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景気への懸念で景気循環系商品売られる
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年3月31日 第1716号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「景気への懸念で景気循環系商品売られる」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、総じて景気循環銘柄が売られ、非景気循環銘柄が物色される流れとなった。一時の狂乱的なドル資金確保の動きが一巡したが、改めて冷静に、足元の景気悪化を受けた需要の減少観測を価格が織り込み始めた。

ドル市場の需給環境の指標の1つであるドルのベーシスコストは、対円3ヵ月で36bpまで縮小(直近のピーク136bp)しており、企業の資金調達は一旦目処が立った形。

4月以降は統計や企業業績が発表されるため、徐々に需給ファンダメンタルズや個別企業の業績悪化を織り込む展開になると予想され、再びリスク資産には下押し圧力が強まる展開になると予想される。

世界的にロックダウンの動きが強まっており、日本も例外ではない。場合よると4月移行に東京都のロックダウンがあり得る状況になっている。この場合、国内株は売られる可能性が高いが、恐らく商品市場にまでは波及しないだろう。

なお、先ほど中国製造業PMIが発表されたが、市場予想を大きく上回る52.0(市場予想44.8、前月35.7)、非製造業PMIが52.3(42.0、29.6)と大幅な改善となった。

※価格変動性のグラフはこちらから(3月26日時点のもの)
https://marketrisk.jp/?p=9832&preview=true

※レポートのお申込みはこちらから
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

※Brent原油の期間構造
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

※主要米銀の5年
CDShttps://marketrisk.jp/news-contents/contents/9655.html

※新型コロナウイルスの新規感染者数
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

【本日の価格見通し総括】

早朝に発表された中国の製造業・非製造業PMIが改善したことで、景気循環系商品には買戻しが入りやすい展開になると予想される。

しかし、このPMIは国有企業を主体とする大企業を中心としたアンケートであり、これを以って改善したかどうかを判断するのはやや早計だ。実際、中国国家統計局も、「3月のPMIだけで改善トレンドを示すことはできない」としており、慎重な姿勢を維持している。

というのもPMIのアンケートの取り方が「前月の商況と比較して、改善・横ばい・悪化」の三者択一となっているため、最悪だった2月に比べれば改善しているというのはある意味当たり前だからだ。

問題はこの改善傾向が持続するかどうかだろう。恐らくPMIが安定的になるにはやはり数ヵ月はかかると予想される。

また、現在の市場は中国以外の状況に注目していること、中国が発表してきた新型コロナウイルス関連の情報への疑念が生じていることから、やはりこれから発表される統計を1つずつ、吟味していく必要があるだろう。

ただ、中国の製造業は9割が再稼働(注:稼働率が元に戻ったわけではなく、低いまま稼働だけ再開した、ということ)を始めており、他国も中国と同様の封じ込めが成功すれば、感染拡大から3ヵ月弱で稼働再開にこぎつけることを示唆している。

ある意味、中国の統計の改善は(コロナの発生源ではあるが)、我々にとって「希望の光」ともいえるだろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

市場は各国のなりふり構わない対策の実施で、とりあえず落ち着きを取り戻してきた。目先、3月末の決算を越えることができれば一安心である。

しかし、本当のリスクが顕在化するのはこれからだろう。経済活動が強制的に停止される中で、実際の売り上げが減少して企業の業績悪化や解雇などが加速すると予想されるためだ。そのためこれからQ220にかけて多くの商品が、二番底をつけに行く、というのがメインシナリオである。

リスク資産価格が下落する中で懸念されるのは、投資家の損失がかさみ、保有するほかの資産にも売り圧力が強まった場合だ。特に企業の資金繰りに直結する債券市場への波及は懸念されるところである。

その仕組みで懸念されるのが原油価格の下落によるシェールオイル企業の業績が悪化だ。しかし、多くの企業が価格下落ヘッジを行っているため、恐らく6月末、12月末といったヘッジの期日までは、リスクが顕在化する可能性は高くないと考えている(後日、MRA's Eyeで解説します)。

現在、より懸念しているのがMLP(Master Limited Partnership)だ。仕組みを説明すると長くなるので、簡単な説明にとどめるが主に米国のエネルギーの中流部門(生成・備蓄・輸送)に投資する商品である。

米国の好景気と、シェールブームの発生によって米国内の輸送が増加すると予想されること、「原油価格の変動に影響を受け難い」こと、を売り文句に販売されてきた。

油価の影響を受け難いというのは、パイプラインの使用量は輸送した量に比例するためである。言葉を変えると先物などでヘッジできない、ということだ。つまりコロナウイルス禍が終息し、需要が回復しなければデフォルトの可能性もある。

デフォルトしなかったとしても、パフォーマンスの悪化で損切りを余儀なくされる投資家が増え、その他の市場に波及するリスクがあることは、意識しておくべきリスクである。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業・非製造業PMIは大幅な改善となったが、アンケートの取り方が「前月からの商況の変化」であるため、これを額面通りは評価し難い。もう数ヵ月この統計を見ていく必要があるだろう。

