも在庫水準は高い。

・8月の中国の鉄鉱石・精鉱輸入量は、1億36万トン(前月1億1,265万トン)と減速した。豪州からの輸出が中国の報復措置によって減少したことや、洪水の影響を受けて輸入が停滞したことが影響したためと考えられる。

ただし、中国の港湾在庫の水準は絶対水準が過去5年平均を下回り、在庫日数は過去5年の最低水準で推移しており、やはり国内のインフラ向け需要が旺盛であることを伺わせる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲6.5万トンの1億1,830万トン(過去5年平均1億1,757万トン)、在庫日数は▲0.1日の22.6日(過去5年平均 27.4日)と例年と比較して在庫水準が低く、需給ファンダメンタルズはタイトな状態が継続している。

・8月の中国の石炭輸入は前月から減少。前年水準を▲37.3%の2,066万トン(前月▲20.6%の2,610万トン)と大きく下回った。中国は国内の石炭産業の強化を目的に国内生産を増加させる方向性に舵を切っており、輸入を抑制する可能性を否定していない。

原料炭の輸入は7月は前年比▲4.9%の737万トン(前月▲4.5%の626万トン)と前年比マイナスだが過去5年平均程度を上回り、再び輸入が加速した。

中国の主要な原料炭の輸入港である京唐の港湾在庫の水準は大幅に低下し、過去5年平均を下回っている。そのため輸入が回復したと考えられるが、国内生産の増加もあって前年比ではマイナスとなっているようだ。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は下落した。米大統領のコロナ感染報道を受けた長期金利低下・実質金利低下で大幅に上昇したが、その後、米雇用統計が然程悪い内容ではなかった(と判断された)ことから長期金利が再上昇し、引けにかけて水準を切り下げた。銀・プラチナも同様。

パラジウムは株価の下落もあって前日比マイナスで引け。

【貴金属価格見通し】

金銀はもみ合うものと考える。米大統領選・ブレグジットを巡る混乱がリスク回避の動きを強め金の上昇要因となる一方、リスク回避のドル高が価格を押し下げることから。

しかし、金融緩和が継続することは間違いがなく、名目金利が低い水準に抑制されることから金の「基準価格」は1,650ドル程度で推移し、下落余地も限定されると考える。

FRBの政策が奏功すれば期待インフレ率の上昇が名目金利の上昇を上回ることになるため、実質金利低下を促し金価格にはプラスとなる。但しそれはまだ先になると考えられる。

金価格の実質金利に対する感応度は1bpあたり3.5ドル程度だったが、現在は6.3ドルに上昇している。名目金利に対する感応度は9.5ドルまで上昇していたが現在は1.8ドルと低下している。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスクプレミアム)は260ドルと前日から▲1ドル低下した。

一方、現在の実質金利で説明可能な価格水準は長期金利の低下もあって、1,650ドル程度で、緊急時の換金による下落余地は限定されている。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、80.0倍と上昇。銀÷金在庫レシオの水準が高止まりしている。銀の金に対する相対需給が緩和していると判断されたようだ。

過去1年を基準にすると95倍程度、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当だが、足元、80倍で落ち着いたようだ。

銀価格は下落しているが、このコラムでも指摘したように、ややバブル的に物色されていたことによる反動がおきているとみられる。

これは欧州危機・米国債格下げ危機があった2010年~2011年、銀価格は供給過剰にもかかわらずバブル状態となり、ハント兄弟事件以来の50ドルに迫った後、急速に価格を切り下げたときと程度は違うが展開が類似する。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)している点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによるが、各国の準備金や市場取引の担保価値が認められている金のほどの安全資産としては認知されていないため、金価格に主導される形で価格が形成されやすい。

パラジウムは価格は景気の先行きが明確に悪いこと、自動車セクターの回復は緩やかなものにとどまる見通しであることから実需面は価格を下押ししやすい。

その一方で、貴金属のベンチマークである金価格は堅調な推移が予想されるため、結果、パラジウムは神経質にレンジワークでの推移になると考える。

9月の米自動車販売は年率1,634万台(市場予想 1,570万台、前月 1,519万台)と、市場予想を上回る回復となった。ただし、コロナ以前の水準に自動車販売が戻るには相当の時間がかかる見込みであり、PGM価格の押し上げ効果は限定的なものとなろう。

中国の8月の自動車販売は中国自動車工業協会の速報で前年比+11.3%の218万台になると予想されている。7月は前年比+16.8%の211万台(前月+11.6%の230万台)と前月比マイナスだったが、前年比では伸びが拡大した。

