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米国市場休場で動意薄い~中国人権問題とウイルス問題
  • MRA商品市場レポート

2020年7月6日 第1778号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米国市場休場で動意薄い~中国人権問題とウイルス問題」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:米国市場休場で同意薄い。欧州統計改善とECBオペへの懸念を受けた株安でもみ合い。

週明け月曜日は米ISM非製造業指数の改善を受けて堅調推移を予想。

◆非鉄金属:欧州株の下落を受け週末を控えた利益確定の動きで軟調。

米ISM非製造業指数の改善などを受けて堅調推移持続の公算。

◆鉄鋼原料:目立った新規手掛かり材料に乏しく、高値圏でもみ合い。

鉄鉱石・鉄鉱石港湾在庫の増加もあり、高値圏ながらも軟調な推移を予想。

◆貴金属:米国市場休場で動意薄く高安まちまち。

米ISM非製造業指数の改善を受けた株高で軟調、パラジウムは堅調な推移を予想。

◆穀物:シカゴ穀物市場は休場だった。

原油価格の上昇を受けたエタノール向け需要増加観測でトウモロコシの投機のショートカバー入りやすく、堅調、大豆・小麦も連れ高。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は米国市場が休場だったこともあり、基本的に動意薄く週末を控えたポジション調整が主体だったと考えられる。

ただし現状、コロナウイルス感染拡大防止のためのロックダウン解除、再ロックダウンの懸念が交錯しており、方向感が出難いが市場はどちらかといえば景気にとってプラス側に足元の材料を整理しているようだ。

コロナ問題は専門ではないので何とも言えないが、ここまで拡大していると封じ込めはもう不可能であり、ワクチン開発が完了するまで抜本的に状況が変わることはないだろう。

それ以上に具体的に懸念されるのは、香港を巡る各国の中国との付き合い方の今後ではないだろうか。これはコロナと異なり、現在の材料から類推するに状況が改善することは難しい。

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【本日の見通し総括】

週明け月曜日も大きな方向性に変化はなく、ロックダウン解除に伴う経済活動の改善期待が材料となり、総じて景気循環銘柄が物色される流れになると予想される。

ただし、期末に目立った売りがみられなかったためファンド勢力が、新四半期入りした直後にスタートダッシュの利益確定の動きを強める可能性はあり、引き続きリスクは下向きである。

予定されている材料としては、米ISM非製造業指数に注目している。市場予想は50.0(前月45.4)と大幅な改善を見込んでおり、広く景気循環系商品価格の押し上げ要因となるだろう。

【昨日のトピックス】

新型コロナウイルスの感染拡大問題は目立った進捗がなく、どの国も感染拡大は「十分な注意」を呼びかけつつ、経済活動を停止させない方向で一致している印象を受ける。

第一波が来た際のロックダウンの経済へのダメージが想定以上に大きかったこと、景気底割れを回避するために投入した資金が世界で11兆ドルに及び、その負担が小さくないことから、今後、追加対策を打てる余地がないと判断している国が多いことが背景である。

恐らく、今回のコロナウイルス問題は臨床を終えてワクチンが認可され、それが世界で投薬されるようになるまで続くことになると予想され、恐らくそれがメインシナリオとなるだろう。

次のステップは同時並行的に進んでいる、インフルエンザのような治療薬の開発である。これが完了して初めてインフルエンザと同じ状態となり、極端な移動制限が解除されることになる。完全にこの状態になるまではあと2~3年はかかるだろう。

しかし、6月30日付のMRA's Eye「新たなパンデミックへの備え」で指摘したように、温暖化が進む中では次々と新しいウイルスが誕生する可能性がある。これに対応するのは国際的な協力が不可欠だ。

ところが中国で香港の人権を無視する法案が成立し、成立後ただちに施行され300名超が逮捕・拘束された。これは香港の市民のみならず外国人にも適用されるため、日々、中国に対して批判的なコメントをしている人間も、旅行でちょっと香港やマカオに...ということになればそのタイミングで拘束される可能性もある。

中国は広大な領土を持ち、北極圏から多数の鳥が越冬のために飛来する。そしてツンドラ地帯の氷が溶け出す中で新たなウイルスの拡散が懸念される。結果的に中国がその新しいウイルスの発生源になる可能性が高い。

この時に国際協力体制ができていないとどうなるか。恐らく中国は同盟国以外にその情報を開示しないだろう。そのリスクは小さくない。

そもそもベルリンの壁が崩壊するまで、共産圏に人が行き来すること自体は非常に困難だったのだ。今、世界の時計の針は30年以上巻き戻ったと考えるべきだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の改善。

ロックダウン解除の動きが世界的に拡大しており、最悪水準まで低下したPMI・ISM指数には改善圧力が掛かり、景気循環銘柄価格の上昇要因に。ただし、本格解除には至らず、改善余地も限定される公算。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(▲3.0%→▲4.9%)ている。2021年に関しても+5.8%→+5.4%と下方修正した。

結局、コロナウイルスの影響が2021年意向も残存することが前提となっている。ただ、この冬場の再ロックダウン時の経済への影響は、2020年初に見られたほどの過激なものにはならず、半分程度にとどまるケースをメインシナリオとしている。

