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米対策期待で上昇もコロナ感染第二波懸念で上げ幅削る
  • MRA商品市場レポート

2020年6月17日 第1768号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米対策期待で上昇もコロナ感染第二波懸念で上げ幅削る」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:米対策期待やIEA月報の上方修正で上昇も、コロナ第二波への懸念は拭えずドル高の進行もあって引けにかけて水準を切り下げる。

本日はOPEC月報が発表されるが、それよりは足元の需給動向に注目が集まりやすくなるため、米石油統計(特に出荷)に注目。

市場予想は原油在庫が+1.6MBの増加だが、API統計では+3.9MBの増加となっており、やや弱気な内容だが、API統計ではクッシング在庫の減少(▲3.3MB)が確認されており、影響は中立。

◆非鉄金属:1兆ドルインフラ投資報道を受けた需要増加観測から急上昇したが、米長期金利の上昇を受けたドル高進行と北京でのコロナ感染拡大報道を受けて引けにかけて水準を切り下げた。

1兆ドル投資計画や緩和政策の持続から上昇も、四半期末を意識した売り圧力も根強く、上値は重い。

◆鉄鋼原料:総じて堅調。米国の1兆ドルインフラ投資計画報道を受けて、先物がしっかり。

中国の鉄鉱石の在庫不足は継続しており、豪・ブラジルの中国向け鉱石輸出も高水準であり、米インフラ投資計画報道もあって高値圏維持。

◆貴金属:米国の1兆ドルインフラ投資計画を受けた株高で下落も、コロナウイルス感染第二波への懸念で株が調整する中、買戻しで行ってこい。

四半期末決算を意識した利益確定の動きと、FRBの追加緩和策を受けた実質金利の低下圧力の強まりでもみ合い継続。

◆穀物:軟調。作柄改善期待とドル高の進行が重石に。

米石油統計ではエタノール向け需要増加観測が確認される見込みだが、石油製品出荷回復の一巡でトウモロコシはもみ合い、大豆も中国向け輸出期待の一巡で軟調、小麦は冬小麦の収穫も遅れており本日は上昇へ。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、その他農産品や債券などのディフェンシブ銘柄が売られ、エネルギーや非鉄金属などの景気循環銘柄が物色される流れとなった。

米国のエネルギーセクターの上昇が顕著だったが、その他の商品は価格水準を切り下げる流れとなった。

米国の1兆ドルインフラ投資計画報道を受けた景気テコ入れ策への期待から、アジア時間から多くの商品価格、特に工業金属価格が上昇した。

しかし北京でコロナウイルス感染拡大が確認され、学校が閉鎖されたとの報道を受け「やはり感染第二波でロックダウンがあり得る」との見方が強まり、これまでの上昇が期待先行であったことを考えると、今回の1兆ドルインフラ投資計画があったとしても、先行きは楽観できるような状況ではない。

昨日発表された5月の米小売売上高も、前月比+17.7%(前月▲14.7%)と「底入れを確認」したものの、前年比では▲6.1%(▲19.9%)とマイナスであり、かつ、ロックダウン期間中の消費手控えの反動の影響もあるため、額面通りの良い内容だったとは言い難い。

また、景気が悪くなると必ず地政学的リスクが高まるが、北朝鮮と韓国、インドと中国の対立が表面化している。今後、こうした地政学的リスクが世界的に高まる傾向が強まるものと思われ、リスク資産価格調整のきっかけとなるだろう。

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【本日の見通し総括】

本日の商品市場は、昨日の上昇が顕著だったことや、北京での感染第二波拡大を受けた再ロックダウンへの懸念、それを受けたリスク回避のドル高進行で総じて軟調な推移になると考える。

本日予定されている統計としては経済統計よりも、「足元の状況」を占う上で重要な手掛かりとなる、米石油統計に注目している。

特に統計の中では石油製品出荷動向に注目している。昨日の米小売売上高のように前月比ベースでは顕著な回復となっていても、前年比ベースではまだ回復していないのは事実である。

実際、石油製品出荷+輸出も前年比▲19.2%と低く、需要面の回復は覚束ない状況。また、OPEC月報での需給見通しにも注目したい。

【昨日のトピックス】

昨日は米政権がインフラ投資向けに1兆ドルの支出を検討している、と伝えられたことが材料となり、特に工業金属価格が大幅に上昇することになった(引けにかけては、コロナの第二波懸念から水準を切り下げた)

これは2016年の大統領選挙のデジャブであり、あの時も10年間で1兆ドルのインフラ投資を実施するとの報道を受けて、工業金属、特に銅が物色された。

今回はインフラ投資といっても中国と同様、5G・EV関連のインフラ整備に力点が置かれる可能性が高い。

今回の経済対策は明らかに選挙対策ではあるものの、景気刺激のための支出拡大は米政権だけではなく民主党も賛同しており、やや前回大統領選挙のときのインフラ投資話とは趣が異なる。

