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欧米統計改善で総じて堅調
  • MRA商品市場レポート

2020年7月7日 第1779号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「欧米統計改善で総じて堅調」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:もみ合い。欧米統計の改善や株高が上昇要因となったが、コロナウイルスの感染拡大への懸念が続いていることから上値も重かった。

統計改善や夏場の北半球の経済活動の急減速は考え難く、堅調地合いを維持。DOE月報に注目。

◆非鉄金属:欧米経済統計の改善と公共投資期待、南米からの供給不安継続で大幅な上昇。

目立った手掛かり材料に乏しいが、昨日の上昇が顕著だったことからいったん調整、その後再び上昇へ。

◆鉄鋼原料:欧米統計の改善と南米の供給不安で高値圏維持。鉄鉱石は100ドル台を回復。

需給環境に大きな変化なく、高値圏での維持継続。

◆貴金属:景気回復期待を受けた期待インフレ率の上昇、実質金利の低下を受けて軒並み水準を切り上げる。

目立った手掛かり材料に乏しいが、米金融政策に大きな変更がない中で景気への期待が高まっていることによる期待インフレ率の上昇が価格を押し上げる見込み。

◆穀物:シカゴ穀物市場は総じて堅調。トウモロコシと大豆は生産地の降雨量の減少と高温予報が材料となった。小麦は小幅安。

生産地の天候状況悪化とエタノール向け需要の回復でトウモロコシ・大豆は堅調、小麦も連れ高の公算。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はその他農産品やエネルギーの一角がやや軟調な推移となったが、総じて水準を切り上げる動きとなった。

欧米の経済統計が発表されたがいずれも市場予想を上回る内容であり、北半球の夏場のロックダウンは行われないだろうとの楽観が相場を押し上げている。

マインドの改善ももちろんであるが、米国をはじめとする多くの主要国が金融緩和に大幅に舵を切っており、米国も実質金利のマイナスを許容するなどの政策を継続する方針であることから、総じてインフレ資産が高い状態が続いている。

依然、商品は個別の需給環境を反映した価格で取引されているとみてはいるが、景気を反映した需給相場から、徐々に金融相場に移行しているという印象を受ける。

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【本日の見通し総括】

本日は目立った手掛かり材料に乏しく、これまで発表されている統計の改善を受けた景気への楽観、北半球の夏場はロックダウンは行われないだろうとの見通し、米中対立も激しさを増しているものの、両国経済に深刻な影響を与える相互経済制裁の強化まで踏み切るほどのゆとりはなく、「悪口合戦」の域を出ないと見透かされていること、などが買い材料になると予想される。

しかし、明らかに経済活動の「絶対水準」はプレ・コロナの水準を回復するには至っておらず、これまでの価格上昇は金融・財政などの政策面に依拠する上昇であることは明らかであり、循環的に需要が回復して価格が上昇する、というサイクルに入るのにはまだ数年かかると予想される。

【昨日のトピックス】

昨日発表された米ISM非製造業指数が市場予想を上回る大幅な改善となったことで、市場参加者の景気への楽観は再び強まったといえるだろう。

ヘッドラインの数字は57.1(市場予想50.2、前月45.4)と前月・市場予想とも大幅に上回った。指数の大幅な改善に寄与したのは新規受注(41.9→61.6)、受注残(46.4→51.9)、在庫増減(48.0→60.7)となったことが大きい。

景況感が前月から改善を続けているのは確かだろう。今後のポイントとして、この在庫増減に注目している。

新規受注の増加は早晩出荷となって反映され、在庫水準の低下に繋がる。当たり前だが出荷の前には受注があってしかるべきであり、恐らく早晩この在庫水準は減少に転じることになるだろう。

仮に在庫の水準が減少しなければ、これはむしろ冬場のロックダウン時の供給不足に備え、今から在庫を積んでいる可能性が出てくる。今のところ前者か後者かは半々である。

ただ、新規受注の改善の割には雇用者の改善が遅れている(31.8→43.1)。このことは、再ロックダウンを警戒し企業側も再雇用には慎重になっていることを伺わせる。

足元の景況感の回復は、やはり急な景気減速を意識した、薄氷を渡る景気回復と考えるべきではないだろうか。結局のところ、ワクチンが開発される、正しいコロナとの付き合い方が浸透する、といった「環境の改善」がなければ既存の業態が、「今までと同じように」雇用や生産活動を続けることは難しいといえるだろう。

その意味で、リモートワークをサポートするテック関連株が上昇しているのは、当然の帰結ともいえる。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の改善。

ロックダウン解除の動きが世界的に拡大しており、最悪水準まで低下したPMI・ISM指数には改善圧力が掛かり、景気循環銘柄価格の上昇要因に。ただし、本格解除には至らず、改善余地も限定される公算。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(▲3.0%→▲4.9%)ている。2021年に関しても+5.8%→+5.4%と下方修正した。