・各国中央銀行、特に先進国の中央銀行はコロナ対策で政策金利をほぼゼロ近傍まで引き下げており量的緩和規模も拡大、これ以上打てる手がなくなった状態。

もちろん、量的緩和規模の拡大や投資対象の拡大などの追加手段は考えられるが、経済への直接的な影響は、先行事例である日本や欧州を見るにそれほど大きくない。

クライシスが再び発生した場合のリスクはより高まっていると考えるべき。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・コロナウイルスの感染長期化の可能性。現在でも感染は世界的に拡大しており、北半球の冬場に再度感染拡大→経済活動自粛、という流れになるリスクも無視できず。

・米中の対立激化による新冷戦構造の発現。

米国が中国と共生体制になっていのは経済的なメリットがあったからだが、リーマンショック、コロナショックを通じて中国よりもデメリットが大きい(人民元安誘導など)ことがわかったため、米国が中国からのデカップリングを進める可能性は高い。

・生産拠点を自国に回帰させる動きや、リモートの定着による成長鈍化が、新興国(資源国の多くも新興国)の財政状況を悪化させ、自国を含む域内景気への悪影響を及ぼす懸念(価格の乱高下要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は移行期間の延長を拒否しており、EUとFTAで合意できなければ関税引き上げが発生し、合意なき離脱に匹敵する混乱となる可能性(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・ロックダウン解除の動きと量的緩和・信用緩和を受けた株高による、リスク資産の再物色の流れ。

コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

・年後半に再度ロックダウンが始まり、投機の買いで上昇したリスク資産価格(特に株)が下落するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格はもみ合った。欧州のPMIの改善はあったが、PEPPを巡ってECBメンバーの意思統一が図れないとの見方から株価が下落したこと、米国市場が休場だったことから方向感に欠ける展開となった。

【原油価格見通し】

原油価格は最大消費国である米国の経済活動が回復していることから目先強含み易いものの、OPECの減産幅縮小観測や、世界的なコロナの再拡大懸念を受けて上値も重いと考える。

DOEは2019年対比で元の水準に戻るのは2022年以降と想定しており、原油需要の戻りや価格の戻りは制限されると考えられるが、OPECの減産によって6月以降は原油需給バランスが供給不足になるとの見通しも示しており、下落余地も限定されるとみている。当面はレンジワークとなるだろう。

しかし、米中対立やコロナの影響継続、実は世界のコロナ感染者数の増加ペースが加速していることを考えると、プレ・コロナの頃の水準に経済活動が戻るとは考え難く、常に価格急落への備え(場合によってはプットオプションの活用など)を検討すべき時期にあると考える。

原油価格が低水準で推移した場合、米シェールオイルの生産者のコストは平均で40ドル近辺(27ドル~50ドル程度)、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度であることから、時間経過とともに減産が進捗すると予想される。

場合によると経営破綻、という形で減産が進む可能性もあるが、価格下落リスクヘッジをしている生産者もファイナンスが困難になっているため、資金繰りが意識される3、6、9、12月末のリスクは高まるだろう。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後の供給」である。今のところ夏頃から経済活動が再開されるとみられるが、この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

すでに全ての産油国が追加減産を実施しているが、減産後の稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

足元の価格上昇を受けてOPEC諸国が増産に転じれば、逆にその体制崩壊のリスク→価格上昇のリスクを高めることになる。

逆に、コロナウイルスの感染拡大防止に失敗し、「今年の冬に第二ラウンドに突入」となると需要の回復は難しく、かつ、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、現在の世界各地の減産では不十分となる可能性も充分にあり得る。

各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いは、市場参加者のセンチメントの改善を通じて今のところエネルギー価格の押し上げ要因となっている。

しかし、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、冬場に再ロックダウンがあった場合などの事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクと考えるべきだ。

原油価格の変動性は今後、需要が低迷するにも関わらず、さらに高まると考えておくべきである。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。固有の材料に乏しい中、過去5年レンジの最低水準を季節性通りフォローする値動きとなっていたが、ここにきて上昇も、下落もしなくなってきている。

機関構造は緩やかなコンタンゴで限月交代によるジャンプも起きにくく、価格変動性は15.3%(VaRの概念では、7割の確率で1年後の価格が±8ドル程度しか変化しない)と通貨の変動率程度まで変動性が低下している。

【石炭価格見通し】

石炭価格は需給バランスの緩和観測で軟調な推移になると考える。ただし過去5年レンジの最低水準まで下落しており、その観点での割安感からの買いが入り、下落余地は限定されると考える。水準は低いが小じっかり、ということだ。

5月の中国石炭輸入は2,206万トン(前月3,095万トン)と過去5年平均程度まで急速に減少した。国内の経済活動の回復が一旦頭打ちとなったことや、国内生産が高水準(過去5年レンジを上回る)の増加が要因とみられる。

また、コロナ問題を受けて対中国批判を強める豪州に対し、牛肉や鉄鉱石、石炭輸入を削減ないしは停止すると中国政府が表明しており、実際にその通りとなれば豪州炭価格を押し上げよう(他国産石炭は上昇)。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲2割の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-5月期の中国工業生産は前年比▲2.8%(1-4月期▲4.9%)、4月+4.4%(前月+3.9%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし回復ペースは市場予想を下回っている。

