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米経済封鎖解除観測で軒並み上昇
  • MRA商品市場レポート

2020年4月20日 第1730号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米経済封鎖解除観測で軒並み上昇」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:高安まちまち。Brentは中国統計の改善などで上昇、WTIは限月交代前の特殊な動きで下落した。

週明け月曜日は新規手掛かり材料に乏しいため、もみ合うものと考える。ただし、欧米のコロナ禍の影響がやや後退していることや減産観測から徐々に下値が切り上がると予想。

◆非鉄金属:大幅上昇。3月の中国工業生産が市場予想程の悪化ではなかったことや、米国の経済封鎖解除への道筋提示などが材料となった。

週明け月曜日は目立った材料はないが、週末の上げが大きかったことからまず売られると考える。その後、経済活動再開と減産報道を受けて堅調な推移を予想。

◆鉄鋼原料:鉄鉱石・原料炭は小幅上昇、原料炭は中国在庫高水準で下落、鉄鋼製品は小幅上昇となった。中国のGDPや固定資産投資は市場予想より悪化したが、より直近の指標である3月工業生産が市場予想を上回ったことが材料視された。

最大消費国である中国の生産活動再開と、生産者の減産の動きで堅調推移も、需要見通しはネガティブで上昇余地も限定。結局、現状水準でのもみ合いを継続。

◆貴金属:下落。米国の経済活動再開観測とそれを受けた株高・債券安・実質金利が上昇が材料となった。

経済活動再開観測で株をはじめとする景気循環銘柄に上昇圧力が掛かっているため、実質金利上昇を通じて小幅安、PGMは上昇。

◆穀物:目立った材料なく高安まちまち。

米経済活動の再開期待を受けたガソリン向け需要増加期待でトウモロコシ、大豆、小麦ともつれ高。しかし、実際に経済封鎖が解除される訳ではなく、上昇余地は限定。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、安全資産とエネルギーセクターの一角が売られたが、その他は上昇した。中国のGDPが発表され市場予想を下回ったものの、3月の工業生産が市場予想程の悪化ではなかったことや、米トランプ大統領が段階的な経済活動の再開指針を示したことなどが、景気純関係商品の買戻しを誘った。

米国の経済活動再開や、中国の統計は「それほど悪くないのではないか」ということを材料に、記録的な金融緩和と足並みをそろえた財政出動で、「コロナによる売り疲れ」もあり、リスク資産を購入しておくべき、というマインドが高まっているように感じる。

ただ、コロナ問題を背景に経済封鎖は続いており、経済活動が再開したわけではないこと、懸念していたようにこれまで中国が発表してきた数値が信用に足るものではないことが判明したこと、韓国や日本、中国で再発のケースも報告されていることなど、考えている以上にコロナ終息に時間が掛る可能性も意識されており、上値も重いという印象。

なお、現在WTIが10ドル台を付けているが、第二限月の価格は25ドルとなっている。現物需給の緩和はあるが、WTIブル型ファンドの限月交代の影響もあると見られる。

21日の限月交代後にWTI直近限月の水準がジャンプする可能性があるが、それは割り引いてみる必要がある(詳しくはMRA商品市場レポート(有料版)をご参照ください)。

※レポートのお申込みはこちらから
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

※新型コロナウイルスの新規感染者数(更新しました)
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

※Brent・WTIの期間構造(更新しました)
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

【本日の価格見通し総括】

週明け月曜日は目立った新規手掛かり材料に乏しいが、週末の上げが大きかったこともあって一旦売られたのち、米国の経済活動再開期待を織り込む形で景気循環系商品が物色される展開になると見る。結局もみ合いだろう。

ただし、新型コロナウイルスの感染数は、中国の統計数値変更(さらに変更されるかもしれない)もあり、終息したわけではないことから、上昇余地は限定されると考える。

引き続きWTIの期間構造には注目したい。直近限月価格が10ドル台に下落しているが、これは現物の需給が緩和していることや現物の置き場所がないことによるものだ(詳しくは「エネルギー」のコラムをご参照ください)。

しかしこれに加えて、WTIブル型ファンドなどの限月交代前の取引が影響しているとみられる。

通常、投機筋は直近限月を購入し、納会前に第二限月に乗り換えるが、その取引が限月交代日(21日)前に集中しているのだろう(詳しくは2020年4月17日付のMRA商品市場レポート(有料)をご参照ください)。

そのため、21日以降は限月交代で25ドル台にWTIが上昇する可能性が高いが、上記の背景があることは割り引く必要がある。むしろ現在のWTIの「実力」は22~25ドル程度なのではないか。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

週末金曜日に発表された中国の経済統計は、強弱まちまちとなった。コロナウイルスの影響を他国から1~2ヵ月早く受け、他国から1~2ヵ月早く回復した国であるため、その統計が注目されていた。

結果、Q120のGDPは前期比▲9.8%(市場予想の▲6.0%、前期+6.0%)と市場予想を下回り、統計発表以来、初めてのマイナス成長となった。年率に倒した場合のGDP成長は▲33.8%となり、Q220の米GDP見通しの中央値である▲25%をはるかに下回る減速となった。

