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市場参加者のリスク選好続き上昇
  • MRA商品市場レポート

2020年8月6日 第1798号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「市場参加者のリスク選好続き上昇」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:上昇。リスクオンモードでドル安→リスク資産買いの流れが続いたが、米ISM非製造業指数の改善を受けたドル高進行で上げ幅を削る展開。

米追加経済対策合意期待が高まる中で上昇地合いも、週間新規失業保険申請件数の増加が予想され上値も重い。

◆非鉄金属:市場参加者のリスクオンモードが強まり、ドル安が進行したことが材料となった。但し米国時間に入ってからの米統計改善を受けたドル高でやや上げ幅を削る展開。

昨日が統計の改善もあったが総じて循環物色による上昇であるため、本日はいったん調整売りに押される展開を予想する。

◆鉄鋼・鉄鋼原料:引き続き供給面が意識されて高値圏を維持。鉄鋼製品は中国南部の洪水の影響で小幅安。

南米の供給懸念は継続しており堅調も、中国南部の洪水の影響で上昇余地を限定、昨日とスタンス変わらず。

◆貴金属:期待インフレ率の上昇による実質金利の低下で上昇。但し非常に軽微な低下であり、どちらかといえばレバノン爆発事故などで、リスク・プレミアムの上昇による価格上昇だったとみられる。

2,000ドルを固め、米中や中東の地政学的リスクが意識され始めているため、堅調地合いを維持。

◆穀物:小動き。ドル安が価格の上昇要因となっているが、生産地の生産状況の改善やエタノール需給の緩和が材料となった。

ドル安が価格を押し上げるものの、足元の生産状況への楽観強く上値重くもみ合い。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は畜産やその他の農産品が売られ、それ以外のセクターは総じて上昇した。昨日発表された米国の経済統計は強弱まちまちであり、先行き楽観できるような内容ではなかったが、より景気への先行性の強いISM非製造業指数の改善が、市場参加者の地合いを強きに傾けていると考えられる。

昨日最も上昇したのは上海の銀。「貧者の金」と言われる銀が、金価格が高値を更新したために物色されている。また。プラチナやパラジウムも上昇した金価格の上昇余地が限定されるとの見方が強まったためだろう(詳しくは昨日のトピックスを参照)。

このほか、さほど需給がタイト化していないはずの亜鉛やニッケルも上昇率上位に名を連ねており、割安銘柄の循環物色の流れが強まっていると考えられる。

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【本日の見通し総括】

本日も昨日のISM非製造業指数の改善の流れを受けて、リスク資産が物色される流れが続くと考える。しかし、昨日の統計ではADP雇用統計の大幅な減速が確認されており、強弱材料が入り混じる状況が鮮明になっている。

その意味で、本日発表される米週間新規失業保険申請件数には注目している。市場予想は140万件が予想されており、先週の143.4万件から減少する見込みであるが依然として高水準である。

結果、市場はリスクオンモードになっているが、上値も重かろう。

なお、4日に発生したレバノンの大爆発事故は、化学工場で保管していた化学物質の発火によるもので、以前、江蘇省で起きた化学品倉庫の爆発と類似のものと考えられる。

しかし、あの時も「習近平の政敵の仕業」との報道がまことしやかに流れており、今回もトランプ大統領が「攻撃の可能性がある」と発言している。

ただでさえ原油安で中東情勢が不安定中、有事発生のリスクは警戒したほうが良い。

【昨日のトピックス】

金価格が2,000ドルを超えた。背景には実質金利の緩和が続いているほか、米国と中国の対立が深まっていることによる、リスク・プレミアムの付加が要因である。

しかし、このコラムでも何回か説明している通り、これ以上の上昇はYCCの導入か、さらに米国と中国が対立する、信用リスクが顕在化する、といった要素の顕在化が必要となるため、それほど上昇はしないだろう。

そうなると割安感がある銀が物色されやすいが、この数日の上昇で年初来のパフォーマンスは銀が金を上回ってしまった。

背景には南米の亜鉛や鉛鉱山からの供給減少観測、それに伴うCOMEX銀在庫の減少がある訳だが、とりあえずこれを材料にした買いは一巡だろう。

そうなると他の鉱物資源が物色されることになるが、非鉄金属でもそれが起きている。貴金属セクターではプラチナが今度は物色対象になると予想されるが、仮にそうなった場合、「割安銘柄を金融政策に立脚して物色する」循環物色が起きていることになり、いわゆる「金融相場」に入った可能性が出てくる。

こうなると、リスクオン・オフで相場が大きく変動することになり、ただでさえ景気の見通しが不安定な中だと、商品相場の変動性は高まりやすくなる。

このような相場になるかどうかを判断する上で、プラチナ価格動向は注目すべきだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の改善。

ロックダウン解除の動きが世界的に拡大しており、最悪水準まで低下したPMI・ISM指数には改善圧力が掛かり、景気循環銘柄価格の上昇要因に。ただし、ロックダウンを再開している地域も見られ、完全に元の状態に戻るには、ワクチン・治療薬の開発が必須に。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(▲3.0%→▲4.9%)ている。2021年に関しても+5.8%→+5.4%と下方修正した。

結局、コロナウイルスの影響が2021年意向も残存することが前提となっている。ただ、この冬場の再ロックダウン時の経済への影響は、2020年初に見られたほどの過激なものにはならず、半分程度にとどまるケースをメインシナリオとしている。

・各国中央銀行、特に先進国の中央銀行はコロナ対策で政策金利をほぼゼロ近傍まで引き下げており量的緩和規模も拡大、これ以上打てる手がなくなった状態。

もちろん、量的緩和規模の拡大や投資対象の拡大などの追加手段は考えられるが、経済への直接的な影響は、先行事例である日本や欧州を見るにそれほど大きくない。

クライシスが再び発生した場合のリスクはより高まっていると考えるべき。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・コロナウイルスの感染長期化の可能性。現在でも感染は世界的に拡大しており、北半球の冬場に再度感染拡大→経済活動自粛、という流れになるリスクも無視できず。

・米中の対立激化による新冷戦構造の発現。

米国が中国と共生体制になっていのは経済的なメリットがあったからだが、リーマンショック、コロナショックを通じて中国よりもデメリットが大きい(人民元安誘導など)ことがわかったため、米国が中国からのデカップリングを進める可能性は高い。

・米大統領選挙を巡る混乱。

反中に転じたバイデン氏が今のところ有利に選挙戦を進めているとみられるが、バイデン勝利の場合、より他国と連携して中国包囲網を強めるとみられるため、貿易量の減少を通じて景気循環系商品価格の下落要因に。