・1-5月期の中国小売売上高は前年比▲13.5%13兆8,730億元(1-4月期▲16.2%の10兆6,758億元)と回復は遅れており、5月単月でも▲2.8%の3兆1,973億円(前月▲7.5%の2兆8,178億元)と回復はしているがマイナスは継続(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし前年比マイナスの状態が続き、回復ペースは緩慢。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化、コロナ問題を背景に米・欧軍が中東から撤退、それを受けたISの伸長が域内情勢を不安定化させ、原油生産・供給に悪影響を与える場合(価格の上昇要因)。

また、域内で武力衝突が発生し、難民が欧州に流入した場合欧州域内の政情が混乱するため景気を下押しし、原油価格の下落要因に。

<<投機・投資要因>>・WTI、Brentともロング・ショートとも減少、経済活動再開に伴う需要回復期待と、OPECプラスの減産継続が材料となっている。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが711,257枚(前週比 +4,774枚)ショートが150,374枚(▲9,837枚)ネットロングは560,883枚(+14,611枚)

Brentはロングが264,938枚(前週比+3,618枚)ショートが50,797枚(▲8,854枚)ネットロングは214,141枚(+12,472枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME市場は総じて軟調な推移となった。上海在庫が亜鉛と錫を除いて増加したことや、欧州株がPEPPを巡ってECB内部が統一されていないとの見方から下落したことを受けて。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は高値圏を維持すると考える。米国の景気が夏場だけかもしれないが回復して居ること、中国・米国のインフラ投資実施による公的セクターの需要下支えが期待されるうえ、コロナの影響による南米生産者の供給減少が意識されており、ベンチマークである銅価格が堅調に推移すると予想されることから。

しかし、米国でのロックダウン再開の懸念は根強く、上値も重いと考えられ、結局レンジワークになると予想される。

2016年の大統領選挙時も1兆ドルインフラ投資(この時は10年かけて1兆ドル)が材料となり相場が上昇したが、大統領選挙で一巡してその後下落している。

今回の公共投資では、5G分野やEVステーションの整備、通常の公共投資が行われる見込みであり、銅、亜鉛、アルミの需要が増加すると考えられる。

割安に推移してきたアルミは中国の製錬キャパシティの拡大が2020前年比で▲130万トンの減少が見込まれるため、秋口にかけての上昇リスクは小さくないとみる。

しかし、今年は冬場のロックダウンの懸念がぬぐえないため、北半球の夏場は強いものの、大統領選後の冬場は南半球が夏になり、供給制限が緩和される見込みであることを考えると、年後半は需給両面で価格が下落するリスクは拭えない。

なお、米中が通商面で昨年・一昨年に行われたような「大規模な制裁」を実施することは両国にとってデメリットが大きいため、行われないと考えるのが常識的な見方だ。

ただし、コロナウイルスへの中国の対応(情報隠ぺい)を受けて、欧米の中国に対する今までの積年の不満が、香港・新疆ウイグル自治区問題、台湾問題で爆発しており、今後、欧米が協調して中国からのデカップリングを進める可能性は高い。

特に、反中に転じたバイデン候補が勝利した場合、欧州と連携して中国包囲網を強めると予想される。

結果、貿易量の減少を通じて非鉄金属価格には下押し圧力が掛かることになる。

各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いは、市場参加者のセンチメントの改善を通じて今のところ非鉄金属価格の押し上げ要因となっている。

しかし、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、冬場に再ロックダウンがあった場合などの事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクと考えるべきだ。

冬場に突入する南半球の感染状況は、今後注意すべき需要指標になるだろう。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・5月中国製造業PMIは50.9(前月50.6)と改善した。内訳を見ると生産が回復、新規受注も50.9→51.4と改善、輸出向けの新規受注も大きく改善(35.3→42.6)しており、ロックダウン解除による国内の経済活動の回復と、海外市場の稼働再開が影響したことが鮮明となった。

これに伴い、原材料・完成品在庫とも水準を切り下げており、新規受注の増加と合わせた両要因で、新規受注・在庫レシオは水準を切り上げることになった。

中国国内の原材料・完成品需給はタイト化が予想され、特に鉱物資源価格の上昇要因となる。

・6月中国銅線生産者 97.1%(前月101.7%、過去4年平均 87.1%) 銅棒生産者 77.8%(80.4%、76.1%) 銅板生産者 63.5%(65.9%、70.8%) 銅管生産者 86.2%(83.4%、85.6%)

・5月中国銅精錬業者稼働状況 大規模事業者 90.9%(前月90.3%) 中規模事業者 73.3%(65.9%) 小規模事業者 73.1%(73.1%)

・1-5月期の中国工業生産は前年比▲2.8%(1-4月期▲4.9%)、4月+4.4%(前月+3.9%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし回復ペースは市場予想を下回っている。

・1-5月期の中国固定資産投資は前年比▲6.3%の19兆9,194億元(1-4月期▲10.3%の13兆6,824億元)と回復基調を持続(ストック需要の回復=価格の上昇要因)

しかし、公的セクター▲1.9%(▲6.9%)は回復しているものの、より規模の大きな民間セクターの回復は▲9.6%(▲13.3%)と遅れており、回復力は然程強くない。

・1-5月期の中国不動産開発投資は前年比▲0.3%の4兆5,920億元(1-4月期▲3.3%の3兆3,103億元)とマイナス幅を縮小(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