結果、欧米の景気見通しも恐らく現在市場が予想しているよりも、下振れる可能性がある。

実際、Q120の小売売上高も▲19.0%(▲12.5%、▲20.5%)と大幅に減速、固定資産投資も「不要不急」であるのか前年比▲16.1%(▲15.0%、▲24.5%)と市場予想を下回っている。

しかし、工業生産は▲8.4%(▲10.0%、▲13.5%)、3月単月の工業生産は▲1.1%(▲6.2%)と、市場予想程減速していない。前年比マイナスではあるが、経済活動が市場予想以上に回復していることが確認された。

とはいえ、主要貿易相手国である欧米の経済封鎖が続いていることを考えると、中国共産党が期待するV字回復はほぼ不可能であり、やはり、中国経済の回復は緩やかなものに留まると見ておくべきである。

米国でも経済活動の段階的な解除の指針が示されている。過去、景気後退局面で大統領選挙に勝利したことはなく、明らかに大統領選挙を意識したものであるといえる。

具体的には、第一段階は新規感染者数が14日間減少傾向にある、第二段階はこれをもう一度満たした場合、第三段階に至ると一定の距離を保てば通常の運用に戻ることを可とした。

しかし今回の新型コロナウイルスは未知の部分も多く、これを達成するためには、十分なベッドの確保や感染者の移動の把握の徹底といった再感染拡大防止策が十分に講じられることが前提となるため、この見通し通りになるかどうかはまだわからない。

また、「先行モデル」として期待されていた中国も、外圧を受けて数値に誤り(おそらく隠蔽)があったとして感染者数や死亡者数が増加しており、本当に今回の統計通り中国経済が回復しているかは微妙である。

引き続き、欧米から発表され、信憑性が高いコロナウイルスの感染拡大・終息状況に注目する必要があるだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業・非製造業PMIは大幅な改善となったが、アンケートの取り方が「前月からの商況の変化」であるため、これを額面通りは評価し難い。もう数ヵ月この統計を見ていく必要があるだろう。

それ以上に、今後発表される欧米のPMIの悪化度合いが重要に。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(+3.3%→▲3.0%)ている。ただし2021年には+5.8%への急回復を見込んでいる。

ただこの通りになるためには、コロナウイルス感染拡大終息が必要条件であり、第二次感染拡大となり得る冬場までの終息がなければ、それは難しかろう。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、債券買い入れもジャンク債も対象とするなど、打てる手は出し惜しみなく出しているため、徐々に不安は解消しよう。

ただし、持てる金融政策のカードをほとんど切ってしまったため、今後、不測の事態が発生した場合のリスクは小さくない。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・中国の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた、世界的な経済活動の鈍化長期化(景気循環系商品価格の下落要因、世界の経済構造変化も)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、さらに新型コロナウイルスの感染拡大が終息したのちに、ウイルス問題を受けて対立が激化する可能性も排除できず。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格はまちまちとなった。中国の経済統計が市場予想ほどの減速とならなかったことや、米国の経済活動の段階的な再開期待がBrent価格を押し上げたが、WTIに関しては限月後退に伴う期近の売り・第二限月の買い圧力が強まっている模様であり、期近は10ドル台を維持した。

WTI先物は現物受け渡しが前提に設計されているが、Brentは現物受け渡しを前提に設計されていないため、現在のように現物の保管場所が問題視される局面では価格差が発生しやすい。

すでに原油や石油製品の貯蔵スペースに限界がきており、局地的に原油の価格が極端に下落しているものが目立ってきた。例えば、カナダエドモントン渡しのコンデンセート価格が2ドル台、バッケン原油、カナダ・ノース・スロープ原油も10ドル台前半に下落している。

今後、在庫スペースがない油種の価格は大幅な下落となり、マイナス価格でやり取りされても不自然ではない。

WTIの第二限月は25ドル台であり、来週火曜日の限月後退後はこの水準に復帰する。今後はこの価格差を埋める「窓埋め」の動きがあるかどうかにも注目したい。

【原油価格見通し】

原油価格は世界的な減産の動きと、IMFの見通し悪化をとりあえず織り込んだ形であり、コロナウイルスの感染拡大ペースの減速から、徐々に水準を切り上げる展開を予想する。

ただし、生産調整が速やかに進むとは考え難いこと、景気の回復ペースは緩やかなものに留まる見込みであることから、上昇余地も限定されると考える。

現在の価格水準が継続すれば米国やカナダも2割程度、自動的に減産が行われる可能性は高く、結果的に全世界で2割程度の減産になると見ている。

米シェールオイルの生産者のコストは50ドル近辺であり、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度。

全ての生産者が価格下落リスクヘッジを実施できている訳ではないため、現在の価格水準が継続するならヘッジ未済の生産者は生産停止や破綻に追い込まれると見ている。破綻が起きるとすれば、ヘッジ期間の目処である3、6、9、12月末。これまでは大規模な減産や連鎖破綻はないのではないと考える。

目先懸念すべきは減産が速やかに行われず、在庫として保管できるスペースがなくなり、原油や石油製品価格がさらに下落する展開だ。実際、油種や産地によってはすでに価格がバレル1桁台まで下落している。