それ以上に、今後発表される欧米のPMIの悪化度合いに注目したい。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ているが、コロナウイルスの感染拡大でさらに改定される見通しでは2019年(2.9%)を下回り、リセッション入りする可能性は高まっている。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、米国の持っていた金融緩和のカードはほとんどなくなった。徐々に金融面での価格下支え効果は薄れる見込み。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の世界的な感染拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた世界的な経済活動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、さらに新型肺炎問題が終息したのちに、ウイルス問題を受けて対立が激化する可能性も排除できず。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、イランと米国の散発的な衝突は続き、軍事衝突懸念が再びつよまる可能性があることは排除できず。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油価格は大幅に続落した。市場の機能が元に戻りつつある中で、純粋に需給バランスの悪化観測が価格を下押しする流れとなった。

【原油価格見通し】

原油価格は市場が正常化しつつあり、換金売り圧力は弱まっているものの、世界的にロックダウンの動きが強まる中で需給ファンダメンタルズの悪化観測が意識され、軟調地合いになるものと考える。

4月になれば期末の資金対策の換金売りが一巡すること、各国の経済対策への期待が価格を押し上げるものの、実態を伴わないファイナンシャルな側面が強い。

4月から産油国の増産が開始されること、IMFの見通し下方修正、企業決算の下方修正などの弱材料が出てくることを考えると、再び原油価格は需給バランスの悪化が意識されて、下落すると考える。

弊社の予想では原油市場の需給は1,300万バレル程度の供給過剰に陥る可能性があると見ている(IEAは2,000万バレルの「需要減少」を見込んでおり、需給バランスの悪化は弊社以上に大きなものになる可能性)。

もう少し先を見据えた場合、価格が反転上昇するとすれば、1.コロナウイルスの感染拡大が終息ないしは緩和する、2.ロシアが何らかの譲歩を行う(6月に会合がもたれる、というのがメインシナリオだが、2014年の第1次OPECショックの時は2年増産が続いたため、6月に議論し、12月に減産実施というのがセカンドシナリオ、サードシナリオは2014年と同様に長期化)3.四半期決算末(目先3月)を無事に乗り越えて株などのその他の資産価格が上昇する、といったことが相場反転の条件となる。

中国以外の国の感染拡大のピークは今月~5月頃とみられている。一部で言われている「暖かくなって終息」「抗体を獲得した人間の増加で終息」ということが仮に達成できても、Q220以降になると予想される。もちろん、薬効のある薬が発見されれば話は別だ。

弊社の価格見通しは3ヵ月ごとに更新であるため、次回更新は4月上旬となるが、恐らくQ220のBrentの価格見通しは情勢に変化がなければ、Brentで25~35ドル、WTIで20~30ドルといったところが平均価格予想となる。

このように需給バランスのあるべき水準がわからない状況では、短期的に価格予想にファンダメンタルズ分析はあまり意味がない。ただしオプション取引は低迷しており、現在の価格水準以下ではさほどオプションが積み上がっていない。逆に言えば「ここまで下落したので、さらに下落したとしても20ドル程度しか余地がない」と判断している可能性がある。

逆に上昇側は、Brentが30ドル、35ドルにコールオプションが積み上がっており、この水準が抵抗線となる。WTIは然程積み上がっていないが、30ドルが抵抗線。

※Brent・WTIの期間構造はこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

※コロナウイルス感染拡大状況のアップデートはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

この状況でもイランと米国の対立は続いているが、コロナウイルスの感染拡大による死者の急増で、さすがに米国もイランに対する人道的な支援は肯定しており、不謹慎かもしれないがこれを契機に両国の関係が改善する可能性も出てきた。

しかし、基本的にはイランの国内情勢の悪化への不満を米国にぶつける流れには変わりがなく、前回の選挙結果を見てもその動きは今後も続くだろう。

シリアとトルコの対立による、難民(場合によると感染者)の欧州流入による、欧州経済の混乱もリスクであり、ガス権益を巡るトルコ・リビア・その他中東諸国との対立も域内の混乱発生のリスクを高めよう。

この他、新型コロナウイルスが中東・アフリカでも拡大しており、政府への対応の不満がさらに高まって、暴動に発展する可能性が出てきた。暴動自体が感染拡大につながるため感染拡大中は起きないだろうが、終息後に生活困窮で暴動が起きる可能性は高い。

特にアフリカ北東部~中東東部では、サバクトビバッタの被害が深刻になっている。

米中対立は通商問題が棚上げになっているが、コロナウイルスを巡る応酬が続いており、悪化する可能性が出てきた。コロナウイルス問題終了後の両国の対立が強まる可能性は、リスクシナリオとして想定しておくべき状況になった。

