CONTENTSコンテンツ

原油マイナス価格の余波で軒並み下落~中東・欧州原油も?
  • MRA商品市場レポート

2020年4月22日 第1732号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「原油マイナス価格の余波で軒並み下落~中東・欧州原油も?」

【昨日と本日の各セクターショートコメント】

◆エネルギー:WTIの直近限月は急速に買い戻されたが、その他の限月は下落。需給悪化観測と、WTIの急落を受けた株価などのへの悪影響から。

この数日のパニック的な売りから一旦買戻しが入ると考えられるが、状況に大きな変化がないことから上昇余地も限定。

◆非鉄金属:急落。原油価格が大幅に下落したことを受けたリスク資産売りの流れに押された形。

昨日の下落が大きいため本日は買戻しから始まると考えるが、原油下落による金融市場の混乱がリスク資産価格に下押し圧力を掛けるため、上昇余地も限定。

◆鉄鋼原料:鉄鋼原料価格は下落。原油価格下落を受けて先物主導で水準を切りさげた。

生産者の生産調整と在庫水準(在庫日数)の低さから鉄鉱石は高止まり、原料炭は在庫高でやや軟調、鉄鋼製品は中国景気回復期待で底堅い。

◆貴金属:下落。金銀は実質金利の低下はあったが、ドル指数が大幅に上昇したために下落、PGMは株の急落で水準を切り下げ。

信用不安の拡大が再び懸念されていることから、総じて堅調な推移に。ただし原油価格に再び下押し圧力が掛かっているため、上昇余地も限定。PGMは株安で軟調。

◆穀物:トウモロコシ価格は原油価格の軟調地合い継続を受けて下落、大豆は割安感から買戻し、婚儀急落と生産地の気象改善で下落、大豆も連れ安。小麦はドル高に押された。

本日は原油が買戻しで上昇すると見るため、トウモロコシ高で穀物セクターにも買戻し。

※より詳細な説明は以下をご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて下落した。WTIがマイナス価格で取引される中、市場参加者のリスク回避姿勢が強まったことが背景。

昨日上昇しているのは、畜産、コメを始めとする穀物の一角、気温低下による天然ガスと極めて限定された。エネルギー価格の急落が市場全体に波及し、信用不安につながるとの見方が再度認識されていることが背景。

原油価格下落の影響は複数の経路を通じて市場全体に影響する。例えば、原油価格が下落することで、金融機関が同時にエネルギー企業向けの与信を見直し、貸倒引当金の積み増しによってその他のセクター向けの与信余力が低下する、といったことをひきおこす。

あるいは、ポートフォリオにエネルギーセクター(原油先物や、エネルギー関連企業株)を組み込んでいて、エネルギーセクターの評価が下がることによるリバランスの売りがほかのアセットにも発生する、といったことも考えられる。

今後、懸念しているのはMLP(Master Limited Partnership)という、エネルギーインフラ関連企業向けの投資動向と、欧州、中東原油でもWTIと同様のマイナス価格が発生するかどうか。

また、本日の米石油統計での、原油生産、製品出荷、在庫水準は再注目だ。(詳しくは、後段の「本日の見通し総括」「昨日のトピックス」をご参照ください)。

レポートのお申込みはこちらから
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

※クッシングの在庫稼働率などのグラフはこちらから
https://marketrisk.jp/news-contents/news/10406.html

※商品投資の仕組みは弊社書籍で解説しています(お求めはこちらから)
https://www.amazon.co.jp/dp/447810445X/

※新型コロナウイルスの新規感染者数
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

※Brent・WTIの期間構造
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

【本日の見通し総括】

本日はこれまでの原油価格の下落が顕著であることから、一旦買戻しが入ると考えるが、世界の商品市場を巡る需給バランスが大きく変化している訳ではないため、上昇余地も限定されると考える。

本日の最大注目材料は古くて新しい統計であるが、米週間石油統計に注目している。

まず注目するべきはクッシングの原油在庫。市場予想は出ていないが、先週の統計では前週比+572万バレルとなっており、総在庫量は5,497万バレル、キャパシティは7,609万バレル。どこまで在庫が増加しているかは重要なポイントに。

また、こうした在庫の積み上がりを回避するために減産がどれだけ起きているかも焦点となる。先週の原油生産は1,230万バレル/日、ピークが今年の2月末で1,310万/バレル日で、この1ヵ月半で▲80万バレルしか減産が進んでいない。

シェールオイルのシェアが大きいのだが、生産者側も生産を止めないようにするためにコスト削減などを行うため、実際に減産が実行されるまでは時間が掛る。

ただ、生産した現物の受け渡しや保管場所がない中で、増産を続けられるかどうかは疑問であり、さすがに今週の統計では生産量は大きく減少しているのではないだろうか。

他にも細かく見ると注意しなければならない数値は多数あるのだが、あとは石油製品の出荷動向にも注目しておく必要があろう。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/9978.html

