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ポンペオ長官発言を受けて景気循環商品安い
  • MRA商品市場レポート

2020年5月28日 第1754号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ポンペオ長官発言を受けて景気循環商品安い」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:原油価格は下落。OPECプラスの増産観測と、米中対立激化による貿易活動の停滞観測が要因。

期待先行で上昇してきた部分もあるため、一旦調整。ただし今晩の石油統計では原油在庫の減少が確認され、米国時間には買い戻される見込み。

◆非鉄金属:下落。米国が中国に対する制裁を示唆したことで、米中通商戦争再開への懸念が強まったことが背景。

本日は昨日の下落幅が大きかったことから、一旦買戻しからスタートすると考える。ただし、米中対立の強まりが懸念されていることから、上値重い。

◆鉄鋼原料:鉄鉱石は小幅上昇、原料炭先物は下落、鉄鋼製品も下落した。在庫不足(鉄鉱石)と米中対立激化で高安まちまち。

鉄鉱石は在庫水準の低さから在庫積み圧力強いが、鉄鋼製品に関しては米中対立懸念で軟調。

◆貴金属:貴金属セクターは下落。株価が上昇していることで景気に対する楽観が台頭、名目金利の上昇を受けて。

株に楽観の買いが入る中で金銀プラチナは調整売りに押される展開、パラジウムは金の下落と株価上昇でもみ合いか。

◆穀物:シカゴ市場はまちまち。トウモロコシと大豆は小幅高、小麦はドル高に押された小幅安となった。新規材料に乏しい。

トウモロコシ・大豆は米中対立懸念で軟調、小麦は作付けの遅れ・作柄の悪化で基本堅調。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はエネルギーや非鉄金属などの景気循環系商品が売られ、一昨日に売られたディフェンシブ銘柄の一角が物色される一方、株が大幅に上昇する展開となった。

材料はポンペオ長官が中国の香港政策に関して、「完全に自制を失った、中国を香港のモデルにしようとしている」と発言。中国による実質的な一国二制度の放棄方針と、それを強力に推し進めようとする中国共産党の方針に、公式に「ノー」を突き付けたことが景気循環系商品価格を押し下げた。

しかし、この状況においても株価は野放図に上昇しており、ややほかの景気循環銘柄とは異なる動きとなっている。2020年5月26日付MRA's Eye「銅・金レシオは株価の下落リスク・金下落リスクを示唆」、のところでも触れているが、今後、株価の急落リスクを警戒したほうがよいのではないか。

また、日本ではいったん沈静化したコロナ問題だが、海外ではロックダウン解除が進んでいるので鎮静化しているように見えるものの、米国などは地域によっては感染者数が増加している地域もあり、ブラジルは全く何の対応もしない中で感染が拡大している。

日本も14日時点で多くの都市の非常事態宣言が解除されたが、北九州などでは感染第二波の可能性が指摘されており、この問題が簡単に片付くものではなく、現在のリモートの生活が真の終息までは常態化する可能性、あるいは終息後も続く可能性が高いことを示唆している。結果的に旅客需要が減少した状態が続くとみられる。

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【本日の見通し総括】

本日も総じて軟調な推移になると考える。米中対立の激化への懸念が材料。ただし、ロックダウン解除の動きが継続していることから下落余地も限定されることになるだろう。

本日の注目材料は、新規失業保険申請件数。市場予想は210万人(先週244万人)と失業保険申請件数は減少見込みであるが、引き続き高い水準を維持しており、継続受給者数も2,568万人(2,507万人)に達するとみられている。

一時解雇が多いため、早晩復職すると期待されているが、現在は流行の端境期にあるだけの可能性は低くなく、高失業率が定常化し、米経済活動が停滞するリスクは無視できない。

あと、本日は米石油統計に注目している。市場は原油在庫の水準(市場予想▲1,276KB)に目が行きがちだが、それ以上に原油生産、石油製品出荷(需要)動向に注目している。

原油減産の進捗、出荷の増加が確認されればOPECプラスでの増産バイアスを強めるが、そうでない場合、サウジが主張するような減産継続となる可能性もあるためだ。その重要な判断材料となる。

【昨日のトピックス】

昨日発表されたベージュブックでは、新型コロナによる急激な雇用減少、事業閉鎖の深刻な影響が指摘された。

経済活動はすべての連銀地区で急速に落ち込んだこと、経済活動再開後の景気への期待はあるもののその見通しが不確実であり、根本的には景気の回復ペースに懐疑的なことが示された。

米国のロックダウン解除は、昨日もコメントしたが企業部門の資金不足が続き、このままだと雇用の受け皿となる企業(特に輸送関連や、接客業)の破綻が大規模に発生する可能性があるため、やむを得ず実施する、というのが正直なところではないか。

日本も全国的な解除から2週間がたとうとしているが、すでに第二波の発生が懸念されている。欧米がウイルスの根絶を諦めたことから、この問題は恒常的なリスクになったと考えるべきだろう。

