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米統計悪化で景気循環系商品安い
  • MRA商品市場レポート

2020年4月16日 第1728号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米統計悪化で景気循環系商品安い」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:米経済統計の悪化と原油在庫の増加継続を受けて水準を切り下げ、WTIは20ドル割れで引け。

経済統計の悪化や減産が不十分との見方から基本低水準での推移だが、WTI20ドル割れでは安値拾いの買いも入りやすく、本日は堅調な推移か。

◆非鉄金属:LMEは下落。中国の工場稼働再開と鉱山生産の減少で投機の買戻しが進んだが、IMFの見通し下方修正や米統計の悪化を受けて水準を切り下げた。

3月末越えの資金確保終了に伴う買戻しも一巡、需要見通しの下方修正を受けて再び下落。ただし生産調整進捗で下落余地も限定。

◆鉄鋼原料:小幅安。IMF見通し下方修正や統計悪化で先物主導で水準切下げ。

最大消費国である中国の生産活動再開と、生産者の減産の動きで堅調推移も、需要見通しはネガティブで上昇余地も限定。結局、現状水準でのもみ合いを継続。

◆貴金属:米株下落とそれに伴う長期金利の低下があったが、原油価格下落に伴う実質金利上昇があったため総じて軟調。PGMは株安でパラジウムの下げが顕著。

本日は原油が戻りを試すと見られ、実質金利の低下で上昇余地を探る展開を予想。PGMは株が大幅に下落すると見られ、パラジウムが軟調。

◆穀物:米石油統計でエタノール生産が減少、在庫が大幅に増加したことでトウモロコシ下落、その他の穀物も連れ安。

この数日の下落もあり一旦買戻し。ただし、リスク回避のドル高が進行していること、エタノール需要の減少観測でトウモロコシが安く、大豆・小麦価格にも下押し圧力掛かり、上昇余地は限定。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、その他農産品などの非景気循環系商品と、債券が上昇したが、その他の商品は軒並み水準を切り下げた。

昨日のこのコラムでも指摘したが、株や非鉄金属の戻りは現在のコロナウイルスの感染拡大状況を勘案すると「行き過ぎ」であり、その調整が起きたと考えるのが妥当だろう。

依然として7月~8月頃に終息し(というよりは管理可能な水準まで感染者数が減少して、経済活動を一部再開できる)、そこから景気循環系の商品価格が上昇を始める、というのがメインシナリオではある。

仮にそうならなかったとしても、この四半期の経済活動が劇的に回復することは現在のワクチン開発や特効薬の開発ペースを見てみても、なかなか難しい。

実際、昨日発表された米石油統計では、ガソリン需要が前年比▲31.6%の大幅減となっており引き続き米国の経済活動が回復していないことが確認されている。

金や先進国債券といったいわゆる安全資産、景気にほぼ連動しないその他農産品などを除けば、多くの商品価格が上昇しない状態が続くことになるだろう。

(本日は昨年末の水準と比較しています)

※レポートのお申込みはこちらから
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

【本日の価格見通し総括】

本日も景気循環系商品が売られる流れになると予想する。米統計が減速する可能性が高いため。

ただしこれらの数値の悪化はある程度織り込んでおり(予想している)、経済対策の実施もあってそれほど大幅な調整にはならないと予想される。

トランプ大統領が主宰するG7のテレビ会議が予定されており、各国の協調行動について協議される見込みであるが、特段新しいものは出てこないと予想される。

予定されている統計で注目するべきは米週間新規失業保険申請件数。市場予想は550万件(前週660.6万件)と、引き続き500万件オーダーでの失業者発生が予想されている。

また、景気の先行指標であり、GDPの先行指標でもあるフィラデルフィア連銀景況指数にも注目している。市場予想は▲32.0(前月▲12.7)と大幅な減速が見こまれているが、昨晩のニューヨーク連銀指数の記録的な悪化を考えると、この程度の悪化に留まるかは微妙なところだ。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

コロナウイルスを巡る動きには、「若干の進捗」が見られ始めている。前もって相当きちんと準備をしてきたドイツが、一部の店舗の営業再開を決定した。コロナウイルスの感染者数の増加ペースが減速しているためである。

また、「新規感染者数」ベースでも、中国以外の国で明らかに減少に転じており、このままのロックダウンが続けば当初の期待通り7月か8月頃に管理可能な程度まで落ち着くことが予想される。暗い話ばかりではない。