また、バイデン勝利の場合増税への懸念が強まるため株価にはマイナスと判断されており、この場合、株下落に伴う逆資産効果で商品価格の下押し要因となる可能性。

・生産拠点を自国に回帰させる動きや、リモートの定着による成長鈍化が、新興国(資源国の多くも新興国)の財政状況を悪化させ、自国を含む域内景気への悪影響を及ぼす懸念(価格の乱高下要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・英国のFTA締結なしEU離脱のリスク。EUとFTAで合意できなければ関税引き上げが発生し、合意なき離脱に匹敵する混乱となる可能性(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・ロックダウン解除の動きと量的緩和・信用緩和を受けた株高による、リスク資産の再物色の流れ。

コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

・年後半に再度ロックダウンが始まり、投機の買いで上昇したリスク資産価格(特に株)が下落するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は上昇した。昨日は為替が主導する流れとなり、市場参加者がリスクオンモードに傾く中でドル安が進行、これが価格を押し上げた。

また注目の石油統計(後述)で原油在庫の大幅な減少が確認されたことも、価格の押し上げ要因となった。

但し、ADP雇用統計が悪化したことや米石油統計の製品出荷が頭打ちとなっていることから上値も重く、米ISM非製造業指数の大幅改善でドルが買われたことで、引けにかけては上げ幅を削る展開となった。

昨日発表された米石油統計は、市場予想比で原油が強気、製品が弱気な内容となった。

原油は生産が減少(▲0.1MBD)、輸入が大幅な増加(+0.9MBD)となったが在庫は▲7.4MBの減少となった。輸入増加で在庫増加バイアスがかかったものの、先週の在庫減少が▲10.6MBと大きかったことから、在庫減少幅は依然、大きいままとなった。

WTIの価格・期間構造に影響するクッシング在庫は、+0.5MB(+1.3MB)と増加を続けている。PADD2の輸入増加と稼働率の低下が影響しているとみられる。

注目の石油製品出荷だが、ガソリンが横ばいの8.7MBDと過去5年の最低水準である9.5MBDを下回り、ディスティレートも前週比+0.2MBDの3.6MBDとなったものの、最低水準の3.7MBDは下回った。

全商品を合計すると前年比▲13.5%の18.3MBD(▲13.0%の18.3MBD)でほぼ横ばい、輸出も合計すると▲11.9%の23.1MBD(▲11.8%の23.1MBD)とこちらも横ばいとなった。

構造的な需要減少で、前年比▲10%程度需要が少ない状態が恒常化する予兆がみられており、原油価格を構造的に下押しすることになるだろう。

増加バイアスがかかった

【原油価格見通し】

原油価格は各国の経済統計が徐々に強弱が入り混じった状態になっており、足元の需要の回復力は強いとは言えない(ないしは中期的に改善持続が可能かどうかは疑問)。また、8月からOPECの増産が始まっていること、世界的なコロナの再拡大懸念を受けてやや軟調な推移になると考える。

但し、各国とも経済対策を行っていること、金融緩和を積極的に実施していることからファイナンシャルな面で価格は下支えされると予想する。

ファイナンシャルな面、という意味では50日移動平均線が200日移動平均線を上抜けするいわゆるゴールデンクロスがこの1~2週間以内に訪れる可能性があり、仮にそうなればテクニカルに価格が上昇するリスクは指摘しておきたい。

チャート的には典型的な三角持ち合いの状態になっている。上下どちらかに抜けた場合、テクニカルに相場が大きく変動する可能性がある。

しかし、米中対立やそれに伴う経済活動への悪影響、実は世界のコロナ感染者数の増加ペースが加速していることを考えると、このタイミングでプレ・コロナの頃の水準に経済活動が戻るとは考え難く、上昇リスクよりは、価格急落への備え(場合によってはプットオプションの活用など)を検討すべきと考える。

なお、DOEは2019年の水準に需要が回復するのは2022年頃になると予想している。

原油価格が低水準で推移した場合、米シェールオイルの生産者のコストは平均で40ドル近辺(27ドル~50ドル程度)、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度であることから、時間経過とともに減産が進捗すると予想される。

場合によると経営破綻、という形で減産が進む可能性もあるが、価格下落リスクヘッジをしている生産者もファイナンスが困難になっているため、資金繰りが意識される3、6、9、12月末のリスクは高まるだろう。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後(ワクチン・治療薬の開発完了後)の供給」である。今のところ夏頃から経済活動が再開されるとみられるが、この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

現在すべての産油国が追加減産を実施しているが、減産後の稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

足元の価格上昇を受けてOPEC諸国が増産に転じれば、逆にその体制崩壊のリスク→価格上昇のリスクを高めることになる。

ただ、今のところ今年の冬に感染拡大の第2ラウンドが来る可能性は高く、むしろメインシナリオになりつつある。この場合、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、現在の世界各地の減産では不十分となる可能性も充分にあり得る。

ただ、コロナに対する知見が増えたことから、この冬にみられたような大規模なロックダウンは回避されると予想され、影響は懸念したほどにはならないとみられる。

各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いは、市場参加者のセンチメントの改善を通じて今のところエネルギー価格の押し上げ要因となっている。

しかし、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、冬場に再ロックダウンがあった場合などの事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクと考えるべきだ。

原油価格の変動性は今後、需要が低迷するにも関わらず、さらに高まると考えておくべきである。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は前日比小幅に下落した。固有の材料に乏しい中、過去5年レンジの最低水準を季節性通りフォローする値動きとなっていたが、ここにきて上昇も、下落もしなくなってきている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は需給バランスの緩和観測で軟調な推移になると考える。ただし過去5年レンジの最低水準まで下落しており、その観点での割安感からの買いが入り、下落余地は限定されると考える。

6月の中国の石炭輸入は前月から回復したが、前年水準を▲6.7%下回った。中国は国内の石炭産業の強化を目的に国内生産を増加させる方向性に舵を切っており、輸入を抑制する可能性を否定していない。

また、コロナ問題を受けて対中国批判を強める豪州に対し、牛肉や鉄鉱石、石炭輸入を削減ないしは停止すると中国政府が表明しており、実際にその通りとなれば豪州炭価格を押し上げよう(他国産石炭は上昇)。

しかし、水準を切り上げていた中国の港湾在庫は急速に減少し、過去5年レンジを大きく下回っていることから、一定の輸入需要が見込めると考えられさらなる価格下落余地も限定される。

石炭期間構造はコンタンゴで限月交代によるジャンプも起きにくく、価格変動性は10%程度(VaRの概念では、現在の価格を50ドル程度とすれば、7割の確率で1年後の価格が±5ドル程度しか変化しない)と通貨の変動率程度まで変動性が低下している。

