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欧米の感染ペース減速期待で軒並み上昇
  • MRA商品市場レポート

2020年4月7日 第1721号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「欧米の感染ペース減速期待で軒並み上昇」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:OPECプラスの減産観測が強まったが、OPECプラス会合が9日に延期されたことで、減産協議の難航を意識させたことが売り材料となった。

本日もOPECプラス会合を睨んだ動きで神経質な動き。基本、方向感が出難いため昨日の下落もあって本日は買戻しで上昇。

◆非鉄金属:欧米の感染者の増加ペースの鈍化で終息への期待が高まったことから上昇。

コロナウイルスの影響による需要減少は継続の見込みであり、また減産の動きも広がっていることから基本的にレンジワーク。本日は全日の上昇もあり、一旦下落か。

◆鉄鋼原料:上昇。欧米のコロナウイルスの感染拡大ペースの鈍化期待で。中国鉄鋼製品は休場。

新規手掛かり材料に乏しいが、中国の工場再稼働とそれに伴う在庫日数の低下で在庫積み圧力で堅調。原料炭は在庫の増加や製鉄所の低稼働率を背景に軟調、鉄鋼製品も軟調。

◆貴金属:株価上昇を受けた景気への期待から期待インフレ率が上昇したことで、大幅に上昇。パラジウムは続落。

新規材料に乏しく、前日の上昇もあるため本日は調整売りで軟調な推移に。株高継続でパラジウムは反発へ。

◆穀物:トウモロコシは原油安もあって下落、大豆・小麦は干ばつ見通しなどを材料に上昇。

株高に伴うリスク回避姿勢の後退から、非景気循環銘柄である穀物価格には下押し圧力が掛かる公算。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、広くエネルギーセクターが売られたが、その他の商品は軒並み水準を切り上げた。

米国と欧州で新型コロナウイルス感染者数の増加ペースが鈍化し、この1~2週間でピークを迎えるとの期待がたかまったことで、広くリスク資産に買戻しが入る流れとなった(詳しくは、本日の、「昨日の世界経済・市場動向のトピックス」をご参照ください)。

コロナウイルスの感染拡大防止に伴う経済活動の強制停止は続く見込みであり、Q220の米GDP予想も前期比年率▲20%~▲50%への減速が見こまれているため、先行きは決して楽観できない。

しかし「防疫」「都市封鎖」「隔離」がウイルス対策が改めて有効であることが示されたため、先行きの見通しはそれほど暗くはなくなっている。

※レポートのお申込みはこちらから
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

※WTI・Brent原油の期間構造
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

※新型コロナウイルスの新規感染者数
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

【本日の価格見通し総括】

本日は目立った新規手掛かり材料に乏しく、前日の流れを受けてアジア~欧州時間にかけては広く買戻しが入ると考えるが、「特段状況が大きく変化したわけではない(Q220の景気は減速する可能性が極めて高い)」ことから、NY時間にかけては軟調な推移になると考える。

今後、懸念すべきは政府・中央銀行が行った財政出動や金融緩和の影響で、再び株価が商品その他の価格から乖離して大きく上昇する場合である。実体経済がこれについてくる形で回復すればよいが、そうならなかった場合、再び市場が混乱するリスクは小さくない。

本日は感染拡大が続く欧州で、ビデオ会議ではあるがユーロ圏財務相会合が開催される。独メルケル首相は被害が大きい国に対して「財政的支援を行う用意がある」と発言しているが、どの程度の協力体制が打ち出せるかに焦点が集まる。

ただし、イタリアやスペインが求めている「コロナ債」については特段言及していない。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日の市場は大きくリスク資産が買い戻される流れとなった。特段、経済面で新規材料があったわけではないが、欧州の主要幹線地域であるイタリアやイランの感染者数の「増加ペース」が鈍化したことが材料となっている。

SARS発生時の価格動向が今後の価格動向を占う上では参考になるが、概ね、1.感染者数の増加ペースが鈍化する、2.感染者の増加ペースが減少する、3.退院者数が感染者数を上回る、といった過程を経て徐々に価格が上がっていくことになる。

米国の感染者の増加ペースも数日でピークを打つのでは、との期待感が高まっており、当初想定していたように恐らく欧米は5月GW頃がピークとなり、そこから1ヵ月程度減速し、再び感染拡大の第二波が訪れ、その1ヵ月後に終息する、という流れになりそうだ。となると7月頃が欧米の終息の目処となる。