しかし、それを以って経済活動が完全に元に戻るか、というとそうではないだろう。ワクチンが発見される、一旦感染して抗体を持ったと思われる人が、本当に抗体を有していていわゆる「集団免疫状態」に本当になっているかどうか分からないからだ。

その状態である以上、東京都の言葉を使えば「三密」状態を回避しなければならない状況は継続し、経済活動の本格稼働も無理である。

また、万一の事態に備えて医療機器の整備、特に人工呼吸器や指定病院の拡大、医療従事者の保証拡充による人員確保、なども行っていかなければならない。まだ「戦時」が続くということである。

この危機的な状況を打破するために、政府も国民に一律の現金給付を検討しているようだが、他国と比較するとその金額は小さい。これは、記録的な水準まで積み上がった政府債務、それに伴う財政の顕著な悪化懸念が背景にあるためである(これまでの財政政策が大盤振る舞い過ぎた、ともいえる)。

この状態で来年7月からオリンピックが本当に行えるかどうか、全く不透明である。再度延期もあるのかもしれないが、再び調整するリスクやコスト負担、国の財政状況が悪化していることを考えると、場合によると中止も視野に入れる必要が出てきた。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業・非製造業PMIは大幅な改善となったが、アンケートの取り方が「前月からの商況の変化」であるため、これを額面通りは評価し難い。もう数ヵ月この統計を見ていく必要があるだろう。

それ以上に、今後発表される欧米のPMIの悪化度合いが重要に。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(+3.3%→▲3.0%)ている。ただし2021年には+5.8%への急回復を見込んでいる。

ただこの通りになるためには、コロナウイルス感染拡大終息が必要条件であり、第二次感染拡大となり得る冬場までの終息がなければ、それは難しかろう。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、債券買い入れもジャンク債も対象とするなど、打てる手は出し惜しみなく出しているため、徐々に不安は解消しよう。

ただし、持てる金融政策のカードをほとんど切ってしまったため、今後、不測の事態が発生した場合のリスクは小さくない。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた、世界的な経済活動の鈍化長期化(景気循環系商品価格の下落要因、世界の経済構造変化も)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、さらに新型コロナウイルスの感染拡大が終息したのちに、ウイルス問題を受けて対立が激化する可能性も排除できず。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は下落し、WTIは20ドル割れで引けた。IMFの経済見通しが下方修正され、昨日発表された米経済統計も大幅な悪化、石油統計も市場予想以上に弱気な内容だったことが材料となった。

※米石油統計に関しては、本日のMRA's Eyeをご参照ください。

【原油価格見通し】

原油価格はIMFの見通し下方修正と世界の原油減産が十分ではないとの見方から下値余地を探る展開を予想する。ただしコロナウイルスの感染拡大ペースが鈍化していることや、不十分でも減産が進捗することから、時間経過とともに価格水準は切り上がることになるだろう。

同時に、生産調整が速やかに進むとは考え難いため、上昇余地も限定されると考える。

現在の価格水準が継続すれば米国やカナダも2割程度、自動的に減産が行われる可能性は高く、結果的に全世界で2割程度の減産になるのではないか。

米シェールオイルの生産者のコストは50ドル近辺であり、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度と見られる。

全ての生産者が価格下落リスクヘッジを実施できている訳ではないため、現在の価格水準が継続するならヘッジ未済の生産者は生産停止や破綻に追い込まれると見ている。破綻が起きるとすれば、ヘッジ期間の目処である3、6、9、12月末。これまでは大規模な減産や連鎖破綻はないのではないと考える。

目先懸念すべきは減産が速やかに行われず、「在庫として保管できるスペースがなくなり、原油や石油製品価格がさらに下落する展開だ。実際、油種によってはすでに価格がバレル1桁台まで下落している。

減産が十分に起きない場合、「保管できずに原油がマイナス価格で取引される」可能性もゼロではない(その可能性は、現時点では高くないと見ている)。

今後を占う上で重要なのが、どのタイミングでコロナウイルス問題が終息するか、OPECプラスの減産幅縮小が始まるか、である。

6月以降の減産規模の縮小については、需要動向が価格を決定するため、減産計画は実態に合わせて随時見直しされるだろう。ただ、世界ではコロナウイルスの新規感染者の増加ペースが減速を始めていることから、6月会合で減産規模は縮小されると予想される。

ただ、この時の減産規模や時期を誤ると、価格が大きく上昇するリスクがある。特に非OPECプラス諸国が減産を行った場合、稼働再開には時間が掛るため、四半期末を越えたタイミングでの感染終息は、価格上昇リスクを高めやすい。米シェール企業でも増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかるためだ。

