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原油は減産観測で続伸、その他の景気循環銘柄は下落
  • MRA商品市場レポート

2020年4月6日 第1720号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「原油は減産観測で続伸、その他の景気循環銘柄は下落」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:ロシアの協調減産報道を受けてBentが暴騰、WTIも大幅に上昇した。

週明け月曜日は協調減産観測で上昇圧力が掛かるだろうが、簡単に合意できるとは思えず、需要減少も続くことから再び下落に転じると予想。

◆非鉄金属:世界的なロックダウンの動きに加え、欧州製造業PMIの悪化や、米雇用統計の悪化で景気への懸念が強まったことが材料。

週明け月曜日は、原油価格の上昇に伴う実質金利の低下もあり買戻しからスタートすると見るが中国が休日のため上昇余地は限定。

◆鉄鋼原料:上昇。中国の三連休を控えて鉄鉱石需要が高まったためとみられる。原料炭は下落。鉄鋼製品はまちまち。

中国休日で買い手不在の中、鉄鉱石は軟調な推移。原料炭は週末の下落を受けて買戻しが優勢か。鉄鋼製品は中国市場が休場。

◆貴金属:原油価格の上昇を受けた実質金利の低下で上昇。銀・プラチナは株安もあって下落、パラジウムは大幅に下落。

週明け月曜日は、原油価格の上昇もあって上昇するが、サウジ・ロシアが簡単に減産合意するとは考え難く上昇余地は限定、銀・プラチナはもみ合い、パラジウムは週末の下げが大きかったこと、鉱山稼働停止で買戻し。

◆穀物:原油価格は上昇したが、それでも需要が増加するわけではなくトウモロコシ価格は下落、大豆も連れ安。小麦はテクニカルに買いが入った。

週明け月曜日、トウモロコシのエタノール向け需要の減少観測がトウモロコシ価格を押し下げ、その他の穀物も連れ安になると考える。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、広くエネルギーセクターが物色され、インフレ資産である金なども買われたが、その他は総じて下落した。

ロシアがOPECや米国が減産するならば、という前提で「世界全体で」▲1,000万バレルの減産を検討と報じられたことで、原油の需給タイト化観測が強まりエネルギーセクターが上昇、期待インフレ率の上昇で金も物色されることとなった。

4月に増産が始まったばかりだったのでこのタイミングの減産検討は意外感があり、広くエネルギーに買戻しが入った。しかし背景には「生産した原油の保管場所がない」ということがあると考えられ、やむを得ない状況に追い込まれているともいえる(詳しくはエネルギーの項目をご参照ください)。

それ以上に、週末発表された欧州製造業PMI改定は下方修正され、米雇用統計は市場予想を上回る悪化となった。やはり冷静に考えて世界の景気の減速が止まるまでは、テクニカルな買戻しはあるかもしれないが、基本的にリスク資産には上昇圧力が掛かり難い。

※レポートのお申込みはこちらから
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

※WTI・Brent原油の期間構造
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

※新型コロナウイルスの新規感染者数
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

【本日の価格見通し総括】

月曜日は目立った統計の発表がないが、6日に予定されているとされるOPECプラスの電話会議に注目している。

報道では▲1,000万バレルの減産を検討していると伝えられているが、ロシアは米国が含まれることを前提としており、どうなるか分からない。ただ米国の生産者の採算悪化による自主的な減産があれば、全世界で▲10%程度の減産はあるかもしれない。

この場合、売られすぎた原油に買戻しが入るため、株や金などのインフレ資産に買いが入ることになるだろう。非鉄金属も影響を受けるだろうが、すでに生産者の減産を織り込んでおり、原油ほどの上昇にはならないと見る。

今週はこのほか、週半ばに発表される中国のファイナンス関連統計に注目しているが、企業存続のための資金支援が強まっているため、「ファイナンス規模増加=リスク資産価格の上昇」となるわけではないため、それほど強い買い材料にはならないのではないか。

総資金調達額は2兆8,000億元(前月8,554億元)人民元建て新規融資は1兆8,000億元(9,057億元)、マネーサプライはM2で前年比+8.9%(+8.8%)が見こまれている。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

週末発表された米雇用統計は、市場予想を大きく下回る▲70.1万人の雇用者数の減少となった。市場予想は▲10万人の減少、前月が+22.8万人の増加だったため、わずか1か月で米国の市場状況は一変したといえる。

雇用統計は3月12日を含む週を基準とする統計であり、その後、米国のロックダウンの動きが強まったことから、実態はこれよりも悪いだろう。サービス業、接客業を中心にレイオフが進むことは確実であり、失業率が10%に達するという米連銀の見通しは、決して過剰ではない。

前期比で見た時の米成長率が▲20%~▲30%の落ち込みになるとの予想が大半であるが、恐らくQ220の後半にかけてコロナウイルスの影響が緩和するため、Q320の回復は、中国の製造業PMIが改善したように急速なものになるだろう。