結局、コロナウイルスの影響が2021年意向も残存することが前提となっている。ただ、この冬場の再ロックダウン時の経済への影響は、2020年初に見られたほどの過激なものにはならず、半分程度にとどまるケースをメインシナリオとしている。

・各国中央銀行、特に先進国の中央銀行はコロナ対策で政策金利をほぼゼロ近傍まで引き下げており量的緩和規模も拡大、これ以上打てる手がなくなった状態。

もちろん、量的緩和規模の拡大や投資対象の拡大などの追加手段は考えられるが、経済への直接的な影響は、先行事例である日本や欧州を見るにそれほど大きくない。

クライシスが再び発生した場合のリスクはより高まっていると考えるべき。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・コロナウイルスの感染長期化の可能性。現在でも感染は世界的に拡大しており、北半球の冬場に再度感染拡大→経済活動自粛、という流れになるリスクも無視できず。

・米中の対立激化による新冷戦構造の発現。

米国が中国と共生体制になっていのは経済的なメリットがあったからだが、リーマンショック、コロナショックを通じて中国よりもデメリットが大きい(人民元安誘導など)ことがわかったため、米国が中国からのデカップリングを進める可能性は高い。

・生産拠点を自国に回帰させる動きや、リモートの定着による成長鈍化が、新興国(資源国の多くも新興国)の財政状況を悪化させ、自国を含む域内景気への悪影響を及ぼす懸念(価格の乱高下要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は移行期間の延長を拒否しており、EUとFTAで合意できなければ関税引き上げが発生し、合意なき離脱に匹敵する混乱となる可能性(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・ロックダウン解除の動きと量的緩和・信用緩和を受けた株高による、リスク資産の再物色の流れ。

コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

・年後半に再度ロックダウンが始まり、投機の買いで上昇したリスク資産価格(特に株)が下落するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格はもみ合った。各国経済統計の改善で景気の先行きに対する楽観が広がる一方、コロナウイルスの感染拡大は継続しており、ピークシーズンの需要が思ったほど回復しないとの見方が広がるなど、強弱材料が混在するため。

【原油価格見通し】

原油価格は最大消費国である米国の経済活動が回復していることから目先強含み易いものの、OPECの減産幅縮小観測や、世界的なコロナの再拡大懸念を受けて上値も重いと考える。

DOEは2019年対比で元の水準に戻るのは2022年以降と想定しており、原油需要の戻りや価格の戻りは制限されると考えられるが、OPECの減産によってすでに原油需給バランスが供給不足になっているとの見通しも示しており、下落余地も限定されるとみている。当面はレンジワークとなるだろう。

しかし、米中対立やコロナの影響継続、実は世界のコロナ感染者数の増加ペースが加速していることを考えると、プレ・コロナの頃の水準に経済活動が戻るとは考え難く、常に価格急落への備え(場合によってはプットオプションの活用など)を検討すべき時期にあると考える。

原油価格が低水準で推移した場合、米シェールオイルの生産者のコストは平均で40ドル近辺(27ドル~50ドル程度)、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度であることから、時間経過とともに減産が進捗すると予想される。

場合によると経営破綻、という形で減産が進む可能性もあるが、価格下落リスクヘッジをしている生産者もファイナンスが困難になっているため、資金繰りが意識される3、6、9、12月末のリスクは高まるだろう。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後の供給」である。今のところ夏頃から経済活動が再開されるとみられるが、この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

すでに全ての産油国が追加減産を実施しているが、減産後の稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

足元の価格上昇を受けてOPEC諸国が増産に転じれば、逆にその体制崩壊のリスク→価格上昇のリスクを高めることになる。

ただ、今のところ今年の冬に感染拡大の第2ラウンドが来る可能性は高く、むしろメインシナリオになりつつある。この場合、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、現在の世界各地の減産では不十分となる可能性も充分にあり得る。

各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いは、市場参加者のセンチメントの改善を通じて今のところエネルギー価格の押し上げ要因となっている。

しかし、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、冬場に再ロックダウンがあった場合などの事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクと考えるべきだ。

原油価格の変動性は今後、需要が低迷するにも関わらず、さらに高まると考えておくべきである。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に上昇した。固有の材料に乏しい中、過去5年レンジの最低水準を季節性通りフォローする値動きとなっていたが、ここにきて上昇も、下落もしなくなってきている。

機関構造は緩やかなコンタンゴで限月交代によるジャンプも起きにくく、価格変動性は15%程度(VaRの概念では、7割の確率で1年後の価格が±8ドル程度しか変化しない)と通貨の変動率程度まで変動性が低下している。