結局、燃料炭価格は狭いレンジの中で、低いボラティリティを維持しつつ現状水準での推移を続けると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲2割の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-6月期の中国工業生産は前年比▲1.3%(1-5月期▲2.8%)、6月+4.8%(前月+4.4%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

回復ペースは市場予想を上回っており、企業活動が加速していることをうかがわせる内容。

・1-6月期の中国小売売上高 前年比▲11.4%の17兆2,256億元(1-5月期▲13.5%の13兆8,730億元)、6月単月でも▲1.8%の3兆3,526億元(前月▲2.8%の3兆1,973億元)とマイナス幅を縮小している。

しかし、工業セクターや固定資産投資と異なり、最終需要は弱いものと考えられる(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化、コロナ問題を背景に米・欧軍が中東から撤退、それを受けたISの伸長が域内情勢を不安定化させ、原油生産・供給に悪影響を与える場合(価格の上昇要因)。

また、域内で武力衝突が発生し、難民が欧州に流入した場合欧州域内の政情が混乱するため景気を下押しし、原油価格の下落要因に。

<<投機・投資要因>>・WTI・Brentともロングが減少、ショートが増加した。景気回復ペースの鈍化もあって弱気のポジション取りに方向転換しているようだ。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが676,822枚(前週比 ▲11,088枚)ショートが144,253枚(+5,219枚)ネットロングは532,569枚(▲16,307枚)

Brentはロングが267,765枚(前週比▲5,722枚)ショートが76,140枚(+15,177枚)ネットロングは191,625枚(▲20,899枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属は総じて堅調な推移となった。リスクオンモードになる中、ドル安が進行していること、ベンチマークの銅在庫の減少が続いたこと、などが割安な商品の循環物色の流れを強めた。

余りロジカルではないが、貴金属セクターが金につれる形で大幅に上昇(年初来上昇率+21.5%)する中、銅をはじめとする工業金属セクターの上昇率は低く(+1.0%)、割安感から物色されていると考えられる。

もちろん、非鉄金属の需給が供給不安でタイトであることは間違いがないが、過去に金が上昇する中で銅が遅れて物色されることがあったのも事実であり、金融相場の色彩を商品市場が強める中では、あり得る上昇といえる。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は高値圏を維持すると見る。北半球の夏場の大規模ロックダウンは回避される見通しであることや、南半球を中心市とした生産側がコロナの影響で減産を余儀なくされる状態が続くと考えられることから。

金価格の上昇余地が限定され始める中、「割安な鉱物セクター」「非鉄金属の中でも割安な金属」の再物色が起きる可能性は低くない。

今回の米中の公共投資は、5G分野やEVステーションの整備、通常の公共投資が行われる見込みであり、銅、亜鉛、アルミの需要がその恩恵を受けると予想される。また予算を確保して行うため、需要としては「堅い」需要となる。

しかし、今年は北半球の冬場に再びロックダウンとなる懸念が拭えないため、北半球の夏場の非鉄相場は強いものの、大統領選後の冬場は南半球が夏になり、供給制限が緩和される見込みであることを考えると、年後半は需給両面で価格が下落するリスクは小さくないと考えている。

なお、中国南部での大規模洪水の影響であるが、これによって中国の兼摂活動が大幅に停滞し、需要が減速、価格の下押し要因となる。しかし洪水終息後は復興需要が見込めるため、価格の上昇要因になると整理するべきだろう。

個別商品では割安に推移してきたアルミは、中国の製錬キャパシティの拡大が2020前年比で▲130万トンの減少が見込まれ、アルミナの供給能力も、中国で180万トン程度が停止していることや、割安銘柄の循環物色から大幅な上昇となっている。

なお、米中が通商面で昨年・一昨年に行われたような「大規模な制裁」を実施することは両国にとってデメリットが大きいため、行われないと考えるのが常識的な見方だ。

しかし、コロナウイルスへの中国の対応(情報隠ぺい)を受けて、欧米の中国に対する今までの積年の不満が、香港・新疆ウイグル自治区問題、台湾問題で爆発しており、今後、欧米が協調して中国からのデカップリングを進める可能性は高い。むしろメインシナリオだろう。

反中に転じたバイデン候補が勝利した場合、欧州と連携して中国包囲網を強めると予想される。結果、貿易量の減少を通じて非鉄金属価格には下押し圧力が掛かることになる。

各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いは、市場参加者のセンチメントの改善を通じて今のところ非鉄金属価格の押し上げ要因となっている。

しかし、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、冬場に再ロックダウンがあった場合などの事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクと考えるべきだ。

冬場に突入する南半球の感染状況は、今後注意すべき需要指標になるだろう。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・7月中国製造業PMIは51.1(前月50.9)と改善した。内訳をみると、生産が小幅に回復(53.9→54.0)したが、新規受注の回復が大きかった(51.4→51.7)。輸出向け新規受注の持ち直し(42.6→48.4)と、国内の恐らく公的需要の増加が影響したとみられる。

一方、完成品・原材料在庫水準はやや積み上がり傾向がみられており、原材料・完成品在庫とも水準を切り上げた。これにより、新規受注・在庫レシオは水準を小幅ではあるが切り下げており、需給バランスの若干の緩和を示唆、価格の下押し要因となろう。

・8月中国銅線生産者 99.9%(前月101.6%、過去4年平均 87.1%)

・7月中国銅棒生産者 76.8%(78.7%、74.6%) 銅板生産者 63.2%(65.9%、69.8%) 銅管生産者 87.2%(89.3%、80.9%)

・6月中国銅精錬業者稼働状況 大規模事業者 89.0%(前月90.9%) 中規模事業者 71.9%(73.3%) 小規模事業者 74.3%(73.1%)

・1-6月期の中国工業生産は前年比▲1.3%(1-5月期▲2.8%)、6月+4.8%(前月+4.4%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

回復ペースは市場予想を上回っており、企業活動が加速していることをうかがわせる内容。

・1-6月期の中国固定資産投資は前年比▲3.1%の28兆1,603億元(1-5月期▲6.3%の19兆9,194億元)と回復基調を持続。

しかし、公的セクターの回復(▲1.9%→+2.1%)によるところが大きく、規模の大きな民間部門は▲7.3%(▲9.6%)と回復ペースは緩慢。

・1-6月期の中国不動産開発投資は前年比+1.9%の6兆2,780億元(1-5月期▲0.3%の4兆5,920億元)とプラス成長に転じた(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