【昨日のトピックス】

市場ではWTIがマイナスで取引され、「商品価格がマイナスになること」が強く意識された。しかし、原油のような保管が難しく廃棄が容易ではない商品がコスト混みで処理されることは実際のビジネスの世界でもある。

スクラップなどがそれにあたり、広い意味では家電製品の引き取りにお金がかかるのと同じだろう。

今回は最大消費国であり、最大生産国である米国でこのリスクが顕在化した。基本、米国は「国内のエネルギーを海外に出さない」という方針であり、原油輸出インフラが脆弱であるため国内需要が減少した場合、国内需給が急速に緩和しやすい。

一方、欧州は輸出を前提にしているため需給調整を行いやすい。リーマンショック後にWTI価格が低迷し、BrentとWTIのスプレッドが20ドルを超えて拡大したのはいい例だろう。

ただ、前回は金融市場の混乱によるものだったので、実際の需要への影響は比較的短期に終わったが、今回は強制的な需要の減少であるため中東や欧州も例外ではない。

洋上在庫の水準もこの1~2週間で急増している。弊社は中東・欧州原油価格がマイナスになる事態はその輸出インフラの構造や、先物市場の構造上起きるものではないと考えていたが、その可能性はゼロではなくなってきた。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

<<マクロ要因>>

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。

中国の製造業・非製造業PMIは大幅な改善となったが、アンケートの取り方が「前月からの商況の変化」であるため、これを額面通りは評価し難い。もう数ヵ月この統計を見ていく必要があるだろう。

それ以上に、今後発表される欧米のPMIの悪化度合いが重要に。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを大幅に引き下げ(+3.3%→▲3.0%)ている。ただし2021年には+5.8%への急回復を見込んでいる。

ただこの通りになるためには、コロナウイルス感染拡大終息が必要条件であり、第二次感染拡大となり得る冬場までの終息がなければ、それは難しかろう。

・FRBは合計で▲150bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための無制限の量的緩和も実施、債券買い入れもジャンク債も対象とするなど、打てる手は出し惜しみなく出しているため、徐々に不安は解消しよう。

ただし、持てる金融政策のカードをほとんど切ってしまったため、今後、不測の事態が発生した場合のリスクは小さくない。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

<<特殊要因>>

・中国の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた、世界的な経済活動の鈍化長期化(景気循環系商品価格の下落要因、世界の経済構造変化も)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、さらに新型コロナウイルスの感染拡大が終息したのちに、ウイルス問題を受けて対立が激化する可能性も排除できず。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

<<投機・投資要因>>

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

・コロナウイルス対策のために大量に投入された資金が、コロナウイルス終息後にリスク資産買いに走り、暴騰するリスク。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は総じて軟調な推移となった。限月交代を控え、前日大暴落したWTIの直近限月価格は上昇した。

目立った手がかり材料に乏しい中、世界的な供給過剰観測が強く意識され、かつ、それを受けた株価の下落もあり大幅な続落となった。

ETFの乗り換えで期近の売り圧力が強かったWTIは限月が6月物に交代したが、6月物も水準を切り下げる展開になった

【原油価格見通し】

原油価格は世界的な供給過剰感が再び意識されていることから軟調な推移になると考える。ただ、ゆっくりではあるが感染拡大ペースが鈍化し、需要面の改善が見こまれること、価格低迷、場合によるとマイナス価格での販売を余儀なくされる状況が、生産者の減産を加速させるため、やはり中期的な見通しは強気である。

ただし、景気回復ぺースは緩やかにならざるを得ず、上昇余地も限定されると見る。

本日に関しては、この数日の動きが極端にベアであったため、一旦買戻しが入るのではないか。

一大産油国であり、消費国でもある米国の貯蔵スペース枯渇の問題が顕在化したことから、しばらく米国原油は低い水準、それこそ「処理コスト混みの価格」であるマイナス価格で取引される可能性が高まってきた。

最近では原油の輸出も始まっているが、国内の需要が極端に減少した時に海外に積極的に原油をさばいていくインフラが、中東や欧州と比較した時に充分に整備されているとは言えない(安全保障の観点から、自国のエネルギーを海外に輸出するという考え方を米議会は理念として否定している)。そのため、需要が減少した時の国内需給の緩和が急速になる。

この状態が続くと生産者の破綻が相次ぐことになるため、米政府が戦略備蓄として原油を受け入れる可能性はある。ただ、それでも全米の在庫を引き受けるだけのゆとりがないことは事実だ。

現在の戦略備蓄貯蔵能力は7億1,350万バレル、戦略備蓄量は6億3,497万バレル。数字の上では7,853万バレルの備蓄が可能だ。米エネルギー省はこの4月、7,700万バレルの貯蔵スペースを開放する方針を示しているが、貯蔵設備までの輸送の問題もあり、この問題が片付くにはしばらく時間が掛るだろう。

輸出することを前提とている中東や欧州はインフラ整備がなされているため、需要動向にあまり強く影響を受けない。しかし、直近のデータでは世界の洋上在庫が増加(主にアジア)しており、2016年の第一次OPECショックの水準をはるかに上回った。