逆に、コロナウイルスの感染拡大防止に失敗し、「今年の冬に第二ラウンドに突入」となると需要の回復は難しく、かつ、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、▲760万バレルの減産では価格維持に不十分となる可能性も充分にあり得る。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

コロナウイルスの感染拡大動向が価格動向の鍵を握ることは間違いがない。

さらに影響がよく分からないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、投機的な観点から価格を押しあげよう。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクといえる。コロナウイルスの影響が長期化する可能性は徐々に高まっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅な下落となった。中国の工場再稼働が始まっているものの、電力会社の石炭在庫水準が高いこともあり、買い意欲は後退しているようだ。

【石炭価格見通し】

石炭価格は中国の経済活動再開で水準を切り上げる展開になると予想する。ただし、再び中国の感染者が増加を始めており、再度、生産活動が抑制される可能性があるため上昇余地は限定されよう。

石炭市場は環境規制の強化トレンドもあって、今後供給が減っていく可能性が高い一方、直ちに石炭火力からLNGやその他の再生可能エネルギーにシフトすることも難しく、しばらくは高止まりすることになるだろう。

結果的に価格変動性は低く、代表銘柄であるNEWCやAPI Coalの変動性は歴史的に見ても極めて低い状況。

このように、石炭市場の流動性が低下していくことが予想されることから、投機資金がさほど入っていないと見られ、需給を反映した価格動向となりやすい。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

(特殊要因)

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化が、中東情勢を悪化させ供給リスクにつながる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

(投機・投資要因)

・WTIは4月7日時点でロングが増加、ショートが減少した。四半期末越えと米経済対策を評価した形。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが655,771枚(前週比 +31,374枚)ショートが170,876枚(▲18,413枚)ネットロングは484,895枚(+49,787枚)

Brentはロングが229,611枚(前週比+9,888枚)ショートが125,996枚(▲37,358枚)ネットロングは103,615枚(+47,246枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME市場は下落した。中国の工場再稼働や生産者の生産停止を受けた需給タイト化観測で買戻しが進んでいたが、IMFの見通し下方修正や昨日発表された米統計の悪化を受けて水準を切り下げる動きとなった。

結局、非鉄金属も景気循環系商品であるため、持続的な価格上昇には景気の回復が必須であるがこれまでの価格上昇は、3月末を越えた投機筋のテクニカルな買戻しによるものと考えるのが妥当だろう。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は底堅い推移になると考える。企業活動の現在の状況を正確に把握することは困難であるが、最大消費国である中国の経済活動が再開し、上海在庫の減少が確認されていること、チリなどの生産国でもコロナウイルスの感染拡大が確認され、鉱山生産が減少していることから。

この時期の在庫減少はある意味季節性通りではあるが、鉛やニッケル、錫などの在庫減少ペースは例年よりも早い。生産者の稼働の遅れと、消費者の工場稼働に差が生じているためと考えられる。

実際、チリの鉱山ではコロナウイルスの感染者が確認されており、終息まで生産停止が続く可能性は高い。

しかし、価格が持続的な上昇になるためには需要の回復が必須。ここまでの価格上昇はどちらかといえば3月末を越えたことで、売りポジションを拡大していた投機の買戻しの動きが強まったことによる、テクニカルな上昇の側面が強い。

今のところ、それでも7月~8月頃に世界経済は再稼働を始めるという、希望的観測も含めた見通しがメインシナリオとなっているが、経済活動の抑制状態が続いている状況に変わりはなく、あと数ヵ月は通常状態よりも需要が抑制された状態が続くと見られるため、再び非鉄金属価格は下落に転じるだろう。

結局、下値余地が徐々に限定され始め、緩やかに価格は水準を切り上げるが当面、上昇余地は限定される、ということだ。

基本的に戻りは緩やかなものになると見ているものの、稼働停止となっている鉱山の稼働が速やかに再開されるのか不明であり、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点も先々の価格上昇リスクを強めている。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクだろう。コロナウイルスの影響が長期化する可能性は徐々に高まっている。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・3月の中国製造業PMIは52.0(前月35.7)と大幅な改善となり、好不況の閾値である50を回復。ただし、統計の強制的な不連続性発生により、統計が安定して評価できるようになるには数ヵ月を要する見込み。

生産活動が回復(27.8→54.1)、新規受注も回復しているが(29.3→52.0)、輸出新規受注の回復が緩慢であることを勘案すると(28.7→46.4)、やはり国内向けの回復によるもの。

