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中国統計改善で上昇も株安で上げ幅削る
  • MRA商品市場レポート

2020年4月1日 第1717号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「中国統計改善で上昇も株安で上げ幅削る」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:原油価格は上昇後下落。中国統計や米統計の改善はあったが、株急落とサウジの増産で。本日は、OPECプラスの増産が開始されること、本日発表の統計も減速の可能性が高く軟調推移。

◆非鉄金属:非鉄金属価格は中国製造業PMIの改善で総じて堅調。本日は、昨日の上昇幅が大きいこと、本日発表の統計悪化の可能性は高く軟調推移。

◆鉄鋼原料:小幅下落。鉄鋼業PMIが発表され前月から改善はしたが、閾値の50を下回っており、軟調に。本日は、中国の製造業の稼働が再開していることで鉄鉱石は堅調も、鉄鋼製品在庫の水準高く頭重い。

◆貴金属:株価上昇を受けた実質金利上昇で軟調。パラジウムは株価上昇で堅調。本日は期末の資金調達圧力の弱まりと、統計悪化による株価下落でパラジウム以外は堅調推移か。

◆穀物:まちまち。米作付け意向面積の結果を受けて。本日もコロナウイルスの感染拡大に伴うエネルギー需要の減少でトウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は供給懸念の強まりで上昇。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、総じて景気循環銘柄が買い戻され、非景気循環銘柄が売られる流れとなった。中国の製造業PMI・非製造業PMIが予想外に大幅な改善となったことで、景気の先行きへの期待が高まったことが背景。

ただし中国の統計の顕著な改善は、アンケートの取り方によるところは大きく(詳しくは「昨日の世界経済・市場動向のトピックス」をご参照ください)、引けにかけては四半期末を意識した株の下落で水準を切り下げる動きとなった。

取り敢えず四半期に大きなイベントリスクが顕在化せず、何とか決算期末を乗り切ることができたが、本当の問題が顕在化するのはこれからだろう。

なお、先ほど発表された日銀短観は7年ぶりに大企業製造業の景況観がマイナスになった。先行き見通しに関しても▲11と悪化の見通しとなっている。また中小企業製造業の悪化は顕著で(▲12→▲29)であり、今後が懸念される。

ただし、この短観の締め切りは3月11日であり、欧米のロックダウンの加速や東京の首都閉鎖などの議論が始まったことは反映されていない。実態はこれよりも悪いと考えるべきである。

※レポートのお申込みはこちらから
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

【本日の価格見通し総括】

本日は、無事四半期決算を乗り切ったことでドル調達需要が減少、一旦テクニカルに買戻しが入る展開を予想している。

しかし、コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンの動きが世界的に広がっていること、実は中国は「感染しているが無症状のものを感染者としてカウントしていなかった」という事実が発覚、想定以上にコロナウイルスの終息に時間が掛る可能性が出てきたことも、価格を下押ししよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00117/033000010/?P=1

本日、発表が予定されている経済統計では、米ISM製造業景況指数、ADP雇用統計、中国財新製造業PMIに注目している。

米ISM製造業指数は44.5(前月50.1)と悪化見込みであり、景気循環銘柄価格の下押し要因となるだろう。

ADP雇用統計は▲15万人の雇用者数の減少(前月+18.3万人)と減少が見込まれているが、統計の速報性を考えると毎週発表される週間新規失業保険申請件数をより注視するべきであり、さほど反応しないと見る。

中国財新製造業PMIも45.0(40.3)と改善見込みだが、こちらの方が中国製造業PMIよりもより実態に近い(国有企業が少ない)のでどこまで回復しているのかに注目している。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日発表された3月の中国製造業PMIは52.0(前月35.7)と大幅な改善となり、好不況の閾値である50を回復した。

しかしこの調査は前月と比較した場合の商況をヒアリングするものであり、今回のような「不連続な事象」が発生した場合、単月の結果を以て判断するのが難しい。そのため、2ヵ月連続で50を回復する、といったことがなければ回復基調にあると断じるのは早計だろう。

