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ほとんどの資産が暴落~米株今週2回目のサーキットブレーカー発動
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年3月13日 第1705号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ほとんどの資産が暴落~米株今週2回目のサーキットブレーカー発動」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はほとんどの商品が下落した。米トランプ大統領がコロナウイルス対策を発表、欧州に対する渡航制限を決定し、欧米の人の往来が無くなる可能性が高まったことで景気への懸念が強まり、主に株が急落する中でリスク回避の換金売りが強まったため。

そもそも株価はこのコラムでも繰り返し主張しているように、金融政策によって過剰に押し上げられていたのは事実であり、コロナウイルスの影響で実態経済の強制停止が起きる中でその調整が起きた。

ただ、懸念は実態経済の指標である原油や銅の価格が今回の感染防止策によって急落しており、さらに株価がこれを見て水準を切り下げ、スパイラル的にすべての商品価格が下落する可能性が出てきた。金銀も例外ではない。

中国は苛烈な対策の実施でピークを過ぎたようだが、完全な終息は4月頃になるだろう。1つの望みは中国の感染症対策トップが、「世界の新型コロナウイルスの感染終了は、各国が協調するという前提で6月末」と発言していることだ。事実であれば、出口のないトンネルではない。

もちろん、暖かくなってウイルスの勢力が低下したり、薬効のある薬が発見・開発されたりすれば話は別だが、中国と同様の苛烈な対応をしたとしても終息まであと3ヵ月以上かかるということだ。

経済活動が3ヵ月、強制的に停止させられるリスクは小さくない。それを回避するためにも、どの程度のことをどれぐらいやっても構わない、ということが今後、各国の研究でより明らかになることが期待される。

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【本日の価格見通し総括】

本日は、米国のコロナウイルス対策の影響で世界的に景気が減速する可能性が高まっていることから、総じて軟調な推移になると考える。

ただし、この数日、前営業日の下落が大きかった場合反動で買戻しが入ることも多く、荒っぽい値動きが続くことになるだろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日は米国の欧州に対する渡航制限決定と、米国の新型コロナウイルス対策への失望から米国株が大幅に下落、今週2回目のサーキットブレーカーが発動されるなど、非常に緊張感が高い相場展開となった。

この中で、安全資産とされる金も現金化の動きに押された。そもそも株が下落した時のプロテクションとして買われていたので、株で損が出れば売られてもおかしくない。しかし、昨日の下落は原油価格の下落に伴う実質金利の上昇が要因だったようだ。

今回の一連の各国の対策で分かったことは、ある意味明らかではあるが、今までのような景気刺激のための金融緩和は、今回のコロナウイルス対策として市場参加者のマインドを改善するという点では意味があるのかもしれない。

しかし、金融政策は経済のカンフル剤であり、「経済が前向きに進んでいるときに」効果をもたらすものだ。言葉を替えると、需要がある中での対策であり、需要がない時にやっても効果はないということである。

これは日本が長期に渡って行っている量的緩和が、景気の回復や需要の創出にさほど寄与しなかった(スタートアップ企業の資金調達が、巡り巡って容易になったということはあるが)ことからも明らかだ。

そのため、一連の金融政策が効果をもたらすためには、経済活動の強制停止の根源であるコロナウイルスの影響を封じ込めることが必須となる。

中国の専門家は「各国が協調すれば」6月で終息することができると発言しているが、中国ほどの苛烈な対応をしても6月末までかかる、ということであり、最短でもあと3ヵ月は経済の強制停止が起きる、ということだ。この影響は小さくない。

この間、企業倒産や失業が相次げば、パンデミック終了後の景気立ち直りが困難になる。そのためにも、早期終息は必要であるがそれが困難である以上、さらに情報を収集し(欧米に感染が拡大したため、より信憑性のある検査結果、治療情報が出てくると予想される)、「どの程度、どこまで何をやっても感染拡大につながらないか」ということを、数字を以って示し、行動可能な範囲を少しずつ広げていくことが重要である。

すでに感染拡大を水際で阻止するステージは終了しているため、いかに経済を殺さずにこの事態を乗り切るかを、真剣に考えなければならないステージに来た。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。特に中国の製造業・非製造業PMIの減速はショッキングであり、今後、中国以外の国が中国ほど苛烈ではないにせよ、感染拡大防止策を講じた場合、同様の影響が出る可能性があることは需要面での価格下落要因。

