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新規手掛かり材料に乏しく、調整売買主体
  • MRA商品市場レポート

2020年4月9日 第1723号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「新規手掛かり材料に乏しく、調整売買主体」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:米石油統計を受けて下落していたが、開催が危ぶまれていたOPECプラス会合の開催に関し、アルジェリアの石油相が前向きな発言をしたことで引けにかけて買いが入った。

本日もOPECプラス会合を睨んだ動きで神経質な動き。今のところ合意するとの見方が価格を押し上げているが、充分な減産幅が確保できるとは考え難く上昇余地は限定。

◆非鉄金属:この数日の投機の買戻しが一巡し、景気の先行き懸念が意識されている情況に変わりはないため戻り売りに押された形。

状況は大きく変化しておらず、需要見通しが暗いこと、同時に生産調整も起きていることから現状水準でもみ合うと予想。

◆鉄鋼原料:上昇。武漢の封鎖が解除されたことや、中国高炉の稼働率上昇が材料になった。しかし実のところ前日下落も反動に伴う買戻しという方が適当だろう。

新規手掛かり材料に乏しいが、中国の工場再稼働とそれに伴う在庫日数の低下で在庫積み圧力で堅調。原料炭、鉄鋼製品は小動きか。

◆貴金属:株価上昇を受けた長期金利の上昇、実質金利の上昇で総じて軟調。昨日の予想通り調整売りに押された形。

新規材料に乏しく、昨日の下落もあるため本日は広く買い戻される見込み。ただしOPEC会合が決裂すれば下落、予想を上回る合意となれば上昇すると見る。

◆穀物:下落。米石油統計でエタノール生産が激減したことで、エタノール向けのトウモロコシ需要減少観測が広がったことが背景。

昨日の下落が大きかったこともあり、本日は買戻しで上昇。ただしエタノール需要減少観測がトウモロコシ価格を押し下げるため、余地は限定。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、昨日売られた商品が買い戻され、買われた商品が売られる流れとなった。

欧米の新型コロナウイルス対策が奏功し、新規感染者数の増加ペースが鈍化したことを受け、市場参加者のセンチメントが好転しているものの、景気の先行き懸念が払しょくされたわけではないため、結局レンジワークが継続している。

昨日発表された米石油統計は、米国の輸送需要が大幅に減少していることを確認する内容となった。弊社は輸送需要の減少を前年比▲10%程度、と見積もっているが昨日の米ガソリン出荷は前年比▲19.3%と大幅な減少となっている。

一方で、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は、「新型コロナウイルスとの戦いにおいて、状況は来週にでも好転する可能性がある」と発言、トランプ大統領も早期の経済活動再開を示唆しており、夏頃の回復が徐々に「期待」されつつある。

※レポートのお申込みはこちらから
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

※新型コロナウイルスの新規感染者数
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

【本日の価格見通し総括】

本日の注目はOPEC会合。今のところOPECプラスで1,000万バレルの減産が見込まれているようだ。ただし、昨日の市場動向総括のところでも示したように、米国の需要は前年比で▲20%の減少となっている。

現在、世界の3分の2の国で移動制限が起きており、これらの国で米国と同様の移動制限が起きたとすれば日量1億バレルの需要が▲1,500万バレル減少してもおかしくない。

結果、1,000万バレルの減少では十分とは言えず、恐らく価格を下支えする程度に留まるだろう。ただ原油価格の下落に歯止めが掛かれば、株やその他のリスク資産にはプラスの効果があると見る。良くも悪くも、原油価格が「経済状態を知る上でのメルクマール」としての地位を獲得したのは事実であるからだ。

予定されている材料としては、即時性のある統計として米週間新規失業保険申請件数に注目している。市場予想は550万件(前週664.8万件)。3週合計するとすでに失業者は1,500万人に及ぶことになる。早晩、失業率は10%まで上昇することになるだろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日は目立った材料がなかったが、欧米は日本から見れば苛烈な都市封鎖を行った結果、WHO公表の統計では、新規感染者数の増加ペースが鈍化していることが確認されるに至った。

この増加ペースの鈍化が持続的なものになるかは現時点ではよくわからないが、過去のSARSや、中国でのコロナウイルス感染拡大時の価格のリアクションを見ると、

1.新規感染者の増加ペースが鈍化する2.新規感染者数が減少する3.新規感染者数が激減する4.新規感染者数が観測されなくなる

というステップを踏んで状況が改善することが確認されている。正直、中国が発表している統計はその内容が信用できないが、1.2.が2月上旬に確認され、現在の状況である3.までおよそ2ヵ月かかっている。