もちろん、この間に有効な薬が発見されればそのタイミングで経済活動の減速は底入れすることが予想される。ただ、この場合商品価格ではなく、期待先行で上昇する株価の上昇ペースの方が速くなるだろう。

ポイントは、実体経済から乖離して株価が上昇した場合、これまで行ってきた過剰な経済対策を巻き戻ししなければならなくなった時の反動が大きくなる可能性があることである。

ただ、実体経済の回復には「本当に感染が終息しているか」を確認しながら、手探りの回復になるため、実体経済により近い商品価格の戻りのペースは緩慢なものになると予想される。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

東京をはじめとする7都府県は本日緊急事態宣言を発令、8日から実施され1ヵ月を目処に延長可否を判断する見込み。

欧州の都市は、歴史的に「他国からの攻撃から、都市を防衛する目的」で作られた城塞都市であり、ロックダウンは容易である。

これに対して日本は、歴史的にも都市防衛のために町を封鎖するという仕組みにはなっていない。兵だまりとするため要所に城や神社仏閣を建立することはあったが、欧州のコンセプトとは異なる。その意味でも、欧米と同様の経済封鎖(ロックダウン)は難しい。

ただし、首相・都知事がメッセージを発することで、国民性的に今まで以上の自主的な移動制限になるとの期待はある。防疫はコストを支払うことで成り立つため、この期間が長期化するほど景気が悪くなることは自明であることから、いかにこの制限を順守できるかが、日本経済の回復を左右することになるだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業・非製造業PMIは大幅な改善となったが、アンケートの取り方が「前月からの商況の変化」であるため、これを額面通りは評価し難い。もう数ヵ月この統計を見ていく必要があるだろう。

それ以上に、今後発表される欧米のPMIの悪化度合いが重要に。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ているが、コロナウイルスの感染拡大でさらに改定される見通しでは2019年(2.9%)を下回り、リセッション入りする可能性は高まっている。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、米国の持っていた金融緩和のカードはほとんどなくなった。徐々に金融面での価格下支え効果は薄れる見込み。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の世界的な感染拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた世界的な経済活動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、さらに新型肺炎問題が終息したのちに、ウイルス問題を受けて対立が激化する可能性も排除できず。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油価格は上昇後下落し、前日比マイナスで引けた。サウジアラビア・ロシアの減産協議が難航するとの見方が強まったことが背景。

【原油価格見通し】

原油価格は一時的に上昇圧力が強まると予想される。OPEC側の呼びかけにロシアが呼応する形で減産が行われる可能性が高まっているため。

ただ、ロシアは、「原油価格下落の責任をサウジアラビアに取らせる」「米国が減産に応じなければ減産しない」とも発言しており、直ちに減産が行われるとは考え難い。また、OPECプラスで1,000万バレルなのか、全世界で1,000万バレルなのかは判然としない。

なお、米国は石油製品需要の減少で生産しても在庫となってしまうことから、すでに石油製品の生産を大幅に減少させており、「価格下落による自主的な減産」が起きる可能性が出てきた。ちなみに米国はアンチトラスト法で、原油価格押し上げのための減産が認められていない。

仮に現在の価格水準が維持されれば、生産コストの高い米シェールオイル生産者の減産(破綻も含む)はあり得る。平均生産コストは50ドル近辺であり完全にコスト割れだからだ。

しかし、シェールオイル企業の多くは下落リスクヘッジを行っていることから、ヘッジ期間の目処である6月末、12月末までは大規模な減産や連鎖破綻はないと見ている。

とはいえ全ての生産者が価格下落リスクヘッジを実施できている訳ではないため、3分の1程度は破綻や生産停止に追い込まれるリスクがある。結果、生産量ベースで▲250万バレル程度の「自主減産」になる可能性はある。

このように、「OPECプラスだけ」ではなく、「自主減産も含めた全世界」であれば、▲10%の減産は可能だろう。

しかし、IEAの見通しでは一時的にでも▲2,000万バレル程度(場合によっては▲3,000万バレル)の需要減少が見込まれており、▲1,000万バレルの減産では十分ではない。

やはり需要動向が価格を決定するため、上昇したとしても再び下落すると考える。価格水準が切り上がるためにはコロナウイルスの終息が必要条件である。

コロナウイルスが終息するまで増産を止め、実態に合わせて減産で合意ということもあり得るだろう(6月、年後半のOPECで減産幅を縮小)。普通に考えても需要が減少しているのだから減産は自然であり、需要が戻れば増産も自然であるためだ。