内訳を見てみると、生産活動が回復(27.8→54.1)、新規受注も回復しているが(29.3→52.0)、輸出新規受注の回復が緩慢であることを勘案すると(28.7→46.4)、やはり国内向けの回復によるものとみられる。

非製造業指数も52.3(29.6)と大幅に回復したがこちらも恐らく国内向けの受注が回復したこと(新規受注 26.5→49.2、新規輸出 26.8→38.6)によるものだ。

海外でもコロナウイルスの影響が拡大しており、特に最大貿易相手経済圏である欧州が沈静化するまでは輸出需要の本格的な回復はないだろう。

中国の集計が本当に正しいかどうかは分からないが、感染発生を確認→拡大→ピークアウト→(今ここ)→終息、というステージに分けた場合、現在はピークアウトと終息の中間にあると考えられる。

一般にディスクローズされたのが1月だが、実際は12月の早い段階で感染拡大を中国は確認していた。よって終息まであと一息、というところまで来るのに4ヵ月程度かかったことになる。やはりその他の感染症と同様に、6ヵ月程度で終息する可能性が高く、5月末頃に終息宣言が出るのではないだろうか。

同じ基準で考えると、欧州で感染が拡大し始めたのが3月、同様の計算をすると8月末、米国や日本が9月末、ということになる。

ただ、これまでの報道ベースでは完全に撲滅して終息というのは難しく、場合によると「ポスト・コロナ」ではなく「ウィズ・コロナ」の世界を想定する必要があるかもしれない。そうなった場合、景気の回復は緩やかなものになるだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業・非製造業PMIは大幅な改善となったが、アンケートの取り方が「前月からの商況の変化」であるため、これを額面通りは評価し難い。もう数ヵ月この統計を見ていく必要があるだろう。

それ以上に、今後発表される欧米のPMIの悪化度合いが重要に。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ているが、コロナウイルスの感染拡大でさらに改定される見通しでは2019年(2.9%)を下回り、リセッション入りする可能性は高まっている。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、米国の持っていた金融緩和のカードはほとんどなくなった。徐々に金融面での価格下支え効果は薄れる見込み。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の世界的な感染拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた世界的な経済活動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、さらに新型肺炎問題が終息したのちに、ウイルス問題を受けて対立が激化する可能性も排除できず。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油価格は上昇後下落し、高安まちまち。中国のPMIが大幅に改善したことで、同国の需要回復期待が強まったものの、サウジアラビアの増産や欧米の経済活動停止状態継続を受けて引けにかけて水準を切り下げた。

【原油価格見通し】

原油価格は軟調な推移になると考える。4月に入ってサウジアラビアをはじめとする産油国の増産が始まること、新型コロナウイルスの感染拡大を受けたロックダウンの動きが欧米で拡大、需要の減少観測が根強いことが背景。

また、IMFは今月発表予定の経済見通しで、2020年の成長見通しを下方修正することは確実であり、このことも価格を下押しするだろう。

ただし、四半期末を控えたドル資金の確保に伴う換金売り圧力が弱まったことから、下げ幅も限定されると考える。

やや中期的には、コロナウイルスの感染拡大がQ220のどこか(おそらく後半)で終息すると一般的に期待されていることから、年末にかけて水準を切り上げる展開になると予想される。ただ、OPECプラスの増産合戦もあるため、上昇余地も限られると考える。

よくわからないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、かなりな上昇圧力となる可能性がある。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクだろう。

この状況でも米国とイランの対立は続いている。米国はイランに対してコロナ対策支援を申し出ているが、イランは今までの経緯もあってこれを拒否しているため、緊張状態は続くだろう。

しかし、大統領選挙を控える米国・イランが国内の窮状を受けて歩み寄る可能性はあり得る(実際、米国側から人道的な理由でイランに対する制裁を緩和する動きが見られている)。

ただ、サウジアラビアが始めた増産合戦の影響で、しばらく原油価格が低迷する可能性は高く、さらにコロナウイルスの感染拡大と、それを受けた食品価格の高騰(特に小麦)は、域内の対政権不満を高めることになる。