・6月の中国の銅地金輸入は前年比+98.8%の66万トン(前月+20.8%の44万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比+8.4%の159万4,000トン(▲8.3%の169万ト)と、地金輸入が大幅な増加、銅鉱石輸入は減少傾向となっている。

銅のTC/RCは7月13日段階で54.5ドルと2014年以降の最低水準になっており、鉱石市場の需給がタイト化しており、中国の消費者は精錬品を物色している。

低下していた銅現物プレミアムも上昇しており、少なくとも北半球の夏場はコロナの影響が緩和しているため、この状況が続くことに。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・中国の大規模洪水の影響で中国の兼摂活動が大幅に停滞し、需要が減速する場合(価格下落要因)。しかし洪水終息後は復興需要が見込めるため、価格の上昇要因に。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・7月31日付のLMEロング・ショートポジションは金属ごとまちまちとなった。鉛とニッケルはロングが減少したが、その他の金属は増加している。公共投資や経済対策の恩恵を受ける金属が物色されていると考えられる。

一方、大きく積み上がっていたアルミはショートの買戻しが顕著。割安感で買戻しが入ったとみられる。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は83.7億ドル(前週77.6億ドル)と、買い越し幅を拡大している。買い越し幅の増加率は+18.0%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで1,738千トン(前週1,571千トン)と買い越し幅を拡大した。買い越し枚数の増加率は+10.7%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は小幅上昇、中国鉄鋼製品先物価格は直近限月が変わらず、中心限月が小幅に下落した。

引き続き供給懸念が意識されており高値圏を維持している。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は高値圏での推移になると考える。南米の生産がコロナウイルスの影響で計画比下振れする可能性が高いことに加え、中国政府のインフラ投資が今後も継続する見込みであることから、中国国内の足元の鉄鋼原料需給並びに今後の需給見通しがタイト化しているため。

但し、中国南部で発生している洪水の影響が継続、建設需要の減少が見込まれること、米中の対立が激しさを増しており最大消費国である中国の景気に悪影響を及ぼす可能性が高いことから、上値も重い。

急落していたバルチック海運指数は再び上昇している。しかし、週次のブラジル・豪州の鉄鉱石輸出実績は減少しており、どちらかといえば石炭輸入が増加したためと考えられる。

減少を続けてきた鉄鉱石・鉄鋼製品在庫は季節性もあり、増加に転じている。中国の公共投資・ブラジルの供給懸念で需給がタイト化していた鉄鉱石市場であるが、徐々に環境に変化がみられることは意識しておきたい。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。但し、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であること、洪水の影響による需要の減速で上値も重い。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は過去5年平均程度での推移が続いていたが、先週から水準を切り下げ、需給はタイト化している。

原料炭の先物期間構造としては、バックワーデーション幅が縮小しているが、期先が上昇する形での幅縮小であり、いわば限界生産コストが上昇している可能性がある。

結果、原料炭価格はしばらくの間、高止まりする公算が強まっている。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・7月の中国鉄鋼業PMIは49.2と前月から小幅に低下した。これを見るに鉄鋼業界自体は比較的安定しているとみられる。

7月の中国南部での洪水によって鉄鋼市場も影響を受け、需要の下押し要因となった。新規受注は公共投資などの影響で回復しているが、まだ50を下回っている。なお、海外市場の再開から輸出向け新規受注は大幅に増加している(31.2→42.8)。

生産は洪水の影響で原材料の確保が難しく、57.5→54.5と減速。在庫水準も原材料・完成品在庫とも低下した(各々、44.2→43.2、44.3→40.2)。

引き続き鉄鋼市場の需給はタイトな状態が続くとみられ、価格は高値圏での推移を維持する公算。

・中国河北省の高炉稼働率は7月31日時点で78.8%(前週79.0%)と小幅に低下した。しかし、過去5年平均を下回った状態が続いており高炉の稼働率は高止まりしている。

・1-6月期の中国工業生産は前年比▲1.3%(1-5月期▲2.8%)、6月+4.8%(前月+4.4%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

回復ペースは市場予想を上回っており、企業活動が加速していることをうかがわせる内容。

・1-6月期の中国固定資産投資は前年比▲3.1%の28兆1,603億元(1-5月期▲6.3%の19兆9,194億元)と回復基調を持続。

しかし、公的セクターの回復(▲1.9%→+2.1%)によるところが大きく、規模の大きな民間部門は▲7.3%(▲9.6%)と回復ペースは緩慢。

・1-6月期の中国不動産開発投資は前年比+1.9%の6兆2,780億元(1-5月期▲0.3%の4兆5,920億元)とプラス成長に転じた(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

・中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、6月は188万トンと記録的な水準に。国内生産は5月時点で9,227万トンと記録的な水準。一方で鉄鋼製品の輸出は370万トンと過去5年レンジを下回り、この5年の最低水準。圧倒的に国内需要が旺盛であることを示唆。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+15.0万トンの1,544.6万トン(過去5年平均 1,042.5万トン)となった。例年よりも在庫水準は高く在庫は増加している。

・6月の中国の鉄鉱石・精鉱輸入量は過去2番目の水準となり、1億168万トンとなった。中国の港湾在庫の水準は絶対水準が過去5年平均を下回り、在庫日数は過去5年の最低水準で推移しており、やはり国内のインフラ向け需要が旺盛であることを伺わせる内容。

一方で週次の鉄鉱石輸入は6月に入ってから減少を始めており、ブラジルや豪州の鉄鉱石週間輸出も減少を始めている。さらに減速するかどうかはブラジルについてはコロナウイルスの感染拡大状況、豪州はコロナを巡る中国との対立次第であるが、仮にそうなった場合、さらに海上輸送鉄鉱石価格は上昇することに。

鉄鉱石の港湾在庫水準は、絶対水準ベース、在庫日数ベースとも過去5年平均を下回っており一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+190万トンの1億1,695万トン(過去5年平均1億2,057.6万トン)、在庫日数は+0.4日の23.6日(過去5年平均 29.3日)と例年と比較して在庫水準が低く、需給ファンダメンタルズはタイト。しかし、徐々にではあるが緩和感が出始めている点は注意か。

・6月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比▲6.7%の2,528万6,000トン(前月▲19.7%の2,205万7,000トン)と前年比マイナスが続いており、減速し、過去5年平均程度まで落ち込んでいる。中国の石炭国内生産が増加しているためとみられる。

原料炭の輸入は5月は前年比▲19.1%の479万トン(前月▲15.4%の628万トン)と急減速した。おそらく国内生産が増加したことによるもの。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は上昇し、スポットベースの価格は最高値を更新した。実質金利が小幅に低下したが、それ以上にリスク・プレミアムが上昇した影響が大きかった。