コロナウイルス禍終息後は価格が上昇するため、シェア争いが再開され増産・価格上昇が抑制されるという展開になると予想される。

影響が良く分からないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、投機的な観点から価格を押しあげよう。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクといえる。

この状況でも米国とイランの対立は続いている。米国はイランに対してコロナ対策支援を申し出ているが、イランは今までの経緯もあってこれを拒否しているため、緊張状態は続くと予想する。

しかし、大統領選挙を控える米国・イランが国内の窮状を受けて歩み寄る可能性はあり得る(実際、米国側から人道的な理由でイランに対する制裁を緩和する動きが見られている)。

ただ、原油価格がしばらく低迷する可能性は高く、さらにコロナウイルスの感染拡大と、それを受けた食品価格の高騰(特に小麦)は、域内の対政権不満を高めることになる。

感染拡大中の暴動はないと見るが、終息後に政権への不満が爆発する可能性があり、その場合は顕著な供給リスクとなるだろう。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落した。中国の企業活動の回復が始まっているものの、中国の主要消費者である電力会社の在庫水準が高いことや、景気の回復ペースは緩やかなものになるとの見方から。

【石炭価格見通し】

石炭価格は中国の輸入再開もあり、水準を切り上げる展開になると予想する。ただし経済活動が本格的に回復するには時間が掛ることから、上昇余地も限定されると考える。

石炭市場は環境規制の強化トレンドもあって、今後供給が減っていく可能性が高い一方、直ちに石炭火力からLNGやその他の再生可能エネルギーにシフトすることも難しく、しばらくは高止まりすることになるだろう。

結果的に価格変動性は低く、代表銘柄であるNEWCやAPI Coalの変動性は歴史的に見ても極めて低い状況。

このように、石炭市場の流動性が低下していくことが予想されることから、投機資金がさほど入っていないと見られ、需給を反映した価格動向となりやすい。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPECプラスの増産が開始された。価格急落で早晩減産が再開されると見るが、2014年の第1次OPECショックの時と同様、長期化した場合(価格下落要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

(特殊要因)

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化が、中東情勢を悪化させ供給リスクにつながる場合。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

(投機・投資要因)

・WTI、Brentともロング・ショートが増加した。3月末の資金調達にある程度目処がたち、ポジションの再構築が始まったためと考えられる。

ただし売り圧力の方が強く、買い越し幅は縮小している。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが624,397枚(前週比 +46,031枚)ショートが189,289枚(+46,936枚)ネットロングは435,108枚(▲905枚)

Brentはロングが219,723枚(前週比+7,676枚)ショートが163,354枚(+8,399枚)ネットロングは56,369枚(▲723枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は上昇した。ニューヨークの新規感染者数の増加ペースが鈍化したことを材料に、コロナウイルスを巡る状況が改善している、との期待が高まったことや、生産調整の進捗が価格を押し上げた。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、コロナウイルスの感染拡大防止のためのロックダウンの動きが強まる中、需要が低迷すること、同様に生産側にも影響が出ており、供給減少の動きが加速していることから低水準でもみ合うものと考える。

中国の工場の稼働は再開、稼働率も徐々に上昇しているが、中国製品の輸出先である欧米が経済停止の状態であり回復は緩慢なものになるだろう。

なお、欧米の感染者数の増加ペースが鈍化していることは、景気にとって好材料であるが完全に終息するまでにはあと数ヵ月かかると予想される。

一方で、供給面にも明確な影響が出ており、価格の下値も限定されると考えられる。Bloombergの調査では、新型コロナウイルスが生産に影響を与えるとした銅生産者は全体の17%に達し、これにEscondida鉱山やSpence鉱山も加わった場合、24%に達すると見られている。

亜鉛も同様に影響を受けるが10%程度の供給が影響を受けると見られている。

中期的には、コロナウイルスの感染拡大がQ220のいずれかのタイミング(おそらく後半)で終息すると一般的に期待されていることから、年末にかけて水準を切り上げる展開になると予想される。

基本的に戻りは緩やかなものになると見ているものの、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点は上昇リスクを強める。

これによって株が急騰する可能性はあり、非鉄金属セクターは投機の売りポジションが増加しているため、リバランスの買いが価格を急速に押し上げる可能性があることだ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクだろう。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・3月の中国製造業PMIは52.0(前月35.7)と大幅な改善となり、好不況の閾値である50を回復。ただし、統計の強制的な不連続性発生により、統計が安定して評価できるようになるには数ヵ月を要する見込み。