感染拡大中の暴動はないと見るが、終息後に政権への不満が爆発する可能性があり、その場合は顕著な供給リスクとなるだろう。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は上昇した。コロナウイルスの終息期待で中国の経済活動が戻りつつある中、石炭の調達需要(電力需要)が高まっていることが背景。

【石炭価格見通し】

石炭価格は中国の輸入再開もあり、水準を切り上げる展開になると予想する。ただし経済活動が本格的に回復するには時間が掛ることから、上昇余地も限定されると考える。

石炭市場は環境規制の強化トレンドもあって、今後供給が減っていく可能性が高い一方、直ちに石炭火力からLNGやその他の再生可能エネルギーにシフトすることも難しく、しばらくは高止まりすることになるだろう。

結果的に価格変動性は低く、代表銘柄であるNEWCやAPI Coalの変動性は歴史的に見ても極めて低い状況。

このように、石炭市場の流動性が低下していくことが予想されることから、投機資金がさほど入っていないと見られ、需給を反映した価格動向となりやすい。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPECプラスの増産が開始された。価格急落で早晩減産が再開されると見るが、2014年の第1次OPECショックの時と同様、長期化した場合(価格下落要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

(特殊要因)

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化が、中東情勢を悪化させ供給リスクにつながる場合。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

(投機・投資要因)

・WTIはロング・ショートとも減少、価格急落でショートの買戻し圧力が強く、ショートの解消による買戻しが大きかった。

Brentはサウジ・ロシアの増産観測と域内景気の減速懸念からロングが減少、ショートが増加している。

ポジションが増加しているのは、ある意味「ドル資産確保」の動きから一歩踏み出しているともいえ、市場参加者は少し落ち着きを取り戻しているのかもしれない。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが578,366枚(前週比 +5,547枚)ショートが142,353枚(+9,771枚)ネットロングは436,013枚(▲4,224枚)

Brentはロングが212,047枚(前週比▲35,476枚)ショートが154,955枚(▲14,063枚)ネットロングは57,092枚(▲21,413枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は上昇。最大消費国である中国の製造業・非製造業PMIが予想を上回る大幅な改善となり、需要見通しへの楽観が広がったことが材料となった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、コロナウイルスの感染拡大防止のためのロックダウンの動きが強まる中、需要が低迷すること、同様に生産側にも影響が出ており、供給減少が見込まれることから軟調地合いながらも底堅い推移になると予想する。

3月の中国製造業PMIは52.0(前月35.7)と大幅な改善となり、好不況の閾値である50を回復した。しかしこの調査は前月と比較した場合の商況をヒアリングするものであり、今回のような「不連続な事象」が発生した場合、単月の結果を以て判断するのが難しい。

内訳を見てみると、生産活動が回復(27.8→54.1)、新規受注も回復しているが(29.3→52.0)、輸出新規受注の回復が緩慢であることを勘案すると(28.7→46.4)、やはり国内向けの回復によるものとみられる。

銅製品生産者の3月の稼働状況は、銅線生産者が75.8%(前月34.7%、過去4年平均 82.9%)、銅棒生産者が53.6%(25.9%、75.3%)、銅板生産者 32.6%(59.8%、74.4%)、銅管生産者が76.9%(39.1%、83.3%)と急速に回復している。

ただし、中国製品の輸出先である欧米が経済停止の状態であり、今後の回復は緩慢なものになるだろう。

一方で、供給面にも明確な影響が出ており、価格の下値も限定されると考えられる。Bloombergの調査では、新型コロナウイルスが生産に影響を与えるとした銅生産者は全体の17%に達し、これにEscondida鉱山やSpence鉱山も加わった場合、24%に達すると見られている。亜鉛も同様に影響を受けるが10%程度の供給が影響を受けると見られている。

中期的には、コロナウイルスの感染拡大がQ220のどこか(おそらく後半)で終息すると一般的に期待されていることから、年末にかけて水準を切り上げる展開になると予想される。

この際のリスクは、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、非鉄金属セクターは投機の売りポジションが増加しているため、リバランスの買いが価格を急速に押し上げる可能性があることだ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクだろう。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月の中国の銅地金・製品の輸入量は2ヵ月で85万トン(前月53万トン)と前年比で+7.2%と増加、銅鉱石・精鉱 377万トン(198万トン)と前年比▲1.2%と小幅な減少となった。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