恐らく今回の政策で工業金属価格と株価は上昇することになるが、原油価格には直接的にプラスに作用しないだろう。

ただし、今回の経済対策を契機に株価の上昇が続くようであれば、フィナンシャルな面で価格に上昇圧力がかかることになるとみる。

しかし懸念すべきはこのような過度な経済対策が実施されることでリスク資産価格が上昇した場合、冬場に再度ロックダウンがあった場合の下落幅が大きくなることだ。

前回大統領選挙の時はコロナは発生しておらず、ISMやPMIを見るに欧米経済が循環的な回復局面に入っていたこともあって工業金属価格の上昇に積極的に寄与した。

大統領選挙後は材料一巡で下落、年明け後に上昇したが再び下落、その後は欧州経済の回復もあって水準を切り上げている。

しかし今回は持続的な回復があったとしても、コロナの影響で実体経済の「実力ベース」がプレ・コロナのときよりも低下している可能性は高い。

冬場のロックダウンが再度行われる可能性が高いことを考えると、価格上昇後の下落は2016年の時よりも大きくなるのではないか。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の改善。

ロックダウン解除の動きが世界的に拡大しており、最悪水準まで低下したPMI・ISM指数には改善圧力が掛かり、景気循環銘柄価格の上昇要因に。ただし、本格解除には至らず、改善余地も限定される公算。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(+3.3%→▲3.0%)ている。ただし2021年には+5.8%への急回復を見込んでいる。

ただこの通りになるためには、コロナウイルス感染拡大終息が必要条件であり、第二次感染拡大となり得る冬場までの終息がなければ、それは難しかろう。

・各国中央銀行、特に先進国の中央銀行はコロナ対策で政策金利をほぼゼロ近傍まで引き下げており量的緩和規模も拡大、これ以上打てる手がなくなった状態。

もちろん、量的緩和規模の拡大や投資対象の拡大などの追加手段は考えられるが、経済への直接的な影響は、先行事例である日本や欧州を見るにそれほど大きくない。

クライシスが再び発生した場合のリスクはより高まっていると考えるべき。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・コロナウイルスの感染長期化の可能性。感染拡大ペース鈍化を受けて経済活動を再開させる動きが強まっているが、このウイルスは未知の部分が多く、再度感染拡大→経済活動自粛、という流れになるリスクも無視できず。

・米中の対立激化による新冷戦構造の発現。中国は全人代で、実質的に一国二制度を廃止する方向に舵を切っており、欧米諸国の反発は必至。

ハイテク分野や宇宙軍創設、自国ファースト政策による自国回帰など、米中の対立はコロナ前から加熱しており、コロナが最終的に引き金となった。

今後、米中が歩み寄るシナリオよりも、米中ブロック経済圏化への移行の可能性のほうが高く、貿易活動の停滞で景気循環銘柄価格の下押し要因に。

また、完成品に関してはブロック経済圏化に伴いサプライチェーンが大幅に見直される可能性が高く、コスト上昇で価格は上昇する可能性。

・生産拠点を自国に回帰させる動きや、リモートの定着による成長鈍化が、新興国(資源国の多くも新興国)の財政状況を悪化させ、自国を含む域内景気への悪影響を及ぼす懸念(価格の乱高下要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は移行期間の延長を拒否しており、EUとFTAで合意できなければ関税引き上げが発生し、合意なき離脱に匹敵する混乱となる可能性(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・ロックダウンの動きを受けた株高による、リスク資産の再物色の流れ。

コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

・年後半に再度ロックダウンが始まり、投機の買いで上昇したリスク資産価格(特に株)が下落するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は上昇後下落した。米国の1兆ドルインフラ投資計画で株価が上昇したことや、IEA見通しが上方修正(需給タイト化)されたことが上昇要因となったが、やはりコロナウイルスへの感染拡大ヘの懸念や、実態経済が前年の水準を取り戻している訳ではないことから、引けにかけては水準を切り下げた。

昨日発表のIEA月報では、生産の減少よりも需要の見通し上方修正に伴う、需給バランスのタイト化が示されており、DOE統計よりもやや景気に楽観的である。

確かに、過去3ヵ月の月報よりも回復して全体のトーンとしては楽観的であるが、プレ・コロナの水準に戻るには2年を要するとしており、足元の改善はあるものの絶対水準の回復には時間がかかるとの見通しであり、それほど強気な統計ではなかったといえる。

【原油価格見通し】

原油価格はOPECの減産幅縮小観測や、四半期末決算を控えた手仕舞い売りの動きを受けて、一旦調整圧力が強まると考えられる。

DOEは2019年対比で元の水準に戻るのは2022年以降と想定しており、原油需要の戻りや価格の戻りは制限されると考えられるが、OPECの減産によって6月以降は原油需給バランスが供給不足になるとの見通しも示しており、下落余地も限定されるとみている。

テクニカルなサポートラインとしては、Brentは一目均衡表の雲の上限となる36ドル、WTIは31ドル程度。

しかし、米中対立やコロナの影響継続、実は世界のコロナ感染者数の増加ペースが加速していることを考えると、プレ・コロナの頃の水準に経済活動が戻るとは考え難く、常に価格急落への備え(場合によってはプットオプションの活用など)を検討すべき時期にあると考える。

一時、マイナス価格でやり取りされたWTIであるが、当局の投機取引に対する規制強化やクッシング在庫の減少もあり、再びマイナスとなる可能性は低下した。

今回のマイナス価格は米国の原油先物の受け渡しポイントが内陸のクッシングにあることが影響しており、今回のような事態発生を回避するには輸出が容易な湾岸地区(例えばヒューストンなど)に受け渡しポイントを移すべきである。

