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金融政策から財政政策への期待シフト、その影響
  • MRA外国為替レポート

2020年8月17日号

◆ここ2週間の市場総括


3日から始まる週は、米国の経済指標が全般に想定ほどには悪くなかったことで米国株がしっかり。追加経済対策に関する与野党協議の合意期待も支えとなった。

ナスダックは史上最高値を更新し11,100ドル台。NYダウは27,000ドル台半ばに上昇して引け。

日経平均は22,000円台を回復して始まり堅調な米国株に支えられたものの、不芳な企業業績や国内感染拡大が重石となって22,500円から上値は重く22,300円台で引け。

市場全体でリスク選好が維持されるなか為替市場でドルは週前半軟調。円も売られた。ユーロドル相場は1.17台後半から1.19へ上昇。

ユーロ円相場は125円台へ。ドル円相場は終始底固い値動き。105円台後半~106円近辺で上下し106円近辺で週末の取引を終えた。ユーロドル相場は反落して1.17台半ば~1.18。

月曜日に発表されたISM製造業景気指数(7月)は54.2と前月52.6から改善。水曜日のISM非製造業景気指数(7月)は58.1と前月57.1から改善して2019年2月以来の水準。

一方、ADP雇用報告(7月)は雇用者数前月比が+167千人で雇用増加ペースの急減速を示した。そして週末に発表された米雇用統計(7月)は、失業率は前月の11.1%から10.2%へ低下したが、非農業部門雇用者数・前月比が+1,462千人と前月+4,737千人からペースダウンした。

米国株は伸び悩み、ハイテク関連株には利益確定売りが先行しナスダックは前日比下落。米中対立激化への懸念も重石となった。

10日に始まる週はワクチン開発への期待や米国の追加経済対策与野党協議の進展への期待がリスク選好を支えた。

米国株はこれまでの大型ハイテク株などグロース株(成長株)から景気敏感株、相対的に割安となっていた株への資金シフト、セクターローテーションの動きがみられた。

NYダウは底固い値動きをみせたが28,000ドルの大台を前に上値も重く27,000ドル台後半を中心とした値動き。

米長期金利は追加対策への期待や財政支出増、米国債入札や社債の大型発行計画を受けて上昇。ドルを支えた。

円はリスク選好が維持されるなか軟調。ドル円相場は105円台から107円ちょうどへ上昇し引けは106円60銭。ユーロ円相場は週末にかけて堅調となり126円台半ばに上昇し、引けは126円台前半。

ユーロドル相場は1.18台後半に上昇する場面もあったが、米長期金利上昇でドル安は抑制された。

日経平均は堅調な米国株やドル高円安に支えられて23,000円台に上昇した。

10日月曜日の東京市場は祝日で休場。アジア時間の為替相場は総じて小動き。ドル円相場は105円90銭で始まりやや押して80銭を中心にもみ合い。ユーロ円相場も同様に124円90銭で始まり70銭~80銭でもみ合い。ユーロドル相場は1.1790で始まり、一時1.1770台に弱含んだが、1.1790~1.1800でもみ合い。

欧州時間が始まってからはドルが堅調、ユーロが軟調。ドル円相場は106円ちょうどでもみ合いその後は20銭まで上昇。反落して105円70銭台を付けた後、NY引けは105円90銭台。

ドルは対ユーロでも下落して、ユーロドル相場は1.1790へ、その後は反落して1.1740で引け。ユーロ円相場は下落して124円40銭~50銭での推移となった。

米国株は追加経済対策への期待で景気敏感株が上昇。セクターローテーションの動きで大型ハイテク株が売られ景気敏感株へ資金が流れた。NYダウは前週末比+358ドル高の27,791ドル、一方ナスダックは▲43ドル安の10,968ドル。

ムニューシン財務長官は、今週中にも与野党で合意、との見通しを述べた。中小企業支援や現金給付では概ね合意も、失業保険給付金上乗せ額については対立が続いた。

火曜日の東京市場は3連休明け、日経平均は米国で景気敏感株が上昇したことに支えられて22,500円~550円で高寄りした後も堅調。後場は22,700円~750円で上下し、引けは22,750円。前週末の22,330円から大きく上昇した。

ドル円相場は105円90銭~106円ちょうどで始まり堅調。午後には106円20銭に上昇した。ユーロ円相場も124円40銭で始まり一貫して上昇。夕刻には125円ちょうど。ユーロドル相場は1.17台半ば~前半を中心に上下した。