テロではないと考えられるが、レバノンの爆発事故に関してトランプ大統領が「攻撃の可能性がある」と発言したことで、中東有事への懸念が広がった可能性がある。

また、イラクでも反政府行動が再燃しており、地政学的リスクが意識されやすい地合いにあることも、リスク・プレミアムを押し上げたとみられる。

銀は金銀レシオの低下に伴う感応度の上昇から金以上に上昇した。プラチナも割安感から大幅な上昇、パラジウムも金高・株高に連れる形となった。

【貴金属価格見通し】

金銀は高値圏を維持すると考える。FRBが実質金利をマイナスにする緩和策を容認していることもあり、かつ、2022年までは現状の政策が維持される見込みであること、米中の対立が経済制裁には至らないものの、領事館の閉鎖など、徐々に具体的な行動に移り始めており、安全資産需要が高まると予想されることが背景。

実質金利がさらに下落するには原油価格が高騰するなどの材料が必要であるが、期待インフレ率が原油価格とは乖離して上昇を始めており、実質金利を押し下げている。しかし、やはり原油価格の上昇余地は限定されるとみられることから、さらなる大幅な上昇は見込めないため、実質金利面での金価格の上昇余地は限定されるとみる。

また、名目金利に関してはそれでもまだ0.6%程度、米国の10年金利は下げ余地があるため、全く金融政策の影響がないとは言えない。

そのため、割安感のある銀が代わりに物色されることになるが、すでに年初来のパフォーマンスが金を上回っているため、目先、銀の上昇余地は限定されることになると考える。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスク・プレミアム)は361ドル(前日比+20ドル)。

一方、現在の実質金利で説明可能な価格水準は長期金利の低下もあって、1,620~1,650ドル程度まで上昇しており、緊急時の換金による下落余地が限定されている。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、75.6倍と昨日も低下した。

過去1年を基準にすると95倍程度、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当であり、そろそろ銀単体で上昇するのは難しかろう。

但し、コロナの影響で亜鉛や鉛など、銀の主要生産物を生産する鉱山の稼働が低下する恐れがあり、需給面が価格を押し上げる可能性が出てきた。

しかし、市場参加者が実際に供給不足になっているかを判断する材料としては、取引所在庫の水準で判断するしかない。更に銀在庫が減少する、ないしは金在庫が増加する、あるいはその両方が必要になる。

なお、金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)はCOMEX金在庫の急増によって低下、金銀レシオに下押し圧力をかけており、徐々に銀価格は対金で水準を切り上げる展開になると予想される。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)している点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによるが、各国の準備金や市場取引の担保価値が認められている金のほどの安全資産としては認知されていないため、金価格に主導される形で価格が形成されやすい。

しかし、値動きとしては銀価格と連動しやすく、銀価格が割安感から物色されやすい地合いとなっているため、プラチナ価格にも上昇圧力が掛かることになると予想する。

特に、銀の金に対する「出遅れ感」は解消しているため、今度は循環物色でプラチナが上昇する可能性は高いと考えている。

パラジウムは価格は景気の先行きが明確に悪いこと、自動車セクターの回復は緩やかなものにとどまる見通しであることから実需面は価格を下押ししやすい。

その一方で、貴金属のベンチマークである金価格は堅調な推移が予想されるため、結果、パラジウムは神経質にレンジワークでの推移になると考える。

7月の米自動車販売は年率1,452万台(市場予想 1,400万台、前月 1,305万台)と、市場予想を上回る回復となった。ただし、コロナ以前の水準に自動車販売が戻るには相当の時間がかかる見込みであり、PGM価格の押し上げ効果は限定的なものとなろう。

中国の6月の自動車販売は前年比+11.6%の230万台(前月+14.5%の219万台)と前月比プラスとなったが、前年比では伸びが減速した。引き続き年初来の販売累計は▲16.9%の1,026万台となっており、コロナの影響に伴う販売遅れを取り戻せていない状況。

中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻ることは難しく、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

そして、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・各国とも政策金利をゼロ近傍に下げており、量的緩和規模も拡大。あとは更に規模を拡大するか、量的緩和時の投資対象を拡大するぐらいしかなくなってきた。

これで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはロシアでは銅・ニッケルの、南アフリカ・米国ではプラチナの副産物として生産されるため(副産物としての供給が8割)、急な増産が困難であり供給面の制限が価格を下支えする状況に変わりはない。

<<特殊要因>>

・コロナ対策で過剰な財政出動が行われており、終息後に各国の財政・信用不安が意識される場合(価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・生産拠点を自国に回帰させる動きやリモートの定着による成長鈍化が、新興国の財政状況を悪化させる場合(価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが312,588枚(前週比 ▲21,649枚)、ショートが75,787枚(+7,986枚)、ネットロングは236,801枚(▲29,635枚)、銀が74,401枚(▲15,609枚)、ショートが47,093枚(+3,838枚)、ネットロングは27,308枚(▲19,447枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが33,342枚(前週比 +2,088枚)ショートが10,930枚(+88枚)、ネットロングは22,412枚(+2,000枚)

パラジウムが5,300枚(+608枚)、ショートが2,184枚(+174枚)ネットロングは3,116枚(+434枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場はまちまち。

トウモロコシは米石油統計でエタノール生産の減少、在庫の増加が確認されたことで売られてもおかしくなかったが、ドル安進行を受けた割安感からの買いの色彩が強かったと考えられる。

大豆は中西部での降雨による生産懸念の後退が材料となった。

小麦は反発。ドル安進行とテクニカルに50日移動平均線を試す動きとなった。引けレベルではこの水準を上抜けできず。

【穀物価格見通し】

トウモロコシ価格は、米経済活動の回復に一服感が出てきていることに伴う燃料向け需要ののび鈍化観測や、米国と中国の対立激化、生産地の生育環境改善で軟調な推移になると予想。

大豆は中国が米国との通商合意を履行する方針であるものの、場外戦で領事館閉鎖などの具体的なアクションがみられていること、生産地の生育環境の改善価格を下押しすると予想。

小麦は北米の冬小麦の作柄が良好ではなく、そもそも取引所在庫の水準が低いが、ここにきて黒海周辺諸国の生産が増加するとの見方が出始めており上値が重くなってきた。

東アフリカ・中東地域で激増しているサバクトビバッタであるが、現在はインド・パキスタン・イラン、エチオピア・ソマリア・ケニアにまたがる地域で猛威を振るっている。

懸念はアフリカ西部にバッタが飛来する可能性が指摘されている点。こうなると影響がアフリカ北部全域に広がることになり、食料危機を通じて北アフリカの治安が不安定化するリスクは無視できない。

