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当局対応に悲観的な見方広まりほとんどの商品が下落
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年3月17日 第1707号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「当局対応に悲観的な見方広まりほとんどの商品が下落」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は一部の商品を除き、大幅な下落となった。昨日発表された中国の重要統計が市場予想を大きく下回ったことに加え、米国が週末、矢継ぎ早にコロナウイルス対策を実施、FRBが緊急追加利下げと資金供給を行った。

しかし、市場はこれに対してネガティブに反応、株価が急落する中でその他のリスク資産価格も大きく水準を切り下げる形となった。ここまでの下落幅を考えると、すでに市場での反応は、リーマンショックを超えたともいえる。

下落の背景は、1.先週末のコロナ対策で十分とみられていたのにも関わらず、さらに緩和をしなければならない、というのは今回の一連の問題がすでに信用リスクに波及しているという、何らかの情報を当局は把握しているのではないか都の疑念が広がったこと、2.大幅な利下げによって「最後の砦」だった米FRBも金融カードをほとんど使いつくしたことで、今後仮にリセッションが起きた時の対策余地がほとんどなくなったこと、が要因である。

このような局面では資金繰り倒産が起こり得るため、銀行の資金繰りを支援するための流動性供給は対策としては是とされる。

しかし、日曜日に決定された米FRBの▲100bpの緊急利下げと、ドル需給ひっ迫に伴う流動性緩和のための資金供給拡充決定により、日銀も追加緩和をせざるを得なくなった(今回の日銀の追加措置を緩和、といってよいものかわからないが...)。

金利は据え置く一方で、ETF購入額を年12兆円に引き上げ、J-REATの保有残高増加ペースを年1,800億円にひきあげ、3-5年、5-10年の国債も追加買い入れを行うなど、緩和を強化した。

さらに、必要に応じて「躊躇なく追加緩和を行う」としているが、これ以上、緩和できる余地はほとんどない。今回の対策が本当に必要だったか疑問である。

黒田総裁が明言してしまったように、19,500円を割り込むと保有株は含み損となる。株価が短期的な下落で済めばよいが、長期化した場合、今度は日銀の体力が大丈夫か?といったことが市場で意識されることになる。こうなればトリプル安(株安・債券安・円安)のリスクも無視できない。

コロナウイルスの感染拡大のための経済活動の制限や、必要なPCR検査実施は継続せざるを得ないが、徐々にどの程度のウイルスであるかはわかりつつあるのも事実だ。

コロナウイルスからの経済立ち直りを可能にするため、「何をどこまでやってよいのか」「企業支援」「雇用者支援」の対策を、それこそ躊躇なく行うことが、株式などの市場にもプラスになるのではないか。

※関連グラフはリンクをご参照ください。詳しい解説は「MRA商品市場レポート for PRO」をご購読ください。
https://marketrisk.jp/news-contents

※レポートのお申込みはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

※Brent原油の期間構造アップデートはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

■新型肺炎関連情報

※新型コロナウイルスの新規感染者数状況は、こちらのリンクからどうぞ。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

【本日の価格見通し総括】

本日も前日の米国株下落を受けたリスク回避の動きが強まることから、再び多くの資産が下値余地を探る動きになると考える。

株価の急速な下落が市場参加者のリスク回避姿勢を強め、ほとんどの市場で換金売りを強める状況が続いている。この状況が変わるには、きっかけとなったコロナウイルスの影響の緩和、原油価格の反転上昇、が重要になるが1~2週間で達成できるとは考え難い。

本日は独ZEW景況感指数と米小売売上高に注目している。

独ZEW景況感指数は、期待指数が▲30.0(前月+8.7)、現状指数が▲30.0(▲15.7)と悪化見込みである。対コロナウイルス対策が本格化する前の統計であり実態はこれよりも悪かろう。

また米小売売上高にも注目しているが、前月比+0.2%(前月+0.3%)と小幅な回復であるが、これも今回の一連の対策を実施する前の統計であり、さほど参考にはならない。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日発表された中国の1-2月の統計は、予想通り市場予想を下回る悪い内容となった。

工業金属やエネルギーのフロー需要の指標である工業生産は前年比▲13.5%と市場予想の▲3.0%を大きく下回り、エネルギーのフロー需要の指標である小売売上高は▲20.5%(▲4.0%)と大幅に減速した。

工業金属のストック需要の指標である固定資産投資は▲24.5%、不動産開発投資は▲16.3%とやはり減速している。

中国の経済封鎖の動きは想像以上に苛烈だったといえるだろう。ただ、これらの消費減少や投資縮小は、これから日米欧の先進諸国で発生する「未来の出来事」であり、過小評価してはならない。これから2ヵ月程度が正念場となるだろう。

ただ、中国の経済活動が回復していることは確かであり、ピークアウト後に緩やかに日米欧の景気が回復に向かう可能性は高い。ただ、この回復までにどれだけの会社や消費者が、来るべき景気減速に耐えられるかどうかが大きなポイントになるだろう。
https://www.facebook.com/Market.Risk.Advisory/posts/3102407423104414?__tn__=-R

結局、今回の自粛の中で、100ある企業のうち、10が破綻した場合と、30が破綻した場合、どちらが新型コロナウイルス終息後の回復が速やかであるか、は議論する必要もないだろう。