新規受注在庫レシオも急回復しており、ファンダメンタルズ的には非鉄金属価格を押し上げ(ただし輸出需要の回復が緩慢であり影響は限定)。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整に動いており、供給面で価格を押し上げ(労働力が集まらない、業績悪化に伴う設備投資の減額、採算性悪化に伴う減産など、理由は様々)

(アルミ)Norsk Hydro Husnesアルミプラントの増産をQ320まで先送りアルゼンチン Aluar Puetro Madrynでの生産能力の▲50%を停止

(銅)南米の鉱山生産者(供給の約2割)は需要減と感染拡大防止のため、稼働率の引き下げを余儀なくされている状況Cerro Verde、Los Bronces、Constancia、Las Bambas、Collahuasiなど

(錫)PT Timah、需要の減少で当面錫生産を▲20%~▲30%減らす計画

(亜鉛)NewmontのPenasquito、Pan American SilverのLa Colorada、Grupo MexicoのBuenavistaとSan Martinなどが減産を決定

・3月銅製品生産者稼働状況

 銅線生産者 75.8%(前月34.7%、過去4年平均 82.9%) 銅棒生産者 53.6%(25.9%、75.3%) 銅板生産者 32.6%(59.8%、74.4%) 銅管生産者 76.9%(39.1%、83.3%)

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の銅輸入は前年比+13.3%の44万トン(1-2月期85万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比+0.5%の178万トン(377万トン)となった。

銅地金の輸入は過去5年平均程度であるが、米中通商戦争が激化を始めた昨年に比べると高い水準。銅鉱石の輸入は、過去5年の最高水準だった昨年の水準を上回った。

いずれも中国の工業活動が平常状態に戻りつつあることを確認する内容であり、価格の上昇要因。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

(投機・投資要因)

・4月10日付のLMEロング・ショートポジションは、総じてロングの買戻しが入り、ネット買い越し幅を拡大下。合わせて生産調整(強制的な鉱山生産停止)が起きている金属のショートが買い戻される動きが続いた。

結果、ネットロングはすべての商品で増加しており、錫はネット買い越しに転じている。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲50.0億ドル(前週▲53.1億ドル)と売り越し幅を縮小した。売り越し額の減少率は▲5.9%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,728千トン(▲1,851千トン)とCME銅以外の売り越し幅が減少した。ネット売り越しの減少率は▲6.7%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅下落、原料炭スワップ先物は変わらず、中国鉄鋼製品先物価格は下落した。

中国の工場再稼働を受けてこの数日間上昇してきたが、IMFの経済見通しが下方修正されたこともあり、先物は水準を切り下げた。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の工場の稼働再開と、インドなどの生産国がコロナウイルス対策の影響で鉱山の稼働を停止したり、輸送を停止したりということが顕在化し始めていることが価格を押し上げるが、コロナウイルスの影響で景気減速は必定であり、現状水準でもみ合うものと考える。

中国河北省の高炉稼働率は4月3日時点で77.8%(前週76.8%)と上昇を続けており、中国の工場稼働が回復していることが伺える。

今後、中国以外の国でコロナウイルスの影響が拡大することを考えると、鉄鋼業の景況感の回復にはやはり時間がかかることになると予想される。

中国の鉄鋼製品は例年通り季節的な在庫の取り崩しが始まったが、例年よりも在庫の減少ペースが速い。生産者の供給が十分ではない中、最終需要者の稼働が回復している可能性があることを示唆している。

中期的にはValeの生産が増加する見込みであり、コロナウイルスの影響が終息すればそれが本格化するとみられることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が鈍化、鉄鋼需要の伸びも欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。

しかし、生産側も同様に影響を受けていること、世界的な石炭生産制限の流れを受けて、鉄鉱石とは異なり原料炭の価格中期見通しは強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・3月の中国鉄鋼業PMIは42.2と前月の36.6から大幅に改善。

生産が回復したことと(31.3→39.3)、原材料在庫が積み上がったこと(29.2→44.9)によるもの。

受注は国内は改善したがむしろ海外向けは減速(新規受注 32.7→38.5、輸出新規受注 42.5→27.3)しており、需要面が価格を下押ししやすい。

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。

公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比+2.3%の647万6,000トンと回復した。ただし前年の水準は米中対立の影響で過去5年の中でもほぼ下限に近く、中国外のロックダウンによる需要減少が顕在化した形。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲99.3万トンの2,275.9万トン(過去5年平均1,383.4万トン)とコロナウイルスの影響で在庫が急増していたが、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが始まっている。

