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FRB議長発言と米中対立で景気循環系商品売られる
  • MRA商品市場レポート

2020年5月14日 第1744号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「FRB議長発言と米中対立で景気循環系商品売られる」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:WTIは下落した。米石油統計はやや強気な内容だったものの、パウエル議長が景気に悲観的な見方を示したことで下落に。

生産調性進捗で下値は切り上がるが、米中対立や中国の再ロックダウンの可能性が高まっていることから上値も重く、レンジワーク。

◆非鉄金属:LME非鉄金属価格は前日比マイナスで寄り付いた後に、上昇後下落。パウエル議長の景気に対する悲観的な見方や、米中対立激化懸念が材料。

米緩和期待の後退と、米中対立懸念、中国の再ロックダウンの可能性が意識されているため、本日も軟調に推移すると予想。

◆鉄鋼原料:上昇。コロナウイルス対策を全く行っていないブラジルでの感染拡大による供給懸念が材料視。

供給面が意識されているが、再び中国の経済活動が停滞する可能性が意識されているため、現状水準でもみ合い継続。

◆貴金属:金は小幅に上昇。株の下落や米中対立の再燃が意識された。銀、プラチナも連れ高。パラジウムは米中対立や株価下落で続落。

貴金属は高値圏を維持しつつも、中国ロックダウンの懸念や株価の調整から金銀プラチナは堅調、パラジウムは軟調。

◆穀物:下落。パウエル議長発言を受けたドル高進行や、米中対立による輸出再度鈍化への懸念が強まったため。

米経済活動再開と、エネルギー需給バランス改善観測がけん引する形で上昇。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、貴金属やその他の農産品などが物色され、エネルギーや非鉄金属が売られる流れとなった。

コロナウイルス問題を巡り、米国と中国の対立が激化、通商面に大きな影響を与えると見られたことや、パウエル議長がマイナス金利導入の可能性を一蹴、そのうえで米景気の先行きに悲観的な見方を示したことが、特に景気循環系商品価格を下押しする流れとなった。

以前からその可能性が指摘されていたが、米年金資金や米連邦職員の中国株投資を制限する見通しが示されたことで、両国の対立が強まっている。

習近平国家主席の「メンツ」を保つために、コロナウイルスの問題を国際社会に開示しなかったことや、WHOに圧力をかけた可能性は高い。一方、トランプ政権も対応が遅れたことは否めず、すべてがすべて中国のせい、というわけではないことも事実である。

ただ確実なのは、米国では多数の死者が発生しており、その原因の一端が中国政府の対応によるものと米政府が判断していることであり、両国の対立は不可避と考えるべきだろう。結果、リスク資産価格には下押し圧力となる。

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【本日の見通し総括】

本日の商品価格は、米中対立や、米国の金融緩和見送りもあり(詳しくは昨日のトピックスを参照)、軟調な推移になると考える。

予定されている材料としては、引き続き米週間新規失業保険申請件数に注目している。市場予想は250万件(前週316万9,000件)となっており、引き続き米国の雇用環境が厳しいことを確認する内容になりそうだ。景気循環系商品価格の下押し要因となる。

また、IEA(国際エネルギー機関)が需給見通しを発表する。原油市場は需給調整が進んでいるが、特に市場が反応しやすいIEA見通しではどのような判断がなされるか。

金融政策動向を占う上では、ミネアポリス連銀、アトランタ連銀、ダラス連銀のオンラインセミナーでの講演が予定されている。昨日のFRBパウエル議長以上の情報は出てこないと思うが、マイナス金利政策に関してどのような判断をしているかは参考になるだろう。

【昨日のトピックス】

昨日はFRBパウエル議長の発言に注目していたが(もう1つの注目材料だった米石油統計は本日のMRA's Eyeを参照)、パウエル議長はマイナス金利の導入の可能性を一蹴した。

米金利を下げることは、企業のコスト引き下げや金利低下に伴う自国通貨安を通じて米国の経済活動にプラスに作用する(と期待される)が、すでにマイナス金利を導入している、欧州や日本の状況を見てもマイナス金利の導入が劇的に景気にプラスに作用するとは考えにくい。

金利を引き下げることで金融機関は、さらにリスクの高い市場での運用圧力を高める。基本的に需要が創出されていれば、貸出が出るが需要がなければ金利を下げたところでいわゆる本業の貸し出しが出るわけではない。そのため、日欧ではマイナス金利導入の影響が限定された。

ただ、米国は銀行を通じた間接金融ではなく、証券市場を活用した直接金融が主流であるため、日欧で生じたデメリットが顕在化する可能性は低い。しかし、金利がマイナスになることで、企業が資金調達をしているMMF市場が機能しなくなる可能性がある。

米国ではCPを発行して資金を調達、その買い手がMMFを通じた資金であるが、日本でマイナス金利が導入された場合、MMFの利回りがマイナスとなるため日本の証券会社は次々とMMFを償還した。

