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原油市場混乱とりあえず一服で上昇
  • MRA商品市場レポート

2020年4月23日 第1733号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「原油市場混乱とりあえず一服で上昇」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:総じて上昇。WTIの限月交代に絡む大幅な市場の混乱が一巡し、買戻しが優勢となったため。

ETF乗り換えに伴う市場の混乱がとりあえず一巡、株式市場も堅調なためテクニカルに買戻しも、米統計では需給環境変化が確認されず、上値は重い。

◆非鉄金属:高安まちまちも、原油市場が落ち着きを取り戻す中、買戻しで総じて堅調。

原油市場の混乱一服で上昇も、ユーロ圏製造業PMIの減速観測を受けた中国の輸出需要減速観測で上値重い。

◆鉄鋼原料:原油価格下落に伴う先物主導の下落が一服、総じて底堅い。

生産者の生産調整と在庫水準(在庫日数)の低さから鉄鉱石は高止まり、原料炭は在庫高でやや軟調、鉄鋼製品は中国景気回復期待で底堅い。

◆貴金属:上昇。原油価格の上昇に伴う実質金利の低下を受けて。パラジウムは需給見通し下方修正で前日比マイナス。

原油市場が「取り敢えず」安定を取り戻していることで実質金利に低下圧力が掛かりやすいことから堅調。パラジウムは株の戻りで堅調も、需給見通し下方修正で頭重い。

◆穀物:トウモロコシ価格はガソリン価格の戻りを受けたエタノール高で上昇、大豆も連れ高。小麦はアルゼンチンの増産観測で売られる。

原油が買戻しで上昇すると見るため、トウモロコシ高で穀物セクターにも買戻し継続。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は非鉄金属や債券、その他農産品が売られたが、それ以外の商品は堅調な推移となった。

注目されていた原油価格が、WTIの限月交代をとりあえず乗り越えたことで上昇、エネルギーセクターを中心に株に買戻しが入ったことで、市場参加者のリスクテイクの動きが回復したため。

ただ、注目の米石油統計は原油価格上昇をバックアップする内容にはならず、原油生産の増加、出荷の減少、在庫の増加、余剰在庫スペースの減少が確認される内容だった。

この統計を見るに、米国の需要回復はまだ先であり、需給バランスの改善(タイト化)にも時間が掛ると予想される。

前回の急落は限月交代のタイミングが重なったことも一因であるため、やはり5月19日の限月交代のタイミングでは、まだ類似の混乱が発生することが懸念される。

なお、ファンドの中には原油ETFの評価がマイナスとなったため、上場を廃止し、出資者には資金は帰らないと通達しているところも出てきている。

金現物ETFと構造が異なるため、先物ETFへの投資や、まして価格リスクヘッジに用いる場合には、十分な注意が必要である。

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【本日の見通し総括】

本日は、原油市場の混乱が一服、欧州でも部分的な経済活動の再開方針が示され始めており、過剰な懸念が後退していることから上昇余地を探る展開になると予想する。

ただし、状況に大きな改善があるわけではないことに変わりはないため、上昇余地は限定されると見る。

本日予定されている統計としては、各国のPMIと米週間新規失業保険申請件数に注目している。

先ほど発表された日本のPMIは、製造業が43.7(前月44.8)、サービス業が22.8(33.8)と、特に対人サービスを柱とするサービス業の減速が顕著となった。政府の営業自粛要請が効いている。

欧州は、独製造業PMIの市場予想が39.0(前月45.4)、サービス業が28.0(31.7)、ユーロ圏についても製造業が38.0(44.5)、サービス業が22.8(26.4)と悪化見込みだ。

米国については製造業が35.0(48.5)、サービス業が30.0(39.8)とやはり悪化見込みである。

改善は正直見込めないと見ているが、先日発表された独ZEW景況感指数が予想外の大幅改善となっていることを考えると、予想外の改善になるかもしれない。その場合景気循環系商品価格には上昇圧力が掛かることになる。

なお、米失業保険申請権数は450万件(525万件)が見こまれており、北米の失業者は2,000万人を超える見込みである。最悪な状況にあることに変わりはない。

【昨日のトピックス】

コロナウイルスのニュースがほとんどの紙面を占めているが、この数ヵ月、ミサイル発射を繰り返し周辺国を威嚇していた北朝鮮の動きが不穏である。

複数のメディアの情報では、金正恩委員長が心臓手術で入院し、その後重篤な状態になり危険、と報じられている。数ヵ月前、金正恩委員長が妹の金与正を後継者に指名したという観測記事が流れたが、今回の手術実施やその後の報道を見るに、全く眉唾ともいえなくなってきた。

北朝鮮の情報は正直なところ真偽がよくわからないが、ここまで報じられていることを見ると、実際に手術が行われたかどうかはわからないが、公式の場に出てこられない健康状態にあることは間違いがなさそうだ。