また、東南アジアでもトウモロコシやイネの大害虫であるツマジロクサヨトウが繁殖し、深刻な食糧危機をもたらしている

コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家があったが、今度は収穫期にコロナウイルスの影響で人員が確保できず、収穫に影響が出る可能性がある。年後半にかけて、穀物価格の見通しは強気。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・6月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 150億Bu(150億4,085万Bu、前月159億9,500万Bu)大豆 41億3,500万Bu(41億5,430万Bu、41億2,500万Bu)小麦 18億2,400万Bu(18億4,372万Bu、18億7,700万Bu)

・6月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 24億4,800万Bu(27億3,052万Bu、33億2,300万Bu)大豆 4億2,500万Bu(4億2,389万Bu、3億9,500万Bu)小麦 9億4,200万Bu(9億5,019万Bu、9億2,500万Bu)

・6月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 52億2,400万Bu(49億5,862万Bu、79億5,300万Bu)大豆 13億8,600万Bu(13億9,113万Bu、22億5,300万Bu)小麦 10億4,400万Bu(9億8,661万Bu、14億1,200万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが286,534枚(前週比 +19,913枚)、ショートが388,953枚(+23,478枚)ネットロングは▲102,419枚(▲3,565枚)

大豆はロングが201,291枚(+1,325枚)、ショートが88,248枚(+9,781枚)ネットロングは113,043枚(▲8,456枚)

小麦はロングが121,339枚(▲1,712枚)、ショートが104,681枚(+436枚)ネットロングは16,658枚(▲2,148枚)

◆本日のMRA's Eye


「下期商品相場見通しダイジェスト」

1.マクロ経済コロナウイルスの感染拡大が完全に収束しない中、欧米世界は経済死を回避するために経済活動を再開させた。これは欧米企業は資金不足セクターであり危機時ののりしろが小さいためである。

また、世界的にコロナウイルスの研究が進み「どのようにすれば感染確率を下げられるか」その全容がなんとなくではあるが明らかになってきていることが影響している。また、景気減速を回避するために積極的な財政政策・金融緩和策が行われたため経済活動は急速に回復した。

結果、世界の景気は5月に底入れをしたと見られる。弊社は昨年から循環的に見ても今年の4~6月が景気の底になると見ていたので、その見通しと同じ結果となったが、コロナ前に想定していた水準よりも大幅に低い水準で底入れする形となった。

結局、コロナウイルス問題はインフルエンザのようにワクチンが完成し、タミフルやリレンザといったような治療薬が開発されるまでは経済活動に何らかの影響をもたらし、場合によると経済構造の変化をもたらしている可能性は高いため、2019年の水準を回復するのは、早くても2022年頃まで待たなければならないだろう。

さらに言えば、コロナ後の世界が安定してくるまでには数年を要すると考えるのが適当である。

足元の経済統計を見てみると、米国の週間新規失業保険申請件数の減少が終了、増加に転じたり、コンファレンスボード消費者信頼感指数をはじめ今まで改善を続けてきた経済統計の改善ペースが鈍化、ないしは悪化し始めているものが出てきている。

北半球の夏場は経済活動を全面的に停止することはないと予想されるため経済統計が悪化したとしても影響限定されるだろうが、恐らく今年の冬にやってくるコロナの第二波発生時に一時的に景気は減速するとの見方を弊社は崩していない。

また、ここにきて米中の対立が激しさを増している。そもそも中国とともに天を頂かないが米国が中国に対して厳しい対応をすることはコロナの前から決まっていた方針であり、米民主党・共和党でこの考え方は一致している。

しかしこのタイミングで米政権が圧力を強めているのは、米国の経済統計が鈍化していること、国内では黒人差別に対して黒人の大統領批判が強まっているため、それをかわそうとするためである。

結果、悪い経済統計が米中関係をさらに悪化させるという負のスパイラルに入る可能性がある。冬場に再ロックダウンの可能性があることを考えると、冬場にリスク資産価格が下落に転じる可能性、特に大統領選前後にその動きが強まる可能性は無視してはならないだろう。

2.金

連日メディアでも報じられているように、金価格が大幅に上昇し2,000ドルを伺う展開になっている。ニューヨークの金先物中心限月価格は2,000ドルを一時突破した。

価格上昇の背景は、この番組でも何回か説明しているように、実質金利が低下しているためである。金価格は10年の米物価連動債の利回りと逆相関の関係にあるが、実質金利は名目金利と期待インフレ率の2つの要素に分解することができ、さらにここに実質金利だけでは説明できない、「リスク・プレミアム」が加除されることで金価格が形成される。

※このあたりは、モーサテサタデーで詳述しています。
https://marketrisk.jp/news-contents/news/11897.html

名目金利はFRBが低金利政策が2022年頃まで継続するとの見通しを示したことで低下、期待インフレ率は説明力が高い原油価格の上昇と、各国政府・中央銀行の金融緩和を受けて上昇しており、結果的に実質金利が大きく低下することとなった。

これを受けての金価格上昇であるが、この実質金利の動きで説明が可能な部分は1,640ドル程度で、それ以上の価格上昇は前述のリスク・プレミアム部分と考えられる。

このリスク・プレミアムは直近3年で見ると平均で190ドル程度である。すなわち通常状態であれば1,820~1,830ドル程度が妥当なライン、ということ。

しかしそれよりも100ドル近く上回っているのは、何らかのリスクを市場が織り込んでいるということだ。

具体的には7月22日、ポンペオ米国務長官が、中国が米国の知的財産を盗んでいるとしてヒューストンにある中国総領事館閉鎖命令の背景を説明、その後の演説でも中国を徹底的に非難する声明を発表、それに対抗した中国の米武漢総領事館閉鎖が報じられてから、リスク・プレミアムが100ドル程度上昇している。

今後、金価格さらに上昇するには、1.実質金利が低下する、2.さらにリスク・プレミアムが上昇する、のいずれかないしは両方が必要になってくるが、仮にYCCが導入されて米10年金利が0%になったとすると、その影響で120ドル程度価格は上昇する(現在の感応度は1bpあたり2ドル程度)。

期待インフレ率に対する原油の説明力は高いが、原油価格の10ドルの上昇で70ドル程度、金価格を押し上げることになる。

YCCはFRBが否定的であること、原油価格の上昇余地がそれほどないと考えられることから、実質金利面での金価格上昇余地は限定されると考えるのが妥当だ。

となると、2.のリスク・プレミアム上昇があるか否かがカギになるが、この20年程度を振り返ると、ユーロ危機や信用リスクが高まった時に「各国国債の代替安全資産」として金が物色される時に上昇するケースが多い。