生産活動が回復(27.8→54.1)、新規受注も回復しているが(29.3→52.0)、輸出新規受注の回復が緩慢であることを勘案すると(28.7→46.4)、やはり国内向けの回復によるもの。

新規受注在庫レシオも急回復しており、ファンダメンタルズ的には非鉄金属価格を押し上げ(ただし輸出需要の回復が緩慢であり影響は限定)。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整に動いており、供給面で価格を押し上げ(労働力が集まらない、業績悪化に伴う設備投資の減額、採算性悪化に伴う減産など、理由は様々)

・3月銅製品生産者稼働状況

 銅線生産者 75.8%(前月34.7%、過去4年平均 82.9%) 銅棒生産者 53.6%(25.9%、75.3%) 銅板生産者 32.6%(59.8%、74.4%) 銅管生産者 76.9%(39.1%、83.3%)

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月の中国の銅地金・製品の輸入量は2ヵ月で85万トン(前月53万トン)と前年比で+7.2%と増加、銅鉱石・精鉱 377万トン(198万トン)と前年比▲1.2%と小幅な減少となった。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

(投機・投資要因)

・3月27日付のLMEロング・ショートポジションは、すべてのロング・ショートが減少しており、ポジション解消の動きが強まる形となった。

3月末の決算を睨んだポジション調整に、ドル資金調達の動きが強まったことが背景。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲56.0億ドル(前週▲66.7億ドル)と売り越し幅を縮小した。ポジション解消取引の結果、ショートの買戻し圧力の方が大きかったためと見られる。売り越し額の減少率は▲16.0%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲2,294千トン(前週▲2,038千トン)と銅・アルミ・錫は売り越し幅が増加したが、その他は買戻しが入った。ネット売り越しの減少率は▲7.5%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅高、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品先物価格は休場だった。

欧米のコロナウイルス新規感染者数のペースが鈍化したことが、広くリスク資産価格の上昇要因となっている。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の工場の稼働再開と、生産国がコロナウイルス対策の影響で鉱山の稼働を停止したり、輸送を停止したりということが顕在化し始めていることが価格を押し上げるものの、景気が減速する可能性が強く意識されているため、現状水準でもみ合うものと考える。

中国河北省の高炉稼働率は3月27日時点で74.4%(前週73.7%)と上昇を続けており、中国の工場稼働が加速していることが伺える。

今後、中国以外の国でコロナウイルスの影響が拡大することを考えると、鉄鋼業の景況感の回復にはやはり時間がかかることになるだろう。

中国の鉄鋼製品の在庫積み上がりが顕著であり、今後鉄鋼向けの需要は減速すると考えられることが、価格の上値を限定しよう。

中期的にはValeの生産が増加する見込みであり、コロナウイルスの影響が終息すればそれが本格化するとみられることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が鈍化、鉄鋼需要の伸びも欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。

しかし、生産側も同様に影響を受けていること、世界的な石炭生産制限の流れを受けて、鉄鉱石とは異なり原料炭の価格中期見通しは強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・3月の中国鉄鋼業PMIは42.2と前月の36.6から大幅に改善。

生産が回復したことと(31.3→39.3)、原材料在庫が積み上がったこと(29.2→44.9)によるもの。

受注は国内は改善したがむしろ海外向けは減速(新規受注 32.7→38.5、輸出新規受注 42.5→27.3)しており、需要面が価格を下押ししやすい。

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。

公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

1-2月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の1,075万トンと減速、コロナウイルスの感染拡大の影響で企業活動が鈍化していることが確認された。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に増加し、前年比+33.1%の6,806万トンとなった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入増加によるもの。

・中国の1-2月の鉄鉱石の輸入量は前年比+1.5%の1億7,684万トンとなった。鉄鋼製品在庫の増加によって生産活動が鈍化している一方、鉄鉱石の港湾在庫の在庫日数は低下しており、一定の在庫積み増し需要があると考えられるため。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲250万トンの1億1,865万トン(過去5年平均1億2,727万トン)、在庫日数は▲1.6日の28.3日(過去5年平均 31.1日)と依然として在庫水準は低い。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られ、価格を押し上げると考える。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲115.4万トンの2,375.1万トン(過去5年平均 1,435.9万トン)とコロナウイルスの影響で在庫が急増していたが、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが始まっている。ただし、依然として在庫水準が高いことに変わりはない。