今後は、これが短期的な減速で止まるのか、長期的なものになるのかは各国政府の対応に掛かっている。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ているが、コロナウイルスの感染拡大でさらに改定される見通しでは2019年(2.9%)を下回る見込み。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっていたが、新型肺炎の影響で▲50bpの追加利下げが行われた。しかし市場はさらに3回の利下げを市場は織り込んでいる(▲75bp程度)。景気の減速が懸念されているため追加利下げは景気循環系商品価格の下支え要因に。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の世界的な感染拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた経済活動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、景気循環銘柄価格の下振れ要因に。ただし、新型肺炎の影響で当面は中国の合意不履行は問題視されない可能性が高まった。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、イランと米国の散発的な衝突は続き、軍事衝突懸念が再びつよまる可能性があることは排除できず。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油価格は下落した。米大統領が発表した経済対策は新型コロナウイルスの対策としては不十分とみられたうえ、欧州からの渡航を30日間制限するとの決定が、航空需要を減少させるとの見方が強まったため。

また、欧州の量的緩和拡充を受けてドル高が進行したことも売り材料となった。

【原油価格見通し】

原油価格は軟調地合いの中、荒っぽい値動きを続けると考える。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う移動制限の拡大や、OPEC・非OPECの増産合戦、株価の急落に伴うファイナンシャルな売りが重なることが価格を下押しするものの、価格がここまで下落するとさすがに実需の買いが入りやすいことから。

今後は、1.ロシアが何らかの譲歩を行う(6月に会合がもたれる、というのがメインシナリオだが、2014年の第1次OPECショックの時は2年増産が続いたため長期化の可能性も)、2.コロナウイルスの感染拡大が終息する、といったことが相場反転の必要条件となる。

しかし、感染のピークは恐らく今月~5月頃とみられており、一部で言われている「暖かくなって終息」「抗体を獲得した人間の増加で終息」ということが仮に事実だとしても、Q220以降になると予想される。もちろん、薬効のある薬が発見されれば話は別だが。

弊社の価格見通しは3ヵ月ごとに更新であるため、次回更新は4月となるが、恐らくQ220のBrentの価格見通しは情勢に変化がなければ、Brentで30~40ドル、WTIで25~35ドルといったところが平均価格予想となる(米国の欧州に対する移動制限発動で、下限レンジを引き下げ)。

このように需給バランスのあるべき水準がわからない状況では、短期的に価格予想にファンダメンタルズ分析はあまり意味がない。

市場は需要減少リスク側に傾いており、現時点ではよりプットオプション動向が注目される。

Brentは40ドル、35ドル、30ドル、25ドルに積み上がっており、この水準では防戦売買でもみ合いやすい。しかし、オプション建玉の量が少ないことから、然程強い防波堤にはならないだろう。

ちなみにWTIは35ドル、30ドル、25ドル、20ドルに建玉が積み上がっているが、Brent同様、建玉の積み上がりは大きくない。

中国は早期の可能性が高まっているが、それでも終息は政府の報道が正しいとすれば4月末の見込み。一方、中国以外の国での感染者数が増加しておりWHOも最高レベルの警戒を勧告、6月末頃の終息が市場のコンセンサスとなりつつある。しかし、年末を越える可能性も出ており予断を許さない。

唯一、参考になるデータは新規感染者数の推移のみであり、しばらくこれに左右される展開が続くと考えられる。ただし今後は、より中国以外の感染者数の増加に注目する必要がある。

トランプ大統領の中東和平案を受けて、イスラエルとパレスチナの軍事的な衝突は激しさを増している。

ただ、今回の中東和平案はトランプ政権になってからの親イスラエルによる現状変更を追認した形であり逆回転は難しい。米国のエネルギー中東依存度も低く、米国の中東政策は「雑」になりやすい。

イデオロギー的にはアラブ諸国の敗北だが、武装集団や反イスラエル勢力がこの状況を看過するとは考え難い。イスラム国がイスラエルに攻撃を仕掛けるとも表明しており、特にシーア派三日月地帯の治安は悪化し、供給懸念が高まっているのも事実だ。

米・イラン問題は国同士の衝突リスクは低下した。しかし、イランの選挙では反米の保守派が大勝、反米機運が高まる可能性が高い。直近ではイラクのバグダッドにミサイルが着弾、米国人が2名死亡しており、米エスパー国防長官は「報復も辞さず」と発言しており、予断を許せない状態となった。