つまり、コロナウイルス対策を行っている間の、企業破綻を少なくすることが必要で、そのためには資金繰り対策や借入金の返済延期などの措置が必要になってくる。

次に、消費が回復するためには雇用が確保されていることが重要になる。もちろん、コロナウイルス問題が「短期で終了すれば」、企業倒産やそれに伴う失業者の増加も回避でき、押さえつけられた消費に火が付き、金融緩和と相まってリスク資産価格が急騰する可能性は高い。

しかし、長期化して企業破綻、失業者増加、となれば、少なくとも失業した人たちが積極的に消費を増やすとは考え難い。失業してから失業手当を給付しても正直手遅れである。

これを勘案すると、結局「この自粛状況でもいかに経済を回していくか」を考えるステージに入っていると考える。言葉を替えると、ウイルスとの共存を考えなければならないかもしれない。

しかし、そのためには必要なPCRを行って感染者の情報のサンプル調査を実施し、自粛解除を少しでも早める努力(現在の日本の対策は、実態が把握できないため、ピークコントロールを長期戦で行う戦略にシフトしている)や、感染者が回復までの過程がどうだったか、どのような治療が有効であったかを開示していくことは、消費者の適切な判断を促すために重要だ。

欧米で感染者が増える中で、今後、より信頼できるウイルスに対する情報が出てくると予想されるため、この1~2ヵ月で新型コロナウイルスを巡る状況は大きく好転するのではないかと期待している。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。特に中国の製造業・非製造業PMIの減速はショッキングであり、今後、中国以外の国が中国ほど苛烈ではないにせよ、感染拡大防止策を講じた場合、同様の影響が出る可能性があることは需要面での価格下落要因。

今後は、これが短期的な減速で止まるのか、長期的なものになるのかは各国政府の対応に掛かっている。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ているが、コロナウイルスの感染拡大でさらに改定される見通しでは2019年(2.9%)を下回る見込み。

・FRBは▲100bpの緊急利下げと、ドル需要ひっ迫の状況を緩和するための量的緩和も実施、米国の持っていた金融緩和のカードはほとんどなくなった。徐々に金融面での価格下支え効果は薄れる見込み。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の世界的な感染拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた経済活動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、景気循環銘柄価格の下振れ要因に。ただし、新型肺炎の影響で当面は中国の合意不履行は問題視されない可能性が高まった。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、イランと米国の散発的な衝突は続き、軍事衝突懸念が再びつよまる可能性があることは排除できず。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油価格は下落した。日曜日にFRBが緊急利下げを実施、ドル供給の拡充も決定したが、コロナウイルス対策のための強制的な経済活動停止に伴う需要減少観測は根強く、さらに中東ではUAEなども増産を開始し、需給バランスの改善は当分ない、とみられたことが価格を押し下げた。

昨日発表されたエネルギー消費の指標である、中国の工業生産や小売売上高は市場予想を大きく下回る低下となり、同様に売り材料となった。

【原油価格見通し】

原油価格は30ドルの節目を割り込んだことから割安感からの買いが入ると予想されるものの、経済活動の強制停止の動きが世界中で強まっているためいくら割安といっても買い圧力は弱く、テクニカルに下値余地を探りやすい地合いが続くと考える。

また、需給面でも中国の1-2月の工業生産、小売売上高は市場予想を上回る大幅な減速となり予想よりも厳しく、これと同様の減速が日米欧でも見られる可能性が高いこと、第2次OPECショックによる増産開始はこれからであり、米国・欧州の航空便減便もこれからで、輸送燃料需要の減少で需給バランスは緩和した状態が続くため、低い水準での推移が続くと考える。

IEAの見通しでは米国の渡航規制発令前の水準で、前年比▲9万バレルの減少と見込まれているが、これを上回ることは必須であり、原油価格の上昇はファンダメンタルズ面からは肯定できない。

今後は、1.ロシアが何らかの譲歩を行う(6月に会合がもたれる、というのがメインシナリオだが、2014年の第1次OPECショックの時は2年増産が続いたため、6月に議論し、12月に減産実施というのがセカンドシナリオ、サードシナリオは2014年と同様に長期化)、2.コロナウイルスの感染拡大が終息する、といったことが相場反転の必要条件となる。

国内の感染のピークは今月~5月頃とみられており、米トランプ大統領は米国での終息が7月~8月になると見通しを示している。一部で言われている「暖かくなって終息」「抗体を獲得した人間の増加で終息」ということが仮に事実だとしても、Q220以降になると予想される。もちろん、薬効のある薬が発見されれば話は別だ。

弊社の価格見通しは3ヵ月ごとに更新であるため、次回更新は4月となるが、恐らくQ220のBrentの価格見通しは情勢に変化がなければ、Brentで30~40ドル、WTIで25~35ドルといったところが平均価格予想となる(米国の欧州に対する移動制限発動で、下限レンジを引き下げ)。