もし仮に、金正恩に何かのことがあれば、後継が誰であれ非常に厳しい環境での引き継ぎとなる。ただでさえコロナウイルスで世界中が疲弊している中、北朝鮮でもコロナウイルスは発生していると考えるのが普通だ(WHOには感染者を報告していない)。

この状況で中国や米国と渡り合い、政権を維持してきた金正恩委員長がいなくなれば、国内が混乱して場合によると転覆するということも無くはない。そのため、韓国総選挙を邪魔する、というよりは「金王朝の威勢を見せつける」意味でミサイルを連射していると考えたほうが納得がいく。

この場合、いろいろなシナリオが出てくる。北朝鮮の内部が抑えられなくなり、内戦に突入する、制御が効かなくなたため他国にミサイルが飛来する、「朝鮮半島統一」を掲げていた韓国文在寅大統領がその思いを達する、場合によると中国軍の進軍、米国の軍事行動...あたりだろうか。

こうしたリスクをそろそろ想定しておく必要があるだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業・非製造業PMIは大幅な改善となったが、アンケートの取り方が「前月からの商況の変化」であるため、これを額面通りは評価し難い。もう数ヵ月この統計を見ていく必要があるだろう。

それ以上に、今後発表される欧米のPMIの悪化度合いが重要に。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(+3.3%→▲3.0%)ている。ただし2021年には+5.8%への急回復を見込んでいる。

ただこの通りになるためには、コロナウイルス感染拡大終息が必要条件であり、第二次感染拡大となり得る冬場までの終息がなければ、それは難しかろう。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、債券買い入れもジャンク債も対象とするなど、打てる手は出し惜しみなく出しているため、徐々に不安は解消しよう。

ただし、持てる金融政策のカードをほとんど切ってしまったため、今後、不測の事態が発生した場合のリスクは小さくない。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・中国の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた、世界的な経済活動の鈍化長期化(景気循環系商品価格の下落要因、世界の経済構造変化も)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、さらに新型コロナウイルスの感染拡大が終息したのちに、ウイルス問題を受けて対立が激化する可能性も排除できず。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は上昇した。この数日間の下落幅が大きかったが、WTIの限月交代が終了し、ETFの手仕舞いや乗り換えなどの一連の問題が一旦落ち着いたことで、買戻しが入った。

しかし、夜間に発表された米石油統計は決して強気な内容ではなく、石油製品出荷が大幅に減少し、市場の懸念通り在庫の積み上がりが確認された(詳しくはMRA's Eyeをご参照ください)。

このまま生産調整が進まなければ、あと1ヵ月程度でクッシングの在庫が満杯になる可能性が高い。

【原油価格見通し】

原油価格は世界的な供給過剰感が再び意識されていることから軟調な推移になると考える。ただ、ゆっくりではあるが感染拡大ペースが鈍化し、需要面の改善が見こまれること、価格低迷、場合によるとマイナス価格での販売を余儀なくされる状況が、生産者の減産を加速させるため、やはり中期的な見通しは強気である。

ただし、景気回復ぺースは緩やかにならざるを得ず、上昇余地も限定されると見る。

一大産油国であり、消費国でもある米国の貯蔵スペース枯渇の問題が顕在化したことから、しばらく米国原油は低い水準、それこそ「処理コスト混みの価格」であるマイナス価格で取引される可能性が高まってきた。

最近では原油の輸出も始まっているが、国内の需要が減少した時に海外に積極的に原油をさばいていくインフラが、長い間輸出を前提に整備されている中東や欧州と比較した時に、充分に整備されているとは言えない。

もちろん現在では日量300万バレルを超える原油を輸出する一大産油国に成長しており、以前と比較すれば格段に輸出能力は改善している。なお、主な輸出先はカナダ(59万バレル、韓国(55万バレル)、オランダ(30万バレル)、台湾(24万バレル)、英国(24万バレル)。

ただし、中東や欧州と異なり、国内の使用量がケタ違いに多いためこの需要が減少した時の調整は容易ではない。特に、原油のベンチマークの受け渡し場所が内陸にある場合、先物市場を活用している人の在庫はクッシングに向かいやすい。

やはり受け渡しポイントは湾岸近い、ヒューストンなどに変更することが望ましい。こうしたインフラの差がリーマンショック後にBrentとWTIの格差が大きく開いた一因である(この時はクッシングから湾岸に原油を輸送するためのパイプラインのキャパシティも問題となった)。

この状態が続くと生産者の破綻が相次ぐことになるため、米政府が戦略備蓄として原油を受け入れる可能性はある。ただ、それでも貯蔵量が膨大、といわけではないし、輸送の問題も残る。