欧州や中東は自国消費があまりなく、輸出を前提としてインフラが整備されているためこのようないことが起きにくい。

なお、原油価格が低水準で推移した場合、米シェールオイルの生産者のコストは平均で45ドル近辺(30ドル~55ドル程度)、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度であることから、時間経過とともに減産が進捗すると予想される。

場合によると経営破綻、という形で減産が進む可能性もあるが、価格下落リスクヘッジをしている生産者もファイナンスが困難になっているため、資金繰りが意識される3、6、9、12月末あたりではないだろうか。

特に6月は主要シェール企業の債務償還が多いため、6月危機のリスクはまだ過ぎ去っていない。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後の供給」である。今のところ夏頃から経済活動が再開されるとみられるが、この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

すでに全ての産油国が追加減産を実施しているが、減産後の稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

足元の価格上昇を受けてOPEC諸国が増産に転じれば、逆にその体制崩壊のリスク→価格上昇のリスクを高めることになる。

逆に、コロナウイルスの感染拡大防止に失敗し、「今年の冬に第二ラウンドに突入」となると需要の回復は難しく、かつ、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、現在の世界各地の減産では不十分となる可能性も充分にあり得る。

各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いは、市場参加者のセンチメントの改善を通じて今のところエネルギー価格の押し上げ要因となっている。

しかし、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、冬場に再ロックダウンがあった場合などの事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクと考えるべきだ。

冬場に突入する南半球の感染状況は、今後注意すべき需要指標になるだろう。

原油価格の変動性は今後、需要が低迷するにも関わらず、さらに高まると考えておくべきである。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。固有の材料に乏しい中、過去5年レンジの最低水準を季節性通りフォローする値動きが続いている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は需給バランスの緩和観測で軟調な推移になると考える。ただし過去5年レンジの最低水準まで価格が下落しており、その観点での割安感からの買いが入り、下落余地は限定されると考える。水準は低いが、小じっかり、ということだ。

5月の中国石炭輸入は2,206万トン(前月3,095万トン)と過去5年平均程度まで急速に減少した。国内の経済活動の回復が一旦頭打ちとなったことや、国内生産が高水準(過去5年レンジを上回る)の増加が要因とみられる。

また、コロナ問題を受けて対中国批判を強める豪州に対し、牛肉や鉄鉱石、石炭輸入を削減ないしは停止すると中国政府が表明しており、実際にその通りとなれば豪州炭価格を押し上げよう(他国産石炭は上昇)。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲3割の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-5月期の中国工業生産は前年比▲2.8%(1-4月期▲4.9%)、4月+4.4%(前月+3.9%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし回復ペースは市場予想を下回っている。

・1-5月期の中国小売売上高は前年比▲13.5%13兆8,730億元(1-4月期▲16.2%の10兆6,758億元)と回復は遅れており、5月単月でも▲2.8%の3兆1,973億円(前月▲7.5%の2兆8,178億元)と回復はしているがマイナスは継続(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし前年比マイナスの状態が続き、回復ペースは緩慢。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化、コロナ問題を背景に米・欧軍が中東から撤退、それを受けたISの伸長が域内情勢を不安定化させ、原油生産・供給に悪影響を与える場合(価格の上昇要因)。

また、域内で武力衝突が発生し、難民が欧州に流入した場合欧州域内の政情が混乱するため景気を下押しし、原油価格の下落要因に。

<<投機・投資要因>>・WTIはロング・ショートとも増加したが、ロックダウン解除に伴う経済活動再開観測からロングの買戻しが顕著。

Brentもロング・ショートとも増加しているが、OPECプラスの減産幅が1ヵ月後に縮小されることなどが材料となった。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが732,934枚(前週比 +3,762枚)ショートが165,025枚(+4,183枚)ネットロングは567,909枚(▲421枚)

Brentはロングが249,847枚(前週比+10,256枚)ショートが66,309枚(▲1,800枚)ネットロングは183,538枚(+12,056枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME市場は大幅に上昇したが、引けにかけて上げ幅を削る展開となった。1兆ドルインフラ投資が非鉄金属需要を高めるとの期待が高まり上昇したが、コロナ第二波への懸念や株高を受けたドル高進行が重石となった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は四半期末を控えた手仕舞いの動きと、現物プレミアムの低下(銅など)に反映される需給の緩和が価格を下押しするものの、1兆ドルインフラ投資計画や、株価が戻り基調となっていること、緩和政策の長期化観測がファイナンシャルな面で価格を下支えするため、結局レンジワークを継続すると予想する。

2016年の大統領選挙時も1兆ドルインフラ投資(この時は10年かけて1兆ドル)が材料となり相場が上昇したが、大統領選挙で一巡してその後下落している。

今年は冬場のロックダウンの懸念がぬぐえないため、北半球の夏場は強いものの、大統領選後の冬場は南半球が夏になり今日旧制限が緩和される見込みであることを考えると、やはり年後半の価格下落リスクは拭えない。

LME指定倉庫在庫とロックダウンの影響を背景とした回帰分析は、銅キャッシュで5,800ドル程度が上限であり、すでにこの水準に達していることから、しばらくは調整圧力が強まる展開が予想される。