しかしそれは「前期比で見た時の改善」であり、通常状態に戻るというわけではない。本格的な回復のためにはコロナ克服は必要条件であり、年を明けるまで続くかもしれないとのWHOの見通しも、決して行き過ぎたものではないだろう。

しかし、このようなスピードでレイオフが進む米国は、逆にコロナ禍が終息した場合、現金給付も含めてGDPの10%に相当する経済対策(1ヵ月間完全に生産活動が止まった場合。実際はすべての業種の稼働率が0%になるわけではないので、2~3ヵ月の生産活動停止を補う趣旨と考えられる)を実施していることから、立ち直りは早いだろう。

この時、比較感で日本の対策が遅れていることは間違いがなく、景気の落ち込みは他国に比して大きくなるリスクがある。日本人の衛生観念はほかの国よりも高いが、その「貯金」だけで凌げるかどうかはよくわからない。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業・非製造業PMIは大幅な改善となったが、アンケートの取り方が「前月からの商況の変化」であるため、これを額面通りは評価し難い。もう数ヵ月この統計を見ていく必要があるだろう。

それ以上に、今後発表される欧米のPMIの悪化度合いが重要に。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ているが、コロナウイルスの感染拡大でさらに改定される見通しでは2019年(2.9%)を下回り、リセッション入りする可能性は高まっている。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、米国の持っていた金融緩和のカードはほとんどなくなった。徐々に金融面での価格下支え効果は薄れる見込み。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の世界的な感染拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた世界的な経済活動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、さらに新型肺炎問題が終息したのちに、ウイルス問題を受けて対立が激化する可能性も排除できず。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油価格は大幅に上昇した。ロシア プーチン大統領が「世界全体で10%の減産は可能」と減産に前向きは発言をしたことを受けて、生産調整進捗観測が台頭したことで、原油に買戻しが入った。Brentは10%近い上昇に。

米雇用統計や欧州のPMIなどの材料はあったが、ほとんど材料視されず協調減産関連の報道が材料視された。

【原油価格見通し】

原油価格は一時的に上昇圧力が強まると予想される。OPEC側の呼びかけにロシアが呼応する形で減産が行われる可能性が高まったため。

ただ、ロシアは、「原油価格下落の責任をサウジアラビアに取らせる」「米国が減産に応じなければ減産しない」とも発言しており、直ちに減産が行われるとは考え難い。

なお、米国は石油製品需要の減少で生産しても在庫となってしまうことから、すでに石油製品の生産を大幅に減少させており、「価格下落による自主的な減産」が起きる可能性が出てきた。

仮に現在の価格水準が維持されれば、生産コストの高い米シェールオイル生産者の減産(破綻も含む)はあり得る。平均生産コストは50ドル近辺であり完全にコスト割れだからだ。

しかし、シェールオイル企業の多くは下落リスクヘッジを行っていることから、ヘッジ期間の目処である6月末、12月末までは大規模な減産や連鎖破綻はないと見ている。しかしすべての生産者がヘッジできている訳ではないため、3分の1程度は破綻や生産停止に追い込まれるリスクがある(生産量ベースで▲250万バレル程度)。

このように、「OPECプラスだけ」ではなく、「自主減産も含めた全世界」であれば、▲10%の減産は可能だろう。

しかし、IEAの見通しでは一時的にでも▲2,000万バレル程度の需要減少が見込まれており、▲1,000万バレルの減産では十分ではなく、やはり需要動向が価格を下押しするため、上昇したとしても再び下落すると考える。価格が上昇するにはコロナウイルスの終息が必要条件である。

コロナウイルスが終息するまで増産を止め、実態に合わせて減産で合意ということもあり得るだろう。普通に考えても需要が減少しているのだから減産は自然である

コロナウイルス禍終息後は価格が上昇するため、シェア争いが再開され増産・価格上昇が抑制されるという展開になるのではないか。

影響が良く分からないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、かなりな上昇圧力となる可能性がある。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクだろう。

この状況でも米国とイランの対立は続いている。米国はイランに対してコロナ対策支援を申し出ているが、イランは今までの経緯もあってこれを拒否しているため、緊張状態は続くと予想する。

しかし、大統領選挙を控える米国・イランが国内の窮状を受けて歩み寄る可能性はあり得る(実際、米国側から人道的な理由でイランに対する制裁を緩和する動きが見られている)。

ただ、原油価格がしばらく低迷する可能性は高く、さらにコロナウイルスの感染拡大と、それを受けた食品価格の高騰(特に小麦)は、域内の対政権不満を高めることになる。

感染拡大中の暴動はないと見るが、終息後に政権への不満が爆発する可能性があり、その場合は顕著な供給リスクとなるだろう。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落した。中国の企業活動の回復が始まっているものの、中国の主要消費者である電力会社の在庫水準が高いことや、景気の回復ペースは緩やかなものになるとの見方から。