「ここに空きがあるから、そこに入れておけば」と机上でその理屈は成り立つが、商品の場合あくまで目的地まで運ぶ、という当たり前のことが起きなければならない。

現在の戦略備蓄貯蔵能力は7億1,350万バレル、戦略備蓄量は6億3,497万バレル。数字の上では7,853万バレルの備蓄が可能だ。米エネルギー省はこの4月、7,700万バレルの貯蔵スペースを開放する方針を示しているが、貯蔵設備までの輸送の問題もあり、この問題が片付くにはしばらく時間が掛るだろう。

輸出することを前提とている中東や欧州はインフラ整備がなされているため、需給調整が行いやすい。しかし、直近のデータでは世界の洋上在庫が増加(主にアジア)しており、2016年の第一次OPECショックの水準をはるかに上回った。

早晩、洋上備蓄のスペースもなくなることが予想され、この場合、2.WTIのようにマイナス価格で売られる、2.OPECプラス諸国、非OPECプラス諸国の減産、もあり得る。

日本はドバイとオマーンの平均価格に産油国が決める調整価格を加えた価格で原油を輸入しているが、現在この調整価格は▲7ドル程度。ドバイが船積み月の月間平均価格ベースで7ドルを下回ると、マイナス価格で購入できることになる。

ただ、長年の関係性もあり、この場合の購入価格は産油国と輸入者の間でマイナスにならないよう調整があるのではないか。

2.については、OPECプラスも「原油の保管場所がない」状態で増産を続ける意味はなく、早晩減産に応じるだろう。ただ、「非OPECプラスが減産しないのは不公平だ」と考えているため、経済合理性の観点で生産継続が困難な非OPECプラスの減産進捗が起きてから、となるのではないか。

となると、減産が遅れ、取引の前提となるドバイやBrentの先物・先渡し価格がマイナス価格状態になる可能性は否定できない。

現在の価格水準が継続すれば米国やカナダも2割程度、自動的に減産が行われる可能性は高く、結果的に全世界で2割程度の減産になると見ている。

米シェールオイルの生産者のコストは50ドル近辺、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度。現在の価格水準ではほとんどの生産者が利益を確保できない。

価格下落リスクヘッジをしている生産者も、引き受け手がいない原油を保有している訳にも行かないため、操業を停止するところが出てくるだろう。纏まった数の企業破綻が起きるとすれば、ヘッジ期間の目処である3、6、9、12月末。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後の供給」である。今のところ秋から世界の経済活動が回復に向かうというのが楽観的ではあるが、メインシナリオである。

この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

すでに全ての産油国が追加減産を余儀なくされる見込みであるが、実際に減産を行うと稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

逆に、コロナウイルスの感染拡大防止に失敗し、「今年の冬に第二ラウンドに突入」となると需要の回復は難しく、かつ、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、現在の世界各地の減産では不十分となる可能性も充分にあり得る。

さらに影響がよく分からないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、投機的な観点から価格を押しあげよう。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクといえる。

原油価格の変動性は今後、需要が低迷するにも関わらずさらに高まると予想される。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落した。原油価格急落の市場混乱は落ち着いたものの、中国の港湾在庫の水準の高さが意識された。

【石炭価格見通し】

石炭価格はしばらく下値余地を探る動きになると考えている。

季節的に夏場前の不需要期であること、中国の港湾在庫が急増しており過去5年平均を上回ったことが背景。

ただし早晩夏場のピークに差し掛かることや、中国の工場再稼働も緩やかながら始まっていることを考えると今後、季節的な価格上昇はあると考える。とはいえ、回復のペースは緩慢であり上昇余地も限定。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲3割の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化が、中東情勢を悪化させ供給リスクにつながる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

<<投機・投資要因>>

・WTIは4月14日時点でロングが増加、ショートも増加したがネットロングは増加。Brentはロングが増加、OPEC減産見通しでショートが減少。

いずれも需給タイト化を意識した、強気のポジション取りに。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが700,474枚(前週比 +44,703枚)ショートが189,805枚(+18,929枚)ネットロングは510,669枚(+25,774枚)

Brentはロングが232,362枚(前週比+2,751枚)ショートが120,908枚(▲5,088枚)ネットロングは111,454枚(+7,839枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME市場は高安まちまちとなったが、ベンチマークの銅などには買戻しが入った。WTI原油下落に伴う市場の混乱が、限月交代の影響で一服。中国の軽罪滑動再開や供給減少観測で、売られすぎに対する買戻しが入った形。

目立った新しい手掛かり材料があったわけではない。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は底堅い推移になると考える。企業活動の現在の状況を正確に把握することは困難であるが、最大消費国である中国の経済活動が再開し、上海在庫の減少継続が確認されていること、チリ・ペルーなどの生産国でもコロナウイルスの感染拡大が確認され、鉱山生産が減少していることから。

実際、上海在庫は季節性通り減少しており、中国の生産活動の回復が意識されている。

しかし、価格が持続的な上昇になるためには需要の回復が必須。ここまでの価格上昇はどちらかといえば3月末を越えたことで、売りポジションを拡大していた投機の買戻しの動きが強まったことによる、テクニカルな上昇の側面が強い。