欧米市場では米国株が3指数ともそろって下落。ロシア政府がワクチンを世界で初めて承認との報道に、NYダウは一時28,000ドルの大台に上昇したが、その後は引けにかけては追加経済対策協議の難航が伝えられて反落した。

引き続きセクターローテーションの動きからハイテク株の下げが大きかった。

NYダウは前日比▲104ドルの27,687ドル、ナスダックは▲185ドルの10,783ドルで引け。

この日は米長期金利が10年債入札を控えて上昇。10年債利回りは0.64%に。金相場は大きく下落して▲93ドル安の1946.3ドルと2000ドルの大台を割った。

ドルは当初下落。ユーロドル相場は1.18ちょうどに上昇。しかしその後はドル金利上昇とともに反落して1.1730~40。ドル円相場は106円60銭~70銭に上昇し引けは106円50銭。ユーロ円相場は125円40銭に上昇していたが反落して125円ちょうど近辺で引け。

欧州で発表されたドイツZEW景況感指数(8月)は期待指数が71.5と前月59.3から大きく上昇した。この日、民主党バイデン大統領候補は副大統領候補としてカマラ・ハリス氏を指名した。

水曜日の東京市場ではドルがやや堅調、ユーロが軟調。ドル円相場は106円50銭で始まり上昇して70銭~80銭でもみ合い。

ユーロ円相場は終始125円ちょうど~10銭でもみ合い。ユーロドル相場は1.1740で始まり1.1710台へ軟化した。

日経平均は22,800円近辺に小幅高寄り、その後は方向感なくもみ合い。引けは22,840円。日経平均は7月21日以来3週間ぶりの高値。ドル高円安で輸出関連に買い。

ただ米国でハイテク株が連日軟調に推移したこと、追加経済対策の不透明感が重石。中国株の下落も上値を抑えた。

欧米市場に入るとリスク選好が強まるなか円が全面安。ドルは対ユーロで軟調。この日はハイテク株にも買いが入り米国株がそろって上昇。アップル、マイクロソフトなどの堅調な企業業績見通し、またワクチン供給に向けた動きを好感。成長株、バリュー株ともに上昇。ナスダックは大幅高。S&P500指数は史上最高値に迫った。

NYダウは前日比+290ドルの27,977ドル、ナスダックは+229ドルの11,012ドル。VIX指数は▲1.75ポイント低下して22.28。原油価格WTIは+1.06ドル上昇して42.67ドル。

ドル円相場は107円ちょうどをつけた後は106円台後半80銭~90銭で推移。ユーロ円相場は126円20銭に上昇し、その後はやや押されて126円ちょうど近辺で推移した。ユーロドル相場は1.1810まで大きく上昇した後、1.1790近辺で引けた。米10年債利回りは0.67%に上昇。ドル円相場を支えた。

木曜日の東京市場のドル円相場は106円90銭で始まりその後は60銭~80銭で上下。ユーロ円相場は126円ちょうどを中心にもみ合い。夕刻にかけては126円10銭~20銭。ユーロドル相場は1.1780~90で始まり1.1810中心に上下。夕刻には1.1830に上昇した。

日経平均は23,200円近辺で大幅高寄り、その後もじり高。23,300円台に上昇した後22,250円~300円でもみ合い、引けは前日比+400円高の23,250円近辺。

欧米時間に入るとドル円相場は107円ちょうどに上昇。一時106円80銭割れに押したが107円ちょうどを中心に上下した。

ユーロ円相場は上昇して126円50銭~70銭でもみ合い。ユーロドル相場は1.1860に上昇。ただその後ユーロは反落してユーロドル相場は1.18ちょうど近辺、ユーロ円相場は126円20銭~30銭台。

米国株はまちまち。NYダウ、S&P500は反落、ナスダックは続伸。朝方に大型ハイテク株が上昇したが、追加経済対策協議で歩み寄りなく景気敏感株は売られた。

新規失業保険申請件数の減少は好材料。長期金利上昇は嫌気。この日米国債30年債の入札が不調。またアップル社が55億ドルの大型起債を発表したことで、債券価格が下落=利回りが上昇した。NYダウは▲80ドル安の22,897ドル、ナスダックは+30ドル高の11,042ドル。