なお、1-2月の鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の781万トンと大幅に減速しており、やはりコロナウイルスの影響が顕在化した形に。今後は徐々に回復すると見られるが感染終息状況次第である。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は上昇。欧米の感染者数拡大地域での感染ペースに鈍化が見られたことで株価が上昇、期待インフレ率が上昇する中で、金に買戻しが入った。

銀も金につれる形で大幅な上昇となった。プラチナは銀に連れ高となり大幅な上昇。

パラジウムにも買いが入ったが、欧米の景気減速に伴う自動車向け需要の減少観測は根強く、水準を切り下げた。

【貴金属価格見通し】

金銀は新型コロナウイルスへの影響が拡大、各国政府とも低金利政策や量的緩和を余儀なくされていること、ここにきて原油価格の上昇圧力が掛かっていることから、堅調な推移になると考える。

ただし、原油価格の上昇には需要の増加が必要条件であり、原油価格上昇による金価格上昇余地は限定されると考える。

現在のリスクプレミアムは179ドル(前日比+9ドル)。

※毎日回帰分析をアップデートリスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では90倍、ヒストリカルに見れば80倍程度が妥当。

関係性が薄れているとはいえCOMEX銀在庫が過去最高水準で推移しているため、しばらくは100倍を超える状態が続くと考えられる。

コロナ・OPECショックによる相場急変で、金価格と銀価格の過去の関係性が完全に崩壊してしまっており、新しい関係性が構築されるまでには時間が掛りそうだ。

弊社は価格動向分析に生産コストを用いることを是としていない。というのも、過去に生産コスト近辺で価格が推移したことがないためである。

しかし、この状況になるとよりどころとなる情報が少なく、全く無視するわけにもいかない。

Silver Instituteの過去データを参考にすると、現在、銀生産のオールインコストは10ドル/オンス程度まで低下していると考えられる。急落局面での下値目処として、少し頭に置いておくのが良いだろう。

PGM価格は、景気の先行きは明確に悪く少なくともQ220は悪い状態が続きそうであること、株式市場の混乱も続いているためしばらくは軟調地合いの中、神経質なレンジワークを継続することになると考える。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、各国の準備金や市場取引の担保価値がみとめられている金のような安全資産としては認知されていないことによる。

銀価格は上記の通り当面低迷する可能性が高いため、プラチナ価格も低迷するだろう。

パラジウムは、世界的な景気減速に伴う自動車向け需要の減速が価格を下押しするものの、コロナウイルスの感染拡大で南アフリカの鉱山がすべて停止するなど、供給途絶リスクが顕在化しているため、高値圏での推移になると考える。

ただ、Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲90万オンスの供給不足から、▲20万オンスの供給不足に下方修正しており、上限は切り下がったと考えられる。

3月の米自動車販売は年率1,137万台(市場予想 1,270万台、前月 1,683万台)と、急速に悪化している。明らかにコロナウイルスによる消費手控えの影響によるものである。

中国の2月の自動車販売は前年比▲79.1%の31.0万台となり、年初来の累計も前年比▲42.0%の223.8万台と減少傾向を持続している。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・金・銀はキャッシュ化の動きでロング・ショートとも減少、特にロングの売り圧力が強かった。

PGMはプラチナが明確にベア転したが、パラジウムはショートの買い戻し圧力が強まった。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが287,529枚(前週比 ▲30,399枚)、ショートが28,680枚(▲882枚)、ネットロングは258,849枚(▲29,517枚)、銀が47,050枚(▲6,027枚)、ショートが16,172枚(▲3,218枚)、ネットロングは30,878枚(▲2,809枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが31,051枚(前週比 ▲2,156枚)ショートが11,203枚(+292枚)、ネットロングは19,848枚(▲2,448枚)

パラジウムが2,267枚(▲410枚)、ショートが1,355枚(▲1,031枚)ネットロングは912枚(+621枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場はまちまち。トウモロコシは引き続き、輸送燃料需要の減少に伴うエタノール向け需要減少観測が価格を下押し、大豆は南米の干ばつ、小麦は米グレートプレーンズの寒波や、黒海周辺の干ばつ見通しなどが材料となった。

昨日発表された米週間穀物輸出検証高(2020/4/2時点)は以下の通り。

トウモロコシ 1,271.48千トン(前週+1.33千トン)大豆 298.12千トン(▲115.84千トン)小麦 363.88千トン(+9.41千トン)

【穀物価格見通し】

穀物価格は高安まちまちになると考える。

トウモロコシは作付け意向面積の増加と、コロナウイルスの感染拡大に伴うエタノール向け需要の減少が価格を下押しするが、同時にエタノール生産者の大幅な減産が見込まれていることが価格を下支え。