マイナス金利が導入された場合、米国でも同じことが起きることになり、MMF市場から資金が流出し、企業の資金繰りに深刻な被害を与えかねない。こういった市場構造の違いもあって米国はマイナス金利の導入が難しいと考えられる。

ただ、FF金利先物を見るに、この状況においても来年1月・2月頃のマイナス金利導入を市場は織り込み始めており、トランプ大統領の強い圧力があれば、まったくない話でもないかもしれない。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業PMIは小幅な悪化、非製造業PMIは小幅な改善となった。国内の消費活動が回復している一方、輸出向けの需要は欧米ロックダウンの影響で低迷していることが影響したと見られる。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(+3.3%→▲3.0%)ている。ただし2021年には+5.8%への急回復を見込んでいる。

ただこの通りになるためには、コロナウイルス感染拡大終息が必要条件であり、第二次感染拡大となり得る冬場までの終息がなければ、それは難しかろう。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、債券買い入れもジャンク債も対象とするなど、打てる手は出し惜しみなく出しているため、徐々に不安は解消しよう。

ただし、持てる金融政策のカードをほとんど切ってしまったため、今後、不測の事態が発生した場合のリスクは小さくない。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・中国の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた、世界的な経済活動の鈍化長期化(景気循環系商品価格の下落要因、世界の経済構造変化も)。

感染拡大ペース鈍化を受けて経済活動を再開させる動きが強まっているが、このウイルスは未知の部分が多く、再度感染拡大→経済活動自粛、という流れになるリスクも無視できず。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、サプライチェーンの在り方も見直される可能性があり、「ポスト・コロナ」後の商流を大きく変質させる可能性も(景気循環系商品価格の下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格はもみ合った結果、下落した。注目の米石油統計はクッシングの在庫減少が確認され、出荷が増加するなど比較的予想比強気な内容だったが、米中の対立が激化していること、中国での感染再拡大への懸念などが価格を下押しした。

米原油生産も減少しており、徐々に米国の需給調整が進捗していることを伺わせる内容だった。

【原油価格見通し】

原油価格は価格下落に伴う生産調整が進捗していること、感染拡大ペースが鈍化し、欧米で経済封鎖解除の動きが段階的に進むとみられることから、価格の下値を切り上げる展開になると予想する。

ただし、コロナウイルスの感染拡大はまだ続いており、ロックダウンが全面的に解除されるわけではないこと、中国武漢では感染拡大第二波が確認されていることから需要の回復ペースは緩慢であり、上昇余地も限定されると考える。

結局、ロックダウン解除と再開を繰り返しながら、「コロナへの対応の仕方」や「医療体制の整備進捗」を受けて下値余地が徐々に限定され始め、生産調整の進捗と相まって、緩やかに価格は水準を切り上げると予想される。

一時、マイナス価格でやり取りされたWTIであるが、5月13日の統計ではクッシング在庫の減少が確認されたため、以前ほどマイナス価格でやり取りされる可能性は低下した。しかしそれでも貯蔵能力には限界があるため、再びマイナス価格となる可能性は排除できない。

米国は余剰原油を海外に輸出して需給を調整する仕組みが、欧州や中東ほど整備されておらず、米国は、国内の使用量が他国と比してケタ違いに多いため、需要が減少した時の調整は容易ではないからだ。

原油のベンチマークの受け渡し場所が内陸にあるため、原油がクッシングにランドロックされやすい。

受け渡しポイントは輸出港に近い、テキサス州のヒューストンに変更することが望ましい。現在、日量300万バレル程度が輸出に回されているが、それでも調整のフレキシビリティは高いとは言えないのはその構造的な問題に依拠する。

このようなインフラの差がリーマンショック後にBrentとWTIの格差が大きく開いた一因である(この時はクッシングから湾岸に原油を輸送するためのパイプラインのキャパシティも問題となった)。

現在の受け渡しポイントであるクッシングの週間在庫の水準は6,244万バレル(除輸送中の原油)となり、貯蔵施設の利用率は79.3%(前週83.3%)と低下した。

現在の戦略備蓄貯蔵能力は7億1,350万バレル、戦略備蓄量は6億3,977万バレルと先週から193万バレル増加した。米エネルギー省はこの4月、7,700万バレルの貯蔵スペースを開放する方針を示しているが、貯蔵設備までの輸送の問題もあり、この問題が片付くにはしばらく時間が掛るだろう。

なお、増加を続けてきた原油の洋上在庫は一時的に減少したが、再び増加を始めている。米国の生産調整は進んでいるようだが、世界的には十分に需給調整が進捗しているわけではなさそうだ。

※世界の原油洋上在庫
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/fundamentals/10710.html

このまま生産調整が進まなければ、洋上備蓄のスペースもなくなることが予想され、1.WTIのように欧州・中東原油もマイナス価格で売られる、2.OPECプラス諸国、非OPECプラス諸国の追加減産、もあり得る。