【石炭価格見通し】

石炭価格は中国の輸入再開もあり、水準を切り上げる展開になると予想する。ただし経済活動が本格的に回復するには時間が掛ることから、上昇余地も限定されると考える。

石炭市場は環境規制の強化トレンドもあって、今後供給が減っていく可能性が高い一方、直ちに石炭火力からLNGやその他の再生可能エネルギーにシフトすることも難しく、しばらくは高止まりすることになるだろう。

結果的に価格変動性は低く、代表銘柄であるNEWCやAPI Coalの変動性は歴史的に見ても極めて低い状況。

このように、石炭市場の流動性が低下していくことが予想されることから、投機資金がさほど入っていないと見られ、需給を反映した価格動向となりやすい。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPECプラスの増産が開始された。価格急落で早晩減産が再開されると見るが、2014年の第1次OPECショックの時と同様、長期化した場合(価格下落要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

(特殊要因)

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化が、中東情勢を悪化させ供給リスクにつながる場合。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

(投機・投資要因)

・WTI、Brentともロング・ショートが増加した。3月末の資金調達にある程度目処がたち、ポジションの再構築が始まったためと考えられる。

ただし売り圧力の方が強く、買い越し幅は縮小している。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが624,397枚(前週比 +46,031枚)ショートが189,289枚(+46,936枚)ネットロングは435,108枚(▲905枚)

Brentはロングが219,723枚(前週比+7,676枚)ショートが163,354枚(+8,399枚)ネットロングは56,369枚(▲723枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落した。前日の上昇の反動と、欧州の製造業PMIが下方修正されたこと、米雇用統計が市場予想を上回る悪化となったことで、景気への懸念が強まったことが材料。

ただし同時に、コロナウイルスの感染拡大を受けた鉱山の生産活動停止の動きも強まっており、それでも下げ幅は限定されているとの印象。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、コロナウイルスの感染拡大防止のためのロックダウンの動きが強まる中、需要が低迷すること、同様に生産側にも影響が出ており、供給減少の動きが加速していることから低水準でもみ合うものと考える。

中国の工場の稼働は再開、稼働率も徐々に上昇しているが、中国製品の輸出先である欧米が経済停止の状態であり回復は緩慢なものになるだろう。

一方で、供給面にも明確な影響が出ており、価格の下値も限定されると考えられる。Bloombergの調査では、新型コロナウイルスが生産に影響を与えるとした銅生産者は全体の17%に達し、これにEscondida鉱山やSpence鉱山も加わった場合、24%に達すると見られている。

亜鉛も同様に影響を受けるが10%程度の供給が影響を受けると見られている。

中期的には、コロナウイルスの感染拡大がQ220のいずれかのタイミング(おそらく後半)で終息すると一般的に期待されていることから、年末にかけて水準を切り上げる展開になると予想される。

基本的に戻りは緩やかなものになると見ているものの、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点は上昇リスクを強める。

これによって株が急騰する可能性はあり、非鉄金属セクターは投機の売りポジションが増加しているため、リバランスの買いが価格を急速に押し上げる可能性があることだ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクだろう。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・3月の中国製造業PMIは52.0(前月35.7)と大幅な改善となり、好不況の閾値である50を回復。ただし、統計の強制的な不連続性発生により、統計が安定して評価できるようになるには数ヵ月を要する見込み。

生産活動が回復(27.8→54.1)、新規受注も回復しているが(29.3→52.0)、輸出新規受注の回復が緩慢であることを勘案すると(28.7→46.4)、やはり国内向けの回復によるもの。

新規受注在庫レシオも急回復しており、ファンダメンタルズ的には非鉄金属価格を押し上げ(ただし輸出需要の回復が緩慢であり影響は限定)。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整に動いており、供給面で価格を押し上げ(労働力が集まらない、業績悪化に伴う設備投資の減額、採算性悪化に伴う減産など、理由は様々)

・3月銅製品生産者稼働状況

 銅線生産者 75.8%(前月34.7%、過去4年平均 82.9%) 銅棒生産者 53.6%(25.9%、75.3%) 銅板生産者 32.6%(59.8%、74.4%) 銅管生産者 76.9%(39.1%、83.3%)

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月の中国の銅地金・製品の輸入量は2ヵ月で85万トン(前月53万トン)と前年比で+7.2%と増加、銅鉱石・精鉱 377万トン(198万トン)と前年比▲1.2%と小幅な減少となった。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

(投機・投資要因)