【石炭価格見通し】

石炭価格は需給バランスの緩和観測で軟調な推移になると考える。ただし過去5年レンジの最低水準まで下落しており、その観点での割安感からの買いが入り、下落余地は限定されると考える。水準は低いが小じっかり、ということだ。

5月の中国石炭輸入は2,206万トン(前月3,095万トン)と過去5年平均程度まで急速に減少した。国内の経済活動の回復が一旦頭打ちとなったことや、国内生産が高水準(過去5年レンジを上回る)の増加が要因とみられる。

また、コロナ問題を受けて対中国批判を強める豪州に対し、牛肉や鉄鉱石、石炭輸入を削減ないしは停止すると中国政府が表明しており、実際にその通りとなれば豪州炭価格を押し上げよう(他国産石炭は上昇)。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲2割の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-5月期の中国工業生産は前年比▲2.8%(1-4月期▲4.9%)、4月+4.4%(前月+3.9%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし回復ペースは市場予想を下回っている。

・1-5月期の中国小売売上高は前年比▲13.5%13兆8,730億元(1-4月期▲16.2%の10兆6,758億元)と回復は遅れており、5月単月でも▲2.8%の3兆1,973億円(前月▲7.5%の2兆8,178億元)と回復はしているがマイナスは継続(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし前年比マイナスの状態が続き、回復ペースは緩慢。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化、コロナ問題を背景に米・欧軍が中東から撤退、それを受けたISの伸長が域内情勢を不安定化させ、原油生産・供給に悪影響を与える場合(価格の上昇要因)。

また、域内で武力衝突が発生し、難民が欧州に流入した場合欧州域内の政情が混乱するため景気を下押しし、原油価格の下落要因に。

<<投機・投資要因>>・WTI、Brentともロング・ショートとも減少、経済活動再開に伴う需要回復期待と、OPECプラスの減産継続が材料となっている。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが704,393枚(前週比 ▲6,864枚)ショートが160,567枚(+10,193枚)ネットロングは543,826枚(▲17,057枚)

Brentはロングが264,938枚(前週比+3,618枚)ショートが50,797枚(▲8,854枚)ネットロングは214,141枚(+12,472枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME市場は総じて堅調な推移となった。各国経済統計の改善を受けた需要の回復期待と、南米の供給不安継続が材料となった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は高値圏を維持すると考える。今のところ北半球の主要国は夏場のロックダウンを想定しないように見られること、中国・米国のインフラ投資実施による公的セクターの需要下支えが期待されるうえ、コロナの影響による南米生産者の供給減少が意識されており、ベンチマークである銅価格が堅調に推移すると予想されることから。

2016年の大統領選挙時も1兆ドルインフラ投資(この時は10年かけて1兆ドル)が材料となり相場が上昇したが、大統領選挙で一巡してその後下落している。

今回の公共投資では、5G分野やEVステーションの整備、通常の公共投資が行われる見込みであり、銅、亜鉛、アルミの需要が増加すると考えられる。

割安に推移してきたアルミは中国の製錬キャパシティの拡大が2020前年比で▲130万トンの減少が見込まれるため、秋口にかけての上昇リスクは小さくないとみる。

しかし、今年は北半球の冬場に再びロックダウンとなる懸念がぬぐえないため、北半球の夏場の非鉄相場は強いものの、大統領選後の冬場は南半球が夏になり、供給制限が緩和される見込みであることを考えると、年後半は需給両面で価格が下落するリスクは小さくないと考えている。

なお、米中が通商面で昨年・一昨年に行われたような「大規模な制裁」を実施することは両国にとってデメリットが大きいため、行われないと考えるのが常識的な見方だ。

ただし、コロナウイルスへの中国の対応(情報隠ぺい)を受けて、欧米の中国に対する今までの積年の不満が、香港・新疆ウイグル自治区問題、台湾問題で爆発しており、今後、欧米が協調して中国からのデカップリングを進める可能性は高い。むしろメインシナリオだろう。

特に、反中に転じたバイデン候補が勝利した場合、欧州と連携して中国包囲網を強めると予想される。

結果、貿易量の減少を通じて非鉄金属価格には下押し圧力が掛かることになる。

各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いは、市場参加者のセンチメントの改善を通じて今のところ非鉄金属価格の押し上げ要因となっている。

しかし、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、冬場に再ロックダウンがあった場合などの事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクと考えるべきだ。

冬場に突入する南半球の感染状況は、今後注意すべき需要指標になるだろう。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・6月中国製造業PMIは50.9(前月50.6)と改善した。内訳を見ると生産が回復、新規受注も50.9→51.4と改善、輸出向けの新規受注も大きく改善(35.3→42.6)しており、ロックダウン解除による国内の経済活動の回復と、海外市場の稼働再開が影響したことが鮮明となった。