FOMCは、緊急利下げに加えて無制限の量的緩和も行った。これにより金融面で価格は下支えされる可能性がある一方、さらなる事態の悪化があった場合の政策面での余地はなくなった。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は上昇した。生産者側の減産観測が強まっていることが価格を押し上げた。ただし主要用途である電力向けの在庫の積み上がりもあるため、上昇幅は引き続き限定されている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は中国製造業の稼働再開が域内需要の回復期待を高めているものの、新型コロナウイルスの影響拡大は世界的に継続しており、終息までは時間がかかることから、電力需要が鈍化、現状水準でもみ合うものと考える。

足元、需要減少と供給減少、市場規模縮小に伴う流動性の低下から特にNEWC市場には投機資金が入り難いことから、価格の変動性は弊社がウォッチしている主要商品の中で最も低い、10%台、API Coalに関しても3番目に低い水準となっている。いかに、NEWCの変動性が低いかが分かる。

ただし、長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPEC・OPECプラスの交渉が決裂、さらにサウジアラビアはOSPを大きく引き下げており、価格競争の様相を呈しており、2014年の第1次OPECショックの時と同様、長期化した場合(価格下落要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入減少。1-2月はコロナウイルスの影響はあったが、輸入量は1,062万バレル/日(前月1,007万バレル/日)と高い水準を維持。

しかし、コロナウイルスの影響で3月以降、各国の輸入量が減少する可能性は高く、特に輸送燃料の減少リスクは無視できない状況。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

・米国の中東への関与低下や原油価格の下落、新型コロナウイルスの影響拡大に伴う不満爆発で、中東・北アフリカでの暴動発生。特にシーア派三日月地帯とリビアでの発生リスク。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTIはロング・ショートとも減少、価格急落でショートの買戻し圧力が強く、ショートの解消による買戻しが大きかった。

Brentはサウジ・ロシアの増産観測と域内景気の減速懸念からロングが減少、ショートが増加している。

ポジションが増加しているのは、ある意味「ドル資産確保」の動きから一歩踏み出しているともいえ、市場参加者は少し落ち着きを取り戻しているのかもしれない。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが578,366枚(前週比 +5,547枚)ショートが142,353枚(+9,771枚)ネットロングは436,013枚(▲4,224枚)

Brentはロングが212,047枚(前週比▲35,476枚)ショートが154,955枚(▲14,063枚)ネットロングは57,092枚(▲21,413枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落した。期末を控えた換金売りは一巡したものの、各国で広がるロックダウンの動きで、最大消費国である中国の輸出は減少するのではないかとの見方が強まっていることが価格を下押しした。

言葉を変えると需給バランスに市場が再度、注目して売りを入れたという印象である。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、各国の経済対策の強化と、コロナウイルスの感染拡大防止のための鉱山生産の減少が始まっていることを受けて徐々に下値を固める動きになると考える。

3月末決算を無事乗り切り、4月は一旦価格は上昇するだろうが、経済統計や企業決算が悪化することは必定であり、IMFも見通しを下方修正する可能性が高いことを考えると、再び4月に下落すると予想される。

ある意味希望的観測もあるが、その後、経済対策期待の顕在化やコロナウイルス対策の進捗で、徐々に水準を切り上げる展開になると予想している。

Bloombergの調査では、新型コロナウイルスが生産に影響を与えるとした銅生産者は全体の17%に達し、これにEscondida鉱山やSpence鉱山も加わった場合、24%に達すると見られている。亜鉛も同様に影響を受けるが10%程度の供給が影響を受けると見られている。

価格を決定するのは需要動向だが、原油におけるOPEC減産の効果のように、価格に下支え効果をもたらすと整理するのが妥当だろう。

ただし、鉱山の再稼働が遅れ、コロナウイルスの影響が限定された場合、鉱山を直ちに再稼働できるわけではないため、こうした生産停止の動きは需要回復時の価格急騰をもたらす可能性がある。

価格動向を占う上で、オプションの重要性について指摘していたが、ほとんど建玉が立っておらず参考にならなくなった。

2月の中国製造業PMIも、35.7(前月50.0)とリーマンショック時の最低水準を下回った。3月は事態の改善で徐々に稼働は戻ってこようが、時間はかかると予想される。

直近2月のデータが取得できた銅製品生産者の2月の稼働状況は、銅線生産者が34.7%(過去4年平均50.7%)、銅棒生産者40.4%(51.2%)、銅板生産者38.6%(51.8%)、銅管生産者46.5%(63.2%)と低い。

非鉄金属の取引所在庫は急速に積み上がっており、最終製品を製造している企業の稼働は上記の通り低い。非鉄金属業者が政府に対して在庫の買取を要求していることからもわかるように、当面需要が弱い状態が続き、価格も低迷すると予想される。

製造業PMIを詳細にみると、完成品在庫の水準は消費手控えでやや高く(46.0→46.1)、原材料在庫の水準は港湾の機能停止の影響で低い(47.1→33.9)。今後、港湾機能が回復する中で原材料在庫の積み増しが発生、非鉄金属価格にも上昇圧力が掛かると考えられる。

ただし、非鉄金属価格が上昇するには景気への影響が限定されることが必要条件で、さらに中国国内の詳細な情報がもたらされることや、WHOが終息宣言を出すことが必要条件となる。