今のところ、それでも7月~8月頃に世界経済は再稼働を始めるという、希望的観測も含めた見通しをメインシナリオとしているが、経済活動の抑制状態が続いている状況に変わりはなく、あと数ヵ月は通常状態よりも需要が抑制された状態が続くと見られるため、再び非鉄金属価格は下落に転じるだろう。

結局、下値余地が徐々に限定され始め、緩やかに価格は水準を切り上げるが当面、上昇余地は限定される、ということだ。

基本的に戻りは緩やかなものになると見ているものの、稼働停止となっている鉱山の稼働が速やかに再開されるのか不明であり、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点も先々の価格上昇リスクを強めている。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクだろう。コロナウイルスの影響が長期化する可能性は徐々に高まっている。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・3月の中国製造業PMIは52.0(前月35.7)と大幅な改善となり、好不況の閾値である50を回復。ただし、統計の強制的な不連続性発生により、統計が安定して評価できるようになるには数ヵ月を要する見込み。

生産活動が回復(27.8→54.1)、新規受注も回復しているが(29.3→52.0)、輸出新規受注の回復が緩慢であることを勘案すると(28.7→46.4)、やはり国内向けの回復によるもの。

新規受注在庫レシオも急回復しており、ファンダメンタルズ的には非鉄金属価格を押し上げ(ただし輸出需要の回復が緩慢であり影響は限定)。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整に動いており、供給面で価格を押し上げ(労働力が集まらない、業績悪化に伴う設備投資の減額、採算性悪化に伴う減産など、理由は様々)

(アルミ)Norsk Hydro Husnesアルミプラントの増産をQ320まで先送りアルゼンチン Aluar Puetro Madrynでの生産能力の▲50%を停止

(銅)南米の鉱山生産者(供給の約2割)は需要減と感染拡大防止のため、稼働率の引き下げを余儀なくされている状況Cerro Verde、Los Bronces、Constancia、Las Bambas、Collahuasi、Antaminaなど

(錫)PT Timah、需要の減少で当面錫生産を▲20%~▲30%減らす計画

(亜鉛)NewmontのPenasquito、Pan American SilverのLa Colorada、Grupo MexicoのBuenavistaとSan Martinなどが減産を決定

・3月銅製品生産者稼働状況

 銅線生産者 75.8%(前月34.7%、過去4年平均 82.9%) 銅棒生産者 53.6%(25.9%、75.3%) 銅板生産者 32.6%(59.8%、74.4%) 銅管生産者 76.9%(39.1%、83.3%)

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国固定資産投資は、前年比▲16.1%の8兆4,145億元(1-2月期▲24.5%の3兆3,323億元)と減速感が改善。公的部門は▲12.8%(▲23.1%)とマイナスながらも前月からマイナス幅が縮小、民間部門も▲18.8%(▲26.4%)とマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国不動産開発投資は前年比▲7.7%の2兆1,963億元(1-2月期▲16.3%の1兆115億元)とやはりマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の銅輸入は前年比+13.3%の44万トン(1-2月期85万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比+0.5%の178万トン(377万トン)となった。

銅地金の輸入は過去5年平均程度であるが、米中通商戦争が激化を始めた昨年に比べると高い水準。銅鉱石の輸入は、過去5年の最高水準だった昨年の水準を上回った。

いずれも中国の工業活動が平常状態に戻りつつあることを確認する内容であり、価格の上昇要因。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・4月17日付のLMEロング・ショートポジションは、商品ごとに動きがまちまちとなった。銅は需要の増加(在庫の減少)と供給不足でロング増加、ショートが減少、ニッケルも同様。

その他はロング・ショートとも増加したが、亜鉛、鉛、アルミがロング<ショートで売り越し幅を拡大、錫はロング>ショートだった。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲48.7億ドル(前週▲50.0億ドル)と売り越し幅を縮小した。売り越し額の減少率は▲2.6%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,688千トン(▲1,728千トン)とCME銅とニッケルが売り越し幅を縮小、錫は買い越し幅を拡大。亜鉛、鉛、アルミは売り越し幅が拡大した。ネット売り越しの減少率は▲2.3%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物はほぼ変わらず、中国鉄鋼製品先物価格は小幅に上昇した。

原油価格の急落による市場の混乱が一服したことで、鉄鋼原料先物は底堅い推移となった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の工場の稼働再開と、インドなどの生産国がコロナウイルス対策の影響で鉱山の稼働を停止したり、輸送を停止したりということが顕在化し始めていることが価格を押し上げるが、コロナウイルスの影響で景気減速は必定であり、現状水準でもみ合うものと考える。