ただし、例年よりも取り崩しのペースは早く、鉄鋼生産者の稼働が最終需要家の回復よりも遅れている可能性があることを示唆している。

・2月の中国の鉄鉱石の輸入量は前年比▲0.6%の8,5914万トンとなったが、過去5年水準を下回った。鉄鋼製品在庫の高さもあって、鉄鉱石輸入の動きは鈍い。

しかし、在庫日数ベースの港湾在庫の水準は低く一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+40万トンの1億1,905万トン(過去5年平均1億2,613万トン)、在庫日数は+0.1日の28.4日(過去5年平均 30.9日)と依然として在庫水準は低い。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、一定の鉄鉱石の輸入需要が価格を高止まりさせると考える。

・3月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比+18.5%の2,783万トンと増加し、過去5年レンジを超えた。中国の経済活動の再開を反映したもの。

ただし、石炭輸入動きを占う上で参考になるバルチック海運指数は回復してはいるものの昨年の水準を下回っている。これは主要用途である電力向けの石炭在庫の水準が高いこと、コロナからの回復が緩慢であることを示唆している。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は下落した。米統計の悪化を受けて株価が下落、長期金利も低下したが、原油価格の急落を受けて期待インフレ率が低下、実質金利が上昇したことが金価格を下押しした。金価格の下落局面では銀価格の下落が顕著になる傾向が強い。

PGMは金価格の下落を受けて下落、パラジウムは株価の調整もあって大幅な下落となった。

【貴金属価格見通し】

金銀は高値圏で推移すると考える。コロナウイルスの感染拡大ペースは鈍化しているものの、中国の感染者数が再び増加を始めるなど、不安要素が多いこと、影響はさほど大きくないと見られるがOPECプラスが減産で合意し、原油価格の下落余地が限定され始め、実質金利が低下しやすいことが材料。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスクプレミアム)は202ドル(前日比変わらず)。コロナ・OPECショック前の水準(250ドル程度)を取り戻しつつある。

※毎日回帰分析をアップデートリスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください。

3月期末を受けた現金化の動きで金と実質金利の関係が壊れていたが、徐々にこれを取り戻しつつある。現在の実質金利で説明可能な価格水準は1,500ドル程度と、米低金利政策の影響で下限が切り上がっている。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では90倍、ヒストリカルに見れば80倍程度が妥当。

関係性が薄れているとはいえCOMEX銀在庫が過去最高水準で推移しているため、しばらくは100倍を超える状態が続くと考えられる。

コロナ・OPECショックによる相場急変で、金価格と銀価格の過去の関係性が完全に崩壊してしまっており、新しい関係性が構築されるまでには時間が掛りそうだ。

弊社は価格動向分析に生産コストを用いることを是としていない。というのも、過去に生産コスト近辺で価格が推移したことがないためである。

しかし、この状況になるとよりどころとなる情報が少なく、全く無視するわけにもいかない。

Silver Instituteの過去データを参考にすると、現在、銀生産のオールインコストは10ドル/オンス程度まで低下していると考えられる。急落局面での下値目処として、少し頭に置いておくのが良い。

PGM価格は、景気の先行きは明確に悪く、少なくともQ220は悪い状態が続きそうであること、株式市場の混乱も続いているためしばらくは軟調地合いの中、神経質なレンジワークを継続することになると考える。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、各国の準備金や市場取引の担保価値がみとめられている金のような安全資産としては認知されていないことによる。

銀価格は上記の通り当面低迷する可能性が高いため、プラチナ価格も低迷するだろう。

パラジウムは、世界的な景気減速に伴う自動車向け需要の減速が価格を下押しするものの、コロナウイルスの感染拡大で南アフリカの鉱山がすべて停止するなど、供給途絶リスクが顕在化しているため、高値圏での推移になると考える。

ただ、Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲90万オンスの供給不足から、▲20万オンスの供給不足に下方修正しており、上限は切り下がったと考えられる。

3月の米自動車販売は年率1,137万台(市場予想 1,270万台、前月 1,683万台)と、急速に悪化している。明らかにコロナウイルスによる消費手控えの影響によるものである。

中国の2月の自動車販売は前年比▲79.1%の31.0万台となり、年初来の累計も前年比▲42.0%の223.8万台と減少傾向を持続している。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