しかし、中国の新規受注は29.3(前月51.4)と低迷しており、状況は厳しく、回復には時間を要するだろう。現在の感染拡大状況を勘案すると当初見込みの4~5月に終息、との見方は楽観的過ぎるかもしれない。

米中対立は通商問題が棚上げになっているが、コロナウイルスを巡る応酬が続いており、悪化する可能性が出てきた。コロナウイルス問題終了後の両国の対立が強まる可能性は、リスクシナリオとして想定しておくべき状況になった。

FOMCは、緊急利下げに加えて無制限の量的緩和も行った。これにより金融面で価格は下支えされる可能性がある一方、さらなる事態の悪化があった場合の政策面での余地はなくなった。

中長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。具体的には社会インフラとして「バッテリー」としての需要が高まると予想される、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは急減速し、リーマンショック時に記録した最低水準を下回った。状況は改善していると伝わっているが、回復にはまだ時間を要する見込み(価格の下落要因)。

在庫指数はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・1-2月の中国の銅地金・製品の輸入量は2ヵ月で85万トン(前月53万トン)と前年比で+7.2%と増加、銅鉱石・精鉱 377万トン(198万トン)と前年比▲1.2%と小幅な減少となった。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCはやや軟化したが高水準を維持。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

(投機・投資要因)

・3月20日付のLMEロング・ショートポジションは、すべてのロング・ショートが減少しており、ポジション解消の動きが強まる形となった。3月末の決算を睨んだポジション調整に、ドル資金調達の動きが強まったことが背景。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲66.7億ドル(前週▲79.2億ドル)と売り越し幅を縮小した。対策期待、というよりはポジション解消取引の結果、ショートの買戻し圧力の方が大きかったためと見られる。売り越し額の減少率は▲15.8%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲2,038千トン(前週▲2,193千トン)とアルミ・ニッケル・錫は売り越し幅が増加したが、その他は買戻しが入った。ネット売り越しの減少率は▲7.1%%。

---≪鉄鋼原料≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油価格は大幅に続落した。市場の機能が元に戻りつつある中で、純粋に需給バランスの悪化観測が価格を下押しする流れとなった。

【原油価格見通し】

原油価格は市場が正常化しつつあり、換金売り圧力は弱まっているものの、世界的にロックダウンの動きが強まる中で需給ファンダメンタルズの悪化観測が意識され、軟調地合いになるものと考える。

4月になれば期末の資金対策の換金売りが一巡すること、各国の経済対策への期待が価格を押し上げるものの、実態を伴わないファイナンシャルな側面が強い。

4月から産油国の増産が開始されること、IMFの見通し下方修正、企業決算の下方修正などの弱材料が出てくることを考えると、再び原油価格は需給バランスの悪化が意識されて、下落すると考える。

弊社の予想では原油市場の需給は1,300万バレル程度の供給過剰に陥る可能性があると見ている(IEAは2,000万バレルの「需要減少」を見込んでおり、需給バランスの悪化は弊社以上に大きなものになる可能性)。

もう少し先を見据えた場合、価格が反転上昇するとすれば、1.コロナウイルスの感染拡大が終息ないしは緩和する、2.ロシアが何らかの譲歩を行う(6月に会合がもたれる、というのがメインシナリオだが、2014年の第1次OPECショックの時は2年増産が続いたため、6月に議論し、12月に減産実施というのがセカンドシナリオ、サードシナリオは2014年と同様に長期化)3.四半期決算末(目先3月)を無事に乗り越えて株などのその他の資産価格が上昇する、といったことが相場反転の条件となる。

中国以外の国の感染拡大のピークは今月~5月頃とみられている。一部で言われている「暖かくなって終息」「抗体を獲得した人間の増加で終息」ということが仮に達成できても、Q220以降になると予想される。もちろん、薬効のある薬が発見されれば話は別だ。

弊社の価格見通しは3ヵ月ごとに更新であるため、次回更新は4月上旬となるが、恐らくQ220のBrentの価格見通しは情勢に変化がなければ、Brentで25~35ドル、WTIで20~30ドルといったところが平均価格予想となる。

このように需給バランスのあるべき水準がわからない状況では、短期的に価格予想にファンダメンタルズ分析はあまり意味がない。ただしオプション取引は低迷しており、現在の価格水準以下ではさほどオプションが積み上がっていない。逆に言えば「ここまで下落したので、さらに下落したとしても20ドル程度しか余地がない」と判断している可能性がある。

逆に上昇側は、Brentが30ドル、35ドルにコールオプションが積み上がっており、この水準が抵抗線となる。WTIは然程積み上がっていないが、30ドルが抵抗線。

※Brent・WTIの期間構造はこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

※コロナウイルス感染拡大状況のアップデートはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

この状況でもイランと米国の対立は続いているが、コロナウイルスの感染拡大による死者の急増で、さすがに米国もイランに対する人道的な支援は肯定しており、不謹慎かもしれないがこれを契機に両国の関係が改善する可能性も出てきた。