減産が十分に起きない場合、高いコストを払って原油を保有するよりは、多少のコストを払ってでも(価格がマイナスになっても)売却したほうが良い、とマイナス価格で取引される可能性もゼロではない。

なお、中東から日本に輸入される原油価格はディスカウントとなっているが、前回のOPECショック時に、価格がマイナスにならないよう輸入者との取り決めがある模様で、マイナス価格で原油が輸入されることはないだろう。

今後を占う上で重要なのが、どのタイミングでコロナウイルス問題が終息するか、OPECプラスの減産幅縮小が始まるか、である。

6月以降の減産規模の縮小については、需要動向が価格を決定するため、減産計画は実態に合わせて随時見直しされるだろう。ただ、世界ではコロナウイルスの新規感染者の増加ペースが減速を始めていることから、6月会合で減産規模は縮小されると予想される。

ただ、この時の減産規模や時期を誤ると、価格が大きく上昇するリスクがある。特に非OPECプラス諸国が減産を行った場合、稼働再開には時間が掛るため、四半期末を越えたタイミングでの感染終息は、価格上昇リスクを高めやすい。米シェール企業でも増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかるためだ。

逆に、コロナウイルスの感染拡大防止に失敗し、「今年の冬に第二ラウンドに突入」となると需要の回復は難しく、かつ、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、▲760万バレルの減産では価格維持に不十分となる可能性も充分にあり得る。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

コロナウイルスの感染拡大動向が価格動向の鍵を握ることは間違いがない。

さらに影響がよく分からないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、投機的な観点から価格を押しあげよう。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクといえる。コロナウイルスの影響が長期化する可能性は徐々に高まっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に上昇した。中国の港湾在庫の増加で価格が下落していたが、中国の生産活動の再開期待が昨日の統計を受けた高まったことで、若干の買戻しが入った。

【石炭価格見通し】

石炭価格はしばらく下値余地を探る動きになると考えている。

季節的に夏場前の不需要期であること、中国の港湾在庫が急増しており過去5年平均を上回ったことが背景。

ただし早晩夏場のピークに差し掛かることや、中国の工場再稼働も緩やかながら始まっていることを考えると今後、季節的な価格上昇はあると考える。とはいえ、回復のペースは緩慢であり上昇余地も限定。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲3割の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化が、中東情勢を悪化させ供給リスクにつながる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

<<投機・投資要因>>

・WTIは4月14日時点でロングが増加、ショートも増加したがネットロングは増加。Brentはロングが増加、OPEC減産見通しでショートが減少。

いずれも需給タイト化を意識した、強気のポジション取りに。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが700,474枚(前週比 +44,703枚)ショートが189,805枚(+18,929枚)ネットロングは510,669枚(+25,774枚)

Brentはロングが232,362枚(前週比+2,751枚)ショートが120,908枚(▲5,088枚)ネットロングは111,454枚(+7,839枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME市場は大幅に上昇した。発表された中国の工業生産や固定資産投資が、前年比大幅なマイナスではあるものの、市場予想ほどの悪化にならなかったことが買い材料となった。

また、コロナウイルスの感染拡大防止のための生産者の生産活動停止が連日報じられており、供給面の制限が意識されていることや、季節性もあるが中国の上海在庫が減少していることも上昇要因となった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は底堅い推移になると考える。企業活動の現在の状況を正確に把握することは困難であるが、最大消費国である中国の経済活動が再開し、上海在庫の減少継続が確認されていること、チリ・ペルーなどの生産国でもコロナウイルスの感染拡大が確認され、鉱山生産が減少していることから。

この時期の在庫減少はある意味季節性通りではあるが、鉛やニッケル、錫などの在庫減少ペースは例年よりも早い。生産者の稼働の遅れと、消費者の工場稼働に差が生じているためと考えられる。

しかし、価格が持続的な上昇になるためには需要の回復が必須。ここまでの価格上昇はどちらかといえば3月末を越えたことで、売りポジションを拡大していた投機の買戻しの動きが強まったことによる、テクニカルな上昇の側面が強い。

今のところ、それでも7月~8月頃に世界経済は再稼働を始めるという、希望的観測も含めた見通しがメインシナリオとなっているが、経済活動の抑制状態が続いている状況に変わりはなく、あと数ヵ月は通常状態よりも需要が抑制された状態が続くと見られるため、再び非鉄金属価格は下落に転じるだろう。

結局、下値余地が徐々に限定され始め、緩やかに価格は水準を切り上げるが当面、上昇余地は限定される、ということだ。

基本的に戻りは緩やかなものになると見ているものの、稼働停止となっている鉱山の稼働が速やかに再開されるのか不明であり、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点も先々の価格上昇リスクを強めている。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクだろう。コロナウイルスの影響が長期化する可能性は徐々に高まっている。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・3月の中国製造業PMIは52.0(前月35.7)と大幅な改善となり、好不況の閾値である50を回復。ただし、統計の強制的な不連続性発生により、統計が安定して評価できるようになるには数ヵ月を要する見込み。