今のところ、在庫水準から説明可能な銅レンジは現状5,300~5,800ドル程度(在庫水準の変化でレンジは変動)とみられるため、短期的な上昇リスクもさることながら、下落リスクも警戒すべきである。

ただしベンチマークである銅に関しては、今回、中国が力を入れるとみられるEVや5Gなどの政策的なメリットを需要面で受けることから下値も堅い。

下値の目途としては、過剰流動性の供給と、ドルスワップ契約の拡充による決算期末のリスクが後退しているため、3月と同様の決算危機が発生しないという前提では、危機後に価格が初めて安定した4月上旬の水準が想定される。

具体的には銅が5,200ドル、亜鉛が1,900ドル、鉛が1,700ドル、アルミが1,460ドル、ニッケルが11,750ドル、錫が15,500ドル程度が下値の目途となる。

なお、米中が通商面で昨年・一昨年に行われたような「大規模な制裁」を実施することは両国にとってデメリットが大きいため、行われないと考えるのが常識的な見方だ。

中国政府による香港・台湾・ウイグル自治区問題の支配は欧米を刺激する形で露骨に進んでおり、コロナ問題での不満もあって、欧米諸国がこれを看過するとは考え難く、すでに米国は制裁強化を決定、これに対する報復を中国は決定している。

また、コロナウイルス問題も習近平国家主席のメンツ維持のため、情報隠ぺい工作に走ったことも事実であり、情報開示の遅れが死者の増加につながった、との見方をする欧米諸国は少なくない。

今後、世界的に中国とのビジネスが停滞する可能性は高まり、世界の工場のポジションにまだある中国の鉱物資源需要を減じることになるだろう。

各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いは、市場参加者のセンチメントの改善を通じて今のところ非鉄金属価格の押し上げ要因となっている。

しかし、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、冬場に再ロックダウンがあった場合などの事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクと考えるべきだ。

冬場に突入する南半球の感染状況は、今後注意すべき需要指標になるだろう。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・5月中国製造業PMIは50.6(前月50.8)と2ヵ月連続で減速した。新規受注は国内を中心に回復しているとみられるが、輸出受注の減速を受け、生産が減速したことが影響したようだ。

しかし、新規受注在庫レシオは回復基調を持続しており、中国の完成品及び原材料需給はタイト化していると見られる。主に中国国内のインフラ投資と思われる需要が増加していることによるものと考えられ、生産活動がやや減速する中で完成品、原材料ともに在庫水準が低下したことが、レシオ上昇に寄与した。

また、欧米の経済活動再開も、非鉄金属価格にはプラスに作用され、「冬場の再ロックダウンリスク」を意識して、夏場が想定以上に需要増加で価格が上昇する可能性が出てきた。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整が徐々に解除に向かう見通しであり、価格の下落要因に(影響を受けてきた主要鉱山は以下の通り)

(アルミ)Norsk Hydro Husnesアルミプラントの増産をQ320まで先送りアルゼンチン Aluar Puetro Madrynでの生産能力の▲50%を停止

(銅)南米の鉱山生産者(供給の約2割)は需要減と感染拡大防止のため、稼働率の引き下げを余儀なくされている状況Cerro Verde、Los Bronces、Constancia、Las Bambas、Collahuasi、Antaminaなど

(錫)PT Timah、需要の減少で当面錫生産を▲20%~▲30%減らす計画

(亜鉛)NewmontのPenasquito、Pan American SilverのLa Colorada、Grupo MexicoのBuenavistaとSan Martinなどが減産を決定

・6月中国銅線生産者 97.1%(前月101.7%、過去4年平均 87.1%) 銅棒生産者 77.8%(80.4%、76.1%)

・5月中国銅板生産者 64.8%(68.3%、72.2%) 銅管生産者 82.7%(84.4%、75.4%)

・4月中国銅精錬業者稼働状況 大規模事業者 90.3%(前月87.2%) 中規模事業者 65.9%(73.2%) 小規模事業者 73.1%(73.1%)

・1-5月期の中国工業生産は前年比▲2.8%(1-4月期▲4.9%)、4月+4.4%(前月+3.9%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし回復ペースは市場予想を下回っている。

・1-5月期の中国固定資産投資は前年比▲6.3%の19兆9,194億元(1-4月期▲10.3%の13兆6,824億元)と回復基調を持続(ストック需要の回復=価格の上昇要因)

しかし、公的セクター▲1.9%(▲6.9%)は回復しているものの、より規模の大きな民間セクターの回復は▲9.6%(▲13.3%)と遅れており、回復力は然程強くない。

・1-5月期の中国不動産開発投資は前年比▲0.3%の4兆5,920億元(1-4月期▲3.3%の3兆3,103億元)とマイナス幅を縮小(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

ただし、前年比マイナスは続いており回復力は弱い。

・5月の中国の銅輸入は前年比+20.8%の44万トン(4月+12.6%の46万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比▲8.3%の169万トン(+22.2%の203万トン)となった。

銅地金の輸入は過去5年の最高水準を上回っていたが今月は減速、鉱石輸入も5年平均程度まで減速している。上海銅プレミアムの低下を見るに、中国の銅地金・鉱石輸入はいったん一巡したとみられる。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・6月5日付のLMEロング・ショートポジションは、総じてショートの買戻しが顕著だったが、新規にロングが積み増されるものも散見された。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲11.4億ドル(前週▲27.2億ドル)と売り越し幅を縮小。売り越し額の減少率は▲57.9%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲561千トン(前週▲1,002千トン)と売り越し数量を縮小。ネット売り越しの減少率は▲44.0%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は小幅上昇、中国鉄鋼製品先物価格は直近限月が大幅に上昇し、中心限月が小幅下落した。