しかし、基本的にはイランの国内情勢の悪化への不満を米国にぶつける流れには変わりがなく、前回の選挙結果を見てもその動きは今後も続くだろう。

シリアとトルコの対立による、難民(場合によると感染者)の欧州流入による、欧州経済の混乱もリスクであり、ガス権益を巡るトルコ・リビア・その他中東諸国との対立も域内の混乱発生のリスクを高めよう。

この他、新型コロナウイルスが中東・アフリカでも拡大しており、政府への対応の不満がさらに高まって、暴動に発展する可能性が出てきた。暴動自体が感染拡大につながるため感染拡大中は起きないだろうが、終息後に生活困窮で暴動が起きる可能性は高い。

特にアフリカ北東部~中東東部では、サバクトビバッタの被害が深刻になっている。

米中対立は通商問題が棚上げになっているが、コロナウイルスを巡る応酬が続いており、悪化する可能性が出てきた。コロナウイルス問題終了後の両国の対立が強まる可能性は、リスクシナリオとして想定しておくべき状況になった。

FOMCは、緊急利下げに加えて無制限の量的緩和も行った。これにより金融面で価格は下支えされる可能性がある一方、さらなる事態の悪化があった場合の政策面での余地はなくなった。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は上昇した。生産者側の減産観測が強まっていることが価格を押し上げた。ただし主要用途である電力向けの在庫の積み上がりもあるため、上昇幅は引き続き限定されている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は中国製造業の稼働再開が域内需要の回復期待を高めているものの、新型コロナウイルスの影響拡大は世界的に継続しており、終息までは時間がかかることから、電力需要が鈍化、現状水準でもみ合うものと考える。

足元、需要減少と供給減少、市場規模縮小に伴う流動性の低下から特にNEWC市場には投機資金が入り難いことから、価格の変動性は弊社がウォッチしている主要商品の中で最も低い、10%台、API Coalに関しても3番目に低い水準となっている。いかに、NEWCの変動性が低いかが分かる。

ただし、長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPEC・OPECプラスの交渉が決裂、さらにサウジアラビアはOSPを大きく引き下げており、価格競争の様相を呈しており、2014年の第1次OPECショックの時と同様、長期化した場合(価格下落要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入減少。1-2月はコロナウイルスの影響はあったが、輸入量は1,062万バレル/日(前月1,007万バレル/日)と高い水準を維持。

しかし、コロナウイルスの影響で3月以降、各国の輸入量が減少する可能性は高く、特に輸送燃料の減少リスクは無視できない状況。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

・米国の中東への関与低下や原油価格の下落、新型コロナウイルスの影響拡大に伴う不満爆発で、中東・北アフリカでの暴動発生。特にシーア派三日月地帯とリビアでの発生リスク。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTIはロング・ショートとも減少、価格急落でショートの買戻し圧力が強く、ショートの解消による買戻しが大きかった。

Brentはサウジ・ロシアの増産観測と域内景気の減速懸念からロングが減少、ショートが増加している。

ポジションが増加しているのは、ある意味「ドル資産確保」の動きから一歩踏み出しているともいえ、市場参加者は少し落ち着きを取り戻しているのかもしれない。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は小幅に下落した。換金売り圧力は一巡したが、コロナ対策関連銘柄を中心に株価が上昇したこと、それを受けた長期金利の上昇が実質金利を押し上げたため。

銀は実質金利の上昇もあって大幅に下落、足元、銀との価格相関性が高い銀価格も大幅な下落となった。パラジウムは株価の戻りや、鉱山の稼働停止で水準を切り上げた。

【貴金属価格見通し】

金銀は新型コロナウイルスへの影響が拡大し、3月末の決算を控えたドル確保のための売りが一巡したと見られ、低金利政策を背景に買戻しが入ると考える。

現在のリスクプレミアムは215ドル(前日比▲4ドル ※毎日回帰分析をアップデートリスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください)と下落。

米中の対立による、安全資産需要の高まりはあり得るが今のところ「共通の敵」への対処が必要であり、今現在、米中対立が安全資産需要を高めることにはならないと考える。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は上昇を続け、100倍を超えている。金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、直近1年データを元にすると87倍程度、この10年データを元にした分析結果である80倍であることを考えると、やはり現在の金価格は割高であり、銀価格は割安である。

リスク回避姿勢が強まり金が割高となる局面では、割安な銀が投機的な観点から物色される可能性はある。ただし、金価格が急落する局面では、過去の例をみると金以上に銀が売られるリスクは高い。

弊社は短期の価格動向分析として、生産コスト分析はあまり意味がないと考えているが、市場参加者の中には生産コストを意識して取引している向きもあるため全く無視するわけにもいかない。