これに伴い、原材料・完成品在庫とも水準を切り下げており、新規受注の増加と合わせた両要因で、新規受注・在庫レシオは水準を切り上げることになった。

中国国内の原材料・完成品需給はタイト化が予想され、特に鉱物資源価格の上昇要因となる。

・6月中国銅線生産者 97.1%(前月101.7%、過去4年平均 87.1%) 銅棒生産者 77.8%(80.4%、76.1%) 銅板生産者 63.5%(65.9%、70.8%) 銅管生産者 86.2%(83.4%、85.6%)

・5月中国銅精錬業者稼働状況 大規模事業者 90.9%(前月90.3%) 中規模事業者 73.3%(65.9%) 小規模事業者 73.1%(73.1%)

・1-5月期の中国工業生産は前年比▲2.8%(1-4月期▲4.9%)、4月+4.4%(前月+3.9%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし回復ペースは市場予想を下回っている。

・1-5月期の中国固定資産投資は前年比▲6.3%の19兆9,194億元(1-4月期▲10.3%の13兆6,824億元)と回復基調を持続(ストック需要の回復=価格の上昇要因)

しかし、公的セクター▲1.9%(▲6.9%)は回復しているものの、より規模の大きな民間セクターの回復は▲9.6%(▲13.3%)と遅れており、回復力は然程強くない。

・1-5月期の中国不動産開発投資は前年比▲0.3%の4兆5,920億元(1-4月期▲3.3%の3兆3,103億元)とマイナス幅を縮小(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

ただし、前年比マイナスは続いており回復力は弱い。

・5月の中国の銅輸入は前年比+20.8%の44万トン(4月+12.6%の46万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比▲8.3%の169万トン(+22.2%の203万トン)となった。

銅地金の輸入は過去5年の最高水準を上回っていたが今月は減速、鉱石輸入も5年平均程度まで減速している。上海銅プレミアムの低下を見るに、中国の銅地金・鉱石輸入はいったん一巡したとみられる。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・6月26日付のLMEロング・ショートポジションは、引き続き総じてショートの買戻しが顕著だったが、アルミ以外は新規にロングが積み増された。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は20.5億ドル(前週5.8億ドル)と、買い越し幅を拡大している。買い越し幅の増加率は+254.4%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで101千トン(前週▲173千トン)と買い越しに転じた。銅が需給両面でタイト化しているため、銅の買戻しの影響が大きい。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は小幅安、中国鉄鋼製品先物価格は小動きだった。

欧米経済統計の改善とブラジルからの供給懸念が価格を押し上げている。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は高値圏での推移になると考える。中国鉄鉱石在庫が日数ベースで過去5年の最低水準で推移していること、中国の鉄鋼業PMIなどを見るに、中国国内の鉄鋼原料需給がタイト化しているため。

中国のインフラ投資(公的需要)、米国の1兆ドルインフラ投資、ブラジルの供給懸念も価格の押し上げ材料。

なお、足元のバルチック海運指数の上昇が続いており、過去5年の上限レンジを上回っている。

同指数は石炭輸送状況の影響を強く受けるが、足元、ブラジル・豪州の中国向け鉄鉱石輸出が過去5年レンジを上回って高水準で推移しており、鉄鉱石在庫積み増しの動きの影響が大きくなっている可能性がある。

ただし、鉄鋼製品在庫の水準は例前年比でみても高く、貿易統計に見る鉄鋼製品輸出は440万トンと過去5年の最低水準を大きく下回っており、外需の回復には時間がかかりそうな状況。

中国河北省の高炉稼働率は7月3日時点で78.9%(前週79.3%)と小幅に低下しており、鉄鋼製品生産の回復は頭打ちとなっていることをうかがわせる内容。

コロナウイルス感染拡大や、人権問題をめぐって欧米の中国への不満が高まっており、両者の対立は交易量の減少を通じて鉄鋼製品価格・鉄鉱石価格を下押ししよう。

原料炭は中国の生産活動回復が継続している影響もあるが、中国の国内生産の増加もあり、低調な推移になると考える。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は過去5年平均程度での推移が続いており、鉄鉱石よりは需給が緩和している。

インドネシア・豪州の中国向け石炭輸出は増加しており、バルチック海運指数の押し上げ要因となっている。しかし、中国生産者の在庫の積み増しが進んでいることを考えると早晩頭打ちとなるだろう。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・6月の鉄鋼業PMIは49.3(前月50.9)と前月から悪化した。生産は引き続き高水準であるが(56.4→57.5)、新規受注が急減速(52.9→46.4)したことが影響した。輸出向け新規受注の水準も低下しており、鉄鋼製品の国内外向けの需要は急減速しているといえる。

鉄鋼業は中国政府の公共投資を受けて公的需要が増加していたと見られるが、それが一服したためと考えられる。やはり、中国もそこまで財政的にゆとりはないということだろう。