米10年債利回りは0.724%に上昇。ドル円相場は米金利上昇に支えられて107円ちょうどを中心に上下。

ユーロドル相場は1.18ちょうど近辺に下落。ユーロ円相場は126円20銭~30銭台。発表された米国の週次新規失業保険申請件数は963千件と前週の1,186千件から減少し、感染拡大以降はじめて1,000千人を割った。継続受給者数は15,486千件と前週の16,107千件から小幅な減少で高止まり。

金曜日の東京市場のドル円相場は107円ちょうど近辺で推移の後、午後から欧州市場にかけては106円70銭にじり安。ユーロ円相場は126円30銭を中心にもみ合い、夕刻は126円ちょうど近辺へ。

ユーロドル相場は1.1810~20で始まりその後は1.18ちょうどを挟んで上下、夕刻は1.1780台。日経平均は23,250円~300円でもみ合い小動き。総じて様子見となった。

中国では7月の主要経済指標が発表となった。小売売上高は前年同月比▲1.1%と前月の▲1.8%からプラスへの回復を見込んだ予想を大きく下回り弱い数字となった。

鉱工業生産は?4.8%で前月から伸びは変わらず。固定資産投資は▲1.6%と▲3.1%から持ち直した。失業率は5.7%で前月から変わらず。弱めの数字を受けたアジア株は全般に軟調となった。欧米市場でも株式市場は小動き・様子見。

この日も追加経済対策協議はなお決着せず。15日には米中貿易協議が開催予定で、その行方を見定めるため売買は手控えられた。

NYダウは小幅安寄りの後上昇したが28,000ドルからは上値重く反落して小幅高。前日比+34ドル高の27,931ドル、ナスダックは▲23ドル安の11,019ドルで週末の取引を終えた。

米10年債利回りはやや低下して0.71%。ドルは下落した後、反発。ドル円相場は106円50銭割れから106円60銭に上昇して引け。

ユーロドル相場は1.1850に上昇した後反落して1.1840で週末の取引を終えた。ユーロ円相場は126円ちょうど近辺でもみ合い、やや強含んで126円20銭近辺でもみ合い引けた。

発表された米小売売上高(7月)は前月比+1.2%と前月+7.5%から伸びは鈍化し予想を下回った。

鉱工業生産(同)は+3.0%と前月+5.4%から伸びは鈍化したが予想通り。製造業生産は+3.4%。設備稼働率は前月の68.6%から70.6%に上昇し、こちらもほぼ予想通り。ミシガン大学消費者信頼感指数(8月)は72.8と前月72.5から改善し予想71.7を上回った。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標、FOMC議事録

ここ2週間、米国の重要指標は景気回復期待を大きく裏切らなかった。予想より弱めの数字も散見されたが、景気回復基調そのものがストップしたことまでは示さず。

今週の指標が引き続きそうした傾向を示し、市場のリスク選好を維持できるか。逆に不透明感が増すことになるか。

月曜日 NY連銀製造業景気指数(8月、予想14.5、前月17.2)

火曜日 住宅着工件数(7月、季節調整済み年率換算、予想1,230千戸、前月1,186千戸)

木曜日 フィラデルフィア連銀製造業景気指数(8月、予想21.0、前月24.1)、週次の失業保険新規申請件数(前週963千件)、継続受給者数(前週15,486千件)

金曜日 PMI景況感指数(8月、製造業、予想51.8、前月50.9、サービス業、予想51.0、前月50.0)

水曜日にはFOMC議事録(7月28・29日開催分)が公表される。同会合では政策変更はなく現状の強力な緩和策の継続となった。

フォワードガイダンスの見直しなどさらに踏み込んだ緩和策は見送り。一方で景気回復に向けてあらゆる手段を尽くす、と表明。厳しい景況感を示した。その詳細はどうか。

2.米国追加経済対策与野党協議

先週は米国の追加経済対策与野党協議の行方が市場心理を左右した。合意に近いとの報道でリスク選好が強まる場面もみられたが、結局は合意に至らず、協議難航が市場心理の重石にもなった。

中小企業支援策や現金給付など大筋で合意している項目もあるが、失業保険給付金上乗せなどいくつかで対立が続いている、との報道もある。今週に最終的な決着を得て市場心理の下支えとなるか。

3.日本の経済指標

日本経済の回復基調の弱さが目につく。このところの円安基調は海外市場のリスク選好に支えられている面が大きいが、相対的な日本のファンダメンタルズの弱さ、リバウンド力の弱さも影響している可能性もある。

月曜日 GDP(4-6月期、速報、前期比、予想▲7.6%、前期▲0.6%)