1.については6月のOSPが引き上げられたことで、マイナス価格で販売されるリスクは若干低下した。しかしそれでも、ドバイやBrent、ASCI(The ArgusSour Crude Index)の船積み月の月間平均価格が大幅に下落すればその可能性はあろう。

2.については、OPECプラスも「原油の保管場所がない」状態で増産を続ける意味はなく、早晩減産に転じることになるだろう。

ただ、「非OPECプラスが減産しないのは不公平だ」と考えているため、経済合理性の観点で生産継続が困難な非OPECプラスの減産進捗が起きてからになると予想される。

となると、減産が遅れ、取引の前提となるドバイやBrentの先物・先渡し価格がマイナス価格状態になる可能性はゼロではない。

現在の価格水準が継続すれば米国やカナダも2割程度、自動的に減産が行われる可能性は高く、結果的に全世界で2割程度の減産になると見ている。

米シェールオイルの生産者のコストは平均で45ドル近辺(30ドル~55ドル程度)、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度。現在の価格水準ではほとんどの生産者が利益を確保できない。

価格下落リスクヘッジをしている生産者も、引き受け手がいない原油を保有している訳にも行かないため、操業を停止するところが出てくるだろう。纏まった数の企業破綻が起きるとすれば、ヘッジ期間の目処である3、6、9、12月末。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後の供給」である。今のところ秋から世界の経済活動が回復に向かうというのが楽観的ではあるが、メインシナリオである。

この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

すでに全ての産油国が追加減産を余儀なくされる見込みであるが、実際に減産を行うと稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

逆に、コロナウイルスの感染拡大防止に失敗し、「今年の冬に第二ラウンドに突入」となると需要の回復は難しく、かつ、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、現在の世界各地の減産では不十分となる可能性も充分にあり得る。

さらに影響がよく分からないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、投機的な観点から価格を押し上げる。現在、これが顕在化しつつある状況。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクといえる。

原油価格の変動性は今後、需要が低迷するにも関わらずさらに高まると予想される。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に上昇した。特段目立った材料があったわけではないが、過去5年の最低水準での推移が続いている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は需給バランスの緩和観測で軟調な推移になると考える。ただし過去5年レンジの最低水準まで価格が下落しており、その観点での割安感からの買いが入り、下落余地は限定されると考える。水準は低いが、小じっかり、ということだ。

4月の中国石炭輸入は3,095万トン(前月2,783万トン)と過去5年の同じ時期の最高水準を大きく上回っている。経済活動の再開と、季節的な在庫の積み増しの動きによるものと考えられるが、欧米の経済活動の回復の遅れや、中国国内の回復も順調とは言えないことから、早晩減速すると見る。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲3割の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化が、中東情勢を悪化させ供給リスクにつながる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

<<投機・投資要因>>・WTIはロングが減少、ショートが増加した。減産や景気の回復期待で前週は強気のポジション取りとなっていたが、状況に大きな変化がない中で手じまいが起きたと考えられる。

Brentはロングが増加、ショートが減少した。ドイツの経済封鎖解除の動きや、サウジアラビアの前倒し減産などが材料となったようだ。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが722,912枚(前週比 ▲14,866枚)ショートが192,300枚(+43,910枚)ネットロングは530,612枚(▲58,776枚)

Brentはロングが249,909枚(前週比+15,943枚)ショートが72,967枚(▲17,873枚)ネットロングは176,942枚(+33,816枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME市場は前日比大幅いなすで寄り付いたのち上昇、その後下落した。割安感からの買いが入ったが、パウエル議長が景気の先行きに対して厳しい見方をしたことやマイナス金利導入を一蹴したことで株が調整、引けにかけて水準を切り下げた。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は水準を切り下げる展開になると予想する。価格上昇の前提となっていた中国の経済活動の再開に再び黄色信号がともり始めていること、米中の対立が再燃していることが需要面で価格を押し下げるため。

ただし、チリ・ペルーなどの生産国ではコロナウイルスの感染拡大が確認され、鉱山生産の減少がまだしばらく続く見込みであること、中国のロックダウンが再開されれば、スクラップ回収への影響が拡大する可能性があることが価格を下支えするため、下落余地も限定されると考える。

結局、ロックダウン解除と再開を繰り返しながら、「コロナへの対応の仕方」や「医療体制の整備進捗」を受けて下値余地が徐々に限定され始め、緩やかに価格は水準を切り上げると予想される。

基本的に戻りは緩やかなものになると見ているものの、稼働停止となっている鉱山の稼働が速やかに再開されるのか不明であり、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点も先々の価格上昇リスクを強めている。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクだろう。コロナウイルスの影響が長期化する可能性は徐々に高まっている。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・4月中国製造業PMIは50.8(前月52.0)と減速した。新規受注は国内を中心に回復しているとみられるが、欧米のロックダウンの影響で輸出需要が低迷(輸出新規受注46.4→33.5と急減速)した。