結果、完成品在庫・原材料在庫とも指数が上昇しており、今後、鉄鋼製品価格や鉄鉱石価格の下押し要因になると予想される。

・1-5月期の中国工業生産は前年比▲2.8%(1-4月期▲4.9%)、4月+4.4%(前月+3.9%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし回復ペースは市場予想を下回っている。

・1-5月期の中国固定資産投資は前年比▲6.3%の19兆9,194億元(1-4月期▲10.3%の13兆6,824億元)と回復基調を持続(ストック需要の回復=価格の上昇要因)

しかし、公的セクター▲1.9%(▲6.9%)は回復しているものの、より規模の大きな民間セクターの回復は▲9.6%(▲13.3%)と遅れており、回復力は然程強くない。

・1-5月期の中国不動産開発投資は前年比▲0.3%の4兆5,920億元(1-4月期▲3.3%の3兆3,103億元)とマイナス幅を縮小(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

ただし、前年比マイナスは続いており回復力は弱い。

・5月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲23.3%の440万1,000トン(前月▲0.2%の631万9,000トン)大幅に減速した。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+28.15万トンの1,459.4万トン(過去5年平均1,049万トン)となった。例年よりも在庫水準は高く、今週に関しては例年と異なり在庫が増加している。需要の減速がみられている可能性があるため、来週以降の鉄鋼製品在庫の動向に注目したい。

・5月の中国の鉄鉱石の輸入量は前年比+3.9%の8,703万トン(前月+18.5%の9,571万トン)と前年比プラスとなったが、過去5年レンジを下回り、過去5年平均程度まで落ち込んだ。しかし、ブラジル・豪州の週間鉄鉱石輸出は中国向けが増加しており、恐らく6月の統計は強めの数字となろう。

鉄鉱石の港湾在庫水準は、絶対水準ベース、在庫日数ベースとも過去5年平均を下回っており一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+50万トンの1億975万トン(過去5年平均1億1,907.6万トン)、在庫日数は+0.8日の21.9日(過去5年平均 28.9日)と例年と比較して在庫水準が低く、需給ファンダメンタルズはタイト。

しかし、鉄鉱石在庫の水準は例年と異なり増加に転じており、この傾向が持続するかどうか来週以降も注目する必要がある。

・5月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比▲19.7%の2,205万7,000トン(前月+22.3%の3,095万トン)と減速し、過去5年平均程度まで落ち込んだ。中国の石炭国内生産が増加しているためとみられる。

原料炭の輸入は4月は前年比▲15.4%の628万トン(前年比▲8.1%の564万トン)と急減速した。おそらく国内生産が増加したことによるもの。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は上昇した。経済統計の回復を受けた期待インフレ率の上昇を受けて、実質金利が低下したため。

銀価格は金銀レシオの低下もあって、金価格上昇時の弾性値が高く、金以上に上昇、プラチナも同様となった。

パラジウムは金価格の上昇と株価の上昇を受けて堅調な推移に。

【貴金属価格見通し】

金銀は再び上昇基調を強めると考えられる。FRBが実質金利をマイナスにする緩和策を容認していることもあり、かつ、2022年までは現状の政策が維持される見込みであること、景況感とは乖離して上昇している株価下落への備え、といった観点で需要が高まると予想されるため。

また、米中対立激化がほぼ確実な情勢になっていることや、コロナ不況を背景とした新興国経済の混乱も安全資産需要を高めることになる。

コロナウイルス対策で各国とも財政支出を拡大しており、アルゼンチンで発生したようなデフォルト発生が意識されることが安全資産需要を高めることも、価格を押し上げると考える。

ただしFOMCメンバーがYCCに関して否定的なスタンスであるため、現時点では政策金利絡みでの価格上昇余地は限定されることになろう。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスク・プレミアム)は205ドル(前日比+1ドル)まで低下した。地政学的なリスクへの懸念は若干後退しているようだ。

一方、現在の実質金利で説明可能な価格水準は長期金利の低下もあって、1,550~1,580ドルまで上昇しており、緊急時の換金による下落余地が限定されている。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では110倍程度が妥当、となっているが現在は97.7に低下している。

過去1年平均を基準にすると95倍程度が妥当であり、この水準への回帰の動きがみられていることから、銀の金に対しての上げ余地はあるとみられる。

なお、金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)はCOMEX金在庫の急増によって低下、金銀レシオに下押し圧力をかけており、徐々に銀価格は対金で水準を切り上げる展開になると予想される。

金価格の上昇余地がそろそろ限界では、との見方が強まっていることも、割安な大体安全資産として銀が物色される可能性は高い。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)している点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによるが、各国の準備金や市場取引の担保価値が認められている金のほどの安全資産としては認知されていないため、金価格に主導される形で価格が形成されやすい。

