CONTENTSコンテンツ

米ワクチンをめぐる期待と悲観で行ってこい
  • MRA商品市場レポート

2020年5月20日 第1748号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米ワクチンをめぐる期待と悲観で行ってこい」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:原油価格は乱高下したが前日比プラス。コロナのワクチン開発進捗期待と、それに関する否定的な報道を受けて。

コロナのワクチン開発への疑念が生じたことで、株にも調整売りが入りやすいことから一旦調整。ただし米石油統計は市場予想比強めの内容が予想され、価格は再び上昇へ。

◆非鉄金属:LME非鉄金属価格は上昇してそのまま高値引けする金属、引けにかけて水準を切り下げる金属とまちまちだったが、総じて前日比プラス。欧州統計の改善で。

コロナのワクチン開発への疑念で株が調整しやすいことから、本日は下落からスタートする見込み。

◆鉄鋼原料:上昇。豪州生産者の鉱山操業一時停止や、鉄鋼製品価格の上昇が価格を押し上げた。

鉄鋼原料材料の需給バランスはタイト化しており、中国の在庫積み圧力の高まりで高値圏維持。鉄鋼製品は米中対立の激化から早晩下落に転じる公算。

◆貴金属:金はコロナワクチンへの期待伯楽による株安・金利安を受けて上昇、銀は金銀在庫レシオの低下から対金の割安感で上昇、プラチナも連れ高。パラジウムは金高で上昇も株安で余地限定。

コロナワクチンへの期待後退を受けた株安で底堅い推移。パラジウムは軟調。

◆穀物:トウモロコシと小麦価格が上昇、大豆は下落。トウモロコシは原油の上昇が、小麦は作柄の低迷が材料。大豆は作付けの進捗が売り材料に。

米石油統計でエタノール需給バランスの改善が見込まれるため、トウモロコシ価格主導で上昇の公算。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて堅調な推移となったが、引けにかけて水準を切り下げる商品も多かった。

欧州のZEW景況感指数の期待指数が市場予想を大きく上回る内容となり、ロックダウン解除後の景気への楽観が広がったことが価格を押し上げたが、米国でのコロナワクチンへの期待が剥落したことが株安を通じ、リスク資産価格の下押し要因となった。

米医療メディアのスタット(STAT)は初期段階での小規模治験データは、ワクチンの有効性を評価する上で重要な意味を持たないと指摘、それが昨日の主要な下落要因となった。

価格調整、という意味では各国の財政出動を背景に比較的顕著に上昇していた株式セクターの調整圧力が強かった。

弊社がピックアップしている主要国の株価指数(すべてではありません)の前期末比上昇率は8.3%と高い。なお、最も前期末比で上昇しているのはエネルギーセクター(+8.6%)であるが、マイナス価格発生などによって生産調整が急速に進行していることといった反動の部分は大きい。

※レポートのお申込みはこちらから
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

※商品市場分析入門のお求めはこちらから
https://www.amazon.co.jp/dp/447810445X/

【本日の見通し総括】

本日も引き続きコロナ対策への材料探しとなるが、昨日、米国のコロナワクチンへの期待がやや剥落したことで過剰なリスクテイク再開への意欲が後退しているため、広く売りに押される展開になると予想する。

しかし、今回の治験結果を否定されたモデルナ社は後日、追加のデータが開示されるとしており、時間はかかるだろうがリスク資産価格(景気循環銘柄価格)の上昇要因になる可能性は高いと考えている。

本日予定されている材料としては、FOMC議事録が注目されているが、恐らく新しい材料が出てくるわけではなく、市場は追加の対策について注目しているためあまり材料にはならないのではないか。

次の議論は中所得者向けの減税、といった財政面での政策がより注目されることになる。

【昨日のトピックス】

昨日発表されたZEW景況感指数は現況指数が市場予想を大きく下回る、▲93.5(市場予想▲86.6、前月▲91.5)となった。足元の景況感は市場予想以上に悪いが、期待指数は51.0(30.0、28.2)と大幅に改善、独政府のコロナ対策が奏功していることを確認する内容となった。

世界経済は恐らく夏場に向けてロックダウンを段階的に解除し、徐々に平常状態に向かうものと考えられる。その意味で、コロナ対策で先行した中国の経済状況把握は、今後を占う上では重要だ。

中国のリアルタイムの経済動向を占う上で参考になる指標としてバルチック海運指数があげられる。同指数は鉄鉱石や石炭の輸入量と連動する傾向があり、昨年からは特に石炭の輸入量との連動性が高い。