ブラジル・豪州の中国向け輸出増が継続していることや、米国の1兆ドルインフラ投資の報道が先物を強含みさせた。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は堅調な推移になると考える。中国鉄鉱石在庫が日数ベースで過去5年の最低水準で推移していること、中国の鉄鋼業PMIなどを見るに、中国国内の鉄鋼原料需給がタイト化しているため。

中国のインフラ投資(公的需要)、米国の1兆ドルインフラ投資(まだ詳細は不明)、ブラジルの供給懸念も価格の押し上げ材料。

なお、足元のバルチック海運指数は上昇を継続しており、過去5年水準を回復した。同指数は石炭輸送状況の影響を強く受けるが、足元、ブラジル・豪州の中国向け鉄鉱石輸出が過去5年レンジを上回っており、鉄鉱石在庫積み増しの動きの影響が大きくなっている可能性がある。

ただし、鉄鋼製品在庫の水準は例前年比でみても高く、貿易統計に見る鉄鋼製品輸出は440万トンと過去5年の最低水準を大きく下回っており、外需の回復には時間がかかりそうな状況。

ここで鉄鋼製品の増産があれば需給が緩和して鉄鋼製品価格が下落するため早晩鉄鉱石需要は減速すると予想され、上昇余地も限定されると予想される。

また、中国の香港国家安全法制定方針を受けた米国の中国に対する制裁強化と、それに対する中国の報復で今後さらに対立が激化する可能性があることも、鉄鋼製品価格を押し下げるため、転じて鉄鉱石価格を押し下げることになるとみる。

なお、現在は「夏場のコロナウイルス流行の狭間」であり、現在の鎮静化は一時的なものとなる可能性が高く、ワクチンの開発が終了するまでは「ロックダウン解除→ロックダウン→ロックダウン解除...」といった状態が続くと予想され、基本はレンジワークである。

中国河北省の高炉稼働率は6月12日時点で78.7%(前週79.0%)と小幅に低下しており、鉄鋼製品生産の回復がまだ緩慢であることをうかがわせる内容。

中国の鉄鋼製品は例年を上回るペースで在庫の取り崩しが進んでいるが、依然として例年よりは高い水準で推移している。外需が弱い中で高炉の稼働が上がれば在庫は高い水準のままとなり鉄鋼製品価格、ひいては鉄鉱石価格の上昇余地を限定させることになるだろう。

原料炭は中国の生産活動再開の影響もあるが、中国の国内生産の増加もあり、低調な推移になると考える。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は一時過去5年平均を下回ったが、再びこの水準を上回った。輸入増加でやや需給が緩和したとみられる。

インドネシア・豪州の中国向け石炭輸出は増加しており、バルチック海運指数の押し上げ要因となっている。しかし、中国生産者の在庫の積み増しが進んでいることを考えると早晩頭打ちとなるだろう。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・5月の中国鉄鋼業PMIは50.9(前月45.9)と回復した。主に新規受注の回復(39.9→52.9)によるものであり、生産は好調ながらも緩やかな回復となった(53.4→56.4)。

この結果、完成品在庫指数は29.2(38.8)、原材料在庫指数は41.2(38.3)と非常に低い水準を維持、需給はタイト化している

しかし、需要はほとんどが国内向けとみられ、輸出向け新規受注は31.9(27.8)と低迷が続いている。欧米のロックダウンが解除の方向にあり、徐々に回復すると予想されるが、中国に対する欧米の風当たりが強まっており、順調な回復になるかどうかは不透明。

・1-5月期の中国工業生産は前年比▲2.8%(1-4月期▲4.9%)、4月+4.4%(前月+3.9%)とマイナス幅を縮小、月次ベースでも回復を継続している(フロー需要の回復=価格の上昇要因)

ただし回復ペースは市場予想を下回っている。

・1-5月期の中国固定資産投資は前年比▲6.3%の19兆9,194億元(1-4月期▲10.3%の13兆6,824億元)と回復基調を持続(ストック需要の回復=価格の上昇要因)

しかし、公的セクター▲1.9%(▲6.9%)は回復しているものの、より規模の大きな民間セクターの回復は▲9.6%(▲13.3%)と遅れており、回復力は然程強くない。

・1-5月期の中国不動産開発投資は前年比▲0.3%の4兆5,920億元(1-4月期▲3.3%の3兆3,103億元)とマイナス幅を縮小(ストック需要の回復=価格の上昇要因)。

ただし、前年比マイナスは続いており回復力は弱い。

・5月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲23.3%の440万1,000トン(前月▲0.2%の631万9,000トン)大幅に減速した。

欧米各国がロックダウンしている影響によるものと考えられ、今後ロックダウンが徐々に解除される中で、緩やかに回復すると期待されるが実際にそうなるかどうかは不透明。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲41.5万トンの1,489.8万トン(過去5年平均1,052.5万トン)と、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが続いている。