しかし、値動きとしては銀価格と連動しやすく、銀価格が割安感から物色されやすい地合いとなっているため、プラチナ価格にも上昇圧力が掛かることになると予想する。

パラジウムは価格は景気の先行きが明確に悪いこと、少なくともQ220は景況感の低迷が続く見込みであることから、工業向け需要低迷がから実需面は価格を下押ししやすい。

その一方で、貴金属のベンチマークである金価格は堅調な推移が予想されるため、結果、パラジウムは神経質にレンジワークでの推移になると考える。

6月の米自動車販売は年率1,305万台(市場予想 1,309万台、前月 1,221万台)と、市場予想には届かなかったが大幅な改善となった。ただし、経済活動が再開されているが、プレ・コロナの水準に戻るには相当の時間がかかる見込みであり、PGM価格の押し上げ効果は限定的なものとなろう。

中国の5月の自動車販売は前年比pら14.7%の219万台(前月+4.4%の207万台)と前月比プラスとなった。景気テコ入れ(ただしその多くがEV車向け)の動きや、密を回避するための手段としての自動車の有用性が再確認されていることなどが材料とみられる。

中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻ることは難しく、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

そして、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・各国とも政策金利をゼロ近傍に下げており、量的緩和規模も拡大。あとは更に規模を拡大するか、量的緩和時の投資対象を拡大するぐらいしかなくなってきた。

これで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはロシアでは銅・ニッケルの、南アフリカ・米国ではプラチナの副産物として生産されるため(副産物としての供給が8割)、急な増産が困難であり供給面の制限が価格を下支えする状況に変わりはない。

<<特殊要因>>

・コロナ対策で過剰な財政出動が行われており、終息後に各国の財政・信用不安が意識される場合(価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・生産拠点を自国に回帰させる動きやリモートの定着による成長鈍化が、新興国の財政状況を悪化させる場合(価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが328,942枚(前週比 +20,483枚)、ショートが62,272枚(+5,770枚)、ネットロングは266,670枚(+14,713枚)、銀が78,746枚(+6,887枚)、ショートが41,145枚(+7,209枚)、ネットロングは37,601枚(▲322枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが26,725枚(前週比 +951枚)ショートが10,877枚(+2,866枚)、ネットロングは15,848枚(▲1,915枚)

パラジウムが3,034枚(+379枚)、ショートが1,915枚(▲59枚)ネットロングは1,119枚(+438枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は総じて堅調。トウモロコシと大豆は生産地の降雨量の減少と高温予報が材料となった。小麦は小幅安。

2020年7月2日時点の米国穀物輸出検証高は以下の通り。トウモロコシ 962.45千トン(前週▲278.59千トン)大豆 521.64千トン(+187.98千トン)小麦 326.45千トン(▲188.91千トン)

【穀物価格見通し】

トウモロコシ価格はロックダウン解除後のガソリン出荷が再び回復基調にあることが統計で確認されたこと、生産地の乾燥気候を受けて投機の買戻しも入りやすく、堅調な推移になると予想。

大豆も飼料向け需要の回復と、中国の合意履行遵守期待、トウモロコシの上昇を受けて堅調。

小麦は北米の冬小麦の作柄が良好ではなく、投機筋のショートの水準が過去5年平均を下回っており買戻しが入りやすく、競合飼料であるトウモロコシも米石油製品出荷の回復で上昇し易くなっていることから、上昇余地を探る展開に。

東アフリカ・中東地域で激増しているサバクトビバッタであるが、現在はインド・パキスタン・イランにまたがる地域で猛威を振るっている。

懸念はアフリカ西部にバッタが飛来する可能性がある点。こうなると影響がアフリカ北部全域に広がることになり、食料危機を通じて北アフリカの治安が不安定化するリスクは無視できず。

また、東南アジアでもトウモロコシやイネの大害虫であるツマジロクサヨトウが繁殖し、深刻な食糧危機をもたらしている

コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家があったが、今度は収穫期にコロナウイルスの影響で人員が確保できず、収穫に影響が出る可能性がある。年後半にかけて、穀物価格の見通しは強気。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・6月の米需給報告の生産見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 159億9,500万Bu(159億1,736万Bu、159億9,500万Bu)大豆 41億2,500万Bu(41億3,804万Bu、41億2,500万Bu)小麦 18億7,700万Bu(18億5,514万Bu、18億6,600万Bu)

・6月の米需給報告の在庫見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 33億2,300万Bu(33億5,554万Bu、33億1,800万Bu)大豆 3億9,500万Bu(4億2,861万Bu、4億500万Bu)小麦 9億2,500万Bu(9億500万Bu(9億900万Bu)