欧米が今、1.~2.の状況にあることを考えると、最速で中国と同じ状態になるのが6月上旬。その後、感染拡大の第2波が発生して終息まで2ヵ月、結果7月下旬に終息するというのがメインシナリオだろう。

日本はこれから2週間ほど遅れているため、8月のお盆の頃が終息宣言になるのではないだろうか。

ただ、ワクチンや効果的な薬も発見されていない新しいウイルスであるため、過去の経験通りにならないことも事実。場合によると冬まで生き残り、今年の冬から感染拡大2回目が起きる可能性もあり得る。

この場合、年後半に価格が上昇すると見られていた商品価格の上昇も起きないことになる。場合によると大統領選挙にも影響が出るだろう。仮にこれまでと同じ方法で選挙が行われた場合、それはリスクになるだろう。

選挙期間を変更するためには、新たな法律が制定される必要がある。また、市民が投票する権利は裁判所によって強く保護されているため、集会禁止や隔離などを強制できる公衆衛生当局者の命令よりも優勢される可能性がある。

しかし、感染が終息していない状況で選挙を行えば再び感染が拡大する可能性は十分にあり得る。この点に関して、米議会・政府がどのような判断をするかは注目だろう。

過去のSARSの例を見るに、新規感染者数が減少に転じるとそこが相場の転換点になる可能性がある。本当にこのまま、

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業・非製造業PMIは大幅な改善となったが、アンケートの取り方が「前月からの商況の変化」であるため、これを額面通りは評価し難い。もう数ヵ月この統計を見ていく必要があるだろう。

それ以上に、今後発表される欧米のPMIの悪化度合いが重要に。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ているが、コロナウイルスの感染拡大でさらに改定される見通しでは2019年(2.9%)を下回り、リセッション入りする可能性は高まっている。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、米国の持っていた金融緩和のカードはほとんどなくなった。徐々に金融面での価格下支え効果は薄れる見込み。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の世界的な感染拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた世界的な経済活動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、さらに新型肺炎問題が終息したのちに、ウイルス問題を受けて対立が激化する可能性も排除できず。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は引けにかけて上昇した。週末のOPECプラス・G20会合の開催が危ぶまれていたが、アルジェリアのエネルギー相が開催は可能、と発言したことで減産協議進捗観測が強まったため。

そもそも減産の効果が薄いなら、OPECプラス会合を開催すべきではない、とのイラン ザンギャネ石油相の発言を受けて軟調な推移となっていた。

昨日発表された石油統計は、市場予想を大幅に上回る在庫の増加が確認されており、米国の経済活動が鈍化していることを再確認する内容。

昨日GDP予想にガソリン出荷を参考にしたが、米国のガソリン出荷は前年比▲19.3%の大幅な減速となっており、中国と同様、2~3割程度の輸送燃料需要の減少になる可能性が出てきた。

【原油価格見通し】

原油価格は一時的に上昇圧力が強まると予想される。OPEC側の呼びかけにロシアが呼応する形で減産が行われる可能性が高まっているため。ただし需要の回復は1年程度を要すると考えられ、上昇余地は限定されるだろう。

OPECプラスは1,000万バレルの減産を検討している(ただしこれがOPECプラスのみなのか、その他の国も含むのかはわからない)。

しかし、米石油統計での石油製品出荷の落ち込みを見るに、一時的に原油需要は全世界で▲2,000万~▲3,000万バレル減少しているといわれており、この大規模な減産であっても、需要減少分を相殺することは難しい。ただし、価格に一定の下支え効果をもたらすことになるだろう。

米国は石油製品需要の減少で生産しても在庫となってしまうことから、すでに石油製品の生産を大幅に減少させており、「価格下落による自主的な減産」は起きるだろう。

ちなみに米国はアンチトラスト法で、原油価格押し上げのための減産が認められていないが、州政府の要請に基づいて生産目標を引き下げることは可能なようだ。

仮に現在の価格水準が維持されれば、生産コストの高い米シェールオイル生産者の減産(破綻も含む)はあり得る。平均生産コストは50ドル近辺であり完全にコスト割れだからだ。

しかし、シェールオイル企業の多くは下落リスクヘッジを行っていることから、ヘッジ期間の目処である6月末、12月末までは大規模な減産や連鎖破綻はないと見ている。

とはいえ全ての生産者が価格下落リスクヘッジを実施できている訳ではないため、3分の1程度は破綻や生産停止に追い込まれるリスクがある。結果、生産量ベースで▲250万バレル程度の「自主減産」になる可能性はある(IEAの見通しとほぼ同じ)。

