CONTENTSコンテンツ

非鉄金属上昇も総じて軟調
  • MRA商品市場レポート

2020年4月28日 第1736号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「非鉄金属上昇も総じて軟調」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:下落。原油ETF大手が6月限月を売却するとの報道を受けて期近の下落が顕著。しかし全ゾーン下落しており、需要減速感が意識されている。

前日のUSOのETF話を受けた下落が一服。上値は重いが、一旦買い戻しが入ると予想。

◆非鉄金属:大幅に上昇。大きな材料があったわけではないが、減産の継続と中国の経済活動回復が材料視されている。

前日の上げ幅が大きく一旦調整。ただしコロナの影響で鉱山生産やスクラップ供給にも影響が出ており製錬品需要は旺盛で下値も限定。

◆鉄鋼原料:小動き。新規材料乏しく方向感に欠ける。

生産者の生産調整と在庫水準の低さから鉄鉱石は高止まり、原料炭は在庫高でやや軟調、鉄鋼製品は中国景気回復期待で底堅い。

◆貴金属:下落。ロックダウン解除観測で株価が上昇したため、実質金利低下も水準切り下げ。パラジウムは需要への懸念強まり、下落。

原油価格が堅調に推移することが期待インフレ率を押し上げるが、株価がやや底入れした感じが出ていることが長期金利に上昇圧力となるため、もみ合い。

◆穀物:軒並み下落。引き続き、トウモロコシのエタノール向け需要の減少観測に伴う下落が相場を下押しした。

ロシアの輸出停止もあり、テクニカルにも買いが入りやすい状況であり本日は上昇か。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は非鉄金属や農畜産品の一角が上昇したが、総じて水準を切り下げる流れとなった。各国中央銀行の金融緩和拡大などのリスク資産買い材料はあったが、原油価格がETFのロールオーバーの関連で水準を切り下げたことが全体の地合いを弱気にした。

堅調な推移となったのが非鉄金属。中国の工場再稼働がすでに始まっているが、それ以上に、コロナウイルスの影響で供給が減少する、特に鉱山やスクラップの回収に影響が出るとみられたことが材料となっている。

コロナウイルス問題が始まってからほぼ4ヵ月が経過、欧米では段階的な経済活動再開が決定されている都市も増えているが、ワクチンがない中で本格的な経済活動の再開は難しい、というのが市場のコンセンサスになりつつあり、価格が上昇したとしても力強い上昇にはなっていない。

※月次の世界商品需給と期間構造、アップデートしました
https://marketrisk.jp/category/news-contents/contents/fundamentals

※商品投資の仕組みは弊社書籍で解説しています(お求めはこちらから)
https://www.amazon.co.jp/dp/447810445X/

※レポートのお申込みはこちらから
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

【本日の見通し総括】

本日は、各国での企業決算発表が相次ぐため、その内容に注目したい。四半期決算内容もさることながら、2020年度の決算見通しの修正(ほとんどの企業が下方修正になるとみられる)度合いに注目したい。

特に商品市場においては、コロナウイルスの影響で生産者(特に鉱物生産者)の減産が相次いでいる。需要見通しの下方修正に加え、坑道に入って作業し、歓喜の悪い密状態で作業するケースの多い鉱山では、感染が拡大しやすい。

その観点では、本日は鉄鋼生産最大手のVale、鉱山機械製造最大手のキャタピラーの決算に注目している。また、鉱山ではないがオイルメジャー、BPの決算見通しには注目だろう。

本日予定されている経済統計で注目は、米コンファレンスボード消費者信頼感。市場予想は87.0(前月120.0)と大幅悪化の見込み。ただ悪化はコロナウイルスの感染拡大防止のためのロックダウンの影響で、ほぼ必定であり、あまり積極的に材料にはならないと考える。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の工場の稼働再開と、インドやブラジルなどの生産国がコロナウイルス対策やそれに伴う需要の減少を受けて、軒並み生産や生産目標を引き下げていることが価格を押し上げるが、コロナウイルスの影響で経済活動停止の状態が継続することは必定であり、現状水準でもみ合うものと考える。

中国河北省の高炉稼働率は4月17日時点で78.1%(前週78.5%)と、これまで改善を続けてきたがここにきて低下、前年水準を回復するに至っていない。

今後、中国以外の国でコロナウイルスの影響が拡大することを考えると、鉄鋼業の景況感の回復にはやはり時間がかかることになると予想される。

中国の鉄鋼製品は例年通り季節的な在庫の取り崩しが始まったが、例年よりも在庫の減少ペースが速い。生産者の供給が十分ではない中、最終需要者の稼働が回復している可能性があることを示唆している。

原料炭は新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が鈍化、鉄鋼需要の伸びも欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は過去5年のレンジを大幅に上抜けしており、足元の需給も緩和している。