このように需給バランスのあるべき水準がわからない状況では、短期的に価格予想にファンダメンタルズ分析はあまり意味がない。

市場は需要減少リスク側に傾いており、現時点ではよりプットオプション動向が注目される。

Brentは35ドル、30ドル、25ドルに積み上がっており、この水準では防戦売買でもみ合いやすい。しかし、オプション建玉の量が少ないことから、然程強い防波堤にはならないだろう。

ちなみにWTIは30ドル、25ドル、20ドルに建玉が積み上がっているが、Brent同様、建玉の積み上がりは大きくない。

※Brent・WTIの期間構造はこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

中国は早期の可能性が高まっているが、それでも終息は政府の報道が正しいとすれば4月末の見込み。

一方、中国以外の国での感染者数が増加しておりWHOも最高レベルの警戒を勧告、夏頃の終息が市場のコンセンサスとなりつつある(やや後倒し)。しかし、年末を越える可能性も出ており予断を許さない。

唯一、参考になるデータは新規感染者数の推移のみであり、しばらくこれに左右される展開が続くと考えられる。ただし今後は、より中国以外の感染者数の増加に注目する必要がある。

※状況のアップデートはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

トランプ大統領の中東和平案を受けて、イスラエルとパレスチナの軍事的な衝突は激しさを増している。

ただ、今回の中東和平案はトランプ政権になってからの親イスラエルによる現状変更を追認した形であり逆回転は難しい。米国のエネルギー中東依存度も低く、米国の中東政策は「雑」になりやすい。

イデオロギー的にはアラブ諸国の敗北だが、武装集団や反イスラエル勢力がこの状況を看過するとは考え難い。イスラム国がイスラエルに攻撃を仕掛けるとも表明しており、特にシーア派三日月地帯の治安は悪化し、供給懸念が高まっているのも事実だ。

米・イラン問題は国同士の衝突リスクは低下した。しかし、イランの選挙では反米の保守派が大勝した。

しかもコロナウイルスの感染拡大で、イラン国内は危機的な状況にあり、米が実効支配しているIMFに50億ドルの支援要請をせざるを得なくなった。IMFがこれに応じなければ、反米感情は一気に高まることになるだろう。

直近ではイラクのバグダッドにミサイルが着弾、米国人が2名死亡しており、米エスパー国防長官は空母2隻の派遣を決定、予断を許せない状態となった。

シリアとリビアに対する関与を強めているトルコの動向も、地政学的リスクを高めるため懸念されるところ。シリアへの介入はイドリブ県のクルド人を巡る対立で、シリアと全面戦争の可能性もある。リビア介入は、イスラエルのガス田からのガス輸送にかかわる権益の問題。

この他、新型コロナウイルスが中東・北アフリカでも拡大しており、政府への対応の不満がさらに高まって、暴動に発展する可能性が出てきた(暴動事態が感染拡大につながるため、感染拡大中は起きないだろうが、終息後に生活困窮で暴動が起きる可能性)。

米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

FOMCは、緊急利下げをさらに行った。これにより金融面で価格は下支えされる可能性がある一方、さらなる事態の悪化があった場合の政策面での余地はなくなった。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。新型コロナウイルスの影響で企業活動が低迷していること、中国の港湾再稼働などの強弱材料が混在する中、レンジでの推移を継続している。

【石炭価格見通し】

石炭価格は中国製造業の稼働再開が域内需要の回復期待を高めているものの、新型肺炎の影響拡大は継続しており終息までは時間がかかることから、電力需要が鈍化、現状水準でもみ合うものと考える。

ただし、中国の石炭輸入は季節的に回復する可能性がある。実際、バルチック海運指数には徐々に底入れ感が出てきている。

長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPEC・OPECプラスの交渉が決裂、さらにサウジアラビアはOSPを大きく引き下げており、価格競争の様相を呈しており、2014年の第1次OPECショックの時と同様、長期化した場合(価格下落要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入減少。1-2月はコロナウイルスの影響はあったが、輸入量は1,062万バレル/日(前月1,007万バレル/日)と高い水準を維持。

しかし、コロナウイルスの影響で3月以降、各国の輸入量が減少する可能性は高く、特に輸送燃料の減少リスクは無視できない状況。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

・米国の中東への関与低下や原油価格の下落、新型コロナウイルスの影響拡大に伴う不満爆発で、中東・北アフリカでの暴動発生。特にシーア派三日月地帯とリビアでの発生リスク。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTIはロング・ショートとも増加。価格の急落を受けて水準が大きく切り下がり、先行き見通しが分かれたため。

Brentは欧州のコロナウイルス感染拡大でロングが大きく減る中、OPECショックでショートも増加した。

ポジション動向を見るに、原油市場はまだ冷静に対応しているとの印象。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが587,567枚(前週比 +23,663枚)ショートが200,170枚(+24,635枚)ネットロングは387,397枚(▲972枚)

Brentはロングが292,349枚(前週比▲47,675枚)ショートが138,994枚(+26,755枚)ネットロングは153,355枚(▲74,430枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落した。FRBが緊急緩和を決定したものの、逆に市場参加者の不安心理をあおることになり、株価のさらなる急落と相まってリスク回避の動きが強まったことが背景。