このように、「OPECプラスだけ」ではなく、「自主減産も含めた全世界」であれば、▲10%の減産は可能だろう。

しかし、やはり需要動向が価格を決定するため、上昇したとしても再び下落すると考える。価格水準が切り上がるためにはコロナウイルスの終息が必要条件である。

コロナウイルスが終息するまで増産を止め、実態に合わせて減産幅を縮小させるというのが恐らくメインシナリオだ。その場合、6月会合で減産規模が見直しされるだろう。

コロナウイルス禍終息後は価格が上昇するため、シェア争いが再開され増産・価格上昇が抑制されるという展開になると予想される。

影響が良く分からないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、投機的な観点から価格を押しあげよう。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクといえる。

この状況でも米国とイランの対立は続いている。米国はイランに対してコロナ対策支援を申し出ているが、イランは今までの経緯もあってこれを拒否しているため、緊張状態は続くと予想する。

しかし、大統領選挙を控える米国・イランが国内の窮状を受けて歩み寄る可能性はあり得る(実際、米国側から人道的な理由でイランに対する制裁を緩和する動きが見られている)。

ただ、原油価格がしばらく低迷する可能性は高く、さらにコロナウイルスの感染拡大と、それを受けた食品価格の高騰(特に小麦)は、域内の対政権不満を高めることになる。

感染拡大中の暴動はないと見るが、終息後に政権への不満が爆発する可能性があり、その場合は顕著な供給リスクとなるだろう。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落した。中国石炭輸送・流通協会によれば一部の沿岸地区の発電量が減少していると報告、電力向け需要が減少していることが意識されたため。

中国の企業活動の回復が始まっているものの、中国の主要消費者である電力会社の在庫水準が高いことや、景気の回復ペースは緩やかなものになるとの見方から地合いは弱い。

【石炭価格見通し】

石炭価格は中国の輸入再開もあり、水準を切り上げる展開になると予想する。ただし経済活動が本格的に回復するには時間が掛ることから、上昇余地も限定されると考える。

石炭市場は環境規制の強化トレンドもあって、今後供給が減っていく可能性が高い一方、直ちに石炭火力からLNGやその他の再生可能エネルギーにシフトすることも難しく、しばらくは高止まりすることになるだろう。

結果的に価格変動性は低く、代表銘柄であるNEWCやAPI Coalの変動性は歴史的に見ても極めて低い状況。

このように、石炭市場の流動性が低下していくことが予想されることから、投機資金がさほど入っていないと見られ、需給を反映した価格動向となりやすい。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPECプラスの増産が開始された。価格急落で早晩減産が再開されると見るが、2014年の第1次OPECショックの時と同様、長期化した場合(価格下落要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

(特殊要因)

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化が、中東情勢を悪化させ供給リスクにつながる場合。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

(投機・投資要因)

・WTI、Brentともロング・ショートが増加した。3月末の資金調達にある程度目処がたち、ポジションの再構築が始まったためと考えられる。

ただし売り圧力の方が強く、買い越し幅は縮小している。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが624,397枚(前週比 +46,031枚)ショートが189,289枚(+46,936枚)ネットロングは435,108枚(▲905枚)

Brentはロングが219,723枚(前週比+7,676枚)ショートが163,354枚(+8,399枚)ネットロングは56,369枚(▲723枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落した。新型コロナウイルスの新規感染者数が減少に転じていることで、事態の終息期待が高まったことで連日上昇していたが、景気の先行き懸念が強いことから一旦調整売りに押された形。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、コロナウイルスの感染拡大防止のためのロックダウンの動きが奏功し、欧米での新規感染者数が減少傾向にあること、生産者側にも影響が出ており、供給減少の動きが加速していることから、現状の水準でもみ合うものと考える。

ただし、回復した、感染者数の拡大ペースが鈍化した、といっても感染者数の持続的な減少ペースが確認されたわけではないことから、需要が減少している状況に変わりはなく、あと数ヵ月は通常状態よりも需要が抑制された状態が続くと見られ、上昇余地は限定されると考える。

Bloombergの調査では、新型コロナウイルスが生産に影響を与えるとした銅生産者は全体の17%に達し、これにEscondida鉱山やSpence鉱山も加わった場合、24%に達すると見られている。

亜鉛も10%程度、ニッケルも10%程度の供給に影響が出ると見られている。

中期的には、コロナウイルスの感染拡大がQ220のいずれかのタイミング(おそらく後半)で終息すると一般的に期待されていることから、年末にかけて水準を切り上げる展開になると予想される。