しかし、生産側も同様に影響を受けていること、世界的な石炭生産制限の流れを受けて、鉄鉱石とは異なり原料炭価格の中長期見通しは強気である。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業・非製造業PMIは大幅な改善となったが、アンケートの取り方が「前月からの商況の変化」であるため、これを額面通りは評価し難い。もう数ヵ月この統計を見ていく必要があるだろう。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(+3.3%→▲3.0%)ている。ただし2021年には+5.8%への急回復を見込んでいる。

ただこの通りになるためには、コロナウイルス感染拡大終息が必要条件であり、第二次感染拡大となり得る冬場までの終息がなければ、それは難しかろう。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、債券買い入れもジャンク債も対象とするなど、打てる手は出し惜しみなく出しているため、徐々に不安は解消しよう。

ただし、持てる金融政策のカードをほとんど切ってしまったため、今後、不測の事態が発生した場合のリスクは小さくない。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・中国の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた、世界的な経済活動の鈍化長期化(景気循環系商品価格の下落要因、世界の経済構造変化も)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、さらに新型コロナウイルスの感染拡大が終息したのちに、ウイルス問題を受けて対立が激化する可能性は高まっている。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は下落した。原油ETF最大手のUSOがWTI6月限月を売却し、期先に乗り換えると決定したことで期近の売り圧力が強まる流れを受けた。

ただし原油は全ゾーン下落しており、景気低迷による需要減少が長期化するとの見方が強まっていることが浮き彫りとなっている。

【原油価格見通し】

原油価格は世界的な供給過剰感が再び意識されていることから軟調な推移になると考える。一方、ゆっくりではあるが感染拡大ペースが鈍化し、経済封鎖解除の動きが段階的にみられ始めていること、価格低迷、場合によるとマイナス価格での販売を余儀なくされる状況が生産者の減産を加速させるため、やはり中期的な見通しは強気である。

ただし、景気回復ぺースは緩やかにならざるを得ず、上昇余地も限定されると見る。結局はしばらくの間、高いボラティリティ(瞬間的にレンジを大きく下回る)を維持しながら低水準でもみ合うと予想される。

一大産油国であり、消費国でもある米国の貯蔵スペース枯渇の問題が顕在化したことから、米国原油は実質的に「処理コスト発生リスク混み」の低水準で取引されると見る。

最近では米国の原油輸出も増加しているが、国内の需要が減少した時に海外に積極的に原油をさばいていくインフラが、長い間輸出を前提に整備されている中東や欧州と比較した時に、米国は充分ではない。

米国は、国内の使用量が他国と比してケタ違いに多いため、需要が減少した時の調整は容易ではない。特に、原油のベンチマークの受け渡し場所が内陸にあるため、原油がクッシングにランドロックされやすい。

やはり受け渡しポイントは湾岸近い、テキサス州のヒューストンなどに変更することが望ましい。こうしたインフラの差がリーマンショック後にBrentとWTIの格差が大きく開いた一因である(この時はクッシングから湾岸に原油を輸送するためのパイプラインのキャパシティも問題となった)。

もちろん米国は、現在では日量300万バレルを超える原油を輸出する一大産油国に成長しており、以前と比較すれば格段に輸出能力は改善している。なお、主な輸出先はカナダ(59万バレル、韓国(55万バレル)、オランダ(30万バレル)、台湾(24万バレル)、英国(24万バレル)など。

この状態が続くと生産者の破綻が相次ぐことになるため、米政府が戦略備蓄として原油を受け入れる見通しだが、貯蔵量が膨大というわけではないし、貯蔵施設までの輸送の問題も残る。

「ここに空きがあるから、そこに入れておけば」と机上でその理屈は成り立つが、商品の場合あくまで目的地まで運ぶ、という当たり前のことが起きなければならない。

現在の戦略備蓄貯蔵能力は7億1,350万バレル、戦略備蓄量は6億3,497万バレル。数字の上では7,853万バレルの備蓄が可能だ。米エネルギー省はこの4月、7,700万バレルの貯蔵スペースを開放する方針を示しているが、貯蔵設備までの輸送の問題もあり、この問題が片付くにはしばらく時間が掛るだろう。

原油を輸出することを前提とている中東や欧州では、インフラ整備がなされているため、需給調整が行いやすい。しかし、直近のデータでは世界の洋上在庫が増加(主にアジア)しており、2016年の第一次OPECショックの水準をはるかに上回った。

※世界の原油洋上在庫
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/10410.html

このまま生産調整が進まなければ、洋上備蓄のスペースもなくなることが予想され、1.WTIのように欧州・中東原油もマイナス価格で売られる、2.OPECプラス諸国、非OPECプラス諸国の追加減産、もあり得る。

日本はドバイとオマーンの平均価格に産油国が決める調整価格を加えた価格で原油を輸入しているが、現在この調整価格は▲7ドル程度。ドバイが船積み月の月間平均価格ベースで7ドルを下回ると、マイナス価格で購入できることになる。