シリアとリビアに対する関与を強めているトルコの動向も、地政学的リスクを高めるため懸念されるところ。シリアへの介入はイドリブ県のクルド人を巡る対立で、シリアと全面戦争の可能性もある。リビア介入は、イスラエルのガス田からのガス輸送にかかわる権益の問題。

この他、新型コロナウイルスが中東でも拡大しており、政府への対応の不満がさらに高まって、暴動に発展する可能性が出てきた(暴動事態が感染拡大につながるため、感染拡大中は起きないだろうが、終息後に生活困窮で暴動が起きる可能性)。

米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

FOMCは、緊急利下げを行ったが市場はさらなる利下げを見込んでいる。ファイナンシャルな面で一定の価格下支え効果をもたらすだろう。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。新型コロナウイルスの影響で企業活動が低迷していること、中国の港湾再稼働などの強弱材料が混在する中、レンジでの推移を継続している。

【石炭価格見通し】

石炭価格は中国製造業の稼働再開が域内需要の回復期待を高めているものの、新型肺炎の影響拡大は継続しており終息までは時間がかかることから、電力需要が鈍化、現状水準でもみ合うものと考える。

ただし、中国の石炭輸入は季節的に回復する可能性がある。実際、バルチック海運指数には徐々に底入れ感が出てきている。

長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPEC・OPECプラスの交渉が決裂、さらにサウジアラビアはOSPを大きく引き下げており、価格競争の様相を呈しており、2014年の第1次OPECショックの時と同様、長期化した場合(価格下落要因)。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入減少。1-2月はコロナウイルスの影響はあったが、輸入量は1,062万バレル/日(前月1,007万バレル/日)と高い水準を維持。

しかし、コロナウイルスの影響で3月以降、各国の輸入量が減少する可能性は高く、特に輸送燃料の減少リスクは無視できない状況。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

・米国の中東への関与低下や原油価格の下落、新型コロナウイルスの影響拡大に伴う不満爆発で、中東・北アフリカでの暴動発生。特にシーア派三日月地帯とリビアでの発生リスク。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTIはロング・ショートとも増加。しかし明確にショートの増加圧力が強い。恐らく価格下落に備え、生産者が下落リスクヘッジを掛けたためと考えられる。

Brentはロングが減少、ショートが増加。イタリアの感染拡大と、OPEC減産も影響が限定されるとの見方から弱気のポジション取りに。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが563,904枚(前週比 +5,106枚)ショートが175,535枚(+48,203枚)ネットロングは388,369枚(▲43,097枚)

Brentはロングが340,024枚(前週比▲50,869枚)ショートが112,239枚(+9,421枚)ネットロングは227,785枚(▲60,290枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落した。米政権が欧州に対する渡航制限を決定したことや、それに伴う欧州の景気減速と中国の欧州向けの輸出減少懸念、欧州の量的緩和に伴うドル高進行が価格を下押しした。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、米国が欧州に対する渡航規制により欧州(+間接的に中国)の需要減少観測が強まっていること、株価の下落によるファイナンシャルな売りが価格を押し下げるものの、最大消費国である中国のコロナウイルスの影響緩和が価格を下支えすると考える。しかし、パンデミックとなったことでどうなると終息するのかが見えなくなってきた。

実需の手掛かり材料、特に実際の需給がどうだったか、といった統計は2ヵ月程度のかなりの時間差を以って発表されること、市場はまだパニック状態にあることから、原油と同様、オプションの建玉動向が価格動向を占う上で参考になる。

ベンチマークである銅のプットオプションは、5,500ドル、5,300ドルに、コールは5,900ドルと6,000ドルに積み上がっており、この価格帯が攻防線となる。原油価格の急落もあって、もし5,600ドルラインを割り込むと、レンジは5,300ドル~5,600ドルに切り下がると予想されるが、OPECショックで現在は下のレンジに切り下がっている。

2月の中国製造業PMIも、35.7(前月50.0)とリーマンショック時の最低水準を下回った。3月は事態の改善で徐々に稼働は戻ってこようが、時間はかかると予想される。