年初来の販売累計は▲12.6%の1,234万台(前月▲16.9%1,023万台)と前年比マイナスの状態は変わらず。

中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻ることは難しく、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

但し、自動車販売が政策のサポートもあって回復トレンドにあることは事実であり、PGM価格の上昇要因になると考える。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・各国とも政策金利をゼロ近傍に下げており、量的緩和規模も拡大。あとは更に規模を拡大するか、量的緩和時の投資対象を拡大するぐらいしかなくなってきた。

これで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはロシアでは銅・ニッケルの、南アフリカ・米国ではプラチナの副産物として生産されるため(副産物としての供給が8割)、急な増産が困難であり供給面の制限が価格を下支えする状況に変わりはない。

<<特殊要因>>

・コロナ対策で過剰な財政出動が行われており、終息後に各国の財政・信用不安が意識される場合(価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・生産拠点を自国に回帰させる動きやリモートの定着による成長鈍化が、新興国の財政状況を悪化させる場合(価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが316,106枚(前週比 +7,091枚)、ショートが72,447枚(▲17,508枚)、ネットロングは243,659枚(+24,599枚)、銀が74,631枚(▲378枚)、ショートが33,901枚(▲2,161枚)、ネットロングは40,730枚(+1,783枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが27,054枚(前週比 ▲3,364枚)ショートが17,230枚(▲2,928枚)、ネットロングは9,824枚(▲436枚)

パラジウムが4,904枚(▲579枚)、ショートが2,266枚(▲167枚)ネットロングは2,638枚(▲412枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場はまちまち。米大統領がコロナに感染するなどの混乱はあったが、基本、景気に連動し難い商品であり、昨日上昇したトウモロコシと大豆が売られ、小麦が買い戻される形となった。

【穀物価格見通し】

トウモロコシ価格は想定よりも四半期末在庫水準が低かったことや、ドル安基調の回復で上昇余地を試す展開になると考える。ただし輸送燃料需要の回復は遅れており、エタノール向け需要の先行きは不透明であり、上値も重い。

大豆は中国が米国からの輸入を増加させる方針を継続していること、ドル高の一服が価格を押し上げると予想。

小麦も在庫の水準低下、ユーロ安・ドル高基調の一服で上昇余地を探る動きに。

バッタ被害はエチオピア、イエメン、ケニアで深刻な状態が続いているが、インド・パキスタンでの拡大はやや沈静化。季節性の問題もありそろそろバッタ問題は収束の可能性が出てきた。

しかし、スーダン、チャド、ニジェール、マリ、モーリタリアにバッタが飛来していることが確認されており今後の被害拡大リスクは無視できない。但し現時点では群棲相を形成しておらず今のところはその懸念は大きくない。

また、東南アジアでもトウモロコシやイネの大害虫であるツマジロクサヨトウ、やクルマバッタモドキが繁殖し、深刻な食糧危機をもたらしている

コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家があったが、今度は収穫期にコロナウイルスの影響で人員が確保できず、収穫に影響が出る可能性がある。年後半にかけて、穀物価格の見通しは強気。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・9月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 149億Bu(148億9,064万Bu、152億7,800万Bu)大豆 43億1,300万Bu(42億9,179万Bu、44億2,500万Bu)小麦 18億3,800万Bu(18億3,268万Bu、18億2,400万Bu)

・9月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 25億300万Bu(24億6,136万Bu、27億5,600万Bu)大豆 4億6,000万Bu(4億6,854万Bu、4億4,250万Bu)小麦 9億2,500万Bu(9億2,604万Bu、9億2,500万Bu)

・9月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 19億億9,500万Bu(22億6,554万Bu、52億2,400万Bu)大豆 5億2,300万Bu(5億7,838万Bu、13億8,600万Bu)小麦 21億5,900万Bu(22億4,035万Bu、10億4,400万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが366,899枚(前週比 +5,385枚)、ショートが185,007枚(▲19,613枚)ネットロングは181,892枚(+24,998枚)

大豆はロングが298,448枚(+13,645枚)、ショートが58,576枚(▲7,661枚)ネットロングは239,872枚(+21,306枚)

小麦はロングが122,139枚(▲5,694枚)、ショートが95,781枚(▲5,831枚)ネットロングは26,358枚(+137枚)

◆本日のMRA's Eye


「ETFのパラジウム価格への影響増す」

パラジウム価格はコロナウイルスの感染拡大に伴う景気の減速、特に輸送需要の減少に伴う乗用車向けの需要が減少したことを材料に大きく水準を切り下げたが、ここにきて再び上昇基調を強めている。