ただし、例年よりも取り崩しのペースは早く、鉄鋼生産者の稼働が最終需要家の回復よりも遅れている可能性があることを示唆している。

・5月の中国の鉄鉱石の輸入量は前年比+3.9%の8,703万トン(前月+18.5%の9,571万トン)と前年比プラスとなったが、過去5年レンジを下回り、過去5年平均程度まで落ち込んだ。しかし、ブラジル・豪州の週間鉄鉱石輸出は中国向けが増加しており、恐らく6月の統計は強めの数字となろう。

鉄鉱石の港湾在庫水準は、絶対水準ベース、在庫日数ベースとも過去5年平均を下回っており一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲75万トンの1億775万トン(過去5年平均1億1,965.6万トン)、在庫日数は▲0.2日の22.6日(過去5年平均 27.7日)と例年と比較して在庫水準が低く、需給ファンダメンタルズはタイト。当面、鉄鉱石価格は高止まりすると予想される。

・5月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比▲19.7%の2,205万7,000トン(前月+22.3%の3,095万トン)と減速し、過去5年平均程度まで落ち込んだ。中国の石炭国内生産が増加しているためとみられる。

原料炭の輸入は4月は前年比▲15.4%の628万トン(前年比▲8.1%の564万トン)と急減速した。おそらく国内生産が増加したことによるもの。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格はもみ合った結果、前日比小幅プラスで引けた。米1兆ドルインフラ投資報道を受けて株価が給湯する中、長期金利上昇とドル高が進行、金価格を押し下げたが、コロナウイルスの感染第二波襲来への懸念で株価が上げ幅を削る中、値を戻す動きとなった。

銀・プラチナも同様だったが、金銀在庫レシオの低下から感応度が上がっており、上昇率は金を上回った。パラジウムは株価動向に一喜一憂で、結局前日と然程変わらない水準で引けた。

【貴金属価格見通し】

金銀はやや軟調な推移になると予想する。感染第二波の影響やFOMCを受けた材料一巡で四半期末を控えた利益確定の動きが株式市場にみられる中、金にも決算を意識した利益確定の動きが強まると予想されるため。

ただし、FOMCでは2022年までの政策金利据え置きの見通しが示されており、債券購入拡大も実施、金融面では金価格はサポートされるため下落するといっても3月のような決算危機にならない限り、大幅な調整にはならないと考える。

また、米中対立激化がほぼ確実な情勢になっていることや、コロナ不況を背景とした新興国経済の混乱も、安全資産需要を高めることになる。

コロナウイルス対策で各国とも財政支出を拡大しており、アルゼンチンで発生したようなデフォルト発生が意識されることが安全資産需要を高めることも、価格を押し上げると考える。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスクプレミアム)は222ドル(前日比▲13ドル)。現在の実質金利で説明可能な価格水準は長期金利の低下もあって、1,480~1,500ドル程度に切り上がっている。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では110倍程度が妥当、となっているが実際は100倍を下回った。

過去1年平均を基準にすると95倍程度が妥当であり、この水準への回帰の動きがみられていることから、銀の金に対しての上げ余地はあるとみられる。

なお、金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)はCOMEX金在庫の急増によって低下、金銀レシオに下押し圧力をかけており、徐々に銀価格は対金で水準を切り上げる展開になると予想される。

金価格の上昇余地がそろそろ限界では、との見方が強まっていることも、割安な大体安全資産として銀が物色される可能性は高い。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)している点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによるが、各国の準備金や市場取引の担保価値が認められている金のような安全資産としては認知されていないため、金価格に追随する動きとなりやすい。

しかし、値動きとしては銀価格と連動しやすく、銀価格が割安感から物色されやすい地合いとなっているため、プラチナ価格にも上昇圧力が掛かることになると予想する。

パラジウムは価格は景気の先行きが明確に悪いこと、少なくともQ220は景況感の低迷が続く見込みであることから、工業向け需要低迷がから実需面は価格を下押ししやすい。

その一方で、貴金属のベンチマークである金価格は堅調な推移が予想されるため、結果、パラジウムは神経質にレンジワークでの推移になると考える。

5月の米自動車販売は年率873万台(市場予想 1,104万台、前月 858万台)と、市場予想に到底届かないほどの低迷となった。足元、経済活動が再開されているが、米国の経済活動の正常化は、想定以上の時間がかかると考えるべきであり、PGM向けの需要の伸びは低迷しよう。

中国の5月の自動車販売は前年比pら14.7%の219万台(前月+4.4%の207万台)と前月比プラスとなった。景気テコ入れ(ただしその多くがEV車向け)の動きや、密を回避するための手段としての自動車の有用性が再確認されていることなどが材料とみられる。

中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻ることは難しく、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

そして、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・各国とも政策金利をゼロ近傍に下げており、量的緩和規模も拡大。あとは更に規模を拡大するか、量的緩和時の投資対象を拡大するぐらいしかなくなってきた。

これで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはロシアでは銅・ニッケルの、南アフリカ・米国ではプラチナの副産物として生産されるため(副産物としての供給が8割)、急な増産が困難であり供給面の制限が価格を下支えする状況に変わりはない。