Silver Instituteの過去データを参考にすると、現在10ドル/オンス程度まで低下していると考えられ、その点からも下げ余地は限定されることになる。

PGM価格は、景気の先行きは明確に良くなく、株式市場の混乱も続いているためしばらくは軟調地合いの中、神経質なレンジワークを継続することになると考える。

なお、需要が減少することはほぼ間違いがないが、南アフリカの鉱山が稼働停止となるなど供給面の懸念も強まっており、特にパラジウムは需給がタイトだ。

Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲90万オンスの供給不足から、▲20万オンスの供給不足に下方修正した。しかし引き続き、大規模な供給不足に変わりはなく、価格は高値を維持しよう。

2月の米自動車販売は年率1,683万台(市場予想 1,671万台、前月 1,684万台)と、市場予想ほどではないが前月から若干減速した。

一方、コロナウイルスの影響で経済活動がほぼ停止した中国の2月の自動車販売は前年比▲79.1%の31.0万台となり、年初来の累計も前年比▲42.0%の223.8万台と減少傾向を持続している。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

S&Pは2020年の自動車販売見通しを前年比▲2.9%(前回見通し▲0.9%)に引き下げている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは▲1.0%の追加利下げを行い、無制限の量的緩和を決定、貴金属価格の上昇要因に。ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

また、日米欧も財政出動に舵を切り始めており、需給要因による長期金利の上昇が金銀価格を下押しする見込み。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、第二弾合意は中国側にメリット少なく、むしろ今後は状況が悪化する可能性の方が高いか。この場合安全資産需要増加で価格の上昇要因。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・金はロングが上昇、ショートが減少。COMEXがコロナウイルスの影響で現物の確保ができず、現物の受け渡しに影響が出るとの見方で、ショート筋がスクイーズされた形。

銀はロングが減少、ショートが増加。換金売りに押された。

プラチナも換金売り圧力でロングが大幅に減少、パラジウムはロング・ショートとも減少した。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが317,928枚(前週比 +523枚)、ショートが29,562枚(▲5,927枚)、ネットロングは288,366枚(+6,450枚)、銀が53,077枚(▲8,138枚)、ショートが19,390枚(+143枚)、ネットロングは33,687枚(▲8,281枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが33,207枚(前週比 ▲4,611枚)ショートが10,911枚(+740枚)、ネットロングは22,296枚(▲5,351枚)

パラジウムが2,677枚(▲1,206枚)、ショートが2,386枚(▲242枚)ネットロングは291枚(▲964枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場はまちまち。

トウモロコシは、ロックダウンの動きの強まりによる、エタノール向け需要の減少観測が価格を下押しした。最近、トウモロコシと逆相関の関係にある大豆は小幅上昇した。小麦は高値でもみ合い、引けは前日比マイナスとなった。

本日は作付け意向面積と四半期在庫が発表される。市場予想は以下の通り。

作付け意向面積予想トウモロコシ 9,412万エーカー大豆 8,502万エーカー小麦 4,495万エーカー

四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 81億8,900万Bu(113億8,900万Bu)大豆 22億2,830万Bu(32億5,200万Bu)小麦 14億2,979万Bu(18億3,400万Bu)

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は、コロナウイルス対策を巡る影響が穀物ごとに異なるため、まちまちになると見る。

トウモロコシは輸送燃料需要の減少観測が価格を押し下げ、大豆はDDGSの供給減少で飼料向け需要の増加が予想されることから上昇すると見る(しかしこれは、輸送需要が回復すれば逆回転する)。

小麦は欧州各国の国境封鎖の動きで、食品向け小麦の供給懸念が価格を押し上げると考える。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシの受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、大豆も過去5年平均を大幅に上回っている。

供給面では、冬場の降雨の影響で2年連続で米生産地が洪水に見舞われており、作付けが予想を下回る可能性が出てきた。

小麦は豪州火災や干ばつ、ロシア・ウクライナの悪天候の影響で供給に懸念が出ていること、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、上昇圧力が掛かりやすい展開が予想されるが、最終的には帳尻が合いやすい(世界各地で生産されているため)。

今後の市場の注目は大豆、トウモロコシの作付け意向面積。米農務省の予想では、トウモロコシが9,400万エーカー(2019年 8,970万エーカー)、大豆は8,500万エーカー(7,610万エーカー)、小麦が4,500万エーカー(4,520万エーカー)と、トウモロコシの作付けが増加すると見られている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・3月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月の米需給報告の在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ18億9,200万Bu(市場予想18億9,509万Bu、前月18億9,200万Bu)大豆 4億2,500万Bu(4億2,809万Bu、4億2,500万Bu)小麦 10億Bu(9億9,417万Bu、10億Bu)

・12月末の四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 113億8,900万Bu(114億7,171万Bu、22億2,100万Bu)大豆 35億5,200万Bu(31億9,033万Bu、9億900万Bu)小麦 183億4,000万Bu(190億300万Bu、23億4,600万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意、シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、二次合意も難しく中国の合意不履行を材料に両国関係が再び悪化する可能性も考えられ、シカゴ定期の下落要因に。