コロナ中の輸入減少でバルチック海運指数は低下していたが3月から4月にかけてこの指数は上昇した。これは、中国の石炭輸入量が顕著に増加したこととも平仄が取れている。

しかし、4月の中旬以降、同指数は低迷している。これは中国以外の国がロックダウンの影響で貿易活動が低迷していること、中国自体の景気回復が想定しているペースよりも緩慢である可能性があることを示唆している。

実際、バルチック海運指数は過去5年レンジを下抜けしており、少なくとも世界的に景況感が改善しているようには見えない。

今のところ、ロックダウン解除やワクチン完成への期待が先行する形で多くのリスク資産価格が上昇しているようだが、これが継続する、と現時点で判断するのは時期尚早だろう。

実際に経済封鎖解除があったとしても、感染再拡大を防止する観点から一部の行動制限を設けた状態での需要回復になると想定されるためだ。また、想定以上に各国でリモートワークが浸透し、旅客需要自体が減少する可能性があるため、そのことも燃料需要を減少させることになるだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業PMIは小幅な悪化、非製造業PMIは小幅な改善となった。国内の消費活動が回復している一方、輸出向けの需要は欧米ロックダウンの影響で低迷していることが影響したと見られる。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(+3.3%→▲3.0%)ている。ただし2021年には+5.8%への急回復を見込んでいる。

ただこの通りになるためには、コロナウイルス感染拡大終息が必要条件であり、第二次感染拡大となり得る冬場までの終息がなければ、それは難しかろう。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、債券買い入れもジャンク債も対象とするなど、打てる手は出し惜しみなく出しているため、徐々に不安は解消しよう。

ただし、持てる金融政策のカードをほとんど切ってしまったため、今後、不測の事態が発生した場合のリスクは小さくない。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・中国の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた、世界的な経済活動の鈍化長期化。

感染拡大ペース鈍化を受けて経済活動を再開させる動きが強まっているが、このウイルスは未知の部分が多く、再度感染拡大→経済活動自粛、という流れになるリスクも無視できず。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、サプライチェーンの在り方も見直される可能性があり、「ポスト・コロナ」後の商流を大きく変質させる可能性も(景気循環系商品価格の下落要因)。

・生産拠点を自国に回帰させる動きや、リモートの定着による成長鈍化が、新興国の財政状況を悪化させ、自国を含む域内景気への悪影響を及ぼす懸念(価格の乱高下要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は続伸した。ワクチン開発期待で株高となったことや、生産調整の進捗が価格を押し上げてきたが、ワクチンの治験結果に関して否定的な報道が流れたことで、引けにかけて水準を切り下げた。

なお、昨日はWTIの限月交代日だったが、生産調整の進捗やクッシング在庫の減少が先週の米統計で確認されていること、CMEによる持ち高規制などの導入で4月のような混乱はなかった。

【原油価格見通し】

原油価格は価格下落に伴う生産調整が進捗していること、感染拡大ペースが鈍化し、欧米で経済封鎖解除の動きが段階的に進むとみられること、ワクチン開発進捗への期待先行から、価格の下値を切り上げる展開になると予想する。

ただし、コロナウイルスの感染拡大はまだ続いており、ロックダウンが全面的に解除されるわけではないこと、中国武漢では感染拡大第二波が確認されていることから需要の回復ペースは緩慢であり、上昇余地も限定されると考える。

ロックダウン解除と再開を繰り返しながら、「コロナへの対応の仕方」や「医療体制の整備進捗」を受けて下値余地が徐々に限定され始め、生産調整の進捗と相まって、緩やかに価格は水準を切り上げると予想される。

一時、マイナス価格でやり取りされたWTIであるが、5月13日の統計ではクッシング在庫の減少が確認されたため、以前ほどマイナス価格でやり取りされる可能性は低下、6月物の最終取引日に混乱はなかった。

しかしそれでも貯蔵能力には限界があるため、再びマイナス価格となる可能性は排除できない。

米国の原油先物の受け渡しポイントは内陸のクッシングであり、輸出が容易な湾岸地区(例えばヒューストンなど)と異なり在庫の調整が行いにくい。米国は最大の産油国であると同時に、最大の消費国であるため、需要減速時の需給調整に時間がかかる。

欧州や中東は自国消費があまりなく、輸出を前提としてインフラが整備されているためこのようないことが起きにくい。

ただし、米国も減産を進めたため現在の受け渡しポイントであるクッシングの週間在庫の水準は6,244万バレル(除輸送中の原油)となり、貯蔵施設の利用率は79.3%(前週83.3%)と低下している。同時に戦略備蓄基地への在庫搬入も進んでいる。