ただし、最大消費国である中国の軽罪滑動が緩やかに回復していると期待されることが、価格の下落を原油などよりも緩やかなものにしている。

なお、昨日発表された中国の重要統計は市場予想を大きく下回っており、予想以上にコロナウイルス対策の影響が大きいことを示唆している。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、新型コロナウイルスの影響が世界中に拡散しており、各国ともほぼ鎖国に近い政策を取りつつあることから経済の混乱が続く見通しであること、株価などのその他の市場の混乱も続いていることから、下値余地を探る動きになると考える。

しかし、最大消費国である中国の新型コロナウイルス問題が終息に向かっていることから、価格は下支えされると考える。

実需の手掛かり材料、特に実際の需給がどうだったか、といった統計は2ヵ月程度のかなりの時間差を以って発表されること、市場はまだパニック状態にあることから、原油と同様、オプションの建玉動向が価格動向を占う上で参考になる。

ベンチマークである銅のプットオプションは、5,500ドル、5,300ドルに積み上がっており、この価格帯が攻防線となる(ただしいずれも大したロットではない)。しかし、この水準を割り込んだため、この水準を回復できなかった場合、レンジは5,000ドル~5,300ドルに切り下がると予想される。

2月の中国製造業PMIも、35.7(前月50.0)とリーマンショック時の最低水準を下回った。3月は事態の改善で徐々に稼働は戻ってこようが、時間はかかると予想される。

直近2月のデータが取得できた銅製品生産者の2月の稼働状況は、銅線生産者が34.7%(過去4年平均50.7%)、銅棒生産者40.4%(51.2%)、銅板生産者38.6%(51.8%)、銅管生産者46.5%(63.2%)と低い。

非鉄金属の取引所在庫は急速に積み上がっており、最終製品を製造している企業の稼働は上記の通り低い。非鉄金属業者が政府に対して在庫の買取を要求していることからもわかるように、当面需要が弱い状態が続き、価格も低迷すると予想される。

製造業PMIを詳細にみると、完成品在庫の水準は消費手控えでやや高く(46.0→46.1)、原材料在庫の水準は港湾の機能停止の影響で低い(47.1→33.9)。今後、港湾機能が回復する中で原材料在庫の積み増しが発生、非鉄金属価格にも上昇圧力が掛かると考えられる。

ただし、非鉄金属価格が上昇するには景気への影響が限定されることが必要条件で、さらに中国国内の詳細な情報がもたらされることや、WHOが終息宣言を出すことが必要条件となる。

しかし、中国の新規受注は29.3(前月51.4)と低迷しており、状況は厳しく、回復には時間を要するだろう。現在の感染拡大状況を勘案すると当初見込みの4~5月に終息、との見方は楽観的過ぎるかもしれない。

米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、新型コロナウイルスの影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

FOMCは、緊急利下げをさらに行った。これにより金融面で価格は下支えされる可能性がある一方、さらなる事態の悪化があった場合の政策面での余地はなくなった。

中長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。具体的には社会インフラとして「バッテリー」としての需要が高まると予想される、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは急減速し、リーマンショック時に記録した最低水準を下回った。状況は改善していると伝わっているが、回復にはまだ時間を要する見込み(価格の下落要因)。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・1-2月の中国の銅地金・製品の輸入量は2ヵ月で85万トン(前月53万トン)と前年比で+7.2%と増加、銅鉱石・精鉱 377万トン(198万トン)と前年比▲1.2%と小幅な減少となった。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCはやや軟化したが高水準を維持。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

(投機・投資要因)

・3月6日付のLMEロング・ショートポジションの動向はまちまちとなったが、アルミと錫以外はネットロングを減少させた。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲87.6億ドル(前週▲87.2億ドル)と売り越し幅を拡大した。買い越し額の増加率は+0.5%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲2,409千トン(前週▲2,387千トン)とCME銅、アルミ、錫以外の金属で売り越し幅を拡大している。ネット売り越しの増加率は+0.9%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、原料炭スワップ先物は小幅上昇、中国鉄鋼製品先物価格は上昇した。

各国の経済対策実施はあったものの、その効果は限定されるとの見方は根強く方向感に欠ける展開が続く。

原料炭は豪州クイーンズランドの豪雨と悪天候により、Dalrymple Bay Coal Terminal(DBCT)やHay Pointからの出荷が延期されていたが、昨日解除されている。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国政府の預金準備率引き下げや各国の対策期待、中国の港湾の再稼働による輸入増加観測、Vale、Companhia Siderurgica Nacionalの生産減少が価格を押し上げるものの、新型コロナウイルスの影響が世界的に拡大しており、鉄鋼製品の在庫積み上がりが顕著で今後鉄鋼向けの需要は減速すると見られることから、価格は現状水準でもみ合うと考える。

中国河北省の高炉稼働率は3月6日時点で72.5%(前週72.7%)と再び減速している。鉄鋼製品在庫は積み上がっているが、原材料在庫の水準が低いことが背景にあると考えられる。

2月の鉄鋼業PMIは、総合指数が36.6(前月47.1)と急低下、生産指数も31.3(46.7)と大幅に低下している。新規受注の伸びが国内外で低迷していること(新規受注 32.7(43.8)、輸出新規受注 42.5(49.7))が影響した。