(投機・投資要因)

・3月27日付のLMEロング・ショートポジションは、すべてのロング・ショートが減少しており、ポジション解消の動きが強まる形となった。

3月末の決算を睨んだポジション調整に、ドル資金調達の動きが強まったことが背景。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲56.0億ドル(前週▲66.7億ドル)と売り越し幅を縮小した。ポジション解消取引の結果、ショートの買戻し圧力の方が大きかったためと見られる。売り越し額の減少率は▲16.0%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲2,294千トン(前週▲2,038千トン)と銅・アルミ・錫は売り越し幅が増加したが、その他は買戻しが入った。ネット売り越しの減少率は▲7.5%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品先物価格はまちまちとなった。

中国の鉄鋼業PMIは改善したものの、製造業PMIのように閾値の50を上回ったわけではなく、厳しい状況が確認されたことが売り圧力を強めたようだ。

しかし生産者も減産を余儀なくされる可能性があることが価格を下支えした。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国の工場の稼働再開と、生産国がコロナウイルス対策の影響で鉱山の稼働を停止したり、輸送を停止したりということが顕在化し始めていることが価格を押し上げるものの、景気が減速する可能性が高いことから、現状水準でもみ合うものと考える。

またこれに加えて、中国の鉄鋼製品の在庫積み上がりが顕著で、今後鉄鋼向けの需要は減速すると見られることから、徐々に水準を切り下げる展開になると予想される。

ただし、中国河北省の高炉稼働率は3月27日時点で74.4%(前週73.7%)と上昇を続けており、中国の工場稼働が加速していることが伺える。

3月の中国鉄鋼業PMIは42.2と前月の36.6から大幅に改善した。しかし、生産が回復したことと(31.3→39.3)、原材料在庫が積み上がったこと(29.2→44.9)によるものであり、受注は国内は改善したがむしろ海外向けは減速している(新規受注 32.7→38.5、輸出新規受注 42.5→27.3)。

今後、中国以外の国でコロナウイルスの影響が拡大することを考えると、鉄鋼業の景況感の回復にはやはり時間がかかることになるだろう。メインシナリオは夏の終わりごろからの回復が予想される。

Valeはの生産が増加する見込みであり、コロナウイルスの影響が終息すればそれが本格化するとみられることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が鈍化、鉄鋼需要の伸びも欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。

しかし、生産側も同様に影響を受けていること、世界的な石炭生産制限の流れを受けて、鉄鉱石とは異なり原料炭の価格中期見通しは強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

3月の中国鉄鋼業PMIは42.2と前月の36.6から大幅に改善した。しかし、生産が回復したことと(31.3→39.3)、原材料在庫が積み上がったこと(29.2→44.9)によるものであり、受注は国内は改善したがむしろ海外向けは減速(新規受注 32.7→38.5、輸出新規受注 42.5→27.3)しており、需要面が価格を下押ししやすい。

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。

公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

1-2月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の1,075万トンと減速、コロナウイルスの感染拡大の影響で企業活動が鈍化していることが確認された。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に増加し、前年比+33.1%の6,806万トンとなった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入増加によるもの。

・中国の1-2月の鉄鉱石の輸入量は前年比+1.5%の1億7,684万トンとなった。鉄鋼製品在庫の増加によって生産活動が鈍化している一方、鉄鉱石の港湾在庫の在庫日数は低下しており、一定の在庫積み増し需要があると考えられるため。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲260万トンの1億2,115万トン(過去5年平均1億2,727万トン)、在庫日数は▲0.6日の29.9日(過去5年平均 35.8日)と依然として在庫水準は低い。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られ、価格を押し上げると考える。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲77.6万トンの2,490.5万トン(過去5年平均 1,487.4万トン)とコロナウイルスの影響で在庫が急増していたが、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが始まっている。ただし、依然として在庫水準が高いことに変わりはない。