・3月27日付のLMEロング・ショートポジションは、すべてのロング・ショートが減少しており、ポジション解消の動きが強まる形となった。

3月末の決算を睨んだポジション調整に、ドル資金調達の動きが強まったことが背景。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲56.0億ドル(前週▲66.7億ドル)と売り越し幅を縮小した。ポジション解消取引の結果、ショートの買戻し圧力の方が大きかったためと見られる。売り越し額の減少率は▲16.0%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲2,294千トン(前週▲2,038千トン)と銅・アルミ・錫は売り越し幅が増加したが、その他は買戻しが入った。ネット売り越しの減少率は▲7.5%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品先物価格はまちまちだった。

中国が三連休であることから、休み前の調達圧力が強まったためと考えられる。一方原料炭価格は下落。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国の工場の稼働再開と、生産国がコロナウイルス対策の影響で鉱山の稼働を停止したり、輸送を停止したりということが顕在化し始めていることが価格を押し上げるものの、景気が減速する可能性が強く意識されているため、現状水準でもみ合うものと考える。

中国河北省の高炉稼働率は3月27日時点で74.4%(前週73.7%)と上昇を続けており、中国の工場稼働が加速していることが伺える。

今後、中国以外の国でコロナウイルスの影響が拡大することを考えると、鉄鋼業の景況感の回復にはやはり時間がかかることになるだろう。

中国の鉄鋼製品の在庫積み上がりが顕著であり、今後鉄鋼向けの需要は減速すると考えられることが、価格の上値を限定しよう。

中期的にはValeの生産が増加する見込みであり、コロナウイルスの影響が終息すればそれが本格化するとみられることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が鈍化、鉄鋼需要の伸びも欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。

しかし、生産側も同様に影響を受けていること、世界的な石炭生産制限の流れを受けて、鉄鉱石とは異なり原料炭の価格中期見通しは強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・3月の中国鉄鋼業PMIは42.2と前月の36.6から大幅に改善。

生産が回復したことと(31.3→39.3)、原材料在庫が積み上がったこと(29.2→44.9)によるもの。

受注は国内は改善したがむしろ海外向けは減速(新規受注 32.7→38.5、輸出新規受注 42.5→27.3)しており、需要面が価格を下押ししやすい。

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。

公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

1-2月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の1,075万トンと減速、コロナウイルスの感染拡大の影響で企業活動が鈍化していることが確認された。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に増加し、前年比+33.1%の6,806万トンとなった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入増加によるもの。

・中国の1-2月の鉄鉱石の輸入量は前年比+1.5%の1億7,684万トンとなった。鉄鋼製品在庫の増加によって生産活動が鈍化している一方、鉄鉱石の港湾在庫の在庫日数は低下しており、一定の在庫積み増し需要があると考えられるため。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲250万トンの1億1,865万トン(過去5年平均1億2,727万トン)、在庫日数は▲1.6日の28.3日(過去5年平均 31.1日)と依然として在庫水準は低い。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られ、価格を押し上げると考える。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲115.4万トンの2,375.1万トン(過去5年平均 1,435.9万トン)とコロナウイルスの影響で在庫が急増していたが、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが始まっている。ただし、依然として在庫水準が高いことに変わりはない。

なお、1-2月の鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の781万トンと大幅に減速しており、やはりコロナウイルスの影響が顕在化した形に。今後は徐々に回復すると見られるが感染終息状況次第である。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は上昇。ロシア・サウジが減産に傾くのではとの報道を受けて原油価格が暴騰、実質金利が低下したことが材料となった。

銀はドル高が進行したことを受けて結果的に前日比マイナス。足元、価格連動性が高いプラチナも下落した。

パラジウムは米雇用統計の悪化や欧州統計の悪化を受けた需要減速観測で、水準を切り下げた。

【貴金属価格見通し】

金銀は新型コロナウイルスへの影響が拡大、各国政府とも低金利政策や量的緩和を余儀なくされていること、ここにきて原油価格の上昇圧力が掛かっていることから、堅調な推移になると考える。

ただし、原油価格の上昇には需要の増加が必要条件であり、原油価格上昇による金価格上昇余地は限定されると考える。

現在のリスクプレミアムは130ドル(前日比▲12ドル ※毎日回帰分析をアップデートリスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください)。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では90倍、ヒストリカルに見れば80倍程度が妥当であり、その観点からは銀価格は非常に割安だ。

しかし、コロナ・OPECショックによる相場急変で、金価格と銀価格の過去の関係性が完全に崩壊してしまっており、新しい関係性が構築されるまでには時間が掛りそうだ。

COMEX銀在庫水準と銀価格の相関性はほとんどなくなっているが、在庫水準が記録的な水準になっていることを考えると、当面銀価格は低迷すると見るのが妥当だろう。

弊社は価格動向分析に生産コストを用いることを是としていない。というのも、過去に生産コスト近辺で価格が推移したことがないためである。

しかし、この状況になるとよりどころとなる情報が少なく、全く無視するわけにもいかない。

Silver Instituteの過去データを参考にすると、現在、銀生産のオールインコストは10ドル/オンス程度まで低下していると考えられる。急落局面での下値目処として、少し頭に置いておくのが良いだろう。