昨日、中国工業利益が発表されたが、は前年比▲4.3%(前月▲34.9%)と急速に回復、中国企業活動の回復が確認された形。

中国政府が景気回復のためにテコ入れしていることは事実であり、それが想定以上に統計に反映されたようだ。実際中国の製造業の稼働率を見てみると、銅線生産者の工場稼働率が100%を超えるなど、実働の稼働日数が平月を超えているようだ。

銅をはじめとする非鉄金属の価格は同指数の説明力が高いが、ロックダウンが発生してた3月をエラー値として処理すれば、中国企業の景況感の減速は継続している。

本来であればQ120が底で、緩やかに景気回復する見込みだったが欧米の経済再稼働が遅れる中で、Q320以降にならなければ本格的な回復はないと考えられる。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の改善。

ロックダウン解除の動きが世界的に拡大しており、最悪水準まで低下したPMI・ISM指数には改善圧力が掛かり、景気循環銘柄価格の上昇要因に。ただし、本格解除には至らず、改善余地も限定される公算。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(+3.3%→▲3.0%)ている。ただし2021年には+5.8%への急回復を見込んでいる。

ただこの通りになるためには、コロナウイルス感染拡大終息が必要条件であり、第二次感染拡大となり得る冬場までの終息がなければ、それは難しかろう。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、債券買い入れもジャンク債も対象とするなど、打てる手は出し惜しみなく出しているため、徐々に不安は解消しよう。

ただし、持てる金融政策のカードをほとんど切ってしまったため、今後、不測の事態が発生した場合のリスクは小さくない。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・中国の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた、世界的な経済活動の鈍化長期化。

感染拡大ペース鈍化を受けて経済活動を再開させる動きが強まっているが、このウイルスは未知の部分が多く、再度感染拡大→経済活動自粛、という流れになるリスクも無視できず。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、サプライチェーンの在り方も見直される可能性があり、「ポスト・コロナ」後の商流を大きく変質させる可能性も(景気循環系商品価格の下落要因)。

・生産拠点を自国に回帰させる動きや、リモートの定着による成長鈍化が、新興国の財政状況を悪化させ、自国を含む域内景気への悪影響を及ぼす懸念(価格の乱高下要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。コロナウイルスの影響もあって、EUと英国が離脱を巡って建設的な議論はほとんどできていない状況で、移行期間中の条件合意が困難となっている。

今後は2020年12月末の移行期間までに条件で折り合えず、延期するのか、ハードブレグジットになるかが材料視されることになろう(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・ロックダウンの動きを受けた株高による、リスク資産の再物色の流れ。

コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

・年後半に再度ロックダウンが始まり、投機の買いで上昇したリスク資産価格(特に株)が下落するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は下落した。ロシアが来月のOPEC+会合で減産幅を縮小(増産)を予定通り行う方針を示したことで、需給バランスの改善(タイト化)観測が弱まったことが売り材料となった。

また、米国が中国に対する制裁を示唆したことが材料となった。

【原油価格見通し】

原油価格は生産調整の進捗で下値を切り上げてきたが、中国の景気回復やロックダウン解除に伴う経済効果を過剰に先取してきた部分も否めず、米中対立が激化する可能性が高いことが経済的に両国に不利益をもたらすことが意識されているため、徐々に頭重い推移になると考える。

価格下落に伴う生産調整が進捗していること、コロナの影響緩和で経済活動が再開する方向にあることから、下値水準は切り上がっていると考えられるため、下落余地も限定されるだろう。

6月9日・10日開催のOPEC・OPEC+会合に注目しているが、予定通りの減産が行われるかどうか。今のところロシアが減産幅の削減(増産)を示唆しているが、サウジアラビアはしばらく現在の減産を続けたい意向であり、どのような決着んなるかはまだ何とも言えない状況。

一時、マイナス価格でやり取りされたWTIであるが、当局の投機取引に対する規制強化やクッシング在庫の減少もあり、再びマイナスとなる可能性は低下した。

しかし、今回のマイナス価格は米国の原油先物の受け渡しポイントが内陸のクッシングにあることが影響しており、今回のような事態発生を回避するには輸出が容易な湾岸地区(例えばヒューストンなど)に受け渡しポイントを移すべきである。

欧州や中東は自国消費があまりなく、輸出を前提としてインフラが整備されているためこのようないことが起きにくい。

なお、原油価格が低水準で推移した場合、米シェールオイルの生産者のコストは平均で45ドル近辺(30ドル~55ドル程度)、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度であることから、時間経過とともに減産が進捗すると予想される。

場合によると経営破綻、という形で減産が進む可能性もあるが、価格下落リスクヘッジをしている生産者もファイナンスが困難になっているため、資金繰りが意識される3、6、9、12月末あたりではないだろうか。

特に6月は主要シェール企業の債務償還が多いため、6月危機のリスクはまだ過ぎ去っていない。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後の供給」である。今のところ夏頃から経済活動が再開されるとみられるが、この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

すでに全ての産油国が追加減産を余儀なくされる見込みであるが、実際に減産を行うと稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