ただし新型肺炎の影響で、しばらくの間、中国が合意を履行しなくても問題視はされないと予想される。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は終息したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に今年の春先以降、価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが266,809枚(前週比 ▲20,120枚)、ショートが300,335枚(▲4,904枚)ネットロングは▲33,526枚(▲15,216枚)

大豆はロングが146,201枚(▲3,964枚)、ショートが85,854枚(▲30,695枚)ネットロングは60,347枚(+26,731枚)

小麦はロングが97,437枚(▲1,848枚)、ショートが62,621枚(▲22,163枚)ネットロングは34,816枚(+20,315枚)

◆本日のMRA's Eye


「株安・原油安負のループ」

株価は各国中央銀行の一連の緩和、政府の財政出動の決定にも関わらず、大幅に調整した。

下落の要因は、1.コロナショックの影響で当面の間、世界の経済が同時に停止することが確定していること、2.第2次OPECショックの発生で、エネルギーセクターの下落が顕著であること、3.それに伴う信用不安への懸念が背景。

2014年~2016年にかけて起きた第1次OPECショックは、中国のデレバレッジ開始→OPECショック発生→上海ショックという流れだったが、第1次OPECショックでエネルギーセクターの業績が「同時に」悪化したことによる信用不安の影響によるもの。

今回はコロナショック→第2次OPECショック...という流れであり、ショックの切っ掛けとなる需要減少のイベントが異なるが、全体の流れは2014年~2016年のイベントと類似している。

今回、株価の下落を助長したのは、原油価格が下落する中で、サウジアラビアとロシアの対立が激化、3年維持してきた協力関係を解消する中で、自国にとっても大きな不利益となる「増産・低価格誘導」を決定、原油価格が急落したことだ。

市場参加者は「産油国ファンドが資金調達のために株を売却するのでは」との見方を強め、株価が下落する、「負のループ」に入っている。

どちらかといえばエネルギーセクターの財務状況悪化に伴う、銀行与信の厳格化→クレジット・クランチ、の連想の方が売りを誘っていると考えるのが妥当だ。

しかし、産油国ファンドが保有している株を売却することはそうあることではなく、市場参加者が「油価下落は産油国ファンドの株売りを誘う」というロジックが第1次OPECショック以降、刷り込まれているため反射的に売りが出ている側面も否めない。

ただ、現在の原油価格ではほとんどすべての産油国が経常赤字となり、長期化すれば一部の産油国が破綻する(破綻しなかったとしても、体制が崩壊する)可能性もあるため、この場合には株式市場でも換金売りが出てもおかしくはない。

このような「負のループ」の中で株価は下落を継続し、株価の変動率の指標であるVIX先物は急上昇し、一時的にリーマンショック時を超えた。

3月末を超えたところで一旦終息する、というのがメインシナリオであるが、4月に発表される3月の雇用統計は、このレポート執筆時点で前月比▲10万人の雇用者数の減少が読み込まれている。

すでに一部、コロナウイルスの影響が考慮されている状況だ。4月に発表される雇用統計は、3月上旬までを反映するためそこまで大きな雇用者の減少にはならないだろうが、5月発表の統計は非常に大きな雇用者数の減少が確認されるだろう。今後は週間新規失業保険申請件数の方が速報性があるため重要になってくる。いずれにしても、サービス業を中心に業績が下方修正される可能性は高い。

既に市場はこの業績悪化を織り込んでいると考えられるものの、仮に米国や欧州のヒトやモノの移動規制が継続するならば、場合によると航空会社の一角が破綻することもあり得る状況(これはリーマンショック後、数ヵ月の時間差を以てGMが破綻したことと類似する)。

引き続き、コロナウイルス対策の強化、ないしは共存しながら経済活動を維持する、といった対策が取られなければ大企業破綻を通じた連鎖倒産が景気に深刻な影響を与えるリスクが高まることになる(借り換えのタイミングが重なりやすい、6月末は次の山場か)。

◆主要ニュース


・3月ユーロ圏消費者信頼感改定 ▲11.6(速報比変わらず、前月改定 ▲6.6)

・3月ユーロ圏景況感指数 94.5(103.4)
 鉱工業景況感:構成比率40% ▲10.8(▲6.1)
 サービス景況感 ▲2.2(11.1)
 消費者信頼感 ▲11.6(速報比変わらず、▲6.6)

・3月独消費者物価指数速報 前月比+0.1%(前月+0.6%)、前年比+1.3%(+1.7%)

・2月米中古住宅販売仮契約 前月比+2.4%(前月+5.3%)、前年比+11.5%(+6.7%)

・3月ダラス連銀製造業活動 ▲70.0(前月1.2)
 生産 ▲35.3(16.4)
 新規受注 ▲41.3(8.4)
 受注残 ▲22.4(0.5)
 完成品在庫 ▲6.5(▲5.5)
 雇用 ▲23.0(▲0.9)