ただ、長年の関係性もあり、この場合の購入価格は産油国と輸入者の間でマイナスにならないよう調整があるのではないか。

2.については、OPECプラスも「原油の保管場所がない」状態で増産を続ける意味はなく、早晩減産に転じることになるだろう。ただ、「非OPECプラスが減産しないのは不公平だ」と考えているため、経済合理性の観点で生産継続が困難な非OPECプラスの減産進捗が起きてからになると予想される。

となると、減産が遅れ、取引の前提となるドバイやBrentの先物・先渡し価格がマイナス価格状態になる可能性はゼロではない。

現在の価格水準が継続すれば米国やカナダも2割程度、自動的に減産が行われる可能性は高く、結果的に全世界で2割程度の減産になると見ている。

米シェールオイルの生産者のコストは50ドル近辺、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度。現在の価格水準ではほとんどの生産者が利益を確保できない。

価格下落リスクヘッジをしている生産者も、引き受け手がいない原油を保有している訳にも行かないため、操業を停止するところが出てくるだろう。纏まった数の企業破綻が起きるとすれば、ヘッジ期間の目処である3、6、9、12月末。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後の供給」である。今のところ秋から世界の経済活動が回復に向かうというのが楽観的ではあるが、メインシナリオである。

この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

すでに全ての産油国が追加減産を余儀なくされる見込みであるが、実際に減産を行うと稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

逆に、コロナウイルスの感染拡大防止に失敗し、「今年の冬に第二ラウンドに突入」となると需要の回復は難しく、かつ、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、現在の世界各地の減産では不十分となる可能性も充分にあり得る。

さらに影響がよく分からないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、投機的な観点から価格を押しあげよう。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクといえる。

原油価格の変動性は今後、需要が低迷するにも関わらずさらに高まると予想される。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落した。限月交代後の窓埋めの動きが予想されたが、窓を開けたまま大幅に水準を切り下げた。中国の国内生産増加と港湾在庫水準の高さが材料視された。

【石炭価格見通し】

石炭価格は窓埋めの動きがなく、需給バランスの緩和観測で軟調な推移になると考える。ただし過去5年レンジの最低水準まで価格が下落しており、その観点での割安感からの買いが入り、下落余地は限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲3割の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化が、中東情勢を悪化させ供給リスクにつながる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

<<投機・投資要因>>・WTI、Brentともロングが増加、プットが減少。一転、強気のポジションテイクに。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが736,248枚(前週比 +35,774枚)ショートが149,068枚(▲40,737枚)ネットロングは587,180枚(+76,511枚)

Brentはロングが233,999枚(前週比+1,637枚)ショートが99,880枚(▲21,028枚)ネットロングは134,119枚(+22,665枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME市場は総じて堅調な推移となった。コロナウイルスの感染拡大による生産調整や、生産目標の下方修正が相次ぎ、同様にスクラップ回収にも影響が出ており製錬品への需要が増加するとの見方が強まったことが背景。

また、世界的に段階的なロックダウン解除の動きがみられていることも、ドル安を通じて価格を押し上げた。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は底堅い推移になると考える。最大消費国である中国の経済活動が再開し、上海在庫の減少継続が確認されていること、チリ・ペルーなどの生産国でもコロナウイルスの感染拡大が確認され、鉱山生産が減少していること、スクラップ回収にも影響が出ており、製錬品への需要が高まることが背景。

上海在庫は季節性通り減少を継続しており、中国の生産活動の回復に生産者と最終需要者の間でねじれが生じている。

しかし、価格が持続的な上昇になるためには需要の回復が必須。4月に発表された経済統計は、独ZEW景況感指数を除けば正直弱い内容のものが目立っており、持続的な上昇になるにはまだ時間を要すると考えられる。

今のところ、それでも7月~8月頃に世界経済は再稼働を始めるという、希望的観測も含めた見通しをメインシナリオとしているが、経済活動の抑制状態が続いている状況に変わりはなく、あと数ヵ月は通常状態よりも需要が抑制された状態が続くと見られるため、再び非鉄金属価格は下落に転じるだろう。

結局、下値余地が徐々に限定され始め、緩やかに価格は水準を切り上げるが当面、上昇余地は限定される、ということだ。欧米の状況を見るにV字回復は難しいと考える。

基本的に戻りは緩やかなものになると見ているものの、稼働停止となっている鉱山の稼働が速やかに再開されるのか不明であり、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点も先々の価格上昇リスクを強めている。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクだろう。コロナウイルスの影響が長期化する可能性は徐々に高まっている。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・3月の中国製造業PMIは52.0(前月35.7)と大幅な改善となり、好不況の閾値である50を回復。ただし、統計の強制的な不連続性発生により、統計が安定して評価できるようになるには数ヵ月を要する見込み。

生産活動が回復(27.8→54.1)、新規受注も回復しているが(29.3→52.0)、輸出新規受注の回復が緩慢であることを勘案すると(28.7→46.4)、やはり国内向けの回復によるもの。