足元の価格上昇を受けてOPEC諸国が増産に転じれば、逆にその体制崩壊のリスク→価格上昇のリスクを高めることになる。

逆に、コロナウイルスの感染拡大防止に失敗し、「今年の冬に第二ラウンドに突入」となると需要の回復は難しく、かつ、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、現在の世界各地の減産では不十分となる可能性も充分にあり得る。

さらに影響がよく分からないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、投機的な観点から価格を押し上げる。現在、これが顕在化しつつある状況。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクといえる。

原油価格の変動性は今後、需要が低迷するにも関わらず、さらに高まると考えておくべきだろう。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に上昇した。ほぼ季節性通り、過去5年の最低水準でじりじりと水準を切り上げる展開となっている。

貿易統計では中国の輸入増加が確認されているが、中国の豪州に対する圧力強化で豪州炭価格には下押し圧力が掛かりやすい環境になることが予想される。

【石炭価格見通し】

石炭価格は需給バランスの緩和観測で軟調な推移になると考える。ただし過去5年レンジの最低水準まで価格が下落しており、その観点での割安感からの買いが入り、下落余地は限定されると考える。水準は低いが、小じっかり、ということだ。

4月の中国石炭輸入は3,095万トン(前月2,783万トン)と過去5年の同じ時期の最高水準を大きく上回っている。経済活動の再開と、季節的な在庫の積み増しの動きによるものと考えられるが、欧米の経済活動の回復の遅れや、中国国内の回復も順調とは言えないことから、早晩減速すると見る。

また、コロナ問題を受けて対中国批判を強める豪州に対し、牛肉や鉄鉱石、石炭輸入を削減ないしは停止すると中国政府が表明しており、実際にその通りとなれば豪州炭価格を押し上げよう(他国産石炭は上昇)。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲3割の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-4月期中国工業生産は前年比▲4.9%(1-3月期▲8.4%)とマイナス幅が縮小、月次ベースでは+3.9%(前月▲1.1%)と前年比プラスにまで回復(フロー需要の回復=価格の上昇要因)。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化、コロナ問題を背景に米・欧軍が中東から撤退、それを受けたISの伸長が域内情勢を不安定化させ、原油生産・供給に悪影響を与える場合(価格の上昇要因)。

また、域内で武力衝突が発生し、難民が欧州に流入した場合欧州域内の政情が混乱するため景気を下押しし、原油価格の下落要因に。

<<投機・投資要因>>・WTI・Brentともショートの減少が顕著。生産調整の進捗がより材料として意識されている。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが692,017枚(前週比 ▲17,540枚)ショートが148,414枚(▲20,124枚)ネットロングは543,603枚(+2,584枚)

Brentはロングが226,290枚(前週比+576枚)ショートが67,851枚(▲1,787枚)ネットロングは158,439枚(+2,363枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME市場は下落した。米国が中国に対する制裁を強化する方針を示したことや、南米生産者のロックダウン解除観測が需給バランスを悪化させる、との見方が強まったことが価格を下押しした。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は各国の経済活動再開の動き、供給減少に伴い最大消費国である中国の需給バランスがタイト化していることによる(現物プレミアムも上昇)輸入需要の増加が価格を押し上げると考える。

しかし、米中の対立が激化していることや、南米生産者も生産を再開することが価格の上昇を抑制するため、結局はレンジワークだろう。

米中が通商面で昨年・一昨年に行われたような「大規模な制裁」を実施することは両国にとってデメリットが大きいため、行われないと考えるのが常識的な見方だ。

しかし、中国政府による香港・台湾・ウイグル自治区問題の支配は露骨に進んでおり、コロナ問題での不満もあり、欧米諸国がこれを看過するとは考え難い。すでに米国は制裁強化を決定している。

また、コロナウイルス問題も習近平国家主席のメンツ維持のため、情報隠ぺい工作に走ったことも事実であり、情報開示の遅れが死者の増加につながった、との見方をする欧米諸国は少なくなく、親中国だったドイツも対中政策を変更した可能性は高い。

今後、世界的に中国とのビジネスが停滞する可能性は高まり、世界の工場のポジションにまだある中国の鉱物資源需要を減じることになるだろう。

影響がなんとも言えないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これは景気が回復すれば先々の価格上昇リスクを強めることになる。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクと考えるべきだろう。コロナウイルスの影響が長期化する可能性は徐々に高まっている。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・4月中国製造業PMIは50.8(前月52.0)と減速した。新規受注は国内を中心に回復しているとみられるが、欧米のロックダウンの影響で輸出需要が低迷(輸出新規受注46.4→33.5と急減速)した。

新規受注在庫レシオは前月急回復したが、今月は低下。やはり3月の同指数はエラー値だったとして処理するのが適切だろう。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整が徐々に解除に向かう見通しであり、価格の下落要因に(影響を受けてきた主要鉱山は以下の通り)

(アルミ)Norsk Hydro Husnesアルミプラントの増産をQ320まで先送りアルゼンチン Aluar Puetro Madrynでの生産能力の▲50%を停止

(銅)南米の鉱山生産者(供給の約2割)は需要減と感染拡大防止のため、稼働率の引き下げを余儀なくされている状況Cerro Verde、Los Bronces、Constancia、Las Bambas、Collahuasi、Antaminaなど