水曜日 貿易収支(7月、予想▲780億円赤字、前月▲2,690億円赤字)、機械受注(6月、前月比+2.0%、前月+1.7%)

日経平均は先週堅調に推移したが、戻り高値を維持できるか。また貿易収支はこのところ赤字が続いているが、為替需給面から円高圧力の後退、円安圧力が増していることを示すか。

◆今週のMRA's Eye


金融政策から財政政策への期待シフト、その影響

ここ2週間ほどに発表された米国の主要経済指標は、景気回復基調が維持されていること、回復ペースが鈍化していること、を示した。

しかし市場が懸念していた回復基調の停滞や悪化への反転までは示していない。そうしたなかで追加経済対策への期待感がリスク選好を支え、米国株はなお堅調に推移している。またワクチン開発や供給に関する政府と製薬会社の動きも市場心理の支えとなったようだ。

ただ景気回復の勢いが鈍化していることは明確となっている。個人消費の回復に停滞がみられることは、消費が大きな影響を占める米国経済の回復基調に影を落とす。

失業保険新規申請件数は先週初めて100万人を割ったが、継続受給者数は依然として1,500万人にのぼり、雇用情勢の改善ペースは鈍い。雇用の水準が危機前よりはるかに低水準で推移しており、今後も消費の勢いを削いだ状況が続く可能性がある。

そうしたなか、追加経済対策の実施が期待されるが、米国与野党協議はなお決着がついていない。大統領選挙を前に、与野党ともに景気浮揚策に大筋では合意する、せざるを得ないはずだが、詳細については対立もあろう。

失業保険給付金の上乗せ額について共和党は大幅な削減を予定している。いずれにしても追加経済対策が強化される可能性よりも、やや縮小したかたちで継続される可能性が大きい。財政の崖(財政支出の減少による景気への悪影響)が今後は意識される可能性がある。

金融政策は当面現状維持が続きそうだ。景気回復のためにあらゆる手段を尽くす、とパウエル議長は述べたが、実際にはフォワードガイダンスの強化(現状の超金融緩和の継続を長期化させる、最低限の継続期限を示すなど期待を強める)などは見送り。イールドカーブコントロールによる長期金利抑制も見送られた。

ゼロ金利政策は継続し、また企業に対する信用支援策も年末まで継続されることとなり、これは市場に一定の安心感をもたらした。しかし現状維持であり、リスク選好の維持には寄与するものの、リスク選好の強化・押し上げ効果はえられない。

そうしたなか、気になる動きは、先週、米国で長期金利の上昇がみられたことだ。

要因は国債入札に伴う需給懸念、国債発行の増加による影響、といわれている。

景気持ち直し期待が維持されていること、リスク選好が維持されていることも大きいが、財政支出が拡大した状況が追加経済対策によって続く、国債の大量発行が続き需給に悪影響が生じるのではないか、との見方も背景にあろう。

また一部企業が現状の超低金利環境のもとで大型社債発行を計画。そうした企業の増加も予想される。政府・企業、双方の債券発行の増加は長期金利を緩やかに押し上げることとなりそうだ。

このことは株式市場や為替市場に変化をもたらす可能性がある。株式市場では先週、セクターローテーションの動きが散見された。

8月に入って以降、それまでの一本調子のハイテク株堅調、景気敏感株不振、の動きの逆転が観測されるようになっている。ハイテク株の利食い、景気敏感株への資金シフト、が本格化し始めた可能性がある。

ハイテク株の上昇はコロナ禍でさらに高まる成長期待に裏打ちされている。しかし金利低下も大きな支えだ。

長期金利と株式益回り(1株利益/株価)のギャップで割高・割安が判断されるが、長期金利の低迷によって割高感の回避につながっている。

ここにきて金融緩和は現状維持が目一杯なところまできて、米10年債利回りが0.5%まで低下するに至って、少なくとも長期金利低下は限界まできていた。

そうしたなか、金融政策への期待は財政政策・追加経済対策への期待にシフトした。財政支出主導の景気回復期待が景気敏感株の支えに。長期金利の反転上昇とあいまって、ハイテク株から景気敏感株へ、割高から割安へ資金シフトを強めている可能性がある。