新規受注在庫レシオは前月急回復したが、今月は低下。やはり3月の同指数はエラー値だったとして処理するのが適切だろう。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整に動いており、供給面で価格を押し上げ(労働力が集まらない、業績悪化に伴う設備投資の減額、採算性悪化に伴う減産など、理由は様々)

(アルミ)Norsk Hydro Husnesアルミプラントの増産をQ320まで先送りアルゼンチン Aluar Puetro Madrynでの生産能力の▲50%を停止

(銅)南米の鉱山生産者(供給の約2割)は需要減と感染拡大防止のため、稼働率の引き下げを余儀なくされている状況Cerro Verde、Los Bronces、Constancia、Las Bambas、Collahuasi、Antaminaなど

(錫)PT Timah、需要の減少で当面錫生産を▲20%~▲30%減らす計画

(亜鉛)NewmontのPenasquito、Pan American SilverのLa Colorada、Grupo MexicoのBuenavistaとSan Martinなどが減産を決定

・4月中国銅製品生産者稼働状況

 銅線生産者 80.0%(前月75.8%、過去4年平均 86.2%) 銅棒生産者 64.4%(59.4%、77.4%) 銅板生産者 70.6%(73.1%、74.0%) 銅管生産者 86.7%(75.7%、87.2%)

・3月中国銅精錬業者稼働状況 大規模事業者 87.2%(78.3%、90.3%) 中規模事業者 73.2%(72.1%) 小規模事業者 73.1%(42.9%)

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国固定資産投資は、前年比▲16.1%の8兆4,145億元(1-2月期▲24.5%の3兆3,323億元)と減速感が改善。公的部門は▲12.8%(▲23.1%)とマイナスながらも前月からマイナス幅が縮小、民間部門も▲18.8%(▲26.4%)とマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国不動産開発投資は前年比▲7.7%の2兆1,963億元(1-2月期▲16.3%の1兆115億元)とやはりマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の銅輸入は前年比+13.3%の44万トン(1-2月期85万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比+0.5%の178万トン(377万トン)となった。

銅地金の輸入は過去5年平均程度であるが、米中通商戦争が激化を始めた昨年に比べると高い水準。銅鉱石の輸入は、過去5年の最高水準だった昨年の水準を上回った。

いずれも中国の工業活動が平常状態に戻りつつあることを確認する内容であり、価格の上昇要因。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・5月8日付のLMEロング・ショートポジションは、商品ごとに動きがまちまちとなった。

銅はロングが増加、ショートが減少し強気のポジション取りが続く。

亜鉛はロング・ショートとも減少。鉱山供給の減少でショートの買戻しが顕著。錫もロング・ショートとも減少しているがどちらかといえばポジション手仕舞の動きか。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲36.6億ドル(前週▲36.8億ドル)と売り越し幅を小幅に縮小。売り越し額の減少率は▲0.5%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,459千トン(前週▲1,452千トン)と売り越し数量を拡大。ネット売り越しの増加率は+0.5%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は上昇、中国鉄鋼製品先物価格も上昇した。

一大生産国であるブラジルの生産が、コロナウイルスの影響で減少するとの懸念が強まっていることが買い材料となった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は堅調な推移になると考える。世界的なロックダウン解除の動きや、インドやブラジルなどの生産国が、コロナウイルスの影響で軒並み生産や生産目標を引き下げていることが価格を押し上げるため。

ただし、中国武漢でコロナウイルス感染拡大が再確認されるなど、ワクチンの開発が終了するまでは「ロックダウン解除→ロックダウン→ロックダウン解除...」といった状態が続くと予想されるため、結局、現状水準でもみ合うものと考える。

中国河北省の高炉稼働率は5月8日時点で78.3%(前週78.5%)と再び低下した。需要の回復が緩慢な中で、恐らく稼働率は当面、この水準以上の上昇にはならないと予想される。

中国の鉄鋼製品は例年通り季節的な在庫の取り崩しが継続しているが、例年よりも在庫の減少ペースが速い。生産者の供給が十分ではない中、最終需要者の稼働が回復している可能性があることを示唆している。

原料炭は新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が鈍化、鉄鋼需要の伸びも欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は減少しているが、それでも過去5年レンジよりも高い水準を維持しており、足元の需給も緩和している。

しかし、生産側も同様に影響を受けていること、世界的な石炭生産制限の流れを受けて、鉄鉱石とは異なり原料炭価格の中長期見通しは強気である。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・4月の中国鉄鋼業PMIは45.9(前月42.2)と回復した。主に生産の回復(39.3→53.4)によるところが大きい。