ただ、原油価格の急落で市場参加者のマインドが大きく低下していることもあり、目先は下押し圧力が強まる展開を予想。

中国河北省の高炉稼働率は4月3日時点で78.5%(前週77.8%)と上昇を続けており、中国の工場稼働が回復していることが伺える。

今後、中国以外の国でコロナウイルスの影響が拡大することを考えると、鉄鋼業の景況感の回復にはやはり時間がかかることになると予想される。

中国の鉄鋼製品は例年通り季節的な在庫の取り崩しが始まったが、例年よりも在庫の減少ペースが速い。生産者の供給が十分ではない中、最終需要者の稼働が回復している可能性があることを示唆している。

原料炭は新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が鈍化、鉄鋼需要の伸びも欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は過去5年のレンジを上抜けしており、足元の需給も緩和している。

しかし、生産側も同様に影響を受けていること、世界的な石炭生産制限の流れを受けて、鉄鉱石とは異なり原料炭価格の中長期見通しは強気である。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・3月の中国鉄鋼業PMIは42.2と前月の36.6から大幅に改善。

生産が回復したことと(31.3→39.3)、原材料在庫が積み上がったこと(29.2→44.9)によるもの。

受注は国内は改善したがむしろ海外向けは減速(新規受注 32.7→38.5、輸出新規受注 42.5→27.3)しており、需要面が価格を下押ししやすい。

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国固定資産投資は、前年比▲16.1%の8兆4,145億元(1-2月期▲24.5%の3兆3,323億元)と減速感が改善。公的部門は▲12.8%(▲23.1%)とマイナスながらも前月からマイナス幅が縮小、民間部門も▲18.8%(▲26.4%)とマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国不動産開発投資は前年比▲7.7%の2兆1,963億元(1-2月期▲16.3%の1兆115億元)とやはりマイナス幅が縮小した。

ただし、前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比+2.3%の647万6,000トンと回復した。ただし前年の水準は米中対立の影響で過去5年の中でもほぼ下限に近く、中国外のロックダウンによる需要減少が顕在化した形。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲99.3万トンの2,275.9万トン(過去5年平均1,383.4万トン)とコロナウイルスの影響で在庫が急増していたが、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが始まっている。

ただし、例年よりも取り崩しのペースは早く、鉄鋼生産者の稼働が最終需要家の回復よりも遅れている可能性があることを示唆している。

・3月の中国の鉄鉱石の輸入量は前年比▲0.6%の8,591万トンとなり、過去5年水準を下回った。鉄鋼製品在庫の高さもあって、鉄鉱石輸入の動きは鈍い。

しかし、在庫日数ベースの港湾在庫の水準は低く一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+40万トンの1億1,905万トン(過去5年平均1億2,613万トン)、在庫日数は+0.1日の28.4日(過去5年平均 30.9日)と依然として在庫水準は低い。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、一定の鉄鉱石の輸入需要が価格を高止まりさせると考える。

・3月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比+18.5%の2,783万トンと増加し、過去5年レンジを超えた。中国の経済活動の再開を反映したもの。

ただし、石炭輸入動きを占う上で参考になるバルチック海運指数は回復してはいるものの昨年の水準を下回っている。これは主要用途である電力向けの石炭在庫の水準が高いこと、コロナからの回復が緩慢であることを示唆している。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金銀価格は上昇した。原油価格急落の市場混乱が一服、実質金利が低下する流れを受けて水準を切り上げた。投機的商品の色彩が強い銀とプラチナも同様。

パラジウムは堅調な推移となっていたが、Norlisk Nickelがパラジウム需給見通しを下方修正したことなどで売られる流れとなった。

【貴金属価格見通し】

金銀は高値圏で推移すると考える。コロナウイルスの感染拡大ペースは鈍化しているものの、中国の感染者数が再び増加を始めるなど、不安要素が多いこと、価格への影響はさほど大きくないと見られるがOPECプラス+αの減産合意で、原油価格の下落余地が限定され始め、実質金利が低下しやすいことが材料。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスクプレミアム)は243ドル(前日と変わらず)。コロナ・OPECショック前の水準(250ドル程度)を取り戻した。現在の実質金利で説明可能な価格水準は1,450ドル程度で安定している。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では、金在庫の急増もあって115倍程度が妥当である。関係性が薄れているとはいえCOMEX銀在庫が過去最高水準で推移しているため、しばらくは100倍を超える状態が続くと考えられる。

コロナ・OPECショックによる相場急変で、金価格と銀価格の過去の関係性が完全に崩壊してしまっており、新しい関係性が構築されるまでには時間が掛りそうだ。

PGM価格は、景気の先行きは明確に悪く、少なくともQ220は悪い状態が続きそうであること、株式市場の混乱も続いているためしばらくは軟調地合いの中、神経質なレンジワークを継続することになると考える。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、各国の準備金や市場取引の担保価値がみとめられている金のような安全資産としては認知されていないことによる。