金銀プラチナは、ロングが減少、ショートが増加。弱気のポジションに。

パラジウムはロング・ショートとも減少した。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが279,880枚(前週比 ▲7,649枚)、ショートが30,938枚(+2,258枚)、ネットロングは248,942枚(▲9,907枚)、銀が46,471枚(▲579枚)、ショートが16,754枚(+582枚)、ネットロングは29,717枚(▲1,161枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが30,559枚(前週比 ▲492枚)ショートが11,538枚(+335枚)、ネットロングは19,021枚(▲827枚)

パラジウムが2,062枚(▲205枚)、ショートが1,341枚(▲14枚)ネットロングは721枚(▲191枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は下落した。

リスク回避のドル高の動きが続く中で水準を切り下げたが、米石油統計でエタノール生産の減少が続き、在庫も大幅に増加したことで、エタノール向けの需要減少観測が強まったことが背景。

大豆や小麦も競合飼料であるトウモロコシ価格の下落に押される形となった。

【穀物価格見通し】

穀物価格は高安まちまちになると考える。

トウモロコシは作付け意向面積の増加と、コロナウイルスの感染拡大に伴うエタノール向け需要の減少が価格を下押しするが、同時にエタノール生産者の大幅な減産が見込まれていることが価格を下支え。

大豆はコロナウイルスの影響による輸出減速観測や、トウモロコシのエタノール向け需要の減少に伴う飼料向け需要の増加から、競合関係にある大豆ミール需要も減少すると見られ軟調に。

小麦はそもそもシカゴの受け渡し可能在庫水準が低く、かつ、コロナウイルスの感染拡大や干ばつの影響で、ロシアがQ220の輸出を制限するとの見方による供給懸念や、欧州消費者の巣籠需要で高値圏を維持すると考える。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、深刻な食糧危機をもたらしており、これに伴う食品需要が増加する場合。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・4月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが227,618枚(前週比 ▲7,737枚)、ショートが283,393枚(+9,102枚)ネットロングは▲55,775枚(▲16,839枚)

大豆はロングが164,354枚(+6,325枚)、ショートが71,253枚(+2,635枚)ネットロングは93,101枚(+3,690枚)

小麦はロングが105,835枚(▲1,180枚)、ショートが70,095枚(+7,942枚)ネットロングは35,740枚(▲9,122枚)

◆本日のMRA's Eye


「米経済活動は低迷~米石油統計の重要性」

昨日発表された米石油統計は、原油が市場予想比弱気、ガソリンがやや強気、ディスティレートが弱気な内容となった。ただ、総じて弱気な内容であることは間違いない。

原油は生産が12.3MBDと減少(前週比▲0.1MBD)、輸入が減少(▲0.2MBD)、稼働率は大幅に低下(▲6.5%)、在庫は+19.2MBの増加と、過去最大の在庫増加となった。処理量で在庫の数量を割った在庫日数は38.4日(+4.3日)と過去5年レンジを大幅に上回る水準となっている。

※MB=100万バレル、MBD=100万バレル/日

注目すべきは原油の生産がこの価格水準でもまだ、減少していないこと。価格下落リスクヘッジや、コスト削減によって対応しているものと考えられるが、倉庫の保管スペースが限定されることを考えると、早晩減産に転じるものと予想される。

WTIの価格に対する説明力が高いクッシング在庫は+5.7MBB(前週+6,4MB)の増加となり、合計は54.9MBとなった。

昨年9月末時点のクッシングのタンクキャパシティは76.1MBであるため、現在のタンク稼働率は単純計算で72.2%に達している。ロサンゼルスが都市封鎖を開始した3月19日の直前、3月13日のタンク使用率が50.5%であり、1ヵ月で使用率が21.7%も上昇している。

今後、減産が進むため同じ議論はできないが、このペースで増加すればあと1ヵ月半程度でクッシングのタンクが貯蔵許容量を超えることになる。

WTIはクッシングで受け渡しされる原油の価格を指すため、この地区の在庫増加は価格の下押し圧力を高め、さらに減産を加速させると予想される。ただ、この状況にあっても明確な減産が確認されていないため、OPECプラスと非公式で合意している▲2.0MBDの減産にはまだ時間が掛ることになるだろう。

ガソリンは生産が増加(+0.1MBD)、輸入が減少(▲0.1MBD)した。しかし注目のガソリン出荷(需要)は前週比▲1.2MBDの6.4MBDと、過去5年レンジを大幅に下回り、前年比でみた場合の需要の減少は▲31.6%に達した。