(錫)PT Timah、需要の減少で当面錫生産を▲20%~▲30%減らす計画

(亜鉛)NewmontのPenasquito、Pan American SilverのLa Colorada、Grupo MexicoのBuenavistaとSan Martinなどが減産を決定

・5月中国銅製品生産者稼働状況

 銅線生産者 103.1%(前月100.4%、過去4年平均 89.8%) 銅棒生産者 80.3%(83.3%、78.9%) 銅板生産者 64.8%(68.3%、72.2%) 銅管生産者 82.7%(84.4%、75.4%)

・3月中国銅精錬業者稼働状況 大規模事業者 87.2%(78.3%、90.3%) 中規模事業者 73.2%(72.1%) 小規模事業者 73.1%(42.9%)

・1-4月期中国工業生産は前年比▲4.9%(1-3月期▲8.4%)とマイナス幅が縮小、月次ベースでは+3.9%(前月▲1.1%)と前年比プラスにまで回復(フロー需要の回復=価格の上昇要因)。

・1-4月期中国固定資産投資は前年比▲10.3%の13兆6,824億元(1-3月期▲16.1%の8兆4,145億元)とマイナス幅が縮小。

 公的部門は▲6.9%(▲12.8%)、民間部門とも▲13.3%(▲18.8%)マイナス幅を縮小。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要はマイナス=価格の下落要因)。

・1-4月期中国不動産開発投資は前年比▲3.3%の3兆3,103億元(1-3月期▲7.7%の2兆1,963億元)とマイナス幅を縮小。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の銅輸入は前年比+13.3%の44万トン(1-2月期85万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比+0.5%の178万トン(377万トン)となった。

銅地金の輸入は過去5年平均程度であるが、米中通商戦争が激化を始めた昨年に比べると高い水準。銅鉱石の輸入は、過去5年の最高水準だった昨年の水準を上回った。

いずれも中国の工業活動が平常状態に戻りつつあることを確認する内容であり、価格の上昇要因。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・5月15日付のLMEロング・ショートポジションは、商品ごとに動きがまちまちとなった。

銅・ニッケルはロングが減少、ショートが増加、米中対立への懸念や南米生産者の稼働再開報道が材料となった模様。

亜鉛はロング・ショートとも減少しているが、ショートの減少が顕著。TCの低下にみられるように鉱石供給が低迷しており、製錬品供給への懸念が強まっているとみられる。

鉛はロングが増加、ショートが減少。中国工場稼働再開と、スクラップ供給懸念が材料。アルミは減産が進んでいないことからショートの積み上がりが大きい。錫のポジションは小動き。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲39.2億ドル(前週▲36.6億ドル)と売り越し幅を小幅に拡大。売り越し額の増加率は+7.2%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,538千トン(前週▲1,459千トン)と売り越し数量を拡大。ネット売り越しの増加率は+5.4%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に上昇、原料炭スワップ先物は小幅に下落、中国鉄鋼製品先物価格は下落した。

米国が香港問題を背景に中国に対する制裁を強化する方針を示したことで鉄鋼製品価格は下落、在庫水準の低さから在庫積み圧力が強い鉄鉱石は小じっかりだった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は堅調な推移になると考える。中国の鉄鉱石在庫が減少していること、鉄鋼生産者に増産バイアスがかかっていることが価格を押し上げるため。

ただし、鉄鋼製品在庫の水準は記録的に高く、ここで鉄鋼製品の増産があれば需給が緩和して鉄鋼製品価格が下落するため早晩鉄鉱石需要は減速すると予想され、上昇余地も限定されるだろう。

また、米国の中国に対する制裁強化方針も鉄鋼製品価格を押し下げるため、転じて鉄鉱石価格を押し下げることになるとみる。なお、すでに米国は中国に対する制裁を強化しており、人権問題をめぐり、欧州諸国(除くイタリア)が追随するかが注目だ。

なお、現在は「夏場のコロナウイルス流行の間」であり、現在の鎮静化は一時的なものとなる可能性が高く、ワクチンの開発が終了するまでは「ロックダウン解除→ロックダウン→ロックダウン解除...」といった状態が続くと予想され、基本はレンジワークである。

その一方、コロナ問題に対する中国の対応に対して豪政府が不満を表明したことで、中国政府がこれに反発、豪州産の鉄鉱石を購入しない可能性を示唆した。中国全体の需要が減少するわけではなく、ブラジルやインドの鉱石需要が増加するだろうが、豪州産の鉱石価格には下押し圧力が掛かることになるだろう(反対にブラジル鉱石価格は上昇)。

政策要因に振らされる形で、先々の鉄鉱石価格は乱高下しやすい。

中国河北省の高炉稼働率は5月22日時点で78.8%(前週78.6%)と小幅に上昇した。需要の回復が緩慢な中で、恐らく稼働率は当面、この水準程度で推移することになるだろう。