しかし、需要はほとんどが国内向けとみられ(新規受注 38.5→39.9)、輸出向け新規受注は27.8(27.3)と低迷が続いている、

海外のロックダウンが続く中で、国内主導の回復にならざるを得ないが、中国政府も財政的に厳しい部分があり需要が加速するという展開は考え難い。

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国固定資産投資は、前年比▲16.1%の8兆4,145億元(1-2月期▲24.5%の3兆3,323億元)と減速感が改善。公的部門は▲12.8%(▲23.1%)とマイナスながらも前月からマイナス幅が縮小、民間部門も▲18.8%(▲26.4%)とマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国不動産開発投資は前年比▲7.7%の2兆1,963億元(1-2月期▲16.3%の1兆115億元)とやはりマイナス幅が縮小した。

ただし、前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・4月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲0.2%の631万9,000トンと前年比マイナスとなり、季節性に反して前月から減少した。

欧米各国がロックダウンしている影響によるものと考えられ、今後ロックダウンが徐々に解除される中で、緩やかに回復すると期待されるが実際にそうなるかどうかは不透明。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲84.9万トンの1,919.9万トン(過去5年平均1,168.9万トン)と、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが続いている。

ただし、例年よりも取り崩しのペースは早く、鉄鋼生産者の稼働が最終需要家の回復よりも遅れている可能性があることを示唆している。

・4月の中国の鉄鉱石の輸入量は前年比+18.5%の9,571万トンとなり、過去5年レンジを大幅に上抜けした。鉄鋼製品在庫の取り崩しが進んでいること、鉄鉱石の港湾在庫の水準の低さもあって、鉄鉱石輸入の動きが活性化した様子。

鉄鉱石の港湾在庫水準は、絶対水準ベース、在庫日数ベースとも過去5年平均を下回っており一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲270万トンの1億1,295万トン(過去5年平均1億2,393万トン)、在庫日数は▲0.6日の26.4日(過去5年平均 30.6日)と例年と比較して在庫水準が低い状態は続いている。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、一定の鉄鉱石の輸入需要が価格を高止まりさせると考える。

・4月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比+22.3%の3,095万トンと増加し、過去5年レンジを超えた。中国の経済活動の再開を反映したもの。

原料炭の輸入は1-2月に前年比+47.5%の1,516万トンとなったが、3月は前年比▲8.1%の564万トンに落ち込んでいる。

中国の原料炭輸入の主要港である京唐港の石炭港湾在庫は過去5年レンジを上抜け増加していたが、急速に減少している。しかし依然として過去5年レンジを上回る水準を維持しており、輸入需要はさほど旺盛ではないとみられる。

石炭輸入動きを占う上で参考になるバルチック海運指数も再び急減速しており、過去5年レンジをした抜けした。中国の石炭調達意欲がさほど旺盛ではない可能性が高い。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は上昇した。米FRB議長がマイナス金利見通しを一蹴したものの、株価が調整したことや、米中の対立再燃などが懸念されて安全資産需要が高まったため。銀・プラチナも同様。

パラジウムは米中対立や、株価の調整を受けて続落となった。

【貴金属価格見通し】

金銀は高値圏で推移すると考える。コロナウイルスの感染拡大ペースは鈍化しているものの、コロナウイルスの影響で地政学的リスクも高まるなど、不安要素が多いことが安全資産面で、価格下落で原油の減産が進むとみられ、原油価格の下落余地が時間経過とともに限定され始めることは、実質金利の低下を通じて価格の上昇要因に。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスクプレミアム)は250ドル(前日比+1ドル)。

コロナ・OPECショック前の水準(250ドル程度)を取り戻した。ただ、米トランプ大統領は支持率回復を企図して、今回のコロナウイルス問題で中国を叩く方針であり、両国の対立激化が再び金需要を高めるとみている。

なお、現在の実質金利で説明可能な価格水準は、長期金利の上昇もあって1,450~1,480ドル程度に切り下がっている。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では、金在庫の急増もあって110倍程度が妥当である。

なお、金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)はCOMEX金在庫の急増によって低下しており、金銀レシオに下押し圧力をかけており、徐々に銀価格は対金で水準を切り上げる展開になると予想される。

PGM価格は、景気の先行きは明確に悪く、少なくともQ220は悪い状態が続きそうであること、株式市場の混乱も続いているためしばらくは軟調地合いの中、神経質なレンジワークを継続することになると考える。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、各国の準備金や市場取引の担保価値がみとめられている金のような安全資産としては認知されていないことによる。

パラジウムは、世界的な景気減速に伴う自動車向け需要の減速が価格を下押しするものの、コロナウイルスの感染拡大で南アフリカの鉱山がすべて停止するなど、供給途絶リスクが顕在化しているため、高値圏での推移になると考える。

ただ、Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲20万オンスの供給不足から、+10万オンスの供給過剰に下方修正しており、上限はさらに切り下がったと考えられる。

4月の米自動車販売は年率858万台(市場予想 700万台、前月 1,137万台)と、大幅な悪化となり、例年の半分程度まで落ち込んだ。ただし、市場予想は上回っており市場ほど悲観的な状況ではないようだ。