統計は1週間の遅れがあるが(今回の統計は4月10日時点のもの)、米国の輸送需要の減少は継続しているようだ。ただ、トラックなどの輸送に主に用いられるディーゼルの出荷は前年比▲8.0%の3.6MBDと「ガソリン対比で小幅な」減少にとどまっている。

これは生活必需品の輸送需要が底堅いことを示唆している。仮にこの数値まで顕著な減少となればそれは由々しき事態といえる。

ガソリンの在庫は前週比+4.9MBの262.2MBとなり、在庫日数も輸出向け需要も含み、36.6日と過去5年レンジをはるかに超えている(最大は25.0日)。

当面、ガソリン需給は緩和した状態が続き、ガソリンの原油に対するスプレッド(クラック・スプレッド)は弱含むものと予想され、石油製品の生産調整、それに伴う原油需要の減少は続くだろう。

ただ、この状態が続くとさらに生産調整が進むため、クラック・スプレッドも上昇すると予想される。

また、同時に発表された米エタノール生産は570KBD(前週672KBD)とやはり大幅な減少、在庫も27.5MB(27.1MB)と増加している。輸送燃料需要の減少でエタノール需要の減少は続くことになるだろう。

引き続き、米国経済の「実態」を把握する上でこの石油統計の分析は有効であり、今まで以上に重要になっている。今後もMRA's Eyeでも定期的にフォローして行きたいと考えている。

◆主要ニュース


・3月インド卸売物価指数 前年比+1.00%(前月+2.26%)

・3月インド貿易収支 ▲97億6,000万ドルの赤字
(前月▲98億5,000万ドルの赤字)
 輸出 前年比▲34.6%(+2.9%)
 輸入▲28.7%(+2.5%)

・3月対中直接投資 前年比▲14.1%の817.8億元(前月▲25.6%の468.3億元)

・3月米小売売上高 前月比 ▲8.7%(前月▲0.4%)
 除く自動車▲4.5%(▲0.4%)
 除く自動車ガソリン▲3.1%(▲0.2%)
 除く自動車・建材+1.7%(▲0.2%)

・4月ニューヨーク連銀製造業景況感指数 ▲78.2(前月▲21.5)
 新規受注 ▲66.3(▲9.3)
 受注残 ▲16.8(1.4)
 在庫水準 ▲9.7(5.8)
 雇用者数 ▲55.3(▲1.5)
 6ヵ月先景況指数 7.0(1.2)

・3月米鉱工業生産 前月比▲5.4%(前月改定+0.5%)
 設備稼働率 72.7%(77.0%)

・3月米製造業生産 前月比▲6.3%(前月改定▲0.1%)

・2月米企業在庫 前月比▲0.4%(前月▲0.3%)
 企業売上高▲0.5%(+0.5%)
 売上高在庫比率 1.37ヵ月(1.37ヵ月)

 製造業在庫▲0.4%(▲0.3%)
 製造業売上高▲0.2%(▲0.6%)
 売上高在庫率1.40ヵ月(1.40ヵ月)

 小売在庫▲0.3%(▲0.1%)
 小売売上高▲0.5%(+0.7%)
 小売売上高在庫率 1.42ヵ月(1.42ヵ月)

 卸売在庫▲0.7%(▲0.6%)
 卸売売上高▲0.8%(+1.3%)
 在庫率 1.31ヵ月(1.31ヵ月)

・4月米NAHB住宅市場指数 30(前月 72)

・韓国総選挙、与党が過半数を獲得し圧勝。

・ドイツ、コロナ規制を緩和、20日から広さが800平方メートル以下の小・中規模の商店の営業再開を認める。

・インド、ロックダウン期間を5月3日まで延長。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油+19.2MB(クッシング+5.7MB)
 ガソリン+4.9MB
 ディスティレート+6.3MB
 稼働率▲6.5

 原油・石油製品輸出 9,019KBD(前週比▲16KBD)
 原油輸出 3,319KBD(▲235KBD)
 ガソリン輸出 758KBD(+38KBD)
 ディスティレート輸出 1,408KBD(+57KBD)
 レジデュアル輸出 70KBD(▲5KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,269KBD(+142KBD)
 その他石油製品輸出 1,981KBD(+20KBD)

・IEA月報
 世界石油需要 Q120:93.3、Q220:76.1、Q320:95.0、Q420:97.6、2020:90.5
 非OPEC供給(含むNGLs) Q120:66.7、Q220:62.4、Q320:62.2、Q420:61.7、2020:63.2
 Call on OPEC Q120:26.6、Q220:13.7、Q320:32.8、Q420:35.9、2020:27.3
※需要見通し大幅下方修正で、2020年のCall on OPEC大幅減少。