中国の鉄鋼製品は例年通り季節的な在庫の取り崩しが継続しているが、例年よりも在庫の減少ペースが速い。生産者の供給が十分ではない中、最終需要者の稼働が回復している可能性があることを示唆している。

原料炭は中国の生産活動再開の影響もあり、過去5年の最高水準での推移を続けると考える。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は過去5年レンジを上抜けしていたが、ここにきて急速に取り崩しが進んでおり、現在は過去5年平均を下回った。需給環境は徐々にタイト化していると考えられる。

先行指標であるバルチック海運指数は、4月以降低迷していたが、直近は持ち直しの動きを見せており、今後、輸入が増加して海上輸送市場の需給をタイト化させ、価格が上昇する可能性が高まっている。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・4月の中国鉄鋼業PMIは45.9(前月42.2)と回復した。主に生産の回復(39.3→53.4)によるところが大きい。

しかし、需要はほとんどが国内向けとみられ(新規受注 38.5→39.9)、輸出向け新規受注は27.8(27.3)と低迷が続いている、

海外のロックダウンが続く中で、国内主導の回復にならざるを得ないが、中国政府も財政的に厳しい部分があり需要が加速するという展開は考え難い。

・1-4月期中国工業生産は前年比▲4.9%(1-3月期▲8.4%)とマイナス幅が縮小、月次ベースでは+3.9%(前月▲1.1%)と前年比プラスにまで回復(フロー需要の回復=価格の上昇要因)。

・1-4月期中国固定資産投資は前年比▲10.3%の13兆6,824億元(1-3月期▲16.1%の8兆4,145億元)とマイナス幅が縮小。

 公的部門は▲6.9%(▲12.8%)、民間部門とも▲13.3%(▲18.8%)マイナス幅を縮小。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要はマイナス=価格の下落要因)。

・1-4月期中国不動産開発投資は前年比▲3.3%の3兆3,103億元(1-3月期▲7.7%の2兆1,963億元)とマイナス幅を縮小。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・4月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲0.2%の631万9,000トンと前年比マイナスとなり、季節性に反して前月から減少した。

欧米各国がロックダウンしている影響によるものと考えられ、今後ロックダウンが徐々に解除される中で、緩やかに回復すると期待されるが実際にそうなるかどうかは不透明。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲124.2万トンの1,795.8万トン(過去5年平均 1,137.2万トン)と、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが続いている。

ただし、例年よりも取り崩しのペースは早く、鉄鋼生産者の稼働が最終需要家の回復よりも遅れている可能性があることを示唆している。

・4月の中国の鉄鉱石の輸入量は前年比+18.5%の9,571万トンとなり、過去5年レンジを大幅に上抜けした。鉄鋼製品在庫の取り崩しが進んでいること、鉄鉱石の港湾在庫の水準の低さもあって、鉄鉱石輸入の動きが活性化した様子。

鉄鉱石の港湾在庫水準は、絶対水準ベース、在庫日数ベースとも過去5年平均を下回っており一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲100万トンの1億1,195万トン(過去5年平均1億2,285万トン)、在庫日数は▲0.2日の26.2日(過去5年平均 30.3日)と例年と比較して在庫水準が低い状態は続いている。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、一定の鉄鉱石の輸入需要が価格を高止まりさせると考える。

・4月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比+22.3%の3,095万トンと増加し、過去5年レンジを超えた。中国の経済活動の再開を反映したもの。

原料炭の輸入は1-2月に前年比+47.5%の1,516万トンとなったが、3月は前年比▲8.1%の564万トンに落ち込んでいる。

中国の原料炭輸入の主要港である京唐港の石炭港湾在庫は過去5年レンジを上抜け増加していたが、急速に減少している。しかし依然として過去5年レンジを上回る水準を維持しており、輸入需要はさほど旺盛ではないとみられる。

石炭輸入動きを占う上で参考になるバルチック海運指数も再び急減速しており、過去5年レンジをした抜けした。中国の石炭調達意欲がさほど旺盛ではない可能性が高い。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は下落後上昇した。米国株が景気への楽観から上昇、実質金利も上昇していたがポンペオ長官が中国に対する強い制裁を示唆したことで、両国の対立が激化する、との懸念から引けにかけて水準を切り上げた。

銀価格も引けにかけて水準を切り上げ、プラチナもこれにつれた。パラジウムはポンペオ長官の発言を受けて引けにかけて水準を切り下げる展開に。

先物が存在しないため、より実需の影響を反映しやすいPGMであるロジウムは小幅に上昇している。

【貴金属価格見通し】

金銀は高値圏でのもみあいになると考える。ロックダウン解除が各国で続く見通しであることが株式市場での楽観を生んでいることが価格を下押しする一方、原油価格が上昇していることによる実質金利低下圧力、中国が香港支配を露骨に強めていることやコロナ問題をめぐり、米国との対立が激化するとみられることが安全資産需要を高めるため。