銀価格は上記の通り当面低迷する可能性が高いため、プラチナ価格も低迷するだろう。

パラジウムは、世界的な景気減速に伴う自動車向け需要の減速が価格を下押しするものの、コロナウイルスの感染拡大で南アフリカの鉱山がすべて停止するなど、供給途絶リスクが顕在化しているため、高値圏での推移になると考える。

ただ、Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲20万オンスの供給不足から、+10万オンスの供給過剰に下方修正しており、上限はさらに切り下がったと考えられる。

3月の米自動車販売は年率1,137万台(市場予想 1,270万台、前月 1,683万台)と、急速に悪化している。明らかにコロナウイルスによる消費手控えの影響によるものである。

中国の3月の自動車販売は前年比▲43.3%の143万台(前月代▲79.1%の31.0万台)となり、コロナウイルスの感染拡大防止に伴うロックダウンの影響を強く受けた。

今後、中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻っている訳ではないので、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

<<特殊要因>>

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(金銀価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・金銀は、ロング・ショートともが増加し、キャッシュ化の動きが鎮静化。

プラチナはロング・ショートとも減少、パラジウムは小幅な変化に留まった。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが286,617枚(前週比 +6,737枚)、ショートが34,116枚(+3,178枚)、ネットロングは252,501枚(+3,559枚)、銀が48,003枚(+1,532枚)、ショートが17,449枚(+695枚)、ネットロングは30,554枚(+837枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが29,126枚(前週比 ▲1,433枚)ショートが11,330枚(▲208枚)、ネットロングは17,796枚(▲1,225枚)

パラジウムが2,101枚(+39枚)、ショートが1,285枚(▲56枚)ネットロングは816枚(+95枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場はまちまち。トウモロコシは米石油統計でエタノールの生産量の減少が「若干」減速、ガソリン価格の上昇もあってエタノール価格が上昇したことが材料となった。

大豆もエネルギーに買戻しが入る中、トウモロコシ価格の上昇に連れる展開となった。

小麦は下落。アルゼンチンの2020-2021年の小麦の作付けが、前年比+1.5%の6.7百万ヘクタールに増加する見通しが示されたことなどが材料となった。アルゼンチンは世界の小麦輸出の7%程度のシェアを占める重要な生産国の1つ。

【穀物価格見通し】

穀物価格は高安まちまちになると考える。

トウモロコシは作付け意向面積の増加と、コロナウイルスの感染拡大に伴うエタノール向け需要の減少や原油価格の低迷が価格を下押しするが、同時にエタノール生産者の大幅な減産が見込まれていることが価格を下支え。

大豆はコロナウイルスの影響による輸出減速観測や、トウモロコシのエタノール向け需要の減少に伴う飼料向け需要の増加から、競合飼料の関係にある大豆ミール需要も減少すると見られ軟調に。

小麦はそもそもシカゴの受け渡し可能在庫水準が低く、かつ、コロナウイルスの感染拡大や干ばつの影響で、ロシアがQ220の輸出を制限するとの見方による供給懸念や、欧州・北アフリカ消費者の巣籠需要で高値圏を維持すると考える。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、深刻な食糧危機をもたらしており、これに伴う食品需要が増加する場合。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・4月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが231,417枚(前週比 +3,799枚)、ショートが304,711枚(+21,318枚)ネットロングは▲73,294枚(▲17,519枚)

大豆はロングが177,134枚(+12,780枚)、ショートが80,210枚(+8,957枚)ネットロングは96,924枚(+3,823枚)

小麦はロングが107,952枚(+2,117枚)、ショートが74,175枚(+4,080枚)ネットロングは33,777枚(▲1,963枚)

◆本日のMRA's Eye


「米生産減少は緩慢、石油製品出荷は減速継続~米石油統計レビュー」

昨日発表された米石油統計は、原油が予想比強気、ガソリン、ディスティレートが弱気な内容となった。注目されていたクッシングの在庫増加は+4.8MB(前週+5.7MB)と先週から減少した。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/10418.html

原油は生産が12.2MBDと減少(前週比▲0.1MBD)、輸入が減少(▲0.7MBD)、稼働率はこれまでに比べて小幅な低下(▲1.5%)、在庫は+15.0MBの増加と、先週からは増加幅が縮小したが、それでも大幅な在庫増加となった。

原油処理量で在庫の数量を割った在庫日数は40.4日(+2.0日)と過去5年レンジを大幅に上回る状態が続いている。

※MB=100万バレル、MBD=100万バレル/日

原油の大幅な生産減少はまだ確認されなかった。やはり、原油価格が下落したとしても、コスト削減を行ったり、デリバティブなどを用いてリスクヘッジを行ったりすることで、生産停止を回避する企業努力が行われているため、と考えられる。

つまり米国の原油減産が直ちに起きず、調整には1ヵ月、場合によると2~3ヵ月かかることを示唆している。このことは米国の製品需要が回復しない限り原油余剰の状態が解消しないことを意味する。