なお、1-2月の鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の781万トンと大幅に減速しており、やはりコロナウイルスの影響が顕在化した形に。今後は徐々に回復すると見られるが感染終息状況次第である。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は大幅に下落した。米国時間荷発表された消費者信頼感指数が改善したことを受けて株価が上昇、それを契機に水準を切り下げたが、米国での新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で引けにかけて換金売りに押された。

銀は金価格の上昇を受けて上昇したが、引けにかけての金下落で水準を切り下げる展開。この数ヵ月、銀価格との連動性が高まっているプラチナは銀と同様、水準を切り下げた。

パラジウムは米経済統計が思ったよりも悪くなかったことで株価が上昇、水準を切り上げた。

【貴金属価格見通し】

金銀は新型コロナウイルスへの影響が拡大、各国政府とも低金利政策や量的緩和を余儀なくされていることが価格を押し上げるものの、景気への懸念が広がり、原油価格の低迷もあって期待インフレ率の上昇が抑制されることから、上昇余地も限られると考える。

現在のリスクプレミアムは163ドル(前日比変わらず ※毎日回帰分析をアップデートリスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください)。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では90倍、ヒストリカルに見れば80倍程度が妥当であり、その観点からは銀価格は非常に割安だ。

しかし、コロナ・OPECショックによる相場急変で、金価格と銀価格の過去の関係性が完全に崩壊してしまっており、新しい関係性が構築されるまでには時間が掛りそうだ。

COMEXの在庫水準と価格の相関性はほとんどなくなっているが、在庫水準が記録的な水準になっていることを考えると、当面銀価格は低迷すると見るのが妥当だろう。

弊社は価格動向分析に生産コストを用いることを是としていない。というのも過去に生産コスト近辺で価格が推移したことがないためである。

しかし、この状況になるとよりどころとなる情報が少なく、全く無視するわけにもいかない。

Silver Instituteの過去データを参考にすると、現在、銀生産のオールインコストは10ドル/オンス程度まで低下していると考えられる。急落局面での下値目処として、少し頭に置いておくのが良いだろう。

PGM価格は、景気の先行きは明確に良くなく、株式市場の混乱も続いているためしばらくは軟調地合いの中、神経質なレンジワークを継続することになると考える。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、金ほどの安全資産としては認知されていないことによる。

銀価格は上記の通り当面低迷する可能性が高いため、プラチナ価格も低迷するだろう。

パラジウムは、世界的な景気減速に伴う自動車向け需要の減速が価格を下押しするものの、コロナウイルスの感染拡大で南アフリカの鉱山がすべて停止するなど、供給途絶リスクが顕在化しているため、高値圏での推移になると考える。

ただ、Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲90万オンスの供給不足から、▲20万オンスの供給不足に下方修正しており、上限は切り下がったと考えられる。

2月の米自動車販売は年率1,683万台(市場予想 1,671万台、前月 1,684万台)と、市場予想ほどではないが前月から若干減速した。

中国の2月の自動車販売は前年比▲79.1%の31.0万台となり、年初来の累計も前年比▲42.0%の223.8万台と減少傾向を持続している。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・金はロングが上昇、ショートが減少。COMEXがコロナウイルスの影響で現物の確保ができず、現物の受け渡しに影響が出るとの見方で、ショート筋がスクイーズされた形。

銀はロングが減少、ショートが増加。換金売りに押された。

プラチナも換金売り圧力でロングが大幅に減少、パラジウムはロング・ショートとも減少した。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが317,928枚(前週比 +523枚)、ショートが29,562枚(▲5,927枚)、ネットロングは288,366枚(+6,450枚)、銀が53,077枚(▲8,138枚)、ショートが19,390枚(+143枚)、ネットロングは33,687枚(▲8,281枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが33,207枚(前週比 ▲4,611枚)ショートが10,911枚(+740枚)、ネットロングは22,296枚(▲5,351枚)

パラジウムが2,677枚(▲1,206枚)、ショートが2,386枚(▲242枚)ネットロングは291枚(▲964枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は下落した。発表された作付け意向面積で、トウモロコシの作付け面積の増加が予想を大きく上回ったことでトウモロコシ価格は下落。