その一方で、完成品在庫は57.5(45.3)と高く、原材料在庫は29.2(51.1)と非常に低い。工場が再稼働して鉄鋼製品在庫の水準が調整されれば、原材料在庫の水準が低いため、再び鉄鉱石価格に上昇圧力が掛かると考えられるが、中国工場の本格稼働は恐らく4月に入ってからと予想される。

米中の通商合意は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

Valeは生産計画を下方修正したが、それでも2020年は同社の生産が本格再開の可能性が高いこと、景気の底入れは夏以降であると予想されることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は豪州の供給停止観測が価格を押し上げているものの、新型肺炎の影響に加え、鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。しかし、世界的な石炭生産制限の流れを受けて鉄鉱石とは異なり、原料炭の価格中期見通しはやや強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは36.6(前月47.1)と急速に悪化。新規受注も新型で新規受注も32.7(43.8)に低下している。

一方、最終需要の鈍化で完成品在庫の水準は57.5(45.3)と高く、港湾の稼働停止で原材料在庫の水準は29.2(51.1)と低い。工場再稼働が起きれば、原材料在庫の不足から輸入が増加し、海上輸送鉄鉱石価格の上昇要因となる。

・1-2月期中国工業生産は前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)と大幅に減速(フロー需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国固定資産投資は前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)と減速。公的部門は▲23.1%(+6.8%)と大幅に減速、民間部門も▲26.4%(+4.7%)と大幅な減速となった(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

・1-2月期中国不動産開発投資は前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)と減速(ストック需要の減少=価格の下落要因)。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。

1-2月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の1,075万トンと減速、コロナウイルスの感染拡大の影響で企業活動が鈍化していることが確認された。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に増加し、前年比+33.1%の6,806万トンとなった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入増加によるものだ。

・中国の1-2月の鉄鉱石の輸入量は前年比+1.5%の1億7,684万トンとなった。鉄鋼製品在庫の増加によって生産活動が鈍化している一方、鉄鉱石の港湾在庫の在庫日数は低下しており、一定の在庫積み増し需要があると考えられるため。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+5万トンの1億2,630万トン(過去5年平均1億2,660万トン)、在庫日数は+0.1日の27.7日(過去5年平均 36.7日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られる。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+102.7万トンの2,611.7万トン(過去5年平均1,586.7万トン)とコロナウイルスの影響で製造業の工場の稼働が低迷しているため、急速に増加している。

なお、1-2月の鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の781万トンと大幅に減速しており、やはりコロナウイルスの影響が顕在化した形に。今後は徐々に回復すると見られるが感染終息状況次第である。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・中国政府の経済対策(金融緩和や公共投資など)は価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

貴金属価格は総じて下落した。米緊急利下げの影響で長期金利は低下したものの、移動制限に伴う需要減少観測から原油価格が急落、デフレ懸念と相まって期待インフレ率が急速に低下したことで実質金利が寄り付きから引けにかけて上昇、金価格の押し下げ要因となった。

銀は金銀在庫レシオの上昇観測から、このような局面だと金以上に下げが加速しやすく、記録的な下落。

PGMは世界各国の景気減速懸念で自動車販売が落ち込む、との見方からパニック的な売りとなっており、プラチナ、パラジウムとも記録的な下げとなった。

【貴金属価格見通し】

金銀は前日の下げが大きかったことからさすがに買いが入ると考えるが、1.世界的な利下げ余地限定(長期金利の低下余地限定)、2.需要減速と原油供給増加に伴うデフレ懸念、から実質金利に上昇圧力が掛かりやすく、下値余地を探りやすい展開が続くと予想される。

ただし、コロナウイルスの影響拡大で株価が調整し、場合によると信用リスクにつながる可能性があることや、この状況で中東情勢が不安定(イランvs米国の対立再燃、トルコvsシリア問題を背景とする難民の欧州流入→欧州の政情混乱、など)になっていることから安全資産需要も根強く、下値余地も限定されると考える。

金価格動向を占う上で実質金利の動向は重要だが、実質金利の大きな変化に金価格が追い付いておらず、リスクプレミアムを適正に反映した価格での推移になり難い。

現在のリスクプレミアムは180ドル(※毎日回帰分析をアップデートリスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください)。

今回の変動で分かったことだが、市場が大きく混乱した場合、リスクプレミアムが適正に評価されない。言葉を替えるとリスクプレミアムを織り込むには、実質金利が大きく動かない中でリスクイベントが意識されることが需要、ということだろう。

リスクプレミアムが大幅に上昇するのは感染拡大の長期化と大規模化によって、信用リスクの拡大につながり、終息後に改めて景況感の悪化が意識され、地政学的リスクが高まる場合が考えられる。

なお、米中合意は第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は金銀価格の上昇リスクとなる可能性がある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は上昇を続け、ほぼ100倍となった。金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、直近1年データを元にすると87倍程度、この10年データを元にした分析結果である80倍であることを考えると、やはり現在の金価格は割高であり、銀価格は割安である。

リスク回避姿勢が強まり金が割高となる局面では、割安な銀が投機的な観点から物色される可能性は高かろう。ただし、金価格が急落する局面では、過去の例をみると金以上に銀が売られるリスクは高い。

