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米対策期待で上昇も米長期金利上昇によるドル高が重石に
  • MRA商品市場レポート

2020年10月23日 第1843号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米対策期待で上昇も米長期金利上昇によるドル高が重石に」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて堅調な推移となった。米国の追加経済対策期待に伴う景気への楽観が材料。

ただ、これに伴い米国の長期金利が上昇し、同時にドル高も進行したこともあって固有の材料がある商品以外は上値が重い展開となった。ただしドル高の進行に伴い自国通貨建ての商品価格は上昇した。

昨日最も上昇したのはゴム。中国の自動車販売回復と、ラニーニャ現象の発生に伴う供給不安、欧州のコロナ感染拡大に伴うゴム手袋需要増加などが材料となっている。

次に上昇が顕著だったのが天然ガス。米天然ガス統計で在庫への流入量が減少していることが材料視された。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【本日の見通し】

本日も引き続き、米国の追加経済対策を巡る交渉動向、欧州と英国のブレグジットを巡る交渉動向といった政治要因を材料に、神経質な推移が続くと考える。

その中で日本時間の10時から予定されている、米大統領候補による公開討論。今のところバイデン候補が「相当」リードしているようであり、今回の討論会でよほどの失態がなければ情勢に大きな変化はないと考えられる。

このほか、予定されている材料としては、欧米の製造業・サービス業PMIには注目している。市場予想は以下の通り。サービス業PMIの悪化が続くのか、製造業PMIの好調が維持されるのか、といったところがポイントに。

独製造業PMI 市場予想 55.0(前月56.4)独サービス業PMI 49.4(50.6)

ユーロ圏製造業PMI 53.0(53.7)ユーロ圏サービス業PMI 47.0(48.0)

米製造業PMI 53.5(53.2)米サービス業PMI 54.6(54.6)

【本日の見通し総括】

本日も引き続き、米国の追加経済対策を巡る交渉動向、欧州と英国のブレグジットを巡る交渉動向を受けたリスクオン・オフが価格動向を左右すると見られ、神経質な推移が続こう。

予定されている重要な材料としては米ベージュブック。これまでの連銀総裁の発言を見ていると景気の先行きに比較的楽観的だ。追加対策の妥結を楽観しているためと見られる。

しかしこれから冬場のピークに入り、普通に考えて経済活動が鈍化すると予想されるためその点をどのように判断するかに注目したい。ただ相場が大きく動くほどの材料にはならないのではないか。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

昨日の原油価格は上昇。米国の追加対策協議の進展期待や、ロシア・プーチン大統領がOPECプラスの減産期間延長に前向きな発言をしたことが材料となった。なお、日本時間早朝のベージュブックはさほど材料とならなかった。

石炭価格は小幅高。冬場の需要増加によるものと見られる。

本日も引き続きレンジワークを継続すると考えるが、米国の経済対策に関する楽観が広がっていることからやや強含み推移すると予想。

◆非鉄金属

LME非鉄金属は下落した。重要な経済統計の発表はなかったが、高値警戒感が強い中、米景気への楽観から米長期金利が上昇、ドル高が進行したことが手じまい売り圧力を強めたため。

なお、LMEの投機筋の買い越しポジションは、金額・数量とも増加しており、投機筋の鉱物資源物色は継続している模様。

本日も高値圏でのもみ合いが継続すると見られるが、米国の長期金利上昇を受けたドル高圧力が強まっており、やや軟調な推移を予想。ただし経済対策期待や中国の需要が堅調であることから下値も限定。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向は海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は上昇、鉄鋼製品先物価は小幅高となった。

特段材料があったわけではないが、港湾在庫の在庫日数の水準は低く、在庫積み増しの動きが継続しているとみられる。

本日はアジア時間に目立った材料がなく、引き続き高値圏でのもみ合いを予想。あるとすれば、米大統領選挙候補者による公開討論で、中国に対する対応で何かしらのコメントがあった場合だが、影響は限定されよう。

◆貴金属

金価格は下落した。米国の追加経済対策への期待から長期金利が上昇し、実質金利が上昇したこと、足下価格への説明力が高いドル指数が上昇したことが材料となった。銀・PGMも同様。

本日も為替動向に影響を受けやすい展開が継続、足下、米長期金利の上昇でドル高が進行しやすく、やや軟調な推移になると予想。

◆穀物

シカゴ穀物市場は堅調な推移となった。トウモロコシは、輸出統計の好調が材料、大豆は生産地の減産見通しが材料となった。小麦は豪州の増産観測とドル高が材料に。

なお、昨日発表された米輸出成約高は以下の通り。

2020年10月15日時点米主要穀物輸出成約高トウモロコシ 1,831.60千トン(前週比+1176.4千トン)大豆 2,225.50千トン(▲351.1千トン)小麦 367.50千トン(▲232.1千トン)