PGM価格は、景気の先行きは明確に悪く少なくともQ220は悪い状態が続きそうであること、株式市場の混乱も続いているためしばらくは軟調地合いの中、神経質なレンジワークを継続することになると考える。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、各国の準備金や市場取引の担保価値がみとめられている金のような安全資産としては認知されていないことによる。

銀価格は上記の通り当面低迷する可能性が高いため、プラチナ価格も低迷するだろう。

パラジウムは、世界的な景気減速に伴う自動車向け需要の減速が価格を下押しするものの、コロナウイルスの感染拡大で南アフリカの鉱山がすべて停止するなど、供給途絶リスクが顕在化しているため、高値圏での推移になると考える。

ただ、Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲90万オンスの供給不足から、▲20万オンスの供給不足に下方修正しており、上限は切り下がったと考えられる。

3月の米自動車販売は年率1,137万台(市場予想 1,270万台、前月 1,683万台)と、急速に悪化している。明らかにコロナウイルスによる消費手控えの影響によるものである。

中国の2月の自動車販売は前年比▲79.1%の31.0万台となり、年初来の累計も前年比▲42.0%の223.8万台と減少傾向を持続している。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・金・銀はキャッシュ化の動きでロング・ショートとも減少、特にロングの売り圧力が強かった。

PGMはプラチナが明確にベア転したが、パラジウムはショートの買い戻し圧力が強まった。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが287,529枚(前週比 ▲30,399枚)、ショートが28,680枚(▲882枚)、ネットロングは258,849枚(▲29,517枚)、銀が47,050枚(▲6,027枚)、ショートが16,172枚(▲3,218枚)、ネットロングは30,878枚(▲2,809枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが31,051枚(前週比 ▲2,156枚)ショートが11,203枚(+292枚)、ネットロングは19,848枚(▲2,448枚)

パラジウムが2,267枚(▲410枚)、ショートが1,355枚(▲1,031枚)ネットロングは912枚(+621枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は下落した。トウモロコシは引き続き、輸送燃料需要の減少に伴うエタノール向け需要減少観測が価格を下押し、大豆も連れ安となった。

小麦はロシアの輸出制限観測や、ロックダウンに伴うパニック買いで高値での推移が続いている。

【穀物価格見通し】

穀物価格は高安まちまちになると考える。

トウモロコシは作付け意向面積の増加と、コロナウイルスの感染拡大に伴うエタノール向け需要の減少が価格を下押しするが、同時にエタノール生産者の大幅な減産が見込まれていることが価格を下支え。

大豆はコロナウイルスの影響による輸出減速観測はあるものの、エタノール生産の減少に伴うDDGs(トウモロコシ由来の飼料)減少による飼料需要の増加や、作付面積の減少で底堅い推移になると考える。

小麦はそもそもシカゴの受け渡し可能在庫水準が低く、かつ、コロナウイルスの感染拡大に伴い、ロシアがQ220の輸出を制限するとの見方による供給懸念や、消費者のパニック買いで高値圏を維持すると考える。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、深刻な食糧危機をもたらしており、これに伴う食品需要が増加する場合。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・3月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月の米需給報告の在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ18億9,200万Bu(市場予想18億9,509万Bu、前月18億9,200万Bu)大豆 4億2,500万Bu(4億2,809万Bu、4億2,500万Bu)小麦 10億Bu(9億9,417万Bu、10億Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが235,355枚(前週比 ▲31,454枚)、ショートが274,291枚(▲26,044枚)ネットロングは▲38,936枚(▲5,410枚)

大豆はロングが158,029枚(+11,828枚)、ショートが68,618枚(▲17,236枚)ネットロングは89,411枚(+29,064枚)

小麦はロングが107,015枚(+9,578枚)、ショートが62,153枚(▲468枚)ネットロングは44,862枚(+10,046枚)

◆本日のMRA's Eye


「ポストWショックの世界経済」

コロナウイルスの感染拡大が止まらない。しかし、楽観論を言うわけではないが徐々に抗体を保有する人が増え、ワクチンも開発され、最終的には人類が勝つだろう。

景気への影響は回避できず、当面景気が低迷する可能性は高いと見ている。引き続きメインシナリオは、「Wショックの影響でしばらく景気は低迷するが、夏から秋以降にかけて回復軌道に戻る」、だろう。すなわち、先進国経済が立ち直り、新興国の需要も回復して中長期的な成長に戻るというものだ

しかし、本当にそうなるのだろうか?一連のコロナ・ショックや、第二次ムハンマドショックによる世界金融市場の動揺は、世界の為政者や企業に対して大きな方向転換を迫る契機になる可能性はあると見ている。今回のMRA's Eyeでは、現時点では「荒唐無稽」と思われるかもしれないが、ポスト・コロナの世界について「非常に極端なシナリオ」を考えてみた。