PGM価格は一旦下値余地を探る動きになると考える。貴金属のベンチマークである金が実質金利の上昇で低下していること、米国の欧州に対する渡航制限、欧州ではシェンゲン条約がありつつもスペイン、ポーランド、オーストリアが国境封鎖に動いており、景気が減速する可能性が高まっているため、自動車販売が減少するとの見方が強まっていることが背景。

今回のパラジウムの投機のロングポジションはほとんど解消しており、ショートも現物の確保が難しい中で、新規に投機筋が売りポジションを抱えるとは考え難く、今回の下落は需要面の弱さを反映したものと推察される。

「パラジウムと比較すれば」プラチナの方がロング・ショートとも投機のポジションは積み上がっているため、こちらは投機の動きに振らされたと見るべきだろう。結果的に下げ幅は限定されている。

しかし、コロナウイルス禍終息後は、再びパラジウムには上昇圧力が掛かるのではないか。

2月の米自動車販売は年率1,683万台(市場予想 1,671万台、前月 1,684万台)と、市場予想ほどではないが前月から若干減速した。

一方、コロナウイルスの影響で経済活動がほぼ停止した中国の2月の自動車販売は前年比▲79.1%の31.0万台となり、年初来の累計も前年比▲42.0%の223.8万台と減少傾向を持続している。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、日米欧も自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

S&Pは2020年の自動車販売見通しを前年比▲2.9%(前回見通し▲0.9%)に引き下げている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは▲1.0%の利下げを行ったが、逆にこれで追加の緩和手段はほぼなくなった状態で、金価格の上昇余地を限定へ。

また、日米欧も財政出動に舵を切り始めており、需給要因による長期金利の上昇が金銀価格を下押しする見込み。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、第二弾合意は中国側にメリット少なく、むしろ今後は状況が悪化する可能性の方が高いか。この場合安全資産需要増加で価格の上昇要因。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・金・銀はロング・ショートとも減少。金利低下余地が限定される中でむしろ下落観測が強まっている。どちらかといえばロングの解消圧力が強い。

PGMはコロナウイルスの感染拡大に伴う景気への懸念と、リスク回避の換金売りでポジション解消圧力が強まっている状況。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが336,290枚(前週比 ▲29,883枚)、ショートが36,759枚(▲9,681枚)、ネットロングは299,531枚(▲20,202枚)、銀が75,117枚(▲7,453枚)、ショートが30,170枚(▲4,097枚)、ネットロングは44,947枚(▲3,356枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが46,268枚(前週比 ▲3,663枚)ショートが13,021枚(▲2,873枚)、ネットロングは33,247枚(▲790枚)

パラジウムが6,270枚(▲666枚)、ショートが3,481枚(▲459枚)ネットロングは2,789枚(▲207枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は下落した。リスク回避のドル高進行に加えて、コロナウイルスの影響がどこで終息するかわからず、株価が大きく調整する中で換金売り圧力が穀物市場でも強まる形となった。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は、米国の欧州に対する渡航制限で景気への懸念が強まり、対欧州通貨でドルが強含み、結果、ドル指数が強含み推移する可能性が高いことから軟調な推移になると考える。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシの受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、大豆も過去5年平均を大幅に上回っている。

供給面では、冬場の降雨の影響で2年連続で米生産地が洪水に見舞われており、作付けが予想を下回る可能性が出てきた。

小麦は豪州火災や干ばつ、ロシア・ウクライナの悪天候の影響で供給に懸念が出ていること、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、上昇圧力が掛かりやすい展開が予想されるが、最終的には帳尻が合いやすい(世界各地で生産されているため)。

今後の市場の注目は大豆、トウモロコシの作付け意向面積。米農務省の予想では、トウモロコシが9,400万エーカー(2019年 8,970万エーカー)、大豆は8,500万エーカー(7,610万エーカー)、小麦が4,500万エーカー(4,520万エーカー)と、トウモロコシの作付けが増加すると見られている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・3月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月の米需給報告の在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ18億9,200万Bu(市場予想18億9,509万Bu、前月18億9,200万Bu)大豆 4億2,500万Bu(4億2,809万Bu、4億2,500万Bu)小麦 10億Bu(9億9,417万Bu、10億Bu)

・12月末の四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 113億8,900万Bu(114億7,171万Bu、22億2,100万Bu)大豆 35億5,200万Bu(31億9,033万Bu、9億900万Bu)小麦 183億4,000万Bu(190億300万Bu、23億4,600万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意、シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、二次合意も難しく中国の合意不履行を材料に両国関係が再び悪化する可能性も考えられ、シカゴ定期の下落要因に。

ただし新型肺炎の影響で、しばらくの間、中国が合意を履行しなくても問題視はされないと予想される。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は終息したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に今年の春先以降、価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが314,792枚(前週比 ▲11,078枚)、ショートが299,940枚(▲20,365枚)ネットロングは14,852枚(+9,287枚)

大豆はロングが155,272枚(+6,190枚)、ショートが123,804枚(▲13,900枚)ネットロングは31,468枚(+20,090枚)

小麦はロングが125,698枚(+5,135枚)、ショートが93,663枚(▲161枚)ネットロングは32,035枚(+5,296枚)