早晩、洋上備蓄のスペースもなくなることが予想され、この場合、2.WTIのようにマイナス価格で売られる、2.OPECプラス諸国、非OPECプラス諸国の減産、もあり得る。

日本はドバイとオマーンの平均価格に産油国が決める調整価格を加えた価格で原油を輸入しているが、現在この調整価格は▲7ドル程度。ドバイが船積み月の月間平均価格ベースで7ドルを下回ると、マイナス価格で購入できることになる。

ただ、長年の関係性もあり、この場合の購入価格は産油国と輸入者の間でマイナスにならないよう調整があるのではないか。

2.については、OPECプラスも「原油の保管場所がない」状態で増産を続ける意味はなく、早晩減産に応じるだろう。ただ、「非OPECプラスが減産しないのは不公平だ」と考えているため、経済合理性の観点で生産継続が困難な非OPECプラスの減産進捗が起きてから、となるのではないか。

となると、減産が遅れ、取引の前提となるドバイやBrentの先物・先渡し価格がマイナス価格状態になる可能性は否定できない。

現在の価格水準が継続すれば米国やカナダも2割程度、自動的に減産が行われる可能性は高く、結果的に全世界で2割程度の減産になると見ている。

米シェールオイルの生産者のコストは50ドル近辺、カナダのオイルサンドからの生産者のコストも40ドル程度。現在の価格水準ではほとんどの生産者が利益を確保できない。

価格下落リスクヘッジをしている生産者も、引き受け手がいない原油を保有している訳にも行かないため、操業を停止するところが出てくるだろう。纏まった数の企業破綻が起きるとすれば、ヘッジ期間の目処である3、6、9、12月末。

生産調整の議論の次に考えるべきは、「コロナ終息後の供給」である。今のところ秋から世界の経済活動が回復に向かうというのが楽観的ではあるが、メインシナリオである。

この時の減産規模縮小のタイミングを誤ると、価格が大きく上昇するリスクが出てくる。

すでに全ての産油国が追加減産を余儀なくされる見込みであるが、実際に減産を行うと稼働再開には時間が掛るため、供給が間に合わない可能性がある。中東の産油国でも1ヵ月程度、米シェール企業の場合は増産を決断してから実施されるまで、6~7ヵ月はかかる。

さらに価格低迷が産油国の体制を揺るがすため、供給が途絶して急騰、というリスクもあり得る。特に中東北アフリカ諸国ではコロナウイルスの感染が拡大した場合、治安の不安定化で政権の維持が困難になり、供給自体に支障をきたす可能性もある。

逆に、コロナウイルスの感染拡大防止に失敗し、「今年の冬に第二ラウンドに突入」となると需要の回復は難しく、かつ、信用リスクにも波及し企業倒産がべースの需要を減じることから、現在の世界各地の減産では不十分となる可能性も充分にあり得る。

さらに影響がよく分からないのが、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点。これによって株が急騰する可能性はあり、その場合エネルギーセクターにもリバランスの買いが入るため、投機的な観点から価格を押しあげよう。

株価の急騰は再び実態経済と、株価の顕著な乖離をもたらすため、その後のリスク資産価格を乱高下させる要因となるため要注意だ。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことはリスクといえる。

原油価格の変動性は今後、需要が低迷するにも関わらずさらに高まると予想される。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落した。原油価格の急落に伴うリスク資産売りの流れや、中国の港湾在庫の増加を受けて。

【石炭価格見通し】

石炭価格はしばらく下値余地を探る動きになると考えている。

季節的に夏場前の不需要期であること、中国の港湾在庫が急増しており過去5年平均を上回ったことが背景。

ただし早晩夏場のピークに差し掛かることや、中国の工場再稼働も緩やかながら始まっていることを考えると今後、季節的な価格上昇はあると考える。とはいえ、回復のペースは緩慢であり上昇余地も限定。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・最大消費国である米国の石油製品出荷は前年比▲3割の大幅減少の状態であり、短期的な需要の方向性はマイナス(原油価格の下落要因)。

世界2位の消費国である中国の需要の指標である工業生産は市場予想を上回るマイナス幅の縮小となったが、小売売上高は前月から改善

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷、石炭価格の下落要因。

<<特殊要因>>

・原油価格下落とコロナウイルス感染拡大による治安悪化が、中東情勢を悪化させ供給リスクにつながる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

<<投機・投資要因>>

・WTIは4月14日時点でロングが増加、ショートも増加したがネットロングは増加。Brentはロングが増加、OPEC減産見通しでショートが減少。

いずれも需給タイト化を意識した、強気のポジション取りに。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが700,474枚(前週比 +44,703枚)ショートが189,805枚(+18,929枚)ネットロングは510,669枚(+25,774枚)