・セントルイス連銀ブラード総裁(投票権なし・ハト派)、「米国の借り入れ、数兆ドル追加する余力がある。」

・独経済諮問委員会、2009年以来の深刻なリセッションを警告。独GDPは▲2.8%~▲5.4%の縮小を予測。

・米国立感染症研究所、「米国の死者、10万人を超える可能性も。」

・北朝鮮、超大型のロケット発射実験を実施。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・米トランプ大統領、プーチン大統領と原油価格急落に関し電話協議へ。

・シェル、2020年の投資計画を200億ドル以下に削減、トタルは▲30億ドル削減、シェブロンは▲2割減らしパーミアン地区での採掘を抑制、コノコフィリップスも▲10%削減(日経新聞)。

・シリア、国内初の新型コロナウイルスでの死者発生。

【メタル】
・2月日本アルミ圧延品出荷 前年比▲9.3%の14万2,402トン(前月▲5.8%の14万1,584トン)。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ +4.18%/ ▲14.80%
2.欧州排出権 ( 排出権 )/ +4.12%/ ▲30.95%
3.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ +4.07%/ ▲17.02%
4.ニューキャッスル炭 ( エネルギー )/ +3.53%/ +1.92%
5.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +3.43%/ ▲22.80%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.DME Oman ( エネルギー )/ ▲9.68%/ ▲64.70%
69.TCMガソリン ( エネルギー )/ ▲8.94%/ ▲53.55%
68.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲8.70%/ ▲65.52%
67.TCM灯油 ( エネルギー )/ ▲8.11%/ ▲48.58%
66.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲7.91%/ ▲45.28%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :22,327.48(+690.70)
S&P500 :2,626.65(+85.18)
日経平均株価 :19,084.97(▲304.46)
ドル円 :107.76(▲0.18)
ユーロ円 :119.05(▲1.20)
米10年債利回り :0.73(+0.05)
独10年債利回り :▲0.49(▲0.02)
日10年債利回り :0.02(+0.00)
中国10年債利回り :2.61(+0.02)
ビットコイン :6,477.55(▲206.12)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :56.31(▲0.07)
エネルギー :104.50(+0.16)
ベースメタル :41.35(▲0.61)
貴金属 :81.58(+0.18)
穀物 :28.97(▲0.31)
その他農畜産品 :43.13(+0.08)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :177.46(▲2.24)
Brent :134.97(▲0.72)
米天然ガス :68.19(▲0.76)
米ガソリン :216.77(▲4.98)
ICEガスオイル :93.63(▲1.23)
LME銅 :46.42(▲0.52)
LMEアルミニウム :23.64(▲0.91)
金 :22.19(▲0.2)
プラチナ :88.43(+0.14)
トウモロコシ :28.95(▲1.29)
大豆 :22.19(▲0.2)

【エネルギー】
WTI :20.09(▲1.42)
Brent :22.76(▲2.17)
Oman :23.80(▲2.55)
米ガソリン :58.55(+1.18)
米灯油 :101.94(▲4.91)
ICEガスオイル :285.25(▲15.00)
米天然ガス :1.69(+0.06)
英天然ガス :17.00(▲1.46)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :22.76(▲2.17)
SPO380cst :154.97(▲8.70)
SPOケロシン :30.12(▲1.84)
SPOガスオイル :36.16(▲2.25)
ICE ガスオイル :38.29(▲2.01)
NYMEX灯油 :101.93(▲1.95)

【貴金属】
金 :1622.51(▲5.65)
銀 :14.05(▲0.42)
プラチナ :728.20(▲16.57)
パラジウム :2325.63(+60.26)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :4,773(▲13:10C)
亜鉛 :1,848(▲15:10.5C)
鉛 :1,702(+2:7.5C)
アルミニウム :1,528(▲11:33C)
ニッケル :11,339(+57:59C)
錫 :14,260(▲60:45B)
コバルト :29,631(▲22)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :4756.50(▲58.50)
亜鉛 :1864.00(▲10.00)
鉛 :1699.00(+7.00)
アルミニウム :1529.00(▲23.50)
ニッケル :11315.00(▲105.00)
錫 :14400.00(+120.00)
バルチック海運指数 :556.00(▲13.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :88.21(▲0.08)
NYMEX鉄鉱石 :88.22(▲0.27)
NYMEX原料炭スワップ先物 :160(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,393(▲45)
上海鉄筋中心限月 :3,256(▲86)
米鉄スクラップ :257(±0.0)

【農産物】
大豆 :882.25(+0.75)
シカゴ大豆ミール :325.50(+2.40)
シカゴ大豆油 :26.87(+0.02)
マレーシア パーム油 :2591.00(+104.00)
シカゴ とうもろこし :341.25(▲4.75)
シカゴ小麦 :569.50(▲1.75)
シンガポールゴム :138.00(+5.40)
上海ゴム :9095.00(▲400.00)
砂糖 :10.73(▲0.37)
アラビカ :119.30(+3.45)
ロブスタ :1203.00(▲6.00)
綿花 :50.70(▲0.63)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :53.95(▲4.50)
シカゴ生牛 :99.20(▲1.75)
シカゴ飼育牛 :120.05(▲0.55)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。