米長期金利上昇に伴うドル高が重石となり総じて軟調。ただし、トウモロコシ・大豆は供給懸念もあり底堅い、小麦は豪州の増産見通しで軟調。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照下さい。

※市場データ・グラフ類は添付ファイルをご参照下さい。

【昨日のトピックス】

昨日の市場は今までとやや趣が異なる相場展開となった。追加経済対策期待を受けて株価が上昇、それに伴い、米国の長期金利上昇、実質金利も上昇、ドル高も進行したが、景気循環系商品は堅調で、貴金属などの実需の影響を受け難い商品が売られる流れとなった。

このことは、市場が景況感の改善に反応しているともとれる。そうだとすると、これまでの「金利低下→株上昇・商品価格上昇」から「金利上昇→株上昇・商品価格上昇」という通常の流れに戻る可能性が出てくる。ある意味「良い循環」による相場展開だ。

しかし、各国の経済統計を見ていると改善を続けているのは中国のみで、米国は経済統計は強弱まちまちで足踏み状態、欧州・日本は改善していない。ということを考えると、この流れが継続すると考えるのは不適切だろう。

また、これまで低下一辺倒だった米長期金利はチャート上の節目となるレベルまで上昇している。FRBがYCCを実施しない方針であることを考えると、今度はこの長期金利上昇が株や商品価格の重石となる可能性の方が高い、と考えるべきであろう。

【マクロ要因のリスクシナリオ】

・欧州の政治混乱(トルコと欧州の関係悪化、ハードブレグジットなど)によるリスク回避の動きの強まり。

・米大統領選挙前後の混乱が想定以上に長引く場合。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

・次の最大の成長ドライバーとして期待される、インド経済が期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速。

・米国の財政状況悪化、緩和規模拡大によるドル水準の低下リスク(ドル減価により、名目ドル建て資産価格の上昇要因に)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は当面レンジワークを継続するが、大統領選後はおそらくどちらが勝っても混乱が予想され、コロナの欧州での感染再拡大受けた需要への懸念、OPECの定期的な増産見送りの可能性が高いこと、といった強弱材料がせめぎあうため。

目先のテーマは大統領選挙の行方と、英国ブレグジットを巡る混乱などの政治要因だが、英ジョンソン首相は無秩序離脱に向けて準備せよと発言しており、リスク資産にとってはいずれも売り材料となる。

供給面では、需要減速、価格下落局面でよく見られることであるが、OPECの抜け駆けが続き、結束が揺らぐリスクである。この場合、原油価格は大きく下落することになる。

10月15日・19日のOPECプラス会合では特段目立った発言はなく11月・12月の定例会合に下駄が預けられた。目下の懸念は減産に参加していないリビアの生産再開。これを受けて追加減産に舵を切れるのかどうかであるが、サウジアラビアの予算レートが80ドル台(弊社推定)であることを考えると、追加減産ないしは減産期間の延長は、現時点ではメインシナリオ。

原油価格が低水準で推移した場合、米シェールオイルの生産者のコストは平均で40ドル近辺(32ドル~60ドル程度)、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度であることから、時間経過とともに減産が進捗すると予想される。

【見通しの固有リスク】

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合、1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる、2.中東以外の産油国の生産者の破綻、3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合、などが価格上昇要因に。

・バイデン政権誕生で、シェールオイルのフラッキングが制限/禁止される場合、供給減少で価格上昇要因に。

【石炭価格見通し】

石炭価格は再び低水準での推移になると考える。中国の石炭港湾在庫の水準は高くないものの、国内生産にシフトしており、更にコロナや華為技術問題で対立する豪州からの輸入を手控える可能性があること、天然ガスへのシフト、この数年定番となった冬場の石炭輸入の減少の流れを受けて。

しかしそうはいっても冬場のピークシーズン需要は増加するため、底堅い推移になると予想する。

9月の中国の石炭輸入は前月から減少。前年水準を▲38.3%下回る1,867万6,000トン(前月▲37.3%の2,066万トン)と過去5年平均水準も下回った。

中国は国内の石炭産業の強化と政治的に対立する豪州からの輸入制限で、国内生産を増加させる方向性に舵を切っているが、国内の需給はタイトと見られ、国内炭と海外炭の値動きには乖離。