新規受注在庫レシオも急回復しており、ファンダメンタルズ的には非鉄金属価格を押し上げ(ただし輸出需要の回復が緩慢であり影響は限定)。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整に動いており、供給面で価格を押し上げ(労働力が集まらない、業績悪化に伴う設備投資の減額、採算性悪化に伴う減産など、理由は様々)

(アルミ)Norsk Hydro Husnesアルミプラントの増産をQ320まで先送りアルゼンチン Aluar Puetro Madrynでの生産能力の▲50%を停止

(銅)南米の鉱山生産者(供給の約2割)は需要減と感染拡大防止のため、稼働率の引き下げを余儀なくされている状況Cerro Verde、Los Bronces、Constancia、Las Bambas、Collahuasi、Antaminaなど

(錫)PT Timah、需要の減少で当面錫生産を▲20%~▲30%減らす計画

(亜鉛)NewmontのPenasquito、Pan American SilverのLa Colorada、Grupo MexicoのBuenavistaとSan Martinなどが減産を決定

・3月銅製品生産者稼働状況

 銅線生産者 75.8%(前月34.7%、過去4年平均 82.9%) 銅棒生産者 53.6%(25.9%、75.3%) 銅板生産者 32.6%(59.8%、74.4%) 銅管生産者 76.9%(39.1%、83.3%)

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国固定資産投資は、前年比▲16.1%の8兆4,145億元(1-2月期▲24.5%の3兆3,323億元)と減速感が改善。公的部門は▲12.8%(▲23.1%)とマイナスながらも前月からマイナス幅が縮小、民間部門も▲18.8%(▲26.4%)とマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国不動産開発投資は前年比▲7.7%の2兆1,963億元(1-2月期▲16.3%の1兆115億元)とやはりマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の銅輸入は前年比+13.3%の44万トン(1-2月期85万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比+0.5%の178万トン(377万トン)となった。

銅地金の輸入は過去5年平均程度であるが、米中通商戦争が激化を始めた昨年に比べると高い水準。銅鉱石の輸入は、過去5年の最高水準だった昨年の水準を上回った。

いずれも中国の工業活動が平常状態に戻りつつあることを確認する内容であり、価格の上昇要因。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・4月17日付のLMEロング・ショートポジションは、商品ごとに動きがまちまちとなった。銅は需要の増加(在庫の減少)と供給不足でロング増加、ショートが減少、ニッケルも同様。

その他はロング・ショートとも増加したが、亜鉛、鉛、アルミがロング<ショートで売り越し幅を拡大、錫はロング>ショートだった。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲48.7億ドル(前週▲50.0億ドル)と売り越し幅を縮小した。売り越し額の減少率は▲2.6%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,688千トン(▲1,728千トン)とCME銅とニッケルが売り越し幅を縮小、錫は買い越し幅を拡大。亜鉛、鉛、アルミは売り越し幅が拡大した。ネット売り越しの減少率は▲2.3%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅上昇、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品先物価格はまちまちで小動き。

目立った新規手掛かり材料に乏しい中、方向感に欠ける展開となった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の工場の稼働再開と、インドやブラジルなどの生産国がコロナウイルス対策やそれに伴う需要の減少を受けて、軒並み生産や生産目標を引き下げていることが価格を押し上げるが、コロナウイルスの影響で経済活動停止の状態が継続することは必定であり、現状水準でもみ合うものと考える。

中国河北省の高炉稼働率は4月17日時点で78.1%(前週78.5%)と、これまで改善を続けてきたがここにきて低下、前年水準を回復するに至っていない。

今後、中国以外の国でコロナウイルスの影響が拡大することを考えると、鉄鋼業の景況感の回復にはやはり時間がかかることになると予想される。

中国の鉄鋼製品は例年通り季節的な在庫の取り崩しが始まったが、例年よりも在庫の減少ペースが速い。生産者の供給が十分ではない中、最終需要者の稼働が回復している可能性があることを示唆している。

原料炭は新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が鈍化、鉄鋼需要の伸びも欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は過去5年のレンジを大幅に上抜けしており、足元の需給も緩和している。

しかし、生産側も同様に影響を受けていること、世界的な石炭生産制限の流れを受けて、鉄鉱石とは異なり原料炭価格の中長期見通しは強気である。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・3月の中国鉄鋼業PMIは42.2と前月の36.6から大幅に改善。

生産が回復したことと(31.3→39.3)、原材料在庫が積み上がったこと(29.2→44.9)によるもの。

受注は国内は改善したがむしろ海外向けは減速(新規受注 32.7→38.5、輸出新規受注 42.5→27.3)しており、需要面が価格を下押ししやすい。

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国固定資産投資は、前年比▲16.1%の8兆4,145億元(1-2月期▲24.5%の3兆3,323億元)と減速感が改善。公的部門は▲12.8%(▲23.1%)とマイナスながらも前月からマイナス幅が縮小、民間部門も▲18.8%(▲26.4%)とマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国不動産開発投資は前年比▲7.7%の2兆1,963億元(1-2月期▲16.3%の1兆115億元)とやはりマイナス幅が縮小した。