米シェールオイルの生産者のコストは平均で45ドル近辺(30ドル~55ドル程度)、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度。現在の価格水準では利益を確保できない生産者が多く、減産は時間はかかるが進捗すると予想される。

場合によると経営破綻、という形で減産が進む可能性もあるが、価格下落リスクヘッジをしている生産者もファイナンスが困難になっているため、資金繰りが意識される3、6、9、12月末あたりではないだろうか。

特に6月は主要シェール企業の債務償還が多いため、6月危機のリスクはまだ過ぎ去っていない。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後の供給」である。今のところ夏頃から経済活動が再開されるとみられるが、この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

すでに全ての産油国が追加減産を余儀なくされる見込みであるが、実際に減産を行うと稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

足元の価格上昇を受けてOPEC諸国が増産に転じれば、逆にその体制崩壊のリスク→価格上昇のリスクを高めることになる。

逆に、コロナウイルスの感染拡大防止に失敗し、「今年の冬に第二ラウンドに突入」となると需要の回復は難しく、かつ、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、現在の世界各地の減産では不十分となる可能性も充分にあり得る。

さらに影響がよく分からないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、投機的な観点から価格を押し上げる。現在、これが顕在化しつつある状況。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクといえる。

原油価格の変動性は今後、需要が低迷するにも関わらず、さらに高まると考えておくべきだろう。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に上昇した。目立った個別材料に乏しい中、過去5年の最低水準での推移が続いている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は需給バランスの緩和観測で軟調な推移になると考える。ただし過去5年レンジの最低水準まで価格が下落しており、その観点での割安感からの買いが入り、下落余地は限定されると考える。水準は低いが、小じっかり、ということだ。

4月の中国石炭輸入は3,095万トン(前月2,783万トン)と過去5年の同じ時期の最高水準を大きく上回っている。経済活動の再開と、季節的な在庫の積み増しの動きによるものと考えられるが、欧米の経済活動の回復の遅れや、中国国内の回復も順調とは言えないことから、早晩減速すると見る。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲3割の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化が、中東情勢を悪化させ供給リスクにつながる場合。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

<<投機・投資要因>>・WTI・Brentともロングが減少、ショートも減少した。米中対立への懸念がロングを減少させたが、生産調整進捗期待でショートの解消、特に米国原油のショート解消が大きかった。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが709,557枚(前週比 ▲13,355枚)ショートが168,538枚(▲23,762枚)ネットロングは541,019枚(+10,407枚)

Brentはロングが225,714枚(前週比▲24,195枚)ショートが69,638枚(▲3,329枚)ネットロングは156,076枚(▲20,866枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME市場は上昇後、水準を切り下げて前日比高値で引ける金属が多かったが、ニッケル・錫などはほぼ一貫して水準を切り上げた。

非鉄金属への説明力の高い欧州の経済統計の中で、独ZEW景況感期待指数が市場予想を上回る改善となったことが買い材料となったが、米国のコロナのワクチン開発に関して、否定的な報道が出たことが価格を下押しした。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は再び上昇余地を試す動きになると考える。欧米のロックダウン解除観測が需要面で価格を押し上げるほか、米ワクチン開発の進捗期待が金融面で価格を押し上げるため。

ただし、中国で再び感染拡大が確認され、移動制限が一部行われていること、ロックダウン解除の動きで鉱山生産も回復が見込まれることから上昇余地も限定されると考える。

また、米国が中国華為技術に対する制裁強化を決定したことで、同国の経済活動の停滞する可能性が高いことも上昇余地を限定するだろう。

しかし、ワクチンが完成するまでは結局のところ、ロックダウン解除と再開を繰り返しながら、「コロナへの対応の仕方」や「医療体制の整備進捗」を受けて下値余地が徐々に限定され始め、緩やかに価格は水準を切り上げる、という展開になるだろう。

基本的に戻りは緩やかなものになると見ているものの、稼働停止となっている鉱山の稼働が速やかに再開されるのか不明であり、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点も先々の価格上昇リスクを強めている。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクだろう。コロナウイルスの影響が長期化する可能性は徐々に高まっている。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・4月中国製造業PMIは50.8(前月52.0)と減速した。新規受注は国内を中心に回復しているとみられるが、欧米のロックダウンの影響で輸出需要が低迷(輸出新規受注46.4→33.5と急減速)した。