直近2月のデータが取得できた銅製品生産者の2月の稼働状況は、銅線生産者が34.7%(過去4年平均50.7%)、銅棒生産者40.4%(51.2%)、銅板生産者38.6%(51.8%)、銅管生産者46.5%(63.2%)と低い。

非鉄金属の取引所在庫は急速に積み上がっており、最終製品を製造している企業の稼働は上記の通り低い。非鉄金属業者が政府に対して在庫の買取を要求していることからもわかるように、当面需要が弱い状態が続き、価格も低迷すると予想される。

製造業PMIを詳細にみると、完成品在庫の水準は消費手控えでやや高く(46.0→46.1)、原材料在庫の水準は港湾の機能停止の影響で低い(47.1→33.9)。今後、港湾機能が回復する中で原材料在庫の積み増しが発生、非鉄金属価格にも上昇圧力が掛かると考えられる。

ただし、非鉄金属価格が上昇するには景気への影響が限定されることが必要条件で、さらに中国国内の詳細な情報がもたらされることや、WHOが終息宣言を出すことが必要条件となる。

しかし、中国の新規受注は29.3(前月51.4)と低迷しており、状況は厳しく、回復には時間を要するだろう。現在の感染拡大状況を勘案すると当初見込みの4~5月に終息、との見方は楽観的過ぎるかもしれない。

米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、新型コロナウイルスの影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

FOMCは、緊急利下げを行ったが市場はさらなる利下げを見込んでいる。ファイナンシャルな面で一定の価格下支え効果をもたらすだろう。

新型コロナウイルスの影響で、各国とも財政出動に動くとみられる。米国もすでに新型コロナウイルス対策で78億ドルの支出を下院で可決している。

中長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。具体的には社会インフラとして「バッテリー」としての需要が高まると予想される、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは急減速し、リーマンショック時に記録した最低水準を下回った。状況は改善していると伝わっているが、回復にはまだ時間を要する見込み(価格の下落要因)。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・1-2月の中国の銅地金・製品の輸入量は2ヵ月で85万トン(前月53万トン)と前年比で+7.2%と増加、銅鉱石・精鉱 377万トン(198万トン)と前年比▲1.2%と小幅な減少となった。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCはやや軟化したが高水準を維持。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・3月6日付のLMEロング・ショートポジションの動向はまちまちとなったが、アルミと錫以外はネットロングを減少させた。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲87.6億ドル(前週▲87.2億ドル)と売り越し幅を拡大した。買い越し額の増加率は+0.5%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲2,409千トン(前週▲2,387千トン)とCME銅、アルミ、錫以外の金属で売り越し幅を拡大している。ネット売り越しの増加率は+0.9%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップはまちまち、原料炭スワップ先物は上昇、中国鉄鋼製品先物価格はまちまちだった。

供給減少と中国のコロナウイルスの影響緩和が価格を押し上げているが、鉄鋼製品在庫の大幅な積み上がりもあり上値も重い。

原料炭は豪州クイーンズランドの豪雨と悪天候により、Dalrymple Bay Coal Terminal(DBCT)やHay Pointからの出荷が3月15日まで延期されていることが上昇要因となっている。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の港湾の再稼働による、輸入増加、鉄鉱石在庫の再積み増しの動きや、Vale、Companhia Siderurgica Nacionalの生産減少が価格を押し上げるものの、新型コロナウイルスの影響が世界的に拡大しており、鉄鋼製品の在庫積み上がりが顕著で今後鉄鋼向けの需要は減速すると見られることから、価格は現状水準でもみ合うと考える。

中国河北省の高炉稼働率は3月6日時点で72.5%(前週72.7%)と再び減速している。鉄鋼製品在庫は積み上がっているが、原材料在庫の水準が低いことが背景にあると考えられる。

2月の鉄鋼業PMIは、総合指数が36.6(前月47.1)と急低下、生産指数も31.3(46.7)と大幅に低下している。新規受注の伸びが国内外で低迷していること(新規受注 32.7(43.8)、輸出新規受注 42.5(49.7))が影響した。

その一方で、完成品在庫は57.5(45.3)と高く、原材料在庫は29.2(51.1)と非常に低い。工場が再稼働して鉄鋼製品在庫の水準が調整されれば、原材料在庫の水準が低いため、再び鉄鉱石価格に上昇圧力が掛かると考えられるが、中国工場の本格稼働は恐らく4月に入ってからと予想される。