Brentはロングが232,362枚(前週比+2,751枚)ショートが120,908枚(▲5,088枚)ネットロングは111,454枚(+7,839枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME市場は急速に水準を切り下げた。原油価格の下落を受けた株式市場の混乱でリスク回避の動きが強まる中、これまで中国の回復期待と生産減少による需給タイト感で買われてきた非鉄金属には売り圧力が強まる形となった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は底堅い推移になると考える。企業活動の現在の状況を正確に把握することは困難であるが、最大消費国である中国の経済活動が再開し、上海在庫の減少継続が確認されていること、チリ・ペルーなどの生産国でもコロナウイルスの感染拡大が確認され、鉱山生産が減少していることから。

この時期の上海在庫減少はある意味季節性通りではあるが、鉛やニッケル、錫などの在庫減少ペースは例年よりも早い。生産者の稼働の遅れと、消費者の工場稼働に差が生じているためと考えられる。

ただし、原油価格の急落で株を中心としたリスク資産に下押し圧力が掛かりやすくなっており、ファイナンシャルな面で価格の上昇は抑制される見込み。

また、価格が持続的な上昇になるためには需要の回復が必須。ここまでの価格上昇はどちらかといえば3月末を越えたことで、売りポジションを拡大していた投機の買戻しの動きが強まったことによる、テクニカルな上昇の側面が強い。

今のところ、それでも7月~8月頃に世界経済は再稼働を始めるという、希望的観測も含めた見通しをメインシナリオとしているが、経済活動の抑制状態が続いている状況に変わりはなく、あと数ヵ月は通常状態よりも需要が抑制された状態が続くと見られるため、再び非鉄金属価格は下落に転じるだろう。

結局、下値余地が徐々に限定され始め、緩やかに価格は水準を切り上げるが当面、上昇余地は限定される、ということだ。

基本的に戻りは緩やかなものになると見ているものの、稼働停止となっている鉱山の稼働が速やかに再開されるのか不明であり、各国政府・中央銀行が財政・金融政策の大盤振る舞いをしている点も先々の価格上昇リスクを強めている。

逆に、先進国中央銀行は持てる政策をすべて使ってしまったため、さらなる事態の悪化があった場合、打てる手段はほとんどないことは下落リスクだろう。コロナウイルスの影響が長期化する可能性は徐々に高まっている。

長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。

具体例を挙げると、社会インフラとしてのバッテリー向け、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・3月の中国製造業PMIは52.0(前月35.7)と大幅な改善となり、好不況の閾値である50を回復。ただし、統計の強制的な不連続性発生により、統計が安定して評価できるようになるには数ヵ月を要する見込み。

生産活動が回復(27.8→54.1)、新規受注も回復しているが(29.3→52.0)、輸出新規受注の回復が緩慢であることを勘案すると(28.7→46.4)、やはり国内向けの回復によるもの。

新規受注在庫レシオも急回復しており、ファンダメンタルズ的には非鉄金属価格を押し上げ(ただし輸出需要の回復が緩慢であり影響は限定)。

・金属にもよるが、主要生産者がコロナウイルスの影響による生産調整に動いており、供給面で価格を押し上げ(労働力が集まらない、業績悪化に伴う設備投資の減額、採算性悪化に伴う減産など、理由は様々)

(アルミ)Norsk Hydro Husnesアルミプラントの増産をQ320まで先送りアルゼンチン Aluar Puetro Madrynでの生産能力の▲50%を停止

(銅)南米の鉱山生産者(供給の約2割)は需要減と感染拡大防止のため、稼働率の引き下げを余儀なくされている状況Cerro Verde、Los Bronces、Constancia、Las Bambas、Collahuasi、Antaminaなど

(錫)PT Timah、需要の減少で当面錫生産を▲20%~▲30%減らす計画

(亜鉛)NewmontのPenasquito、Pan American SilverのLa Colorada、Grupo MexicoのBuenavistaとSan Martinなどが減産を決定

・3月銅製品生産者稼働状況

 銅線生産者 75.8%(前月34.7%、過去4年平均 82.9%) 銅棒生産者 53.6%(25.9%、75.3%) 銅板生産者 32.6%(59.8%、74.4%) 銅管生産者 76.9%(39.1%、83.3%)

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国固定資産投資は、前年比▲16.1%の8兆4,145億元(1-2月期▲24.5%の3兆3,323億元)と減速感が改善。公的部門は▲12.8%(▲23.1%)とマイナスながらも前月からマイナス幅が縮小、民間部門も▲18.8%(▲26.4%)とマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国不動産開発投資は前年比▲7.7%の2兆1,963億元(1-2月期▲16.3%の1兆115億元)とやはりマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の銅輸入は前年比+13.3%の44万トン(1-2月期85万トン)、銅鉱石・精鉱輸入は前年比+0.5%の178万トン(377万トン)となった。

銅地金の輸入は過去5年平均程度であるが、米中通商戦争が激化を始めた昨年に比べると高い水準。銅鉱石の輸入は、過去5年の最高水準だった昨年の水準を上回った。

いずれも中国の工業活動が平常状態に戻りつつあることを確認する内容であり、価格の上昇要因。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。ただしTCが低下を始めており、徐々に需給は緩和方向へ。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