ただし、前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比+2.3%の647万6,000トンと回復した。ただし前年の水準は米中対立の影響で過去5年の中でもほぼ下限に近く、中国外のロックダウンによる需要減少が顕在化した形。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲79.0万トンの2,096.5万トン(過去5年平均1,250.7万トン)とコロナウイルスの影響で在庫が急増していたが、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが始まっている。

ただし、例年よりも取り崩しのペースは早く、鉄鋼生産者の稼働が最終需要家の回復よりも遅れている可能性があることを示唆している。

・3月の中国の鉄鉱石の輸入量は前年比▲0.6%の8,591万トンとなり、過去5年水準を下回った。鉄鋼製品在庫の高さもあって、鉄鉱石輸入の動きは鈍い。

しかし、在庫日数ベースの港湾在庫の水準は低く一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲60万トンの1億1,795万トン(過去5年平均1億2,416万トン)、在庫日数は▲0.1日の26.7日(過去5年平均 30.4日)と例年と比較して在庫水準が低い状態は続いている。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、一定の鉄鉱石の輸入需要が価格を高止まりさせると考える。

・3月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比+18.5%の2,783万トンと増加し、過去5年レンジを超えた。中国の経済活動の再開を反映したもの。

ただし、石炭輸入動きを占う上で参考になるバルチック海運指数は回復してはいるものの昨年の水準を下回っている。これは主要用途である電力向けの石炭在庫の水準が高いこと、コロナからの回復が緩慢であることを示唆している。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金銀価格は下落した。日欧中銀の追加緩和方針や、ロックダウン解除への期待が高まる中で株価が上昇したことで、安全資産需要が後退したため。実質金利の低下はほとんど影響しなかった。

PGMは下落、特にパラジウムの下げが目立った。ただ固有の材料があったわけではなく、金銀価格の下落局面で、改めてコロナウイルスの影響による需要の減少が強く意識されたようだ。

【貴金属価格見通し】

金銀は高値圏で推移すると考える。コロナウイルスの感染拡大ペースは鈍化しているものの、中国の感染者数が再び増加を始めるなど、不安要素が多いこと、原油価格下落で原油の減産が進むとみられ、原油価格の下落余地が時間経過とともに限定され始めることは、実質金利の低下を通じて価格の上昇要因に。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスクプレミアム)は217ドル(前日引▲4ドル)。コロナ・OPECショック前の水準(250ドル程度)を取り戻した。現在の実質金利で説明可能な価格水準は1,500ドル程度に切り上がっている。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では、金在庫の急増もあって115倍程度が妥当である。関係性が薄れているとはいえCOMEX銀在庫が過去最高水準で推移しているため、しばらくは100倍を超える状態が続くと考えられる。

コロナ・OPECショックによる相場急変で、金価格と銀価格の過去の関係性が完全に崩壊してしまっており、新しい関係性が構築されるまでには時間が掛りそうだ。

PGM価格は、景気の先行きは明確に悪く、少なくともQ220は悪い状態が続きそうであること、株式市場の混乱も続いているためしばらくは軟調地合いの中、神経質なレンジワークを継続することになると考える。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、各国の準備金や市場取引の担保価値がみとめられている金のような安全資産としては認知されていないことによる。

銀価格は上記の通り当面低迷する可能性が高いため、プラチナ価格も低迷するだろう。

パラジウムは、世界的な景気減速に伴う自動車向け需要の減速が価格を下押しするものの、コロナウイルスの感染拡大で南アフリカの鉱山がすべて停止するなど、供給途絶リスクが顕在化しているため、高値圏での推移になると考える。

ただ、Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲20万オンスの供給不足から、+10万オンスの供給過剰に下方修正しており、上限はさらに切り下がったと考えられる。

3月の米自動車販売は年率1,137万台(市場予想 1,270万台、前月 1,683万台)と、急速に悪化している。明らかにコロナウイルスによる消費手控えの影響によるものである。

中国の3月の自動車販売は前年比▲43.3%の143万台(前月代▲79.1%の31.0万台)となり、コロナウイルスの感染拡大防止に伴うロックダウンの影響を強く受けた。

今後、中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻っている訳ではないので、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、その他の中央銀行もこれに追随しており貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

<<特殊要因>>

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(金銀価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが282,263枚(前週比 ▲4,354枚)、ショートが32,692枚(▲1,424枚)、ネットロングは249,571枚(▲2,930枚)、銀が46,688枚(▲1,315枚)、ショートが18,180枚(+731枚)、ネットロングは28,508枚(▲2,046枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが26,475枚(前週比 ▲2,651枚)ショートが11,188枚(▲142枚)、ネットロングは15,287枚(▲2,509枚)