米中対立は激化が不可避の様相だが、両国の対立は世界各地での「親中・反中」の踏み絵を要求し、結果的に地政学的なリスクを高めること、コロナウイルス対策で各国とも財政支出を拡大しており、アルゼンチンで発生したようなデフォルト発生が意識されることが安全資産需要を高めることも、価格を押し上げると考える。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスクプレミアム)は243ドル(前日比▲1ドル)。なお、現在の実質金利で説明可能な価格水準は1,450~1,480ドル程度。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では120倍程度が妥当、となっているが実際は100倍程度となっている。

なお、金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)はCOMEX金在庫の急増によって低下、金銀レシオに下押し圧力をかけており、徐々に銀価格は対金で水準を切り上げる展開になると予想される。

また、金価格の上昇余地がそろそろ限界では、との見方が強まっていることから割安な大体安全資産として銀が物色される可能性は高い。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、各国の準備金や市場取引の担保価値が認められている金のような安全資産としては認知されていないことによる。

しかし、値動きとしては銀価格と連動しやすく、銀価格が割安感から物色されやすい地合いとなっているため、プラチナ価格にも上昇圧力が掛かることになろう。

パラジウムは価格は景気の先行きが明確に悪いこと、少なくともQ220は景況感の低迷が続く見込みであることから、工業向け需要低迷がから実需面は価格を下押ししやすい。

その一方で、貴金属のベンチマークである金価格は堅調な推移が予想されるため、結果、パラジウムは神経質にレンジワークでの推移になると考える。

Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲20万オンスの供給不足から、+10万オンスの供給過剰に下方修正しており、上限は切り下がったと考えられる。

4月の米自動車販売は年率858万台(市場予想 700万台、前月 1,137万台)と、大幅な悪化となり、例年の半分程度まで落ち込んだ。ただし、市場予想は上回っており市場ほど悲観的な状況ではないようだ。

中国の4月の自動車販売は前年比+4.4%の207万台(前月▲43.3%の143万台)と急回復した。しかし、販売の多くが商用車であり、中国政府による景気テコ入れの成果だったともいえる。

今後、中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻っている訳ではないので、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

そして、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、その他の中央銀行もこれに追随しており貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはロシアでは銅・ニッケルの、南アフリカ・米国ではプラチナの副産物として生産されるため(副産物としての供給が8割)、急な増産が困難であり供給面の制限が価格を下支えする状況に変わりはない。

<<特殊要因>>

・コロナ対策で過剰な財政出動が行われており、終息後に各国の財政・信用不安が意識される場合(価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・生産拠点を自国に回帰させる動きやリモートの定着による成長鈍化が、新興国の財政状況を悪化させる場合(価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが295,394枚(前週比 +17,623枚)、ショートが43,606枚(+8,663枚)、ネットロングは251,788枚(+8,960枚)、銀が54,391枚(+9,634枚)、ショートが23,463枚(+4,479枚)、ネットロングは30,928枚(+5,155枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが30,671枚(前週比 +2,418枚)ショートが8,658枚(▲1,440枚)、ネットロングは22,013枚(+3,858枚)

パラジウムが2,461枚(+305枚)、ショートが1,816枚(+50枚)ネットロングは645枚(+255枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場はまちまちとなった。

トウモロコシは作付けの遅れが買い材料視されたが、原油の下落が重しとなった。大豆も同様、作付けの遅れが買い材料だが、米中対立の激化懸念が重しに。

原油価格の上昇が材料。大豆は中国向けの輸出が増加したとの報道が材料となった。

小麦は小幅に下落。作付け・作柄がよろしくなく、価格が上昇してもおかしくはないがポンペオ長官発言を受けたドル高に押された形。

【穀物価格見通し】

トウモロコシ価格は米国のロックダウン解除の動きが進む見通しであり、ガソリン向け需要の段階的な回復が期待されること、採算が悪化したエタノールの生産調整も進むとみられることから、徐々に水準を切り上げると考える。

ロックダウン解除に伴う精肉工場の再稼働期待から、飼料向け需要も回復するとみられることも価格を押し上げるとみる。

ただし、ロックダウンが解除されても直ちに元の状態に戻るとは考えにくく、エタノール向け需要はやはり限定されることから上昇余地も限定される見込み。

大豆は国内の飼料向け需要の増加が予想されるが、米中対立の再燃による米国産大豆の中国向けの輸出減速が予想されることから、上昇余地は限定されると考える。

小麦は北米の冬小麦の作柄が悪化していること、トウモロコシに連れ高を見込むが、やはり例年通り最終的には供給は帳尻が合うと予想されるため上昇余地も限定。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、東南アジアでもトウモロコシやイネの大害虫であるツマジロクサヨトウが繁殖し、深刻な食糧危機をもたらしている

また、コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家が増えており、この作付けの遅れも価格を押し上げるだろう。年後半にかけて、穀物価格の見通しは強気だ。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・5月の米需給報告の生産見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 159億9,500万Bu(157億4,860万Bu、136億9,200万Bu)大豆 41億2,500万Bu(41億3,992万Bu、35億5,800万Bu)小麦 18億6,600万Bu(18億4,765万Bu、19億2,000万Bu)