中国の4月の自動車販売は前年比+4.4%の207万台(前月▲43.3%の143万台)と急回復した。しかし、販売の多くが商用車であり、中国政府による景気テコ入れの成果だったともいえる。

今後、中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻っている訳ではないので、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

そして、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、その他の中央銀行もこれに追随しており貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

<<特殊要因>>

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(金銀価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが275,571枚(前週比 ▲11,811枚)、ショートが25,567枚(+914枚)、ネットロングは250,004枚(▲12,725枚)、銀が44,052枚(▲968枚)、ショートが21,137枚(+1,622枚)、ネットロングは22,915枚(▲2,590枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが28,639枚(前週比 ▲28枚)ショートが10,393枚(▲940枚)、ネットロングは18,246枚(+912枚)

パラジウムが2,256枚(+62枚)、ショートが1,591枚(+29枚)ネットロングは665枚(+33枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は下落した。パウエル議長がマイナス金利導入の可能性を一蹴したことや、株安を受けてドル高が進行したことが背景。また、米中の対立が激化しており、「米国が友好にならない限り通商合意は順守しない」といった中国業会団体からのコメントもあり、中国向けの輸出が減少するとの見方が強まったことも、価格を下押しした。

なお、昨日発表された米石油統計ではエタノール在庫の減少と、エタノール生産の減少が確認されておりトウモロコシの買い材料となったが、影響は限定された。

【穀物価格見通し】

穀物価格は高安まちまちになると予想される。

トウモロコシは米国のロックダウン解除の動きが進む見通しであり、ガソリン向け需要の段階的な回復が期待されること、採算が悪化したエタノールの生産調整も進むとみられることから、徐々に水準を切り上げると考える。

ただし、コロナウイルスの影響で精肉処理が進んでおらず、飼料向け需要が減少するとみられていること、ロックダウンが解除され、直ちに元の状態に戻るとは考えにくく、エタノール向け需要はやはり限定されることから上昇余地も限定されると考える。

大豆も飼料向け需要の減少、米中の対立再燃が重石となるが、トウモロコシ価格の上昇もあって徐々に下値を固める展開。ただし、ブラジルの大豆生産見通しが下方修正されたことで下値は堅いと考える。

小麦もトウモロコシに連れ高。シカゴの受け渡し可能在庫水準が低く、かつ、コロナウイルスの感染拡大や干ばつの影響で、ロシアがQ220の輸出を制限する方針を示しており、欧州・北アフリカ消費者の巣籠需要が価格を押し上げる見込み。

ただし、最終的には小麦供給は帳尻が合うことが多く、トウモロコシ価格が軟調地合いの中で徐々に水準を切り下げる展開を予想する。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、東南アジアでもトウモロコシやイネの大害虫であるツマジロクサヨトウが繁殖、深刻な食糧危機をもたらしている

また、コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家が増えており、この作付けの遅れも価格を押し上げるだろう。年後半にかけて、穀物価格の見通しは強気だ。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・5月の米需給報告の生産見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 159億9,500万Bu(157億4,860万Bu、136億9,200万Bu)大豆 41億2,500万Bu(41億3,992万Bu、35億5,800万Bu)小麦 18億6,600万Bu(18億4,765万Bu、19億2,000万Bu)

・5月の米需給報告の在庫見通し(今月/市場予想/前月)トウモロコシ 20億9,800万Bu(22億7,792万Bu、24億4,500万Bu)大豆 40億5,000万Bu(43億2,240万Bu、48億万Bu)小麦 9億900万Bu(8億2,408万Bu、9億7,000万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが213,746枚(前週比 ▲12,574枚)、ショートが366,836枚(+22,068枚)ネットロングは▲153,090枚(▲34,642枚)

大豆はロングが173,136枚(+6,458枚)、ショートが90,353枚(+304枚)ネットロングは82,783枚(+6,154枚)

小麦はロングが104,452枚(▲2,591枚)、ショートが93,749枚(+6,879枚)ネットロングは10,703枚(▲9,470枚)

◆本日のMRA's Eye


「米石油統計レビュー~米需給調整進捗」

昨日発表された米石油統計は、原油・ガソリンが予想比強気、ディスティレートがやや強気な内容となった。注目されていたクッシングの在庫は▲3.0MB(前週+2.1MB)と減少した。

原油は生産が11.6MBDと減少(前週比▲0.3MBD)、輸入が減少(▲0.3MBD)、稼働率も低下(▲0.5%)、在庫は▲0.7MBの減少となった。

原油処理量で在庫の数量を割った在庫日数は41.3日(+1.5日)と過去5年レンジを大幅に上回る状態が続いている。

※MB=100万バレル、MBD=100万バレル/日

原油の減産が徐々に始まっている。さすがに20ドル台の原油だと採算が取れない、ということである。Whitingが破綻、ChesapeakeがChapter11申請を検討など、徐々に淘汰の動きがみられていた(ただChesapeakeはそもそもコロナ前から資金繰りが厳しかった)。