<<特殊要因>>

・コロナ対策で過剰な財政出動が行われており、終息後に各国の財政・信用不安が意識される場合(価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・生産拠点を自国に回帰させる動きやリモートの定着による成長鈍化が、新興国の財政状況を悪化させる場合(価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが263,972枚(前週比 ▲8,224枚)、ショートが55,359枚(+2,197枚)、ネットロングは208,613枚(▲10,421枚)、銀が65,660枚(+663枚)、ショートが32,295枚(+4,522枚)、ネットロングは33,365枚(▲3,859枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが27,370枚(前週比 ▲1,275枚)ショートが7,655枚(+602枚)、ネットロングは19,715枚(▲1,877枚)

パラジウムが2,648枚(+16枚)、ショートが1,984枚(▲248枚)ネットロングは664枚(+264枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は下落した。いずれの穀物とも作柄・収穫進捗が悪化したが、生産地の天候改善観測やドル高の進行が重石となったようだ。

【穀物価格見通し】

トウモロコシ価格はロックダウン解除後のガソリン出荷の回復観測が相場を押し上げてきたが、出荷回復が頭打ちとなっていること、生産地の天候回復観測で軟調な推移を予想。

大豆も飼料向け需要の回復は期待できるものの、中国の合意履行順守懸念や天候状況の改善観測で軟調。

小麦は北米の冬小麦の作柄が良好ではなく、投機筋のショートの水準が過去5年レンジを下回っており、買戻しが入りやすいがトウモロコシに下押し圧力が掛かりやすい状況になっていることで、上値は重い。、

東アフリカ・中東地域で激増しているサバクトビバッタであるが、7月頃に終息の見込み。ただし西アフリカに飛来する、との指摘もあり予断を許さず。

また、東南アジアでもトウモロコシやイネの大害虫であるツマジロクサヨトウが繁殖し、深刻な食糧危機をもたらしている

コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家があったが、今度は収穫期にコロナウイルスの影響で人員が確保できず、収穫に影響が出る可能性がある。年後半にかけて、穀物価格の見通しは強気だ。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・6月の米需給報告の生産見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 159億9,500万Bu(159億1,736万Bu、159億9,500万Bu)大豆 41億2,500万Bu(41億3,804万Bu、41億2,500万Bu)小麦 18億7,700万Bu(18億5,514万Bu、18億6,600万Bu)

・6月の米需給報告の在庫見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 33億2,300万Bu(33億5,554万Bu、33億1,800万Bu)大豆 3億9,500万Bu(4億2,861万Bu、4億500万Bu)小麦 9億2,500万Bu(9億500万Bu(9億900万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが236,127枚(前週比 +256枚)、ショートが471,140枚(+15,831枚)ネットロングは▲235,013枚(▲15,575枚)

大豆はロングが187,287枚(+8,354枚)、ショートが103,178枚(▲3,919枚)ネットロングは84,109枚(+12,273枚)

小麦はロングが119,979枚(+2,482枚)、ショートが118,818枚(+5,878枚)ネットロングは1,161枚(▲3,396枚)

◆主要ニュース


・5月独卸売物価指数 前月比▲0.6%(前月▲1.4%)、前年比▲4.3%(▲3.5%)

・5月独消費者物価指数 前月比±0.0%(前月+0.4%)、前年比+0.5%(+0.8%)

・6月ZEW独景況感調査期待指数 63.4(前月51.0)
 現況指数 ▲83.1(▲93.5)
 ユーロ圏期待指数 58.6(46.)

・5月米小売売上高 前月比+17.7%(前月▲14.7%)
 除く自動車+12.4%(▲15.2%)
 除く自動車ガソリン+12.4%(▲14.4%)
 除く自動車・建材+11.0%(▲12.4%)

・5月米鉱工業生産 前月比+1.4%(前月改定▲12.5%)
 設備稼働率 64.8%(64.0%)
 製造業生産 +3.8%(▲15.5%)

・4月米企業在庫 前月比▲1.3%(前月▲0.3%)
 企業売上高▲14.4%(▲5.2%)
 売上高在庫比率 1.67ヵ月(1.45ヵ月)

 製造業在庫▲0.4%(▲1.1%)
 製造業売上高▲13.5%(▲5.5%)
 売上高在庫率1.69ヵ月(1.46ヵ月)

 小売在庫▲3.7%(+1.1%)
 小売売上高▲12.7%(▲5.1%)
 小売売上高在庫率 1.68ヵ月(1.53ヵ月)

 卸売在庫+0.3%(▲1.1%)
 卸売売上高▲16.9%(▲5.1%)
 在庫率 1.65ヵ月(1.36ヵ月)


・日銀当座預金残高の預金金利 ▲0.1%(前回 ▲0.1%)、10年債金利の誘導目標 ±0.0%(±0.0%)

・FRBパウエル議長、「経済回復の道のりは不透明。米国の雇用が顕著な回復期に入りつつある可能性はあるが、回復してもコロナ前の経済水準には遠く及ばない。」

・ダラス連銀カプラン総裁(投票権あり・中間派)、「経済は恐らく5月に底入れした。今後2~3ヵ月にわたり雇用関連で強い統計を予想。YCCの導入は懐疑的。」

・米1兆ドル規模のインフラ投資計画。

・中国とインドがインド北部で衝突。死者20人に。

・北朝鮮、「韓国との軍事境界線である非武装地帯に軍を進める準備ができている。」韓国文在寅大統領の唯一の北朝鮮実績である南北共同連絡事務所を爆破。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米在庫統計市場予想 原油+1,605KB(前週+5,720KB)
 ガソリン▲971KB(+866KB)
 ディスティレート+2,047KB(+1,568KB)
 稼働率+0.52%(+1.30%)