・5月の米需給報告の在庫見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 20億9,800万Bu(22億7,792万Bu、24億4,500万Bu)大豆 40億5,000万Bu(43億2,240万Bu、48億万Bu)小麦 9億900万Bu(8億2,408万Bu、9億7,000万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが218,328枚(前週比 +7,495枚)、ショートが417,374枚(+28,970枚)ネットロングは▲199,046枚(▲21,475枚)

大豆はロングが186,743枚(▲1,519枚)、ショートが99,142枚(+14,107枚)ネットロングは87,601枚(▲15,626枚)

小麦はロングが104,238枚(+2,314枚)、ショートが114,160枚(+17,022枚)ネットロングは▲9,922枚(▲14,708枚)

◆本日のMRA's Eye


「プラチナは需要不足で低迷も投機需要でじり高の展開」

2020年のプラチナ供給は前年比▲13%の719万7,000オンス、需要は▲18%の695万オンスとなる見込みであり、需給バランスは24万7,000オンスの供給過剰と、前回のWPIC見通し~11万9,000オンス、供給過剰幅が拡大する形となった。

供給の減少は主に精錬品生産の減少(▲13%、▲81万オンス)と、リサイクル品供給の減少(▲12%、▲25万5,000オンス)によるもの。

Q120の供給は、Anglo American Platinumの南アフリカ鉱山がコロナウイルスの感染拡大防止で停止したことの影響を受けた。これを補うために在庫の放出が行われたが不十分。同様の理由でリサイクルは進まず、こちらも供給に影響を及ぼした。

需要の減少は、自動車(▲41.3万オンス)、宝飾品(▲31.5万オンス)、工業(▲10.4万オンス)、投資(▲64.7万オンス)と、すべてのセクターで需要が減少することによるもの。

Q120の需要は▲38%の164.9万オンスに減少。主に投機需要が減少したことによる。

今回のコロナ問題は各国の財政状況に著しい悪影響を及ぼした。特に、BEVs(Battery Electric Vehicles)の普及にために必要な、送電網や充電インフラの投資推進に大きな影響を及ぼしたと考えられる。そのため、BEVsの販売が鈍化する可能性は高く、需要面でしばらくの間、マイナスに作用する可能性は高い。

各国は環境規制強化のための排ガス規制の厳格化を打ち出しているが、パラジウム価格が需要の減少で下落したため、プラチナへの代替が進む可能性も低下している。

貴金属セクターの価格は、ベンチマークである金価格動向を基準に、銀の価格が決定し、プラチナやパラジウムは工業金属としての色彩が強いため、実需の影響を受け、好況時に価格が上昇しやすい株価を睨みつつ、株価上昇時には金より割高に、逆の場合は割安に推移する、という値動きをするのがこの数年、定着していた。

しかし、上述の通りプラチナの需要見通しは厳しく、一方で、パラジウムを取得するための鉱山稼働継続でプラチナ供給の調整もさほど進まないため、結果的にプラチナ価格動向は、投機需要で決定されるようになっている。

これは、銀が金価格を参考にして決定されるのと同じであり、実際、銀とプラチナ価格の相関性は高い。

基準となる銀価格は、金価格がこれ以上の上昇が金融面で困難(各国ともゼロ金利となり、金利低下余地が乏しい)であることから、原油価格動向による期待インフレ率に左右されることになる。

基本的に原油価格は年末に向けてジリ高の展開が予想されるため、恐らく金価格は上昇、それにつれる形で銀価格も上昇しよう。ただし、在庫の積み上がりから銀に物色の手が伸びておらず、これまで銀は対金で割安の状態に放置されてきた。

しかし現在、COMEXに金現物の搬入が進み、銀金在庫レシオ(COMEX銀在庫÷COMEX金在庫。この指数が低下すると銀の需給がタイト化しており金銀レシオには低下圧力が掛かる。逆の場合は上昇圧力に)は低下している。

これは金銀レシオの低下圧力を強めることになるため、今後、割安に放置されていた銀は上昇が予想される。よって、プラチナも同様に上昇余地を探る展開になると予想される。

◆主要ニュース


・1-4月期中国工業セクター利益 前年比▲27.4%の1兆2,598億元(1-3月期▲36.7%の7,815億元)
 4月 ▲4.3%の4,781億元(前月▲34.9%の3,707億元)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 +2.7%(前週▲2.6%)
 購入指数+8.6%(+6.4%)
 借換指数▲0.2%(▲6.3%)
 固定金利30年 3.42%(3.41%)、15年 2.87%(2.88%)

・5月リッチモンド連銀製造業指数 ▲27(前月▲53)、出荷 ▲26(▲70)
 新規受注 ▲35(▲61)、受注残 ▲33(▲42)

・米地区連銀経済報告、「新型コロナで急激な雇用減少や事業閉鎖が起き、この数週間で米経済に深い傷を負わせた。

経済活動はすべての連銀地区で低下し、大半の地区で急激な落ち込みを示した。

企業活動が再開されれば全般的な活動は持ち直すとの期待を、調査対象企業の多くが示したが、その見通しは極めて不確実なままであり、大半の企業は潜在的な回復ペースに悲観的だ。」