一方、大豆の作付面積の減少は予想を下回ったことで上昇。なお、弊社予想では大豆の作付け面積率(大豆作付面積÷大豆・トウモロコシ作付面積)を47.4%を見込んでいたが、46.3%に低下した。

小麦は作付け面積が予想よりも減少、ドル安も進行したが、すでに高値圏にあることもあって小幅な下落となった。

作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

【穀物価格見通し】

穀物価格は高安まちまちになると考える。

トウモロコシは作付け意向面積の増加と、コロナウイルスの感染拡大に伴うエタノール向け需要の減少が価格を下押しするが、同時にエタノール生産者の大幅な減産が見込まれていることが価格を下支え。

大豆はエタノール生産の減少に伴うDDGs(トウモロコシ由来の飼料)減少により、価格は押し上げられると考える。

小麦はそもそもシカゴの受け渡し可能在庫水準が低く、かつ、コロナウイルスの感染拡大に伴い、ロシアがQ220の輸出を制限するとの見方による供給懸念や、消費者のパニック買いで高値圏を維持すると考える。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、深刻な食糧危機をもたらしており、これに伴う食品需要が増加する場合。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・3月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月の米需給報告の在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ18億9,200万Bu(市場予想18億9,509万Bu、前月18億9,200万Bu)大豆 4億2,500万Bu(4億2,809万Bu、4億2,500万Bu)小麦 10億Bu(9億9,417万Bu、10億Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが266,809枚(前週比 ▲20,120枚)、ショートが300,335枚(▲4,904枚)ネットロングは▲33,526枚(▲15,216枚)

大豆はロングが146,201枚(▲3,964枚)、ショートが85,854枚(▲30,695枚)ネットロングは60,347枚(+26,731枚)

小麦はロングが97,437枚(▲1,848枚)、ショートが62,621枚(▲22,163枚)ネットロングは34,816枚(+20,315枚)

◆本日のMRA's Eye


「コロナ禍でオレンジジュース先物は暴騰」

オレンジジュース価格が暴騰している。価格の上昇は顕著で、年初からの上昇率は弊社が重要としてウオッチしている70商品のなかで1位の+21.6%(原稿執筆時点)となっている。ほとんどの商品がコロナショック・OPECショックによる換金売りで下落する中、異なる動きを見せている。

2019-2020年のオレンジジュースの需給バランスは、原料のオレンジの生産減少により、オレンジジュースも生産が減少(5,329万6,000トン→4,746万9,000トン)、需要の減少(3,016万トン→2,865万7,000トン)を上回るため、供給過剰幅が前年の+43万7,000トンから+7万2,000トンに縮小する見通しが示されていた。

オレンジジュースもその他の農産品と同様に、需要を生産で割った「需給率」の価格に対する説明力が高く、過去データを基にした回帰分析を行うと108セント/ポンド程度になると予想されていた。

しかし、足元の価格は118セントまで上昇している。これは新型コロナウイルスが、需要面、供給面、両面に影響を与えたことによるものだ。

オレンジジュースの価格上昇は3月20日から始まっている。これは米ポンペオ国務長官が、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためにメキシコとの国境を封鎖することを決定した。

ただし貿易や商業、教育医療などは対象外とされた。しかし、人の移動が制限されることにより航空便が減便されることは確実であり、航空便の減便による輸送能力の低下(旅客機でも生鮮食品や場合によっては自動車も運ぶことがある)による供給量の減少が意識されたようだ。

オレンジジュースの世界最大の輸出国はブラジルで8割に達するが、メキシコは2位の約1割を輸出している。

また、需要面も意識された。米国のコロナウイルスの感染拡大が続く中で、「少しでも健康なものを」「ビタミンを」という動きが強まり、オレンジジュースの需要が増加したとの見方である。

ただし、直近の状況を示した統計の発表がないため、実際に需給がひっ迫しているかどうかは分からない。

しかし、足元の投機取引も含めた需給バランスを見るうえで参考になる、先物の期間構造は、期近の上昇が顕著であり需給がタイト化していることを示唆している。

今後、統計が発表される中で徐々に実態が明らかになっていくと思われるが、輸送能力の低下と健康志向の高まりがオレンジジュース先物価格を押し上げる可能性は高いと見ている。