特にWTIのプライシングに影響するクッシングの在庫増加が続く可能性が高く、再び限月交代のタイミングで大幅に価格が下落するリスクは残存している、ということだ。

4月17日時点のクッシング貯蔵能力の使用率は76%と、先週の69%から+7%ポイント上昇した。このペースでの増加が続けば1ヵ月半程度で在庫スペースは満杯となる。

ただし、全米で見た時の貯蔵能力使用率は59.8%(+2.5%)とまだゆとりがある。つまり前回のマイナス原油価格は極端にクッシングの在庫スペースが減少したことが影響したと見られる。

結局、中東や欧州のように「すぐに輸出に回して需給調整ができる」ヒューストンなどの湾岸地区を原油の受け渡しポイントにするべきであり、現在の状態が続けば再びWTIは限月交代のタイミングでマイナス価格になる可能性がある。

※米エネルギー省は今週から週次で地区別のタンク使用状況の発表を始めました。データが取得できず弊社が考慮していなかった、パイプラインや輸送中の原油データも地区別に公開されているため、今まで弊社が使用していた数値と異なる点はご容赦ください。

もう1つの注目だった石油製品出荷だが、増加していない。

主要商品であるガソリンは生産が増加(+0.3MBD)、輸入が小幅に減少した。しかし注目の出荷(需要)は前週比▲0.9MBDの5.5MBDと、過去5年レンジを大幅に下回り、前年比でみた場合の需要の減少は▲41.4%と先週の▲31.6%からさらに減速した。

統計は1週間の遅れがあるが(今回の統計は4月17日時点のもの)、米国の輸送燃料市場を巡る環境の改善はまだ先とみられる。

トラックなどの輸送に主に用いられるディーゼルの出荷も減少しているが、前年比▲9.8%の3.4MBD(前週▲8.0%の3.6MBD)と「相対的に小幅な」減少にとどまっている。やはり生活必需品の輸送などの必要不可欠な需要を支える必要があるため、減少が抑制されているようだ。

全製品合計の出荷は前年比▲25.4%の15.0MBD(▲18.5%の16.4MBD)と減速し、輸出の伸びも+6.6%の5.6MBD(+10.8%の5.7MBD)と限定されている。

ガソリンの在庫増減+輸入+輸出+生産量で求められる顕在需要は、やや底入れしているようだが、ディスティレート、ジェット燃料の落ち込みが顕著であり、まだ全製品で見た時の需要回復が確認できたとは言えない。

ことからやはり米国の需給が緩和した状態は、コロナウイルス対策による経済封鎖の解除が起きなければ難しい、ということだ。

当面、原油や石油製品の価格は低迷した状態が続くと予想される。

◆主要ニュース


・2019年ユーロ圏政府債務・GDP比率 84.1%(前月85.8%)

・4月ユーロ圏消費者信頼感速報 ▲22.7(前月改定 ▲11.6)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 ▲0.3%(前週+7.3%)
 購入指数+2.1%(▲1.8%)
 借換指数▲0.8%(+10.1%)
 固定金利30年 3.45%(3.45%)、15年 3.03%(3.04%)

・2月米FHFA住宅価格指数 前月比+0.7%(前月+0.5%)

・イタリア、5月4日からロックダウン緩和の意向。

・欧州委員会、2兆ユーロの経済復興計画を提案。財源などには触れず。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油+15.0MB(クッシング+4.8MB)
 ガソリン+1.0MB
 ディスティレート+7.9MB
 稼働率▲1.5

 原油・石油製品輸出 8,656KBD(前週比▲363KBD)
 原油輸出 3,079KBD(▲240KBD)
 ガソリン輸出 746KBD(▲12KBD)
 ディスティレート輸出 1,309KBD(▲99KBD)
 レジデュアル輸出 61KBD(▲9KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,198KBD(▲71KBD)
 その他石油製品輸出 2,092KBD(+111KBD)

・米トランプ大統領、「イランの小型砲艦が海上で米戦艦に嫌がらせをしてくれば、それら全てを撃沈して破壊するよう米海軍に指示した。」

【メタル】
・BofA、18か月後の金目標価格を3,000ドルに。「米政府は金を印刷できない」

・Q120 Antofagasta
 銅年初来生産 前年比+2.9%の194千トン(前年188.6千トン)
 金生産+4.7%の65.1千オンス(62.2千オンス)

 2020年の銅生産計画 72.5万トン~75.5万トン
 金 180千オンス~200千オンス

※銅生産は操業停止が不要であると仮定すると、生産計画の下限近辺となる見込み。

・3月中国精錬銅生産 前年比+66千トンの771千トン(前月 930千トン)
※当月が3月の場合前月は前年の12月)

・3月中国精錬亜鉛生産 前年比+36千トンの489千トン(前月 607千トン)

・3月中国精錬鉛生産 前年比▲34千トンの467千トン(前月 595千トン)

・3月中国プライマリアルミ生産 前年比+89千トンの2,969千トン(前月 3,036千トン)