足下はバルチック海運指数は低下しており、輸入の動きは鈍化。しかし一方で中国の港湾在庫は減少しており、足元、過去5年平均を下回っている。国内の需給はタイト化しているとみられる。

低い水準で安定していた石炭のボラティリティは40%を上回っている。VaRの概念では、現在の価格を60ドル程度とすれば、7割の確率で1年後の価格が±24ドル変動する状態であり、価格の変動リスクは増している。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが649,933枚(前週比 ▲7,854枚)ショートが177,136枚(▲9,115枚)ネットロングは472,797枚(+1,261枚)

Brentはロングが225,867枚(前週比+9,533枚)ショートが105,759枚(▲27,998枚)ネットロングは120,108枚(+37,531枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は高値圏でのもみ合いを継続すると考える。中国の内需は貿易統計やその他の経済統計を見るに堅調であること、南半球生産者の生産動向が不安定であること(Q420は銅生産者の労使交渉が多い)が価格を高値に維持する一方、米欧の政治的な不安定さやコロナの感染再拡大、各国のコロナワクチン開発の遅れなどのリスク要因が上値を抑えるため。

Q420は政治的なイベント(並びにリスク)が多く、リスク回避姿勢も根強いこと、南半球も夏場に入って鉱山生産の回復が期待されることから、価格のリスクは下向きとみている。ただ今のところ顕在化するには至っていない。

このような局面だと積み上がっている投機の買いポジションには利益確定の売りが発生しやすいが、タイミングはおそらく大統領選挙が終わり、ファンド決算が意識される11月以降とみている。

世界的に環境重視型社会へのシフトが進む見込みだが、環境重視型社会への移行は主に「省エネに用いる金属」の価格を押し上げる。現在ではこの動きはメインシナリオ(当然生産時には温室効果ガスが発生するのだが)。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

【見通しの固有リスク】

・高水準の投機筋買い越しポジションが急速に解消されたときの下落リスク。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(コロナの影響もあって、2020年の鉱山生産は全体で184万1,000トン、コロナの影響で115万1,000トン減少する見込み)。

・ニューカレドニアのGoroプロジェクトのニッケル精錬所を2021年に閉山すると発表。同プロジェクトのニッケル生産は6万トン/年(シェア2.4%)、その他の生産下方修正リスクは25万3,000トン(9.4%)に及ぶリスクがあり、価格の上昇要因に。

・中国の環境規制強化やコロナの影響再発に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

【投機筋のポジション動向】

・LME投機筋買い越し金額 前週比+16.4%の3,046億ドル(前週 3,038億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+19.3%の4,554千トン(前週 3,819千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の経済統計の改善を受けて高値圏で推移しつつも、水準を切り下げる展開を予想する。

貿易統計で確認できるように鉄鉱石輸入は堅調であり、在庫の絶対水準が増加していること、南米生産者の増産見通し、価格上昇でレーショニングが発生して、鉄鋼製品需要がやや鈍化すると見られていることが背景。

一方で、中国政府のインフラ投資が今後も継続する見込みであり、中国国内の鉄鋼原料在庫水準が低いことから在庫積み増し需要も継続する可能性が高く、基本は底堅い推移となる。

中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、9月は288万5,000トン(前月224万トン)と記録的な水準に加速した。国内生産も8月時点で9,485万トン(前月9,336万トン)と過去最高水準。

中国の国内需要が旺盛であることを示しているが、中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲41.2万トンの1,15.8万トン(過去5年平均 1,029.1万トン)と、例年よりも在庫水準は高く、早晩鉄鋼製品には下押し圧力がかかろう。

一方、原料である鉄鉱石の鉄鉱石港湾在庫は前週比+90万トンの1億24,500万トン(過去5年平均1億1,905万トン)、在庫日数は+0.2日の24.2日(過去5年平均29.2日)と例年と比較して在庫水準が低く、原料の需給ファンダメンタルズはタイトな状態が継続している。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

実際、中国政府は政治的な対立もあって豪州炭の輸入を停止するとの報道もあり、今後、海上輸送原料炭価格には下押し圧力が掛かりやすくなってきた。

ただ、中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は急速に減少しており、過去5年の最低水準を下回っていることから価格の下支え要因となる。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

【投機筋のポジション動向】

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金銀はもみ合うものと考える。足元、実質金利動向ではなく、欧州の政局、米国の大統領選挙を睨んだ政治要因を受けた為替動向に貴金属価格左右されているが、その政治の方向性が不透明であるため。