パラジウムが2,189枚(+88枚)、ショートが1,395枚(+110枚)ネットロングは794枚(▲22枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は大幅に下落。エタノール向け需要の減少観測が根強くトウモロコシ価格が下落、大豆も連れ安。小麦も連れ安となった。

しかし、昨日はむしろシカゴ価格の上昇となるような材料が相次いだ。

以前からくすぶっていたが、ロシアが6月末まで穀物の輸出を停止することを発表、4月から6月まで700万トンの穀物輸出割り当てが終了していたが、これが停止することになる見込み。

2020年4月23日時点の米穀物週間輸出検証高は以下の通り。

トウモロコシ 1,078.18千トン(前週比+380.13千トン)大豆 555.75千トン(+4.48千トン)小麦 501.33千トン(▲4.89千トン)

【穀物価格見通し】

穀物価格は総じて軟調な推移になると考える。

トウモロコシは作付け意向面積の増加と、コロナウイルスの感染拡大に伴うエタノール向け需要の減少や原油価格の低迷が価格を下押しするが、同時にエタノール生産者の大幅な減産が見込まれていることが価格を下支え。

大豆はコロナウイルスの影響による輸出減速観測や、トウモロコシのエタノール向け需要の減少に伴う飼料向け需要の増加から、競合飼料の関係にある大豆ミール需要も減少すると見られ軟調に。

小麦はそもそもシカゴの受け渡し可能在庫水準が低く、かつ、コロナウイルスの感染拡大や干ばつの影響で、ロシアがQ220の輸出を制限するとの見方による供給懸念や、欧州・北アフリカ消費者の巣籠需要が価格を押し上げるものの、最終的には小麦供給は帳尻が合うことが多く、トウモロコシ価格が軟調地合いの中で徐々に水準を切り下げる展開を予想する。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、東南アジアでもトウモロコシやイネの大害虫であるツマジロクサヨトウが繁殖、深刻な食糧危機をもたらしている

また、コロナウイルスの影響で播種に必要な人員を確保できない農家が増えており、この作付けの遅れも価格を押し上げるだろう。年後半にかけて、穀物価格の見通しは強気だ。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・4月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが235,020枚(前週比 +3,603枚)、ショートが333,497枚(+28,786枚)ネットロングは▲98,477枚(▲25,183枚)

大豆はロングが181,825枚(+4,691枚)、ショートが98,803枚(+18,593枚)ネットロングは83,022枚(▲13,902枚)

小麦はロングが111,663枚(+3,711枚)、ショートが77,950枚(+3,775枚)ネットロングは33,713枚(▲64枚)

◆本日のMRA's Eye


「石炭価格は夏場に向けて上昇へ」

石炭価格はその他の商品と比較しても、変動性が低く、60ドル台半ばでの推移となっていたが、アジア太平洋地区の石炭価格の指標であるグローバルコール・ニューキャッスル炭価格は50ドル台前半に下落した。

昨年から「新しい季節性」となった中国の冬場の石炭輸入増加が顕在化、3月の石炭輸入は記録的な高水準となった。

これは港湾在庫の水準はコロナ対策に伴う経済封鎖のタイミングでは過去5年の最低水準まで低下したのだが、コロナウイルスの影響がやや沈静化したことを受けて港湾が再稼働し、輸入が増加したことによるものである。

ここにきて下落に転じたのは、1.中国の景況感の悪化、2.中国の国内供給が増えた、3.1.2.の両要因と考えられるが、恐らく1.の影響が大きかろう。

ただ、直近の中国の製造業PMIは顕著な改善となり、閾値の50を上回った。これを素直に解釈すれば中国の経済活動が「拡大局面に転じた」ことになる。

しかし、PMIは「先月と比較した場合の商況」をヒアリングするものであるため、この結果は割り引く必要がある。ところが、3月の鉱工業生産は前年比▲1.1%(市場予想▲6.2%)と市場予想ほどの悪化になっておらず、想定を上回るペースで改善していることが確認されている。

2.については、3月の生産は前年から比べて大幅に増加、前年比+13.0%の3億3,726万トンとなった。3月の中国鉱工業生産の落ち込み度合いが抑制されていることから増産に転じていると見ていたがほぼ予想通りの結果となった。

中国の6大電力保有の石炭在庫は、過去5年の最高水準を上回っているものの、取り崩しが進捗している。これは中国の経済活動が回復しつつあることを示唆するものだ。

ただ、豪州燃料炭先物の価格期間構造を見ると、全ゾーンコンタンゴのままである。このことは、石炭需給がタイト化している訳ではないことを示唆している。

欧州もロックダウンの影響による電力向け需要の減少に加え、環境規制強化に伴う石炭からガスへのシフトの動きから、輸入需要は低迷している。こうした「行き場を失った石炭」のアジア流入は続く見込みであり、豪州炭の上昇圧力を緩和するだろう。

以上を勘案すると、足元、価格が下落しているものの季節要因もあって石炭価格が上昇に転じる可能性は高いが、上昇余地も限られ、価格変動性も低い状態が続く、という結論になる。