1.国内回帰への加速

30年ほど前から始まった国際分業、グローバリゼーションの加速は、モノやカネの流れを自由にし、少しでも製造コストが安い国への工場のシフトを加速させる原動力となった。その結果、部品Aは中国で、部品Bはインドネシアで、部品Cは主要原料を海外から輸入して自国で生産し、A・B・Cを自国で組み立てて輸出、ということが当たり前に行われるようになった。

一番分かりやすいのがiPhoneだろう。iPhoneの調達部品は種類が多く、多岐にわたる。日本、中国、台湾、韓国から主要製品を輸入している。言葉を変えると、これらの国からの調達が滞ると製品の生産ができなくなる、ということだ。これは米中通商戦争の時にも明らかになった。

(トウシル様のサイトより)
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/2173

この時、中国も米国も、サプライチェーンの断裂を回避するため、調達先を友好国に変更する、ないしは自国での生産に切り替えるという動きを多少なりとも実施している。日韓の対立があったときに、文在寅政権がハイテク部品を自国で生産する、という方針を打ち出したこともこれと同じである。

つまり、「製造コストが安いから」という理由で、海外に展開していた工場の自国回帰が進む可能性があり得るということである。自国でなかったとしても、消費地に近いところに一連の関連部品工場がシフトする、ということが起こるだろう。

この際、人件費が問題になるがアベノミクス中に日本で起きていた、「省力化投資」が積極に行われるようになり、ロボットが製造する無人工場が主流になるというシナリオが想定される。これはそれほど非現実的なことではなく、すでに国内でも、数年前からそのような工場の設置が始まっている

2015年8月11日 ダイヤモンド・オンライン「キヤノン「完全自動化工場」で見えた日本経済の明るい未来(真壁昭夫:法政大学大学院教授)」
https://diamond.jp/articles/-/76474

この流れで行くと、最もその達成可能性が高いのが米国、中国だろう。中国は世界の鉱物資源の約半分、モノによっては8割を生産しているため、短期的にはそれが達成可能だ。

そして、今回のコロナを克服できなかった場合、感染が拡大していない「グリーン国」ないしは「友好国」とのみ取引を行い、新しいブロック経済が形成されるかもしれない。なお、コロナが終息せず、「ポスト・コロナ」ではなく「ウィズ・コロナ」の状態になった場合、この「グリーン国」「友好国」の概念は重要になってくる。

しかし、貿易市場の縮小によりどこの国も貧しくなるため、10億人を超える国民を抱え、貧富の差も激しい中国やインドはこれを維持することが困難になり、管理可能なレベルに国が分割されることが予想される。

貿易ビジネスが縮小する中でも生き残る可能性が高いのが、人やモノの移動を伴わない、映画やマンガといったコンテンツビジネスだろう。国境を越えた教育、というのもこれに該当するかもしれない。結果、IT関連の需要が高まる可能性は高い。

2.新興国の混乱と商品市場への影響

中国を含む先進諸国の製造拠点自国回帰が進むと、新興国は最も打撃を受けることになる。このコラムで主張しているのは、新興国は人口ボーナス期に入ると耐久消費財の消費も増え、エネルギーをはじめとする資源需要が爆発的に増加、低コストを背景とした工場の移転で工業化が進み、消費国向け(主に先進国)の輸出が増加して外貨を確保、近代化が進む...というシナリオだ。

中国も概ねこのシナリオ通りに経済が拡大し、人口ボーナスがピークを迎えた2010年以降、成長が鈍化している。人件費の増加に伴い他国に製造拠点がシフトしたためである。

しかし、工場の自動化進展に伴う自国への工場回帰が起きると、新興諸国の工業化、近代化が起きないことになり農業ないしは一次産品を生産して輸出する従来のビジネスモデルから、ビジネスが多様化して発展する可能性が低下することになる。成長見通しの下方修正から、資金調達も難しくなるだろう。

先進国と新興国の経済成長を見ると、中国の人口動態がピークアウトした2010年以降、先進国と新興国の経済成長ペースが縮小している。今後、インドが期待通り新興国経済をけん引してくれればいいのだが、今回想定している「極端なリスクシナリオ」では、それが起きないことになる(世界的な低成長の常態化)。

もちろん、その国で生産・輸入しても問題がないような商品(ほかの国で容易に代替ができる商品)の生産や、消費地となる(その国で消費される)商品の生産拠点が設けられる、という動きは続くと予想される。

しかし、そこの国から他の国に大規模に輸出するこれまでの中国のような、「世界の工場」的な役割を期待する、大規模な工場設置にはならないのではないか。

その一方で、世界がどのような状態になっても、生活するために資源を確保しなければならない状態には変わりがないため、農業国、エネルギー生産国、鉱物生産国の重要性は変わらない。