基本的に戻りは緩やかなものになると見ているものの、稼働停止となっている鉱山の稼働が速やかに再開されるのか不明であり、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点も価格上昇リスクを強めている。

これによって株が急騰する可能性はあり、非鉄金属セクターは投機の売りポジションが増加しているため、リバランスの買いが価格を急速に押し上げる可能性があることだ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクだろう。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・3月の中国製造業PMIは52.0(前月35.7)と大幅な改善となり、好不況の閾値である50を回復。ただし、統計の強制的な不連続性発生により、統計が安定して評価できるようになるには数ヵ月を要する見込み。

生産活動が回復(27.8→54.1)、新規受注も回復しているが(29.3→52.0)、輸出新規受注の回復が緩慢であることを勘案すると(28.7→46.4)、やはり国内向けの回復によるもの。

新規受注在庫レシオも急回復しており、ファンダメンタルズ的には非鉄金属価格を押し上げ(ただし輸出需要の回復が緩慢であり影響は限定)。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整に動いており、供給面で価格を押し上げ(労働力が集まらない、業績悪化に伴う設備投資の減額、採算性悪化に伴う減産など、理由は様々)

・3月銅製品生産者稼働状況

 銅線生産者 75.8%(前月34.7%、過去4年平均 82.9%) 銅棒生産者 53.6%(25.9%、75.3%) 銅板生産者 32.6%(59.8%、74.4%) 銅管生産者 76.9%(39.1%、83.3%)

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月の中国の銅地金・製品の輸入量は2ヵ月で85万トン(前月53万トン)と前年比で+7.2%と増加、銅鉱石・精鉱 377万トン(198万トン)と前年比▲1.2%と小幅な減少となった。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

(投機・投資要因)

・4月3日付のLMEロング・ショートポジションは、引き続き総じてロング・ショートの減少が続いた。3月末を含んだポジション解消の動きが継続したためと考えられる。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲53.1億ドル(前週▲56.0億ドル)と売り越し幅を縮小した。ポジション解消取引の結果、ショートの買戻し圧力の方が大きかったためと見られる。売り越し額の減少率は▲5.2%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,851千トン(前週▲1,886千トン)と鉛とアルミの売り越し幅が増加したが、その他は買戻しが入った。ネット売り越しの減少率は▲1.8%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は小幅上昇、中国鉄鋼製品先物価格は小幅上昇した。

武漢の封鎖解除や、中国の高炉の再稼働の進捗を受けて、水準を切り上げた。しかしその実は、前日の下落の反動による買戻しとみられる。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の工場の稼働再開と、生産国がコロナウイルス対策の影響で鉱山の稼働を停止したり、輸送を停止したりということが顕在化し始めていることが価格を押し上げるものの、景気が減速する可能性が強く意識されているため、現状水準でもみ合うものと考える。

中国河北省の高炉稼働率は4月3日時点で76.8%(前週74.4%)と上昇を続けており、中国の工場稼働が加速していることが伺える。

今後、中国以外の国でコロナウイルスの影響が拡大することを考えると、鉄鋼業の景況感の回復にはやはり時間がかかることになるだろう。

中国の鉄鋼製品の在庫積み上がりが顕著であり、今後鉄鋼向けの需要は減速すると考えられることが、価格の上値を限定しよう。

中期的にはValeの生産が増加する見込みであり、コロナウイルスの影響が終息すればそれが本格化するとみられることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が鈍化、鉄鋼需要の伸びも欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。

しかし、生産側も同様に影響を受けていること、世界的な石炭生産制限の流れを受けて、鉄鉱石とは異なり原料炭の価格中期見通しは強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・3月の中国鉄鋼業PMIは42.2と前月の36.6から大幅に改善。

生産が回復したことと(31.3→39.3)、原材料在庫が積み上がったこと(29.2→44.9)によるもの。

受注は国内は改善したがむしろ海外向けは減速(新規受注 32.7→38.5、輸出新規受注 42.5→27.3)しており、需要面が価格を下押ししやすい。

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。

公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

1-2月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の1,075万トンと減速、コロナウイルスの感染拡大の影響で企業活動が鈍化していることが確認された。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に増加し、前年比+33.1%の6,806万トンとなった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入増加によるもの。

・中国の1-2月の鉄鉱石の輸入量は前年比+1.5%の1億7,684万トンとなった。鉄鋼製品在庫の増加によって生産活動が鈍化している一方、鉄鉱石の港湾在庫の在庫日数は低下しており、一定の在庫積み増し需要があると考えられるため。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲250万トンの1億1,865万トン(過去5年平均1億2,727万トン)、在庫日数は▲1.6日の28.3日(過去5年平均 31.1日)と依然として在庫水準は低い。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られ、価格を押し上げると考える。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲115.4万トンの2,375.1万トン(過去5年平均 1,435.9万トン)とコロナウイルスの影響で在庫が急増していたが、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが始まっている。ただし、依然として在庫水準が高いことに変わりはない。