新規受注在庫レシオは前月急回復したが、今月は低下。やはり3月の同指数はエラー値だったとして処理するのが適切だろう。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整に動いており、供給面で価格を押し上げ(労働力が集まらない、業績悪化に伴う設備投資の減額、採算性悪化に伴う減産など、理由は様々)

(アルミ)Norsk Hydro Husnesアルミプラントの増産をQ320まで先送りアルゼンチン Aluar Puetro Madrynでの生産能力の▲50%を停止

(銅)南米の鉱山生産者(供給の約2割)は需要減と感染拡大防止のため、稼働率の引き下げを余儀なくされている状況Cerro Verde、Los Bronces、Constancia、Las Bambas、Collahuasi、Antaminaなど

(錫)PT Timah、需要の減少で当面錫生産を▲20%~▲30%減らす計画

(亜鉛)NewmontのPenasquito、Pan American SilverのLa Colorada、Grupo MexicoのBuenavistaとSan Martinなどが減産を決定

・4月中国銅製品生産者稼働状況

 銅線生産者 80.0%(前月75.8%、過去4年平均 86.2%) 銅棒生産者 64.4%(59.4%、77.4%) 銅板生産者 70.6%(73.1%、74.0%) 銅管生産者 86.7%(75.7%、87.2%)

・3月中国銅精錬業者稼働状況 大規模事業者 87.2%(78.3%、90.3%) 中規模事業者 73.2%(72.1%) 小規模事業者 73.1%(42.9%)

・1-4月期中国工業生産は前年比▲4.9%(1-3月期▲8.4%)とマイナス幅が縮小、月次ベースでは+3.9%(前月▲1.1%)と前年比プラスにまで回復(フロー需要の回復=価格の上昇要因)。

・1-4月期中国固定資産投資は前年比▲10.3%の13兆6,824億元(1-3月期▲16.1%の8兆4,145億元)とマイナス幅が縮小。

 公的部門は▲6.9%(▲12.8%)、民間部門とも▲13.3%(▲18.8%)マイナス幅を縮小。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要はマイナス=価格の下落要因)。

・1-4月期中国不動産開発投資は前年比▲3.3%の3兆3,103億元(1-3月期▲7.7%の2兆1,963億元)とマイナス幅を縮小。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の銅輸入は前年比+13.3%の44万トン(1-2月期85万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比+0.5%の178万トン(377万トン)となった。

銅地金の輸入は過去5年平均程度であるが、米中通商戦争が激化を始めた昨年に比べると高い水準。銅鉱石の輸入は、過去5年の最高水準だった昨年の水準を上回った。

いずれも中国の工業活動が平常状態に戻りつつあることを確認する内容であり、価格の上昇要因。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・5月8日付のLMEロング・ショートポジションは、商品ごとに動きがまちまちとなった。

銅はロングが増加、ショートが減少し強気のポジション取りが続く。

亜鉛はロング・ショートとも減少。鉱山供給の減少でショートの買戻しが顕著。錫もロング・ショートとも減少しているがどちらかといえばポジション手仕舞の動きか。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲36.6億ドル(前週▲36.8億ドル)と売り越し幅を小幅に縮小。売り越し額の減少率は▲0.5%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,459千トン(前週▲1,452千トン)と売り越し数量を拡大。ネット売り越しの増加率は+0.5%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は上昇、中国鉄鋼製品先物価格も上昇した。

鉄鉱石はBHPが西豪州の鉱山生産が一時的に停止したことで上昇、原料炭も鉄鋼製品価格の上昇を受けて水準を切り上げた。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は堅調な推移になると考える。世界的なロックダウン解除の動きや、インドやブラジル、豪州の生産国が、コロナウイルスの影響で軒並み生産や生産目標を引き下げていることが需給バランスをタイト化させるため。

ただし、中国武漢でコロナウイルス感染拡大が再確認されるなど、ワクチンの開発が終了するまでは「ロックダウン解除→ロックダウン→ロックダウン解除...」といった状態が続くと予想されることから、基本はレンジワークである。

しかし、ここにきて米国が中国に対して制裁を強化する方針を示したことで、同国の景況回復に遅れが出ることは必須であり、鉄鉱石価格を押し下げることになるだろう。

中国河北省の高炉稼働率は5月8日時点で78.6%(前週78.3%)と小幅に上昇した。需要の回復が緩慢な中で、恐らく稼働率は当面、この水準程度で推移することになるだろう。