生産活動が回復(27.8→54.1)、新規受注も回復しているが(29.3→52.0)、輸出新規受注の回復が緩慢であることを勘案すると(28.7→46.4)、やはり国内向けの回復によるもの。

新規受注在庫レシオも急回復しており、ファンダメンタルズ的には非鉄金属価格を押し上げ(ただし輸出需要の回復が緩慢であり影響は限定)。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整に動いており、供給面で価格を押し上げ(労働力が集まらない、業績悪化に伴う設備投資の減額、採算性悪化に伴う減産など、理由は様々)

(アルミ)Norsk Hydro Husnesアルミプラントの増産をQ320まで先送りアルゼンチン Aluar Puetro Madrynでの生産能力の▲50%を停止

(銅)南米の鉱山生産者(供給の約2割)は需要減と感染拡大防止のため、稼働率の引き下げを余儀なくされている状況Cerro Verde、Los Bronces、Constancia、Las Bambas、Collahuasi、Antaminaなど

(錫)PT Timah、需要の減少で当面錫生産を▲20%~▲30%減らす計画

(亜鉛)NewmontのPenasquito、Pan American SilverのLa Colorada、Grupo MexicoのBuenavistaとSan Martinなどが減産を決定

・3月銅製品生産者稼働状況

 銅線生産者 75.8%(前月34.7%、過去4年平均 82.9%) 銅棒生産者 53.6%(25.9%、75.3%) 銅板生産者 32.6%(59.8%、74.4%) 銅管生産者 76.9%(39.1%、83.3%)

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国固定資産投資は、前年比▲16.1%の8兆4,145億元(1-2月期▲24.5%の3兆3,323億元)と減速感が改善。公的部門は▲12.8%(▲23.1%)とマイナスながらも前月からマイナス幅が縮小、民間部門も▲18.8%(▲26.4%)とマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国不動産開発投資は前年比▲7.7%の2兆1,963億元(1-2月期▲16.3%の1兆115億元)とやはりマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の銅輸入は前年比+13.3%の44万トン(1-2月期85万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比+0.5%の178万トン(377万トン)となった。

銅地金の輸入は過去5年平均程度であるが、米中通商戦争が激化を始めた昨年に比べると高い水準。銅鉱石の輸入は、過去5年の最高水準だった昨年の水準を上回った。

いずれも中国の工業活動が平常状態に戻りつつあることを確認する内容であり、価格の上昇要因。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・4月10日付のLMEロング・ショートポジションは、総じてロングの買戻しが入り、ネット買い越し幅を拡大下。合わせて生産調整(強制的な鉱山生産停止)が起きている金属のショートが買い戻される動きが続いた。

結果、ネットロングはすべての商品で増加しており、錫はネット買い越しに転じている。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲50.0億ドル(前週▲53.1億ドル)と売り越し幅を縮小した。売り越し額の減少率は▲5.9%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,728千トン(▲1,851千トン)とCME銅以外の売り越し幅が減少した。ネット売り越しの減少率は▲6.7%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅上昇、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品先物価格は小幅な上昇となった。

中国のGDPは市場予想を上回る減速となったが、より直近の3月の工業生産が市場予想を上回ったことが材料となった。原料炭は主要港である京唐港の港湾在庫の水準が高いこともあり、水準を小幅に切り下げた。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の工場の稼働再開と、インドなどの生産国がコロナウイルス対策の影響で鉱山の稼働を停止したり、輸送を停止したりということが顕在化し始めていることが価格を押し上げるが、コロナウイルスの影響で景気減速は必定であり、現状水準でもみ合うものと考える。

中国河北省の高炉稼働率は4月3日時点で77.8%(前週76.8%)と上昇を続けており、中国の工場稼働が回復していることが伺える。

今後、中国以外の国でコロナウイルスの影響が拡大することを考えると、鉄鋼業の景況感の回復にはやはり時間がかかることになると予想される。

中国の鉄鋼製品は例年通り季節的な在庫の取り崩しが始まったが、例年よりも在庫の減少ペースが速い。生産者の供給が十分ではない中、最終需要者の稼働が回復している可能性があることを示唆している。

原料炭は新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が鈍化、鉄鋼需要の伸びも欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は過去5年のレンジを上抜けしており、足元の需給も緩和している。

しかし、生産側も同様に影響を受けていること、世界的な石炭生産制限の流れを受けて、鉄鉱石とは異なり原料炭価格の中長期見通しは強気である。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・3月の中国鉄鋼業PMIは42.2と前月の36.6から大幅に改善。

生産が回復したことと(31.3→39.3)、原材料在庫が積み上がったこと(29.2→44.9)によるもの。

受注は国内は改善したがむしろ海外向けは減速(新規受注 32.7→38.5、輸出新規受注 42.5→27.3)しており、需要面が価格を下押ししやすい。

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国固定資産投資は、前年比▲16.1%の8兆4,145億元(1-2月期▲24.5%の3兆3,323億元)と減速感が改善。公的部門は▲12.8%(▲23.1%)とマイナスながらも前月からマイナス幅が縮小、民間部門も▲18.8%(▲26.4%)とマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国不動産開発投資は前年比▲7.7%の2兆1,963億元(1-2月期▲16.3%の1兆115億元)とやはりマイナス幅が縮小した。