ただし、前年比マイナスは続いており回復力は弱い。

・5月の中国の銅輸入は前年比+20.8%の44万トン(4月+12.6%の46万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比▲8.3%の169万トン(+22.2%の203万トン)となった。

銅地金の輸入は過去5年の最高水準を上回っていたが今月は減速、鉱石輸入も5年平均程度まで減速している。上海銅プレミアムの低下を見るに、中国の銅地金・鉱石輸入はいったん一巡したとみられる。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・6月26日付のLMEロング・ショートポジションは、引き続き総じてショートの買戻しが顕著だったが、アルミ以外は新規にロングが積み増された。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は20.5億ドル(前週5.8億ドル)と、買い越し幅を拡大している。買い越し幅の増加率は+254.4%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで101千トン(前週▲173千トン)と買い越しに転じた。銅が需給両面でタイト化しているため、銅の買戻しの影響が大きい。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅高、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品先物価格は小動きだった。

財新サービス業PMIの改善はあったが、鉄鉱石の港湾在庫、鉄鋼製品の港湾在庫が増加に転じ、上値は重かった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は軟調ながらも高値圏での推移を継続すると考える。中国鉄鉱石在庫が日数ベースで過去5年の最低水準で推移していること、中国の鉄鋼業PMIなどを見るに、中国国内の鉄鋼原料需給がタイト化しているため。

中国のインフラ投資(公的需要)、米国の1兆ドルインフラ投資、ブラジルの供給懸念も価格の押し上げ材料。

なお、足元のバルチック海運指数は急速に上昇しており、過去5年の上限レンジを上回った。

同指数は石炭輸送状況の影響を強く受けるが、足元、ブラジル・豪州の中国向け鉄鉱石輸出が過去5年レンジを上回って高水準で推移しており、鉄鉱石在庫積み増しの動きの影響が大きくなっている可能性がある。

ただし、鉄鋼製品在庫の水準は例前年比でみても高く、貿易統計に見る鉄鋼製品輸出は440万トンと過去5年の最低水準を大きく下回っており、外需の回復には時間がかかりそうな状況。

中国河北省の高炉稼働率は6月26日時点で79.3%(前週78.9%)と小幅に上昇しており、鉄鋼製品生産の回復がまだ緩慢であることをうかがわせる内容。

コロナウイルス感染拡大や、人権問題をめぐって欧米の中国への不満が高まっており、両者の対立は交易量の減少を通じて鉄鋼製品価格・鉄鉱石価格を下押ししよう。

原料炭は中国の生産活動再開の影響もあるが、中国の国内生産の増加もあり、低調な推移になると考える。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は一時、過去5年平均を回復したが、再びこの水準を下回っている。

インドネシア・豪州の中国向け石炭輸出は増加しており、バルチック海運指数の押し上げ要因となっている。しかし、中国生産者の在庫の積み増しが進んでいることを考えると早晩頭打ちとなるだろう。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・6月の鉄鋼業PMIは49.3(前月50.9)と前月から悪化した。生産は引き続き高水準であるが(56.4→57.5)、新規受注が急減速(52.9→46.4)したことが影響した。輸出向け新規受注の水準も低下しており、鉄鋼製品の国内外向けの需要は急減速しているといえる。

鉄鋼業は中国政府の公共投資を受けて公的需要が増加していたと見られるが、それが一服したためと考えられる。やはり、中国もそこまで財政的にゆとりはないということだろう。

結果、完成品在庫・原材料在庫とも指数が上昇しており、今後、鉄鋼製品価格や鉄鉱石価格の下押し要因になると予想される。

・1-5月期の中国工業生産は前年比▲2.8%(1-4月期▲4.9%)、4月+4.4%(前月+3.9%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし回復ペースは市場予想を下回っている。

・1-5月期の中国固定資産投資は前年比▲6.3%の19兆9,194億元(1-4月期▲10.3%の13兆6,824億元)と回復基調を持続(ストック需要の回復=価格の上昇要因)

しかし、公的セクター▲1.9%(▲6.9%)は回復しているものの、より規模の大きな民間セクターの回復は▲9.6%(▲13.3%)と遅れており、回復力は然程強くない。

・1-5月期の中国不動産開発投資は前年比▲0.3%の4兆5,920億元(1-4月期▲3.3%の3兆3,103億元)とマイナス幅を縮小(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

ただし、前年比マイナスは続いており回復力は弱い。

・5月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲23.3%の440万1,000トン(前月▲0.2%の631万9,000トン)大幅に減速した。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+28.15万トンの1,459.4万トン(過去5年平均1,049万トン)となった。例年よりも在庫水準は高く、今週に関しては例年と異なり在庫が増加している。需要の減速がみられている可能性があるため、来週以降の鉄鋼製品在庫の動向に注目したい。

・5月の中国の鉄鉱石の輸入量は前年比+3.9%の8,703万トン(前月+18.5%の9,571万トン)と前年比プラスとなったが、過去5年レンジを下回り、過去5年平均程度まで落ち込んだ。しかし、ブラジル・豪州の週間鉄鉱石輸出は中国向けが増加しており、恐らく6月の統計は強めの数字となろう。

鉄鉱石の港湾在庫水準は、絶対水準ベース、在庫日数ベースとも過去5年平均を下回っており一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+50万トンの1億975万トン(過去5年平均1億1,907.6万トン)、在庫日数は+0.8日の21.9日(過去5年平均 28.9日)と例年と比較して在庫水準が低く、需給ファンダメンタルズはタイト。