中国の鉄鋼製品は例年通り季節的な在庫の取り崩しが継続しているが、例年よりも在庫の減少ペースが速い。生産者の供給が十分ではない中、最終需要者の稼働が回復している可能性があることを示唆している。

原料炭は中国の生産活動再開の影響もあり、過去5年の最高水準での推移を続けると考える。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は過去5年レンジを上抜けしていたが、ここにきて急速に取り崩しが進んでおり、現在は過去5年平均を下回った。

需給環境は徐々にタイト化していると考えられる。バルチック海運指数をみるに石炭輸入は鈍化していたが、今後輸入が加速する可能性がある。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・4月の中国鉄鋼業PMIは45.9(前月42.2)と回復した。主に生産の回復(39.3→53.4)によるところが大きい。

しかし、需要はほとんどが国内向けとみられ(新規受注 38.5→39.9)、輸出向け新規受注は27.8(27.3)と低迷が続いている、

海外のロックダウンが続く中で、国内主導の回復にならざるを得ないが、中国政府も財政的に厳しい部分があり需要が加速するという展開は考え難い。

・1-4月期中国工業生産は前年比▲4.9%(1-3月期▲8.4%)とマイナス幅が縮小、月次ベースでは+3.9%(前月▲1.1%)と前年比プラスにまで回復(フロー需要の回復=価格の上昇要因)。

・1-4月期中国固定資産投資は前年比▲10.3%の13兆6,824億元(1-3月期▲16.1%の8兆4,145億元)とマイナス幅が縮小。

 公的部門は▲6.9%(▲12.8%)、民間部門とも▲13.3%(▲18.8%)マイナス幅を縮小。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要はマイナス=価格の下落要因)。

・1-4月期中国不動産開発投資は前年比▲3.3%の3兆3,103億元(1-3月期▲7.7%の2兆1,963億元)とマイナス幅を縮小。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・4月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲0.2%の631万9,000トンと前年比マイナスとなり、季節性に反して前月から減少した。

欧米各国がロックダウンしている影響によるものと考えられ、今後ロックダウンが徐々に解除される中で、緩やかに回復すると期待されるが実際にそうなるかどうかは不透明。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲124.2万トンの1,795.8万トン(過去5年平均 1,137.2万トン)と、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが続いている。

ただし、例年よりも取り崩しのペースは早く、鉄鋼生産者の稼働が最終需要家の回復よりも遅れている可能性があることを示唆している。

・4月の中国の鉄鉱石の輸入量は前年比+18.5%の9,571万トンとなり、過去5年レンジを大幅に上抜けした。鉄鋼製品在庫の取り崩しが進んでいること、鉄鉱石の港湾在庫の水準の低さもあって、鉄鉱石輸入の動きが活性化した様子。

鉄鉱石の港湾在庫水準は、絶対水準ベース、在庫日数ベースとも過去5年平均を下回っており一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲100万トンの1億1,195万トン(過去5年平均1億2,285万トン)、在庫日数は▲0.2日の26.2日(過去5年平均 30.3日)と例年と比較して在庫水準が低い状態は続いている。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、一定の鉄鉱石の輸入需要が価格を高止まりさせると考える。

・4月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比+22.3%の3,095万トンと増加し、過去5年レンジを超えた。中国の経済活動の再開を反映したもの。

原料炭の輸入は1-2月に前年比+47.5%の1,516万トンとなったが、3月は前年比▲8.1%の564万トンに落ち込んでいる。

中国の原料炭輸入の主要港である京唐港の石炭港湾在庫は過去5年レンジを上抜け増加していたが、急速に減少している。しかし依然として過去5年レンジを上回る水準を維持しており、輸入需要はさほど旺盛ではないとみられる。

石炭輸入動きを占う上で参考になるバルチック海運指数も再び急減速しており、過去5年レンジをした抜けした。中国の石炭調達意欲がさほど旺盛ではない可能性が高い。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は上昇した。米国のコロナワクチン開発進捗期待が急速に後退、株安を受けた債券利回り低下と原油価格上昇を受けた実質金利の低下が価格を押し上げた。

銀は金価格の上昇と、金銀在庫レシオの低下に伴う割安感の解消の動きで大幅に上昇した。プラチナも銀価格に連れ高。

パラジウムは株価上昇と金価格の上昇で水準を切り上げたが、米コロナワクチン開発への疑念が生じたことを受けた株安で上げ幅を削った。

【貴金属価格見通し】

金銀は高値圏で推移すると考える。コロナウイルスの感染拡大ペースは鈍化しているものの、コロナウイルスの影響で地政学的リスクも高まるなど、不安要素が多いことが安全資産面で、価格下落で原油の減産が進むとみられ、原油価格が上昇に転じていることは実質金利の低下を通じて価格の上昇要因に。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスクプレミアム)は268ドル(前日比+10ドル)。コロナ・OPECショック前の水準(250ドル程度)を取り戻した。