<<特殊要因>>

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

<<投機・投資要因>>

・4月10日付のLMEロング・ショートポジションは、総じてロングの買戻しが入り、ネット買い越し幅を拡大下。合わせて生産調整(強制的な鉱山生産停止)が起きている金属のショートが買い戻される動きが続いた。

結果、ネットロングはすべての商品で増加しており、錫はネット買い越しに転じている。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲50.0億ドル(前週▲53.1億ドル)と売り越し幅を縮小した。売り越し額の減少率は▲5.9%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,728千トン(▲1,851千トン)とCME銅以外の売り越し幅が減少した。ネット売り越しの減少率は▲6.7%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品先物価格は下落した。

原油価格の急落を受けたリスク資産の売り、それに伴う信用不安への懸念からリスク資産が売られる流れとなり、先物価格は水準を切り下げた。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の工場の稼働再開と、インドなどの生産国がコロナウイルス対策の影響で鉱山の稼働を停止したり、輸送を停止したりということが顕在化し始めていることが価格を押し上げるが、コロナウイルスの影響で景気減速は必定であり、現状水準でもみ合うものと考える。

ただ、原油価格の急落で市場参加者のマインドが大きく低下していることもあり、目先は下押し圧力が強まる展開を予想。

中国河北省の高炉稼働率は4月3日時点で78.5%(前週77.8%)と上昇を続けており、中国の工場稼働が回復していることが伺える。

今後、中国以外の国でコロナウイルスの影響が拡大することを考えると、鉄鋼業の景況感の回復にはやはり時間がかかることになると予想される。

中国の鉄鋼製品は例年通り季節的な在庫の取り崩しが始まったが、例年よりも在庫の減少ペースが速い。生産者の供給が十分ではない中、最終需要者の稼働が回復している可能性があることを示唆している。

原料炭は新型コロナウイルスの影響で世界の経済活動が鈍化、鉄鋼需要の伸びも欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は過去5年のレンジを上抜けしており、足元の需給も緩和している。

しかし、生産側も同様に影響を受けていること、世界的な石炭生産制限の流れを受けて、鉄鉱石とは異なり原料炭価格の中長期見通しは強気である。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・3月の中国鉄鋼業PMIは42.2と前月の36.6から大幅に改善。

生産が回復したことと(31.3→39.3)、原材料在庫が積み上がったこと(29.2→44.9)によるもの。

受注は国内は改善したがむしろ海外向けは減速(新規受注 32.7→38.5、輸出新規受注 42.5→27.3)しており、需要面が価格を下押ししやすい。

・1-3月期中国工業生産は前年比▲8.4%(1-2月期▲13.5%)と回復。ただし前年比マイナスの状態は変わらず(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国固定資産投資は、前年比▲16.1%の8兆4,145億元(1-2月期▲24.5%の3兆3,323億元)と減速感が改善。公的部門は▲12.8%(▲23.1%)とマイナスながらも前月からマイナス幅が縮小、民間部門も▲18.8%(▲26.4%)とマイナス幅が縮小した。

ただし前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-3月期中国不動産開発投資は前年比▲7.7%の2兆1,963億元(1-2月期▲16.3%の1兆115億元)とやはりマイナス幅が縮小した。

ただし、前年比マイナスの状態は変わらず(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・3月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比+2.3%の647万6,000トンと回復した。ただし前年の水準は米中対立の影響で過去5年の中でもほぼ下限に近く、中国外のロックダウンによる需要減少が顕在化した形。

中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比▲99.3万トンの2,275.9万トン(過去5年平均1,383.4万トン)とコロナウイルスの影響で在庫が急増していたが、工場の再稼働で例年通り在庫の取り崩しが始まっている。

ただし、例年よりも取り崩しのペースは早く、鉄鋼生産者の稼働が最終需要家の回復よりも遅れている可能性があることを示唆している。

・3月の中国の鉄鉱石の輸入量は前年比▲0.6%の8,591万トンとなり、過去5年水準を下回った。鉄鋼製品在庫の高さもあって、鉄鉱石輸入の動きは鈍い。

しかし、在庫日数ベースの港湾在庫の水準は低く一定の在庫積み増し需要があると考えられる。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+40万トンの1億1,905万トン(過去5年平均1億2,613万トン)、在庫日数は+0.1日の28.4日(過去5年平均 30.9日)と依然として在庫水準は低い。

鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、一定の鉄鉱石の輸入需要が価格を高止まりさせると考える。

・3月の石炭輸入(燃料炭・原料炭の合算)は前年比+18.5%の2,783万トンと増加し、過去5年レンジを超えた。中国の経済活動の再開を反映したもの。

ただし、石炭輸入動きを占う上で参考になるバルチック海運指数は回復してはいるものの昨年の水準を下回っている。これは主要用途である電力向けの石炭在庫の水準が高いこと、コロナからの回復が緩慢であることを示唆している。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、インフラ整備のための投資を拡大する方針(5年で約160兆円)であり、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