・6月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 52億2,400万Bu(49億5,862万Bu、79億5,300万Bu)大豆 13億8,600万Bu(13億9,113万Bu、22億5,300万Bu)小麦 10億4,400万Bu(9億8,661万Bu、14億1,200万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが270,274枚(前週比 +12,640枚)、ショートが427,718枚(▲51,892枚)ネットロングは▲157,444枚(+64,532枚)

大豆はロングが203,556枚(+8,402枚)、ショートが80,685枚(▲6,455枚)ネットロングは122,871枚(+14,857枚)

小麦はロングが113,532枚(▲8,995枚)、ショートが128,156枚(▲9,014枚)ネットロングは▲14,624枚(+19枚)

◆本日のMRA's Eye


「天然ガス価格は低迷続く」

2020年の天然ガス価格のパフォーマンス(騰落率)は短期的には欧州・米国の気温上昇観測で上昇しているが、総じて弱く、弊社が重要としてウォッチしている商品の中でも特に下落が顕著なものの1つで、欧州天然ガスの騰落率はほぼ▲50%に達している。

欧州天然ガスに比べると米天然ガス価格の下落は比較的抑制されている。米天然ガス在庫の水準は回復しているものの、ロックダウン解除の需要の増加もあり、在庫日数ベースでは低い水準が続いているためだ。

米国の天然ガス価格が低下していることで、米国からの輸出が好調だったが、コロナウイルスの感染拡大に伴う景気の減速で輸出需要が減少、外需による需給調整というよりは、米国の国内要因の影響が大きい。

米天然ガス生産の大半が原油生産時に発生する随伴ガスであり、原油価格の下落が米天然ガス供給を減少させるとの見方が強まっているためである。

DOEも今年の8月頃に供給不足(12ヵ月移動平均ベース)に転じる可能性があるため、北半球は秋まではロックダウンが行われない見通しであることを考えると、夏場から秋口にかけて米天然ガス価格が上昇する可能性はあると予想される。

極東のスポット天然ガス価格の指標であるJKM価格は、コロナショック発生以降大きく水準を切り下げたが、原油価格の下落が顕著だったことからBrent/JKMレシオの季節性は過去5年の最低水準まで低下した。

その後、原油の生産調整進捗による原油価格の上昇で同レシオは上昇し、過去5年平均程度での推移となっている。

原油価格は需要面の回復は緩慢であるものの、OPECプラス・非OPECプラスの減産による需給がタイト化で価格が上昇しているため、現在の水準からさらに上昇するには材料不足でかつ、時期尚早と考えられる。

結果、Bren/JKMレシオは過去5年平均程度で推移とすると予想される。

現状、石炭価格のJKM価格に対する説明力は高く、豪州の主力石炭であるNEWC価格を用いて回帰分析を行うと、今後、石炭価格の下落があればJKM価格にも下押し圧力が掛かる可能性が高いことを示唆している。石炭需給は中国の石炭増産や欧州の需給緩和で緩和した状態が続く見込みだ。

中国の国内増産の影響もあって、例年発生する夏場の需要期での石炭価格上昇が限定される可能性があること、Brent/JKMレシオが過去5年平均程度と対Brentで割安に推移する可能性が高いこと、Brentは夏場に上昇し、冬場のロックダウンで再びやや軟調に推移することを前提とすると、JKM価格は年後半に3ドルを目指す展開になると予想されるが、夏場は2ドル台半ばでの推移になると予想する。

欧州の天然ガス需給は大幅に緩和しており、Coal to Gasの動きが継続する見込みであること、秋口に貯蔵庫のキャパシティが限界に達する可能性があり、WTIで見られたようなマイナス価格がみられる可能性も排除できず、LNG価格上昇の抑制要因になるだろう。

以上から、2020年の北米天然ガス予想価格は1.95ドル/MMBTu(+0.02ドル/MMBTu)、英NBP価格は19.99ペンス/サーム(▲3.16ペンス/サーム)、JKMは2.71ドル/MMBTu(▲0.66ドル/MMBTu)を予想する。

◆主要ニュース


・5月独製造業受注 前月比+10.4%(前月改定▲26.2%)、前年比▲29.3%(▲36.9%)

・6月独建設業PMI 41.3(前月40.1)

・7月ユーロ圏センティックス投資家信頼感 ▲18.2(前月▲24.8)

・5月ユーロ圏小売売上高 前月比+17.8%(前月▲12.1%)、前年比▲5.1%(▲19.6%)

・6月米サービス業PMI改定 47.9(速報比+1.2、37.5)、コンポジット 47.9(+1.1、37.0)

・6月米ISM非製造業景況指数 57.1(前月45.4)、新規受注 61.6(41.9)
 受注残 51.9(46.4)、在庫増減 60.7(48.0)
 在庫景況感 55.9(55.1)、雇用 43.1(31.8)