ただし、大きな価格上昇にはなっていない。それは主要用途である自動車販売が回復はしているものの、その絶対水準が中国を除けばまだコロナ前の水準を回復していないためだ。

少し前のものになるが、今年の5月時点でのジョンソン・マッセイの予想では、自動車セクターの通年の販売が前年比▲20%減少となるため、2020年のプラチナ需要は前年比▲21%が見込まれており、パラジウムは▲15%程度の減少になると予想している。

パラジウムは排ガス触媒として利用されるため自動車販売動向が価格に影響を与えるが、この1年は世界的な排ガス規制の強化に伴うプラチナからパラジウムへのシフトとそれに伴う供給減少がより価格に影響を与えていた。

このコラムでも何回か紹介しているが、パラジウムはプラチナの副産物として生産されるため、自動車向けのプラチナの需要が減少して供給が絞られる中ではパラジウムの供給も絞られる。

その状況で排ガス規制強化に伴うプラチナ需要は堅調だったため、供給状況の価格に対する説明力が上がり、株やプラチナ、金以上に価格が上昇することになった。この間、実際に現物が不足していたと見られ、パラジウムETFの残高の減少と、パラジウム価格の上昇が同時に起きていた。

つまりパラジウムの価格は、コロナショックの前までは非常に強く、現物需給のファンダメンタルズに影響を受けていたといえる。

しかし、コロナショック後の価格動向を見ると、これまでとやや異なる動きが確認されている。これまでどの価格とも無相関だった株や金との連動性が高まるようになった(5月以降の金との相関係数は0.77、2020年5月より前の相関係数は0.56、株価との相関係数は各々、0.70、0.14)。恐らく現物の需給バランスが緩和しており、パラジウム価格の決定要因として、投機的な振る舞いの影響が大きくなったためと考えられる。

実際、パラジウムの期間構造(第2限月-直近限月)はバックワーデーションからコンタンゴに転じている。通常、コンタンゴの場合は現物の需給が緩和していることを意味する。

2003年の金ETFの登場を皮切りに、ETFの売買動向が貴金属価格動向を左右するようになった。株式市場で取引されている貴金属のETFはその裏付けとして現物を保有するため、貴金属ETFの残高増加は現物市場でのシェア増加を意味し、価格への影響力が大きくなった。

具体的にはETFの残高が増加すると価格が上昇し、減少すると価格が下落する。これは現物需要に占める投機需要の比率が高いためである。ところが、パラジウムに関してはコロナ前の価格上昇局面では、恐らく現物確保を目的として、ETFの取り崩しが発生していた。

しかし、足元は株価・金との連動性が高く、同時にETFの残高がわずかではあるが増加傾向となっている。このことは、パラジウムの足元の需給バランスが緩和しており、金融緩和動向に価格が左右されやすくなっている金や株との連動性が高くなっていることを示唆している。

よって、当面は緩和政策が続き、実質金利の緩和が続くなかでは金融政策と期待インフレ動向がパラジウム価格の決定要素としてより重要になると予想される。

逆にコロナ前のように、ETF残高の減少と価格上昇が同時に起きた場合、再びパラジウムの現物需給がタイト化していると考えられるため、今後の自動車向け需要動向を占う上では参考になるのではないか。

◆主要ニュース


・8月日本失業率 3.0%(前月2.9%)、有効求人倍率 1.04倍(1.08倍)

・9月日本消費者態度指数 32.7(前月29.3)

・9月ユーロ圏消費者物価指数 前月比+0.1%(前月▲0.4%)前年比▲0.3%(▲0.2%)、コア指数 +0.2%(+0.4%)

・9月ユーロ圏消費者物価指数 前月比+0.1%(前月▲0.4%)前年比▲0.3%(▲0.2%)、コア指数 +0.2%(+0.4%)

・9月米雇用統計
 非農業部門雇用者数 前月比+661千人(前月改定+1,489千人(速報比+128千人))
 民間部門雇用者数 +877千人(+1,022千人)
 製造業雇用者数 +66千人(+36千人)

・9月米失業率 7.9%(前月 8.4%)、不完全雇用率 12.8%(14.2%)
 労働参加率 61.4%(61.7%)
 時間当たり平均賃金 前月比+0.1%(+0.3%)、前年比+4.7%(+4.6%)
 週平均労働時間 34.7時間(34.6時間)

・米ペロシ下院議長、「トランプ大統領のコロナ感染でコロナの深刻さが浮き彫りとなり、与野党協議の方向性が変わる可能性がある。超党派による法案がまとまる可能性はあると楽観している。」