しかし、鉄鉱石在庫の水準は例年と異なり増加に転じており、この傾向が持続するかどうか来週以降も注目する必要がある。

・5月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比▲19.7%の2,205万7,000トン(前月+22.3%の3,095万トン)と減速し、過去5年平均程度まで落ち込んだ。中国の石炭国内生産が増加しているためとみられる。

原料炭の輸入は4月は前年比▲15.4%の628万トン(前年比▲8.1%の564万トン)と急減速した。おそらく国内生産が増加したことによるもの。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は下落した。米国市場が休場のため方向感が出難く、もみ合った結果前日比マイナス、銀とパラジウムはプラス、プラチナはマイナスで引けた。

【貴金属価格見通し】

金銀は再び上昇基調を強めると考えられる。FRBが実質金利をマイナスにする緩和策を容認していることもあり、かつ、2022年までは現状の政策が維持される見込みであること、景況感とは乖離して上昇している株価下落への備え、といった観点で需要が高まると予想されるため。

また、米中対立激化がほぼ確実な情勢になっていることや、コロナ不況を背景とした新興国経済の混乱も、安全資産需要を高めることになる。

コロナウイルス対策で各国とも財政支出を拡大しており、アルゼンチンで発生したようなデフォルト発生が意識されることが安全資産需要を高めることも、価格を押し上げると考える。

ただしFOMCメンバーがYCCに関して否定的なスタンスであるため、現時点では政策金利絡みでの価格上昇余地は限定されることになろう。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスクプレミアム)は217ドル(前日比変わらず)となった。現在の実質金利で説明可能な価格水準は長期金利の低下もあって、1,520~1,550ドル程度に切り上がっている。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では110倍程度が妥当、となっているが現在は98.3に低下している。

過去1年平均を基準にすると95倍程度が妥当であり、この水準への回帰の動きがみられていることから、銀の金に対しての上げ余地はあるとみられる。

なお、金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)はCOMEX金在庫の急増によって低下、金銀レシオに下押し圧力をかけており、徐々に銀価格は対金で水準を切り上げる展開になると予想される。

金価格の上昇余地がそろそろ限界では、との見方が強まっていることも、割安な大体安全資産として銀が物色される可能性は高い。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)している点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによるが、各国の準備金や市場取引の担保価値が認められている金のほどの安全資産としては認知されていないため、金価格に主導される形で価格が形成されやすい。

しかし、値動きとしては銀価格と連動しやすく、銀価格が割安感から物色されやすい地合いとなっているため、プラチナ価格にも上昇圧力が掛かることになると予想する。

パラジウムは価格は景気の先行きが明確に悪いこと、少なくともQ220は景況感の低迷が続く見込みであることから、工業向け需要低迷がから実需面は価格を下押ししやすい。

その一方で、貴金属のベンチマークである金価格は堅調な推移が予想されるため、結果、パラジウムは神経質にレンジワークでの推移になると考える。

6月の米自動車販売は年率1,305万台(市場予想 1,309万台、前月 1,221万台)と、市場予想には届かなかったが大幅な改善となった。ただし、経済活動が再開されているが、プレ・コロナの水準に戻るには相当の時間がかかる見込みであり、PGM価格の押し上げ効果は限定的なものとなろう。

中国の5月の自動車販売は前年比pら14.7%の219万台(前月+4.4%の207万台)と前月比プラスとなった。景気テコ入れ(ただしその多くがEV車向け)の動きや、密を回避するための手段としての自動車の有用性が再確認されていることなどが材料とみられる。

中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻ることは難しく、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

そして、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・各国とも政策金利をゼロ近傍に下げており、量的緩和規模も拡大。あとは更に規模を拡大するか、量的緩和時の投資対象を拡大するぐらいしかなくなってきた。

これで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が不安定であることによる供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはロシアでは銅・ニッケルの、南アフリカ・米国ではプラチナの副産物として生産されるため(副産物としての供給が8割)、急な増産が困難であり供給面の制限が価格を下支えする状況に変わりはない。

<<特殊要因>>

・コロナ対策で過剰な財政出動が行われており、終息後に各国の財政・信用不安が意識される場合(価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・生産拠点を自国に回帰させる動きやリモートの定着による成長鈍化が、新興国の財政状況を悪化させる場合(価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・英国のブレグジットは、FTA合意なき離脱となるリスクが残存しており、その場合のインパクトは無秩序離脱と同レベルになると考えられ、金価格の上昇要因に。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが308,459枚(前週比 +31,064枚)、ショートが56,502枚(+3,455枚)、ネットロングは251,957枚(+27,609枚)、銀が71,859枚(+5,195枚)、ショートが33,936枚(+3,894枚)、ネットロングは37,923枚(+1,301枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが25,774枚(前週比 ▲594枚)ショートが8,011枚(+754枚)、ネットロングは17,763枚(▲1,348枚)

パラジウムが2,655枚(+33枚)、ショートが1,974枚(+29枚)ネットロングは681枚(+4枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は休場。

【穀物価格見通し】

トウモロコシ価格はロックダウン解除後のガソリン出荷が再び回復基調にあることが統計で確認されたこと、生産地の乾燥気候を受けて投機の買戻しも入りやすく、堅調な推移になると予想。