・IEA、「OPECプラスの1,000万バレルの減産では市場安定に不十分。供給過剰を吸収する備蓄設備も年央には使いつくされる。」

【メタル】
・豪州週間鉄鉱石輸出 1,620万トン(前週1,970万トン)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ +2.56%/ ▲7.32%
2.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ +2.24%/ ▲17.62%
3.CBT大豆ミール ( 穀物 )/ +1.63%/ ▲2.57%
4.DME Oman ( エネルギー )/ +1.56%/ ▲65.26%
5.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ +1.26%/ +11.42%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲11.06%/ ▲66.24%
69.TCMガソリン ( エネルギー )/ ▲6.94%/ ▲54.73%
68.ICEガスオイル ( エネルギー )/ ▲6.71%/ ▲57.53%
67.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲6.45%/ ▲58.05%
66.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲5.41%/ ▲52.75%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :23,504.35(▲445.41)
S&P500 :2,783.36(▲62.70)
日経平均株価 :19,550.09(▲88.72)
ドル円 :107.46(+0.24)
ユーロ円 :117.24(▲0.49)
米10年債 :0.63(▲0.12)
中国10年債利回り :2.53(▲0.02)
日本10年債利回り :0.01(▲0.02)
独10年債利回り :▲0.47(▲0.09)
ビットコイン :6,752.45(▲120.96)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :52.38(▲1.31)
エネルギー :101.61(+0.62)
ベースメタル :34.74(▲4.19)
貴金属 :51.80(▲3.26)
穀物 :25.65(▲0.12)
その他農畜産品 :46.93(▲1)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :183.19(▲0.77)
Brent :131.08(+1.21)
米天然ガス :72.72(+1.36)
米ガソリン :194.62(▲0.29)
ICEガスオイル :77.54(+3.35)
LME銅 :43.92(▲4.49)
LMEアルミニウム :20.98(▲0.02)
金 :18.95(+0.17)
プラチナ :51.62(▲5.4)
トウモロコシ :20.22(▲1.37)
大豆 :18.95(+0.17)

【エネルギー】
WTI :19.87(▲0.24)
Brent :27.69(▲1.91)
Oman :23.42(+0.36)
米ガソリン :72.04(+0.04)
米灯油 :91.38(▲3.04)
ICEガスオイル :260.75(▲18.75)
米天然ガス :1.60(▲0.05)
英天然ガス :14.68(▲0.84)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :27.69(▲1.91)
SPO380cst :156.16(▲17.74)
SPOケロシン :27.56(▲0.48)
SPOガスオイル :33.91(+0.53)
ICE ガスオイル :35.00(▲2.52)
NYMEX灯油 :96.18(▲1.04)

【貴金属】
金 :1717.03(▲9.94)
銀 :15.46(▲0.29)
プラチナ :777.88(▲3.32)
パラジウム :2179.46(▲50.68)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,086(▲65:31C)
亜鉛 :1,922(+2:13.5C)
鉛 :1,687(▲21:22.5C)
アルミニウム :1,508(+12:38C)
ニッケル :11,795(▲8:83C)
錫 :15,273(▲80:67B)
コバルト :29,700(▲6)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5111.50(▲77.00)
亜鉛 :1927.00(▲3.00)
鉛 :1698.00(▲5.50)
アルミニウム :1512.00(▲3.00)
ニッケル :11770.00(▲135.00)
錫 :15130.00(▲330.00)
バルチック海運指数 :679.00(+44.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :84.54(▲0.35)
NYMEX鉄鉱石 :84.22(▲0.03)
NYMEX原料炭スワップ先物 :136(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,420(▲50)
上海鉄筋中心限月 :3,380(▲13)
米鉄スクラップ :278(▲2.00)

【農産物】
大豆 :842.00(▲5.00)
シカゴ大豆ミール :292.20(+4.70)
シカゴ大豆油 :26.55(▲0.19)
マレーシア パーム油 :2312.00(±0.0)
シカゴ とうもろこし :319.25(▲6.75)
シカゴ小麦 :540.25(▲8.50)
シンガポールゴム :137.00(+3.00)
上海ゴム :10000.00(±0.0)
砂糖 :10.16(+0.11)
アラビカ :120.20(+3.00)
ロブスタ :1169.00(+10.00)
綿花 :52.75(+0.24)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :45.60(▲0.05)
シカゴ生牛 :94.73(+1.03)
シカゴ飼育牛 :115.80(▲0.60)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。