ただし、前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比+2.3%の647万6,000トンと回復した。ただし前年の水準は米中対立の影響で過去5年の中でもほぼ下限に近く、中国外のロックダウンによる需要減少が顕在化した形。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲99.3万トンの2,275.9万トン(過去5年平均1,383.4万トン)とコロナウイルスの影響で在庫が急増していたが、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが始まっている。

ただし、例年よりも取り崩しのペースは早く、鉄鋼生産者の稼働が最終需要家の回復よりも遅れている可能性があることを示唆している。

・3月の中国の鉄鉱石の輸入量は前年比▲0.6%の8,591万トンとなり、過去5年水準を下回った。鉄鋼製品在庫の高さもあって、鉄鉱石輸入の動きは鈍い。

しかし、在庫日数ベースの港湾在庫の水準は低く一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+40万トンの1億1,905万トン(過去5年平均1億2,613万トン)、在庫日数は+0.1日の28.4日(過去5年平均 30.9日)と依然として在庫水準は低い。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、一定の鉄鉱石の輸入需要が価格を高止まりさせると考える。

・3月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比+18.5%の2,783万トンと増加し、過去5年レンジを超えた。中国の経済活動の再開を反映したもの。

ただし、石炭輸入動きを占う上で参考になるバルチック海運指数は回復してはいるものの昨年の水準を下回っている。これは主要用途である電力向けの石炭在庫の水準が高いこと、コロナからの回復が緩慢であることを示唆している。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は下落した。米国の経済活動再開期待がにわかに高まる中で株価が上昇、長期金利が上昇する一方、原油価格が下落したことを受けて実質金利が上昇したことが背景。銀価格も下落、プラチナも金銀に連れ安となった。

パラジウムは金銀価格の下落に押される形となったが、株価上昇が価格を支えた。

【貴金属価格見通し】

金銀は高値圏で推移すると考える。コロナウイルスの感染拡大ペースは鈍化しているものの、中国の感染者数が再び増加を始めるなど、不安要素が多いこと、価格への影響はさほど大きくないと見られるがOPECプラス+αの減産合意で、原油価格の下落余地が限定され始め、実質金利が低下しやすいことが材料。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスクプレミアム)は230ドル(前日比▲15ドル)。コロナ・OPECショック前の水準(250ドル程度)を取り戻しつつある。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください。

3月期末を受けた現金化の動きで金と実質金利の関係が壊れていたが、徐々にこれを取り戻しつつある。現在の実質金利で説明可能な価格水準は1,450ドル程度と、昨日から若干切り下がった。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では、金在庫の急増もあって115倍程度が妥当である。関係性が薄れているとはいえCOMEX銀在庫が過去最高水準で推移しているため、しばらくは100倍を超える状態が続くと考えられる。

コロナ・OPECショックによる相場急変で、金価格と銀価格の過去の関係性が完全に崩壊してしまっており、新しい関係性が構築されるまでには時間が掛りそうだ。

PGM価格は、景気の先行きは明確に悪く、少なくともQ220は悪い状態が続きそうであること、株式市場の混乱も続いているためしばらくは軟調地合いの中、神経質なレンジワークを継続することになると考える。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、各国の準備金や市場取引の担保価値がみとめられている金のような安全資産としては認知されていないことによる。

銀価格は上記の通り当面低迷する可能性が高いため、プラチナ価格も低迷するだろう。

パラジウムは、世界的な景気減速に伴う自動車向け需要の減速が価格を下押しするものの、コロナウイルスの感染拡大で南アフリカの鉱山がすべて停止するなど、供給途絶リスクが顕在化しているため、高値圏での推移になると考える。

ただ、Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲90万オンスの供給不足から、▲20万オンスの供給不足に下方修正しており、上限は切り下がったと考えられる。

3月の米自動車販売は年率1,137万台(市場予想 1,270万台、前月 1,683万台)と、急速に悪化している。明らかにコロナウイルスによる消費手控えの影響によるものである。

中国の2月の自動車販売は前年比▲79.1%の31.0万台となり、年初来の累計も前年比▲42.0%の223.8万台と減少傾向を持続している。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

<<特殊要因>>

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(金銀価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・金銀は、ロング・ショートともが増加し、キャッシュ化の動きが鎮静化。

プラチナはロング・ショートとも減少、パラジウムは小幅な変化に留まった。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが286,617枚(前週比 +6,737枚)、ショートが34,116枚(+3,178枚)、ネットロングは252,501枚(+3,559枚)、銀が48,003枚(+1,532枚)、ショートが17,449枚(+695枚)、ネットロングは30,554枚(+837枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが29,126枚(前週比 ▲1,433枚)ショートが11,330枚(▲208枚)、ネットロングは17,796枚(▲1,225枚)

パラジウムが2,101枚(+39枚)、ショートが1,285枚(▲56枚)ネットロングは816枚(+95枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場はまちまち。週末を控え、トウモロコシは安値で買戻しが入り、大豆は下落、小麦は小幅高となった。