<<特殊要因>>

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による経済成長の鈍化。

<<投機・投資要因>>

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金銀価格は上昇した。名目金利の低下を受けて実質金利が低下したものの、原油価格の下落の流れで株が下落、リスク回避でドルが上昇したことが価格を下押しした。

このような下落局面では、安全資産としてのポジションが金よりも低い銀・プラチナは大幅に下落、パラジウムは株の下落もあってさらに大きな下落となり、2,000ドルを割り込んだ。

【貴金属価格見通し】

金銀は高値圏で推移すると考える。コロナウイルスの感染拡大ペースは鈍化しているものの、中国の感染者数が再び増加を始めるなど、不安要素が多いこと、価格への影響はさほど大きくないと見られるがOPECプラス+αの減産合意で、原油価格の下落余地が限定され始め、実質金利が低下しやすいことが材料。

現在の金の実質金利で説明可能な価格からの乖離(リスクプレミアム)は235ドル(前日比+3ドル)。コロナ・OPECショック前の水準(250ドル程度)を取り戻した。現在の実質金利で説明可能な価格水準は1,450ドル程度で安定している。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください。

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀在庫レシオを元にした分析では、金在庫の急増もあって115倍程度が妥当である。関係性が薄れているとはいえCOMEX銀在庫が過去最高水準で推移しているため、しばらくは100倍を超える状態が続くと考えられる。

コロナ・OPECショックによる相場急変で、金価格と銀価格の過去の関係性が完全に崩壊してしまっており、新しい関係性が構築されるまでには時間が掛りそうだ。

PGM価格は、景気の先行きは明確に悪く、少なくともQ220は悪い状態が続きそうであること、株式市場の混乱も続いているためしばらくは軟調地合いの中、神経質なレンジワークを継続することになると考える。

プラチナ価格は銀価格との連動性が高まっている。これは供給過剰で投機的な色彩が強まっているが、各国の準備金や市場取引の担保価値がみとめられている金のような安全資産としては認知されていないことによる。

銀価格は上記の通り当面低迷する可能性が高いため、プラチナ価格も低迷するだろう。

パラジウムは、世界的な景気減速に伴う自動車向け需要の減速が価格を下押しするものの、コロナウイルスの感染拡大で南アフリカの鉱山がすべて停止するなど、供給途絶リスクが顕在化しているため、高値圏での推移になると考える。

ただ、Norilsk Nickelは2020年のパラジウムの需給見通しを▲90万オンスの供給不足から、▲20万オンスの供給不足に下方修正しており、上限は切り下がったと考えられる。

3月の米自動車販売は年率1,137万台(市場予想 1,270万台、前月 1,683万台)と、急速に悪化している。明らかにコロナウイルスによる消費手控えの影響によるものである。

中国の3月の自動車販売は前年比▲43.3%の143万台(前月代▲79.1%の31.0万台)となり、コロナウイルスの感染拡大防止に伴うロックダウンの影響を強く受けた。

今後、中国の販売は欧米に先行して回復すると見るが、完全に経済活動が元に戻っている訳ではないので、回復ペースは緩慢なものに留まるだろう。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・FRBは▲1.5%の緊急利下げ、無制限の量的緩和を決定、貴金属価格の上昇要因に。

ただしこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態であり、金価格の上昇余地は限定される。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働全面停止による供給懸念。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

<<特殊要因>>

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)や、コロナウイルスへの対策に対する中国への不満が高まった場合、再び通商問題が議題に上がる場合(金銀価格の上昇要因)。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

<<投機・投資要因>>

・金銀は、ロング・ショートともが増加し、キャッシュ化の動きが鎮静化。

プラチナはロング・ショートとも減少、パラジウムは小幅な変化に留まった。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが286,617枚(前週比 +6,737枚)、ショートが34,116枚(+3,178枚)、ネットロングは252,501枚(+3,559枚)、銀が48,003枚(+1,532枚)、ショートが17,449枚(+695枚)、ネットロングは30,554枚(+837枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが29,126枚(前週比 ▲1,433枚)ショートが11,330枚(▲208枚)、ネットロングは17,796枚(▲1,225枚)

パラジウムが2,101枚(+39枚)、ショートが1,285枚(▲56枚)ネットロングは816枚(+95枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場はまちまち。原油価格の下落を受けてトウモロコシは下落、大豆は安値拾いの買いで下落後急反発、小麦は黒海地区の乾燥気候による供給減少やそもそもの在庫水準の低さからシカゴ価格が上昇したが、結局ドル高に押されて下落した。

なお、トウモロコシ価格が10年ぶりの安値になっていることから、中国政府が安値拾いの買いを進めるため、米国産トウモロコシに対する関税免除を検討してるいと報じられている。