・農林中金、「CLOの減損までには距離。計算上は米国の投資先企業の半分が倒産しなければ、価格は棄損しない。

・クドロー国家経済会議委員長、「中国から米国に回帰するならば費用を支払う。」

・米ポンペオ国務長官、「香港が中国からの自治を失ったと正式に判断した。中国が自国を香港のモデルにしようとしていることはもはや明白だ。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米在庫統計市場予想 原油▲1,276KB(前週▲4,982KB)
 ガソリン▲151KB(+2,830KB)
 ディスティレート+2,274KB(+3,831KB)
 稼働率+1.04%(▲2.60%)

・API石油統計 原油在庫+8.73MB、クッシング▲3.37MB
 ガソリン+1.12MB、ディスティレート+6.91MB

・プーチン大統領とムハンマド後退し、緊密な減産協議で合意。

【メタル】
・4月日本アルミ圧延品出荷 前年比▲9.5%の15万299トン。9ヵ月連続マイナス。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ +4.69%/ ▲22.89%
2.ビットコイン ( その他 )/ +3.44%/ +28.01%
3.インド・センセックス ( 株式 )/ +3.25%/ ▲23.39%
4.ブラジル・ボベスパ ( 株式 )/ +2.90%/ ▲23.95%
5.S&P500 ( 株式 )/ +1.48%/ ▲6.02%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲9.57%/ ▲71.42%
69.NYM RBOB ( エネルギー )/ ▲7.24%/ ▲42.69%
68.NYM WTI ( エネルギー )/ ▲6.20%/ ▲47.23%
67.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲5.34%/ ▲48.12%
66.NYM灯油 ( エネルギー )/ ▲4.27%/ ▲53.24%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :25,548.27(+553.16)
S&P500 :3,036.13(+44.36)
日経平均株価 :21,419.23(+148.06)
ドル円 :107.72(+0.18)
ユーロ円 :118.56(+0.46)
米10年債 :0.68(▲0.01)
中国10年債利回り :2.71(+0.02)
日本10年債利回り :0.00(▲0.00)
独10年債利回り :▲0.41(+0.02)
ビットコイン :9,163.42(+304.35)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :35.83(▲0.27)
エネルギー :66.41(▲0.32)
ベースメタル :21.97(+0.01)
貴金属 :28.08(▲0.14)
穀物 :22.53(▲0.28)
その他農畜産品 :34.39(▲0.39)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :121.56(+1.06)
Brent :77.28(▲0.75)
米天然ガス :59.86(▲5.49)
米ガソリン :81.19(+4.88)
ICEガスオイル :94.92(▲1.01)
LME銅 :21.15(+0.02)
LMEアルミニウム :14.03(+0.61)
金 :16.18(▲0.09)
プラチナ :29.02(▲0.08)
トウモロコシ :12.87(▲0.65)
大豆 :16.18(▲0.09)

【エネルギー】
WTI :32.22(▲2.13)
Brent :34.24(▲1.93)
Oman :36.14(▲1.61)
米ガソリン :97.30(▲7.59)
米灯油 :94.85(▲4.23)
ICEガスオイル :285.00(▲12.00)
米天然ガス :1.72(▲0.07)
英天然ガス :8.88(▲0.94)

【貴金属】
金 :1709.47(▲1.11)
銀 :17.26(+0.13)
プラチナ :840.13(+6.72)
パラジウム :1944.08(▲11.82)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,343(▲33:34C)
亜鉛 :1,938(▲39:0.5B)
鉛 :1,659(▲17:17C)
アルミニウム :1,528(+15:23.5C)
ニッケル :12,210(▲138:66C)
錫 :15,410(+35:200B)
コバルト :29,657(▲6)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5295.50(▲73.50)
亜鉛 :1935.50(▲47.50)
鉛 :1642.00(▲32.00)
アルミニウム :1529.50(+8.00)
ニッケル :12140.00(▲210.00)
錫 :15325.00(▲50.00)
バルチック海運指数 :506.00(+8.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :95.32(▲0.67)
SGX鉄鉱石 :92.13(▲0.04)
NYMEX鉄鉱石 :91.81(+0.17)
NYMEX原料炭スワップ先物 :113.27(▲0.13)
上海鉄筋直近限月 :3,504(▲64)
上海鉄筋中心限月 :3,485(▲17)
米鉄スクラップ :332(+1.00)

【農産物】
大豆 :848.50(+1.50)
シカゴ大豆ミール :282.00(▲1.90)
シカゴ大豆油 :27.60(+0.33)
マレーシア パーム油 :2345.00(+105.00)
シカゴ とうもろこし :320.50(+1.50)
シカゴ小麦 :504.50(▲2.25)
シンガポールゴム :133.50(▲1.50)
上海ゴム :10035.00(+40.00)
砂糖 :10.80(▲0.25)
アラビカ :102.50(▲2.60)
ロブスタ :1210.00(▲9.00)
綿花 :58.34(+0.11)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :60.18(▲0.33)
シカゴ生牛 :100.80(+1.40)
シカゴ飼育牛 :134.03(+0.73)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。