・中国、コロナ対応で当局批判の精華大教授を拘束。

・中国政府、英国の香港人の受け入れを阻止する意向。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・リビアNOC会長、「リビアの原油生産はシャットダウン前の生産水準に戻るには数ヵ月かかる。」

・イラン、中部ナタンズのウラン濃縮施設で火災による深刻な被害。イスラエルが爆弾により攻撃か。

・イスラエル、ガザ地区にあるハマスの地下組織を空爆。

【メタル】
・Eurasian Resources Group、「コロナウイルスのパンデミックによる構造的な供給不足の長期化により、2021年の銅価格は7,000ドルを超える可能性がある。南米の混乱でこれまで▲70万トンの銅供給が減少している。スクラップの輸出が多い国でデータが取得可能な国のデータを見ると4月の出荷は前年比▲50%以上減少している。スクラップの供給は全体の3割を占める。」

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.欧州排出権 ( 排出権 )/ +6.42%/ +21.04%
2.中国CSI300 ( 株式 )/ +5.67%/ +14.00%
3.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +5.54%/ ▲16.40%
4.LMEニッケル 3M ( ベースメタル )/ +3.28%/ ▲4.69%
5.CME木材 ( その他農産品 )/ +2.70%/ +13.52%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲4.94%/ ▲25.06%
69.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ ▲2.53%/ ▲11.10%
68.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲2.22%/ ▲12.75%
67.TGEトウモロコシ ( 穀物 )/ ▲1.82%/ ▲20.51%
66.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ ▲1.63%/ ▲15.07%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,287.03(+459.67)
S&P500 :3,179.72(+49.71)
日経平均株価 :22,714.44(+407.96)
ドル円 :107.35(▲0.16)
ユーロ円 :121.40(+0.47)
米10年債 :0.68(+0.01)
中国10年債利回り :3.01(+0.12)
日本10年債利回り :0.04(+0.01)
独10年債利回り :▲0.43(+0.00)
ビットコイン :9,277.06(+184.36)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :29.78(▲0.32)
エネルギー :42.87(▲1.13)
ベースメタル :20.32(▲0.12)
貴金属 :19.00(▲0.91)
穀物 :29.59(▲0.32)
その他農畜産品 :30.44(+0.16)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :49.00(▲3.64)
Brent :43.68(▲2.07)
米天然ガス :67.23(+0.75)
米ガソリン :52.99(▲2.9)
ICEガスオイル :35.48(+0.49)
LME銅 :18.06(+0.16)
LMEアルミニウム :20.52(▲0.15)
金 :9.51(+0.17)
プラチナ :22.27(▲0.38)
トウモロコシ :24.80(+0.18)
大豆 :9.51(+0.17)

【エネルギー】
WTI :40.63(▲0.02)
Brent :43.10(+0.30)
Oman :43.75(▲0.25)
米ガソリン :124.08(▲1.84)
米灯油 :124.17(+1.06)
ICEガスオイル :370.25(+6.25)
米天然ガス :1.83(+0.10)
英天然ガス :15.23(+0.12)

【貴金属】
金 :1784.68(+8.73)
銀 :18.27(+0.25)
プラチナ :826.52(+15.77)
パラジウム :1935.38(+8.24)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,105(+84:7B)
亜鉛 :2,048(+18:10.5C)
鉛 :1,795(+25:13.5C)
アルミニウム :1,626(+12:33C)
ニッケル :13,308(+219:66C)
錫 :17,030(+180:120B)
コバルト :28,463(▲13)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6140.00(+125.00)
亜鉛 :2052.50(+17.00)
鉛 :1795.00(+10.00)
アルミニウム :1635.00(+23.00)
ニッケル :13400.00(+425.00)
錫 :17100.00(+200.00)
バルチック海運指数 :1,894.00(+71.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :99.57(+0.39)
SGX鉄鉱石 :100.72(+0.99)
NYMEX鉄鉱石 :101.54(+2.60)
NYMEX原料炭スワップ先物 :115.89(▲0.11)
上海鉄筋直近限月 :3,655(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,615(+12)
米鉄スクラップ :302(±0.0)

【農産物】
大豆 :898.50(+6.00)
シカゴ大豆ミール :295.40(+1.90)
シカゴ大豆油 :28.42(+0.46)
マレーシア パーム油 :2445.00(+24.00)
シカゴ とうもろこし :346.50(+4.00)
シカゴ小麦 :489.50(▲0.50)
シンガポールゴム :145.10(▲3.30)
上海ゴム :10310.00(±0.0)
砂糖 :11.93(▲0.31)
アラビカ :97.20(▲5.05)
ロブスタ :1150.00(▲19.00)
綿花 :63.07(+0.02)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :44.95(+0.23)
シカゴ生牛 :100.10(+0.70)
シカゴ飼育牛 :136.15(+1.28)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。