米中の通商合意は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

Valeは生産計画を下方修正したが、それでも2020年は同社の生産が本格再開の可能性が高いこと、景気の底入れは夏以降であると予想されることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は豪州の供給停止観測が価格を押し上げているものの、新型肺炎の影響に加え、鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。しかし、世界的な石炭生産制限の流れを受けて鉄鉱石とは異なり、原料炭の価格中期見通しはやや強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは36.6(前月47.1)と急速に悪化。新規受注も新型で新規受注も32.7(43.8)に低下している。

一方、最終需要の鈍化で完成品在庫の水準は57.5(45.3)と高く、港湾の稼働停止で原材料在庫の水準は29.2(51.1)と低い。工場再稼働が起きれば、原材料在庫の不足から輸入が増加し、海上輸送鉄鉱石価格の上昇要因となる。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

1-2月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の1,075万トンと減速、コロナウイルスの感染拡大の影響で企業活動が鈍化していることが確認された。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に増加し、前年比+33.1%の6,806万トンとなった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入増加によるものだ。

・中国の1-2月の鉄鉱石の輸入量は前年比+1.5%の1億7,684万トンとなった。鉄鋼製品在庫の増加によって生産活動が鈍化している一方、鉄鉱石の港湾在庫の在庫日数は低下しており、一定の在庫積み増し需要があると考えられるため。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲70万トンの1億2,625万トン(過去5年平均1億2,638万トン)、在庫日数は+1.6日の27.6日(過去5年平均 36.6日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られる。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+145.8万トンの2,509万トン(過去5年平均1,611.1万トン)とコロナウイルスの影響で製造業の工場の稼働が低迷しているためか、急速に増加している。

なお、1-2月の鉄鋼製品の輸出は前年比▲27.0%の781万トンと大幅に減速しており、やはりコロナウイルスの影響が顕在化した形に。今後は徐々に回復すると見られるが感染終息状況次第である。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・中国政府の経済対策(金融緩和や公共投資など)は価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

貴金属価格は総じて下落した。

株価が今週2回目のサーキットブレーカーを発動、大幅に売られたことに伴う換金売りに押された。

しかし、OPECショック以降の原油価格の急落で期待インフレ率が急速に低下、実質金利が押し上げられていることが最大の下げ要因だろう。銀も下落した。

PGMはプラチナは▲100ドルに迫る大幅な下落、供給懸念が根強いパラジウムも▲500ドルに迫る大幅な下落となった。

米国のおう週に対する渡航制限決定を受けて、欧米景気の減速感が強まり、自動車向けの消費が減るとの見方が強まったことや、株急落に伴う換金売りに押された。

パラジウムは200日移動平均線のテクニカルなサポートラインを維持したため、恐らく買戻しが入ると思われる。

【貴金属価格見通し】

金価格は軟調地合いになると考える。。

ただし、市場は米国の利下げを相当織り込んでおり、名目金利の低下による価格押し上げ余地が限定され始めていることや、原油価格の下落継続に伴う期待インフレ率の低下が実質金利の押し上げていること、株価の調整が続いていることから換金売り圧力も強いため。

ただし、コロナウイルスの影響拡大で株価が調整し、場合によると信用リスクにつながる可能性があることや、この状況で中東情勢が不安定(イランvs米国の対立再燃、トルコvsシリア問題を背景とする難民の欧州流入→欧州の政情混乱、など)になっていることから安全資産需要も根強く、結果的に高値圏を維持することになるだろう。

金価格動向を占う上で実質金利の動向は重要だが、実質金利の大きな変化に金価格が追い付いておらず、リスクプレミアムを適正に反映した価格での推移になっていない。

現在のリスクプレミアムは225ドル(前日比ほぼ変わらず ※毎日回帰分析をアップデートリスクプレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない点はご注意ください)。

今回の変動で分かったことだが、市場が大きく混乱した場合、リスクプレミアムが適正に評価されない。言葉を替えるとリスクプレミアムを織り込むには、実質金利が大きく動かない中でリスクイベントが意識されることが需要、ということだ。

その観点では前回の100ドル上昇して1,800ドルを目指す可能性がある、という見通しはやや行き過ぎの可能性がある。

リスクプレミアムが大幅に上昇するのは感染拡大の長期化と大規模化によって、信用リスクの拡大につながり、終息後に改めて景況感の悪化が意識され、地政学的リスクが高まる場合が考えられる。