しかし、その国のビジネスが多様化していないため、鉱山や油田の既得権益者に富が集まることになる。これは現在、アフリカの資源国で起きていることだが、それがほかの新興資源国にも広がる可能性がある。

その結果、貧富の差が拡大し、内紛や政権打倒の動きが強まることになる。この類の暴動は、アフリカ・中東地区ではこの20年、頻繁に発生している。結果、治安や自信の体制維持、という意味で超大国に軍事的に依存することになる。現在、それが可能な国は米国だけだろう。原油以外のビジネスを持たないロシアは凋落し、早晩、中国がこれにとって代わると予想される。

上述の通り、今後の成長のドライバーである新興国の需要増加が穏やかなものに留まるため、商品価格が上昇しなくなる。しかしその結果、生産者側の上流部門投資が十分に行われなくなり、かつ、新興資源国の治安情勢が不安定なため、価格は低水準ながらも乱高下し、価格リスク制御の需要はより高まると予想される。

また、少し異なる視点だが、コロナ対策のために世界中が金融面でバズーカを打ち合う中、金利という概念が消滅しかかっている。ブロック経済に移行して自国通貨に換金するための実需が減少する中では、結果的に通貨は安全性と国力(≒軍事力)が決定するようになる。

この中で強いのはドル、円、スイス・フランということになり、国が分裂しなければこれに人民元が続くことになる。そして相場はさほど動かなくなるのではないだろうか。

と、非常に極端なシナリオを想定したが、リーマンショック後以降に積み上がった「ひずみ」が今回のWショックで顕在化しつつあり、グローバリゼーションの正当性に関して疑問符が付きつけられている現状を考えると、これぐらいのことが起きる可能性はゼロではない。ただし、構造改革にはコストがかかるため、「元の状態に戻る」が引き続きメインシナリオだ。

ただ、ここまで極端にならなくても、サプライチェーンの寸断が与える影響があまりに大きいため、消費国近隣諸国や地域に生産拠点を集約するといった動きが出る可能性は高い。

また、在庫もギリギリまで削減するという従来の筋肉質の企業運営が当たり前だったが、やや贅肉質の企業運営に舵が切られる可能性はあるだろう。

ここまで世界が移行するのには10年単位での時間が掛ると思われるが、その間、世界経済の状態が不安定になり、商品市場においても、需要面も供給面も不安定であり「大量の資金が市場に投入されている状態」であることから、原油をはじめとする商品価格が、今回のように極端に乱高下する可能性は高い。

価格変動リスクの制御への取り組みは、より一層その必要性が高まることになるだろう。

◆主要ニュース


・3月日本サービス業PMI改定 33.8(速報比▲0.9、46.8)、コンポジット 36.2(+0.4、47.0)

・3月中国財新サービス業PMI 43.0(前月26.5)、コンポジット 46.7(27.5)

・3月ユーロ圏サービス業PMI改定 26.4(速報比▲0.2、52.6)、コンポジット 29.7(▲1.7、51.6)

・3月独サービス業PMI改定 31.7(速報比▲2.8、52.5)、コンポジット 35.0(▲2.2、50.7)

・2月ユーロ圏小売売上高 前月比+0.9%(前月▲0.7%)、前年比+3.0%(+2.2%)

・3月米雇用統計
 非農業部門雇用者数 前月比▲701千人
 (前月改定+275千人(速報比+2千人))
 民間部門雇用者数 ▲713千人(+242千人)
 製造業雇用者数 ▲18千人(+13千人)

・3月米失業率 4.4%(前月 3.5%)、不完全雇用率 8.7%(7.0%)
 労働参加率 62.7%(63.4%)
 時間当たり平均賃金 前月比+0.4%(+0.3%)、前年比+3.1%(+3.0%)
 週平均労働時間 34.2時間(34.4時間)

・3月米サービス業PMI改定 39.8(速報比+0.7、49.4)、コンポジット 40.9(+0.4、49.6)

・3月米ISM非製造業景況指数 52.5(前月57.3)新規受注 52.9(63.1)
 受注残 55.0(53.2)、在庫増減 41.5(53.9)
 在庫景況感 47.8(59.3)、雇用 47.0(55.6)

・日銀、「Q419の「需給ギャップが+0.73%と4半期連続でプラス幅が縮小。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数562(前週比▲62)
 ガスリグ 100(前週比▲2)。