なお、リスクオンはドル安で価格上昇、リスクオフで価格下落となる(詳しくは2020年10月12日付のMRA's Eyeをご参照下さい)。

ただ、実質金利の説明力がなくなった訳ではなく、足下、米長期金利に上昇圧力が掛っており、実質金利の上昇が金基準価格を切り下げる可能性が出てきた。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,620ドル程度に低下。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は279ドルと前日から+5ドル上昇している。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、77.1倍。過去1年を基準にすると95倍程度、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当だが、足元、80倍程度で落ち着いている。

金が高値を維持する可能性が高いため、再びバブル的に銀が物色される可能性は否定できない。しかしその場合でも、常に急落リスクは意識せざるを得ないだろう。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。当面は工業需要が牽引する形にはなりにくく、株の影響を受けつつも金銀につれる形の推移になることを予想。

パラジウムは価格は景気の先行きが明確に悪いこと、自動車セクターの回復は緩やかなものにとどまる見通しであることから実需面は価格を下押ししやすい。

しかし、ETF残高とパラジウム価格の連動性が高まっており(管理在庫増加→価格上昇)、一時の、ETF管理在庫減少→価格上昇、のメカニズムから変化してきている。

在庫取り崩し→価格上昇は実際に需給がタイトで、現物確保のためにETFを取り崩さなければならなかったからだが、現在はこれと逆のことが発生している訳で、足元、パラジウムの需給は緩和していると見られる。今後はETFの動向に注目。

9月の米自動車販売は年率1,634万台(市場予想 1,570万台、前月 1,519万台)、中国の9月の自動車販売は中国自動車工業協会の速報で前年比+13.0%の256万6,000台(前月+11.7%の218万5,812台)。

自動車販売は回復しているが、不要不急の消費であるため本格的な回復にはまだ時間がかかる見込み。

【見通しの固有リスク】

・世界的な成長力の低下に伴い、各国の財政状況が悪化、地政学的リスクが顕在化する場合(中東・北アフリカのリスク顕在化の可能性は低くない)。リスク・プレミアム上昇を通じて貴金属価格の上昇要因に。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが326,986枚(前週比 +6,064枚)、ショートが86,315枚(+13,980枚)、ネットロングは240,671枚(▲7,916枚)、銀が76,920枚(+1,562枚)、ショートが36,132枚(+2,031枚)、ネットロングは40,788枚(▲469枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが26,119枚(前週比 ▲1,006枚)ショートが17,208枚(▲1,322枚)、ネットロングは8,911枚(+316枚)

パラジウムが5,621枚(+135枚)、ショートが2,230枚(▲62枚)ネットロングは3,391枚(+197枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

トウモロコシ価格は2020-2021年の在庫見通しが当初よりも低下したことや、ラニーニャ現象の影響とみられる各国の生産下振れ見通しを受けて上昇余地を試す展開になると考える。ただし輸送燃料需要の回復は不安定で、エタノール向け需要の先行きは不透明であり、上値も重い。

大豆は米需給報告で米大豆在庫の減少見通しが示されたことや、ラニーニャ現象を背景とする気象状況の悪化が供給を減じること、中国が米国からの輸入を増加させる方針を継続していることから上昇すると予想。

小麦も在庫の水準低下、南米や黒海周辺地区の生産下振れ観測、旺盛な輸出需要を背景に上昇余地を探る動きに。ラニーニャ現象の影響を最も受けやすい穀物でもあり、「ラニーニャトレード」が活発化する中では上値を試しやすい。

バッタ被害はLocust Watchでは、エチオピア、イエメン、ケニア、サウジアラビアの一部で深刻な状態が続いているが影響は低下している。今のところ大きな変化はない。

西部に広がっていたバッタの固体(群棲相を形成していない)はチャド程度で留まっており、今のところは被害が拡大する懸念は低下している。

コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家があったが、今度は収穫期にコロナウイルスの影響で人員が確保できず、収穫に影響が出る可能性がある。

近年、食品価格に対して影響が大きいラニーニャ現象が発生していることもあり、年末~年明けにかけての穀物価格の見通しは強気。

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象の発生による穀物供給減少リスクの顕在化。害虫の発生、生産地の土壌破壊など(すでに一部顕在化)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・10月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 147億2,200万Bu(148億2,261万Bu、149億Bu)大豆 42億6,800万Bu(42億8,789万Bu、43億1,300万Bu)小麦 18億2,600万Bu(前月18億3,800万Bu)