大豆も飼料向け需要の回復と、中国の合意履行遵守期待、トウモロコシの上昇を受けて堅調。

小麦は北米の冬小麦の作柄が良好ではなく、投機筋のショートの水準が過去5年平均を下回っており買戻しが入りやすく、競合飼料であるトウモロコシも米石油製品出荷の回復で上昇し易くなっていることから、上昇余地を探る展開に。

東アフリカ・中東地域で激増しているサバクトビバッタであるが、現在はインド・パキスタン・イランにまたがる地域で猛威を振るっている。

懸念はアフリカ西部にバッタが飛来する可能性がある点。こうなると影響がアフリカ北部全域に広がることになり、食料危機を通じて北アフリカの治安が不安定化するリスクは無視できず。

また、東南アジアでもトウモロコシやイネの大害虫であるツマジロクサヨトウが繁殖し、深刻な食糧危機をもたらしている

コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家があったが、今度は収穫期にコロナウイルスの影響で人員が確保できず、収穫に影響が出る可能性がある。年後半にかけて、穀物価格の見通しは強気。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・6月の米需給報告の生産見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 159億9,500万Bu(159億1,736万Bu、159億9,500万Bu)大豆 41億2,500万Bu(41億3,804万Bu、41億2,500万Bu)小麦 18億7,700万Bu(18億5,514万Bu、18億6,600万Bu)

・6月の米需給報告の在庫見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 33億2,300万Bu(33億5,554万Bu、33億1,800万Bu)大豆 3億9,500万Bu(4億2,861万Bu、4億500万Bu)小麦 9億2,500万Bu(9億500万Bu(9億900万Bu)

・6月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 52億2,400万Bu(49億5,862万Bu、79億5,300万Bu)大豆 13億8,600万Bu(13億9,113万Bu、22億5,300万Bu)小麦 10億4,400万Bu(9億8,661万Bu、14億1,200万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが257,634枚(前週比 +14,343枚)、ショートが479,610枚(+21,661枚)ネットロングは▲221,976枚(▲7,318枚)

大豆はロングが195,154枚(+7,659枚)、ショートが87,140枚(▲10,153枚)ネットロングは108,014枚(+17,812枚)

小麦はロングが122,527枚(▲22枚)、ショートが137,170枚(+16,597枚)ネットロングは▲14,643枚(▲16,619枚)

◆本日のMRA's Eye


「貴金属価格は堅調な推移~金銀プラチナの関係性整理」

金価格の決定要因はいくつもあるのだが、少なくともこの15年は、米国の10年実質金利(物価連動国債の利回り)との説明力が高いことが分かっており、金価格との連動性は高い。実質金利の構成要素をさらに分解すると、10年国債利回りと、10年期待インフレ率に分けることができる。

10年国債の利回りは中央銀行であるFRBの金融政策の影響を強く受ける。足元、金価格が上昇して1,700ドルを上回る水準が定着したのは、コロナウイルスの感染拡大を受けた景気急減速の中、景気下支えのためにFRBが金融緩和を実施したことによって長期金利が低下(実質金利が低下)したことの影響が大きい。

この実質金利を基準に考えると、「ドル高(/安)の時に金が売られる(/買われる)」というロジックよりも、「米実質金利が上昇したため、ドル高・金安」と整理した方が整合性が取れる。もちろん、ドル指数動向が金価格を動かすこともあるが、その影響がより大きいのは、ユーロ初のイベントで、ユーロ主導でドル指数が変化した時や、介入などの実弾が投入されたときである。

コロナウイルスの感染拡大は収束しておらず、欧米では感染再拡大が懸念される状況になってきた。これは米トランプ政権のコロナ対策での初動の遅れ、経済封鎖を続けることで企業の体力が低下し、雇用の受け皿である企業倒産が加速しかねないことから経済死を回避する方向に政策の舵が切りなおされたことによるものだ。

ここまでコロナウイルスが拡散してしまうともはや封じ込めは不可能であり、罹患者や貧困者を救済できるだけの経済的体力を維持する、という観点からもやむを得ない選択ともいえる。

少し話はそれるが、地球温暖化が進む中で、北極やツンドラ地帯に閉じ込められていた古代の生物の遺骸が露出し、多数の未知のウイルスが大気圏内に出現するリスクも高まっている。

これを鳥が宿主となって大陸(越冬のために中国に)に渡り、そこから豚などを介してウイルスが変異、ヒトに感染するということは今後も起きるだろう。つまり、今回のコロナに対応できたとしてもそれだけでは不十分で、今後未知のウイルスが発生した場合にどのように対応していく必要があるかを考える時期にあるともいえる。

このような状況にあることを考えると、FRBもそう簡単に現在の金融緩和策をやめるわけにはいかない。6月のFOMCでのFF金利誘導目標が2022年まで現状据置となったことからもこのことは明らかだ。そして、実質金利をマイナス圏まで誘導する実質金利緩和も容認しているため、当面金融面で金価格はサポートされる可能性が高い。