大豆はコロナウイルスの影響による輸出減速観測はあるものの、エタノール生産の減少に伴うDDGs(トウモロコシ由来の飼料)減少による飼料需要の増加や、作付面積の減少、南米の干ばつ観測で底堅い推移になると考える。

小麦はそもそもシカゴの受け渡し可能在庫水準が低く、かつ、コロナウイルスの感染拡大や干ばつの影響で、ロシアがQ220の輸出を制限するとの見方による供給懸念や、消費者のパニック買いで高値圏を維持すると考える。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、深刻な食糧危機をもたらしており、これに伴う食品需要が増加する場合。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・3月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月の米需給報告の在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ18億9,200万Bu(市場予想18億9,509万Bu、前月18億9,200万Bu)大豆 4億2,500万Bu(4億2,809万Bu、4億2,500万Bu)小麦 10億Bu(9億9,417万Bu、10億Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが235,355枚(前週比 ▲31,454枚)、ショートが274,291枚(▲26,044枚)ネットロングは▲38,936枚(▲5,410枚)

大豆はロングが158,029枚(+11,828枚)、ショートが68,618枚(▲17,236枚)ネットロングは89,411枚(+29,064枚)

小麦はロングが107,015枚(+9,578枚)、ショートが62,153枚(▲468枚)ネットロングは44,862枚(+10,046枚)

◆本日のMRA's Eye


「ジャンク債市場の混乱」

年明けから始まった「コロナショック」を背景に輸送燃料需要が減少、これを相殺する目的でOPECが▲150万バレルの減産を提案したが、40ドル程度が均衡価格であるロシアがこれを拒否、キレたムハンマド皇太子が逆に増産を仕掛け、さらにOSPも引き下げるという暴挙に出た。

これは明らかにロシアを対象とするものであるが、「ついで」にシェールオイルのみならず、再生可能エネルギーを含む「高コスト生産者」を広く遍く、市場から追放することを企図したものである。

4月からサウジアラビアは現在の生産量を1,230万バレルまで引き上げ(これは現状の生産能力も超えているため、在庫の取り崩しをしてまで増産するということ)、さらに1,300万バレルまで生産能力を引き上げる計画である。

また、この状態を「数ヵ月は続ける」としている。ただ、サウジアラビアの外貨準備はムハンマド皇太子が権力を握ってから右肩下がりである。これはイエメンでのイランとの代理戦争に必要以上の資金を投じていることや、その他の放漫財政が影響していることは明らかである。

これに対してロシアは2014年の第一次OPECショック以降、類似のショックが発生した時に対応できるよう、外貨準備を積み上げてきており、むしろその時よりも価格下落に対する抵抗力はついている。

コロナショックの影響による需要減少は想像を超えているため、原油価格の急落は前回のショックに比べると激烈に早い。こうなれば早期に減産に舵を切ってもおかしくない。報道ベースではサウジアラビアはOPECプラスに緊急会合の開催を打診しているようだ。しかし、「メンツ」の問題があるため両国とも簡単に歩み寄りはしないだろう。

恐らくOPEC・非OPECの増産が始まり、IMFが景気見通しを下方修正し、原油価格がさらに下落余地を探り始めるところで痛みを感じ、6月のOPEC総会前後で減産を再度検討する方向に舵が切られると考えられる。

仮にこの状態が続くとなると、問題になるのが信用リスクへの波及である。「高コスト原油生産者」の代表であるシェールオイル企業の多くは、ジャンク債市場(ハイ・イールド債市場。通常格付けBB格以下の企業)で資金調達を行っている。

ジャンク債市場でのエネルギー関連企業の市場規模(時価総額)のシェアは、2014年の第一次OPECショックの直前に16.0%まで上昇したが、原油価格の下落とともにシェアを落とした。

その後、原油価格が切り返す中で再びシェアを回復したが、コロナショック、第二次OPECショックに伴う価格下落を受けて再び大きくシェアを落とし、直近では8%程度まで水準を切り下げている。

ジャンク債市場におけるエネルギーセクターのパフォーマンス(米国債との利回り格差)は原油価格の下落を受けて急速に悪化しており、2020年4月以降もOPEC・非OPECの増産が続く見込みであることから、さらに悪化する可能性は高い。

しかし、シェールオイル企業は2014年~2016年の油価下落時に先物取引やデリバティブ取引を活用し、価格下落時の売り上げ減少リスクヘッジを行っているところが多いが、小規模で体力がないところはそれも十分にできていない。