米政権が中国との断交も視野に入れ、華為技術に対する制裁強化を決定するなど、両国の対立懸念が再び強まっている。

なお、現在の実質金利で説明可能な価格水準は、長期金利の上昇もあって1,450~1,480ドル程度に切り下がっている。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では120倍程度が妥当、となっているが実際は110倍程度となっている。

なお、金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)はCOMEX金在庫の急増によって低下、金銀レシオに下押し圧力をかけており、徐々に銀価格は対金で水準を切り上げる展開になると予想される。

また、金価格の上昇余地がそろそろ限界では、との見方が強まっていることから割安な大体安全資産として銀が物色される可能性は高い。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、各国の準備金や市場取引の担保価値がみとめられている金のような安全資産としては認知されていないことによる。

しかし、値動きとしては銀価格と連動しやすく、銀価格が割安感から物色されやすい地合いとなっているため、プラチナ価格にも上昇圧力が掛かることになろう。

パラジウムは価格は、景気の先行きが明確に悪く少なくともQ220は景況感の低迷が続く見込みであること、株式市場の混乱も続いているため、工業向け需要低迷がから実需面は価格を下押ししやすい。

その一方で、貴金属のベンチマークである金価格は堅調な推移が予想されるため、結果、パラジウムは神経質にレンジワークでの推移になると考える。

ただ、Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲20万オンスの供給不足から、+10万オンスの供給過剰に下方修正しており、上限は切り下がったと考えられる。

4月の米自動車販売は年率858万台(市場予想 700万台、前月 1,137万台)と、大幅な悪化となり、例年の半分程度まで落ち込んだ。ただし、市場予想は上回っており市場ほど悲観的な状況ではないようだ。

中国の4月の自動車販売は前年比+4.4%の207万台(前月▲43.3%の143万台)と急回復した。しかし、販売の多くが商用車であり、中国政府による景気テコ入れの成果だったともいえる。

今後、中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻っている訳ではないので、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

そして、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、その他の中央銀行もこれに追随しており貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

<<特殊要因>>

・コロナ対策で過剰な財政出動が行われており、終息後に各国の財政・信用不安が意識される場合(価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・生産拠点を自国に回帰させる動きやリモートの定着による成長鈍化が、新興国の財政状況を悪化させる場合(価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが277,771枚(前週比 +2,200枚)、ショートが34,943枚(+9,376枚)、ネットロングは242,828枚(▲7,176枚)、銀が44,757枚(+705枚)、ショートが18,984枚(▲2,153枚)、ネットロングは25,773枚(+2,858枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが28,253枚(前週比 ▲386枚)ショートが10,098枚(▲295枚)、ネットロングは18,155枚(▲91枚)

パラジウムが2,156枚(▲100枚)、ショートが1,766枚(+175枚)ネットロングは390枚(▲275枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場はトウモロコシと小麦が上昇、大豆が小幅に下落した。トウモロコシは米国のエタノール向け需要回復観測で上昇、大豆は作付けが過去5年の最高水準を超えるペースで進んでいることが材料となった。

小麦は、作付けの遅れと供給の大半を占める冬小麦の作柄の悪化が買い材料視された。

昨日発表されたトウモロコシの作付け進捗は80%(前週67%)と例年をやや上回る進捗。大豆はほぼ過去5年の最高のペース。

春小麦の作付けは60%(42%)と遅れており、過去5年の最低水準。冬小麦の作柄も、52%(53%)と急速に悪化している。

【穀物価格見通し】

トウモロコシ価格は米国のロックダウン解除の動きが進む見通しであり、ガソリン向け需要の段階的な回復が期待されること、採算が悪化したエタノールの生産調整も進むとみられることから、徐々に水準を切り上げると考える。

本日も、米石油統計でのエタノール生産(前週実績617KBD)、エタノール在庫(24.2MB)に注目したい。おそらく製品出荷の再開で生産の回復と、在庫の減少が確認されるとみる。