・IAI 3月アルミ生産
 世界 5,477千トン(前月5,145千トン)
 北米 343千トン(314千トン)
 南米 91千トン(90千トン)
 西欧州 287千トン(263千トン)
 東・中央欧州 354千トン(331千トン)
 中東 507千トン(475千トン)
 アジア 348千トン(335千トン)
 オセアニア 160千トン(151千トン)
 アフリカ 138千トン(127千トン)

・Norilsk Nickel、「2020年のパラジウムは+0.1百万オンスの供給過剰に。」

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.NYM WTI ( エネルギー )/ +37.66%/ ▲77.43%
2.NYM RBOB ( エネルギー )/ +25.10%/ ▲62.40%
3.DME Oman ( エネルギー )/ +16.16%/ ▲65.66%
4.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ +6.66%/ ▲33.88%
5.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +6.48%/ ▲11.42%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.TCM灯油 ( エネルギー )/ ▲27.34%/ ▲69.25%
69.TCMガソリン ( エネルギー )/ ▲26.95%/ ▲68.41%
68.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲11.03%/ ▲71.22%
67.TGEトウモロコシ ( 穀物 )/ ▲5.50%/ ▲27.58%
66.SHF 銀 ( 貴金属 )/ ▲3.30%/ ▲18.12%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :23,475.82(+456.94)
S&P500 :2,799.31(+62.75)
日経平均株価 :19,137.95(▲142.83)
ドル円 :107.75(▲0.05)
ユーロ円 :116.62(▲0.43)
米10年債 :0.62(+0.05)
中国10年債利回り :2.54(▲0.02)
日本10年債利回り :0.00(▲0.02)
独10年債利回り :▲0.41(+0.07)
ビットコイン :7,119.34(+224.75)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :74.72(▲0.62)
エネルギー :243.92(+4.31)
ベースメタル :25.55(▲3.03)
貴金属 :32.24(▲9.78)
穀物 :20.92(+1)
その他農畜産品 :46.40(▲0.13)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :1167.41(+13.18)
Brent :151.73(+1.86)
米天然ガス :78.42(+3.15)
米ガソリン :170.74(+16.43)
ICEガスオイル :89.08(▲4.04)
LME銅 :28.06(▲5.95)
LMEアルミニウム :20.48(▲1.18)
金 :12.27(+0.13)
プラチナ :26.37(▲3.23)
トウモロコシ :19.58(+2.64)
大豆 :12.27(+0.13)

【エネルギー】
WTI :13.78(+3.77)
Brent :20.37(+1.04)
Oman :23.15(+3.22)
米ガソリン :63.84(+12.81)
米灯油 :73.11(+0.42)
ICEガスオイル :212.00(▲4.00)
米天然ガス :1.94(+0.12)
英天然ガス :14.43(+0.44)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :20.37(+1.04)
SPO380cst :126.38(▲0.30)
SPOケロシン :20.92(+0.78)
SPOガスオイル :26.31(▲0.01)
ICE ガスオイル :28.46(▲0.54)
NYMEX灯油 :79.73(+1.29)

【貴金属】
金 :1714.08(+27.88)
銀 :15.10(+0.21)
プラチナ :758.85(+9.58)
パラジウム :1939.87(+6.49)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,062(+32:27.5C)
亜鉛 :1,913(+26:15C)
鉛 :1,663(+6:22.5C)
アルミニウム :1,502(+18:40C)
ニッケル :11,966(▲190:71C)
錫 :14,860(+70:130B)
コバルト :29,670(▲4)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5108.50(+82.00)
亜鉛 :1899.00(▲10.00)
鉛 :1662.00(▲0.50)
アルミニウム :1520.00(+30.00)
ニッケル :11940.00(▲220.00)
錫 :14865.00(+25.00)
バルチック海運指数 :728.00(▲29.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :84.32(+0.59)
NYMEX鉄鉱石 :84.13(+0.21)
NYMEX原料炭スワップ先物 :134.5(▲0.01)
上海鉄筋直近限月 :3,506(+3)
上海鉄筋中心限月 :3,339(+13)
米鉄スクラップ :271(▲2.00)

【農産物】
大豆 :834.75(+4.00)
シカゴ大豆ミール :288.30(▲0.80)
シカゴ大豆油 :25.57(+0.22)
マレーシア パーム油 :2120.00(+7.00)
シカゴ とうもろこし :317.50(+8.25)
シカゴ小麦 :543.00(▲3.75)
シンガポールゴム :136.90(+1.70)
上海ゴム :9415.00(▲230.00)
砂糖 :9.83(+0.08)
アラビカ :110.60(+0.95)
ロブスタ :1084.00(▲19.00)
綿花 :56.28(+2.97)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :47.23(+2.95)
シカゴ生牛 :88.95(▲2.65)
シカゴ飼育牛 :118.48(+0.58)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。