【穀物価格見通し】

穀物価格は高安まちまちになると考える。

トウモロコシは作付け意向面積の増加と、コロナウイルスの感染拡大に伴うエタノール向け需要の減少が価格を下押しするが、同時にエタノール生産者の大幅な減産が見込まれていることが価格を下支え。

大豆はコロナウイルスの影響による輸出減速観測や、トウモロコシのエタノール向け需要の減少に伴う飼料向け需要の増加から、競合関係にある大豆ミール需要も減少すると見られ軟調に。

小麦はそもそもシカゴの受け渡し可能在庫水準が低く、かつ、コロナウイルスの感染拡大や干ばつの影響で、ロシアがQ220の輸出を制限するとの見方による供給懸念や、欧州・北アフリカ消費者の巣籠需要で高値圏を維持すると考える。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、深刻な食糧危機をもたらしており、これに伴う食品需要が増加する場合。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・4月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが231,417枚(前週比 +3,799枚)、ショートが304,711枚(+21,318枚)ネットロングは▲73,294枚(▲17,519枚)

大豆はロングが177,134枚(+12,780枚)、ショートが80,210枚(+8,957枚)ネットロングは96,924枚(+3,823枚)

小麦はロングが107,952枚(+2,117枚)、ショートが74,175枚(+4,080枚)ネットロングは33,777枚(▲1,963枚)

◆本日のMRA's Eye


「食品インフレを警戒」

新型コロナウイルスの影響が世界的に広がり、長期戦の様相を呈してきている。今のところ各国の感染・回復動向を見ていると7月頃に欧米が終息する、というのがやや楽観的かもしれないが現状のメインシナリオとなっている。

しかし、この7月頃の終息を実際に達成しようとすると、かなり苛烈な経済封鎖を行わなければならず、経済的なダメージが大きい。景気循環系の商品である原油、銅やアルミなどをはじめとする工業金属はその代表例であり価格は軒並み下落している。

通常、このような局面でも、穀物価格はあまり影響を受けない。というのも「景気変動の影響を受け難い、非景気循環系商品」だからだ。消費動向は基本的に人口の増減に左右され、価格は気象状況の変化などによる供給面の影響が大きい。しかし、今回の新型コロナウイルス禍は穀物市場に対して、需要・供給の両面で大きな影響を及ぼしている。

このコラムでも取り上げたが、米国のロックダウンに象徴される輸送燃料需要の減少を受けてガソリンの添加剤向けのエタノール需要が急減(予想では150億ガロンの生産能力のうち20億ガロンが減産となる見込み)、エタノール向けのトウモロコシ需要が減少すると見られている。

このため、競合飼料である大豆ミールや小麦需要に影響が出ることが予想される。一時、大豆由来の資料であるDDGsが不足するのでは、との見方も強まったが、足元はむしろ飼料市場需給の緩和が価格を下押ししている状況である。

しかしこの中でコメと小麦は高い価格水準を維持している。コメと小麦に共通して言えるのは「主要用途が人間の主食」である点であり、飼料向けや工業需要が主体であるトウモロコシや大豆とは位置づけが大きく異なる。

コメは、米農務省の見通しでは2019-2020年の輸出比率は8.5%が予想されており、同じ主食の小麦が23.9%であることを考えるとかなり地産地消の傾向が強く、海外情勢の影響を受け難い。

しかし、一大生産地であるアジアでは現在、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためにヒトの移動が制限されているため、生産活動に従事するための人員確保が困難になりつつある。

前述の通り新型コロナウイルス感染拡大防止のための経済封鎖は、広く今年の7月~8月まで継続する見込みであり、コメにとって重要な播種から収穫の時期にかけて十分な人員が確保できない可能性が出てくる。

ただでさえ東南アジアは深刻な干ばつの被害を受けているため、この問題が長期化すれば無視できないリスクとなる。

このような状況であるため、コメは地産地消の商品であるにも関わらず大幅な上昇になっている。ただ、今のところ世界のコメ在庫の水準は高く、米農務省の見通しでは2019-2020年の期初在庫は1億7,571万トンと過去最高水準で、在庫率も2000-2001年以来の37.0%に上昇すると見られている。

コロナ禍が早期に終息すれば、コメ価格の下落幅も大きなものになるだろう。

小麦は豪州の干ばつやロシアが自国消費向けを確保する動きで十分に輸出されないのではないか、との供給側の懸念が価格を押し上げている。また、小麦はコメと同様主食であり、パンやパスタに用いられる。

欧州諸国はコロナウイルスの感染拡大防止のために外出禁止となっている国が多く、自宅で消費するための小麦を備蓄する動きが強まっており、需要面も価格上昇に寄与している。

しかし、小麦もコメと同様、米農務省の需給見通しでは世界の小麦需給は1,468万トンの供給過剰、在庫率も1968-1969年以来の39.0%に達すると見られており統計上は供給過剰である。こちらもコメと同様、コロナ禍が終息すれば急落する可能性は十分にあり得る。