◆本日のMRA's Eye


「金価格の上げ余地は限定か~名目金利低下余地少なく」

新型コロナウイルスの影響が終息せず、ついに米国も欧州からの人の移動を30日間制限、国家非常事態を宣言した。一部の報道で流れていた貨物の移動も制限は行わないが、ほとんど鎖国の状態である。そしてこの動きは米国以外にも広がりつつある。

こうした決定によって最大経済国と最大経済圏の1つである欧州との人の行き来が無くなることになり景気が減速、輸送関連株を中心に株が売られ金が物色される流れになる、というのが今までの仕組みである。

しかし弊社は更に金価格が上昇するとした場合、まだいくつかの材料が必要になると考えている。

弊社のコラムで繰り返し主張しているように、2000年以降紆余曲折はありながらも金の値動きは、「実質金利+プレミアム」で構成されることがデファクト・スタンダードとなっている。

平時であれば実質金利で説明可能な範囲に金価格が収まり、リスクが高まるとリスクプレミアムが乗る形で、実質金利で説明可能な価格よりも金価格が上昇する。

この仕組みを基準に考えると、現在未曽有の危機になりつつある状況ではあるがそれほど金価格に上昇余地はないのではないか、と考えている。というのも、米国の利下げを織り込んで米10年金利が0.7%台まで低下し、更なる下落余地が限定されること、期待インフレ率の決定要因として注目される原油価格の下げ余地がそれほどあるわけではないことが要因である。

そんな中、米FRBはなんと▲100bpの緊急利下げを決定、3月13日に金融機関を対象に中長期債を買い入れて資金供給を行う緊急策を発動したが、資金ニーズが強く、ドル調達のコストであるベーシスコストも急上昇していた。そのため、資金繰り支援のため、今後、少なくとも数ヵ月間5,000億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を2,000億ドル購入することも決定した。暗黙のYCC(イールドカーブ・コントロール)開始ともいえる。

とはいっても、明確にYCCに踏み込んだわけではないこと、米長期金利はすでに利下げを織り込んでいたため、10年ゾーン金利は然程低下していない。FRBはマイナス金利を導入する意図はないため、最大でも▲0.7%程度しか金利の下げ余地はない。

となると、金価格の上昇要因である実質金利の低下余地は、名目金利ファクターでは▲0.7%ということである。

データ期間の取り方によって結果は異なるが、過去1年のデータを用いた米10年金利との感応度分析では、▲0.7%の10年金利の低下は180ドル程度の金価格上昇要因となる。

期待インフレ率に関しては原油価格の上昇が必要条件となるが、恐らくOPECプラス会合がもたれて増産が解除される、あるいはコロナウイルス問題が終息するといったことが条件となるため、しばらく上昇はなさそうだ。

仮に上昇を始めたとするとそれは景気にとってプラスのメッセージが出るタイミング(新型コロナウイルス終息など)であると予想されるため、名目金利も上昇することから金価格へのプラス効果は相殺されるだろう。

以上を考えると金価格は仮に金利がゼロまで低下したとしても、1,825ドル程度までしか上昇余地がないことになる。

これ以外に金価格が上昇するとすれば、現在の厳しい状況が続き、徐々に金融機関の体力が削られ、低格付けの企業の資金繰りが悪化して信用リスクに波及した場合である。

この場合、実質金利で説明可能な価格に対する上乗せプレミアムが上昇することになるため、過去のプレミアムの拡大と比較すれば2,000ドルを上回る可能性が出てくる。

ただし、このシナリオは新型コロナウイルス問題がどのように落ち着くかよくわからないことから、リスクシナリオの位置づけである。

◆主要ニュース


・1月日本機械受注総額 前月比 +11.5%の2兆3,855億円(前月▲4.6%の2兆1,397億円)、前年比+3.8%(▲8.8%)
 船舶電力を除く民需 前月比+2.9%の8,394億円(▲12.5%の8,157億円)、前年比▲4.9%(+2.4%)

・2月中国新築住宅価格 前年比値上がり 65都市(前月66都市)横ばい 0都市(0都市)、値下がり 5都市(4都市)

 前月比値上がり 21都市(47都市)、横ばい 26都市(8都市)、値下がり 23都市(15都市)

・2月中国新築住宅価格 前月比+0.02%(前月+0.27%)

・1-2月期中国工業生産 前年比▲13.5%(1-12月期+6.9%)

・1-2月期中国小売売上高 前年比▲20.5%の5兆2,130億元(1-12月期+8.0%の41兆1,649億元)

・1-2月期中国固定資産投資 前年比▲24.5%の3兆3,323億元(1-12月期+5.4%の55兆1,478億元)
 公的▲23.1%(+6.8%)、民間▲26.4%(+4.7%)

・1-2月期中国不動産開発投資 前年比▲16.3%の1兆115億元(1-12月期+9.9%の13兆2,194億元)

・2月インド卸売物価指数 前年比+2.26%(前月+3.10%)

・日銀、金利は据え置く一方で、ETF購入額を年12兆円に引き上げ、J-REATの保有残高増加ペースを年1,800億円に引き上げ、3-5年、5-10年の国債も追加買い入れを行うなど、緩和を強化。