・10月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 21億6,700万Bu(21億2,004万Bu、25億300万Bu)大豆 2億9,000万Bu(3億6,293万Bu、4億6,000万Bu)小麦 8億8,300万Bu(8億9,041万Bu、9億2,500万Bu)

・10月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 178.4Bu/エーカー177.86Bu/エーカー、178.5Bu/エーカー)大豆 51.9Bu/エーカー(51.7Bu/エーカー、51.9Bu/エーカー)小麦 49.7Bu/エーカー(前月50.1Bu/エーカー)

・9月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 19億億9,500万Bu(22億6,554万Bu、52億2,400万Bu)大豆 5億2,300万Bu(5億7,838万Bu、13億8,600万Bu)小麦 21億5,900万Bu(22億4,035万Bu、10億4,400万Bu)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが414,653枚(前週比 +20,583枚)、ショートが154,666枚(▲13,730枚)ネットロングは259,987枚(+34,313枚)

大豆はロングが316,909枚(+6,477枚)、ショートが62,156枚(+9,007枚)ネットロングは254,753枚(▲2,530枚)

小麦はロングが135,903枚(+3,340枚)、ショートが93,105枚(▲2,187枚)ネットロングは42,798枚(+5,527枚)

◆主要ニュース


・9月日本全国スーパー売上高 前年比▲4.6%の1兆151億円(前月+3.3%の1兆1,202億円)

・9月日本全国百貨店売上高 前年比▲33.6%の3,340億円(前月▲22.0%の3,231億円)
 東京都区部百貨店売上高 ▲35.0%の930億円(▲29.1%の820億円)

・11月独GfK消費者信頼感調査 ▲3.1(前月 ▲1.7)

・10月ユーロ圏消費者信頼感速報 ▲15.5(前月改定 ▲13.9)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 ▲0.6%(前週▲0.7%)
 購入指数▲2.1%(▲1.6%)
 借換指数+0.2(▲0.3%)
 固定金利30年 3.02%(3.00%)、15年 2.61%(2.59%)

・9月米中古住宅販売 前月比+9.4%の654万戸(前月+2.0%の598万戸)

・9月カンザスシティ連銀製造業活動 13(前月 11)

・米ベージュブック、「経済はわずかないし緩慢に拡大。回復はまだら模様。」

・セントルイス連銀ブラード総裁(投票権なし・ハト派)、「Q320の急成長が、Q420、H121に掛けて継続すると予想。」

・ブレイナードFRB理事(投票権あり・中間派)、「追加経済対策の合意不成立は主要なリスク。」

・米ペロシ下院議長、「追加経済対策合意はすぐそこ。」

・米政府、「経済日報」「解放日報」「第一財経グローバル」「新民晩報」「中国社会科学出版社」「北京週報」の6紙を「中国政府の統制下にある宣伝機関」に指定、米国内にある外国や総領事館と同等の規制を課すことを決定。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油▲1.0MB(クッシング+1.0MB)
 ガソリン+1.9MB
 ディスティレート▲3.8MB
 稼働率▲2.2

 原油・石油製品輸出 8,026KBD(前週比+8KBD)
 原油輸出 2,836KBD(+4KBD)
 ガソリン輸出 749KBD(▲12KBD)
 ディスティレート輸出 1,216KBD(+29KBD)
 レジデュアル輸出 115KBD(▲15KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,226KBD(▲3KBD)
 その他石油製品輸出 1,831KBD(+7KBD)

・DOE天然ガス稼働在庫 3,925BCF(前週比+49BCF)
 東部 923BCF(+15BCF)
 中西部 1,105BCF(+24BCF)
 山間部 245BCF(+4BCF)
 太平洋地区323BCF(+3BCF)
 南中央 1,329BCF(+3BCF)

・プーチン大統領、「OPECプラスの生産引き上げ延期も排除しない。」

【メタル】
・Q320 Antofagasta
 銅年初来生産 前年比▲7.3%の541.3千トン(前年同期584.2千トン)
 金生産▲34.1%の149.4オンス(225.6オンス)

 2020年の銅生産計画 72.5万トン~75.5万トン
 金 180千オンス~200千オンス

※銅生産は操業停止が不要であると仮定すると、生産計画の下限近辺となる見込み。

・ILZSG、2020年の亜鉛需要は▲5.3%の1,298万トン、62万トンの供給過剰。2021年には46万3,000トンに供給過剰幅は縮小。鉛は今年27万6,000トンの供給過剰。