ただ、企業も生き残りをかけてコスト削減などの対策に取り組んでいるため、減産ペースは今の緩やかなペースでしか進まないと考えられる。

今回の統計で注目すべきは、WTIのプライシングに影響するクッシングの在庫が減少に転じた点だ。

5月8日時点のクッシング貯蔵能力の使用率は79.3%と、先週の83.3%から低下した。輸入の低下と生産の減少が寄与したと考えられる。

まだ予断は許せないが、今月の限月交代のタイミングでのマイナス価格発生の可能性は若干低下したと考えられる。。

もう1つの注目だった石油製品出荷も回復している。

主要商品であるガソリンは生産が増加(+0.8MBD)、輸入が増加(+0.1MBD)、出荷(需要)は前週比+0.6MBDの6.3MBDと、過去5年レンジを大幅に下回った状態ではあるが回復、前年比でみた場合の需要の減少は▲33.0%と先週の▲39.6%から回復した。

トラックなどの輸送に主に用いられるディーゼルの出荷も回復しており、前年比▲17.3%の3.3MBD(前週▲20.2%の3.1MBD)、となった。ロックダウンの部分的な解除もあり、商業活動が徐々に回復しているとみられる。

全製品合計の出荷は前年比▲22.8%の15.5MBD(▲27.0%の14.8MBD)と回復。ロックダウン解除の動きもあり、米国は最悪期を脱した可能性が出てきた。輸出の伸びも▲11.2%の4.7MBD(▲0.3%の5.3MBD)とこちらも調整が進んできた。

当面、原油や石油製品の価格は低迷した状態が続くと予想されるものの、徐々に下値水準を切り上げる展開になるだろう。

ただしワクチンが完成するまでは、ロックダウン解除と再度ロックダウンを繰り返すと予想されるため、原油価格の水準は価格低迷に伴う減産がどの程度進むかに依拠することになる(上昇、というよりは下値が切り上がる)。

◆主要ニュース


・3月日本経常収支(季節調整済) 9,4222億円の黒字
(前月2兆3,525億円の黒字)
(季節調整前)1兆9,710億円の黒字(3兆1,688億円の黒字)
 貿易収支 1兆31億円の黒字(1兆3,666億円の黒字)
 輸出 5兆7,579億円(6兆3,901億円)
 輸入 5兆9,15243億円(5兆5,774億円)
 サービス収支 ▲2,649億円の赤字(▲3,068億円の赤字)
 第一次所得収支 1兆4,716億円の黒字(1兆9,888億円の黒字)

・4月日本 銀行貸出動向 銀行計 前年比+3.1%(前月+2.2%)
 含信金 +3.0%(+2.0%)

・4月日本景気ウォッチャー調査 現状判断DI 7.9(前月14.2)
 先行き判断DI 16.6(18.8)

・4月日本企業倒産 前年比+15.19%(前月+11.78%)

・3月ユーロ鉱工業生産 前月比 ▲11.3%(前月▲0.1%)
 前年比▲12.9%(▲2.2%)

・4月米生産者物価指数 前月比▲1.3%(前月▲0.2%)、前年比▲1.2%(+0.7%)
 除く食品エネルギー 前月比▲0.3%(+0.2%)、前年比+0.6%(+1.4%)
 除く食品エネルギー・貿易 前月比▲0.9%(▲0.2%)、前年比▲0.3%(+1.0%)

・4月OECD景気先行指数
 OECD 95.8(前月 98.0)
 ユーロ圏 94.4(97.2)
 アジア 95.4(95.7)
 G7 96.3(97.8)
 日本 98.4(98.8)
 ドイツ 93.7(96.8)
 米国 97.4(97.8)
 中国 93.7(93.5)
 インド 95.9(97.4)
 ロシア 91.3(98.3)

・パウエルFRB議長(投票権あり・中間派)、「ウイルスで長期の経済的打撃への懸念高まった。マイナス金利の導入、現時点で検討の対象ではない。」

・クリーブランド連銀メスター総裁(投票権あり・タカ派)、「金融政策は滑動再開後の経済を支えられる。ガイダンスを支えるためのYCC議論にオープン。」

・米連邦退職貯蓄投資理事会、投資計画の無期限年期を表明。新型コロナによる投資環境の変化が理由。中国株への投資も中国政府の情報開示が不十分だったとして中止に。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油▲0.7MB(クッシング▲3.0MB)
 ガソリン▲3.5MB
 ディスティレート+3.5MB
 稼働率▲2.6

 原油・石油製品輸出 8,009KBD(前週比▲581KBD)
 原油輸出 3,316KBD(+22KBD)
 ガソリン輸出 599KBD(▲145KBD)
 ディスティレート輸出 970KBD(▲205KBD)
 レジデュアル輸出 133KBD(+36KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 970KBD(▲221KBD)
 その他石油製品輸出 1,907KBD(▲56KBD)