ロックダウン解除に伴う精肉工場の再稼働期待から、飼料向け需要も回復するとみられることも価格を押し上げると考える。

ただし、ロックダウンが解除されても直ちに元の状態に戻るとは考えにくく、エタノール向け需要はやはり限定されることから上昇余地も限定される見込み。

大豆は国内の飼料向け需要の増加が予想されるが、米中対立の再燃による米国産大豆の輸出減速が予想されることから、上昇余地は限定されると考える。

小麦もトウモロコシに連れ高を見込むが、やはり例年通り最終的には供給は帳尻が合うと予想されるため上昇余地も限定。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、東南アジアでもトウモロコシやイネの大害虫であるツマジロクサヨトウが繁殖し、深刻な食糧危機をもたらしている

また、コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家が増えており、この作付けの遅れも価格を押し上げるだろう。年後半にかけて、穀物価格の見通しは強気だ。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・5月の米需給報告の生産見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 159億9,500万Bu(157億4,860万Bu、136億9,200万Bu)大豆 41億2,500万Bu(41億3,992万Bu、35億5,800万Bu)小麦 18億6,600万Bu(18億4,765万Bu、19億2,000万Bu)

・5月の米需給報告の在庫見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 20億9,800万Bu(22億7,792万Bu、24億4,500万Bu)大豆 40億5,000万Bu(43億2,240万Bu、48億万Bu)小麦 9億900万Bu(8億2,408万Bu、9億7,000万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが210,833枚(前週比 ▲2,913枚)、ショートが388,404枚(+21,568枚)ネットロングは▲177,571枚(▲24,481枚)

大豆はロングが188,262枚(+15,126枚)、ショートが85,035枚(▲5,318枚)ネットロングは103,227枚(+20,444枚)

小麦はロングが101,924枚(▲2,528枚)、ショートが97,138枚(+3,389枚)ネットロングは4,786枚(▲5,917枚)

◆主要ニュース


・3月日本鉱工業生産改定  前月比▲3.7%(速報比変わらず、前月改定▲0.3%)、前年比▲5.2%(±0.0%、▲5.7%)
 出荷▲5.8%(▲0.8%、+1.0%)、▲6.5%(▲0.8%、▲5.4%)
 在庫+1.9%(±0.0%、▲1.7%)、+2.9%(±0.0%、+1.6%)

・4月欧州新車登録台数 欧州合計 前年比▲78.3%の292,182台(前月▲51.8%の853,077台)
 年初来▲39.1%の5,492,003台(▲26.3%の3,054,703台)

・3月ユーロ圏建設業生産高 前月比▲14.1%(前月改定▲0.5%)、前年比▲15.4%(+0.2%)

・4月ZEW独景況感調査期待指数 51.0(前月28.2)
 現況指数 ▲93.5(▲91.5)
 ユーロ圏期待指数 46.0(25.2)

・4月米住宅着工件数 前月比▲30.2%の89.1万戸(前月▲18.6%の127.6万戸)

・4月米住宅建設許可件数 前月比▲20.8%の107.4万戸(前月改定▲18.6%の127.6万戸)

・日銀、22日に臨時会合を開催。中小企業音資金繰り支援策を決定へ。

・ボストン連銀ローゼングレン総裁(投票権なし・タカ派)、「失業率は20%近くでピーク。米GDPは年後半に持ち直すと予想。」

・パウエルFRB議長(投票権あり・中間派)、「FRBと議会、経済支援で追加行動が必要な可能性も。緊急プログラム、月内に整うと見込む。」

・FRBムニューシン財務長官、「FRBの緊急融資を通じた景気刺激策として、議会が承認した5,000憶ドルの全額を利用する計画。」

・ECBラガルド総裁、独連邦憲法裁判所から、債券買い入れプログラムを違法とされた件に関し、「すべての国の中央銀行は、ユーロ圏の金融政策の決定と実施に全面的に参加すべき。ユーロ圏の各中銀は独立しており、政府からの指示を受けることはできない。これは条約で定められている。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米在庫統計市場予想 原油+1,809KB(前週▲745KB)
 ガソリン▲2,736KB(▲3,513KB)
 ディスティレート+1,712KB(+3,511KB)
 稼働率+1.04%(▲2.60%)

・API石油統計 原油在庫▲4.84MB、クッシング▲5.04MB
 ガソリン▲0.65MB、ディスティレート+5.08MB

【メタル】
・4月中国精錬銅生産 前年比+79千トンの819千トン(前月 771千トン)

・4月中国銅製品生産 前年比+377千トンの1,854千トン(前月 1,799千トン)

・4月中国精錬亜鉛生産 前年比+52千トンの517千トン(前月 489千トン)

・4月中国精錬鉛生産 前年比▲5千トンの489千トン(前月 467千トン)