・IAI 9月アルミ生産
 世界 5,424千トン(前月5,524千トン)
 日量 175.2千トン(176.3千トン)
 北米 317千トン(331千トン)
 南米 83千トン(84千トン)
 西欧州 270千トン(280千トン)
 東・中央欧州 338千トン(349千トン)
 中東 465千トン(480千トン)
 アジア 348千トン(349千トン)
 中国 3,150千トン(3,184千トン) 
 オセアニア 158千トン(162千トン)
 アフリカ 131千トン(135千トン)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ +4.37%/ +43.72%
2.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +3.82%/ +39.11%
3.欧州排出権 ( 排出権 )/ +2.63%/ ▲1.39%
4.ICEガスオイル ( エネルギー )/ +2.52%/ ▲45.24%
5.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ +2.45%/ ▲17.73%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ ▲4.34%/ ▲7.32%
65.TCM灯油 ( エネルギー )/ ▲2.35%/ ▲34.38%
64.TCMガソリン ( エネルギー )/ ▲2.24%/ ▲33.61%
63.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲1.60%/ ▲39.21%
62.銀 ( 貴金属 )/ ▲1.35%/ +38.41%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :28,363.66(+152.84)
S&P500 :3,453.49(+17.93)
日経平均株価 :23,474.27(▲165.19)
ドル円 :104.86(+0.27)
ユーロ円 :123.92(▲0.13)
米10年債 :0.86(+0.03)
中国10年債利回り :3.16(▲0.01)
日本10年債利回り :0.04(±0.0)
独10年債利回り :▲0.57(+0.02)
ビットコイン :13,124.02(+268.52)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :30.83(▲0.36)
エネルギー :52.01(▲1.52)
ベースメタル :18.86(▲1.38)
貴金属 :28.41(+0.37)
穀物 :22.38(▲0.64)
その他農畜産品 :29.69(+0.56)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :43.80(+0.21)
Brent :38.26(+0.48)
米天然ガス :123.03(▲11.96)
米ガソリン :44.33(+0.16)
ICEガスオイル :36.43(+0.49)
LME銅 :18.42(▲2.62)
LMEアルミニウム :18.62(▲0.46)
金 :19.73(▲1)
プラチナ :30.76(+0.03)
トウモロコシ :18.69(▲1.36)
大豆 :19.73(▲1)

【エネルギー】
WTI :40.64(+0.61)
Brent :42.46(+0.73)
Oman :42.38(+0.94)
米ガソリン :115.81(+1.78)
米灯油 :116.07(+2.08)
ICEガスオイル :336.25(+8.25)
米天然ガス :3.01(▲0.02)
英天然ガス :43.22(+1.59)

【貴金属】
金 :1904.11(▲20.22)
銀 :24.71(▲0.34)
プラチナ :886.00(▲4.81)
パラジウム :2386.30(▲25.94)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,902(▲63:15.5C)
亜鉛 :2,557(▲12:17C)
鉛 :1,805(▲4:12.5C)
アルミニウム :1,840(▲15:12C)
ニッケル :15,740(▲361:33C)
錫 :18,528(▲222:28C)
コバルト :33,046(▲5)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6909.00(▲87.00)
亜鉛 :2565.00(±0.0)
鉛 :1794.50(▲6.50)
アルミニウム :1848.00(±0.0)
ニッケル :15795.00(▲115.00)
錫 :18635.00(▲75.00)
バルチック海運指数 :1,346.00(▲4.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :120.73(+1.30)
SGX鉄鉱石 :121.11(+0.08)
NYMEX鉄鉱石 :121.34(▲0.22)
NYMEX原料炭スワップ先物 :125.5(+0.50)
上海鉄筋直近限月 :3,665(+9)
上海鉄筋中心限月 :3,653(+21)
米鉄スクラップ :300(+1.00)

【農産物】
大豆 :1073.75(+1.75)
シカゴ大豆ミール :382.40(+3.60)
シカゴ大豆油 :33.69(+0.49)
マレーシア パーム油 :3060.00(+52.00)
シカゴ とうもろこし :416.25(+2.50)
シカゴ小麦 :622.75(▲7.00)
シンガポールゴム :239.00(+10.00)
上海ゴム :13725.00(+25.00)
砂糖 :14.78(+0.28)
アラビカ :106.70(+2.55)
ロブスタ :1276.00(+26.00)
綿花 :71.94(+0.90)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :66.20(▲3.00)
シカゴ生牛 :103.33(▲0.33)
シカゴ飼育牛 :133.83(▲0.58)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。