◆主要ニュース


・2月日本失業率 2.4%(前月2.4%)、有効求人倍率 1.45倍(1.49倍)

・2月日本小売売上高 前年比+1.7%(前月▲0.4%)、前月比+0.6%(+1.5%)

・1月日本自動車生産 前年▲3.5%の762,315台(前月▲8.5%の725,296台)
 乗用車 ▲2.6%の659,155台(▲8.9%の622,000台)
 トラック ▲10.1%の94,008台(▲7.6%の93,618台)
 バス ▲10.1%の9,152台(+13.7%の9,678台)

・2月日本住宅着工戸数前年比▲12.3%の87.1万戸(前月▲10.1%の81.3万戸)

・2月日本建設工事受注 前年比+0.7%(前月▲17.0%)

・3月中国製造業PMI 52.0(前月35.7)、生産 54.1(27.8)
 新規受注 52.0(29.3)、輸出新規受注 46.4(28.7)
 受注残 46.3(35.6)、輸入 48.4(31.9)

・3月中国鉄鋼業PMI 42.2(前月36.6)、生産 39.3(31.3)
 新規受注 38.5(32.7)、輸出新規受注 27.3(42.5)
 完成品在庫 41.6(57.5)、原材料在庫 44.9(29.2)

・3月中国非製造業PMI 52.3(前月29.6)、新規受注 49.2(26.5)
 新規輸出 38.6(26.8)、受注残 43.0(35.2)、在庫 46.1(39.3)
 雇用 47.7(37.9)

・3月ユーロ圏消費者物価指数 前月比+0.5%(前月▲1.0%)
 前年比+0.7%(+1.2%)、コア指数 +1.0%(+1.2%)

・3月独失業者数 前月比+1千人(前月▲10.0千人)
 失業保険申請率 5.0%(5.0%)

・1月米S&Pコアロジック住宅主要20都市価格指数
 前月比+0.30%(前月改定+0.41%)、前年比+3.08%(+2.84%)

・3月シカゴ購買部協会指数 47.8(前月 49.0)

・3月米コンファレンスボード消費者信頼感指数 120.0(前月改定 132.6)
 現況指数 167.7(169.3)、期待指数 88.2(108.1)
 6ヵ月以内自動車購入 11.6(12.6)、住宅 5.4(6.8)

・FRB、外国中銀にドル供与する暫定的なレポ設定。

・ユーロ圏財務省会合 センテーノ議長、「新型コロナが予算に与える打撃は感染拡大の甚大なショックと同等。政府はユーロ圏という通貨ブロックが分断の脅威にさらされることがないよう、政策行動を取るべきだ」

・G20財務相テレビ会議実施。新興国と途上国に金融支援を迅速に行うことで一致。

・米トランプ大統領、議会に対して2兆ドル規模のインフラ法案の可決を求めた。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米在庫統計市場予想 原油+3,920KB(前週+1,623KB)
 ガソリン+1,087KB(▲1,537KB)
 ディスティレート+316KB(▲678KB)
 稼働率▲1.33%(+0.90%)