・4月中国プライマリアルミ生産 前年比+51千トンの2,967千トン(前月 2,969千トン)

・4月中国アルミ製品生産 前年比+1.33百万トンの5.28百万トン(前月 4.62百万トン)

・BHP Billiton、西豪州のJimblebar鉱山の稼働を低レベルの障害で一時的に停止。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TCMガソリン ( エネルギー )/ +3.94%/ ▲51.01%
2.TCM灯油 ( エネルギー )/ +3.33%/ ▲51.13%
3.CBTエタノール ( エネルギー )/ +3.25%/ ▲14.40%
4.CME木材 ( その他農産品 )/ +2.77%/ ▲12.21%
5.NYB綿花 ( その他農産品 )/ +2.42%/ ▲14.27%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ICEガスオイル ( エネルギー )/ ▲4.54%/ ▲52.93%
69.NYM灯油 ( エネルギー )/ ▲3.46%/ ▲52.10%
68.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.12%/ ▲64.05%
67.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲1.87%/ ▲18.84%
66.原料炭スポット ( 鉄鋼原料 )/ ▲1.86%/ ▲16.98%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :24,206.86(▲390.51)
S&P500 :2,922.94(▲30.97)
日経平均株価 :20,433.45(+299.72)
ドル円 :107.70(+0.36)
ユーロ円 :117.65(+0.51)
米10年債 :0.69(▲0.04)
中国10年債利回り :2.73(+0.02)
日本10年債利回り :0.01(+0.01)
独10年債利回り :▲0.46(+0.00)
ビットコイン :9,663.83(▲13.90)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :42.99(▲13.03)
エネルギー :99.46(▲62.71)
ベースメタル :20.55(+0.12)
貴金属 :25.43(▲5.7)
穀物 :24.72(▲0.78)
その他農畜産品 :37.23(▲1.17)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :199.87(▲311.58)
Brent :84.31(▲53.78)
米天然ガス :74.48(▲6.85)
米ガソリン :103.81(▲46.3)
ICEガスオイル :111.11(▲20.76)
LME銅 :22.31(+0.36)
LMEアルミニウム :10.88(▲1)
金 :14.81(▲0.01)
プラチナ :20.97(▲3.08)
トウモロコシ :20.80(▲0.95)
大豆 :14.81(▲0.01)

【エネルギー】
WTI :32.50(+0.68)
Brent :34.47(▲0.34)
Oman :35.73(▲0.27)
米ガソリン :103.93(+1.35)
米灯油 :97.16(▲3.48)
ICEガスオイル :289.00(▲13.75)
米天然ガス :1.80(+0.02)
英天然ガス :11.17(▲0.36)

【貴金属】
金 :1747.00(+14.45)
銀 :17.37(+0.41)
プラチナ :836.80(+18.17)
パラジウム :2020.76(+23.11)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,344(+66:29.5C)
亜鉛 :2,017(+21:0.5B)
鉛 :1,656(+31:17.5C)
アルミニウム :1,498(+22:34C)
ニッケル :12,349(+313:49C)
錫 :15,225(+105:180B)
コバルト :29,701(+146)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5353.00(+7.50)
亜鉛 :2029.00(+10.00)
鉛 :1681.00(+18.50)
アルミニウム :1488.50(▲11.50)
ニッケル :12480.00(+220.00)
錫 :15420.00(+185.00)
バルチック海運指数 :427.00(+20.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :95.34(+3.48)
SGX鉄鉱石 :92.49(+0.59)
NYMEX鉄鉱石 :90.65(▲0.84)
NYMEX原料炭スワップ先物 :112.86(▲2.14)
上海鉄筋直近限月 :3,552(+18)
上海鉄筋中心限月 :3,557(+45)
米鉄スクラップ :338(▲1.00)

【農産物】
大豆 :842.50(▲2.50)
シカゴ大豆ミール :284.60(▲0.50)
シカゴ大豆油 :27.09(▲0.23)
マレーシア パーム油 :2230.00(+44.00)
シカゴ とうもろこし :321.25(+0.50)
シカゴ小麦 :498.75(+1.75)
シンガポールゴム :135.00(▲0.70)
上海ゴム :10125.00(+110.00)
砂糖 :10.85(+0.05)
アラビカ :107.05(+1.35)
ロブスタ :1157.00(+2.00)
綿花 :59.20(+1.40)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :56.65(▲1.00)
シカゴ生牛 :98.78(+0.05)
シカゴ飼育牛 :127.43(+0.83)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。