この20年で最も実質金利が低下したのが2012年の12月であるが、この頃の水準まで実質金利が低下すれば、金価格はさらに70ドル程度上昇することになるだろう。

また、もう1つの価格決定要素として見逃せないのが、金価格と実質金利の差の「リスク・プレミアム」だ。

これは弊社の定義では実質金利で説明ができない部分で、金の安全資産需要による「上乗せ分」である。これはその時の状況によって異なり、どこの年限をリスクがなかった期間に設定するかによって水準が変わってしまうが、弊社の分析では現在のリスク・プレミアムは220ドル程度と考えられる。

現在の価格からこのリスク・プレミアムを引いたものが、実力ベースの金価格、と言えるが現在1,550ドル程度、ということになる。言葉を変えると、現在リスクと考えられている要素が全てなくなったとすると、1,550ドル程度までの下落余地はある、ということである。

なお、金の実力ベースの価格は、実質金利が上昇すれば低下する。例えば、現在上昇し、期待インフレ率にプラスの影響を及ぼしている原油価格が、再ロックダウンなどで下落した場合や、景気が懸念しているほど悪くならず、株価の上昇が続いて長期金利がFRBの意図に沿わずに上昇した場合なども金の実力ベースの価格を押し下げることなる。

リスク・プレミアムはまさに市場がどの程度のリスクを想定しているか?の指標である。よく、有事があると金が買われるといわれるが、有事が発生した時に期待インフレ率が低下すれば、実質金利が上昇するため金が売られることもある。

この実質金利で説明可能な部分と、リスク・プレミアムの綱引きで金価格は決定されると考えておくのが適当ではないか。

過去、このリスク・プレミアムが最も拡大したのは、米国債の格下げショックがあった2011年8月で、現時点での回帰分析では574ドルのプレミアムが上乗せされていた。

現在、世界中でコロナ対策のために財政出動が積極的に行われており、財政状況が悪化して同様の債務危機が起きる可能性は排除できない。仮に米国債格下げショックと同等のリスクが顕在化すれば、実力ベースの価格が1,550ドルであるため、金価格は2,000ドルを超える上昇になるだろう。

リスク・プレミアムの上昇ないしは下落は、安全資産需要の高まりないしは低下を意味するため、今後のリスクの高まりを占う指標として、このリスク・プレミアムは参考になるのではないか、と考えている。

では直ちにそこまでの価格上昇があるかというと、そうではないだろう。リスク・プレミアム動向を見ると、この3年間の平均が185ドル程度であるのに対し、現在のリスク・プレミアムは220ドルだ。

この数年でリスク・プレミアムは徐々に切り上がり「何かしらのリスクが顕在化する可能性」を市場は意識し始めているといえるが、大きな危機発生を想定している訳ではない。

では直ちに金が上昇するか?と問われると、急騰するには何かしらのイベントリスクが顕在化する必要がある。その意味では割安なドル建て安全資産への需要が高まってもおかしくない。具体的には銀とプラチナに注目している。

2020年に入ってからの値動きを見ると、見ての通り金価格の上昇が顕著であり、銀・プラチナはまだ劣後しており、金に代わる代替安全資産として両者が物色される可能性は高い。

銀とプラチナは両者とも同じ貴金属セクターの金属で、両者とも工業金属としての色彩が強かったが、いずれも供給が工業需要を上回っており、構造的には投資動向が価格を決定しやすくなっている。両者が構造的な供給過剰金属となったのは、銀がデジカメの普及による写真フィルム需要の減少、プラチナがフォルクスワーゲンの排ガス偽装問題や環境基準強化により、パラジウムへの需要シフトが起きて自動車向けの需要が減少したことが切っ掛けである。

そのため、景気動向並びにそれに伴う工業向け需要よりも金融政策を受けた投機の動向に価格が左右されやすくなっている。そのため以前は「金銀」「プラチナ・パラジウム(PGM)」という切り分けで価格動向を議論するのが適切だったが、今は「金銀プラチナ」「パラジウム」に切り分けて価格動向を分析するのが適切かもしれない。

ここにきて銀が金に対して物色されるようになったのは、「銀の金に対する相対的な需給バランスがタイト化した」ためと考えられる。市場参加者は現物を売買している参加者ばかりではないこと、取引をAIで自動取引にしている参加者も多いことから誰でも取得できるデータを元に取引を行うケースは多い。

リアルタイムの需給バランスの指標として参考とされているのは、恐らく取引所の在庫水準だが、COMEXの金と銀の在庫推移を見ると、銀の在庫水準が記録的に高かったものの、ここにきて金の在庫が急増していることがわかる。これは、COMEXで受け渡し可能な金の延べ棒が100オンスのバーだったのだが、ロンドンで保管されている400オンスのバーの受け渡しも可能になったことによる構造的な変化によるものだ。これまで、スイスの大手精錬所であるValcambi、Pamp、Argor-Heraeus、南アフリカのRand RefineryがCOMEXで受け渡し可能な形状である100オンスのバーに加工していたのだが、コロナウイルスの感染拡大の影響でそれが出来なくなり現物供給懸念が台頭、急きょ400オンスのバーの受け渡しも可能にしたことで取引所への搬入が加速したことによるものだ。

これにより、銀の需給バランスが相対的に緩和した、と市場で判断されたことが銀の見直し買いにつながったと見られる。

銀はコロナ前の水準を回復しているが、コロナ前よりも金の在庫が増加しているため統計上の銀の需給バランスは金と比較してもタイトになっているはずだ。そのため、銀価格にはまだ上昇余地があると考えている。さらに出遅れているプラチナの取引所在庫も減少しているため、早晩こちらにも循環物色が入ると予想されるのではないだろうか。