もしコロナ問題が終息せず、十分な人員が確保できずに、生産活動の減速による収穫量の減少、ないしは物流機能のマヒで十分な供給が確保できなかった場合、在庫水準に関わらずコメ・小麦の価格が上昇するリスクは低いとは言えない。

こればかりでなく、既に2018年に中国で拡大した豚コレラは終息しておらず、世界の豚肉の半分を消費している中国では豚肉の小売価格は高騰しており、牛肉や鶏肉の価格も代替需要の増加で上昇している。

また、このコラムでも紹介したが、東アフリカ・中東地区ではサバクトビバッタの影響による食料危機が既に顕在化している。これらを勘案すると、この状況が継続した場合深刻な食品インフレがもたらされる可能性が出てくる。

食品価格の高騰は、特に貧困国の治安悪化をもたらすため、その他の資源価格にも深刻な影響を及ぼす大きなリスクとなり得る。2020年は食品インフレ動向には十分注意する必要が出てきた。

◆主要ニュース


・2月日本鉱工業生産改定  前月比▲0.3%(前月改定+1.9%)、前年比▲5.7%(▲2.4%)
 出荷+1.0%(+0.9%)、▲5.4%(▲3.3%)
 在庫▲1.7%(+2.1%)、+1.6%(+3.6%)

・2月日本第3次産業活動指数 前月比▲0.5%(前月+0.3%)

・2月日本第3次産業活動指数 前月比▲0.5%(前月+0.3%)

・Q120中国実質GDP 年初来 前年比▲6.8%(前期+6.1%)
 前期比▲9.8%(+1.5%)

・1-3月期中国工業生産 前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)、3月▲1.1%

・1-3月期中国固定資産投資 前年比▲16.1%の8兆4,145億元
(1-2月期▲24.5%の3兆3,323億元)
 公的▲12.8%(▲23.1%)、民間▲18.8%(▲26.4%)

・1-3月期中国小売売上高 前年比▲19.0%の7兆8,580億元
(1-2月期▲20.5%の5兆2,130億元)
 3月▲15.8%の2兆6,450億元

・1-3月期中国不動産開発投資 前年比▲7.7%の2兆1,963億元
(1-2月期▲16.3%の1兆115億元)

・3月中国調査失業率 5.9%(前月6.2%)

・2月日本設備稼働率 前月比▲1.8%(前月+1.1%)

・3月欧州新車登録台数 欧州合計 前年比▲51.8%の853,077台
(前月▲7.2%の1,066,794台)
 年初来▲26.3%の3,054,703台(▲7.3%の2,202,010台)

・2月ユーロ圏建設業生産高 前月比▲1.5%(前月+4.0%)
 前年比▲0.9%(+6.9%)

・3月ユーロ圏消費者物価指数 前月比+0.5%(速報比変わらず、前月▲1.0%)前年比+0.7%(±0.0%、+1.2%)、コア指数 +1.0%(±0.0%、+1.2%)

・3月米景気先行指標総合指数 前月比 ▲6.7%(前月改定▲0.2%)

・インド中銀、リバースレポレートを3.75%(▲25bp)に引き下げ、対象を絞った長期レポオペ(TLTRO)で5,000億ルピーの供給も決定。

・ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁(投票権あり・中間派)、「市場の緊張緩和はパンデミックが終了するまで終わらない。」

・セントルイス連銀ブラード総裁(投票権なし・ハト派)、「米経済が直面するシナリオに恐慌も含まれる。」

・リッチモンド連銀バーキン総裁(投票権なし・タカ派)、「4月の米失業率が15%に達しても驚かない。」

・ミネアポリス連銀カシュカリ総裁(投票権あり・ハト派)、「銀行は資金調達と配当停止で経済に貢献を。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数438(前週比▲66)
 ガスリグ 89(前週比▲7)。

・石油連盟 月岡会長、「コロナウイルスの感染拡大により、Q220の石油製品需要は前年比2割程度減少する。ジェット燃料需要は前年比▲7割、ガソリン需要も減少が加速している。保有する在庫が増加していることから、稼働率を引き下げる選択肢が浮上している。6月積み以降の原油調達は、長期契約で決められた調達分を先送りする可能性。」

・ナイジェリア Bonny Light原油価格、12ドルまで下落。原油備蓄施設がないことから投げ売り状態に。

・メキシコ Pemex、「コロナウイルスの影響拡大で余剰ガソリンを保管する場所がない状態。」

【メタル】
・Skorpion亜鉛鉱山、今月末までに鉱山のメンテナンスがあり、400以上の労働者に退職のパッケージを提示。勤続年数ごとに2週間の退職金、長期勤労手当を支給、有給休暇の買取、3ヵ月間の医療費の支払いなどが含まれる。

・Rio Tinto、Q120の鉄鉱石出荷、前年比+5%の7,290万トン。中国の需要が堅調。

・中国ベースメタル貿易統計(3月)、単位:千トン、錫:トン
 精錬銅輸入 358.1(前月比 ▲3.9, 前年比 +29.4)
 銅精鉱 1,928.4(前月比 ▲228.5, 前年比 +465.5)
 銅スクラップ 71.4(前月比 ▲21.1, 前年比 ▲176.1)
 精錬銅輸出 24.4(前月比 +1.1, 前年比 ▲4.3)