・API石油統計 原油在庫+3.86MB、クッシング▲3.29MB
 ガソリン+4.27MB、ディスティレート+0.92MB

・IEA月報
 世界石油需要 Q120:93.9、Q220:81.4、Q320:94.6、Q420:96.9、2020:91.7
 非OPEC供給(含むNGLs) Q120:66.6、Q220:61.1、Q320:60.7、Q420:61.4、2020:62.5
 Call on OPEC Q120:34.4、Q220:34.1、Q320:34.7、Q420:33.9、2020:34.4

※需要見通し上方修正で、Call on OPEC増加。

・IEA、「石油需要は来年持ち直すが回復には2年。」

・米1兆ドル規模のインフラ投資計画。

・中国とインドがインド北部で衝突。死者20人に。

・北朝鮮、「韓国との軍事境界線である非武装地帯に軍を進める準備ができている。」韓国文在寅大統領の唯一の北朝鮮実績である南北共同連絡事務所を爆破。

【メタル】
・特になし。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TGEトウモロコシ ( 穀物 )/ +10.16%/ ▲20.31%
2.TCMガソリン ( エネルギー )/ +5.66%/ ▲36.28%
3.ICEガスオイル ( エネルギー )/ +5.30%/ ▲43.32%
4.日経平均 ( 株式 )/ +4.88%/ ▲4.54%
5.NYM灯油 ( エネルギー )/ +3.98%/ ▲41.71%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲7.88%/ ▲57.48%
69.CBTもみ米 ( 穀物 )/ ▲5.70%/ +19.76%
68.TGE米 ( 穀物 )/ ▲5.41%/ ▲21.76%
67.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ ▲5.02%/ ▲30.49%
66.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.30%/ ▲26.27%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,289.98(+526.82)
S&P500 :3,124.74(+58.15)
日経平均株価 :22,582.21(+1051.26)
ドル円 :107.32(▲0.01)
ユーロ円 :120.89(▲0.64)
米10年債 :0.75(+0.03)
中国10年債利回り :2.85(+0.04)
日本10年債利回り :0.02(+0.01)
独10年債利回り :▲0.43(+0.02)
ビットコイン :9,494.7(+13.75)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :35.03(▲0.09)
エネルギー :48.54(▲0.7)
ベースメタル :24.47(+0.5)
貴金属 :24.97(▲0.71)
穀物 :27.89(+0.07)
その他農畜産品 :38.73(+0.08)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :54.44(▲4.72)
Brent :55.17(+0.48)
米天然ガス :40.85(+2.29)
米ガソリン :50.76(▲1.95)
ICEガスオイル :53.06(▲1.03)
LME銅 :22.30(+0.3)
LMEアルミニウム :21.14(+0.57)
金 :11.22(▲0.14)
プラチナ :28.64(▲1.03)
トウモロコシ :13.90(▲0.03)
大豆 :11.22(▲0.14)

【エネルギー】
WTI :38.38(+1.26)
Brent :40.67(+0.95)
Oman :41.85(+1.23)
米ガソリン :120.73(+4.16)
米灯油 :118.22(+4.52)
ICEガスオイル :348.00(+17.50)
米天然ガス :1.61(▲0.06)
英天然ガス :13.21(▲1.13)

【貴金属】
金 :1726.53(+1.37)
銀 :17.46(+0.07)
プラチナ :825.08(+4.45)
パラジウム :1938.04(+0.69)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,788(+114:28C)
亜鉛 :2,019(+51:11.5C)
鉛 :1,781(+40:20C)
アルミニウム :1,596(+25:22C)
ニッケル :12,974(+399:44C)
錫 :16,940(+70:295B)
コバルト :29,000(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5742.00(+3.00)
亜鉛 :2001.00(▲0.50)
鉛 :1772.00(+29.50)
アルミニウム :1604.00(+16.50)
ニッケル :13035.00(+205.00)
錫 :16830.00(▲5.00)
バルチック海運指数 :973.00(+50.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :103.53(▲1.64)
SGX鉄鉱石 :104(+0.73)
NYMEX鉄鉱石 :103.46(+0.39)
NYMEX原料炭スワップ先物 :111.04(+0.18)
上海鉄筋直近限月 :3,706(+106)
上海鉄筋中心限月 :3,592(▲9)
米鉄スクラップ :310(±0.0)

【農産物】
大豆 :867.00(▲2.00)
シカゴ大豆ミール :287.90(▲0.50)
シカゴ大豆油 :27.99(+0.25)
マレーシア パーム油 :2455.00(+33.00)
シカゴ とうもろこし :329.00(▲0.25)
シカゴ小麦 :496.00(▲8.75)
シンガポールゴム :141.50(±0.0)
上海ゴム :10135.00(▲325.00)
砂糖 :12.19(+0.15)
アラビカ :93.65(▲0.35)
ロブスタ :1148.00(▲17.00)
綿花 :60.07(+1.06)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :49.65(▲2.63)
シカゴ生牛 :96.33(+0.25)
シカゴ飼育牛 :132.88(+1.70)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。