見通し難いのが、コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停止で、「青い空ときれいな空気」を世界が取り戻したことだ。

これを是として再生可能エネルギーを促進するべきだ、というリベラル派の主張が通るのか、「環境をある程度犠牲にしなければ、今までの生活を維持できない」とする保守派の主張が通るのか、よくわからないためだ。

表現を変えると、環境活動家のグレタさんの主張が通るのか、そうでないか、の問題となるが、恐らく経済合理性と環境維持の中間を模索するのが答えになるだろう。

しかし、最近の世の中は世論が極端に振れる傾向が強いため、何とも言えない。

ただ、少なくとも確実なのは、天然ガス価格は石炭よりも足元遥かに安く、「経済合理性の観点」からも低炭素燃料を用いるインセンティブが増している点である。天然ガス価格がここまで安い状態は、市場が想定する2030年まで低価格、という状態は長く続かないかもしれない。

◆主要ニュース


・1-3月期中国工業セクター利益 前年比▲36.7%の7,815億元
(1-2月期▲38.3%の4,107億元)
 3月▲34.9%の3,707億元(12月▲6.3%の5,884億元)

・4月ダラス連銀製造業活動 ▲73.7(前月▲70.0)
 生産 ▲62.6(▲65.6)
 新規受注 ▲67.0(▲41.3)
 受注残 ▲25.7(▲22.4)
 完成品在庫 ▲8.8(▲6.5)
 雇用 ▲21.2(▲23.0)

・日銀、追加緩和を決定。国債年間80兆円の保有残高増加のめどを撤廃し、上限を設けず必要に応じて買い入れる。CPと社債の購入金額を増額するほか、新型コロナ対応金融支援特別オペも実施。マイナス0.1%の政策金利とゼロ%程度としている長期金利の誘導目標は維持、ETFとJ-REITの買い入れ額も各々年間12兆円、1,800億円の上限を据え置き。」

・文在寅大統領、「新型コロナ危機を新しい南北協力の機会としたい。」

・欧州当局、コロナウイルスの影響で打撃を受けた企業に対して銀行が融資できるよう、資本要件を緩和する見通し。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・GS、世界の原油市場は早ければ3週間後に貯蔵能力の限界を試し、▲20%の減産が必要になる。

・サウジアラビア、OPECプラスの合意よりも早く減産を開始。

・JP Morgan、「5月と6月にクッシング在庫稼働率が90%に達するのを防ぐには、5月の生産量が▲1MBDとなる必要があり、6月には自然減のほかにさらに▲0.5MBDの減産が必要。」

・世界最大の原油上場投資信託、ユナイテッドステーツ・オイルファンド(USO)、WTI先物6月限のポジションを全て期先限月にロールオーバーする意向。

・アルジェリア アルカブ エネルギー相、「Q220に原油価格は40ドルに達する。」

・イラン ロウハニ大統領と中国 習近平国家主席電話会談、コロナ対応で協力確認。

・イスラエル、シリアの首都ダマスカスを空爆。

【メタル】
・MS、「鉱山生産の崩壊は同価格を下支えし、在庫増加を抑制している。銅スクラップ市場はコロナウイルスの影響で集荷が機能しておらず、需給はタイトに。」

・Antamina鉱山、労働者を検査し210名から陽性反応。

・チリFreeport El Abra銅鉱山、価格急落を受けて処理を▲40%引き下げ、鉱石の処理量は11万トンから6万5,000トンに。275名の労働者を解雇。

・ILZSG、2月 清廉鉛生産 871.5千トン、精錬鉛需要 845.4千トン、+26.1 千トンの供給過剰

・ILZSG、2月 精錬亜鉛生産 1.095千トン、精錬亜鉛需要 964.6千トン、精錬亜鉛需給 +57.9千トンの供給過剰

・Q120Rusal
 アルミ生産 前期比 ▲0.9%の940千トン(前期+0.7%の949千トン)
 販売 ▲17.4%の914千トン(+1.5%1,107千トン)

 アルミナ生産 ▲1.8%の2,013千トン(+4.7%の2,051千トン)
 ボーキサイト生産 ▲11.2%の3,577千トン(+2.0%の4,026千トン)

・中国雲南省、地元企業が銅、アルミ、鉛、亜鉛、錫の在庫保有を支援。備蓄規模は80万トンで1年間保管可能。在庫保管のためには在庫を担保として銀行から融資が可能で10億元を補助金として使用。

・Frist Quantum、2020年銅生産計画 ▲75千トンの830千トン~880千トン、2021年以降 800千トン~850千トン 2022年 800千トン~850千トン