・米トランプ大統領、コロナウイルスに感染。今のところ症状は軽い様子。

・EUバルニエ交渉官、英交渉責任者フロスト氏、両社の間には依然、大きな意見の相違が残っている。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数189(前週比+6)
 ガスリグ 74(前週比▲1)。

【メタル】
・9月ブラジル鉄鉱石輸出、180万トン/日(前年152万トン、前月149万トン)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.LME銅 3M ( ベースメタル )/ +3.19%/ +6.09%
2.LME錫 3M ( ベースメタル )/ +2.14%/ +4.26%
3.欧州排出権 ( 排出権 )/ +1.96%/ +10.24%
4.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ +1.77%/ ▲16.00%
5.原料炭スポット ( 鉄鋼原料 )/ +1.45%/ +2.98%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲7.89%/ ▲42.31%
65.TCM灯油 ( エネルギー )/ ▲4.93%/ ▲35.56%
64.DME Oman ( エネルギー )/ ▲4.32%/ ▲42.81%
63.NYM WTI ( エネルギー )/ ▲4.31%/ ▲39.32%
62.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲4.06%/ ▲40.50%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :27,682.81(▲134.09)
S&P500 :3,348.44(▲32.36)
日経平均株価 :23,029.90(▲155.22)
ドル円 :105.29(▲0.24)
ユーロ円 :123.36(▲0.62)
米10年債 :0.70(+0.02)
中国10年債利回り :休場( - )
日本10年債利回り :0.02(+0.01)
独10年債利回り :▲0.54(±0.0)
ビットコイン :10,547.65(▲58.41)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :34.92(▲0.16)
エネルギー :55.89(+0.74)
ベースメタル :18.43(+0.88)
貴金属 :29.94(+0.01)
穀物 :25.25(+0.03)
その他農畜産品 :37.07(▲1.18)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :50.82(+2.09)
Brent :38.92(+1.01)
米天然ガス :140.33(+0.26)
米ガソリン :46.71(+0.69)
ICEガスオイル :41.19(▲0.03)
LME銅 :18.65(+3.13)
LMEアルミニウム :13.18(▲0.07)
金 :22.57(+0.05)
プラチナ :34.29(+0.38)
トウモロコシ :24.21(▲0.64)
大豆 :22.57(+0.05)

【エネルギー】
WTI :37.05(▲1.67)
Brent :39.27(▲1.66)
Oman :38.56(▲1.74)
米ガソリン :112.35(▲2.89)
米灯油 :108.50(▲4.00)
ICEガスオイル :312.50(▲4.50)
米天然ガス :2.44(▲0.09)
英天然ガス :36.25(▲0.46)

【貴金属】
金 :1899.84(▲6.17)
銀 :23.74(▲0.06)
プラチナ :881.34(▲17.83)
パラジウム :2311.73(▲18.14)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,419(▲210:9C)
亜鉛 :2,318(▲66:15.5C)
鉛 :1,784(▲49:20.5C)
アルミニウム :1,740(▲14:35C)
ニッケル :14,305(▲174:34C)
錫 :17,530(+1:15B)
コバルト :33,946(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6545.00(+202.50)
亜鉛 :2315.50(▲4.50)
鉛 :1771.50(▲23.50)
アルミニウム :1761.00(+22.50)
ニッケル :14310.00(+10.00)
錫 :17870.00(+375.00)
バルチック海運指数 :1,869.00(+144.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :122.14(+0.38)
SGX鉄鉱石 :120.31(▲1.06)
NYMEX鉄鉱石 :120.6(▲0.83)
NYMEX原料炭スワップ先物 :140(+2.00)
上海鉄筋直近限月 :休場( - )
上海鉄筋中心限月 :休場( - )
米鉄スクラップ :301(+1.00)

【農産物】
大豆 :1020.75(▲2.75)
シカゴ大豆ミール :349.40(+4.40)
シカゴ大豆油 :31.94(▲0.71)
マレーシア パーム油 :2846.00(▲74.00)
シカゴ とうもろこし :379.75(▲3.00)
シカゴ小麦 :573.25(+3.00)
シンガポールゴム :193.00(▲0.30)
上海ゴム :休場( - )
砂糖 :13.55(▲0.03)
アラビカ :108.95(+1.90)
ロブスタ :1290.00(+2.00)
綿花 :64.52(▲0.09)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :74.50(+0.35)
シカゴ生牛 :108.18(▲0.35)
シカゴ飼育牛 :139.90(▲1.03)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。