なお、1-2月の鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の781万トンと大幅に減速しており、やはりコロナウイルスの影響が顕在化した形に。今後は徐々に回復すると見られるが感染終息状況次第である。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は下落した。長期金利の上昇を受けた実質金利の上昇が材料となった。銀も小幅安。PGMも金価格の下落を受けて水準を切り下げている。

新規手掛かり材料に乏しく、テクニカルな取引に終始したという印象だ。

【貴金属価格見通し】

金銀は新型コロナウイルスへの影響が拡大、各国政府とも低金利政策や量的緩和を余儀なくされていること、ここにきて原油価格の上昇圧力が掛かっていることから、堅調な推移になると考える。

ただし、原油価格の上昇には需要の増加が必要条件であり、原油価格上昇による金価格上昇余地は限定されると考える。

現在のリスクプレミアムは178ドル(前日比+1ドル)。

※毎日回帰分析をアップデートリスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では90倍、ヒストリカルに見れば80倍程度が妥当。

関係性が薄れているとはいえCOMEX銀在庫が過去最高水準で推移しているため、しばらくは100倍を超える状態が続くと考えられる。

コロナ・OPECショックによる相場急変で、金価格と銀価格の過去の関係性が完全に崩壊してしまっており、新しい関係性が構築されるまでには時間が掛りそうだ。

弊社は価格動向分析に生産コストを用いることを是としていない。というのも、過去に生産コスト近辺で価格が推移したことがないためである。

しかし、この状況になるとよりどころとなる情報が少なく、全く無視するわけにもいかない。

Silver Instituteの過去データを参考にすると、現在、銀生産のオールインコストは10ドル/オンス程度まで低下していると考えられる。急落局面での下値目処として、少し頭に置いておくのが良いだろう。

PGM価格は、景気の先行きは明確に悪く少なくともQ220は悪い状態が続きそうであること、株式市場の混乱も続いているためしばらくは軟調地合いの中、神経質なレンジワークを継続することになると考える。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、各国の準備金や市場取引の担保価値がみとめられている金のような安全資産としては認知されていないことによる。

銀価格は上記の通り当面低迷する可能性が高いため、プラチナ価格も低迷するだろう。

パラジウムは、世界的な景気減速に伴う自動車向け需要の減速が価格を下押しするものの、コロナウイルスの感染拡大で南アフリカの鉱山がすべて停止するなど、供給途絶リスクが顕在化しているため、高値圏での推移になると考える。

ただ、Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲90万オンスの供給不足から、▲20万オンスの供給不足に下方修正しており、上限は切り下がったと考えられる。

3月の米自動車販売は年率1,137万台(市場予想 1,270万台、前月 1,683万台)と、急速に悪化している。明らかにコロナウイルスによる消費手控えの影響によるものである。

中国の2月の自動車販売は前年比▲79.1%の31.0万台となり、年初来の累計も前年比▲42.0%の223.8万台と減少傾向を持続している。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・金・銀はキャッシュ化の動きでロング・ショートとも減少、特にロングの売り圧力が強かった。

PGMはプラチナが明確にベア転したが、パラジウムはショートの買い戻し圧力が強まった。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが287,529枚(前週比 ▲30,399枚)、ショートが28,680枚(▲882枚)、ネットロングは258,849枚(▲29,517枚)、銀が47,050枚(▲6,027枚)、ショートが16,172枚(▲3,218枚)、ネットロングは30,878枚(▲2,809枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが31,051枚(前週比 ▲2,156枚)ショートが11,203枚(+292枚)、ネットロングは19,848枚(▲2,448枚)

パラジウムが2,267枚(▲410枚)、ショートが1,355枚(▲1,031枚)ネットロングは912枚(+621枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は下落した。トウモロコシは米石油統計でエタノール生産が急減したことで、エタノール向け需要の減少観測が強まったことが価格を下押しした。大豆、小麦も連れ安となった。

今晩発表予定の米需給報告の予想は以下の通り。

・4月の米需給報告の在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 20億1,018万Bu(前月18億9,200万Bu)大豆 4億4,595万Bu(4億2,500万Bu)小麦 9億9,441万Bu(10億Bu)