なお、米中合意は第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は金銀価格の上昇リスクとなる可能性がある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は上昇を続け、ほぼ100倍となった。金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、直近1年データを元にすると87倍程度、この10年データを元にした分析結果である80倍であることを考えると、やはり現在の金価格は割高であり、銀価格は割安である。

リスク回避姿勢が強まり金が割高となる局面では、割安な銀が投機的な観点から物色される可能性は高かろう。

PGM価格はWHOがパンデミックを宣言、各国とも相互に人の移動を制限する措置を取り始めていることで景気減速懸念が強まっていることから、金銀価格が高止まりするものの、軟調な推移になると考える。

しかし、Anglo Americaのフォースマジュールの影響は小さくなく、しばらくは固有材料が価格を下支えするだろう。

2月の米自動車販売は年率1,683万台(市場予想 1,671万台、前月 1,684万台)と、市場予想ほどではないが前月から若干減速した。一方、コロナウイルスの影響が出始めた中国は▲18.0%の194.1万台と減速傾向を持続。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因になると予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは▲0.5%の利下げを行ったが、さらに3回の利下げを市場は織り込んでいる。

ECBに関しては緩和余地がないため、今後は財政出動に動く可能性。日本は追加利下げも、追加財政出動もほとんど余地がない。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発、サバクトビバッタの大量発生による食糧危機などで、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、第二弾合意は中国側にメリット少なく、むしろ今後は状況が悪化する可能性の方が高いか。この場合安全資産需要増加で価格の上昇要因。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立はロシアとトルコが停戦で合意したものの、再び衝突する可能性は排除できない。この場合、安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・金はロング・ショートとも減少。株価の下落でポジション解消の動き。銀はロングが減少、ショートも小幅増加している。

PGMは景気への懸念からロングの解消圧力が顕著である。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが366,173枚(前週比 ▲23,166枚)、ショートが46,440枚(▲7,034枚)、ネットロングは319,733枚(▲16,132枚)、銀が82,570枚(▲24,920枚)、ショートが34,267枚(+1,570枚)、ネットロングは48,303枚(▲26,490枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが49,931枚(前週比 ▲14,042枚)ショートが15,894枚(+2,122枚)、ネットロングは34,037枚(▲16,164枚)

パラジウムが6,936枚(▲1,553枚)、ショートが3,940枚(▲735枚)ネットロングは2,996枚(▲818枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は下落した。米国の欧州に対する渡航制限決定、欧州の量的緩和の規模拡大でドル高が進行、そもそもパンデミックを受けてモノの移動も低迷すると見られる中で売り圧力が強まったため。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は、米国の欧州に対する渡航制限で景気への懸念が強まり、対欧州通貨でドルが強含み、結果、ドル指数が強含み推移する可能性が高いことから軟調な推移になると考える。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシの受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、大豆も過去5年平均を大幅に上回っている。

供給面では、冬場の降雨の影響で2年連続で米生産地が洪水に見舞われており、作付けが予想を下回る可能性が出てきた。

小麦は豪州火災や干ばつ、ロシア・ウクライナの悪天候の影響で供給に懸念が出ていること、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、上昇圧力が掛かりやすい展開が予想されるが、最終的には帳尻が合いやすい(世界各地で生産されているため)。

今後の市場の注目は大豆、トウモロコシの作付け意向面積。米農務省の予想では、トウモロコシが9,400万エーカー(2019年 8,970万エーカー)、大豆は8,500万エーカー(7,610万エーカー)、小麦が4,500万エーカー(4,520万エーカー)と、トウモロコシの作付けが増加すると見られている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・3月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・3月の米需給報告の在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ18億9,200万Bu(市場予想18億9,509万Bu、前月18億9,200万Bu)大豆 4億2,500万Bu(4億2,809万Bu、4億2,500万Bu)小麦 10億Bu(9億9,417万Bu、10億Bu)

・12月末の四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 113億8,900万Bu(114億7,171万Bu、22億2,100万Bu)大豆 35億5,200万Bu(31億9,033万Bu、9億900万Bu)小麦 183億4,000万Bu(190億300万Bu、23億4,600万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意、シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、二次合意も難しく中国の合意不履行を材料に両国関係が再び悪化する可能性も考えられ、シカゴ定期の下落要因に。