【穀物価格見通し】

穀物価格は高安まちまちになると考える。

トウモロコシは作付け意向面積の増加と、コロナウイルスの感染拡大に伴うエタノール向け需要の減少や原油価格の暴落が価格を下押しするが、同時にエタノール生産者の大幅な減産が見込まれていることが価格を下支え。

大豆はコロナウイルスの影響による輸出減速観測や、トウモロコシのエタノール向け需要の減少に伴う飼料向け需要の増加から、競合関係にある大豆ミール需要も減少すると見られ軟調に。

小麦はそもそもシカゴの受け渡し可能在庫水準が低く、かつ、コロナウイルスの感染拡大や干ばつの影響で、ロシアがQ220の輸出を制限するとの見方による供給懸念や、欧州・北アフリカ消費者の巣籠需要で高値圏を維持すると考える。

懸念すべきは東アフリカ・中東地域でサバクトビバッタが激増、深刻な食糧危機をもたらしており、これに伴う食品需要が増加する場合。

【価格変動要因の整理】

<<マクロ要因>>

・トウモロ作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・4月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 79億5,300万Bu(81億8,354万Bu、114億200万Bu)大豆 22億5,300万Bu(22億2,830万Bu、32億5,800万Bu)小麦 14億1,200万Bu(14億2,979万Bu、18億4,100万Bu)

<<特殊要因>>

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・夏場以降、北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の可能性があり、価格の上昇リスク要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

<<投機・投資要因>>

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが231,417枚(前週比 +3,799枚)、ショートが304,711枚(+21,318枚)ネットロングは▲73,294枚(▲17,519枚)

大豆はロングが177,134枚(+12,780枚)、ショートが80,210枚(+8,957枚)ネットロングは96,924枚(+3,823枚)

小麦はロングが107,952枚(+2,117枚)、ショートが74,175枚(+4,080枚)ネットロングは33,777枚(▲1,963枚)

◆主要ニュース


・3月日本工作機械受注改定 前年比▲40.7%の774億4,700万円
(前月▲29.6%の772億2,400万円)
 外需▲43.7%の432億100万円(▲33.6%の452億2,700万円)

・3月ZEW独景況感調査期待指数 28.2(前月▲49.5)
 現況指数 ▲91.5(▲43.1)
 ユーロ圏期待指数 25.2(▲49.5)

・3月米中古住宅販売 前月比▲8.5%の527万戸(前月+6.3%の576万戸)

・米トランプ大統領、コロナ追加対策法案に署名の意向。米上院は4,840億ドルの中小企業救済融資プログラムと病院支援、コロナウイルス検査予算を盛り込んだ追加救済法案を可決。

・北朝鮮金正恩委員長、心臓手術で重症との報道(CNN)。

・イタリア コンテ首相、5月4日から都市封鎖を段階的に解除。

・イスラエル ネタニヤフ首相、最大野党と挙国一致内閣樹立で合意。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米在庫統計市場予想 原油+13,919KB(前週+19,248KB)
 ガソリン+4,551KB(+4,914KB)
 ディスティレート+3,659KB(+6,280KB)
 稼働率▲1.96%(▲6.50%)

・API石油統計 原油在庫+13.2MB、クッシング+4.91MB
 ガソリン+3.44MB、ディスティレート+7.64MB

・OPECプラスが緊急閣僚会合を開催も、新たな措置は決定されなかったが、定期的な電話会合開催で合意。

・メキシコ、新しい油田を閉鎖。

・トランプ大統領、「サウジアラビアからの原油輸入停止も選択肢。」

【メタル】
・Glencore、ザンビアの銅鉱山の閉山を撤回。

・Q120Vale ニッケル生産 前年比▲2.9%の53.2千トン
(前期▲15.0%の56.7千トン、前年54.8千トン)
 コバルト ▲0.5%の1,189千トン(▲20.7%の1,140トン、1,195トン)

 銅 +0.7%の94.5千トン(▲17.8%の90.3千トン、93.8千トン)

 鉄鉱石 ▲18.2%の59,605千トン(▲3.2%の78,344千トン、72,870千トン)

 金 +10.2%の119千オンス(▲0.8%の132千オンス、108千オンス)

 プラチナ +37.1%の48千オンス(+40.6%の45千オンス、35千オンス)
 パラジウム +10.2%の119千オンス(+33.3%の56千オンス、42千オンス)

 原料炭 ▲6.5%の983千トン(▲49.7%の825千トン、1,051千トン)
 燃料炭 ▲15.7%の980千トン(▲28.2%の1,051千トン、1,051千トン)

 2020年生産計画
 鉄鉱石 310百万トン~330百万トン(従来計画340百万トン~355百万トン)
 銅 36万トン~38万トン(38万2,000トン~38万6,000トン)
 ニッケル 18万トン~19万55,000トン(20万トン~21万トン)

・Q120BHP Billiton
 鉄鉱石生産 前年比▲1%の60百万トン(前期▲1%の60百万トン、2020年間生産目標 242~253百万トン)