・米プルイットエネルギー長官、「サウジアラビアとロシアが数日以内に減産で合意すると期待している。」

・プーチン大統領、「『世界全体で』需要の10%に相当する1,000万バレルの減産は可能。ロシアは価格下落阻止で減産の用意が在る。」

・サウジアラビア リヤドにイエメンからミサイルが着弾。

【メタル】
・銅陵有色金属集団股分有限公司、コロナウイルス対策でエクアドルの銅鉱山を閉鎖。

・Collahuasi鉱山(2019年の生産565,400トン)、労働者の40%を帰宅させる。

・三菱アルミ、中国の車部品の新工場、9月までに合併。

・Grupo Mexico、コロナウイルスの影響拡大で操業を徐々に引き下げへ。

・欧州最大の原料炭生産企業Jastrzebska Spolka Weglowa (JSW)、コロナウイルスの影響でフォースマジュールを宣言。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.DME Oman ( エネルギー )/ +20.79%/ ▲52.61%
2.ICE Brent ( エネルギー )/ +13.93%/ ▲48.32%
3.NYM WTI ( エネルギー )/ +11.93%/ ▲53.59%
4.ICEガスオイル ( エネルギー )/ +7.61%/ ▲51.63%
5.NYM灯油 ( エネルギー )/ +7.59%/ ▲47.22%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ ▲10.01%/ ▲43.68%
69.CME生牛 ( 畜産品 )/ ▲4.85%/ ▲29.17%
68.原料炭スポット ( 鉄鋼原料 )/ ▲3.87%/ ▲0.77%
67.ブラジル・ボベスパ ( 株式 )/ ▲3.76%/ ▲39.87%
66.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲3.73%/ ▲11.41%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :21,052.53(▲360.91)
S&P500 :2,488.65(▲38.25)
日経平均株価 :17,820.19(+1.47)
ドル円 :108.55(+0.64)
ユーロ円 :117.24(+0.08)
米10年債 :0.59(▲0.00)
中国10年債利回り :2.55(▲0.04)
日本10年債利回り :▲0.01(▲0.00)
独10年債利回り :▲0.44(▲0.01)
ビットコイン :6,703.55(▲45.82)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :60.73(+0.69)
エネルギー :117.61(+2.06)
ベースメタル :40.91(+0.07)
貴金属 :81.23(▲0.51)
穀物 :29.55(+0.05)
その他農畜産品 :48.30(+0.88)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :204.72(+3.95)
Brent :169.76(+6.49)
米天然ガス :68.73(▲0.4)
米ガソリン :233.01(+1.06)
ICEガスオイル :98.58(+1.93)
LME銅 :47.13(+0.38)
LMEアルミニウム :22.05(+0.11)
金 :23.68(▲0.03)
プラチナ :86.18(▲2.09)
トウモロコシ :26.67(▲0.36)
大豆 :23.68(▲0.03)

【エネルギー】
WTI :28.34(+3.02)
Brent :34.11(+4.17)
Oman :31.95(+5.50)
米ガソリン :69.16(+2.88)
米灯油 :107.06(+7.55)
ICEガスオイル :297.00(+21.00)
米天然ガス :1.62(+0.07)
英天然ガス :16.22(▲0.06)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :34.11(+4.17)
SPO380cst :192.02(+22.85)
SPOケロシン :35.28(+3.89)
SPOガスオイル :39.84(+3.08)
ICE ガスオイル :39.87(+2.82)
NYMEX灯油 :113.35(+4.75)

【貴金属】
金 :1620.81(+6.82)
銀 :14.39(▲0.10)
プラチナ :725.13(▲5.84)
パラジウム :2164.10(▲65.75)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :4,881(+40:17C)
亜鉛 :1,876(+18:14C)
鉛 :1,674(▲22:13C)
アルミニウム :1,486(+4:34C)
ニッケル :11,257(+5:65C)
錫 :14,370(▲80:95B)
コバルト :29,614(▲6)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :4842.00(▲39.50)
亜鉛 :1882.00(+6.00)
鉛 :1660.00(▲37.00)
アルミニウム :1480.00(▲24.00)
ニッケル :11200.00(▲100.00)
錫 :14125.00(▲230.00)
バルチック海運指数 :616.00(▲8.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :82.2(+0.33)
NYMEX鉄鉱石 :82.38(+0.65)
NYMEX原料炭スワップ先物 :134.9(▲5.43)
上海鉄筋直近限月 :3,297(▲3)
上海鉄筋中心限月 :3,203(+38)
米鉄スクラップ :256(+6.00)

【農産物】
大豆 :854.25(▲4.50)
シカゴ大豆ミール :303.20(▲5.90)
シカゴ大豆油 :26.43(+0.19)
マレーシア パーム油 :2320.00(▲78.00)
シカゴ とうもろこし :330.75(▲2.75)
シカゴ小麦 :549.25(+7.50)
シンガポールゴム :131.90(+3.90)
上海ゴム :9425.00(+15.00)
砂糖 :10.31(+0.02)
アラビカ :114.90(▲4.45)
ロブスタ :1191.00(▲18.00)
綿花 :50.98(+0.99)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :40.23(▲4.48)
シカゴ生牛 :88.33(▲4.50)
シカゴ飼育牛 :108.25(▲2.43)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。