ただし新型肺炎の影響で、しばらくの間、中国が合意を履行しなくても問題視はされないと予想される。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は終息したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に今年の春先以降、価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが325,870枚(前週比 +4,042枚)、ショートが320,305枚(▲8,655枚)ネットロングは5,565枚(+12,697枚)

大豆はロングが149,082枚(+834枚)、ショートが137,704枚(▲41,102枚)ネットロングは11,378枚(+41,936枚)

小麦はロングが120,563枚(▲28,347枚)、ショートが93,824枚(▲12,219枚)ネットロングは26,739枚(▲16,128枚)

◆主要ニュース


・2月日本国内企業物価指数 前月比▲0.4%(前月+0.1%)、前年比+0.8%(+1.5%)

・日本企業景況判断BSI Q120/Q220/Q320
 大企業製造業 ▲17.2/▲5.5/+6.1
 大企業非製造業 ▲6.6/▲3.9/3.3
 中堅企業全産業 ▲13.1/▲6.3/+2.8
 中小企業全産業 ▲25.3/▲12.5/▲6.7

・1月インド鉱工業生産 前年比+2.0%(前月+0.1%)

・2月インド消費者物価指数 前年比+6.58%(前月+7.59%)

・2月米生産者物価指数 前月比▲0.6%(前月+0.5%)、前年比+1.3%(+2.1%)
 除く食品エネルギー 前月比▲0.6%(+0.5%)、前年比+1.4%(+1.7%)
 除く食品エネルギー・貿易 前月比▲0.1%(+0.4%)、前年比+1.4%(+1.5%)

・米週間新規失業保険申請件数 211千件(前週215千件)、失業保険継続受給者数 1,722千人(1,733千人)

・Q419米家計純資産変化 3兆1,480億ドル(前期8,000億ドル)

・ECB政策金利を±0.00%に据え置き。上限政策金利も0.25%に据え置き、下限政策金利は▲0.5%に据え置き。QEと流動性供給を拡大。

・ECBラガルド総裁、「野心的で強調した財政対応が必要。ECBの存在理由は加盟国の債券スプレッドを埋めることではない。」

・ニューヨーク連銀、5,000億ドルの3ヵ月物レポを実施。資産購入をTビル以外にも拡大。

・日銀、ETF1,014億円を12日に買い入れ。金融緩和策の強化を検討へ。企業支援や資産購入拡充。

・米トランプ大統領、30日間欧州からの入国を制限。貿易は制限せず。中小企業庁に対して、新型コロナウイルスの影響を受けた企業に緊急資金を提供するよう指示、業績が回復するまで最大200万ドルの連邦融資が受けられる。新型コロナウイルスの打撃を受けている個人と法人を対象に税金の納付期限を延長。これにより2,000億ドルの資金が供給される。また、給与税減税も提案(所得減税には民主党が反発)。

・EU、「米国がまったく相談なしに、渡航制限を決定したことは遺憾。」

・中国国家衛生健康委員会米鋒報道官、「新型コロナウイルスの中国での拡大はピークを過ぎた。」

・中国外務省趙立堅報道官、「米国は中国に対して情報を開示すべきだ。コロナウイルスは米国が中国に持ち込んだものかもしれない。中国に責任を擦り付けるべきではない。」

・ロシア上下院、プーチン大統領が2024年の任期終了後も、最大12年続投を認める追加条項を盛り込んだ憲法改正案を承認。

・フランス全土で学校休校。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE天然ガス稼働在庫 2,043BCF(前週比▲48BCF)
 東部 426BCF(▲25BCF)
 中西部 529BCF(▲29BCF)
 山間部 97BCF(▲4BCF)
 太平洋地区200BCF(+3BCF)
 南中央 791BCF(+7BCF)