◆主要ニュース


・6月日本サービス業PMI改定 45.0(速報比+2.7、26.5)、コンポジット 40.8(+2.9、27.8)

・6月中国財新サービス業PMI 58.4(前月55.0)、コンポジット 55.7(54.5)

・6月ユーロ圏サービス業PMI改定 48.3(+1.0、30.5)、コンポジット 48.5(+1.0、31.9)

・6月独サービス業PMI改定 47.3(+1.5、32.6)、コンポジット 47.0(+1.2、32.3)

・自民党、習近平国家主席の国賓来日中止を政府に要請。香港の国家安全維持法施行に対抗。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数185(前週比▲3)
 ガスリグ 76(前週比+1)。

・経済産業省、発電シェア26%の石炭火力を2030年までに9割を段階的に削減の計画。高効率型の発電所は維持する方針。

・経済産業省、送電量が大幅に増加した時の再生エネルギーでの発電を制限する現在の方針を見直し、逆に優先する方式に変更へ。

【メタル】
・Q320アルミ現物プレミアム、79ドルで妥結。Q416以来の低水準。

・MacQuarie、2020年の銅価格見通しを12%、2021年を4%引き上げ。ニッケルは2020年を4%引き上げ。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.SHF天然ゴム ( その他農産品 )/ +2.59%/ ▲18.24%
2.TCM灯油 ( エネルギー )/ +2.05%/ ▲35.66%
3.SHFニッケル ( ベースメタル )/ +1.98%/ ▲6.45%
4.欧州排出権 ( 排出権 )/ +1.97%/ +13.74%
5.中国CSI300 ( 株式 )/ +1.93%/ +7.89%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.LIFFEココア ( その他農産品 )/ ▲2.75%/ ▲14.35%
69.原料炭スポット ( 鉄鋼原料 )/ ▲2.46%/ ▲14.67%
68.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲1.69%/ ▲51.37%
67.DME Oman ( エネルギー )/ ▲1.59%/ ▲35.78%
66.LME銅 3M ( ベースメタル )/ ▲1.29%/ ▲2.50%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :休場( - )
S&P500 :休場( - )
日経平均株価 :22,306.48(+160.52)
ドル円 :107.51(+0.01)
ユーロ円 :120.93(+0.11)
米10年債 :0.67(±0.0)
中国10年債利回り :2.90(+0.04)
日本10年債利回り :0.03(▲0.01)
独10年債利回り :▲0.43(▲0.00)
ビットコイン :9,092.7(+10.32)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :30.10(▲0.88)
エネルギー :44.01(▲2.17)
ベースメタル :20.44(▲1.1)
貴金属 :19.94(▲1.26)
穀物 :29.91(±0)
その他農畜産品 :30.27(▲0.4)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :52.63(±0)
Brent :45.76(▲3.91)
米天然ガス :66.48(±0)
米ガソリン :55.89(±0)
ICEガスオイル :34.99(▲10.88)
LME銅 :17.90(▲0.72)
LMEアルミニウム :20.67(+0.29)
金 :9.34(±0)
プラチナ :22.65(▲1.91)
トウモロコシ :24.62(±0)
大豆 :9.34(±0)

【エネルギー】
WTI :休場( - )
Brent :42.80(▲0.34)
Oman :休場( - )
米ガソリン :休場( - )
米灯油 :休場( - )
ICEガスオイル :364.00(+1.00)
米天然ガス :休場( - )
英天然ガス :15.11(▲0.26)

【貴金属】
金 :1772.05(▲3.33)
銀 :18.02(+0.06)
プラチナ :810.75(▲3.02)
パラジウム :1927.14(+15.45)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,021(▲62:1.5B)
亜鉛 :2,030(▲19:10C)
鉛 :1,770(▲10:14C)
アルミニウム :1,614(▲8:32.5C)
ニッケル :13,089(+216:49C)
錫 :16,850(±0.0:110B)
コバルト :28,475(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6015.00(▲78.50)
亜鉛 :2035.50(▲8.50)
鉛 :1785.00(+12.50)
アルミニウム :1612.00(▲12.00)
ニッケル :12975.00(+55.00)
錫 :16900.00(+30.00)
バルチック海運指数 :1,894.00(+71.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :99.57(+0.39)
SGX鉄鉱石 :99.73(+0.89)
NYMEX鉄鉱石 :休場( - )
NYMEX原料炭スワップ先物 :116(▲2.93)
上海鉄筋直近限月 :3,655(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,603(+34)
米鉄スクラップ :休場( - )

【農産物】
大豆 :休場( - )
シカゴ大豆ミール :休場( - )
シカゴ大豆油 :休場( - )
マレーシア パーム油 :2421.00(▲2.00)
シカゴ とうもろこし :休場( - )
シカゴ小麦 :休場( - )
シンガポールゴム :148.40(▲1.50)
上海ゴム :10310.00(+260.00)
砂糖 :休場( - )
アラビカ :休場( - )
ロブスタ :1169.00(▲3.00)
綿花 :休場( - )

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :休場( - )
シカゴ生牛 :休場( - )
シカゴ飼育牛 :休場( - )

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。