現在の主要シェール鉱床のブレーク・イーブンコストは32~57ドル(平均49ドル)であり、ヘッジ期間が通常は長くても2年程度であることを考えると、年明け以降の急落時に2020~2021年のヘッジができていたとは考え難く、価格低迷の長期化は小規模生産者の破綻に繋がる可能性が高くなってきた。実際、中堅のWhitingはチャプター11を申請している。通常これらの企業のヘッジが、1年、半年、四半期ベースで行われるため、次の「ヤマ」は6月頃になるのではないか。

また、米銀は原油先物カーブを基準にエネルギー会社の業績を評価、貸し倒れ引当金を積まなければならなくなり、エネルギー価格の下落はエネルギーセクター向けの与信を削減させ、その他の業種にも波及する可能性も否定できなくなってきた。

また、米国のみならず世界中が人の移動を制限しており、輸送燃料需要が減少する可能性があることもエネルギー企業の業績を悪化させる。エネルギーセクターの時価総額に占めるシェアは、ジャンク債でも、株式市場でも変わらず10%前後とさほど大きくはない。

しかし、その影響が大きくなるのは、ベンチマークである原油価格が下落した場合、エネルギー企業の財務状況が「同じタイミングで見直しされる」ことが理由である。

なお、エネルギー需要が低迷すればエネルギーの輸送を生業としているインフラ業者(精錬、パイプライン等)の業況が悪化し、MLP(Master Limited Partnarship)という投資商品のパフォーマンスが悪化、連鎖的にジャンク債市場に影響が及ぶシナリオも無視できない。これらの企業の業績は原油価格に連動しないため、経済活動の強制停止が続くと業績が悪化する。

我々消費国からすれば、原油価格の下落は産油国からの所得移転を促すため経済定期にはプラスであるが、世界全体を見回したときに、現在のような低原油価格の継続は大きなリスクとなる。少なくともコロナ危機回避のために、我々消費国からすれば逆説的であるが、原油価格の上昇は経済の安定に必要であるといえよう。ゼロ金利政策が続くと、銀行の業績が悪化するのと類似した仕組み、ともいえるだろうか。

◆主要ニュース


・3月日本消費者態度指数 30.9(前月38.3)

・2月独製造業受注 前月比▲1.4%(前月+4.8%)、前年比+1.5%(▲0.8%)

・3月独建設業PMI 42.0(前月55.8)

・4月ユーロ圏センティックス投資家信頼感 ▲42.9(前月▲17.1)

・日本政府、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に、緊急事態宣言を発令へ。

・FRB、小規模事業者への融資を担保に、原稿に資金を提供するプログラムを開始すると発表。

・中国人民銀行、中小銀行向けに預金準備率を1▲1%引き下げへ。

・英ジョンソン首相、容体悪化で集中治療室へ。

・米国のコロナウイルスの死者1万人を超える。NY州の感染者数は2日間横ばい。

・中国のコロナウイルスの感染者、+39人増加、無症状者+78人増加。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・みずほの石炭融資に複数の投資家が反対。

・米トランプ大統領、「輸入原油に課税をする必要が出てくるとは思わない。」

・OPECプラス、4月9日に延期。

・イラク ガドバン石油相、「OPECプラスが減産合意すると楽観している。合意にはOPECプラスだけではなく、米国やカナダ、ノルウェーの支持も必要になる。」

・サウジアラビア、OSPの発表を5日間延期。通常毎月5日までに発表される。

・ロシア直接投資基金キリル・ドミトリエフCEO、「ロシアとサウジアラビア、減産で合意に極めて近づいている。」

【メタル】
・フィッチ、世界のGDPは▲1.9%減少し、銅需要を前年比▲6%減少させる見込み。
 2020年の銅価格は5,300ドル、2021年は5,800ドル。
 アルミは2020年が1,560ドル、2021年が1,600ドル。
 ニッケルは2020年が11,500ドル、2021年が13,250ドル。
 亜鉛は2020年が1,900ドル。

・国内精錬大手8社の上期電気銅生産、前年比+5.7%の80万3,640トン、亜鉛は3社合計で▲0.6%の23万6,258トン、鉛は+1.4%の10万2,115トン。新型コロナウイルスの影響を織り込む会社はなかった。