・イラン、IMFにコロナウイルスの危機に対して50億ドルの金融支援を要請。

・イラクの首都バグダッドに多数のロケット弾が着弾、米国人2名と英国人1名が死亡。米エスパー国防長官、「報復も辞さず」。

【メタル】
・Q220のアルミプレミアム、前期比2割ほど高い98~105ドルで交渉開始。夏場の需要増加に向けてプレミアムは上昇しやすい時期だが、コロナウイルスの影響で消費者側は反発。交渉は難航。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CBTもみ米 ( 穀物 )/ +1.35%/ +0.11%
2.SHF 銀 ( 貴金属 )/ +1.26%/ ▲8.06%
3.ドル指数 ( その他 )/ +1.01%/ +1.14%
4.CBT大豆ミール ( 穀物 )/ +0.91%/ ▲0.43%
5.原料炭スポット ( 鉄鋼原料 )/ +0.59%/ +17.57%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ビットコイン ( その他 )/ ▲27.19%/ ▲20.02%
69.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲19.91%/ ▲4.81%
68.NYM RBOB ( エネルギー )/ ▲18.94%/ ▲46.99%
67.ブラジル・ボベスパ ( 株式 )/ ▲14.78%/ ▲37.24%
66.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲11.62%/ ▲18.55%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :21,200.62(▲2352.60)
S&P500 :2,480.64(▲260.74)
日経平均株価 :18,559.63(▲856.43)
ドル円 :104.64(+0.10)
ユーロ円 :117.04(▲0.78)
米10年債利回り :0.80(▲0.07)
独10年債利回り :▲0.74(+0.00)
日10年債利回り :▲0.06(+0.01)
中国10年債利回り :2.62(▲0.01)
ビットコイン :5,725.35(▲2137.78)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :39.49(+4.1)
エネルギー :80.74(+2.93)
ベースメタル :23.40(+2.48)
貴金属 :52.98(+16.94)
穀物 :19.31(+0.83)
その他農畜産品 :33.50(+3.03)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :117.16(▲0.39)
Brent :111.34(+1.47)
米天然ガス :59.34(+1.09)
米ガソリン :113.61(+19.95)
ICEガスオイル :67.46(▲2.29)
LME銅 :18.94(+2.92)
LMEアルミニウム :19.60(+0.78)
金 :14.46(+0.32)
プラチナ :53.43(+18)
トウモロコシ :20.54(+1.72)
大豆 :14.46(+0.32)

【エネルギー】
WTI :30.99(▲1.99)
Brent :32.88(▲2.91)
Oman :32.90(▲2.25)
米ガソリン :90.00(▲21.03)
米灯油 :113.66(▲10.14)
ICEガスオイル :376.00(±0.0)
米天然ガス :1.85(▲0.03)
英天然ガス :24.03(▲0.15)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :32.88(▲2.91)
SPO380cst :178.79(▲2.91)
SPOケロシン :41.50(▲4.41)
SPOガスオイル :43.87(▲3.94)
ICE ガスオイル :50.47(±0.0)
NYMEX灯油 :115.00(▲3.85)

【貴金属】
金 :1576.15(▲58.89)
銀 :15.82(▲0.93)
プラチナ :766.68(▲97.37)
パラジウム :1852.08(▲460.30)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,400(▲162:13.5C)
亜鉛 :1,942(▲52:15C)
鉛 :1,745(▲52:4B)
アルミニウム :1,658(▲29:15C)
ニッケル :11,900(▲585:45C)
錫 :16,225(▲525:10B)
コバルト :31,676(▲1,405)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5435.00(▲73.00)
亜鉛 :1947.00(▲38.00)
鉛 :1765.00(▲2.00)
アルミニウム :1661.50(▲10.50)
ニッケル :11880.00(▲570.00)
錫 :16065.00(▲735.00)
バルチック海運指数 :633.00(+2.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :89.22(+0.07)
NYMEX鉄鉱石 :89.48(▲0.11)
NYMEX原料炭スワップ先物 :159.84(+0.93)
上海鉄筋直近限月 :3,486(+34)
上海鉄筋中心限月 :3,504(▲2)
米鉄スクラップ :259(▲17.00)

【農産物】
大豆 :855.00(▲12.75)
シカゴ大豆ミール :298.60(+2.70)
シカゴ大豆油 :26.15(▲1.15)
マレーシア パーム油 :2302.00(▲68.00)
シカゴ とうもろこし :369.75(▲9.50)
シカゴ小麦 :508.25(▲9.00)
シンガポールゴム :159.60(▲1.30)
上海ゴム :10380.00(▲105.00)
砂糖 :11.62(▲0.64)
アラビカ :109.15(▲2.40)
ロブスタ :1226.00(▲20.00)
綿花 :59.70(▲1.85)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :60.88(▲3.00)
シカゴ生牛 :100.08(▲3.00)
シカゴ飼育牛 :118.83(▲4.50)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。