最も上昇したのは米国債の格下げがあったときであり、574ドルまで広がった。仮に実質金利が今の水準から動かず、米国債格下げに類似するインパクトのあるクレジット・イベントが発生した場合、2,200ドルが視野に入ることになる。

いずれにしても、市場は「2,000ドルを見たい」と思い始めているので、早晩2,000ドルをスポットベースでクリアすることになるだろう。

こうなると、銀も追随して上昇することになるが、この数週間で金に対する割安感から銀が上昇している。銀は貧者の金といわれるだけはある。しかしこの数週間の上昇で銀のパフォーマンスは金を上回ったため、これ以上上昇するには金価格が上昇するか、取引所の銀在庫が減少する、ないしは金在庫が増加する、その両方が発生することが必要になる。

その意味では排ガス規制強化の影響によって構造的な供給過剰状態になり、「投機商品」としての位置づけが強まっているプラチナの割安感が強いため、こちらが循環的に代替物色されることになるだろう。

3.原油価格動向

原油価格は上昇してきたが、ここにきて価格上昇ペースに鈍化がみられるようになった。これはこれまで価格上昇をけん引してきた「経済統計の改善ペース」に鈍化がみられるようになったことが影響している。

雇用関連統計は景気の遅行指標ではあるが、現状を把握する上で重要な米国の週間新規失業保険申請件数の減少が止まり、増加に転じている。このことは、コロナ禍の持続で一時解雇ではなく、本解雇となって失業する人が増えていることを意味する。

雇用環境の悪化は需要の減少に直結するため、価格が下落してもおかしくない。

より直接的には、米国の石油需要の指標である製品出荷を見てみると、こちらも確かに改善しているものの、前年と比較したベースの改善幅に頭打ち感が出てきてしまっている。

やはり、コロナの影響で航空輸送需要が減少するといった消費構造自体に変化が発生していることで、当面は前年比▲10%程度の需要減少状態が解消しないと見られる。

こうした需要面に加え、価格の下支えのために減産を行ってきたOPECが8月1日から予定通り190万バレルの減産規模拡大に踏み切る。需要があれば話は別だが、今後需要が再度減少する可能性があることを考えると、原油価格はしばらく、下落リスクを意識した方が良いかもしれない。

ただし、このままの低価格が続いた場合、シェールオイルなどの非在来型の生産者の減産が進み、需要回復時に速やかな原油供給が出来なくなる可能性があること、価格低下が産油国の財政状況悪化を通じて、現物の供給に影響を及ぼす可能性があることを中・長期的(1年超)な価格上昇のリスク要因として懸念している。

リスクシナリオの位置付けではあるが、仮に経済活動が回復している中でこの問題が顕在化すれば、価格が急騰する可能性はシナリオとして排除するべきではない。

4.銅価格動向

銅価格が上昇している。これは単純に需要と供給のバランスがタイト化していることによるもの。そもそも中国が銅を含む工業金属の最大消費国であるが、コロナ後の景気悪化に伴う人民からの支持率低下を回避するため、中国共産党政府が積極的に公共投資を行ったことによる、「実弾投入」が需要を押し上げたことが大きい。

今回の公共投資は配電網の整備に加え、5GやEV向けの投資が行われる見込みであり、銅の需要増加が見込める。

また、政府として予算を確保してインフラ投資に取り組むため、景気の動向によって実施が左右される設備投資以上に「固い」需要であることも、価格上昇に拍車をかけた。

これに加えて新しく出てきたのが「南北半球の季節の違い」という新しい季節性。GDPの9割は北半球からだが、夏場はコロナの影響が出難くどの国も経済活動を回復させている。

しかし、銅の6割近い生産は現在冬でコロナの感染拡大ピークとなっている南半球からの供給によるもの。鉱物資源供給の主要地が南半球である金属は多い(鉄などもそう)。鉱山は採掘方法にもよるが、基本的には「三密」な状態で生産されるため、生産が停止している、ないしは今後停止となる可能性が強く意識されている。

銅価格とLME指定倉庫在庫の間には高い相関性が確認されるが、現在の価格は在庫の減少ペースと比較するとややピッチが速い。これは中国の公共需要要因に加え、「北半球の夏場の需要回復+南半球からの供給減少」が価格を押し上げていると考えられる。

しかし、北半球の経済活動が鈍化する冬場には、南半球は夏場で多少コロナの影響が緩和し、増産バイアスがかかるため、ドクター・カッパーも冬には下落に転じる可能性があると考えている。

もちろん、金属によってはロシアやカナダなどが主要産地の金属もあるため一概には言えないが、これはコロナ問題が収束するまで考慮しなければならない新しい季節要因といえる。

5.農産品

農産品価格の上昇が懸念されていたが、コロナ問題がいったん落ち着いていることや、生産地の天候状況改善を受けてここにきて水準を切り下げる動きとなっている。しかし、米国と中国の対立が再び激化していることを受けて、米国産穀物の輸出需要が減少する可能性が出てくる。

またエネルギーのところでコメントしたように、ガソリンを含む輸送燃料需要が減少しているため、エタノール向け需要も減少することが見込まれることから、トウモロコシ価格が特に下押しされやすく、大豆や小麦もこれに追随する動きとなりやすい。

しかし、秋口にかけて再びコロナが北半球や生産地でも再拡大し、収穫に影響が出る可能性がある。また、今のところ生産地を直撃していないが、バッタ被害が西アフリカなどに広がる可能性も残っていて、この状況においても価格見通しは供給面でやや強気である。

また、このままだと恐らく中国は米国との通商合意を順守することはほぼ不可能である。すでに相当量ブラジルから大豆を購入していることに加え、「金額」で約束してしまったために農産品価格の低迷で想定していた以上に農産品を購入する必要が出てきたためだ。

これを材料に、中国に対する風当たりを強めると予想されるが、景気の下振れリスクを強めることになるため、本当に米政府が選挙前にそれができるかどうかと考えると「?」である。

恐らくそれもあって、中国政府は確信犯的に約束を履行しないのではないか。

◆主要ニュース


・7月日本サービス業PMI 45.4(速報比+0.2、45.0)、コンポジット 44.9(+1.0、40.8)

・7月中国財新サービス業PMI 54.5(前月55.7)、コンポジット 54.1(58.4)

・7月インドサービス業PMI 34.2(前月33.7)、コンポジット 37.2(37.8)

・7月独サービス業PMI改定 55.6(速報比▲1.1、47.3)、コンポジット 55.3(▲0.2、47.0)

・7月ユーロ圏サービス業PMI改定 54.7(速報比▲0.4、48.3)、コンポジット 54.9(+0.1、48.5)