・UACJ、インドネシア PT・インダール・インベスティンド社との合弁会社、PT・UACJ・インダール・アルミナムの保有株55%すべてをインダール社に売却。自動車熱交換機用アルミ材量は、押出製品から板製品に切り替える動きが拡大しているため。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TCM原油 ( エネルギー )/ +18.43%/ ▲54.28%
2.欧州排出権 ( 排出権 )/ +13.64%/ ▲17.09%
3.TCMガソリン ( エネルギー )/ +8.93%/ ▲48.48%
4.TCM灯油 ( エネルギー )/ +8.54%/ ▲44.91%
5.ビットコイン ( その他 )/ +7.87%/ +1.02%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.NYM WTI ( エネルギー )/ ▲7.97%/ ▲57.29%
69.DME Oman ( エネルギー )/ ▲7.82%/ ▲56.32%
68.CME生牛 ( 畜産品 )/ ▲5.09%/ ▲32.78%
67.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲3.11%/ ▲49.92%
66.ニューキャッスル炭 ( エネルギー )/ ▲2.88%/ ▲5.24%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :22,679.99(+1627.46)
S&P500 :2,663.68(+175.03)
日経平均株価 :18,576.30(+756.11)
ドル円 :109.22(+0.67)
ユーロ円 :117.88(+0.64)
米10年債 :0.67(+0.08)
中国10年債利回り :休場( - )
日本10年債利回り :0.02(+0.03)
独10年債利回り :▲0.43(+0.02)
ビットコイン :7,231.12(+527.57)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :59.18(▲1.55)
エネルギー :107.70(▲9.91)
ベースメタル :40.46(▲0.45)
貴金属 :81.91(+0.68)
穀物 :28.91(▲0.65)
その他農畜産品 :49.43(+1.12)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :181.65(▲23.08)
Brent :139.23(▲30.52)
米天然ガス :70.63(+1.9)
米ガソリン :225.12(▲7.89)
ICEガスオイル :87.11(▲11.47)
LME銅 :46.71(▲0.42)
LMEアルミニウム :21.40(▲0.65)
金 :22.36(▲1.32)
プラチナ :85.90(▲0.28)
トウモロコシ :26.68(+0.01)
大豆 :22.36(▲1.32)

【エネルギー】
WTI :26.08(▲2.26)
Brent :33.05(▲1.06)
Oman :29.45(▲2.50)
米ガソリン :70.16(+1.00)
米灯油 :104.57(▲2.49)
ICEガスオイル :293.75(▲3.25)
米天然ガス :1.73(+0.11)
英天然ガス :16.98(+0.76)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :33.05(▲1.06)
SPO380cst :190.16(▲1.86)
SPOケロシン :32.59(▲2.69)
SPOガスオイル :38.24(▲1.60)
ICE ガスオイル :39.43(▲0.44)
NYMEX灯油 :108.94(▲1.85)

【貴金属】
金 :1660.97(+40.16)
銀 :15.00(+0.62)
プラチナ :740.47(+15.34)
パラジウム :2163.55(▲0.55)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :4,881(+1:14C)
亜鉛 :1,869(▲8:14C)
鉛 :1,644(▲31:14C)
アルミニウム :1,461(▲26:36C)
ニッケル :11,217(▲40:55C)
錫 :14,295(▲75:112B)
コバルト :29,614(▲6)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :4904.50(+62.50)
亜鉛 :1898.00(+16.00)
鉛 :1680.00(+20.00)
アルミニウム :1475.00(▲5.00)
ニッケル :11280.00(+80.00)
錫 :14350.00(+225.00)
バルチック海運指数 :616.00(▲8.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :82.45(+0.25)
NYMEX鉄鉱石 :82.49(+0.11)
NYMEX原料炭スワップ先物 :134.13(▲0.77)
上海鉄筋直近限月 :休場( - )
上海鉄筋中心限月 :休場( - )
米鉄スクラップ :269(+13.00)

【農産物】
大豆 :855.50(+1.25)
シカゴ大豆ミール :297.00(▲6.20)
シカゴ大豆油 :26.83(+0.40)
マレーシア パーム油 :2333.00(+13.00)
シカゴ とうもろこし :327.75(▲3.00)
シカゴ小麦 :555.75(+6.50)
シンガポールゴム :130.00(▲1.90)
上海ゴム :休場( - )
砂糖 :10.45(+0.14)
アラビカ :116.65(+1.75)
ロブスタ :1194.00(+3.00)
綿花 :53.05(+2.07)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :41.13(+0.90)
シカゴ生牛 :83.83(▲4.50)
シカゴ飼育牛 :110.43(+2.18)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。