【穀物価格見通し】

穀物価格は高安まちまちになると考える。

トウモロコシは作付け意向面積の増加と、コロナウイルスの感染拡大に伴うエタノール向け需要の減少が価格を下押しするが、同時にエタノール生産者の大幅な減産が見込まれていることが価格を下支え。

大豆はコロナウイルスの影響による輸出減速観測はあるものの、エタノール生産の減少に伴うDDGs(トウモロコシ由来の飼料)減少による飼料需要の増加や、作付面積の減少、南米の干ばつ観測で底堅い推移になると考える。

小麦はそもそもシカゴの受け渡し可能在庫水準が低く、かつ、コロナウイルスの感染拡大や干ばつの影響で、ロシアがQ220の輸出を制限するとの見方による供給懸念や、消費者のパニック買いで高値圏を維持すると考える。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、深刻な食糧危機をもたらしており、これに伴う食品需要が増加する場合。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・3月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月の米需給報告の在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ18億9,200万Bu(市場予想18億9,509万Bu、前月18億9,200万Bu)大豆 4億2,500万Bu(4億2,809万Bu、4億2,500万Bu)小麦 10億Bu(9億9,417万Bu、10億Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが235,355枚(前週比 ▲31,454枚)、ショートが274,291枚(▲26,044枚)ネットロングは▲38,936枚(▲5,410枚)

大豆はロングが158,029枚(+11,828枚)、ショートが68,618枚(▲17,236枚)ネットロングは89,411枚(+29,064枚)

小麦はロングが107,015枚(+9,578枚)、ショートが62,153枚(▲468枚)ネットロングは44,862枚(+10,046枚)

◆本日のMRA's Eye


「銅価格 年後半の急騰リスクは排除できず」

非鉄金属価格のベンチマークである銅価格は、米中通商協議の進捗期待(というよりは米中の署名)を受けて1月中旬にかけて上昇したが、その後発生した新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、急速に価格水準を切り下げた。

その後、2月上旬に中国の新規感染者数が減少に転じる中で再び価格が上昇したが、1月の春節中に海外旅行に出かけていた中国人が、世界中の国に感染を拡大させたと見られ、ほぼ春節から1ヵ月の時間差を以て感染が拡大を始めた。

これを受けて銅価格は3月上旬から下落に転じ、一時3ヵ月先渡し価格は4,371ドルまで下落することとなった。

しかし、各国政府のなりふり構わない財政政策、金融緩和によって商品市場の混乱が一巡、3月末の四半期末を乗り越えチャート的には底入れしたような感じになっている。

上記の環境下、銅を巡る需給環境は緩和しており、2020年の銅需給バランスは恐らく54万トン程度の供給過剰(前年▲25万6,000トンの供給不足)になるだろう。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停止による、需要の不連続な減少の影響が大きいためだ。コロナウイルスの感染終息状況は、弊社は専門ではないもが、これまでの感染者数の推移を見るに、中国が5月末、欧米が7月末、対応が遅れた日本が8月中頃に終息する可能性が高いと考えられる。

最大消費国である中国の景気はQ220に底入れするため同国の銅需要はこのあたりから回復、その他の国の底入れは恐らくQ220の後半からQ320にかけてになるだろう。

銅の需要はQ220に底入れし、Q320後半にかけて回復し、早ければQ320の後半から回復基調に戻ると考えられる。ただ、コロナウイルス問題が終息するまでに、どれだけの企業が破綻するか、どれだけの失業者が出るかに依拠するため正直なんとも言えない。

ただし中国の工場の稼働再開が始まっているのは事実であり、上海の銅在庫はほぼ季節性通り積み上がり、過去5年の差高水準に達しているが、季節性通り徐々に在庫の取り崩しが始まっている。

銅需給を判断するうえで銅の「キャッシュと3ヵ月先渡し」のスプレッドが参考になる。キャッシュ-3Mスプレッドは一時30ドルまで拡大したが、足元は20ドル前後まで縮小している。

これは中国の製造業の稼働が急速に低下したが、中国のコロナウイルス禍の終息が近く、製造業の稼働が回復していることによる(参考となる中国の銅線生産者の工場稼働率は3月は75.8%と前月の34.7%から大きく上昇している)。

また、需要面ばかりではなく供給面も減少したことも影響しているようだ。ペルーやチリはコロナウイルスの感染拡大のため非常事態を宣言しており、Cerro Verde、Los Bronces、Constancia、Las Bambas、Collahuasiといった鉱山の生産に影響が出ており、少なくとも4月末頃まで2割程度の鉱山生産に影響が出る見込みだ。このことは、需給バランスをタイト化させよう。