さらに金相場の動向に変化がみられる。1オンス2,000ドルの大台まで上昇したところでやや一服感がみられる。とくに米長期金利上昇によって反落する場面もみられた。

金相場はドル金利低下・ゼロ金利化で買われ、リスク回避でも買われる。リスク選好が維持され、米長期金利が上昇する環境では、金相場は調整しやすい。

なお水準として1,900ドル台を維持しており、調整も軽微だが、今後も金相場が頭打ちするようなら、市場参加者の意識変化、戦略変化、資金フローが変化していることの証左のひとつともなる。

過剰流動性・金融緩和への依存、から、追加経済対策・財政拡大への期待、へ市場参加者の意識、投資戦略の前提がシフトしたことが根本にあるとするなら、為替市場にも変化をもたらす。

これまでのドル安は一服が明確になる。金相場が今後天井感を強めるなら、それを強く示唆することになる。ドル安が一服し、リスク選好が維持されるのであれば、円が全面安となり、ドル円相場が底固くなるのは自然だ。

ただ、それは米国の財政支出が続き、経済の回復基調が維持され、景気敏感株を中心とした株価上昇続くか、による。

ただ財政支出・追加経済対策は次第に縮小する可能性がある。ワクチン開発進展への期待感が強まっているようだが、実用化や効果に過大な期待を寄せるのは要注意だろう。

なお紆余曲折があろうし、あるいは開発がひとまずうまく行っても、ウィルスの変容でイタチごっこになる可能性もある。

景気回復のペースはこの先緩慢になる可能性が高く、株価の上昇も緩慢、ないし調整する可能性がある。米国株式市場におけるセクターローテーションの動きは株価上昇が手詰まりとなってきたことを示している可能性もある。依然として株価調整リスクには留意を要する。

その場合のポイントはリスク回避による円買い・円高が生じるか。クロス円相場において円売りが積み上がっていれば、その巻き戻しによる一時的な円高は生じる可能性がある。

ユーロ円相場は126円台に上昇しているが、それが反転下落することで、ドル円相場にも円高圧力がかかる可能性がある。

しかし、日本の貿易収支の悪化、赤字定着、は、需給面からの円高圧力の後退、円安圧力が残存していることを示す。

円の「安全性神話」はリーマンショックから多くの年月を経て、また状況が異なることから、希薄化している。その結果、円高が長期的に続くことはなく、短期的なポジション調整による一時的な円高に留まるだろう。

とくにドル円相場が105円割れから100円を目指し、あるいは100円~105円のレンジに定着する可能性は今のところ小さいとみられる。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :106.6(▲0.33)
ユーロ :126.24(▲0.08)
英ポンド :139.513(▲0.22)
豪ドル :76.444(+0.01)
カナダドル :80.358(▲0.50)
スイスフラン :117.261(▲0.28)
ブラジルレアル :19.6563(▲0.26)
中国人民元 :15.32(▲0.07)
韓国ウォン(日本円=100) :8.981(▲0.04)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1842(+0.003)
英ポンド :1.3086(+0.002)
豪ドル :0.7171(+0.002)
カナダドル :1.3266(+0.004)
スイスフラン :0.9091(▲0.001)
ブラジルレアル :5.4229(+0.054)
中国人民元 :6.9504(+0.005)
韓国ウォン :1184.55(+1.21)

【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :0.71(▲0.01)
米2年債 :0.15(▲0.02)
日本10年債利回り :0.05(+0.02)
日本2年債利回り :0.05(+0.00)
独10年債利回り :▲0.42(▲0.01)
独2年債利回り :▲0.65(▲0.00)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :27,931.02(+34.30)
NASDAQ :11,019.30(▲23.20)
S&P500 :3,372.85(▲0.58)
日経平均株価 :23,289.36(+39.75)
ドイツ DAX :12,901.34(▲92.37)
インド センセックス :37,877.34(▲433.15)
中国上海総合 :3,360.10(+39.37)
ブラジル ボベスパ :101,353.50(+892.90)
英国FT250 :17,735.62(▲188.97)
ビットコイン :11770.13(+155.45)

【主要商品価格】
WTI :42.01(▲0.23)
Brent :44.80(▲0.16)
米ガソリン :124.46(+0.98)
米灯油 :123.67(▲0.14)

金 :1945.12(▲8.59)
銀 :26.45(▲1.06)
プラチナ :944.42(▲15.77)
パラジウム :2121.21(▲57.87)
銅 :6334.00(▲40:8.5B)
アルミニウム :1766.00(▲8:36C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :903.50(▲3.75)
シカゴ とうもろこし :324.50(▲0.75)
シカゴ小麦 :500.00(+3.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。