・6月ユーロ圏小売売上高 前月比+5.7%(前月+17.8%)、前年比+1.3%(▲3.1%)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 ▲5.1%(前週▲0.8%)
 購入指数▲1.8%(▲1.5%)
 借換指数▲6.8%(▲0.4%)
 固定金利30年 3.14%(3.20%)、15年 2.73%(2.76%)

・7月米ADP雇用統計 前月比+167千人(前月改定+4,314千人)

・6月米貿易収支赤字 ▲507億ドル(前月改定▲548億ドル)

・7月米サービス業PMI改定 50.0(速報比+0.4、47.9)、コンポジット 50.3(+0.3、47.9)

・7月米ISM非製造業景況指数 58.1(前月57.1)、新規受注 67.7(61.6)
 受注残 55.9(51.9)、在庫増減 52.0(60.7)
 在庫景況感 50.0(55.9)、雇用 42.1(43.1)

・クラリダFRB副議長(投票権あり・中間派)、「新型コロナの影響にかかわらず、Q320のGDPは持ち直す。議会が財政投入による経済対策を承認することでそれは促される。」

・クリーブランド連銀メスター総裁(投票権あり・タカ派)、「2020年のGDPは前年比▲6%の見通し。インフレはしばらく低水準に留まる。最近のコロナの感染増で景気は下振れリスク。フォワードガイダンス、債券購入が更なる景気刺激を提供。」

・ムニューシン財務長官、米下院ペロシ議長と上院シューマー議長との会談後、「可能であれば来週にも法案を可決できるよう、全体的な内容で州内の合意を目指す。一部の点では合意できたが大きな問題も残っている。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油▲7.4MB(クッシング+0.5MB)
 ガソリン+0.4MB
 ディスティレート+1.6MB
 稼働率+0.1

 原油・石油製品輸出 7,659KBD(前週比+118KBD)
 原油輸出 2,892KBD(+108KBD)
 ガソリン輸出 573KBD(+62KBD)
 ディスティレート輸出 1,277KBD(▲62KBD)
 レジデュアル輸出 107KBD(▲11KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 992KBD(+1KBD)
 その他石油製品輸出 1,766KBD(+29KBD)

・イラク アブドル・ジャバー石油相、「イラクは9月まで100%コンプライアンスを遵守することを強要されるだろう。我々は過去、コンプライアンスを遵守していなかった。」

【メタル】
・Q220 Century Aluminum アルミ出荷 210,309トン(前期202,905トン、前年203,380トン)

・日鉄ステンレス、8月の冷延薄鋼板価格を前月比+5,000円引き上げ、クロム系冷延薄板鋼板価格は据え置き。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.SHF 銀 ( 貴金属 )/ +5.25%/ +36.77%
2.ICEガスオイル ( エネルギー )/ +4.65%/ ▲36.81%
3.ビットコイン ( その他 )/ +4.26%/ +63.35%
4.銀 ( 貴金属 )/ +3.66%/ +51.01%
5.プラチナ ( 貴金属 )/ +3.34%/ +0.33%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
65.CME牛乳 ( 畜産品 )/ ▲20.30%/ +1.19%
64.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ ▲2.99%/ +18.47%
63.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ ▲1.88%/ ▲6.56%
62.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ ▲1.78%/ +1.85%
61.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ ▲1.63%/ ▲6.45%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :27,201.52(+373.05)
S&P500 :3,327.77(+21.26)
日経平均株価 :22,514.85(▲58.81)
ドル円 :105.60(▲0.12)
ユーロ円 :125.27(+0.49)
米10年債 :0.55(+0.04)
中国10年債利回り :2.97(+0.03)
日本10年債利回り :0.01(▲0.01)
独10年債利回り :▲0.51(+0.05)
ビットコイン :11,692.68(+478.23)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :31.48(+1.98)
エネルギー :29.11(+0.63)
ベースメタル :19.83(+0.24)
貴金属 :33.23(+0.54)
穀物 :34.58(▲0.87)
その他農畜産品 :35.82(+5.02)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :27.53(+0.18)
Brent :22.71(+0.61)
米天然ガス :66.35(+0.56)
米ガソリン :31.30(▲0.28)
ICEガスオイル :31.86(+4.16)
LME銅 :20.45(▲0.36)
LMEアルミニウム :17.55(+0.29)
金 :12.07(+0.01)
プラチナ :32.12(+1.43)
トウモロコシ :22.52(▲0.04)
大豆 :12.07(+0.01)

【エネルギー】
WTI :42.19(+0.49)
Brent :45.17(+0.74)
Oman :44.47(+0.38)
米ガソリン :122.28(+0.85)
米灯油 :126.31(+0.47)
ICEガスオイル :388.00(+17.25)
米天然ガス :2.19(▲0.00)
英天然ガス :19.95(+0.16)

【貴金属】
金 :2038.12(+18.91)
銀 :26.96(+0.95)
プラチナ :969.76(+31.36)
パラジウム :2188.14(+46.63)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,523(+88:2.5B)
亜鉛 :2,382(+66:11.5C)
鉛 :1,907(+55:18C)
アルミニウム :1,779(+30:39.5C)
ニッケル :14,287(+354:37C)
錫 :17,932(+72:28B)
コバルト :33,100(+100)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6486.00(+36.00)
亜鉛 :2378.50(+50.00)
鉛 :1917.00(+34.00)
アルミニウム :1760.50(▲7.50)
ニッケル :14270.00(+285.00)
錫 :17855.00(+110.00)
バルチック海運指数 :1,463.00(+78.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :116.36(+1.01)
SGX鉄鉱石 :116(+0.64)
NYMEX鉄鉱石 :116.27(+0.72)
NYMEX原料炭スワップ先物 :110.57(+0.07)
上海鉄筋直近限月 :3,771(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,828(▲15)
米鉄スクラップ :270(+5.00)

【農産物】
大豆 :882.00(▲1.75)
シカゴ大豆ミール :282.30(▲1.40)
シカゴ大豆油 :31.70(+0.17)
マレーシア パーム油 :2845.00(▲47.00)
シカゴ とうもろこし :311.00(+2.75)
シカゴ小麦 :510.75(+2.50)
シンガポールゴム :164.10(+1.10)
上海ゴム :10875.00(+75.00)
砂糖 :12.54(▲0.24)
アラビカ :121.55(+0.50)
ロブスタ :1379.00(▲25.00)
綿花 :64.36(+0.43)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :49.45(▲0.25)
シカゴ生牛 :102.30(+0.03)
シカゴ飼育牛 :144.80(+0.10)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。