・OPEC月報
 世界石油需要 Q120:92.4、Q220:81.3、Q320:92.3、Q420:96.3、2020:90.6
 非OPEC供給(含むNGLs) Q120:66.5、Q220:59.7、Q320:59.6、Q420:60.3、2020:61.5
 Call on OPEC Q120:25.9、Q220:21.6、Q320:32.7、Q420:36.0、2020:29.1

※需要見通しを大幅下方修正、Call on OPECも減少。

・サウジとロシア、「両国は引き続き市場安定化という目標を達成し、原油市場の再均衡を促進させることを強く決意している。」

・CFTC(米商品先物取引委員会)、取引所や清算機関、ブローカーに対してマイナス原油価格に備えるよう異例の通知。

・サウジアラビア、VATを3倍になる15%に引き上げ。財政危機で。

【メタル】
・特になし。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ビットコイン ( その他 )/ +5.38%/ +29.92%
2.CME牛乳 ( 畜産品 )/ +2.98%/ ▲37.47%
3.ICEココア ( その他農産品 )/ +2.23%/ ▲2.60%
4.DME Oman ( エネルギー )/ +2.23%/ ▲52.31%
5.ICEガスオイル ( エネルギー )/ +2.19%/ ▲60.06%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.NYM RBOB ( エネルギー )/ ▲7.16%/ ▲49.78%
69.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲6.05%/ ▲26.18%
68.CME生牛 ( 畜産品 )/ ▲3.40%/ ▲24.72%
67.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲2.64%/ ▲55.77%
66.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ ▲2.52%/ ▲17.21%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :23,247.97(▲516.81)
S&P500 :2,820.00(▲50.12)
日経平均株価 :20,267.05(▲99.43)
ドル円 :107.03(▲0.11)
ユーロ円 :115.79(▲0.44)
米10年債 :0.65(▲0.01)
中国10年債利回り :2.68(+0.04)
日本10年債利回り :0.00(▲0.00)
独10年債利回り :▲0.53(▲0.03)
ビットコイン :9,300.04(+475.06)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :74.14(+0.08)
エネルギー :259.24(+0.52)
ベースメタル :19.77(▲0.47)
貴金属 :27.83(▲0.21)
穀物 :24.04(▲0)
その他農畜産品 :39.59(+0.22)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :1192.24(▲0.13)
Brent :139.42(▲1.83)
米天然ガス :85.03(+3.94)
米ガソリン :150.36(+3.15)
ICEガスオイル :125.31(▲1.78)
LME銅 :22.15(▲2.31)
LMEアルミニウム :12.44(▲1.78)
金 :15.10(+0.95)
プラチナ :20.39(▲0.03)
トウモロコシ :23.75(▲0.87)
大豆 :15.10(+0.95)

【エネルギー】
WTI :25.29(▲0.49)
Brent :29.19(▲0.79)
Oman :32.15(+0.70)
米ガソリン :85.27(▲6.58)
米灯油 :83.14(▲0.70)
ICEガスオイル :245.25(+5.25)
米天然ガス :1.62(▲0.10)
英天然ガス :12.01(▲0.19)

【貴金属】
金 :1716.28(+13.58)
銀 :15.58(+0.13)
プラチナ :764.82(+0.21)
パラジウム :1832.10(▲23.14)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,245(▲19:32.5C)
亜鉛 :1,981(▲39:2.5C)
鉛 :1,625(▲35:23C)
アルミニウム :1,477(▲6:37.5C)
ニッケル :12,275(▲57:75C)
錫 :15,154(▲96:231B)
コバルト :29,577(▲5)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5212.00(▲17.00)
亜鉛 :1967.50(▲22.00)
鉛 :1597.00(▲33.50)
アルミニウム :1476.00(▲3.50)
ニッケル :12250.00(▲35.00)
錫 :15080.00(▲190.00)
バルチック海運指数 :433.00(▲41.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :89.65(+2.35)
SGX鉄鉱石 :89.13(+0.71)
NYMEX鉄鉱石 :88.35(+0.54)
NYMEX原料炭スワップ先物 :114.61(+2.36)
上海鉄筋直近限月 :3,419(+19)
上海鉄筋中心限月 :3,463(+8)
米鉄スクラップ :338(+12.00)

【農産物】
大豆 :836.00(▲13.25)
シカゴ大豆ミール :285.20(▲3.40)
シカゴ大豆油 :25.63(▲0.35)
マレーシア パーム油 :2070.00(+34.00)
シカゴ とうもろこし :320.25(▲3.50)
シカゴ小麦 :510.50(▲11.25)
シンガポールゴム :136.00(▲1.00)
上海ゴム :9830.00(▲110.00)
砂糖 :10.26(+0.01)
アラビカ :103.55(▲2.05)
ロブスタ :1121.00(▲29.00)
綿花 :57.46(▲0.88)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :68.00(▲0.03)
シカゴ生牛 :93.88(▲3.30)
シカゴ飼育牛 :125.30(▲2.00)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。