・FRB、▲1%の緊急利下げを実施、ドル需給ひっ迫に伴う流動性低下を回避するため、財務相保険証券を5,000億ドル、MBSを2,000億ドル引き上げ。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ナイジェリアのラゴスで原因府枚の爆発で油送管に引火、少なくとも15名が死亡。

・イラン、「国内の感染はピークを過ぎた。」

・イスラエル、レブリン大統領、野党ベニー・ガンツに対して組閣を指示。

【メタル】
・ブラジル自動車協会Anfavea、「1月の自動車生産は▲3.9%の191,386台になったとしたが、2020年の自動車販売見通しは前年比+7.3%の316万台と下方修正していない。」

・ILZSG、「2019年のネット亜鉛鉱山生産キャパシティは23万2,000トンの増加。」

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CBTもみ米 ( 穀物 )/ +3.77%/ +3.65%
2.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ +2.66%/ ▲12.86%
3.米国債先物 ( 先進国債券 )/ +1.67%/ +7.51%
4.SHFニッケル ( ベースメタル )/ +1.52%/ ▲10.42%
5.TCM灯油 ( エネルギー )/ +1.25%/ ▲37.55%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.NYM RBOB ( エネルギー )/ ▲23.28%/ ▲59.37%
69.ブラジル・ボベスパ ( 株式 )/ ▲13.92%/ ▲38.46%
68.プラチナ ( 貴金属 )/ ▲12.75%/ ▲31.10%
67.DME Oman ( エネルギー )/ ▲12.51%/ ▲55.50%
66.銀 ( 貴金属 )/ ▲12.29%/ ▲27.68%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :20,188.52(▲2997.10)
S&P500 :2,386.13(▲324.89)
日経平均株価 :17,002.04(▲429.01)
ドル円 :105.83(▲1.79)
ユーロ円 :118.35(▲1.18)
米10年債利回り :0.72(▲0.24)
独10年債利回り :▲0.46(+0.08)
日10年債利回り :0.02(▲0.04)
中国10年債利回り :2.67(▲0.00)
ビットコイン :4,904.48(▲529.62)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :44.83(+3.78)
エネルギー :89.07(+6.82)
ベースメタル :30.99(+4.92)
貴金属 :64.76(+9.7)
穀物 :22.52(+3.05)
その他農畜産品 :35.66(+0.6)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :118.88(+2.17)
Brent :115.69(+4.92)
米天然ガス :60.69(+0.54)
米ガソリン :141.08(+26.79)
ICEガスオイル :81.78(+6.79)
LME銅 :29.14(+7.6)
LMEアルミニウム :21.84(+0.73)
金 :17.40(+2.91)
プラチナ :68.88(+15.45)
トウモロコシ :25.47(+5.07)
大豆 :17.40(+2.91)

【エネルギー】
WTI :28.70(▲3.03)
Brent :29.78(▲4.07)
Oman :30.00(▲4.29)
米ガソリン :68.99(▲20.93)
米灯油 :104.66(▲9.08)
ICEガスオイル :300.00(▲36.50)
米天然ガス :1.82(▲0.05)
英天然ガス :22.97(▲1.01)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :29.78(▲4.07)
SPO380cst :177.34(▲17.28)
SPOケロシン :35.57(▲6.65)
SPOガスオイル :39.07(▲5.52)
ICE ガスオイル :40.27(▲4.90)
NYMEX灯油 :105.14(▲5.15)

【貴金属】
金 :1514.10(▲15.73)
銀 :12.91(▲1.81)
プラチナ :665.97(▲97.31)
パラジウム :1601.23(▲211.59)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,221(▲327:10C)
亜鉛 :1,950(▲53:18C)
鉛 :1,717(▲70:32C)
アルミニウム :1,655(▲41:14.5C)
ニッケル :11,810(▲810:35C)
錫 :15,450(▲950:50C)
コバルト :31,655(▲21)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5285.00(▲168.50)
亜鉛 :1960.00(▲22.00)
鉛 :1740.00(▲12.00)
アルミニウム :1681.00(▲9.00)
ニッケル :12010.00(▲295.00)
錫 :15300.00(▲500.00)
バルチック海運指数 :623.00(▲8.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :89.91(▲0.33)
NYMEX鉄鉱石 :89.99(▲0.14)
NYMEX原料炭スワップ先物 :159.98(+0.14)
上海鉄筋直近限月 :3,516(+64)
上海鉄筋中心限月 :3,562(+51)
米鉄スクラップ :254(▲13.00)

【農産物】
大豆 :821.75(▲25.00)
シカゴ大豆ミール :296.30(+0.40)
シカゴ大豆油 :24.99(▲1.12)
マレーシア パーム油 :2276.00(▲26.00)
シカゴ とうもろこし :354.75(▲16.00)
シカゴ小麦 :498.00(▲16.75)
シンガポールゴム :155.50(▲2.50)
上海ゴム :10380.00(±0.0)
砂糖 :11.09(▲0.61)
アラビカ :103.90(▲3.15)
ロブスタ :1195.00(▲20.00)
綿花 :58.80(▲1.69)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :53.98(▲2.40)
シカゴ生牛 :91.85(▲3.73)
シカゴ飼育牛 :108.50(▲4.50)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。