金 280千オンス~300千オンス、2021年以降 280千オンス~300千オンス

ニッケル 15千トン~20千トン、2021年以降 25千トン~28千トン

銅 C1コスト 2,644~3,084ドル、オールインコスト 3,745~4,076ドル

ニッケル C1コスト 10,134~10,575ドル、オールインコスト 1,236~11,897ドル

・Q120 Southern Copper
 銅鉱山生産(自社生産・第三者生産合計) 前年比+9.6%の251,275トン
(前年229,360トン)
 亜鉛鉱山生産 +3.8%の19,263トン(18,550トン)
 精錬亜鉛生産+8.5%の28,560トン(26,332トン)
 銀鉱山生産 +21.6%の5,278千オンス(4,342千オンス)
 精錬銀 +0.8%の3,161オンス(3,134千オンス)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TCMガソリン ( エネルギー )/ +14.15%/ ▲60.47%
2.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ +7.14%/ ▲21.21%
3.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +4.18%/ ▲16.90%
4.SHF錫 ( ベースメタル )/ +3.87%/ ▲3.52%
5.ブラジル・ボベスパ ( 株式 )/ +3.86%/ ▲32.35%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.NYM WTI ( エネルギー )/ ▲24.56%/ ▲79.07%
69.ニューキャッスル炭 ( エネルギー )/ ▲17.35%/ ▲25.41%
68.DME Oman ( エネルギー )/ ▲8.61%/ ▲71.97%
67.ICEガスオイル ( エネルギー )/ ▲6.95%/ ▲68.93%
66.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲6.76%/ ▲69.71%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :24,133.78(+358.51)
S&P500 :2,878.48(+41.74)
日経平均株価 :19,783.22(+521.22)
ドル円 :107.25(▲0.26)
ユーロ円 :116.14(▲0.22)
米10年債 :0.66(+0.06)
中国10年債利回り :2.51(+0.02)
日本10年債利回り :▲0.04(▲0.02)
独10年債利回り :▲0.45(+0.02)
ビットコイン :7,708.12(+174.24)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :76.42(+1.57)
エネルギー :256.17(+11.55)
ベースメタル :23.04(▲1.24)
貴金属 :32.11(▲0.58)
穀物 :21.67(+0.26)
その他農畜産品 :45.54(▲1.04)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :1174.10(▲1.07)
Brent :153.52(+0.67)
米天然ガス :83.82(+3.79)
米ガソリン :154.64(▲0.56)
ICEガスオイル :101.11(+1.65)
LME銅 :25.66(+0.08)
LMEアルミニウム :20.12(▲0)
金 :12.64(▲0.09)
プラチナ :24.91(▲1.47)
トウモロコシ :22.10(+2.36)
大豆 :12.64(▲0.09)

【エネルギー】
WTI :12.78(▲4.16)
Brent :19.99(▲1.45)
Oman :18.90(▲1.78)
米ガソリン :64.83(▲1.29)
米灯油 :61.04(▲3.63)
ICEガスオイル :190.75(▲14.25)
米天然ガス :1.82(+0.07)
英天然ガス :13.14(+0.38)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :19.99(▲1.45)
SPO380cst :119.53(▲6.56)
SPOケロシン :18.79(▲1.73)
SPOガスオイル :23.97(▲1.73)
ICE ガスオイル :25.60(▲1.91)
NYMEX灯油 :70.36(▲1.94)

【貴金属】
金 :1713.99(▲15.61)
銀 :15.21(▲0.04)
プラチナ :765.72(▲2.91)
パラジウム :1931.64(▲102.36)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,190(+48:24.5C)
亜鉛 :1,907(+33:15C)
鉛 :1,631(+5:22.5C)
アルミニウム :1,510(+2:37C)
ニッケル :12,320(+176:64C)
錫 :15,430(+388:81B)
コバルト :29,649(▲13)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5186.00(▲2.00)
亜鉛 :1910.00(+24.00)
鉛 :1636.50(+12.50)
アルミニウム :1507.00(▲7.50)
ニッケル :12235.00(▲15.00)
錫 :15410.00(+500.00)
バルチック海運指数 :665.00(▲7.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :83.72(+0.04)
NYMEX鉄鉱石 :83.96(▲0.02)
NYMEX原料炭スワップ先物 :132.15(▲0.88)
上海鉄筋直近限月 :3,517(+5)
上海鉄筋中心限月 :3,330(▲4)
米鉄スクラップ :295(±0.0)

【農産物】
大豆 :829.00(▲3.25)
シカゴ大豆ミール :285.30(▲2.40)
シカゴ大豆油 :24.99(▲0.06)
マレーシア パーム油 :2050.00(▲71.00)
シカゴ とうもろこし :305.50(▲10.25)
シカゴ小麦 :521.00(▲5.75)
シンガポールゴム :134.70(▲0.80)
上海ゴム :9705.00(±0.0)
砂糖 :9.21(▲0.52)
アラビカ :104.60(▲0.60)
ロブスタ :1122.00(+24.00)
綿花 :53.93(▲1.00)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :56.28(+3.75)
シカゴ生牛 :84.80(▲0.18)
シカゴ飼育牛 :120.40(+0.60)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。