 原料炭 ▲16%の9百万トン(+17%の11百万トン、41~45百万トン)
 燃料炭 ▲5%の6百万トン(+8%の6百万トン、24~26百万トン)

 銅 ▲7%の425千トン(+6%の455千トン、1,705~1,820千トン)
 Escondida銅山 ▲6%の290千トン(+9%の309千トン、1,160~1,230千トン)

 ニッケル +53%の21千トン(▲37%の14千トン、80~83千トン)

 亜鉛 +52%の31,789トン(▲7%の22,483トン)

 原油 ▲12%の12MMBoe(▲7%の13MMBoe)

 天然ガス ▲13%の81BCF(▲6%の89BCF)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ +9.05%/ ▲38.01%
2.CBTもみ米 ( 穀物 )/ +3.98%/ +15.26%
3.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +1.38%/ ▲54.97%
4.CBT大豆ミール ( 穀物 )/ +1.23%/ ▲3.60%
5.SHF 銀 ( 貴金属 )/ +1.15%/ ▲15.33%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.NYM WTI ( エネルギー )/ ▲126.60%/ ▲83.61%
69.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲24.40%/ ▲70.71%
68.NYM RBOB ( エネルギー )/ ▲23.64%/ ▲69.94%
67.NYM灯油 ( エネルギー )/ ▲18.12%/ ▲64.16%
66.ICEガスオイル ( エネルギー )/ ▲17.48%/ ▲64.82%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :23,018.88(▲631.56)
S&P500 :2,736.56(▲86.60)
日経平均株価 :19,280.78(▲388.34)
ドル円 :107.80(+0.18)
ユーロ円 :117.05(+0.15)
米10年債 :0.57(▲0.04)
中国10年債利回り :2.56(▲0.02)
日本10年債利回り :0.02(±0.0)
独10年債利回り :▲0.48(▲0.03)
ビットコイン :6,894.59(+26.48)

【MRAコモディティ恐怖指数】
ベースメタル :28.58(▲0.76)
貴金属 :42.02(▲6.45)
穀物 :19.92(▲0.91)
その他農畜産品 :46.53(▲0.2)

【主要商品ボラティリティ】
Brent :149.88(+36.7)
米天然ガス :75.27(+0.53)
米ガソリン :154.31(▲30.34)
ICEガスオイル :93.12(+25.92)
LME銅 :34.01(+0.71)
LMEアルミニウム :21.66(▲0.05)
金 :12.14(▲3.28)
プラチナ :29.60(▲13.74)
トウモロコシ :16.95(+0.43)
大豆 :12.14(▲3.28)

【エネルギー】
WTI :10.01(+47.64)
Brent :19.33(▲6.24)
Oman :19.93(▲3.59)
米ガソリン :51.03(▲15.80)
米灯油 :72.69(▲16.09)
ICEガスオイル :216.00(▲45.75)
米天然ガス :1.82(▲0.10)
英天然ガス :13.99(+0.19)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :19.33(▲6.24)
SPO380cst :126.68(▲16.57)
SPOケロシン :20.15(▲6.02)
SPOガスオイル :26.32(▲6.08)
ICE ガスオイル :28.99(▲6.14)
NYMEX灯油 :76.67(▲6.24)

【貴金属】
金 :1686.20(▲9.45)
銀 :14.89(▲0.43)
プラチナ :749.27(▲24.91)
パラジウム :1933.38(▲237.84)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,030(▲161:35C)
亜鉛 :1,887(▲65:11C)
鉛 :1,657(▲15:25C)
アルミニウム :1,484(▲7:40C)
ニッケル :12,156(▲178:71C)
錫 :14,790(▲407:60C)
コバルト :29,674(▲4)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5026.50(▲147.50)
亜鉛 :1909.00(▲36.00)
鉛 :1662.50(▲21.00)
アルミニウム :1490.00(▲15.00)
ニッケル :12160.00(▲335.00)
錫 :14840.00(▲325.00)
バルチック海運指数 :757.00(+6.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :83.73(▲1.16)
NYMEX鉄鉱石 :83.92(▲0.51)
NYMEX原料炭スワップ先物 :134.51(▲0.08)
上海鉄筋直近限月 :3,503(▲38)
上海鉄筋中心限月 :3,326(▲53)
米鉄スクラップ :273(±0.0)

【農産物】
大豆 :830.75(+4.25)
シカゴ大豆ミール :289.10(+3.50)
シカゴ大豆油 :25.35(▲0.63)
マレーシア パーム油 :2113.00(▲177.00)
シカゴ とうもろこし :309.25(▲5.00)
シカゴ小麦 :546.75(▲2.00)
シンガポールゴム :135.20(▲3.80)
上海ゴム :9645.00(▲185.00)
砂糖 :9.75(▲0.31)
アラビカ :109.65(▲4.00)
ロブスタ :1103.00(▲37.00)
綿花 :53.31(▲0.72)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :44.28(+3.68)
シカゴ生牛 :91.60(▲1.93)
シカゴ飼育牛 :117.90(▲0.43)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。