・API石油統計 原油在庫+10.5MB、クッシング+2.93MB
 ガソリン▲6.1MB、ディスティレート▲4.5MB

・OPECプラス、本日から増産を開始。

・イラン、米制裁回避の枠組みを始めて活用し、支援物資を欧州から輸入。

・米ポンペオ国務長官、新型コロナウイルスの感染拡大への対応に配慮し、イランに対する制裁緩和も検討。

・3月OPEC加盟国生産、前月比+9万バレルの2,793万バレル。サウジアラビアの増産で。

【メタル】
・ロシア、4月1日から金の購入を停止。この5年間で400億ドルを投じて金を購入してきたため、さらに買い増す必要性が低下したためと考えられる。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.DME Oman ( エネルギー )/ +11.55%/ ▲60.62%
2.欧州排出権 ( 排出権 )/ +3.90%/ ▲28.26%
3.LME銅 3M ( ベースメタル )/ +3.65%/ ▲20.08%
4.インド・センセックス ( 株式 )/ +3.62%/ ▲28.57%
5.LME鉛 3M ( ベースメタル )/ +2.83%/ ▲9.15%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲6.07%/ ▲31.29%
69.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.94%/ ▲47.44%
68.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ ▲3.24%/ ▲26.92%
67.CBTエタノール ( エネルギー )/ ▲3.09%/ ▲33.75%
66.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲2.96%/ ▲25.08%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :21,917.16(▲410.32)
S&P500 :2,584.59(▲42.06)
日経平均株価 :18,917.01(▲167.96)
ドル円 :107.54(▲0.22)
ユーロ円 :118.63(▲0.43)
米10年債 :0.67(▲0.06)
中国10年債利回り :2.58(▲0.03)
日本10年債利回り :0.02(+0.00)
独10年債利回り :▲0.47(+0.02)
ビットコイン :6,481.37(+3.82)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :56.28(▲0.04)
エネルギー :105.23(+0.73)
ベースメタル :41.20(▲0.15)
貴金属 :81.01(▲0.57)
穀物 :28.85(▲0.12)
その他農畜産品 :42.95(▲0.19)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :177.88(+0.42)
Brent :134.96(▲0)
米天然ガス :68.52(+0.33)
米ガソリン :216.42(▲0.34)
ICEガスオイル :94.43(+0.8)
LME銅 :46.51(+0.09)
LMEアルミニウム :22.61(▲1.03)
金 :22.23(+0.03)
プラチナ :87.85(▲0.58)
トウモロコシ :27.67(▲1.28)
大豆 :22.23(+0.03)

【エネルギー】
WTI :20.48(+0.39)
Brent :22.74(▲0.02)
Oman :26.55(+2.75)
米ガソリン :57.32(▲1.23)
米灯油 :101.21(▲0.73)
ICEガスオイル :292.75(+7.50)
米天然ガス :1.64(▲0.05)
英天然ガス :16.33(▲0.67)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :22.74(▲0.02)
SPO380cst :155.03(+0.06)
SPOケロシン :28.58(▲1.54)
SPOガスオイル :35.28(▲0.88)
ICE ガスオイル :39.30(+1.01)
NYMEX灯油 :99.25(▲0.96)

【貴金属】
金 :1577.18(▲45.33)
銀 :13.97(▲0.07)
プラチナ :723.09(▲5.11)
パラジウム :2363.11(+37.48)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :4,812(+39:14.5C)
亜鉛 :1,880(+32:12C)
鉛 :1,719(+17:6.5C)
アルミニウム :1,524(▲4:35C)
ニッケル :11,298(▲41:63C)
錫 :14,360(+100:41B)
コバルト :29,631(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :4930.00(+173.50)
亜鉛 :1906.50(+42.50)
鉛 :1747.00(+48.00)
アルミニウム :1525.50(▲3.50)
ニッケル :11470.00(+155.00)
錫 :14535.00(+135.00)
バルチック海運指数 :548.00(▲8.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :88.02(▲0.19)
NYMEX鉄鉱石 :88.02(▲0.20)
NYMEX原料炭スワップ先物 :159.68(▲0.32)
上海鉄筋直近限月 :3,431(+38)
上海鉄筋中心限月 :3,245(▲11)
米鉄スクラップ :254(▲3.00)

【農産物】
大豆 :886.00(+3.75)
シカゴ大豆ミール :321.50(▲4.00)
シカゴ大豆油 :27.01(+0.14)
マレーシア パーム油 :2550.00(▲41.00)
シカゴ とうもろこし :340.75(▲0.50)
シカゴ小麦 :568.75(▲0.75)
シンガポールゴム :137.30(▲0.70)
上海ゴム :9280.00(+185.00)
砂糖 :10.42(▲0.31)
アラビカ :119.55(+0.25)
ロブスタ :1186.00(▲17.00)
綿花 :51.13(+0.43)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :52.20(▲1.75)
シカゴ生牛 :101.83(+2.63)
シカゴ飼育牛 :121.93(+1.88)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。