LME指定倉庫在庫と価格の逆相関性が回復しているが、生産減少と需要減少でLME指定倉庫在庫も恐らく大きく変動しないと考えられるため、現在の在庫水準を参考に「あり得べし価格帯」を検証すると、現在の価格は、以前、説明可能だった水準から2段階ほど低い水準にある。

欧米の状況悪化が継続すればしばらくは4,500~5,300ドルで推移し、欧米の感染拡大が終息すれば(感染者数の増加ペースの減速が明確になる)5,300~5,800ドルに、終息宣言が出れば5,300~6,300ドルに復帰すると予想される。

しばらくは低い水準での推移となるだろう。この見通しのリスクは意図せざる生産調整が進む中で、各国が過剰に行っている財政政策や金融緩和が、投機の買い戻しを誘って非鉄金属価格を大きく押し上げる場合である。投機筋の売りポジションは記録的な水準まで積み上がっていることを考えるとこのインパクトは小さくなかろう。

◆主要ニュース


・2月日本機械受注総額 前月比 ▲6.9%の2兆2,218億円
(前月+11.5%の2兆3,855億円)、前年比▲7.7%(+3.8%)
 船舶電力を除く民需 前月比+2.3%の8,585億円
(+2.9%の8,394億円)、前年比▲7.1%(▲4.9%)

・2月日本経常収支(季節調整済) 2兆3,781億円
(前月1兆6,268億円の黒字)
(季節調整前)3兆1,688億円の黒字(6,123億円の黒字)
 貿易収支 1兆3,666億円の黒字(▲9,851億円の赤字)
 輸出 6兆3,910億円(6兆390億円)
 輸入 5兆5,737億円(6兆1,022億円)
 サービス収支 ▲3,066億円の赤字(▲807億円の赤字)
 第一次所得収支 2兆92億円の黒字(1兆9,075億円の黒字)

・3月日本景気ウォッチャー調査 現状判断DI 14.2(前月27.4)
 先行き判断DI 18.8(24.6)

・3月日本企業倒産 前年比+11.78%(前月+10.71%)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 ▲17.9%(前週+15.3%)
 購入指数▲12.2%(▲10.8%)
 借換指数▲19.4%(+25.5%)
 固定金利30年 3.49%(3.47%)、15年 3.04%(3.05%)

・FOMC議事録要旨、「リスクは下振れを示し、強力な対応が正当化される。参加者全員が米景気見通しについて過去数週間に急激に悪化し、極めて不透明になった。ウイルスを克服するまでゼロ金利を維持。」

・3月OECD景気先行指数
 OECD 98.8(前月 99.6)
 ユーロ圏 98.2(99.4)
 アジア 99.0(99.2)
 G7 98.6(99.5)
 日本 98.4(98.9)
 ドイツ 97.5(99.4)
 米国 98.9(99.5)
 中国 98.8(99.1)
 インド 99.5(99.6)
 ロシア 97.5(99.1)

・米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)、「新型コロナウイルスとの戦いにおいて、状況は来週にでも好転する可能性がある。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油+15.2MB(クッシング+6.4MB)
 ガソリン+10.5MB
 ディスティレート+0.5MB
 稼働率▲6.7

 原油・石油製品輸出 9,035KBD(前週比▲172KBD)
 原油輸出 3,554KBD(▲144KBD)
 ガソリン輸出 720KBD(+6KBD)
 ディスティレート輸出 1,351KBD(▲59KBD)
 レジデュアル輸出 75KBD(▲18KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,127KBD(▲52KBD)
 その他石油製品輸出 1,961KBD(+83KBD)

・サウジアラビア政府系ファンド、石油生産ノルウェー最大手 エクイノール(旧スタトイル)の株式、2億ドルを取得。

・ロシア エネルギー相広報担当、「ロシアは▲160万バレルの減産(生産量の14%)の準備ができている。」

・アルジェリア アルカブ石油相、「OPECプラスの減産は▲1,000万バレルに達する可能性がある。」

・イラン、「OPECプラスの成果が薄いならば会合の開催に合意しない。」

【メタル】
・Cochilco、「BHP Billiton Escondida鉱山の生産は前年比+15%の94,500トン、CodelcoのChuquicamata・Radomiro Tomic・Ministro Halesの生産は、前年比+4.5%の120,300トン、Glencore・Anglo AmericanのCollahuasiは+22%の47,100トン、AntofagastaのLos Pelambersは+12%の33,000トン」