 精錬亜鉛輸入 57.5(前月比 +9.9, 前年比 ▲45.7)
 精錬亜鉛輸出 4.8(前月比 ▲7.4, 前年比 +3.5)

 精錬鉛輸入 8.4(前月比 ▲1.3, 前年比 ▲26.4)
 精錬鉛輸出 0.2(前月比 ▲1.3, 前年比 +0.1)

 ニッケル輸入 10.2(前月比 +3.0, 前年比 ▲1.6)
 ニッケル輸出 3.3(前月比 UC, 前年比 +2.8)

 錫輸入 1,010.0(前月比 +585.0, 前年比 +777.0)
 錫輸出 1.0(前月比 ▲158.0, 前年比 ▲191.0)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICEココア ( その他農産品 )/ +6.44%/ ▲6.34%
2.DME Oman ( エネルギー )/ +5.38%/ ▲63.39%
3.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +3.97%/ ▲19.92%
4.LIFFEココア ( その他農産品 )/ +3.76%/ +3.24%
5.欧州排出権 ( 排出権 )/ +3.59%/ ▲11.75%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.NYM WTI ( エネルギー )/ ▲8.05%/ ▲70.08%
69.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲2.15%/ ▲10.52%
68.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ ▲2.07%/ +9.67%
67.銀 ( 貴金属 )/ ▲2.06%/ ▲14.98%
66.金 ( 貴金属 )/ ▲2.03%/ +10.91%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :24,242.49(+704.81)
S&P500 :2,874.56(+75.01)
日経平均株価 :19,897.26(+607.06)
ドル円 :107.54(▲0.38)
ユーロ円 :116.95(▲0.04)
米10年債 :0.64(+0.02)
中国10年債利回り :2.55(+0.05)
日本10年債利回り :0.03(+0.01)
独10年債利回り :▲0.47(+0.00)
ビットコイン :7,060.14(+0.07)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :48.76(▲2.01)
エネルギー :89.14(▲4.96)
ベースメタル :30.55(▲3.47)
貴金属 :50.48(+0.49)
穀物 :22.44(▲2.72)
その他農畜産品 :47.16(▲0.31)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :134.08(▲20.12)
Brent :109.76(▲10.09)
米天然ガス :72.84(+0.92)
米ガソリン :188.87(▲1.62)
ICEガスオイル :67.49(▲3.18)
LME銅 :36.42(▲7.65)
LMEアルミニウム :21.08(▲0.16)
金 :17.59(▲1.54)
プラチナ :45.31(+0.49)
トウモロコシ :14.62(▲3.91)
大豆 :17.59(▲1.54)

【エネルギー】
WTI :18.27(▲1.60)
Brent :28.08(+0.26)
Oman :24.68(+1.26)
米ガソリン :71.07(+0.56)
米灯油 :95.63(+1.00)
ICEガスオイル :275.50(+4.50)
米天然ガス :1.75(+0.07)
英天然ガス :15.36(+0.16)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :28.08(+0.26)
SPO380cst :153.54(▲4.75)
SPOケロシン :28.54(+0.39)
SPOガスオイル :34.79(+0.38)
ICE ガスオイル :36.98(+0.60)
NYMEX灯油 :98.87(+0.67)

【貴金属】
金 :1682.82(▲34.88)
銀 :15.18(▲0.32)
プラチナ :776.65(▲13.18)
パラジウム :2166.32(▲4.59)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,194(+72:18C)
亜鉛 :1,947(+11:13C)
鉛 :1,672(▲21:20.5C)
アルミニウム :1,520(+6:37.5C)
ニッケル :11,967(+241:80C)
錫 :15,167(+62:36B)
コバルト :29,692(▲5)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5210.00(+93.50)
亜鉛 :1951.00(+19.00)
鉛 :1677.00(▲13.50)
アルミニウム :1505.00(▲8.00)
ニッケル :12070.00(+310.00)
錫 :15175.00(+50.00)
バルチック海運指数 :751.00(+25.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :83.32(+0.22)
SGX鉄鉱石 :84.53(+0.18)
NYMEX鉄鉱石 :84.17(+0.13)
NYMEX原料炭スワップ先物 :135.14(▲0.86)
上海鉄筋直近限月 :3,556(+23)
上海鉄筋中心限月 :3,400(+20)
米鉄スクラップ :281(+3.00)

【農産物】
大豆 :832.50(▲4.25)
シカゴ大豆ミール :288.20(▲3.60)
シカゴ大豆油 :26.29(▲0.01)
マレーシア パーム油 :2285.00(+36.00)
シカゴ とうもろこし :322.25(+2.50)
シカゴ小麦 :533.50(+3.75)
シンガポールゴム :138.80(+1.90)
上海ゴム :9770.00(+80.00)
砂糖 :10.37(+0.21)
アラビカ :116.05(▲2.55)
ロブスタ :1151.00(▲17.00)
綿花 :52.77(▲0.02)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :37.93(+0.60)
シカゴ生牛 :94.65(▲0.85)
シカゴ飼育牛 :119.53(+1.28)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。