・Goldman Sachs、「銅の3ヵ月後、6ヵ月後見通しを4,400ドル、5,000ドルに引き下げ。アルミを1,400ドルと1,500ドルに引き下げ。足元の価格上昇はデマンドショックの影響を楽観視しすぎている。銅の12ヵ月後見通しは6,000ドルで変わらず。」

・Rusal、「一部の顧客が注文の延期を求めている。工場閉鎖によるアルミの減少を示す最初の兆候。」

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.NYM WTI ( エネルギー )/ +6.18%/ ▲58.91%
2.CME生牛 ( 畜産品 )/ +5.09%/ ▲25.56%
3.NYM RBOB ( エネルギー )/ +4.60%/ ▲60.07%
4.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ +4.31%/ ▲17.51%
5.DME Oman ( エネルギー )/ +4.29%/ ▲59.98%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲8.35%/ ▲59.37%
69.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.73%/ ▲18.55%
68.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ ▲2.27%/ ▲39.62%
67.CME牛乳 ( 畜産品 )/ ▲1.85%/ ▲28.67%
66.LME錫 3M ( ベースメタル )/ ▲1.83%/ ▲15.64%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :23,433.57(+779.71)
S&P500 :2,749.98(+90.57)
日経平均株価 :19,353.24(+403.06)
ドル円 :108.83(+0.07)
ユーロ円 :118.17(▲0.29)
米10年債 :0.77(+0.06)
中国10年債利回り :2.47(▲0.03)
日本10年債利回り :0.02(+0.01)
独10年債利回り :▲0.31(+0.00)
ビットコイン :7,325.08(+206.86)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :59.79(+0.36)
エネルギー :107.49(+1.02)
ベースメタル :41.17(+0.03)
貴金属 :81.42(▲0.25)
穀物 :29.29(▲0.1)
その他農畜産品 :50.81(+0.54)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :181.55(+1.9)
Brent :136.34(+0.1)
米天然ガス :70.13(+3.34)
米ガソリン :226.81(+1.45)
ICEガスオイル :85.93(▲0.59)
LME銅 :48.89(+0.22)
LMEアルミニウム :21.01(+0.78)
金 :21.87(▲0.08)
プラチナ :85.66(▲0.01)
トウモロコシ :26.24(▲0.05)
大豆 :21.87(▲0.08)

【エネルギー】
WTI :25.09(+1.46)
Brent :32.84(+0.97)
Oman :26.98(+1.11)
米ガソリン :67.80(+2.98)
米灯油 :101.07(▲1.68)
ICEガスオイル :298.00(±0.0)
米天然ガス :1.78(▲0.07)
英天然ガス :16.87(▲0.21)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :32.84(+0.97)
SPO380cst :191.88(+5.36)
SPOケロシン :31.07(+0.34)
SPOガスオイル :38.02(+0.35)
ICE ガスオイル :40.00(±0.0)
NYMEX灯油 :106.97(+0.56)

【貴金属】
金 :1646.14(▲1.58)
銀 :14.96(▲0.06)
プラチナ :732.73(▲6.33)
パラジウム :2168.05(▲15.29)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,001(▲85:24.5C)
亜鉛 :1,904(▲36:14C)
鉛 :1,713(+6:15C)
アルミニウム :1,460(▲32:38C)
ニッケル :11,497(+88:72C)
錫 :14,608(▲162:59B)
コバルト :29,588(▲6)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5022.50(▲1.50)
亜鉛 :1914.00(▲9.00)
鉛 :1715.50(▲8.50)
アルミニウム :1469.00(▲9.00)
ニッケル :11510.00(+80.00)
錫 :14460.00(▲270.00)
バルチック海運指数 :596.00(▲8.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :82.99(+1.32)
NYMEX鉄鉱石 :82.87(+0.97)
NYMEX原料炭スワップ先物 :135.96(+0.23)
上海鉄筋直近限月 :3,323(+1)
上海鉄筋中心限月 :3,227(+12)
米鉄スクラップ :267(+1.00)

【農産物】
大豆 :854.50(▲0.25)
シカゴ大豆ミール :292.80(▲1.00)
シカゴ大豆油 :27.18(▲0.30)
マレーシア パーム油 :2433.00(+40.00)
シカゴ とうもろこし :330.00(▲1.50)
シカゴ小麦 :548.25(▲1.00)
シンガポールゴム :131.50(+1.00)
上海ゴム :9845.00(+385.00)
砂糖 :10.37(▲0.01)
アラビカ :119.80(▲0.10)
ロブスタ :1200.00(▲6.00)
綿花 :53.84(+0.94)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :43.13(▲1.00)
シカゴ生牛 :92.83(+4.50)
シカゴ飼育牛 :119.88(+4.95)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。